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国会会議録

予算委員会公聴会

第221回 · 参議院 · 第1号 · 2026-03-24

出典 kokkai ↗ 最終取得 2026-07-14 19:06 JST 記録 #3121 ↗

発言 267

会議録情報

令和八年三月二十四日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      大島九州男君     奥田ふみよ君  三月二十三日     辞任         補欠選任      朝日健太郎君     生稲 晃子君      石田 昌宏君     加田 裕之君      かまやち敏君     長谷川英晴君      古庄 玄知君     上野 通子君      こやり隆史君     山田 太郎君      自見はなこ君     鈴木 大地君      船橋 利実君     赤松  健君      松川 るい君     石井 浩郎君      山本佐知子君     江島  潔君      吉井  章君     岩本 剛人君      脇  雅昭君     寺田  静君      郡山りょう君     村田 享子君      岡崎  太君     新実 彰平君      梅村みずほ君     塩入 清香君      白川 容子君     大門実紀史君      奥田ふみよ君     大島九州男君  三月二十四日     辞任         補欠選任      石井 浩郎君     松川 るい君      長谷川英晴君     かまやち敏君      山内佳菜子君     郡山りょう君      安達 悠司君     大津  力君      大門実紀史君     山添  拓君      大島九州男君     伊勢崎賢治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤川 政人君     理 事                 阿達 雅志君                 加藤 明良君                 長谷川 岳君                 本田 顕子君                 広田  一君                 森本 真治君                 浜野 喜史君                 杉  久武君                 青島 健太君     委 員                 赤松  健君                 生稲 晃子君                 石井 浩郎君                 今井絵理子君                 岩本 剛人君                 上野 通子君                 江島  潔君                 加田 裕之君                 かまやち敏君                 古賀友一郎君                 鈴木 大地君                 寺田  静君                 松川 るい君                 宮本 和宏君                 山田 太郎君                 石垣のりこ君                 郡山りょう君                 小島とも子君                 杉尾 秀哉君                 高木 真理君                 村田 享子君                 伊藤 孝恵君                 牛田 茉友君                 田村 まみ君                 平戸 航太君                 窪田 哲也君                 佐々木雅文君                 原田大二郎君                 石井めぐみ君                 串田 誠一君                 新実 彰平君                 大津  力君                 櫻井 祥子君                 塩入 清香君                 大門実紀史君                 山添  拓君                 伊勢崎賢治君                 大島九州男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 千秀君    公述人        クレディ・アグ        リコル証券会社        東京支店チーフ        エコノミスト   会田 卓司君        株式会社ニッセ        イ基礎研究所上        席研究員     三原  岳君        昭和女子大学特        命教授      八代 尚宏君        株式会社大和総        研代表取締役副        社長兼副理事長  熊谷 亮丸君        キヤノングロー        バル戦略研究所        理事・特別顧問  宮家 邦彦君        合同会社エネル        ギー経済社会研        究所代表     松尾  豪君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○令和八年度一般会計予算(衆議院送付) ○令和八年度特別会計予算(衆議院送付) ○令和八年度政府関係機関予算(衆議院送付)     ─────────────

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。  本日は、令和八年度一般会計予算、令和八年度特別会計予算及び令和八年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見を伺いたいと存じます。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、大変御多忙の中、本委員会に御出席をいただき、心から感謝申し上げます。よろしくお願い申し上げます。本委員会を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げ、厚くお礼を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。  本日は、令和八年度総予算三案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構です。  それでは、財政・社会保障について、公述人クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト会田卓司君及び株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員三原岳君から順次御意見を伺います。  まず、会田公述人にお願いいたします。会田公述人。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 本日はありがとうございます。  私からは、日本の財政は健全で戦略投資拡大の余地は大きいという結論でお話をいたします。一般には逆です。日本の財政状況は悪いと言われます。  では、二ページ目を御覧いただきたいと思います。  二ページ目左側には、日本の国家予算の歳出、右側には米国の国家予算の歳出があります。日本の歳出の中に占める国債費は二六%と非常に大きくなっています。米国の一四%と比較をしますと非常に大きいという現実があります。そして、国債費が大きいので、歳出は硬直化していて、財政再建が待ったなしと言われる原因になっています。  しかし、日本と米国の歳出構造を比較しますと大きな違いがあります。  まず最初は、日本の歳出の中に、国債費の中には債務償還費というのが入っています。国債六十年償還ルールに基づく債務償還費が入っています。しかし、米国を御覧いただくと債務償還費は入っていません。グローバルスタンダードでは、国債は将来の税収で返す前提ではなく永続的に借換えされていきますので、債務償還費は入っていないということになります。  そして、利払い費、日本では利払い費とありますから、払う、グロスで入っています。一方、アメリカは純利払い費とありますので、払う方と受け取る方をネットにした純利払い費で入っているということになります。そして、アメリカの歳出には、法律で支出が義務付けられる義務的歳出と予算で支出が決まる裁量的支出を分けていますが、日本の歳出には明確な区別がないという違いがあります。  では、日本は、国債の六十年償還ルールに基づいて債務償還費を計上しています。この債務償還費の計上の在り方については、自民党の防衛費増額の財源検討の特命委員会でしっかり検証されているということになります。  次の三ページ目を御覧いただきたいと思います。  そこでの結論は、国債六十年償還ルールはあくまで公債政策に関する政府の節度ある姿勢を示すために導入されたものであり、文字どおりの減債、すなわち国債発行残高の減少を目指すものではなかったことを確認しているということになります。すなわち、日本でも、国債の六十年償還ルールは見かけだけのもので、将来の税収で返すということを前提にしておらず、日本でも国債は永続的に借換えをされているということが明らかになっています。  では、グローバルなスタンダードに合わせて、日本の歳出構造を描いてみたいと思います。  四ページ目です。四ページ目左側が、通常の日本の国家予算の歳出です。右側が、グローバルスタンダードに直した日本の歳出構造ということになります。国債費を御覧いただくと、僅か六%であるということになります。左側の二六%、米国の一四%と比較をすると非常に小さいのが御覧いただけると思います。国債費が財政を圧迫しているというのは間違いでありまして、政府の戦略投資拡大の余地は大きいと考えます。  そして、義務的支出、法律で支出が義務付けられている支出には財源をひも付けるのがグローバルスタンダードです。しかし、裁量的支出には財源をひも付けなく、政府の財政余地を大きくするというのがグローバルスタンダードのやり方だということは付け加えておきます。  日本は、財政赤字を続けてきたのに、緊縮財政であったはずはないとの見方があります。しかし、緊縮財政であったかどうかというのは、民間の経済がどうだったのかどうかという比較で判断されるものだということになります。  では、五ページ目を御覧いただきたいと思います。  五ページ目の左側、黒い線で日本の政府の財政収支のGDP比があります。ずっとマイナスですので、赤字が続いてきたということになります。一方、民間の経済状態を見る上で重要な指標がこの青い企業の貯蓄率というものになります。  通常の経済であれば、企業は資金を調達、借りて投資をして事業を行います。貯蓄率では、プラスがためる、マイナスが借りるです。通常の経済であれば、企業は支出、投資をしますので、この企業貯蓄率、青い線は下の方、マイナスにいるのが正常だということになります。  しかし、日本の場合には、企業が賃金や投資などの国内支出をどんどん切り詰めて借金返済に邁進するというコストカット型になってしまったため、企業貯蓄率が上の方、プラス、この異常な貯蓄超過、投資不足という状況に陥ってしまっているということになります。  企業からは国内支出を減らすという経済規模を縮小する力が掛かってしまっているわけですから、当然政府は、支出を増やして経済規模を拡大して、家計に所得が回る経済にしていかなければいけない。その結果として、財政収支は赤字を続けているということになります。  では、企業と政府を合わせた支出をする力、経済全体で経済規模を拡大する力、どう判断するかというのは単純です。青い企業貯蓄率と黒の財政収支を合計しまして、灰色のネットの資金需要というものにします。青プラス黒が灰色で、灰色がネットの資金需要で、これが企業と政府合わせたお金を使う力、経済の規模が拡大する力、そして家計に所得が回る力だということになります。  日本の経済の問題は、二〇二〇年のコロナの前、御覧いただくと、このネットの資金需要が完全に消滅しているという状況が続いているのが御覧いただけます。ネットの資金需要が消滅しますと、企業と政府合わせたお金を使う力が全くなくなりますので、経済規模、名目GDPが拡大しなくなります。家計にも所得が回らなくなり、家計が困窮をしたということになります。  政府は、確かに財政赤字を続けてきましたが、ネットの資金需要が消滅してしまったということで、やはり緊縮財政であり、経済規模を持続的に拡大するという責務を果たさなかったということになります。  しかし、コロナ後、財政が拡大しました。ネットの資金需要が一気にマイナス五%というところまで膨らんだ結果として、日本経済膨らみ始めます。あれだけ膨らまなかった名目GDPが一気に膨らみを取り戻して、五百二十五兆円平均から現状は六百七十兆円まで経済が膨らんだということになります。  ただ、問題は、またネットの資金需要が現在なくなっています。日本の財政構造というのは、何もしないとネットの資金需要が消滅をするという緊縮に寄った財政構造を持ってしまっているということになります。  そうであれば、官民連携の成長投資を拡大することによってこの青と黒を下に持っていって、ネットの資金需要を回復させて経済規模を拡大し、家計に所得を回していくという財政政策の積極財政の方向性が重要になってきます。家計に所得をしっかり回す名目GDP三%台の成長に相当するネットの資金需要はおおよそマイナス五%と言われていますから、ゼロ%からマイナス五%にトレンドを回復させるには、年間三十兆円程度の官民の投資拡大が必要ということになります。  では、日本の負債残高GDP比は巨額なので、日本の財政状況は悪いというのが一般的な見方ということになります。  六ページ目を御覧いただきたいと思います。  六ページ目の左上に一般政府の総負債とあります。GDP比二一三%、米国の一三九、ユーロ圏の一〇九に比べると非常に大きいというのが御覧いただけると思います。しかし、日本の政府は巨額の金融資産を持っているということです。そして、負債からこの金融資産を引いた純負債が一般政府Aとあるところで、七五%ということになります。米国の一〇五より小さいという結果になります。  では、この純負債の動きを御覧いただくと、右側が純負債の動きということになります。かつてGDP比五〇%とかなり小さかったのが一二五%ぐらいまで拡大する中で、黒い線がS&Pの日本国債の格付ということになります。右軸でトリプルAという最高位格からシングルAプラスというところまで格下げをされてきたということになります。  しかし、現在、経済規模がぐんと拡大したことによってこの純負債残高GDP比が大きく改善して、昨年十―十二月期の段階ですと六七%というところまで拡大をしています。格付に直すと、三段階格上げされてもおかしくはないところまで改善しているということになります。戦略投資を拡大する余地は大きいということになります。  そして、日本経済の問題はこの企業Bと書いてあるところです。これが企業の純債務です。御覧いただくと、日本だけ符号が逆、マイナス一〇となっています。すなわち、日本経済には企業部門に純負債が存在しない、消滅をしてしまっているという状況になっています。  金利というのは、政府の動きだけでは決まりません。企業の動きにも左右されます。では、経済全体の負債構造というのは、この一番右側、経済の負債構造というもので、AとBを足したもの、企業と政府の合わせた純負債の大きさで見るということになります。日本は僅か六五、米国の三一九、ユーロ圏の一一八に比べると非常に小さいのが御覧いただけると思います。日本の負債構造は強靱であるということです。経済の負債構造が強靱であれば、名目GDP成長率を大きく上回るような金利の高騰は考えにくいということになります。  では、高齢化による社会保障制度の悪化を考えれば、財政再建は急務であるという見方もあります。  七ページ目を御覧いただきたいと思います。  七ページ目の左側、黒い線が厚生年金の積立度合いの動きということになります。百年後に向かって、現状五倍である積立度合いを一倍に下げていくという前提で社会保険料が計算されています。  ただ、問題は、この前提は経済成長率が永遠にマイナス成長であるということが前提に計算されているということです。マイナス成長の悲観的な前提で社会保険料を大きく引き上げ、現役世代が疲弊するという状態になっています。  では、経済成長率を一%を前提にするとどうなるかといいますと、この青い線になります。基金は膨張していくということになります。一%の成長前提では、社会保険料と消費税は引き下げられるということになります。社会保障制度の安定のために必要急務なのは、財政健全化ではなく、官民連携の投資拡大で経済成長スピードを上げることであるということが御覧いただけると思います。  では最後に、財政規律の改革で戦略投資拡大を可能にする必要があるということでお話をいたします。  これまでは、プライマリーバランス、これ八ページ目です、プライマリーバランスの黒字化を目指してきました。しかし、プライマリーバランスの黒字化というのは、将来の経済成長と所得をもたらす投資も税収の範囲内でやれという制約です。戦略投資の拡大の制約になります。そこで、歳出から、意味のない債務償還費と投資支出を除外して経常的歳出とします。財政規律として、この経常的歳出を税収、税外収入の範囲内に収め、経常的収支を長期的に均衡を目指すという形が望ましいということになります。  投資的支出は、将来の経済成長と所得の拡大につながるものですから、税収の範囲内で行う必要はなく、国債でファイナンスしても問題ありません。財政規律として、経常的収支の均衡の上、財政収支は投資的支出の分は赤字であるべきです。投資的支出は多年度で別枠管理する仕組みを具現化し、政府の戦略投資を拡大すべきだと考えております。  私からは以上です。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ありがとうございました。  次に、三原公述人にお願いいたします。三原公述人、どうぞ。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) おはようございます。ニッセイ基礎研究所の三原です。  今日は、私の方から二〇二六年度の当初予算案の社会保障関係費に関して、あるいは今後の見直し論議について、十五分ほどお時間いただきたいと思っております。よろしくお願いします。  今日の内容ですけれども、資料に沿って説明させていただきます。  今日、内容を三つ考えてきました。一つは、医療、介護、福祉、障害福祉を中心ですけれども、事業所への支援策、二つ目が国と自治体の関係、三つ目が財源対策になります。  一枚おめくりください。  支援策に関しては、医療、介護、障害福祉事業所の経営難というのが今非常に盛んに言われているわけですけれども、これを売上げと経費と少し要素分解してみました。  まず、売上げの面に関して見ると、医療、介護、障害福祉事業所というのは、診療報酬、介護報酬、障害報酬、つまり公定価格でコントロールされていますので、その分だけどうしても民間の物価上昇に対応できない面があります。  売上げの方が回数、報酬、売上げというのは基本的に回数と報酬で私は分けられると思うんですけれども、回数に関しては人口減少の影響で患者、利用者が減っている。あるいは、医療関係従事者皆さん聞いていると、新型コロナウイルスの後、患者が帰ってこないという話はよく聞きます。実際、データもそういうデータが出ています。そうすると、どうしても回数は減っていく。  プライスの方、価格の方を見てみると、物価上昇のスピードに対応していない報酬の引上げ幅、デフレ脱却というのは大変すばらしいことだと思うんですけど、どうしても公定価格だとタイムラグが生じます。  それから、賃上げに限定されている報酬引上げの方法、これはこの後述べたいと思うんですけど、ベースアップ評価料という形で賃上げに限定されていますので、医療、介護、障害福祉事業所としては他の使途に使えないというデメリットもあります。それから、二〇二四年度改定で訪問介護の基本報酬を引き下げるという不可解な決定がありましたので、この影響も当然あるという話です。  一方、経費を見てみますと、物価上昇による物件費、委託費の増加、それから他の産業の賃上げの影響、これは大変望ましいことなわけですけど、医療、介護、障害福祉事業所としてはじわじわ影響が出ていると。それから、一部の大病院に関しては医師の働き方改革で経費が増えている、こういうことがあるのかなという気がします。  こういう形で要素分解すると、目先の問題として解決しなきゃいけないことと中長期的に対応しなきゃいけないことというのは整理できるのかなという気がします。  一方で、支援策見てみますと、二〇二五年度補正予算で医療、介護、福祉、医療・介護等支援パッケージと銘打って一・三兆円の予算が計上されたほか、去年の年末に決まった二〇二六年度当初予算では、診療報酬、介護報酬ということで、診療報酬は三十年ぶりの高水準、本体価格、本体改定ですね。それから、介護、障害報酬も期中改定ということで前倒しで改定されました。補正予算を引き継ぐような形で改定、報酬が引き上げられたわけです。  四ページ目ですけれども、この二〇二六年診療報酬改定の内訳を見てみますと、こういう形でミシン目が入ることが非常に多いです。賃上げ、例えば賃上げ一・七%、物価対応〇・七六%等々です。これは、こうやってそのミシン目を入れることのメリット、デメリットというのは両方あるんだろうなという気がしています。  メリットとしては、納税者、被保険者からすれば、確実に財源が賃上げあるいは物価対応に振り向けられるわけですから、変なところに予算が使われないというメリットはあります。  一方で、加算で縛るデメリットというのもあって、やっぱり手続が、厚生局とかに、厚生労働省や都道府県に書類を提出しなきゃいけませんので、手続が煩雑であると。あとは、物価上昇等、今経済情勢変わっている状況ですから、官僚統制で使途を縛るということは経済社会情勢に対応できない面が出てきます。さらに、制度の予見可能性が低い。あるいは、制度が複雑になって、もうベースアップ評価料というのは本当に複雑な仕組みです。これ、民主的統制が妨げられる、立法府も含めた民主的統制が妨げられる、この辺りはデメリットかなという気がします。  メリット、デメリット両方ありますので、この辺はちょっと利害得失を一回整理して今後の対応を考えていく必要があるのかなという気がしています。特に、今回、ベースアップ評価料を取らないと減算のような話も入っていますので、この辺り一回立ち止まって議論してもいいのかなという気がしています。  例えば、加算で縛るメリットというのは使途が明確になるということなわけですから、これは、例えば加算のところを少し減らして、その分、医療、介護、障害福祉事業所の経営ガバナンスを強化して経営の透明性を高めるといった方法もあるんじゃないのかなという気がします。これが一つ目の論点です。  二つ目の論点として、地域の実情に応じた体制整備というところがあります。  これは、厚生労働省が最近、医療、介護、福祉の審議会の報告でこの文言を多用しています。この文言自体は私は非常に大事なことだと思います。医療行政は都道府県、介護・福祉行政は専ら市町村がやっているわけですから、当然、しかも人口が、三大都市圏は人口がまだ、高齢者人口が増えていきますけれども、既に高齢者人口さえ減っている地域もあると思います。そうなると、人口動態がこれだけ違うわけですから、国一律で政策を誘導するだけでは困難になる。  だから、医療行政は都道府県、介護、福祉は市町村が主体的に国の制度をうまく使いながら、あるいは医師会や医療機関の経営者、介護事業所と連携しながら体制整備をしていくというのは、これはこれで必要なことだと私は思っています。  具体的には、一枚おめくりいただいて、この辺りは制度改正、過去の制度改正なので余り細かく説明しませんが、二〇二五年の臨時国会で医療法が改正され、医療提供体制改革を二〇四〇年を見据えてやっていこうと。  二〇四〇年というのは、御案内のとおり、生産年齢人口が激減し、あるいは八十五歳以上の高齢者がどんと増えるタイミングですので、そのタイミングに向けて都道府県が主体的に医療提供体制を構築してくださいというのが今回の二〇二五年の臨時国会での法改正かなと思っています。これは今後、今ガイドラインの検討が厚生労働省で進んでいますけど、今後、都道府県が新たな地域医療構想あるいは医師偏在是正をやっていくということになると理解しています。  これは、今度、今年の特別国会で法改正が想定されているのが七ページ目です。  二〇四〇年の検討会の最終とりまとめということで厚生労働省の概要資料を引っ張ってきましたけれども、介護に関しても二〇四〇年をターゲットにした制度改正をしていこうと。地域を三つに分けて、中山間・人口減少区域について少し仕組みを違う、制度を違う形にしていこうというのがメッセージだと理解しています。これは特別国会で法改正がされるので、いずれ立法府の方でも検討されると思うんですけれども、少しそれを整理したのが八ページ目になります。  つまり、介護保険の考え方と二〇四〇年に向けた中山間・人口減少地域での考え方というのを簡単に整理しますと、全ては説明できませんけれども、例えば提供体制の考え方という点で見てみますと、介護保険の方は営利法人を含めて民間事業者が競争する、対等な関係性によって契約を結ぶという、これは専門用語では準市場といいますけど、計画経済と市場経済のハイブリッドの考え方ですね、これが採用されています。  一方で、二〇四〇年というのは、もう競争しようにも民間事業者が撤退している、あるいは競争して体力を消費しても仕方がないので協働化していく、あるいは場合によってはもう自治体、非営利セクターが提供していくということで、随分考え方が変わっていくんだろうと思います。私は、元々の措置に近い、介護保険ができる前の措置に近い仕組みになるんだろうという気がしています。行政のコントロールが強くなるということですね。  それから、財源に関しても、介護保険給付、介護保険はもちろん保険料を主な財源とした介護保険給付で、この中山間・人口減少地域もそこは大きくは変わらないわけですけど、基本的には事業でやる、予算の上限を設定してやっていくということになるんだと思います。場合によっては、市町村だけじゃなくて都道府県が補完していくということになっていくと、もう今までの介護保険の制度とちょっと、かなりジャンプする仕組みなんだろうという気がします。  報告書を見ると、あるいは介護保険部会の意見書を読むと、論理的かつ合理的なことを書いてあると私は思いました。思ったんですけれども、ちょっとジャンプ、余りにもジャンプの幅が大きいので、これは果たして現場市町村、現場が運用できるかなというのはちょっと不安を覚えているところです。なので、例えばモデル事業で一回ちょっと試行してみるとか、手挙げ方式なので自治体が手を挙げたところにやっていくと思うんですけれども、自治体現場での変化というのはもう少し見極めた方がいいのかなという気がしています。  それから、九ページ目ですけれども、地域の実情に応じた体制整備ということで厚生労働省は様々な都道府県支援、市町村支援をしています。この十年間、手引とかガイドライン、それから事例集というのが相当できました。  これは、十年間の変化として私は大変望ましいことだと思っているんですけれども、実は厚生労働省の老健事業を使って藤田医科大学のプログラムで市町村支援に私も少し関わらせていただいているんですけれども、これ、今までのやり方と少し変える必要があるのではないのかなといつも思っています。  今までの厚生労働省の市町村、自治体支援のプログラムというのは、国が制度、行政説明をして、それに関わる事例が紹介され、場合によってはパネルディスカッション、グループワークという流れです。これはこれで非常に大事なことなんですけど、これ、企業経営でいうとプロダクトオリエンテッドですよね、国の考えていることを押し出していくというマーケティング手法だと思います。  これは大変重要なことだと思うんですけれども、これだけで地域の実情に応じた体制整備ができるのかと言われると、私はちょっと疑問です。なぜかというと、好事例の横展開をベースにしているからです。ところが、それぞれの好事例というのは、見てみると、市町村の担当者あるいは医療、介護、福祉事業者が試行錯誤の末につくっているわけです。そのプロセスこそに意味があるので、結果の何かスキーム図だけまねして、それを横に展開するというのはうまくいくか。うまくいかない方が私は多いんだろうという気がします。  厚生労働省さんが今やられているやり方というのは、基本的に好事例の横展開をベースにしていると思います。これはもちろんこれで大事なので否定はしないんですけれども、もう少しその伴走支援というのは考えていった方がいいのかなという気がしています。これは、伴走支援というのも何か言葉だけはきれいですけれども、もう少し国、都道府県、市町村、それから地元の大学、あるいは私たちのようなシンクタンク、コンサルタント業界が何をするのかというのは、もう少し解像度高い議論が必要なのかなと思っているところであります。  では、残りの四分ぐらいで財源対策の話をしたいと思います。  二〇二六年度当初予算案の社会保障関係費というのは、制度改革、効率化ということで高齢化の範囲内に予算を抑えると。目安対応を継続し、経済・物価動向を別枠で計上するという形にしてあります。なので、一千五百億円ぐらい国費ベースで社会保障費を削り、経済・物価対応として二千五、六百億円ぐらいですか、予算を積み増したと。ここには診療報酬、介護報酬が入っています。非常にへこませながら増やすという分かりにくい対応になっているんですけれども、これはもうインフレの、デフレからインフレに変わってきていますから、私はやむを得ないことなのかなと思っています。  財源対策のところで見てみますと、高額療養費の見直し、去年、通常国会でもめた話ですけれども、再検討の結果、三百億円程度が国費ベースで減少が予定されています。それから、長期収載品の選定療養の拡大ということで百億円やっています。さらに、自民党と維新の連立合意に基づいてOTC類似薬の見直しというものが入っていますね、今回は。二六年度予算には入っていませんけど、二七年度以降恐らく給付費ベースの削減幅が、削減が反映されるんだと思います。法改正も今年の特別国会で想定されていると聞いています。  今まで、今やっている政策というのは、患者負担に関してですけれども、保険外併用療養費制度を使って特別な料金を課すという形になってきています。これはこれで別に私は大事なことだと思うんですけれども、一方で、インクリメンタルに、漸増主義的に制度改正を積み重ねた結果、積み重ねてもいいのかなという気がしています。  これ、二〇〇二年改正健康保険法附則第二条、これは小泉政権のときにできた健康保険法の附則ですけれども、ここで、将来にわたり百分の七十、つまり三割負担を維持するという規定が入っています。これ、余り特別な料金がどんどんどんどん増えていくと三割負担のところの整合性が付かなくなってきますので、ここも目先の制度改正だけじゃなくて、一回ちょっと立ち止まって患者負担の在り方というのは考えてもいいのかなという気がしています。  方向性としては、所得の高いところから負担を課すというところと、高齢者に、世代に、年齢にこだわらず負担を求めるということと、あとはリスクの低いところから少しずつその公的保険のウエートを減らしていくみたいなところが方向性としては一致できるところなのかなという気がしています。こういうちょっと大きな議論も一回やった方がいいのかなと思っているところであります。  では、残り二分ぐらいで最後の問題、給付付き税額控除と消費税の話をしたいと思います。  ここは必ずしも私の専門領域ではありませんけれども、給付付き税額控除に関して見てみますと、かなり以前から議論されています。私は、消費税の軽減税率を入れたときからもうこの話はどこかで入れておいた方がいいと思っていたんですけれども、せっかくこういう機会ですので、是非導入の目的を明確にした上で、入れることが目的ではありませんので、導入の目的を明確にした上で、超党派でせっかくの機会ですから合意していただければなと思っております。  それから、消費税の飲食料品ゼロ%に関しても、国民の租税抵抗、これ財政学の言葉なんですけれども、国民が痛税感を嫌がるので、社会保障と消費税のリンクを、リンク付けるというのが元々の制度ができたときから意識されていて、特に二〇一三年の社会保障・税一体改革では増収分の使途を社会保障に充当するということが決まっていますので、これ仮に消費税の飲食料品のところをゼロ%にするんだったら、五兆円の財源をどう確保するのか、代替財源どう確保するのか、過去との整合性というのは整理しないといけないのかなと思っているところであります。  済みません、拙い話でしたが、以上です。  御清聴ありがとうございました。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

本田顕子 自由民主党・無所属の会

○本田顕子君 自民党の本田顕子でございます。  今日は、参考人の先生方に本当に貴重な御指導、陳述をいただきまして、ありがとうございます。  まずは、会田先生に質問させていただきます。  官民連携の投資超過で経済規模を拡大させるというお話でございましたけれども、その投資の話の部分でちょっとお伺いいたします。  岸田内閣の時代から現在の高市内閣に至るまで、製薬産業を我が国の基幹産業として位置付けて創薬力を強化するとともに、生命関連商品である医薬品を経済安全保障の観点で国産化を推進をしております。その中で、医療機器や再生医療分野を含め、積極財政に貢献する成長を生む鍵となるイノベーションをもたらしてくれる分野だと私は認識をしております。  人的資源の確保、財政的支援などを現在政府でも行っていますが、今後、飛躍的に世界をリードするまでの成長を遂げ、これら分野が国際競争力を高めるには何が必要と考えるか、教えていただければと思います。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 日本の国際競争力そして経済安全保障を確立するためには、しっかりとした産業政策が必要です。  九ページ目、御覧いただきますと、実は世界銀行も、これまでの新自由主義、緊縮財政から産業政策、積極財政の支持に転じています。これは直近のレポートになります。産業政策は、従来考えられていたよりはるかに再現可能性が高く、全ての国にとって政策手段の一つとして検討されるべきであるというレポートになっています。  これまでは、新自由主義という考え方の下、できるだけ政府の関与は縮小していこう、グローバリゼーション、財政収支の早期の改善を目指す政策でした。しかし、現在、グローバルな潮流は官民連携の戦略投資と需要の拡大の競争になってきています。社会経済の課題をしっかり認識して、それを解決するための投資を拡大して、付加価値型の成長をしていく。その中には、経済安全保障、そして財政赤字による戦略投資を許容するという形に変わってきているわけです。  ですから、日本も、これまでのプライマリーバランスの黒字化という産業政策を否定するものではなくて、医薬業界も含めて産業政策をしっかりできる財政政策の在り方に変化をしていくべきだと考えています。

本田顕子 自由民主党・無所属の会

○本田顕子君 ありがとうございます。  では次に、三原先生に御質問をさせていただきます。  介護の分野のところですね。今、介護の、医療や現場の、保育もですけれども、人たちの賃上げを他産業に見劣りしないようにするということで政府でも政策を進めております。  しかしながら、例えば経済が成長し賃金が上がったとしても、社会保険料が制限的になった場合、これらの分野を支えるための原資をどこに求めるか。今、社会保障の中で、食料品をゼロにするといったときのその財源をどこに求めるかというところがありますけれども、この部分の先生のお考えをお聞かせしたい。また、減税した場合に、その分野をどのように補い、命と暮らしの安全を支える従業者を確保していくか、そのことについても御意見を伺えればと思います。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  特に介護、保育の方は人勧で、人事院勧告にスライドするのである程度賃金上がっていっていますけれども、それでも他産業に比べて低い。特に介護、障害福祉に関してはもっと低いわけですから、これは賃上げをしていく必要がある、物価対応に負けないようにやっていかなきゃいけないわけですから、私はそう思っています。  ただ一方で、それは財源を、やっぱり必要になってくるということになりますので、当然その保険料、税負担を増やしていくということが必要なんだと思いますし、もしその消費税を減税した場合というのは、飲食料品ゼロ%にした場合というのは、引き上げた消費税の一部が介護職員の給与に回っていると理解していますので、この辺、財源対策どうするのかというのは当然認識しないといけないところなのかなという気がしています。

本田顕子 自由民主党・無所属の会

○本田顕子君 ありがとうございます。  さらに、ちょっと伺いたいんですけれども、その意欲を持って地域に貢献しようとする有資格者、医療の部分ですね、有資格者の方々は、本業と地域貢献の掛け持ちで働くほどの、実際はまだまだ自分が給与は増えないという現状を伺います。  今先生からもお話は伺ったところでございますけれども、もう一度更にちょっと、命と暮らしの安全をどうやって維持するか、ここは三原先生と会田先生からも御見解をいただければと思います。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  まさに、その命と暮らしを守っているエッセンシャルワーカーなわけですから、それは当然AIでは代替できませんのできちんと手当てしていくということと、賃上げだけで介護職員が離職しているわけではありませんので、きちんと職場環境改善も含めてやっていくと、両建てで必要なのかなと思っているところであります。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 医療費を含めた社会保障費が過度に抑制されてきたのではないかと考えています。  二十二ページ目左側を御覧いただきたいと思います。  二十二ページ目左側に、社会保障関係費のGDP比、この変化の推計があります。細かいんですが、六十五歳から七十五歳の人口比と七十五歳以上の後期高齢者比でこの社会保障関係費のGDP比の伸びというのはこれ説明できるということです。  問題なのは、高齢化比率に全く変化がないとしますと、この式にあるマイナス〇・四八%分、毎年GDP比で社会保障費は縮んでしまうということになります。すなわち、高齢化比率に比例する部分も社会保障費は増えていなかった、抑制し過ぎていた。これが医療業界、介護業界の疲弊につながっているということだと思います。

本田顕子 自由民主党・無所属の会

○本田顕子君 ありがとうございます。  あと、ちょっと投資の部分でも更にもう一度伺わせていただきます。  今の段階では、経済を良くするために投資の必要性は各方面から語られているところではありますが、なかなか民間投資は拡大せず、企業貯蓄率というのも下がってきていない現状があります。  仮に、このような状況が続く背景の一つに民間企業が投資リスクを回避しているのであれば、少しでもその不安を和らげるべく、先生がおっしゃる将来の成長や所得を生む投資というのをできるだけ具体的に明示してあげられたらと思うところであります。  もしそうであるならば、具体的な投資策も含めて先生の御見解をいただければと思います。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 企業は投資を抑制してきました。この投資の抑制が日本経済の停滞の原因でした。しかし、これは、企業は合理的な判断として投資を抑制してきたということです。理由は、先ほど申したとおり、政府が経済規模を持続的に拡大するという責務を果たさなかったからです。経済規模が持続的に拡大しなければ、企業はコスト削減、リストラをやめません。投資もしません。  しかし、現在は、経済規模、名目GDPが持続的に拡大するようになったので企業は投資をするようになった、将来の収益が見込めるのでしっかり投資をするようになってきているということです。  重要なのは、日本の内需を拡大するということです。内需を拡大して国内で収益が生まれるという期待がなければ、輸出セクターが海外に投資をするだけで、企業の投資は増えても国内の投資はなかなか増えないということです。ということは、しっかり内需セクター、すなわち家計をしっかり潤していくということが企業の国内投資を増やすためにも非常に重要で、そういう国内の需要又は投資を喚起する産業にしっかり政府も投資をしていく必要があるのではないかと考えています。

本田顕子 自由民主党・無所属の会

○本田顕子君 ありがとうございます。  最後に三原先生に、OTC類似薬などの部分はちょっと今日は御説明がなかったんですが、この患者側のセルフケア、セルフメディケーションの浸透を進めていくということは、OTC類似薬の話の前にとても私は重要だと考えております。  しかしながら、このセルフケア、セルフメディケーションというのがなかなか進んでいない現状があります。これはどうすれば進むと考えるか、最後に先生の御見解をいただければと思います。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  日本は国民皆保険ですので安価な値段で医療が受けられる、これは大変すばらしいことなわけですけど、やっぱりセルフメディケーションのような自助のところというのがその分弱くなる面はやむを得ない、そういう面は否めないのかなという気がしています。  当然、OTC類似薬のところを広げていけば、セルフメディケーション税制も含めて広げていくとか患者の患者教育をしていくとか、そういったことは当然やっていく必要があるんだろうと思います。OTC類似薬の見直しをやっていくのであれば、当然そこはコインの裏表としてやっていくことだと思っています。

本田顕子 自由民主党・無所属の会

○本田顕子君 ありがとうございました。  質問を終わります。

高木真理 立憲民主・無所属

○高木真理君 立憲民主・無所属の高木真理です。  本日は、貴重なお話を賜りまして、ありがとうございました。  まず最初に、会田公述人から伺いたいというふうに思いますけれども、責任ある積極財政というフレーズの裏には会田公述人のおっしゃったようなお話があるのだなということもよく理解をさせていただきました。  その上で伺いたいんですけれども、最初のところでありました、国債は将来の税収で返す前提ではなく永続的に借換えされていくから、米国とはこの国債費の捉え方が違うんだというお話、大変興味深く伺ったんですけれども、日本の場合には、実際に抱えている債務残高、このおなかの中身みたいなものが大変大きいわけで、借換えをしていくときに、今までは大変金利が低い状況が続きましたので、そこをなしにして利払い費だけを見ても低い水準に抑えられたものが、これからは金利が上がっていく世界、それが高くなっていったりするとその利払いが急速に増えていく、おなかの中身なので、その部分に心配があるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 御質問ありがとうございます。  では、六ページ目、御覧いただきたいんですが、確かに、六ページ目の左上、政府の負債残高二一三%、GDPの二・一倍、非常に大きい、ここだけが取り上げられるということになります。一方、政府には巨大な金融資産があって、一三八%の金融資産を持っています。他国はそんなに政府は金融資産を持ちません。ですから、ユーロ圏ですとかアメリカは小さいということです。  そして、この政府の金融資産は負債と両建てとなっている。負債を発行して資産を積み増す外貨準備のようなものが入っているわけですから、負債があって資産があるのであれば、当然、負債から金融資産を引いてあげなければ日本の財政状況が分からないということです。引いてあげた結果が、この右側の七五%というのが純負債だということになります。これは、もう既に米国より小さい状況になってきているということです。  では、この純負債、政府の純負債と金利の関係、御覧いただきたいと思います。  資料の十二ページ目右側を御覧いただきますと、これが、OECD各国まとめまして、横軸に政府の純負債残高を取ります。縦軸に政府の純利払い費があります。確かに、右側、政府の純負債が増えていくと、政府の純利払い費が増えて債務の問題が大きくなるという関係は確かに見て取れます。  しかし、二国だけ大きく外れている国があるということです。これが日本と米国です。日本は下に行っている。理由は、企業に純負債がないからです。金利は、企業だけでも政府だけでも決まらないということです。政府の純負債が大きくても、企業の純負債が消滅しているので、日本の純利払い費の負担は小さいということです。一方、米国は企業の純負債が相当大きい国ですから上に行っている。  ということは、政府の総負債残高だけで財政を判断してしまうと、どうしても緊縮になり過ぎて、家計に所得が回らない、家計の困窮につながってきてしまうので、マクロ経済全体でこの政府の負債の在り方というのを考える必要があるのではないかと考えています。

高木真理 立憲民主・無所属

○高木真理君 ありがとうございます。企業のことも考えないと、負債についても、いけないというところは理解をさせていただきました。  その企業の動きも関係があるという意味では、資料五のところで御説明をいただきましたネットの資金需要について御説明があって、こういう見方をしていくと、今まで日本政府もいろいろ借金もしてきてはいる、借金をして国民に対しても支出をしてきたけれども、それはネットで見ると足りていなかったんだという御説明でありましたけれども。先ほどは、企業が結局投資をしないできていることにも合理的な理由があるという御説明も、本田議員の質問のときにお答えがありました。  でも、この合理的に判断しているというところをちょっとどう理解したらいいのかなというのもありまして、株主への配当などを意識し過ぎて、やっぱり体質として、合理的というよりは、賃金を上げて消費を拡大する方に政府が行こうというよりは、ため込む方に行っていて、恐怖心というか、慎重に企業経営をしようというマインドが強いというのがあってこうなっているのではないかと思われ、政府が支出をすればするだけ伸びていくというものでもないなというふうに思うんですけど、その辺はいかがでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) これまでは、名目GDP、すなわちビジネスのパイが拡大しなかった、政府はその責務を果たさなかったわけです。ビジネスのパイが拡大しないときの企業の競争は、リストラ、コスト削減です。ビジネスのパイが膨らまないわけですから、競合他社より安い商品、サービスをリストラ、コスト削減で提供して、そして競合他社からシェアを奪うしかこれ合理的な判断はないということです。そうすると、企業同士、コスト削減の競争になってしまう。これがこれまでの日本経済の停滞の原因だったということです。  しかし、まずは政府が経済規模を拡大させるという責務を、しかも持続的に拡大するという責務を果たしますと、名目GDPというビジネスのパイが持続的に拡大をしていきます。この拡大してきたところは誰も取っていないパイですから、当然これを取りに行くためには企業は投資をしなければいけなくなるということです。  では、競合他社は投資をしていて、うちは苦しいからリストラ、コスト削減を続けるということになるとどういうことが起こるかといいますと、競合他社は投資をして魅力的な商品、サービスをつくっているのに、うちは古い商品を安く売っているだけとなれば、新しいパイは全部持っていかれますし、既存のパイまで食われていくということです。  経済規模が持続的に拡大するときの競争は、もはやリストラ、コスト削減ではなくて、投資に変化をする、そのきっかけをつくらなければいけないのは政府の役割です。その後は、企業の投資が拡大すると、それが名目GDPを持続的に拡大していくようになりますから、自律的な拡大に転じていく、そのための制度改革なども当然必要だと考えています。

高木真理 立憲民主・無所属

○高木真理君 ありがとうございました。  次に、三原公述人に伺いたいと思います。  医療費について伺いたいんですけれども、先ほど会田公述人の方からは、医療費の伸びも、全体の経済の伸びから考えると、社会保障費という位置付けでお話がありましたけれども、社会保障費ということで見ればいいんじゃないか。ちょっとそこから医療費を取り出したときに、今の医療費の伸びというものをどういうふうに考えるかというのを伺いたいのが一点と。  二点目は、今、医療費は大変、新薬とかいろいろ高額なものが出てきて、なかなか国民の今の負担では払い切れないものの水準に上がってきているんじゃないかという思いがあるんですが、そうなると、公費の支出が出てこないと、国民が保険制度の中でやり取りをしているだけでは払い切れないところに来ているんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  医療費の増加要因というのが、高齢化の伸び率だけじゃなくて、御質問いただいたとおり、その新薬の影響とか技術の発展というのが非常に影響が大きいと思います。  それは、医療というのは、情報の非対称性、患者と医者の情報の格差が大きいですから、患者は医者の勧める新薬あるいは治療法についてなかなか判断ができない。で、治りたいと思っていますから、医師の言っていることの指示に従うことになります。これはなかなか市場が効かないのが医療の難しさだと、マーケット原理が効かないのが医療の難しさだと思います。  御質問いただいたとおり、新薬の開発というのは当然影響が出てきて、ただ、薬価で、日本は薬価で全てコントロールしていますので、新薬がある程度高いのが入ってきても、保険給付、一時的にぼんと上がっても、最後最終的にコントロールできる仕組みがあるので、そんなに恐れる必要はないのかなとも思っているんですが、一方で、新薬は次々と出てきているのも事実ですので、この辺り、その保険財政の健全化と患者負担のところのトレードオフというのは非常に悩ましい問題だと私自身も思っているところです。なかなかクリティカルな解はないなという気はしています。

高木真理 立憲民主・無所属

○高木真理君 介護の方についても伺いたいんですけれども、先ほどお話をいただいた中でジャンプアップが必要だというお話がありました。  これは地域ごとに、地域の事情に応じてやっていくと、すごく複雑多岐になっていって責任が重くなるということだと思うんですけれども、そこの難しさという意味だったと思うんですが、もう少し詳しく伺ってもよろしいですか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  要は、中山間・人口減少区域では、訪問介護の例えば報酬を出来高、つまり、回数ベースではなくて、登録した利用者人数で月ごとに払うというようなことが厚生労働省が今検討しているところです。  それは、人口減少をすると当然回数が減っていきますので、出来高ではなくて包括で、登録した利用者ベースで払うということが大事なことだと思うんですけれども、やっぱり現場からすると、同じ事業者でも中山間・人口減少区域と一般地域では当然給付の管理のルールが違ってきます。同じように、市町村も財政のお金の出方が違ってきます。そこはもう少し厚生労働省が丁寧に説明していかないと、現場は悩むだろうなと、困るだろうなというのが私の認識であります。

高木真理 立憲民主・無所属

○高木真理君 終わります。ありがとうございました。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の牛田茉友と申します。  今朝は、お忙しい中、貴重なお時間を頂戴いたしまして、貴重なお話をありがとうございました。  お二方のお話、非常に興味深く拝聴させていただきましたが、今日は社会保障につきまして三原岳公述人に質問をさせていただきます。  今回の介護報酬改定、障害福祉サービス等報酬改定につきまして、改定率プラス二・〇三%、二〇二七年の改定を待たずに期中改定ということだったんですけれども、この引き上げられたこと自体は評価したいと考えますけれども、この診療報酬と比較しますと、その水準は相対的に低いものとなっております。  私事で大変恐縮なんですけれども、親族が今介護施設で介護を受けております。日々、ベッドからの移乗であったり食事の介助であったり、様々なことをサービス受けておりまして、非常に現場の皆様に敬意を抱いております。尊い仕事だからこそ、皆様が安心して働ける環境を整えていくことは非常に重要だと考えております。  その上でお伺いいたしますけれども、介護業界、他産業と比べて賃金水準が低く、人材確保の観点からも処遇改善が大きな課題となっておりまして、これまでも処遇改善加算などが講じられてきました。  こうした現状を踏まえまして、介護人材の確保やサービスの質の維持向上のためには、この報酬水準そのものの引上げも含めた対応が必要ではないかと考えますけれども、先ほど加算で縛るメリット、デメリットのお話もありましたけれども、三原先生、今回の改定は十分な水準であったと評価されるのか、また、今後の報酬改定の在り方についてはどのようにお考えなのか、教えてください。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  二四年度改定は、逆に介護より、医療が介護よりも少なかったと記憶しています。なので、常に医療が優遇されているわけではないと。今回、三・〇九と、介護と医療でいうと医療の方が高かったわけですけど、医療機関の止血を、止めるというところの目的が先行したんだろうなという気がしています。  十分か不十分かと言われたら、それは十分ではないと私も思います。賃上げに対応していかなきゃいけないのに、他産業に流出していく。これは医療よりも介護の方がやっぱり影響が大きいですので、十分か不十分かと言われたら十分ではないと思いますので、当然、二七年度改定も政府の方としてやるということですから、当然必要な手当ては必要、必要な手当てを講じないといけないと思っています。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 ありがとうございます。  先ほど三原先生、包括払い報酬のお話もありましたけれども、過疎地域における医療、介護の安定的な提供体制を確保する観点から、出来高払ではなくて、地域ごとの包括払い報酬の導入を検討すべきというふうにお話しされていらっしゃいますけれども、特に訪問系サービスにつきましては、回数単位での評価は移動時間の負担が大きく、サービスの維持が困難になるため、包括的な支払の仕組みが重要ではないかということなんですけれども。  先ほども若干お話ありましたけれども、包括払い報酬とはどのような考え方で仕組みなのか御説明いただいた上で、この包括払い、事務の簡素化や地域での安定供給のメリットがあるという一方で、サービス提供の量や質にかかわらず報酬が支払われることで質の低下につながる懸念も指摘されていますけれども、この点につきましてどのように制度設計をすれば安定供給とサービスの質の確保を両立できるというふうにお考えでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  私が包括払いを積極的に導入すべきと言っているわけじゃなくて、政府がこう言っていると。私もそこは合理的だと理解しているということです。  その上で、包括払いのメリットとしては、確実に収入が行き渡ることになりますから、事業所の経営が安定化する可能性があると。ただ一方で、包括払いというのは、今御質問いただいたとおり、やってもやらなくても収入が一緒になりますので、これ医療では過少診療といいますけれども、介護、福祉では過少ケアと、ちょっと仮にここでは申し上げますけど、過少ケアが起きるリスクがあります。あるいは、重度な人がサービスを使えないというデメリットもあります。  ここを一〇〇パー、何と申しましょうか、完璧な報酬制度はありませんので、包括と出来高を組み合わせるとか、あるいは包括払いのときに、入れるときに大体よく一つやるのが、経営の透明性を高めるとかケアの透明性を高めるとか、住民の参加をやることによって経営をガラス張りにしてガバナンスを強化して、いわゆる過少ケアが起きないようなことを、防いでいくと、こういう手当ても一方で必要なのかなと思っているところです。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 ありがとうございます。  今回こちらでは触れていなかったんですけれども、今回の介護保険制度見直しでは二割の負担の拡大、ケアマネジメントの有料化、要介護一、二の給付見直しといった主要論点がいずれも先送りされました。これらの論点、前回、二〇二四年の介護保険制度改革のときにも先送りされた論点と承知しておりますけれども、結局、二〇二七年度の制度改正に先送りとなりました。  繰り返し先送りとされている背景には、制度上どのような構造の問題があるとお考えでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  幾つか要因があると思うんですけれども、一つは、介護保険部会の議論が一向に収れんしないという審議会の政策形成過程が一つあるんだと思います。二つ目が、医療と比べると介護の方が、給付費を削った場合、医療は四十五兆、介護は十一兆ですから、給付費が、政府の、これ財務省的な見方になるのかもしれませんけど、給付費が稼げるのは医療です。なので、今回も高齢者医療費の患者負担の方を増やすことを先行した結果、二割負担の対象者拡大が先送りされたと、そういうふうに理解しています。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 今のように先送りされた場合、介護保険制度の持続可能性にどのような影響が生じると考えられますでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  実は、給付費を削っても、そんなに予算が出るわけではないと私は思っています。当然、その不断の見直しというのは必要だと思います。物価も上がってきていますから、社会経済情勢に応じて制度を変えていく必要はあると思うんですけど、介護保険の財政問題というのは私はもうもはや優先順位は低いと思っています。  なぜかというと、人材が確保できなければサービスが枯渇して、介護保険給付費はほっておいたって安定化します。ただ、それはその分だけ利用者が介護保険が受けられないということになりますので、そんな介護保険は私は要らないと思いますので、不要だと思いますので、当然その賃金を引き上げていく。  一方で、財政問題も少しずつ解決はしていく必要があると思いますけれども、優先順位はどちらかというと私は人材確保、サービス提供の維持だと理解しています。だから、もうこの堂々巡りの議論はもういいかげんちょっとどこかで終止符を打った方がいいと私自身は理解している、と思っているところであります。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 今その人材確保の方が大事であるということでしたけれども、どのようにしていけば人材確保が行われていくというふうに先生はお考えでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  人の話はなかなか、生身の人間の問題ですから、いわゆる財政と違って借金ができませんので、そこは非常に難しい問題だとは思うんですけれども、やっていくとしたら、賃上げをしていく、職場環境改善をしていく、協業化をしていく、場合によっては事業所同士の連携を強化していくとか大規模化していく、こういうことを幾つかパッケージとしてやっていく必要があるのかなと。なかなかクリティカルな解はないなといつも思っているところであります。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 このちょっと見直しの話、先送りの話をちょっとお尋ねしたいんですけれども、要介護一、二の給付見直しにつきましては、現時点での総合事業の浸透不足を理由に今回も先送りが、結論が先送りされました。既に総合事業に移管されましたこの要支援は、状態の軽減や悪化防止を目的とした支援をと位置付けられているのに対しまして、要介護は常時介護を要する状態とされておりまして、制度上その性質には一定の違いがあると私は認識しております。  こうした違いを踏まえますと、要介護一、二を総合事業に移すという考え方そのものに無理があるのではないかなというふうにも考えるんですが、現場の実態を踏まえたときに、この見直しは実行可能な政策なのか、制度設計自体に課題があるのか、三原先生の見解をお伺いいたしたいです。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  私は、理論的な話と、理屈的な話と、論理的な話と、実証面、現場で起きていること、二つ分けて整理しているつもりです。  今先生一つ御質問いただいた、市町村で浸透していないというのは現場の話ですよね。これは、市町村がきちんとやれば論理的に解決する話ですよね。一方で、今御質問いただいたとおり、要支援と要介護というのは基本的に考え方が違いますので、やはり要支援は身体改善を目的としたものですから総合事業に移管できたわけですけど、要介護一、二を総合事業に広げるというのは、要介護認定の見直しを抜本的にやらない限りは私は困難だろうという気がしています。  なので、実態面、市町村で浸透していないという問題と要介護認定の論理的な問題、この二つの問題をクリアしない限り総合事業の対象者拡大は私は困難と理解しています。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 先生のおっしゃいますその要介護認定の抜本的な見直しというのは、どういうことを指していらっしゃるんでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  これは、私がすべきではなくて、論理的にそうなるということなので、要介護認定というのは介護保険給付の大前提ですので、これで給付範囲を決めて保険料を決めていますから、これは大改革ってなかなかできないんですよね。だから、もうほとんど仕組みは変わっていません。なので、これをやるのであれば当然大きな見直しになるということがまず一つ論理的にあるのと、例えば要介護一、二の方にも認知症の方が軽度の方でいらっしゃいますよね、ここを見直さない限りは総合事業の対象者拡大は私は困難だろうというふうに思っています。

牛田茉友 国民民主党・新緑風会

○牛田茉友君 ありがとうございました。  最後、質問をもう一つしたいところですが、ちょっと時間がもうないようですのでまとめさせていただきます。ありがとうございました。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 公明党の佐々木雅文でございます。  本日は、お忙しい中、お二方の公述人の先生方から貴重なお話をしていただきまして、改めて感謝を申し上げます。  初めに、会田先生にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほど頂戴した資料の方でも拝見をしておりましたけれども、この三十年間の間で世界的にも潮流が変わってきているという中で、元々新自由主義の中で小さい政府をつくっていく、また緊縮財政という流れが、今は大きく官民を挙げての需要をつくっていくというふうな機軸に変わってきているという、経済政策が変わりつつあるというお話、資料の中でもございましたが、この潮流の変化の背景にある事情等を御教示いただければと思います。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  潮流の変化にあるのは、まずは中国経済が膨張したということです。先進国はこの二十年間、新自由主義的な政策で政府の関与を小さく、民間に任せようとしてきたわけです。しかし、民間は、どうしても視線が短期になりますから、中長期的な視野での投資が不足した、そして、短期的な収益にとっては賃金はマイナスになってしまうので、賃金も十分に拡大しなかった。投資や賃金が不足をすることによって政治も、よく言われるポピュリズム化したと言われています。  しかし、この二十年間、中国は、官民連携の成長投資をぐんとやってきて膨らんでしまい、そして先進国とのバランスが崩れてしまったわけです。そこで今、先進国は、一気にこの経済産業政策の新機軸に軸を移して、官民連携の成長投資の拡大、その大競争の時代に突入している、すなわちバランスを戻そうとしているわけです。  今、先進各国、米国もヨーロッパも、財政赤字が減らないと言われています。この解釈は、よく政治がポピュリズム化して国民にお金をばらまいているから赤字が減らないんだと言われています。これ、間違いです。政府が成長投資として支出をぐんと増やしているから赤字が減らないということです。  一方、二〇二六年度の日本の政府予算ではプライマリーバランスが黒字化してしまいました。これ、黒字化を喜んではいけないということです。日本は、政府、成長投資が足らないということの裏返しであるということです。しっかり官民連携の投資を拡大して、中国とのバランスをしっかり保っていくということが必要になってきていると考えます。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 ありがとうございます。  その今のお話を踏まえた上で、この三十年間やってきたこと、日本政府がやってきたことというのはある意味世界の潮流を踏まえた上でやってきたわけで、そういう意味では日本だけの失敗だったというわけではない側面もあるのかなというふうに思います。  その上で、今お話ありましたとおり、これから必要な部分に、成長分野にしっかりと投資をしていくということのお話があったかと思いますけれども、今様々な不確実性が増している中で、この官民挙げてというところでありますけど、この民間の投資マインドであったりとか、またひいては消費者の消費マインドを日本の中においてより高めていくという必要性をどのように財政政策で補っていくのか、どう寄与していけばいいのかというところの御見解も教えてください。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  当然、民間の企業には国内で支出を増やしてもらいたいわけです。とすると、国内で収益が上がらなければ企業は国内で投資をしません。国内の経済をしっかり成長させること、そして家計にしっかり所得を回して消費を拡大するということです。消費が拡大しますと、その消費されたところがこれが成長分野なわけです。その成長分野に投資が集まるという好循環をもたらすことができます。  さらに、今重要なのは経済安全保障の考え方で、ここの生産が日本でできなければ経済全体が止まってしまうというボトルネックを十分、この十年間、研究の結果分かってきたわけです。そして、私が参画している日本成長戦略会議でも十七の戦略分野というところをしっかりスポットしまして、ここにしっかり投資をしていこうとしています。だから、両建てです。国内でしっかり収益が上げられるような内需主導の投資、そしてもう一つが経済安全保障、日本のボトルネックを解消していくような投資、この両輪でしっかり投資を増やしていくということが重要だと考えます。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 ありがとうございます。  その中で、今、日本国内の投資を増やし、また消費を喚起していくというお話もありました。この投資を増やしていく中で、例えば長期金利も上がる可能性もある中で、円安基調になっていく可能性もあるかと思うんですけれども、そうした中でより物価高対策も必要になってくるかと思います。そうした部分での国民生活との、これからの成長戦略との関係性というところも教えてください。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  当然、投資を拡大することが日本の成長につながります。投資の拡大というのは、経済規模も拡大しますし、労働生産性も上げますから、実所得の拡大につながって家計に所得が回る力にもなります。  ただ、問題は、投資が生まれて家計に所得が回る果実が、景気回復の果実が回るまでには時間が掛かってしまうということです。この間は当然、物価高の苦しみが家計にはもたらされてしまうリスクがあるわけですから、ここはしっかり物価高対応で家計を支える必要があります。そして、ここで家計が困窮してしまうと内需が拡大しないわけですから、その後の投資の好循環につながらないわけです。ですから、投資の果実がしっかり回るまでの一定期間はしっかりとした物価高対応で家計を支え、内需を支える必要があると考えます。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 ありがとうございます。  続いて、三原先生にも社会保障の関係でお話を伺いたいと思います。  先ほども資料の中でも御教示をいただきましたが、社会保障関係のこの財源という部分では効率化、制度改革等も今議論がされているところでありますけれども、反面、国民的なニーズとしても、必要な医療や介護をきちんと適切なときに適切な医療を受けたいという、そういうニーズも強くあるかと思います。  そうした中で、この社会保障をどうあるべきかというところは、今、会田先生からもお話がありましたけど、経済成長をさせていく中で、この社会保障も維持していくことも両建てでできていくようになるのではないのかなと思う部分もありますけれども、その点の三原先生の御見解を御教示ください。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  経済は私の専門ではありませんけれども、医療、介護が今地域の雇用の受皿、あるいは所得の、収入の源泉になっている面があると思いますので、そういった医療、介護のポジティブなところというのも見ていく必要があるんだろうなといつも思っているところであります。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 ありがとうございます。  さらに加えて、先ほど地域の実情に応じたこれからの支援が必要だというお話もありました。その中で、今後の人材育成等もどのように地域の実情に沿った形で実現していくかというお話もありましたけれども、そうした人材育成、育てていくという部分での具体的な方途について、今先生の御見解がありましたら是非教えてください。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  地方分権が二十年、二十五年たって、私は自治体の政策形成能力というのは格段に高まったんだろうと。新型コロナウイルスの対応を見てみても、きちんと自治体はやってくださいましたよね。なので、私は自治体に力はあるんだと思います。  ただ、今までの給付の管理の考え方と違うのが少し難点かなという気がしています。具体的には、国が通知を定め、その通知に沿って政策をつくるのが、運用するのが自治体の仕事と思っている自治体職員が余りにも多い。これはもちろん大事なことです、正確な事務執行というのは。ただ、それだけでは地域の実情に応じた体制整備はできないので、国の制度から考えるのではなくて、やっぱり地域の実情にまず沿って、自分で仮説を立て、自分の言葉で政策を紡ぎ、自分の言葉で関係者と連携していく、そういう職員をつくっていく、自走的な職員をつくっていく、組織をつくっていくということが求められるのかなと思っています。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 ありがとうございます。  ちょっとまた再度会田先生にお話を伺いたいと思うんですけれども、今社会保障のことを少しお話をさせていただきましたけれども、ちょっと先ほどの質問と重複しますが、経済成長させていく上での社会保障の位置付けという部分についても御見解を教えてください。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  先ほど申したとおり、内需を拡大する必要があるわけです。内需を拡大するためには、家計に安心感、国民に安心感を与えなければいけない。すなわち、社会保障を充実させなければいけないということです。ただ、充実の背後に増税ですとか歳出削減があったら、国民に安心感を与えられないわけです。ということで、積極財政によって社会保障の考え方もしっかり変え、国民に安心感を与えるということが非常に重要だと考えます。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 これからまさに持続可能性というところにも関わってくるわけですけれども、この成長をさせていくことと、今、安心感を国民の皆さんに持っていただくというところが両立しっかりできていくようになっていく必要があると思います。  明示的にはちょっとなかなか難しい部分があるかと思いますけれども、どれぐらいの見通しを持っていけばそういうふうな展開になっていくというふうに先生は想定されていらっしゃるでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  当然、日本は三十年停滞していたわけです。この三十年の停滞を一年で回復させるのは非常に難しい。しかも、投資が実際に実現をして家計の所得につながるまでには三年、四年、時間が掛かってしまうわけです。  だからこそ、政府の投資支出は多年度で別枠で管理をする。総理の所信表明演説にあるとおり、多年度、複数年度でやって別枠で管理する。それぐらいの長い期間のコミットメントが必要、そしてその間は家計を物価高対応でしっかり支えることが重要だと思います。

佐々木雅文 公明党

○佐々木雅文君 以上で終わります。ありがとうございました。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 本日は、貴重なお話ありがとうございました。  日本維新の会の新実彰平と申します。  まずは、会田先生に伺わせていただきます。  今日伺ったお話は、まさに責任ある積極財政が目指すべきもの、これを改めて示唆いただいたんだというふうに思っております。積極的な財政政策で国内資金需要を喚起することの必要性というのは大変よく理解を改めていたしました。  これをいかに国民の暮らしの向上につなげるのかという観点では、先ほど佐々木委員からも御質問ありましたけれども、当然先生も一定のインフレ圧力をもたらすことは織り込んだ上で、それを上回る供給力にいかにつなげるのかという点で論じていただいていると思うんですが、そこにタイムラグが一定あるというお話もありましたけれども、いかにその供給力につながる産業を目利きをし、また実効的な投資を行うのかというところは非常に重要になると思うんですが、ここでちょっと先生のお知恵がもしあれば伺えないでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  そこは日本成長戦略会議で十七戦略分野、そしてそこに六十強の特定物資、サービス、こういうところを中心に官民連携で投資を拡大していこうという方針でありますので、六月の骨太の方針までに日本成長戦略会議もしっかりこの戦略を、成長戦略をまとめていきたいと考えています。  では、十一ページ目の左を御覧いただきたいんですが、これがこれまでの緊縮志向の呪縛という考え方です。  十一ページ目の左側、青い線が企業の貯蓄率で、上がマイナス、マイナスでいるのが成長です。日本の場合、下、プラスになってしまって、企業の国内支出の不足によって日本経済が停滞したということです。そして、黒い線が需給ギャップ、GDPギャップと言われるもので、景気の良しあしを示すもので、右軸です。  これまでの考え方というのは、需給ギャップゼロがちょうどよいという考え方であったということです。需給ギャップゼロで需要と供給がうまく釣り合っているような錯覚に陥り、景気回復は十分だと言って引締め政策、今度は財政健全化と言ってしまったわけです。  しかし、需給ギャップゼロというのは、経済がようやくトレンドに追い付きましたというのがゼロです。そのトレンド自体が三十年弱いわけです。需給ギャップゼロでは足らないということです。そこで、官民連携の成長投資をぐんと掛けることによって、投資需要によって需給ギャップを二を超えるぐらいまで押し上げていくと、国内の景気が十分良くなりますから、企業は国内支出を増やして、この青の企業貯蓄率は元のマイナスに戻って、日本は停滞を脱することができる。  ただ、問題は、需給ギャップを二に持ち上げれば、先生のおっしゃるとおり、物価が少々高止まってしまって家計に負担を掛けるわけですから、その間はしっかり物価高対応で支える必要があると考えています。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 ありがとうございます。  まさに、財政政策によって国内の資金需要を高めていくと。これが企業の研究開発とかあるいは設備投資につながるだろう可能性というのは私どもすごく想像が及ぶところなんですけれども、いかに人的資本、特に賃金に回していっていただくのかというのがこれ非常に重要で、もうまさに与野党を超えた課題感を共有しているところかと思います。  何か政策的誘導を図れるような方途が、先生お知恵ありましたらお貸しをいただけませんでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  経済理論的に、実質賃金がしっかり上がるためには労働生産性が上がらなきゃいけない。労働生産性が上がるためには、投資を増やさなければいけないということになります。ということは、投資をしっかり増やすということが賃金上昇の必要条件だということです。  五ページ目の右側を御覧いただきますと、五ページ目の右側に国内の設備投資サイクルというのがあります。青い線が先ほどから御覧いただいている企業貯蓄率で、これと非常に似通った線として国内の設備投資サイクル、これGDPに占める設備投資の割合がこの五ページ目の右側です。  御覧いただくと、ずっと一七%台ではね返されている。投資サイクルがずっと低迷しているということです。これは、企業の将来に向かった成長期待、収益期待がずっと弱い、そして投資が弱い、結果として賃金も伸びないわけです。  ということは、今後やるべきことは、官民連携の成長投資でこの設備投資サイクルをぐんと押し上げて、今回こそは一八%の天井を抜ける。そうすると、これ三十年、四十年の転換点が生まれます。設備投資サイクルのレンジが上がったということは、企業の将来に対する成長期待や収益期待が上がったということと同義、同じ意味ですから、こういう動きが持続的な賃金上昇につながっていく。そのために、官民連携でしっかりこの投資サイクルを押し上げていく。そして、企業の貯蓄率を貯蓄超過から投資超過に戻す。すなわち、国内の支出を投資、賃金で増やしていくという戦略が非常に重要だと考えています。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 ありがとうございます。  やはり賃金を考えても投資なんだということ、大変よく理解できました。  続いて、会田先生と三原先生、双方にお伺いをさせていただきます。  先ほど会田先生から、社会保障の持続可能性の点で、特に年金財政については経済成長に応じて充実をするという示唆をいただきました。ベースにマクロ経済スライドがあって、物価、賃金とその保険料あるいは給付も連動させているという中にあって、積立金の運用の余地があるわけですから、おっしゃるとおりかというふうに思います。  では、医療保険制度と経済成長の関連性というのをどう考えるかというのを伺いたいんですけれども、当然、GDPが拡大して、そこに物価高や賃金上昇が伴えば医療需要も高まるといいますか、診療報酬を上げるインセンティブも高まると。一方で、その原資である保険料収入も増えるインセンティブが高まるという状況が前提としてあろうかと思うんですけど、医療保険制度と経済成長の関連性、まず会田先生から伺えますでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 資料の二十二ページ目、御覧いただきますと、先ほど社会保障関係費の推計を見ましたが、医療給付費の推計、GDP比の推計が右側にあります。  これまで、後期高齢者が増加をする、そうすると医療費は等比級数的に増加してしまう、だからこそ医療費を抑制していかなければいけないんだという考えでやってきたわけです。しかし、この推計を見ますと、六十五から七十五歳の比率と七十五歳以上の比率、後期高齢者の比率に関わる係数が〇・一五と〇・一六ですから、実は余り変わらないということです。高齢化に比例する形で医療費が伸びただけで、後期高齢者が増えたからといって加速度的に医療費が増えているという事実はないわけです。  ですから、そこはしっかりこういう現実を直視をして、医療費をしっかり払える、そしてある意味で医療の体制をしっかり、経済安全保障という意味合いもあるわけですから、しっかり確立することによって国民に安心感を与えるということが非常に重要だと思っております。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 ありがとうございます。  まさにその中にあって、特にGDPと関連せずに伸びていってしまうのが医療の高度化の部分かなというふうに思うんですが、その辺りも含めて三原先生に、経済成長はする、これは医療需要が高まることにも保険財政が潤うことにもつながる反面、こことは別のファクターとして、医療の高度化もどんどんと進んでいるという中にあって医療財政をどう考えるのか、ちょっと伺えますでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  医療の高度化というのは、専ら新薬、技術の発展なわけですけど、これがいわゆる今、会田公述人がおっしゃっている内需の医療機器の産業とか製薬業界の収益になっている面もあるわけですから、ここのそのバランスを取るというのは非常にいつも難しいなと思っているところです。もう少しイノベーションを製薬会社の方が促していくということも当然必要なんですけど、やっぱり一方で医療保険の全体の調整も必要ですから、ここのバランスをどう取るのか、非常に難しい点だといつも思っています。  その辺りは少し、今までと違って、薬価を抑え続けてきたところがなきにしもあらずなので、この辺りもう少し、製薬業界のイノベーションをどう確保していくのかということも一方で必要なのかなといつも思っているところであります。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 ありがとうございます。  仮に、その医療にマクロ経済スライドのような考え方を導入して一定のシーリングを掛けるとしても、医療の高度化の部分についてはこの議論には少なくともそぐわないということでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  この話は二〇〇五年の小泉政権のときからずっと議論されている話で、今の結局、医療費適正化計画というのはその辺りから始まっているわけですけれども、やはりその現物給付の医療に対して現金給付と同じような年金のマクロ経済スライドを入れることの整合性というのは一回どこかで整理しておいた方がいいのかなといつも思っているところであります。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 ありがとうございます。  三原先生に最後に伺います。  先ほど、選定療養的なものがびほう的に拡大していることへの問題意識を提起をいただきました。おっしゃるとおりかと思います。  ただ、政治的には何とか、アリの一穴といいますか、これからの議論の先鞭を着けたという側面もあるのかなとは思うんですが、やはり根本的には、今後、特に高齢者の方の窓口負担割合の引上げ議論等から逃げてはならないんだろうなというふうには思っているんですけれども。  過去の累次の引上げにおいては、家計をしっかりと精査をして、家計に過大な影響を与えないようにという点で相当な議論が行われたと認識をしているんですが、一定のただ長瀬効果も見込んでいて、実際に三%ほどの受診抑制も掛かったと。これがその重大な健康影響を及ぼさないんだということもやはり引上げ議論においては従前からしっかりと見極めるべきだと思うんですが、現状、ここにまだ政府としては向き合い切れていないところがありまして、この点どうお考えになりますでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  それはおっしゃるとおりで、健康被害がどこまで出ているのかというのは余りエビデンスがそんなになくて、一部の経済学者とかが研究されてはいるんですけれども、その辺りの基礎研究をもう少し深めていく必要があるだろうと思っています。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 それは政府レベルでもやはり必要だというお考えですか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 当然それは必要だと思います。  あと、私は、高齢者の患者負担は三割負担に、高齢者も含めて三割負担に統一すべきだと思っていますので、でもその辺は、影響のところは見極めていく必要があるだろうと思います。

新実彰平 日本維新の会

○新実彰平君 質問を終わります。ありがとうございました。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 この度は、貴重なお話を会田先生、三原先生に伺わさせていただきまして、ありがとうございます。  参政党の塩入清香と申します。よろしくお願いいたします。  質問をさせていただきます。  まず、会田先生の方から伺わさせていただきます。  会田先生の提唱されているネットの資金需要マイナス五%は、日頃より日本経済にとって大変有益な指標だと認識しておりまして、昨日の本会議での質問でも片山大臣にプライマリーバランスの黒字化に代わる新たな政策指標としての導入を御提案させていただいたところでございます。  会田先生は、企業の貯蓄率を本来あるべきマイナスにするためには、企業貯蓄率と財政収支の合計であるネットの資金需要に注目し、企業の貯蓄超過が続く際は政府の財政拡大で総需要を回復させるということを提唱されております。大変画期的ですばらしいと思うのですが、まず、安定的に名目成長率GDP三%を目指して、ネットの資金需要を対GDP比マイナス五%に誘導すると、そういう財政運営が望ましいとされています。ネットの資金需要ではマイナス五%、年間三十兆円程度の官民の投資拡大が必要とのことですけれども、高市内閣では、公債金、二年連続で三十兆円を下回り、一般会計のプライマリーバランスは当初予算としては二十八年ぶりに黒字化しているという状態です。片山大臣の所信表明がございました。  会田公述人の目から見て、十分な支出を今の政府が行っているとお考えでしょうか、お聞かせください。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ネットの資金需要、五ページ目左側、御覧いただきますと、この灰色が企業の貯蓄率と黒の財政収支を足したネットの資金需要ということになります。ネットの資金需要というのは、企業と政府合わせたお金を使う力ということになります。このお金を使う力が消滅していると、当然、名目GDP、経済のパイは膨らみません。そして、誰かの支出が誰かの所得になります。支出の裏付けのない所得はありませんから、企業と政府の支出する力が消滅していると家計にしっかり所得が回らないわけです。そして、過去の名目GDPとの関係を精査しますと、ネットの資金需要ゼロですと名目GDP成長率はゼロ、ネットの資金需要がマイナス五%程度になりますと名目成長率は三%になるという計算になります。  ただ、今御覧いただくと、ネットの資金需要、また消滅をしている。ただし、日本の財政構造というのは何もしないと税収を取り過ぎる嫌いがあって、そして今、この黒い財政収支を御覧いただくと、ほぼゼロのところに来ているということです。国民がこれだけ困窮しているのに財政収支がゼロをうかがうというのは、やはりこれはあってはならないことで、ネットの資金需要がまた消滅しているということです。  ということは、何もしないとネットの資金需要がゼロになっちゃうわけですから、財政構造としてゼロに戻る力が働くのであれば、マイナス五に誘導していくような力が、新たな力が必要だということになります。水平にGDP比五%下げるわけですから、大体三十兆円程度のマクロの財源があるということになります。  では、この三十兆円のマクロの財源をどう使うのかというのは、これ国会の先生方の議論で、減税に使うのか、投資に使うのか、又は官民連携で民と総合して使うのか、ここはしっかり議論をする余地があるんだと思います。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 御解説ありがとうございました。  私は、昨日の質疑では、その三十兆円を是非消費税の廃止に使っていただきたいということを主張させていただいたんですけれども、やはりそれには応えられないという高市総理大臣のお答えがございました。  昨日の本会議でネットの資金需要マイナス五%を提唱したときに片山大臣から、ネットの資金需要では、企業の投資は各企業の判断に任せている、裁量に任されているため、事後的にしか政府のその財政出動の必要量が分からないという御答弁をいただいたんですけれども、これは本当でしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 事後的にネットの資金需要がゼロ%に戻るということは分かっているわけです。ということは、事後的にGDP比五%の支出が足らないということは分かっているということです。これはもう三十年間ずっとゼロで、ぴったりゼロだったわけですから、日本の財政構造がゼロに誘導されてしまうということは事後的に分かっているわけです。ですから、五%の財政支出が足らないという計算になります。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 疑問が解けて本当によかったです。ありがとうございます。  高市内閣では、企業の投資の予見性を高めるということで複数年度の公債金の発行など提唱されているので、方向性としては間違っていないとは思うんですけれども、一方でもう一つ疑問がございまして、このネットのGDPの、ネットの資金需要に使われているその名目GDPなんですけれども、これはインフレの局面では、例えばそれがコストプッシュ型のインフレであっても、三%程度だと自然に回復しちゃうかなという嫌いがあると思うんです。  そういう意味で、政府が財政出動の努力をしなくても自然に名目GDPが達成されてしまうような局面があると思うんですが、会田先生、いかがお考えでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 名目GDP三%を分解しますと、政府、日銀の物価安定目標が二%です。実質成長率が一%台ですと三%台の名目成長率になるということで、これが適度であるという判断です。  では、今、実質成長率のトレンドがどのぐらいかといいますと、内閣府の潜在成長率の推計は〇・五%程度だと考えられます。ですから、足らないわけです。投資の拡大によって資本蓄積を増やして、この潜在成長率のスピードを〇・五から一%台に押し上げる、そして政府、日銀の二%の物価安定目標がしっかり持続されれば三%台になるという計算です。  ただ、当然日銀にも協力してもらわなきゃいけないわけですね。日銀についての考え方もこれ変わってきます。  十ページ目、御覧いただきますと、これまで日銀というのは、物価安定という一つのマンデート、責務ですね、一つの責務を持っている中央銀行と言われてきました。結果として、需給ギャップがゼロになると、もう次は物価の安定を図らなきゃいけないということで、過度に引締めをする嫌いがあったということです。しかし、それでは問題があるので、政府は日銀に対してこういう表現を使い始めています。強い経済成長と安定的な物価上昇の両立の実現に向けて適切な金融政策運営が行われることは非常に重要である。すなわち、強い経済成長と物価安定の両立というデュアルマンデート、二つの責務を与えたということになります。  ということは、政府と日銀が連携することによって物価は二%で安定されるとともに、強い経済成長として潜在成長率を〇・五から一%台に上げることによって三%の名目成長を持続的にする。これは政府と日銀がしっかり連携をしなければできないことであると考えています。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。大変よく分かりました。  その上で、参政党では、名目GDP三%、これは目標値としては低いんじゃないかという声も党内で上がっておりまして、というのは、池田勇人内閣のときには、年率換算一〇%、名目GDPは拡大していったという経緯がございます。  会田先生の目から見て、もうちょっと高めの設定で、さらに、企業と政府の財政支出の量を増やしていくという方向性についてはいかがお考えでしょうか。また、一〇%に目標を設定した場合にどういった懸念があるのかという部分についても教えていただければと思います。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  ネットの資金需要をマイナス五%にどれぐらいのスピードで持っていくのかによって、短期的な名目成長率が当然三パーを超えるということもあり得ますし、又は、需給ギャップを二まで持ち上げるということで、今、ゼロから二ですから、一気に二まで持ち上げてしまえば当然名目成長率は三を超えるということになるので、どのぐらいのスピードで持っていくのかというところはこれは検討の余地があると思います。  ネットの資金需要マイナス五がちょうどいいと申しましたが、ただ、ネットの資金需要を拡大する財政拡大を行うと、金利が急騰してトラス・ショックのようなことが起こるという考え方もあるわけですね。  では、トラス・ショックが起こったイギリスを見ますと、十九ページ目、御覧いただきたいと思います、十九ページ目に、インフレが高騰した米国、トラス・ショックが起こった英国のネットの資金需要があります。もう一目瞭然ですね。マイナス一五までやった。これはやり過ぎだということです。  日本はネットの資金需要ないわけですから、トラス・ショックのようなことが起こることは考えにくいわけです。ですから、ネットの資金需要をマイナス五ぐらいまでにしておきましょうというのがある意味で財政規律でもあるわけですね、これが責任ある積極財政の考え方。どこまでそれを早く持っていくかというところは検討の余地があるんだと思います。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。大変よく分かりました。  三原先生にも、消費税が実際には医療費を、社会保険料の増加を、増やす原因になっているのではないかというふうに考えておりまして、そのことについて伺いたかったんですね。消費税が非課税になっている、その医療の様々な部材を買っていることによって病院経営とかが悪化して、その結果、最終的には社会保障費に返ってきてしまっているのではないかという部分も伺いたかったんですけれども、時間がなくなってしまいましたので、これで質問をまとめさせていただきたいと思います。  今日はありがとうございました。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 お忙しい中、ありがとうございます。  まず、会田公述人にお聞きいたします。  ネットの資金需要という考え方でいろいろ分析するというのは大変新鮮に受け止めさせていただいて、大変興味深いところでございました。企業の過剰貯蓄と緊縮財政がネットでの資金需要を縮小させ消滅させてデフレの原因になっているということは、本当にそのとおりだというふうに思うところでございました。  済みません、ちょっとお聞きしたいのは、会田公述人が二〇一九年七月にゆうちょ資産研レポートで、主流派とMMTの議論を包含できるのがこのネットの国内資金需要の分析フレームだということをおっしゃっておりまして、これ私、大変興味を持ったんですけれども。  国会で最初にMMTが議論されたのは今から七年ぐらい前だと思うんですけど、財政金融委員会、参議院ですね。西田昌司さんが急にぶち上げて、私もそれに参加させてもらって大変議論をさせてもらったんですね。要するに、財務省が、金がない金がないと、借金大変だと、我慢しろと、増税しろということは違うんじゃないかということのちょっとパラダイム転換的なのがありまして、私も大変共感したんです、中身には、御主張にはですね。  ただ、私もMMTの関係の学者の方々と議論していて、ここだけはどうしてもちょっと疑問なところがございまして、それは学者の方々も、MMTをやっていくとどこかでインフレが起こる可能性がある、ただ、それは抑えられるんだと。どうやって抑えるんですかと聞いたら、増税をしたりあるいは金利を上げたりですね。  しかし、よく考えてみますと、インフレでみんなが大変なときに増税なんてできるんだろうかとか、金利上げたりできるんだろうかと、現実的にですね。ちょっと、学者の方がおっしゃるのはいいんだけど、難しいんじゃないかというところが私のずっと残っている疑問なんですけど。  会田公述人のそのゆうちょ資産研レポートでは、そのネットの資金需要の水準によって財政政策と金融政策の間で物価上昇をコントロールできる力が変わってくると考えるのが現実的だろうということでおっしゃっておりまして、つまり、そういうことでいくと、主流派の経済学とMMTの議論を包含できるのが会田公述人のおっしゃっているネットの資金需要ということかと思うんですが、この辺ちょっと具体的に分かりやすく御説明いただければと思います。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ネットの資金需要というのは、企業と政府のお金を使う力、支出する力です。マイナスが大きくなると企業と政府の支出する力が大きくなるわけですから、当然経済に膨らむ力が掛かり、当然これが物価上昇圧力になってきます。  分析をしますと、ネットの資金需要がマイナス五ぐらいですと名目GDPが三%、そして物価はおおよそ二%台で上昇するということになりますから、財政規律としてはネットの資金需要をマイナス五までの財政拡大にしておくということが非常に重要です。これをアメリカ、イギリスのようにマイナス一五までやってしまいますと、物価上昇圧力が例えば五%とか非常に高くなるので大きな問題になります。  では、財政が大変だ、健全化が大事だといってネットの資金需要をゼロ、消滅させてしまうと、経済の規模が膨らまなくなり、物価はゼロ%又はマイナスになってしまう。当然、賃金上昇率もマイナスになってしまうということになります。  ということは、財政はネットの資金需要マイナス五までぐらいの膨らみがちょうどよくて、過大であっても無責任ですし、財政支出が過小でネットの資金需要を消滅させてしまっても、これ国民に負担を掛けますから、無責任だ。これ、ネットの資金需要をしっかり見ながらやっていくということが非常に重要だと考えています。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 つまり、そのネットの資金需要、土台ですよね、それをしっかりしておけば、まず物価上昇、ハイパーインフレとか高インフレは起きにくいということかなと思いますけれども、ただ、そのネットの資金需要をマイナスに持っていくためには、政府もそうですけど、企業そのものが、過剰貯蓄じゃなくて、投資とか回してもらわなきゃいけなくなるわけですね。その点で、今コーポレートガバナンス・コードの改訂ということを言われていて、要するに、今まで株主偏重で株主の利益にちょっと重きを置き過ぎたので資金が世の中に回っていないと。今度は、投資とか人的資本に回してほしいということのコードの改訂だと思うんですけれど。  実は、これそのものを、それだけで本当にそうなるんだろうかということがちょっとあるんですね。金融庁のそのコード変えて、有価証券報告書に書いてみんながチェックすると。ところが、これ、かなり貪欲な、資本主義の最たるもので、経営者そのものが持ち株で株持っていますから、自社株買いやって株を上げると自分がもうかるわけですね、資産が増えるわけですね。そういう構造になっていますので、このコーポレートガバナンス・コードを改訂したぐらいでそう簡単に、過剰貯蓄といいますか、是正されるんだろうかと。  その点で、アメリカででは、もう具体的に自社株買いへの課税とか、更に具体的に踏み込んだところまで始めているんですけど、あれは何か税を取ろうというよりも、そういう効果ですよね、こういうことをやっちゃいけないんだという、そういう点のもう一つ何か必要かと思うんですが、その点いかがでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。  政策、経済政策を新自由主義から経済産業政策の新機軸にしっかり転換をすることが重要です。  十五ページ目にこの二つの政策を具体的にまとめています。新自由主義という考え方では、民間に任せられます。とすると、どうしても民間というのは短期的な収益の拡大に目線が行ってしまうので、投資、賃金が不足する。そして、政府の関与を小さくするということは国境をなくせということと同じような意味合いがあるので、グローバリゼーションということで、当然ながら安いところで物を作ろうといって国内から海外に生産拠点が移動した、結果として投資と賃金が不足をするという事態に陥ったということです。ですから、こういう政策の方向性を持っていれば当然企業はなかなか投資を拡大してくれないということです。  そこで、産業政策の新機軸に移行して、やはり中長期的な社会経済の課題はたくさんあるわけです。経済安全保障であったり、人への投資であったり、防災であったり、少子高齢化対策であったり、こういう中長期的な目線で社会経済課題を解決する投資を官民連携でやっていきましょう。ということは、政府は企業の目線を短期から中長期に変えてあげるということで投資を増やしていくという、こういう産業政策の大転換が現状は必要なんだと思います。  そのために必要なのは、やはり財政政策が緊縮志向、プライマリーバランス黒字化であれば、当然、今年は政府は投資をしてくれるけれども、来年黒字を目指して投資をしなくなってしまうという不安があるわけですから、投資的支出に関しては多年度、そして別枠管理をしてやっていくという新たな仕組みが必要だと考えています。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございました。  三原公述人、一問だけお聞きいたします。  金融財政ビジネスに、去年の初め頃ですかね、書かれた国民負担率についての分析、大変面白い、非常に政治的に恣意的に使われてきたという点を含めて勉強になったわけですけれども。  私がスウェーデンに行ったときに、スウェーデンの厚生労働省だから保健社会省ですかね、の役人の方とお話ししたときに、スウェーデンは高負担高福祉ですかと聞いたら、そういう感覚ではないとおっしゃったんですね。負担じゃなくて将来の貯蓄という、自分に戻ってくると、負担させられているんじゃなくて。したがって、高福祉で戻ってくるので、負担というよりも自分、貯蓄だというような感じなんですとおっしゃったんですね。  日本は何でそうなっていないんでしょうか。そういう感覚として負担と福祉の問題を受け止められないのか、その辺いかがお考えでしょうか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  私は北欧に行ったことがないので、ただ、北欧の行った方々とか北欧から来た方々と話をしていると、やはり北欧というのは非常に地方分権が発達していて住民参加が非常に盛んです。なので、もし政府が、自分の納めた税金あるいは保険料が変なところに使われていたら、自分が自ら住民参加して正すことができるという安心感があるんだということは思いました。  ただ、日本の場合はそういうシステムでありませんので、そこの点というのは余り論者、福祉国家の研究者は余り論じていないんですけれども、私はそこの違いというのは非常にクリティカルかなと実は思っているところであります。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。  お二人の公述人、今日はありがとうございます。  まず最初に、三原公述人にお伺いをしますが、私どもは消費税は仕組みが悪いから廃止した方がいいんだということを常に言っているんですけれども、消費税が病院経営を圧迫する、それを補うために社会保険料の引上げの原因になっているんじゃないかと先ほど御質問ありました。是非そこをお答えいただきたいと思います。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  おっしゃるとおり、その損税というのは非常に医療機関にとって負担になっていますので、もうこれは非課税ではなくて、例えばその課税を、取っていくとかやっていかないと、なかなか医療機関が経営が厳しいなというのはそれが一つの原因になっていると思います。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございます。  では、会田公述人にお伺いしますが、私はよくサラリーマンの家庭と起業家の家庭を例に挙げるんですが、給料の中でやっていかなきゃいけない家計と、事業をやって、要は借金をして投資をして、そしてそれで稼いでいくという家の家計は根本的に考え方が違っていて、どうしても入ってくるお金の中でやろうとすると、出すお金を削って貯金をしていこう、将来に持っていこうというような、行政って大体こんなタイプなのかなと。でも、積極的にやる財政というのは、起業家会計の頭の脳で動いているというふうに思うんですけれども、そういう考え方は間違いじゃないでしょうか。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 先ほどの五ページ目の左側のネットの資金需要のグラフを御覧いただくと、これよく分かるのは、企業貯蓄率が上に上がるということは企業が支出を減らしているわけですね。景気悪くなります。税収が落ちて財政赤字が増えます。企業貯蓄率が下がっていくと景気は良くなっていくので、税収が上がることによってこの財政収支は赤字が減っていく。すなわち、逆相関、カウンターシクリカルの動きをしているということです。となりますと、税制にとって非常に重要なのはこのカウンターシクリカルの動きをしっかり織り込むということです。  では、消費税、どういう状況かといいますと、消費税は安定財源と言われます。安定財源ということは、景気が良くても悪くてもほとんど同じ税収が上がってくる。すなわち、こういうカウンターシクリカル、逆相関のメカニズムとは全く相入れないものなので、景気が悪くなるとやはり家計には大きな負担になってしまう税制だということになります。  ということで、しっかり、財政の役割としては、こういうカウンターシクリカルですね、逆相関の形をしっかりつくるような税制に改革をしていくということは非常に重要だと思っています。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 今公述人おっしゃるように、安定したと。財務省としては、景気が良かろうが悪かろうがもうこれで安定した、私のいう打ち出の小づちじゃねえかと。闘わない税金とも言われている。それは何かというと、新たにいろんな企業が関係するような例えば環境税とか二酸化炭素税とか入れようとすると、いろんな業界と闘わなければならないけれども、国会でパーセントを決めれば消費税はそのまま上がっていくというような、こう言うとあれですけど、余り考えなくてもいいようなという、こういうのはやっぱり良くないし、いろんな弊害があると。  基本的に積極財政と今政府が言っていますけれども、ここに投資をすることによって、税金を投入することによって税収が上がっていくんだと。私が常に言うのは、経営が安定しているときには健全なる赤字事業に投資をして、どうしてもサイクルがこうなりますからね、それで安定を図っていくという、そういう発想が私は必要だと思うんですよね。  そういう意味において、政府がどういうところにその投資をしていくというか、お金を出していけばそういうような安定した経営が成り立つというように、お考えがあれば教えてください。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) まず最初に付け加えますと、消費税が安定財源だと申しましたが、安定財源というのは景気の不安定財源だと。景気の安定と安定財源というのはこれ両立しない概念だということをしっかり考える必要があるというのは付け加えておきます。  もう一つは、当然ながら、企業貯蓄率を下げるような投資を政府がやっていく。これは効率がいいわけです。企業貯蓄率をマイナス五に持っていくにしても、政府の赤字だけで持っていくというのは負担が大きいわけです。やはり企業に投資をしてもらって、企業の貯蓄率の低下と財政収支の赤字の拡大、両方使ってマイナス五に持っていくというのが良いわけです。  そこで、今回、産業政策はやはり大きく転換していると思います。今までの産業政策というと、政府が出ていかないと立ち行かないところに政府は出ていきます。いわゆる弱い産業を強くしようという考え方だったわけです。しかし、弱い産業を強くするということは非常に難しいわけです。ただ、当然ながら、経済安全保障で重要な産業を弱くても強くしなきゃいけないという考え方はあります。  しかし、今、産業政策、日本成長戦略会議で議論していることは、勝ち筋という言葉が入っているわけです。すなわち、強い産業をもっと強くすることによって成長速度を上げていこう、強い産業をもっと強くするわけですから、これ投資の命中精度はより上がっていくわけです。それと経済安保を両立させていこうというのが新しい産業政策で、勝ち筋という言葉の中には強い産業をもっと強くしていこうという言葉が入っているということだと思います。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 政府がいろいろ手法をやるとしたら、制度でお金を流させようと。仕組みをつくると、それでそう流れていく。例えば簡単な例を言うと、企業の貯蓄に高い税金を掛けると言えば貯蓄を減らしていきますよね。こういうような手法というのは有効ですかね。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 私は有効ではないと考えています。  やはりしっかり経済が成長して、成長する中で企業の競争をリストラから投資に変えるということが重要で、ただ単純に内部留保に課税しただけであればもしかしたら賃金減ってしまうかもしれない。そういう北風政策ではなくて、経済規模をしっかり拡大するということで企業の競争を変えていく。すなわち、コスト削減に敗れた企業が倒産をするんではなくて、投資に敗れた企業が倒産するような環境、これは決して企業にとっては優しいものではないですが、そういう環境をつくっていくことが一つ重要であると。  もう一つは、当然、官民連携の成長投資の大競争の時代に突入しているわけです。日本も官民連携でやっていかなければいけないということで、官民連携でやる形の財政政策の新しいやり方をしっかり考える。この両輪で企業にしっかり投資をしてもらうようにする必要があると考えています。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 今、企業経営者というのは、こう言うと失礼ですが、サラリーマン経営者で、昔の創業者というのは、しっかり稼いで、そして従業員の生活を豊かにし、国に税金を納めて国を富ませていくというような感じだったけれども、今は株主に配当をどれだけできるかによって経営者が自分の安定を図っているという、そういう認識なんですよ、私はね。  だから、そういう意味においては、リストラとかそういう安易な姿勢で利益を確保しようとする、だからそういう意味での経営者の資質というのは大きく変わっているというふうに私は思うんですが、そこら辺どうでしょう。

会田卓司 クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミスト

○公述人(会田卓司君) 五ページ目の右側で、設備投資のサイクルが初めて一八%を抜けるところまで来たということです。  投資というのは将来の成長期待や収益期待が上がるからこそするものなので、この投資の拡大と株価の上昇というのは非常に親和性があるということです。ということは、今の株式市場というのはしっかり投資ができる企業を見極める段階に来ているということです。ただ単純にリストラだけで短期的な収益が拡大するような企業の株価はだんだん上がらなくなってくるので、今度は投資をしっかりうまくできる企業の株価が上がるというところに行くと、いわゆるコスト削減とか、短期的な株価の、株主への利益還元だけで株価が上がるという局面を脱する、そこまでしっかり持っていく必要があるんだろうと考えています。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございます。  じゃ、最後に三原公述人に。  地域によって介護のスタンスも大きく違うと思うんですね。私は昔から思っているんですけど、家族が介護する部分に対しても介護手当を出していくという、こういう仕組みは田舎に絶対必要じゃないかというふうに思うんです。そこら辺はどういうお考えがありますか。

三原岳 株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。  家族の手当に関しては介護保険つくるときに非常に論争になって、結果的に介護保険サービスの普及を妨げるのであるというリスクが出るということで、家族介護への手当というのは見送られたと理解しています。  そこら辺の経緯というのは、家族と社会サービスというのはアンビバレントな関係ですので、家族の介護、負担を増やすということは介護サービスがシュリンクしていく可能性もありますから、その辺のトレードオフというのは一回整理した方がいいんだろうという気がしています。  ただ、もう少し家族介護の支援をしていかなきゃいけない。それは、現金給付とは別の形でやっていくということは私はもっともっと強化していく必要があるだろうと思います。現金給付に関してはちょっと論争的かなと思います。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 結局、施設介護にどんどんどんどんお金が行って、こういう状況になっているんだと。だから、人なんですよ。だから、そういう意味では人に投資をするということで、特に、都会は人がいるかもしれないけど、田舎というのは人がいないんだから、そういう意味においては家族にそういう介護手当を出していく、何かの仕組みをきっちりつくる。それで、地域の公民館単位でもいいから、そういう顔を知った人が介護してもらうことに対して投資をするというような、こういう施策は絶対必要だということを申し述べて、また今後とも御指導をよろしくどうぞ。  終わります。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、有益な御意見をたくさんいただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして心からのお礼とさせていただきます。  これからもよろしくお願い申し上げます。(拍手)  速記を止めてください。    〔速記中止〕

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) 速記を起こしてください。     ─────────────

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) それでは、引き続き公述人の方々から御意見を伺います。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙中の中、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して心からお礼を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。  本日は、令和八年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構です。  それでは、経済・地方について、公述人昭和女子大学特命教授八代尚宏君及び株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長熊谷亮丸君から順次御意見を伺います。  まず、八代公述人にお願いいたします。八代公述人。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) 昭和女子大学の八代と申します。  本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございました。  私は、同時に、制度・規制改革学会というところの理事を長年務めておりまして、本日は、その学会の成果といいますか、提言に基づく内容となっております。よろしくお願いいたします。  一枚目、アウトラインというのが下にありますが、二ページのところですが、本日のお話は大きく分けて三つございまして、一つは、日本経済の中長期的な課題である少子高齢化に対して制度改革をどう進めるかというのが一つ。  それから、地方の問題として東京一極集中の是正という大きなテーマがあるわけですが、これは本当に是正するだけでいいのかどうか、というかその是正の中身ですよね。東京の活動を抑制する、あるいは東京に対する人口流入をひたすら抑制するという保護主義的な考え方じゃなくて、東京と地方の主要都市がお互いに競争するという、そういう形での一極集中の是正というのが必要ではないかと考えております。  三番目は、とにかく地方の産業が立派に、何というか、元気になるためには、やはり今の時代に遅れた制度とか規制を変えていかなきゃいけない。その代表例として、農業、ライドシェア、それから医療・介護制度ということについて簡単に触れさせていただきたいと思います。  一枚めくっていただきまして、人口の問題ですが、現在、日本は生産年齢人口が急速に減っているという問題がございます。全体の人口ももちろん減っておりますが、生産年齢人口、ここでは二十から六十四歳と定義しているわけですが、これがもう過去二十年間に一千百万人も減っている、すさまじい勢いで減っているわけで、これが人手不足の大きな原因になって経済成長を抑制する主因の一つともなっているわけです。  他方で、右側のグラフで見ていただきますように、高齢者は同じ期間に千三百万も増えているわけですね。働き手が減って高齢者が増えていく、どうしたらいいのか。これは大学の学生なんかと議論したときもよく出てくる問題です。  しかし一方、下がって考えてみると、なぜ高齢者がこんなに増えるのか。それは長寿化なんですよね。長生きすることが何でいけないのか。長生きするということは個人にとっても家族にとっても望ましいし、日本が世界一の長寿国であるということは日本の社会がうまくいっている証拠なわけですね。所得も安定しているし、医療もきちっと対応されている、麻薬もないし犯罪もないと。なぜこの長生きという成果を生かせないのか。長生きが非常に深刻な財政問題を引き起こしてしまうというのは、制度に問題があるんじゃないだろうか。だから、人々が長生きして社会が良くなるように制度を変えていく必要がある。その一つの鍵が高齢者の活用なわけです。  右側のグラフを見ていただきますと、高齢者の数がどんどん増えて、二〇四〇年には人口の四割近くを占めるまで増えてしまうわけですね。これでは大変なんですが、よく見ると高齢者の中にも七十五歳以上のいわゆる後期高齢者と七十四歳以下の前期高齢者に分かれるわけです。  七十五歳以上の方に働けと言っても、これはもう基本的に無理ですけれども、少なくとも七十四から六十五の間の人たちの中には元気でまだまだ働ける人がたくさんいるわけで、こういう人たちが働いて生産年齢人口の方に加わってみると、そうすると、本当の意味の高齢化比率は高齢化のピークでも二五%にすぎないわけですね。これは十分マネージできる水準なわけで、どうしたらこの高齢者、働く意欲と能力を持っている高齢者を活用できるような労働市場あるいは社会制度にしていくかが大きなポイントになろうかと思います。  下のチャートで、テーブルでありますけれども、働ける高齢者が働けない高齢者を扶養する、エージフリー、年齢にとらわれない社会にしていくためにはどうしたらいいか。最大の問題が定年退職制です。  今、日本の多くの企業は六十五歳定年で強制的に退職させられているわけですが、これは、アメリカを始めとしてヨーロッパの国では禁止されていることなんですよね。つまり、年齢に基づく差別であると。ちゃんと働ける人がなぜ一定の年齢になったら退職されられるのか。やっぱりこれはおかしなことで、日本も当然これを倣うべきだと。  ただ、今のままで定年退職を禁止したらこれは大変なことになるので、定年退職を廃止してもうまくいくような労働市場改革、同一労働同一賃金とかですね、そういうことをきちっとやることが必要だと思います。  あと、年金制度の改革も、年金の支給開始年齢を日本の厚労省は六十五歳に抑えて、これ以上の引上げは全く考えていません。しかし、世界では、アメリカでもヨーロッパでも六十七、六十八歳が支給開始年齢で、早くもらいたい人はもちろん早期に受給できるわけです。  なぜこういうふうにかたくなに六十五歳支給にこだわるのか。世界一の長寿化の日本ではもっと弾力的に、長く生きた分だけ働いてもらう、そうすれば年金制度は安定するわけです。こういう年金制度改革というのをやっぱりエージフリーの考え方で考える必要があろうかと思います。  あと、転職というのが高齢者の場合特に大事で、貴重な労働力を効率の高いところに配分するというのが大きなポイントだと思います。  もう一枚めくっていただきまして、実はこれは高度経済成長の時期にも起こったことでありまして、六〇年代までの日本は一〇%成長を遂げていたわけですが、七〇年代の半ばに入るといきなり四%に半減したわけですね。  これは第一次石油ショックのせいだと一般に言われていますが、私が働いていたOECDで比較分析をしたら、日本以外の国ではそんなことは起こっていません。一時的に不況になりましたが、あとは別に前と同じペースで成長しているわけで、日本だけが七〇年代半ばでこんなに成長が下方に屈折したというのは、ひとえに国内の問題であって、我々は、これは田中角栄総理の国土の均衡ある発展という名目で人為的に地方を豊かにしたわけですよね。もちろん、地方が豊かになるのは何の問題もないわけですが、それ以前は、例えば農水省は、秋田県の八郎潟の干拓のように、大規模農業をして農業の生産性を上げて農民を豊かにするという真っ当な政策をしていたわけですね。  ところが、そんなことではまどろっこしいということで、田中角栄総理の政策はいきなり生産者米価を引き上げたわけです、大規模に。そうなると、生産性を上げなくても農業をやっていけるので、今の低い農業生産性というのがこのときから始まってしまった。生産者米価の引上げが今の減反政策につながっているわけです。  それから、公共投資を地方の方に重点的に配分することによって都心の過密問題の対応というのがむしろ遅れてしまったということ、あるいは、首都圏に対して強制的に工場等の制限立地法みたいなことを、社会主義的なこういう政策を取ることによって人為的に地域間の所得再分配をしてみた、これがおかしいので、やっぱりきちっと市場原則を通じて地方を豊かにするという政策を取るべきだったわけで、それが成長率の屈折の大きな要因になったと考えております。  次のページを見ていただきますと、確かに東京は一人勝ちのように見えます。ただ、それは国内の話であって、アジアの国と比較すると東京の地位も落ちています。急速に今ほかのアジアの国は豊かになっているわけで、だから東京を貧しくしても地方は豊かにできません。むしろ、今の政府のやっている地域の均衡ある発展というのは、実は地域の均衡ある衰退政策なわけです。  東京も地方もやっぱり競争することで発展させていかなきゃいけない。どうすればいいかというと、東京への人口移動を止めるんじゃなくて、それぞれのブロックごとの主要都市の人口を高めていく。これはもう現に行われていることですけど、これをもっと推進していくというのが大事で、例えば福岡なんかは物すごく人口が増えていまして活気のある都市になっているわけで、ほかの地域でも同じことをする必要がある、それによって間接的に東京への一極集中を防いでいくというのが本来の地方創生の在り方ではないかと思います。  次見ていただきまして、そのためにも一番大事なのは農業政策であります。  日本の農業、特に米農業が何でこんなに競争力が弱いのか。農業という観点から見ますと、日本は、中国と比べれば温暖な気候、豊富な水資源、十分な農地で勤勉な農民がいて、これだけ良い条件がそろいながらなぜ日本の米の競争力がこんなに弱いのかと。これは、ひとえに人災です。  農業保護はほかの国もやっていますが、それは農家への補助金を出して保護しているわけで、日本のように、農家がおいしい米をわざわざ作らせないために減反の補助金を出して価格をつり上げて納税者と消費者の両方に大きな負担を課している、こんなばかげた農業保護政策をやっている国はないわけです。それにもかかわらず、高齢化によって耕作を放棄する人たちが増えているわけで、これがどんどん今拡大している。  なぜ、もう年を取って耕作をできない人が主業農家に農地を売ったり貸したりできないのか。それは農業、農地の市場がゆがんでいて、一種の投機が起こっているわけですよね。だから、こういうことをきちっと農水省は対応して、耕作放棄地は農地じゃないんだから当然宅地並み課税を掛けるとか、きちっとした対応をしなきゃいけないわけです。  あと、大事なことは、高市総理の官民投資計画ということが言われているわけですが、肝腎の農業が、この十七分野の一つなんですが、企業が参入できないんですよね。およそ企業が農地を買えない状況を放置しておいて、何で官民投資計画になるのかと。是非これは考え直していただきたいと思います。  大規模農家には、農業には資本が要りますし、あるいは大規模農業ができない兵庫県の養父市というところでは付加価値を付けているわけですね。お米をそのまま売っても大して稼ぎにならない、お米に付加価値を付けて売ることで初めて農民は豊かになれるわけで、そのためには企業との協力が必要なわけです。企業が農業に入ることによってサラリーマンとして農業をやれる若い男女の機会が増えるわけで、そうすれば農村は活性化できるわけです。  それからもう一つは、やっぱり高齢者が増えてくる、特に大都市圏で増えているというのが大きな特徴で、過去にどんどん都市に参入していた人たちが高齢化しているわけですが、これは一つの、次のページをめくっていただきますと、高齢化社会のシルバー市場の活用ということが書いてあります。  今の日本でこれから発展する産業が何かと考えたときには、高齢者が確実に増えるわけですから、この高齢者が必要とする医療・介護サービスというものの需要は確実に高まるわけです。しかし、それに企業が十分に参入できない状況が起こっている。完全にこの医療・介護サービスが統制経済になっている。もちろん、社会保険ですから、厚労省が診療とか介護報酬を決めるのは当然なわけですが、それが財政状況から抑制されているために慢性的な人手不足がある。これから高齢者が増えるのに、介護人材が不足して介護事業者がどんどん倒産している。これはひどい状況です。  これを防ぐためにはどうしたらいいかというと、保険と保険外サービスを自由に組み合わせる混合診療、混合介護をもっと拡大させる。それによって、財政に頼らず、介護サービス事業者あるいはそこで働く人たちがもっと収入を得られるような状況を得られる、これは規制改革の昔からの課題なんですが、一向に進んでおりません。  ですから、そういうことをすれば、もちろんそのためには所得の低い人たちにも確実に基礎的な介護サービスを提供する仕組みは大事です。しかし、余裕のある人にはもっと付加価値を付けた質の高い介護サービスを買ってもらえるようなマーケットをつくるというのはやっぱり非常に重要な政策ではないかと思います。  それからもう一つは、高齢者が増えると自動車の運転が危険になる。そうしたときに、諸外国では当たり前のようにやられている、社会主義国の中国でも一般に普及しているライドシェアがなぜ日本ではできないのか。これは、やっぱりタクシー会社の政治力で非常に日本型ライドシェアというゆがんだ形しかできないわけですね。ライドシェアというのは物すごい効率的です。職業運転手が不足する中で、そういう中では非常に効率的なシェアエコノミーを使えるわけですね。  あと、治安の問題はちょっと飛ばさせていただきます。  その次に、最後ですが、今、副首都構想というのがあるわけですが、これを単なる東京のバックアップ機能というのはもったいないわけですね。それから、別に大阪に限定する必要はないわけで、主要な、全国の主要な都市が東京に対抗して東京とは異なる形で成長する、言わば成長エンジンとしての副首都構想というものを考える必要があるんじゃないか。  これからの高齢化社会というのは、やはり前例がないわけです。ですから、いろいろ競争して考えなければいけないわけで、そのためには、大阪のような、やっぱり江戸時代の堂島のような世界に最たる金融機関を持っていた、こういうことを繰り返して、競争を通じて東京と各主要都市がより良い産業として発展する、人々の生活を豊かにする、こういうような状況を是非御検討いただければ有り難いと思います。  御清聴ありがとうございました。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ありがとうございました。  次に、熊谷公述人にお願いいたします。熊谷公述人、どうぞ。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 大和総研の熊谷でございます。  本日はお招きいただきまして、心より光栄に存じます。  御審議の御参考にさせていただきたく、令和八年度の予算案につきまして意見を申し述べます。  私の資料で右下のページで申し上げてまいりますが、一ページの部分で、本日はこの二つのポイントについて、日本経済、海外経済の展望、そして日本経済が抱える課題についてお話をさせていただきます。  まず、一つ目の論点でございますけれども、三ページ目でございます。  一番上のところに書いてございますが、日本経済は今後一%程度の成長が展望できるということでございまして、潜在成長率と言われる実力が〇・五%程度でございますので、これを若干上回るぐらいの緩やかな経済成長が予想されます。  四ページ目でございます。  左のグラフでお示しをしているのは、IMFの分析を参考にして私ども大和総研が作成をしたデフレリスク指数というものでございまして、値が大きくなるほどデフレリスクが大きくなるということでございますが、足下は〇・三一と。そして、右半分のところで諸外国の状況、これは絶対水準自体は単純比較はできませんが、諸外国などと比べても総じて見ればデフレのリスクは決して大きなものではなくて、むしろ今、日本経済はインフレ的な方向へと動いてきているということであります。  五ページ目でございます。  日本政府が目指してきた賃上げと設備投資の好循環ということでございますが、これは四つのステップがございます。  まず、右端のステップ一というところで、構造的な人手不足の中で賃上げが三十数年ぶりに行われてきました。そうしますと、ページの一番上のステップ二のところでございますけれども、この資本と労働を比較したときに、相対的に資本が割安になり労働が割高になりますので、この相対価格の変化を通じて設備投資が増加をして、百兆円を大きく超えてきたということがあります。  そして、左半分のところに行って、上から四行目辺りで、後ほどお話しするように、最適な設備のストックと比べると、現状日本の設備は二百九十兆円程度不足をしている。そして、ステップ三というところで、これから資本ストックが増加をして、そして人への投資を行うことによって、ページの一番下の部分で、労働生産性が上昇して、そうすると、ぐるりと回ってステップ四というところで実質賃金が上昇するという、大局的には今、日本経済はこうした方向に動く兆しが出ているということであります。  六ページ目が日本経済を下支えする要因でございますけれども、賃上げによる家計の所得環境の改善、それから政府の経済対策、そして、日銀は利上げをしていますが、実質金利はまだ大幅なマイナスでございますので、緩和的な金融環境、そして家計の貯蓄もコロナ禍前よりも増えているということで、これらが日本経済を支えるという見方です。  七ページ目のところにリスク要因がございますが、やはり何といっても中東情勢がどうなるか。そして、トランプ関税によるアメリカ経済悪化のリスク、そして日中関係の悪化、円相場の下落、そして国内金利の上昇等のリスク要因には引き続き警戒が必要である。総じて見れば、海外経済ですとかマーケットのところにリスクがあるという認識であります。  八ページ目が、原油高、中東の影響でございますけれども、左半分の部分がホルムズ海峡周辺国からの原油とかLNG輸入が一〇%減ったときの経済に与える影響でございますけれども、日本は〇・八%ぐらい下押しになります。  そして注目されるのは、実は中国ですとか韓国に対する影響も大きくて、例えば中国マイナス〇・九とありますが、その下の括弧の〇・一四というのは、ここからくる日本のGDPに対する悪影響ということでございまして、右半分の部分で、メインのシナリオ、ベースラインで、原油が七十三ドルぐらいであれば一%成長、日本経済の見通しでございますけれども、これがもし百二十ドルになると〇・五ぐらいの下押しがあって、そしてテールリスクということで海外から原油が入らなくなるようなケース、そして百五十ドルまで上がるということであれば日本はマイナス一%の成長になってしまうということであります。  九ページ目でございますが、為替に関して言うと、恐らくは百三十円台ぐらいのところがおおむね為替は適温の水準ではないかということでございまして、ここでは損益分岐点比率を、これを日本全体で見ておるわけでございますが、恐らくは百三十円台ぐらいのところがおおむね適温の状況ですので、この後、更に円安が進むようであれば、輸入物価が上がり、実質賃金が圧迫されるような、こういうリスクがあります。  また、十ページの部分で、トランプの関税政策による日本経済への悪影響、これも無視できないものがあります。  また、十一ページの一番上のところに書いてありますが、中国政府による日本への渡航自粛等によって日本のGDPは〇・一から〇・四%程度下押しされるリスクがあります。  十二ページ、十三ページは、中国経済、実態非常に厳しいということでございまして、十二ページでお示しをしているのは企業と家計の借金の残高のGDP比で、私はこのグラフをバブルのオールスターと呼んでおるわけでございますが、過去の名立たるバブルと並べたとしても、中国はもう遜色がないぐらいのところまで今借金漬けの状況であるということ。  また、十三ページで、ブルーの線が李克強指数といって、これは鉄道の貨物輸送量等々の、お金が絡んでいて数字を改ざんすることができないもので、この李克強指数というもので経済実態を捉えますと、ゼロ%成長でもおかしくないぐらい今の中国経済は厳しくなっていると、こういう認識であります。  十四ページ以降で、二つ目のテーマでございますが、十五ページは諸外国と比較した実質賃金ということですが、日本とあとイタリアが非常に低迷をしている。実は、これ最近の話ではなくて、九〇年代の前半から日本の実質賃金はずっと継続的に低迷しているという問題があります。  十六ページでお示しをした赤で囲んだ部分でございますけれども、過去二十年間の日本とアメリカの一人当たり実質賃金を比較をすると、アメリカの方が一・四%ポイントずつ毎年毎年高いということがございます。  これを①から⑤の五つの要因に定量的に分解したものでございますけれども、この中では、一つは時間当たりの労働生産性、それからもう一つは労働時間という、この二つがおおむね半分ずつぐらい寄与しているわけでございますから、そういう意味ではこういう抜本的なところに対して手を打っていかないと、この構造問題に手を着けないとなかなか日本の一人当たりの実質賃金は継続的に上がることにはなりにくいということでございます。  十七ページ以降は、昨年の七月に、経団連が毎年軽井沢で夏季フォーラムというものを開催しておりますけれども、そこで二〇四〇年に向けて日本が何をやるべきかというお話を私が講演をさせていただきました。  そのエッセンスをお持ちいたしましたけれども、経済成長は、これはもう釈迦に説法でございますが、労働と資本とTFP、これは技術力等でございますけれども、この三つをやはりバランスよく上げていかないといけない。  まず、一つ目の労働に関しては、十八ページでございますが、一番下の部分で、そこに書いてあるような様々な施策が全てうまくいったとすれば、一四・六%、八十六兆円ぐらい日本の潜在的なGDPを上げる余地がございます。  十九ページは、二つ目のポイントである資本でございます。一番上のところにあるように、量、質、配分の三つの面で問題がある。まず、左下が量でございますけれども、この量の不足によって失われているGDPがおおむね一六%程度、そして右上のところで、その質が悪い、老朽化することによって失われているGDPが一〇%程度、そして生産性が低い分野に張り付いていることによって失われている分が一八%程度ということです。  二十ページは省力化投資、ここはやはり恩典を与えてどんどん進める必要があるわけで、今、年間五兆円やっているものを、これをやはり二十六兆から五十四兆ぐらいやるようにならないとなかなか人手不足を補うことは難しいと。  二十一ページ、三つ目のTFPでございますけれども、日本が諸外国と比べて劣っているのは、人的資本投資、新規事業の創出、労働者の多様性等々でございまして、これらのところに対してしっかりとピンポイントで対策を打つことが肝要である。  二十二ページ、最終的に左のグラフで三つのシナリオで、今のままだと緑の線で、これから四〇年にかけて毎年〇・三%しか伸びないわけですが、もし衰退するのであれば毎年〇・五%、日本が目指すべきはプラス一・五%、このときはまさに二〇四〇年に名目GDPが一千兆円に到達すると、これを目指すことが必要であるということです。  二十三ページ、戦略の十七分野への投資でございますけれども、大きな方向性は賛成するところでございますが、左上のところに三つ書いたようなこういった幾つかの問題もあるわけでございますので、しっかりとエビデンスに基づいためり張りのある投資を行うことが肝要である。  二十四ページ、危機管理投資でございますが、やはり日本は中国とか中東に対する依存度が高くて、とりわけ中東に対する石油、石炭、中国に対する情報通信、電子デバイス等がございますので、これらのところが経済の急所になる可能性がございます。  二十五ページでございますが、これらの問題が起きたとき、どれぐらい潜在的な日本のGDPが落ちるのか。左上のマイナス三・四というのは、中国からレアアース、レアメタルが完全に止まったとすると、在庫等全く考えなければ日本のGDPは三・四%程度落ちます。右下の一五・三というのは、中国からの輸入が途絶をしたとすると、そのときはGDPに対する影響が一五・三%程度になります。  二十六ページ、シミュレーションの前提として、ミドルリスクとして中国からのレアアース等の輸入の停止、そしてテールリスク、蓋然性は低いが大変なリスクとして、中国からの全面的な輸入の停止として、対策がもしなかったとすると、ミドルリスクで日本のGDPは三・四%落ち、テールリスクで一五・三%落ちます。  右半分のところは、この三・四とか一五・三落ちるところを、仮にその影響を五〇%ということであれば、半分に抑制するということだとどうなるかということでございますけれども、これを使ったシミュレーションが二十七ページでございます。  二十七ページの左のグラフのところで、緑の線は、この今申し上げたテールリスク、ミドルリスクの双方に対して全く対策をしないときのGDPの落ち方、そして赤い点線が、これらに対して影響を五〇%、半分まで抑えたときでございますけれども、申し上げたいのは右側のグラフで、オレンジ色の線は完全にこのミドルリスク、テールリスクを抑制したときで、五〇%抑制したとすればGDPは〇・四七程度落ちを防げるわけですが、仮にミドルリスクのみに絞って対策を打ったとしても〇・三六程度のところまで防げるわけでございますから、申し上げたいことは、全てのリスクに対応するのではなくて、特にやっぱり大きなリスクに重点的に対応することが肝要である。  二十八ページは、外国人労働者の受入れ、賛否ございますが、右上のところで、潜在成長率を上げることが期待できます。  また、二十九ページで、ポピュリズムが台頭することによって十五年でGDPが一〇%落ちるというような試算もございますので、こういったことも防がなくてはなりません。  最後に、三十ページで、今、社会保障の有識者会議、国民会議が立ち上がって、当社の研究員もそのメンバーに光栄なことに入れていただきましたけれども、これから大きな方向性としては、右のグラフで、これからまず何を目的にするかということをしっかり議論した上で、前提としては今の国民の負担状況を定量的に抑えた上で、そして、下半分の第一ステップとして、まず軽い形で、ライトな形で始めてみる、そしてその後でより精緻な形で低所得者や子育ての負担をこれを軽くするというようなものを将来的につくり込んでいくということが肝要であると考えます。  私からは以上でございます。  御清聴ありがとうございました。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

加藤明良 自由民主党・無所属の会

○加藤明良君 自民党の加藤明良でございます。  本日は、両公述人におかれましては大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。幾つかそれぞれ質問させていただきたいと思います。  まず、今の日本経済そしてまた日本の現状ということの認識でございますけれども、我が国は長年のデフレから脱却局面にあるという一面が一方で、人口減少、労働力不足ということ、そして地方の経済の衰退、まだまだ地方に経済の波及効果が得られていないという現状がございます。高市内閣が掲げております強い経済を実現するためには、やはり地方がしっかり強くなければならないということでございます。そういった環境の中で、特に地方では若年層の流出、産業の空洞化、そして賃金水準の伸び悩みという現状が続いております。  こうした現状の中で、日本経済が持続的に成長を実現するため、今後最も優先すべき構造改革が何かということについて両参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、まず、八代公述人につきまして、本日いただきました要旨の中に、地域の均衡のある衰退というお言葉を見かけまして、東京一極集中の足を引っ張ることは、アジアで、先ほどお話もございましたが、また世界で都市間競争をしているその大都市である東京の足を引っ張ることは日本経済にとってマイナスであるということ、さらには副首都構想ということにつきましても、またさらには地方の様々な発展につきましても、都市間競争という言葉の中で、主要都市の間で東京とは異質な政策を競う制度間競争を循環させるということが結局地方の経済にも結び付くというお話をいただきました。  その中でも、やはり都市間競争といいますと、東京一極集中の大いなる要因というのはやはり企業本社の数が多いということだと思っております。都市間競争になりますと、やはり企業の誘致合戦ということになってまいります。そうすると、結果的には東京の足を引っ張ることにもなってくるのかなと思いつつ、どのような均衡のあるというような発展性を都市間競争の中に求めているのかというのをまずお伺いさせていただきたいと思います。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) 御質問ありがとうございました。  東京一極集中の問題というのは、それを人為的に、つまり、工場等立地規制法とか今の大学の定員規制とか、そういう規制によって一極集中を是正しようという考え方が間違っているわけで、結果的に、地方の主要都市を活性化することによって、東京に行かなくても、いい雇用機会があるような前提をつくるというのが大きなポイントだと思います。  そのときに、今回の高市政権の十七産業分野を、新しい分野をつくっていくというのも一つですが、ほかに遅れた分野というのがたくさんあるわけですね。日本では生産性の低い分野、農業はその典型的ですけれども、これを人並み、ほかの国並みに上げるということはある意味で簡単なことなわけですね、政治的には難しいですけれども。だから、そっちも並行してやる必要があるんじゃないか。特に農業というのはもう典型的な地方産業で、大規模化の可能性もあるし、高付加価値化の可能性もありますし、そういうところに企業がどんどん入っていくと、それこそ企業の力を使うというやり方ではないかと。  先ほど熊谷公述人が出された十七分野の中にも、農業はフードテックしか書いていないんですよ。フードテックというのは植物工場です。それもいいでしょうけど、一番大事な米の改革というのが入っていない、これはやっぱり問題ではないかなと思います。  以上でございます。

加藤明良 自由民主党・無所属の会

○加藤明良君 ありがとうございます。  地方の経済を活性化するため、地方の農業をしっかりと活性化させるということの御意見だと思います。私も大賛成でございます。  やはり地方の農業というのは、今のその構造的な問題によりまして、これまでやはりどうしても中山間地域であったり小規模農家であったり、面積の狭い農業もしっかり守っていこうという食料安全保障の観点という国からの補助的政策という一面もすごく大きいものだと思っております。その重要な観点もございます。一方で、これからの農業の生産性を上げるためには、やはり付加価値の向上ということもございますし、省力化ということではやはり企業の参入ということの強化も私もこれは必要不可欠なことであろうと思っております。  その中でも、やはり地域の食料安全保障の中で、日本の主要産業としての農業をしっかり国の方向性の中でやはり見極めていかなければいけないエリアもございますし、また一方では、どうしても中山間地域で我々は農業をやらなくては生きてはいけない、しかも地域の求められる多面的機能も守らなければいけないというような本当に強い信念を持ってやっていらっしゃる方もいらっしゃるという中で、やはりその方たちも一方ではどうやってその生計を守っていかせてあげなければいけない。これは、私も地方議員を経験しておりましたので、やはり地方の様々な御意見を聞く中で、これまで長年、代々にわたって農業を営んできた方たちの生計という部分でもこういった方たちの意見もございます。  そういった方たちを含めて、一概にその企業農家に参入させていただくということも難しい観点もありますが、その難しい両極のある農業政策について是非とも先生のお考えを伺わせていただきたいと思います。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。  まさしく食料安全保障というのは非常に重要なわけなんですが、今農水省のやっている政策はそれに逆行するわけですよね。減反政策こそ食料安全保障、一番リスクをもたらしているわけで、農家の方が作りたいだけお米を作る、国内で消化できない分は輸出すると。そうすると、仮に台湾有事みたいなことが起こって海上封鎖されても、輸出分を国内で回せばいいわけですよね。だから、そういうふうに、何というか、減反政策をやめること自体が食料安全保障の第一歩だと思われます。  それから、もちろん企業だけに任せるのは駄目なんですが、例えば先ほど言いましたように、兵庫県の養父市というのは地元の企業と農家の方が一体化して付加価値のあるお米を作っているわけですよね。例えば、もうぱっと温めるだけですぐ食べられるような御飯というのは高く売れるわけです。これは輸出もできます。世界ではお米を食べる国は多いので、アフリカなんかもこれから発展するわけですから。だから、企業をうまく活用して農家の方がより生産性を上げていくという道を農水省が妨げているわけで、これは非常に残念なことだと思っております。  それから、治水というのも大事なわけですが、ただ、それは小さな田畑を維持するというよりも、元々日本では人口が増えて食料が不足するから森林を切り開いて田畑にしてきたわけです。今、人口が減っているわけですから、その逆をやらなきゃいけないわけで、田畑に、その小さな零細なところは、棚田みたいないいところはもちろん残して、それ以外のところは木を植えて自然林に戻して治水機能を果たす。林野庁と環境庁が一体化してやっていくと、そういうやり方もあるんじゃないかと思っております。

加藤明良 自由民主党・無所属の会

○加藤明良君 ありがとうございます。  まだまだお伺いしたいことがあるんですが、熊谷参考人にも是非お伺いさせていただきたいと思います。  内需の拡大、国内投資促進、高市内閣が掲げております十七項目の戦略分野、これを日本のこれからのその強い経済を動かすための原動力にしていく、これを伸ばしていくというような政策の中で、やはり国内投資、しかも海外からの投資ということにやっぱり着目をしなければいけないと思っております。  様々な数値をいただいておりますけれども、その中でも、やはりこれからの参入しやすい制度設計を行っていく、海外からの参入しやすい制度設計を行っていくためには、様々な規制、税制緩和、こういったことも行っていかなければいけないと思っております。  これについて、特に重要性が高いところ、是非お考えを伺わせていただきたいと思います。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) ありがとうございます。  これは、やっぱり海外から日本に投資を呼び込むというのはこれは極めて重要な成長戦略だということで、例えばシンガポールなどだとしっかり特定の官庁がそれを総括的に見てワンストップで全てをやるわけでございますが、日本の場合、どうしても縦割りになって小出しの対策になり、例えば海外から来る人たちの生活の話ですとか子供の教育の話ですとか、おっしゃったような税制の話とか、様々な面でまだまだやらなきゃいけないことがあると考えるわけでございますが、その辺りがまさにワンストップになっていないし、総括的にやるような形になっていない。  まだその縦割り行政が残っているということですから、それはやはりトップダウンで、そういう意思を表明することによってとにかく海外からその投資を入れる、これはその投資のお金だけではなくて、ダイバーシティーによってそこからイノベーションが起きてくる、まさに高度人材を入れなくてはいけないわけでございますので、そのことがまずは重要なのではないかと考えます。

加藤明良 自由民主党・無所属の会

○加藤明良君 ありがとうございました。  いろいろまだまだお伺いしたいんですが、時間でございますので以上で質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

森本真治 立憲民主・無所属

○森本真治君 立憲民主党の森本真治でございます。  両先生には、本日は貴重なお話、ありがとうございました。  最初に、熊谷公述人に、日本経済が抱える課題ということで幾つか今日資料も示していただいたんですが、今日ちょっと私お伺いしたかったのが、日本経済の課題の中での一つがやっぱり今のこの中小企業のことをちょっと少しお話を聞いてみたいなというふうに思ったんですけれども。  今日、賃上げの話もありました。今、春闘も行われておりまして、この何年か、賃上げ、デフレから脱却という機運があるんですが、もう一方で、今春闘の課題として、やっぱり大企業と中小企業の格差、これはどう改善されるのかということも一つのポイントだというふうに思うんですが。  一方で、私も地元広島で地方にいる中で、やっぱり中小企業の人手不足の問題は非常に深刻で、今後どう地方のそういう働く人たち、いていただく方を確保していくかという中で、この中小企業の人手不足の問題が、当然ながら、これ例えばサプライチェーン全体への影響が出てきて、今、経済安保などで資源のことなんかやっていますけれども、中小企業、上流部分、ここがもう機能しなくなってくると当然ながら打撃を受けてくるという中で、やっぱりこの今の中小企業が置かれている状況が日本経済にどのような影響を与えていっているのかというようなことで、実際にもうそういう影響があるのかどうかなども含めて、もし何かそのような状況、認識ありましたら、ちょっとお話を伺いたいなというふうに思っております。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  おっしゃるように、やはり大企業と中小企業の格差というのはこれはまだ問題としてあるわけでございますが、他方で足下のこの賃上げの伸び率自体で見ると、かなり中小企業のところに、もう人が採れなくなってきている状況ですから、賃上げの裾野は徐々に中小企業の方にも広がってきているような状況だということがあるわけで、その中で、政府として何をやるかということでいえば、まずはやはり価格転嫁ができることで、これはしっかり公取などに動いてもらうということもありますし、また日本はやはり恥の文化でございますから、大企業とかで不当な圧力を掛けている企業に関しては大企業名を公表するというのはこれは一罰百戒で大変大きな効果があるわけですから、そういうことをやっていく。  また、中小企業の場合は、これIT投資が、特に設備のストックなどで見るとなかなかITが導入できていなくて、そこの部分が経営として厳しいということであるわけですから、そのIT投資に対してこの恩典をしっかり与えていくような、そういう政府ができることが幾つか、価格転嫁の促進、公取、公表、そしてIT投資の促進等々、それらがあると思いますし。  加えて、賛否両論あるとは思いますが、やはりこれだけ人手不足の中で、外国人の労働者については、ちゃんとルールを守る人に関してはしっかりと入れていくという、低技能、中技能労働者と高技能労働者ということで言えば、この低技能、中技能労働者に関して言えば、労働需給のところをきめ細かく見ながら、業種などを見ながら入れていくということで、高技能の人はこれはもうしっかり入ってもらった方がいいわけですから、そういう形で、まずしっかりと外国人対策を打った上で、やはり国を開いて外国人労働者にしっかり入ってもらって、中小企業などでも働いてもらうということが肝要ではないかと考えます。

森本真治 立憲民主・無所属

○森本真治君 今、ITの投資の話もいただいて、DXとかですね、政府も非常に多岐にわたるそういう支援策のメニュー、私もよく見ていると電話帳ぐらいのメニューがありまして、ちょっとそこで私も実はこれかねがね思っていたところは、本当にそれが中小企業の生産性の向上に向けて生かされてきているのか。よく言われる例えば延命措置にそのような補助が使われていってしまって、これはだからやっぱり経営者の皆さんもしっかりとした意識改革なども必要だというふうに思うんですが。  それで、今や我が国の中小企業が九九・七%ですか、これ企業数が、適正な規模というのは私もよく分かりませんけれども、ここまで圧倒的に、九九・七%もの中小・小規模事業者があるこの日本の、我が国の状況の中で、じゃ、本当に、省力化のお話とかもあったけれども、本当にこれでしっかりと進めていけるのかどうかというところを少し問題意識として持っているんですけれども、その辺りについての御認識をお聞かせください。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  委員がおっしゃったとおりで、私も問題意識としては、今のこの中小企業の対策というのが、これが社会政策なのかそれとも経済政策なのかという、それがやはり混在してしまって、目的がどっちなのかというのが分からないところが正直あるんだと思うんですよね。  経済政策であれば、おっしゃるように、これはもう生産性高めて競争力高めて、それをしっかりやらなくてはいけないわけですが、社会政策、弱者救済的なですね、それはそれで国は当然やらなくてはいけないわけですから、やはり経済政策と社会政策をしっかりと切り分けた上で、どちらなのかということをしっかりやっていくことがまず肝要である。  それからもう一つ大事なのは、何かいろいろ、コロナの時期もそうでございますけれども、対策を入れたときに、どうしてもなし崩し的にそれをやめることができないというようなことが現実問題としてあるわけでございますから、必ずやはり何か対策を打つ際には政策目的をはっきりした上で、続ける条件、やめる条件を事前に決めておいて、そして自動的に、それが条件を満たせばサンセットできるような、そういうこの仕組み自体をつくるということが極めて肝要ではないかと考えます。

森本真治 立憲民主・無所属

○森本真治君 ありがとうございます。  それともう一つ、今日、熊谷公述人の資料の十六ページ、これ、日本の実質賃金は生産性と労働時間で米国に見劣りという資料があったので、ちょっとここをもう少し聞きたかったんですけれども、労働時間要因というのは労働時間が短いという意味なのかということなんですね。  要は、これ、今労働時間の規制改革の議論なんかもありますけれども、やっぱり長ければいいのかどうかという問題があるわけですよね。やっぱり生産性、効率性の問題があって、我が国ってどちらかというと何か五時から一生懸命働くような人たちがどんどん出てきたりとか、長ければ長いほど、じゃ、本当に生産性が上がってということで理解していいのか。むしろ、短い時間の中でいかに効率を上げて生産性を高めるかというところに視点を置いていかないと、なかなかやっぱり、これはいろいろと、例えばこれは八代先生もいろいろ言われているんだと思うんだけど、結局、労働時間が評価になっていくような今の日本の働き方ではなくて、よくあるジョブ型ではありますけれども、先にそういうところをしっかりと確立していかないと、結局、労働時間だけの規制とかというようなことを、例えば緩和するとか短くするとかという議論になっていっても、全くこの生産性の方に続いていかないのではないかなというふうに思うんですが、熊谷公述人の御意見をお伺いします。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  御指摘の点、まさにそのとおりで、ここで当然やっぱり社員の健康はもう大前提なわけですよね。社員の健康を大前提にした上で、仮に働き方改革が行き過ぎているのであればそれをある程度是正する必要があるということで、例えば希望する追加就労という、これはある程度統計で取れるわけですけれども、これが実現したとすれば労働時間はあと三・六%ぐらい伸びるわけですね。ということは、ニアリーイコール一人当たりの実質賃金はこれによって三・六%ぐらい伸びるという、当然、健康大前提ですが、希望をかなえたことによってそれだけ伸びる潜在的な余地が存在する。  おっしゃったように、これ、一人当たりで必ずしも見る必要はないんですよね。一人当たりというのは、たくさん働けば収入は増えるし、時間少なければ少ないわけだから、本来的には時間当たりで見るのが私はそれは一つの見方だと思うんですけれども、残念ながら、日本のマスコミもそれから日本の今政治の世界も時間当たりの実質賃金で議論が行われることはほとんどなくて、どうしてもやっぱり一人当たりの実質賃金が増えた減ったということでマスコミ報道もまた政治の議論も行われるわけですから、そういう中では、一つの方策として、健康を大前提とした上で、その就労者の希望をかなえるぐらいのところまで、つまりプラス三・六%ぐらいのところまでは一人当たりの実質賃金を伸ばす余地があるのではないかと、こういうことでございます。

森本真治 立憲民主・無所属

○森本真治君 ちょっと時間がなくなったんですけれども、八代公述人に一点だけ。  一極集中の問題の中で、大学の、地方の大学の在り方についてもいろいろ言及もこれまでされてきていると思うんですが、広島も定員を満たしている大学というのが、特に私大なんかはもう一つぐらいになっているという状況の中で、一方で、首都圏の大学の抑制策についてのいろんな議論、御見解も述べられていると思うんですが、地方の大学の今後の、今の現状や在り方について、やっぱり統合などで致し方ないのか。やっぱりそれで結局若者はみんな東京の方に行ってしまうということを考えたときに、大学の地方の在り方についてちょっと御見解を最後に聞きたいと思います。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) これは非常に難しい問題ですが、地方の大学が東京と同じことをしていたら駄目だと思いますね。もっとインターネットを活用し、オンラインを活用し、あるいは違う大学との間の単位互換制度をやったり、もっと創意工夫を生かしてやっていく余地があるんじゃないかと思います。

森本真治 立憲民主・無所属

○森本真治君 ありがとうございます。

浜野喜史 国民民主党・新緑風会

○浜野喜史君 国民民主党の浜野喜史でございます。  今日は、御意見誠にありがとうございます。  まず、お二人の公述人にお伺いしたいんですけれども、我が国は残念ながら三十年余りもの経済停滞が今なお続いているということで、これは予算委員会の審議を通じても高市総理もお認めになっておられますし、日銀の植田総裁も安定的な物価安定目標は実現できていないと、こういう認識なんですね。  長年にわたってお二人は、この経済社会の中で様々な研究を続けられたり評論をされたり等々してこられました。この三十年余りもの経済停滞が今なお続いている原因、これをどのように捉えておられるのか。もう既に御説明いただいたのかもしれませんけれども、改めてお二人の御見解をお伺いしたいと思います。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) 御質問ありがとうございました。  これについては、私もOECDで、実はジャパンデスクというところで八〇年代の末に働いていたんですが、外国の人から、なぜ日本はこんなにうまくいっているのかという質問がたくさん来たわけですが、九〇年代に入ると全く逆で正反対なわけですね。だから、よく日本人が怠け者になったとか経営者が悪くなったとか言われますが、そんな問題ではないんじゃないかというふうに考えるわけです。  これについては財政金融政策のやり方が間違っているとかそういうのもあるんですが、私は、一番大事な点は、世の中が九〇年代に大きく変わった、世界がですね、で、技術革新が起こった、だけど日本は何も変えなかった。それは過去の八〇年代までの日本が余りにもうまくいっていたから、いわゆるこれは過去の成功体験が変化する社会に対応していないという説明が私は最もあるのではないかと思います。  ですから、もっと財政を吹かせとか金融を緩和しろというマクロ政策もあるかもしれませんが、大事なのは、過去の高い成長期にできた制度、例えば雇用慣行もそうですし、そういうものをやっぱり新しい環境に応じて変えていかなきゃいけない。それができていないということが、やっぱりいつまでたっても、失われた十年が失われた三十年になってきたことの一番大きな要因じゃないかと思っております。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  私も八代公述人と基本的には同じような考え方でございまして、一つはやはりこの冷戦が終結をしたこと、それから、IT革命が進むことによって、今までの日本の縦型の社会というのがどうしてもフラットになってくるわけですから、組織がどうしても合わなくなったということがありますし、加えて、それまで日本はキャッチアップ型の経済で、先進国をある程度模倣すればよかった部分がございますが、キャッチアップ型の経済が終わり、そこからアジア諸国などが勃興してくるという、これらの大きな構造変化の中で、その政治の仕組みであったり社会の仕組みであったり企業の仕組みなどが、これがやはりなかなか対応できなかった部分というのがあるのではないか。  例えばデータで申し上げると、過去二十年間で日本の名目GDPは一・一六倍になっておりますけれども、この間、一般歳出は一・五六倍になっている、それから普通国債の残高は二・二一倍になっているということでございますから、私は、決して今までの財政は緊縮財政ではなくて、この量の問題ではなくて財政の使い方、この質の問題で、本当にその刺激効果が大きいところに質の高い財政投資ができていなかった部分などもあるのではないか。  そして、具体的なところでは、先ほど十七ページのところで御説明を申し上げましたけれども、やはり経済の基本要素は労働と資本とTFPでございますので、この三つをやはりそれぞれ大体三分の一ずつぐらい伸ばしていったとして、二〇四〇年度に日本の名目GDPは一千兆円が視野に入るわけでございますから、これらのところに焦点を絞って、従来の延長線上ではなく、その財政の使い方などもしっかり考えていく必要があるのではないかと思います。

浜野喜史 国民民主党・新緑風会

○浜野喜史君 ありがとうございました。政策が誤っていたのではないかとか、いろいろな議論があるということだと思います。  そんな中で、私が一つお伺いしたいのは、一つやっぱり誤っていたんじゃないのかという政策として、私は、株主価値最大化路線を二〇〇〇年代初頭から日本が取ってきたということがこれはやっぱり誤りではなかったかなと私は考えているんですね。アメリカに倣って、コーポレートガバナンス改革という名の下に株主価値最大化を掲げて政策を展開してきた。その象徴が私は自社株買いの自由化ということだと思うんですね。それが今なお非常に大きく影響して、株価偏重、株主価値最大化ということが今なお行われていると。これがやはり日本経済低迷の私は大きな原因ではないかというふうに考えているんですけれども、お二人の見解をお伺いしたいと思います。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。  非常に、おっしゃるとおり、企業の行動の変化というのも大きいと思います。ただ、それまでの日本は余りにも利益というものを度外視してきて、とにかく雇用を守ればよかったということをやってきた。それに対して株主価値を高めろという動きがあったのは、そのとおりだと思います。ただ、それをやり過ぎてはいけない。おっしゃるとおりですね。  ただ、問題は、企業というのはあくまでも利益を追求することを目的とした存在なわけで、企業が利益を目的として行動することが社会全体の利益になるようにするのが政府の役割、これは市場の役割です。  今の問題は、先ほどの議論もありましたが、企業が利益を国内で追求できない、だから海外にどんどん投資してしまうと。それが逆に言えば、労働生産性を上げなかったり、経済を停滞させる一つの要因ではないか。だから、企業が利益を追求すること自体を否定するんじゃなくて、それが社会全体の価値につながるような方向に持っていくためのより質の高い市場に変えるということを政府が怠ってきたんじゃないか。競争ですよね。だから、もっと競争をきちっとやる。  それから、これまで日本経済を引っ張ってきたのは製造業ですけれども、製造業がどんどん海外に行ってしまう。そうしたら、やはり残った農業とサービス業をもっと競争的にして、そこに投資することが日本の企業にとって利益になるという、そういう状況をつくっていく必要があるのではないかというふうに思っております。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) ありがとうございます。  委員がおっしゃったように、私は、大きな資本主義の流れというのは、資本主義四・〇などと言いますけれども、今までは株主の近視眼的な利益だけが過度に重視をされるレーガン・サッチャーリズムですとかグローバル資本主義であったものが、大きなトレンドとしては四・〇という、いわゆるステークホルダー資本主義でございますけれども、様々な利益がバランスよく重視をされるような新しいステージに入っていくということは、これは大きな方向性としては間違いないと。  よく、日本は三方よしで、売手よし、買手よし、世間よしなどと言いますけれども、最近は六方よしという言葉があって、地球よし、これは環境、それから作り手よし、サプライチェーン、そして未来よし、次世代、そういう様々なステークホルダーにバランスよく目配りをした新たなステークホルダー的な資本主義が大きな流れであるということは、それは委員のおっしゃるとおりであるということでございますが。  他方で、日本は周回遅れであって、やはりなかなか株主にしっかり還元できてこなかったし、また資本効率をちゃんと使うことが今までできてこなかったので、その一つ前の段階の周回遅れのところである程度しっかりやらなくてはいけないのではないかという部分があってですね。  私は、東証のフォローアップ会議のメンバーというものを拝命しておりまして、数年前、企業に対して資本効率だとか株価などを意識した経営をやってくださいと、こういう異例の要請を出しました。世界中の取引所の中でそんなことを企業に要請を出したのは日本だけでございますけれども、これはもう明確なやっぱり効果があって、企業が資本効率をしっかり考えるようになって、そして日本企業が、もちろん少し近視眼的なところがあって中長期の投資ができていないというのはここは課題でございますけれども、日本企業が還元をし過ぎかと言われれば、例えば自社株買い、配当等々を全部足した総還元性向というものがございますけれども、こういったものなどで見たときに、日本は今まで極端に低かったものがようやくまあまあまともな国になってきたという、そういう状況でございますので。  その意味では、結論としては、委員がおっしゃるように、長い目ではステークホルダー資本主義だけれども、日本は周回遅れでようやくほかの国がまともにやっているところの入口に立てたと、こういうことだと認識しています。

浜野喜史 国民民主党・新緑風会

○浜野喜史君 一分切りましたので、終わります。ありがとうございました。

窪田哲也 公明党

○窪田哲也君 公明党の窪田哲也と申します。  今日はどうもありがとうございます。貴重な御意見を賜りました。示唆に富んだ御意見であったと思います。ありがとうございます。  初めに、熊谷公述人の方からお伺いをしたいと思います。  構造的な我が国の問題ということについて伺いたいと思うんですけれども、今日御提供いただきました資料でも、十五ページ、日本の実質賃金、長期的に低迷、近年は物価高がおもしにということで、G7における実質賃金の長期推移示していただきましたけれども、ここに我が国のこの構造的な問題が端的に現れているのではないかなというふうに私受け止めました。  日本とイタリアが重なるようにこのグラフが示されておりますけれども、我が国の、この大和総研さんが出していらっしゃるこの資料も読ませていただきましたけれども、二〇二六年、高市政権、対症療法を講じるのではなく、我が国が抱える構造問題に踏み込む形で、実質賃金が持続的に上昇する環境をつくり出すことに期待をしたいという思いでおられますけれども、この我が国が抱える構造問題と、先ほど見せていただきましたこのグラフなんですけれども、我が国とイタリアとのその対比の中で是非教えていただければと思うんですけれども。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  やらなくてはいけないことは、この十七ページの労働と資本とTFP、特にやっぱりTFPのところで、労働生産性がやっぱり今、日本は低いという問題があるわけでございまして、例えば労働生産性に関しては、五十ページのところを恐縮ですが御覧いただくと、これが日本とアメリカで労働生産性が大体過去十五年ぐらい統計取れるところで〇・四ぐらい違うわけでございますが、そのかなりの部分がICTというIT投資ですね、これによって説明できるという部分がございまして、右端のところに業種別のデータがございますが、様々な業種でやっぱり日本はIT投資などが劣っているということがあるわけですので、この辺りを含めてしっかりとIT投資に恩典を付けていく。  そして、例えば二十一ページ、先ほどざっと御説明させていただきましたが、人的資本のところで、例えば積極的労働市場政策の支出が弱いとか、職業訓練のところが不十分であるとか、そしてベンチャーキャピタルとか起業が進んでいない、そして外国人がなかなか高度人材中心に入っていないということ、外資企業が参入していないとか、この辺りを含めてやはり総合的にやっていく必要があるということでございまして。  労働生産性が低迷している要因というのは、これは複合的なものでいろんな要素があるわけでございますが、やはり人材投資、無形資産投資ですね。今、世界の潮流は、有形資産が付加価値の源泉であった時代から無形資産が付加価値の源泉であった時代に変わっているわけですから、人材投資を中心に無形資産投資をしっかりやっていくだとか、若しくは社会のダイバーシティー、多様性を広げることによってこのイノベーションを起こしていくということも必要だと思いますし、加えて、これは適度なペースでということになりますが、やはり産業、企業の新陳代謝を、これをしっかりと社会政策にも配慮をしながら、この転換をやはり進めるということも重要だと思いますし、加えて、コーポレートガバナンスがやっぱり弱かったわけですから、これらをしっかりしていくような、まさに今申し上げたような労働と資本とTFPに関してそれぞれやるべきことを粛々とこうやっていくということではないかと思います。  ちょっと長くなりまして、恐縮です。

窪田哲也 公明党

○窪田哲也君 ちなみに、我が国とイタリアとの共通点ってありますか。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) イタリアとちょっと正確に比較したことがあるわけではありませんが、恐らくイメージとして言えば、やはり何といいますか、企業が割と分散して、どうしてもやっぱりある程度、規模の経済って働くわけでございますので、そこのあれですね、企業の適切なペースでの集約みたいなものがなかなかやっぱりできていないというところは一つ指摘できるのかなと考えます。

窪田哲也 公明党

○窪田哲也君 ありがとうございます。  先生は、食料品の価格安定に向けた取組について、過度な物価上昇を抑制するのに効果的だというふうに御指摘をこの中でされておりますけれども、食料品の軽減税率部分、今議論をしているところですけれども、この食料品の価格安定に向けた取組ということで、これ価格、過度な物価上昇を抑制する大きな一つだと思いますけれども、食料品の消費税軽減あるいはゼロ%化に向けての御意見がございましたら伺いたいと思いますけれども。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 食料品全体ということでいえば、八代公述人がおっしゃったように、やっぱり米の部分ですよね。そこの部分というのはいろんな波及、お弁当とか含めていえばかなりの部分がございますので、その意味では私はやっぱり、減反政策をやめて、米価を下げて、輸出競争力を付けて、それこそがやはり農政改革の本丸だと考えておるわけでございまして。  例えば、先日、石破総理が農政復古の大号令みたいなことを新聞でおっしゃって、要するに元の農政に戻ってしまったんじゃないかみたいなことをおっしゃっていましたけれども、やはりその減反政策をやめるということをまずしっかりとやっていくということ。    〔委員長退席、理事長谷川岳君着席〕  それから、お尋ねのこの食料品の軽減税率に関して言えば、これはやはり実務上の問題点が非常に多いわけでございますよね。システム改修等に伴う負担が当然あるわけですし、また事業者の資金繰りに対する支援の問題もありますし、それから、例えば簡易課税事業者とか免税事業者への影響等々、それから外食産業に対する影響ですとか、若しくは、食料ですからそれほどはありませんが、やっぱり買い控えだとか買いだめというような、そういうこともあるわけでございますし、また、この二年間、給付付き税額控除までのつなぎとしてやるということになっていますが、これが本当に政治的に考えたとき、ちゃんと二年で終わるのかどうか。ずるずるとやっぱり延びてしまうリスクもあるわけでございますね。  私のちょっと資料の中で六十二ページというところを見ていただきたいと思いますが、食料品の減税というのは、お金、御案内のように五兆円掛かるわけでございますが、費用対効果で見ると、これかなり費用対効果は高くないということがございますので、そしてまた、次のスライドにあるように、二年で終われば財源は二年間で十兆だけれども、これが二年ごと引き上げるような、ゆっくりと戻すのであれば二十七兆円ぐらい掛かったりするわけでございますね。  また、高所得者の方が受益は大きいというようなことがあるわけでございますので、その意味では様々な問題点、課題があるということですが、もしこれをやるということであれば、しっかりと二年間で区切って、二年後のつなぎとしてあくまでやるんだということで、しかも先ほど申し上げたような実務上の問題点をしっかりと解決した上でやると、そういうことではないかと思います。

窪田哲也 公明党

○窪田哲也君 ありがとうございます。  八代公述人に伺いたいと思います。  今日、とても示唆に富むお話を賜りました。東京一極集中を是正していく、私ども、地方に住んでおりますし、地方、主に私、九州を地盤にしているんですけれども、そういう中で福岡ということもおっしゃっていただきましたけれども、やはり道州制を今後目指していくという、そういうのもあると思いますが、そういう中で、どうしても九州の中においても福岡と、私、鹿児島に住んでいるんですけれども、他の県との格差というのは生じてしまうと思うのです。  どれほど福岡が発展しても、他の地域がそれによってどう、確かに農業とかございますけれども、なかなか希望になりにくいというのがあるんですが、この格差ということについてどのように捉えていけばよろしいでしょうか。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) 御質問ありがとうございました。  これは非常に大きな問題ですが、私は所得格差というのはやっぱり個人ベースで考える必要があると思うんですよね。地域格差というと、その地域の中には豊かな人もあれば貧しい人もあるわけで、特に今、日本は人口が急速に減っていると。だから、福岡と鹿児島の人をそのままにして何とかしようと思っても難しいわけで、それはやはり九州全体で、福岡の方に人口を徐々に移していくといいますか、鹿児島の人には大変かもしれませんが、それをしないと共倒れになってしまうんじゃないかということですね。  だから、それはもちろん二地域居住とかいろんなやり方があると思いますが、住み慣れた町にとにかくとどまるんだということで人口減少社会を乗り切ろうというのは物すごいコストが掛かることじゃないかと思っております。

窪田哲也 公明党

○窪田哲也君 ありがとうございました。

石井めぐみ 日本維新の会

○石井めぐみ君 日本維新の会、石井めぐみと申します。  本日は、両先生におかれましては、貴重なお話を伺う機会をいただきまして、ありがとうございます。  私からは、今回におかれまして地域未来戦略を念頭に、地方創生についてお伺いしていきたいと思っております。  政府の地方創生の取組についてですが、人口減少が本格化する中で、政策の前提そのものについても改めて見直す必要があるのではないかと考えます。特に、人口移動の実態や経済合理性を鑑みても、これまでの人口分散を前提とした枠組みが実情と必ずしも合致していないのではないかと思います。  八代先生はかねてより、都市部への人口集中は市場経済の流れとして避けられないとの御指摘をされておりますが、これまでの政府の政策の前提が社会の実勢と必ずしも合致していなかった面も否めないのではないと感じているのですが、いかがでしょうか。また、今後、一定の人口集約も視野に入れた政策へと転換していくことの必要性についても御見解をお聞かせください。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。  先ほどの議員の方の質問と続きになるわけなんですが、これまでは、もうちょっと長い目で見ますと、日本というのはやはり人口がずっと増えてきたわけですよね。ですから、その増えてきた人口をどう養うかということでどんどん分散してきたわけですね、山林を切り開いて畑を作って、そこで食料を増産して。それが今逆転しているわけで、人口が減ってきている中で、これまでの人口がどんどん広がってきたというのを逆方向にしないとやっぱりもたないんじゃないか、それがある意味で正しい地域の均衡ある発展だと思うんですよね。  ところが、田中角栄総理が考えたことは、人々は自分が生まれた土地でずっと生活できるのがいいことだと、移動するのは望ましくないという考え方で、今いるところに居続けながら何とか所得を公平にしようということで、高米価政策とか地方に重点を置いた公共投資をやってきたわけですが、もうそれはできないということをまず前提で考えないといけない。だから、そのときに、人々に勝手に移動しろというんじゃなくて、人々が移動するのを支援するということが大事だと思います。  ですから、これは増田さんが昔言われた、岩手県知事のときに言われた、造らない公共事業というコンセプトなんですよね。これは、ダムで水没した村から人々が移動するときに、公共事業費を使って移転先に住宅を造ったりいろんなことをすることで、こういうことが私はこれからの広い意味の政治として必要なんじゃないか。  それぞれ、今高齢者も含めて住んでいる小さな町とか村をそのまま維持しようというんじゃなくて、何とか移動することに支援することで、できるだけお互いの人々がコストを少なくして集中して、それぞれの地域の主要な都市に集中して住めるようにしていく、いわゆるコンパクトシティーについての考え方ですよね。青森県は、昔から豪雪地帯なので青森市が雪かきをしなきゃいけない。そのときに、際限なく雪かきはできないから、限られた地域の雪かきをするという概念を打ち出したわけですが、この概念はこれからの過疎地域の対策にとって不可避なものじゃないかと思っております。  以上です。

石井めぐみ 日本維新の会

○石井めぐみ君 ありがとうございます。  では、ちょっと違う視点から、女性や若い世代に選ばれる地域づくりについてお伺いします。  地方の持続的な発展のためには、若い世代、とりわけ女性に選ばれる地域であることが重要であり、働き方やキャリアの選択肢がそのまま居住地の選択につながっていると認識しております。その中で、地方から女性や若年層が流出し、都市圏への集中が止まらないのが現状です。そこで、今後は、人口減少を前提に、構造改革や産業政策を通じて選ばれる地域づくりへと重点を移していくことが必要だと思います。  そこで、八代先生にお伺いします。  専門職や質の高い仕事を地域に根付かせる上で、どの分野から優先的に見直していくべきか、御見解をお聞かせください。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ただ、政府がそこまで細かくやるというのは私は無理があると思いますので、やはり女性が働きやすい仕事をつくると。それは、結局企業の中で働くことなんですよね。だから、自営業中心のやっぱりどうしても社会になってしまっているのが多い地域だと思いますが、やはり女性が働けるような、専門職として働ける場合にはもっと企業を活用していくと、繰り返しになりますが、農業も含めてですね。  それから、何といっても地方の政治家の方が意識を変えてもらうと。例えば、男女共同参画の調査によると、個々の県の中の市町村議会に女性議員がゼロのところが実にたくさん多いんですよね。女性議員がゼロということは、その地域ではやっぱり女性に対する偏見というか、社会的評価が低いことの表れなわけで、これはやはり恥ずかしいことであると。  そういう、何というか、やっぱり最低どんな議会でも一定数の女性議員がいれるような環境をつくっていく。これはもうもちろん有権者の意識もありますけど、自治体が力を、何というか、意図的にそういう女性の地位を上げていくということを東京と競争してやらなければみんなやっぱり東京に来てしまうと、女性がですね、そういう循環が今起こっているんじゃないかと思っております。

石井めぐみ 日本維新の会

○石井めぐみ君 ありがとうございます。  私も、この参議院議員になる前は地方議員を経験しておりまして、十五年前は女性議員が少なく、なかなかちょっと議員としての活動が本当に理解してもらえる機会が少なく、苦労したところもあります。そういった部分で、この改革をするために参議員になったというところもありますので、すごいいいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。  また、先生の資料の中で、高齢化社会、シルバー市場の活用ということと、あと農業改革ということでお話がありました。制度や資源配分が競争や効率性を阻害しているのではないかとの御指摘もあります。これらに共通する構造的な課題をどのように捉えるのか、また今後の制度改革の方向性について、御見解をお聞かせください。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) これは難しい御質問ですけれども、やっぱり私は、日本はもっと市場を活用するというふうに持っていかないといけないと思います。どうしても市場に任せておくと企業は愚かな行動を取るから政府がそれに介入するという、一昔前の産業政策のような考え方が復活していないかとも危惧をしているわけですよね。  私は、政府と市場との役割というのはサッカーの試合における審判と選手の関係のようなもので、やはり政府は必要です。それは審判として必要なわけで、政府が選手と一緒になって、審判が選手と一緒になってボールを蹴るような状況というのは望ましくないわけですが、官民協調という形で、やっぱり責任の取れない政府が企業と一緒になって何か産業を興していくという考え方には、やや危惧をしているわけです。  もちろん、そういう先行投資が必要な分野もあります。宇宙開発だとかそういうものがありますが、やはり農業とかそういうところは、もっと企業が自由に活動して、農民の人と一緒になって地域を興していけるというような環境をつくるのが国の役割であり自治体の役割ではないかと思っております。そのためには、今ある特区制度、構造改革特区とか国家戦略特区なんかをどんどん活用して規制改革を進めていただきたいと思っております。    〔理事長谷川岳君退席、委員長着席〕

石井めぐみ 日本維新の会

○石井めぐみ君 ありがとうございます。  熊谷先生にお伺いします。  地域産業の方向性についてお伺いいたします。  地方の持続的な発展のために魅力ある雇用の創出が不可欠であり、その前提として産業構造の転換が重要であると考えます。成長分野へのシフトと既存産業の付加価値向上を通じて、地域の強みを生かした、地域の強みをいかに生かしていくかが問われているのではないでしょうか。  そこで、先生にお伺いします。  今後、地域はどのような産業分野に取り組むべきか、また、女性や若者に選ばれる魅力ある労働環境とどのように結び付けていくのか、あわせて、それを支える地域ごとのニーズに応じた政策や制度の在り方について、御見解をお聞かせください。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  大枠のところでいえば、やはり地方の問題というのは、よくニア・イズ・ベター、近い方がいいと言いますが、例えば経団連などが新しい道州制みたいなものを提案されていますので、ある程度広域にして、そこに権限を渡して、近いところで問題を解決していくというのがまず第一歩ではないか。  そして、ちょっと私の資料で七十六ページのところを御覧いただきたいんですけれども、私は地方には大きな伸び代があると思っていて、特に地方の非製造業の生産性を向上できたとき、一定程度できたときに潜在GDPは四・七上がり、十分に発現すれば九・四上がる。一番下の行で、一番うまくいったときは日本のGDPが一割以上上がるぐらいの、これぐらいの潜在的な力があるのではないか。  一つ御参考として、八十ページのところで、私どもがそれぞれの地域でマーケットのポテンシャル等を見たときにどういう産業というのが注目されるかというのを、これを少し定量的に分析をしておるものがございますので、例えばこういったものなどを御参考にしていただきながら、最終的にはニア・イズ・ベターで地域の方々が決めていただく。その中で、当然ながら、やっぱり企業としては女性が働きやすい環境ですとか、今はもうそうしないと人が集まらない状況になっているわけですから、それは社会政策としてやるというよりは、競争政策として女性が働きやすい環境を企業がつくるべきだということだと思います。

石井めぐみ 日本維新の会

○石井めぐみ君 ありがとうございます。  時間が来ましたので、終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 本日は、貴重なお話を伺わさせていただきまして、ありがとうございました。  参政党の塩入清香と申します。よろしくお願いいたします。  まず、八代先生に伺いたいと思います。  世界と競争する東京の足を引っ張る形で一極集中の抑制という地方の保護政策が行われているとのお話がございました。私の認識ですと、ふるさと納税などで各地域に税収の競争をさせているだけで、地方交付金も二〇〇〇年には二十兆円を超えていたものが、その後十五兆円まで減らされて、ずっと横ばいという形になっております。対GDP比、近年ちょっと回復していますけれども、対GDP比も下がっております。  そんな中で、参政党の政策でも訴えているのは、多極化とか多文化とか災害対策も考えて様々な機能を地方に分散させていくというバックアップ機能を持たせるということにおいては分散というのは大事だと思っておりまして、そういった地方に、一定の規模の地方都市に仕事とか教育環境とか医療環境などがそろっていて初めて人口というのが定着するというふうに考えます。  そういう意味において、現状の先生が前提とされている保護策というものが実は十分に保護政策になっていないんじゃないかという疑問がございますが、その辺りはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。  ただ、私はその保護政策自体が良くないと考えていますので、保護政策が十分でないということは別にいいんじゃないか。だから、むしろ問題は、東京から保護するんじゃなくて、議員がおっしゃったように、やっぱり地方それぞれでちゃんとした、災害のときの対策とか女性の雇用を守るとか、いろんな形で人口の集積が必要だと思うわけですね。それは東京に行く人口を無理やり引き止めるんじゃなくて、地方にばらばらに存在している人口を地方の主要都市に集中していく、それぞれの地方ごとにですね。そういう形で人口減少社会に対応していけるんじゃないだろうか。  地方は、もちろんいろんな、東京と比べて魅力があるわけです。今特に、デジタル化社会になっていれば、別に東京にいなくたって東京の仕事ができるわけですから、そういうことをバックアップするために自治体の中ではいろんなネットワーク機能をつくったり支援するところもあるわけでして、だから、一極集中じゃなくて、多極化という形でそれぞれの地方の主要都市に人口を集中する。もう人口の集中自体は避けられないと思っております、日本全体が減るわけですから。そういう形で地方を復興していくということが大事じゃないかと考えております。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。  保護政策が良くないというふうにそもそもお考えだということなんですけれども、やはり東京がいわゆる世界との競争力を持つということも先生おっしゃっていらっしゃったんですけど、以前の記事でおっしゃっていらっしゃるんですけど、東京の競争力を維持するためにはやっぱり地方にしっかり投資して、東京はそれこそ自分たちの胃袋を自分たちで賄えるような状況にもないですし、農業政策も含めて地方にしっかり投資していくことこそが東京の世界的な競争力をもたらすというふうにも考えられるんですけれども、いかがでしょうか。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) 議員のおっしゃる点は物すごく大事だと思います。  東京だけが栄えてはやっぱり駄目なんですね。それは何といっても独占になってしまいますから、だからこそ地方の主要都市がもっと元気になって、それで東京と競争をすると。大阪なんかは典型ですけど、大阪人の考え方は東京人とはやっぱり違うわけで、それを生かして過去は随分発展してきたわけですが、それが過去の工場等制限立地法によって東京と大阪がすごい打撃を受けた。東京は政治の力がありますから生き延びたんですが、大阪が物すごくその被害を受けて、工場がどんどんアジアに行ってしまったりするわけですね。  ですから、政府が個々の都市を発展させようとして投資するということ自体が私は非常に、それが正しいかどうか分からないわけです。だから、それぞれの都市が一生懸命投資して、京都だと文化都市ですし、それぞれの特徴を生かしてやって、それに対して政府が支援するという形が望ましいんじゃないかと思っております。  それぞれ地方には有力な都市があります、今でも。だから、それを、都市をやっぱりそれぞれ地方の中で育てていく。そのためには、何というか、人数が少ない市町村から希望する人をそういう地方の主要都市に移すことに支援するということも考える必要があるんじゃないかなと思っております。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 よく分かりました。ありがとうございます。  そして、ちょっともう一つ伺いたいのが、高齢者の方のライドシェアが不可欠であるというふうに先生お書きになられていたんですけれども、そもそも地方においてライドシェアを普及しても、結局は過疎地域にライドシェアというのは定着しない現状がございます。というのは、いわゆる民間企業ですから利潤を追求するという目的がそもそもあるわけで、そういった方たちが定着しないからこそ公の交通機関、交通網を維持することが必要だったと考えるんですが、先生はその辺りはいかがでしょうか。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。それは非常に大きな点だと思います。  ただ、それは、公共交通を維持するというのは物すごく難しいわけで、一つは、お客が少ないということと、職業運転手がとにかく今確保できないという問題があるわけですね。  それで、おっしゃったように、利潤を追求するというのはタクシー会社のことであって、タクシー会社はもう地方では採算が取れないからどんどん撤退しています。だけど、そこに住んでいる住民はみんな自家用車を持っているわけですよね。その住民が要するに自分の仕事で行くついでに高齢者を乗せるというのは、別に利益の追求というほどのことではなくて、一種のアルバイト感覚なわけですね。だから、ウーバーのようなものは、言わばネットワーク会社でそういうようなものを組織化するということで、タクシー会社とは大きく違うわけです。  日本ではライドシェアがなぜ進まないかというと、使ったことのある人がほとんどいないわけです。私も実は、ボストンに分校がありまして、そこに行ったときに、夜、学生六人と食事をして帰ってきたら、タクシーはない、タクシーを待っている人もないと。どうしようかと思ったら、学生がウーバーを呼んでくれて、七人乗れる車が欲しいと言ったら、十分間でそれが来たんですよね。私が運転手の人にこの近くにお住まいですかと言ったら、そうじゃない、遠くの州に帰る途中に呼出しあったから来たんだと。これ、すばらしいビジネスモデルだと思われませんか。  つまり、横の高速道路を走っている車の一台が寄るだけでライドシェアが成り立つわけで、タクシーだと運転手が待っていなきゃいけないんですよね。これは物すごくコストが掛かることで、なり手もいない。だから、このすばらしい、アメリカで生まれましたけど、中国でも発展しているようなライドシェアをなぜ日本は拒否するのか。  これは助け合いの一つなんですね。だから、まさに過疎地域でこそ使える仕組みなので、是非、タクシー会社のそれこそ利潤追求のためにこのライドシェアを潰している現状を議員として是非改善していただきたいと思っております。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございました。ライドシェアに関しては更に勉強してまいりたいと思います。  ただ、やっぱり危険性の部分とか、海外においても様々な事例がございますので、複合的に考えていかなくてはいけないと思います。  そして、熊谷先生にも質問させていただきたいと思います。  先ほど、外国人労働者がGDPを押し上げるという御発言がございました。現時点でも、平均して二割程度、日本人よりも給与が低い外国人労働者を増やすことで日本人が外国人労働者の安い労働力と競争させられてしまって、結果的には賃金が引き下げられる、あるいは賃金上昇を阻害してきたという面についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 御質問ありがとうございます。  私の資料の五十六ページのところをちょっと御覧いただくと、ここで諸外国における外国人労働者を受け入れたときの様々な研究がございまして、見やすいように赤字で書いてあるのがプラスの影響、青字で書いてあるのがマイナスの影響ということで、賃金、雇用、生産性、年金等々についてそれぞれ、全体としてはまちまちの状況で、プラスのこともあればマイナスのこともあるということでございますけれども。  ただ、日本の場合は今完全にもう人手不足の、先ほど来議論が出ているように人手不足の状況なわけですから、大量に一律に入れればそれは問題がありますけれども、とりわけ特定の業種でもう明らかに人が足りないところというのがあるわけですね。そこに対してかなり選別的に管理する形で入れていくのであれば、それほど大きな問題というのはないのではないか。  具体的には五十七ページでございます。五十七ページのところで左半分の部分で、足下から外国人が横ばいのケース、それから、ベースラインというのはこれは社人研の推計でございます。それから、増加ペースが加速をした場合、これは二ページ前の五十五ページのところで私どもが試算をしているわけでございますけれども、これらを右のこのグラフのところで、定量的なモデルに入れて分析をしていくと、足下から横ばいのときと比べると、ベースライン、社人研のケースは〇・四%、平均的な潜在GDPが増加をして、更にその増加ペースを加速したときは、ベースラインと比べても〇・五%ぐらい加速をするということでございますので。  もちろん、先ほど来申しているように、あくまで、その外国人全て入れるというよりは、ちゃんとルールを守ってくれる方に関して、しかも中低技能労働者に関して言えば業種をある程度特定しながら、高技能労働者はしっかり入れていくというような、そういうめり張りのある政策が必要なのではないかと考えます。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 時間になってしまいましたので、私の質問これで終わらせていただきます。今日はありがとうございました。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 お忙しいところ、ありがとうございます。  日本共産党の大門実紀史です。  八代先生、お久しぶりでございます。覚えていらっしゃいますか。いやいや、日付いつだったかなと思ったら、調べたので、二〇〇八年三月二十五日のこの予算委員会公聴会だったんですけど、公聴会というよりも、忘れもしない、大激論になって、八代先生対野党でですね。  といいますのは、二〇〇一年から小泉構造改革が始まって、竹中路線となって、当時は参議院の自民党の方も反竹中という人が結構いたりしたんですけど。八代先生は、財政諮問会議の委員やっていらっしゃったんですね。したがって、規制改革論者ということで、もう野党のターゲットに公聴会がなって、大変な激論になったのを覚えておりまして、当時大変失礼したかもございませんけど。十八年ぶりということなんですけれども、当時一番厳しく八代先生追及したのは櫻井充さんなんですよね、今与党ですけど。私は比較的紳士的に質疑したんじゃないかなと思っておりますけど。  あれから十八年たって、改めて規制緩和、規制改革論というのはどうなのかということを一遍聞いてみたいなと思ったんですけど、本当にあのときは規制緩和万能論みたいなのがまだあって、ところが、その後いろんなことがあって、やっぱり公の役割、公共の役割も大事じゃないかというふうに世界的にもなってきて、民営化民営化でいったのが再公営化の流れになったり、いろいろ変わってきましたですよね。  そういう点で、改めて、八代先生の規制改革論、何か変化があったんでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。当時、鴻池委員長の時代でして、覚えております。  それで、御質問なんですが、規制改革の考え方に変化はないんですが、残念ながら時代が逆行してきまして、小泉内閣のとき、第一次安倍政権の頃はやはり変えなければいけないと、今の日本の現状を。それがどっちかといえば主流で、余り急ぎ過ぎてはいけないという反対論もあったんですが、今や残念ながら規制改革のキの字も聞こえてこないと。やっぱり、健全なる財政政策というのが主流になって、それはそれでもちろん大事なんですけれども、健全なる財政政策も、それを使う対象がちゃんと市場ベースにならないと擦れ違ってしまうんじゃないかと。そういう意味で一層、規制改革、制度改革の必要性というのは高まっているんじゃないかと思います。  ですから、やっぱり生産性が低いということも、需要が足らないわけではなくて、今現に人手不足ですから需要はかなりあるわけですね。問題は、企業が投資をしないというのは、やっぱり投資してももうからない。もうからないというのは、やっぱり市場に制約があって企業が自由な行動をできない。だから、そういう規制改革の必要性はそのときよりもはるかに今は高まっているんじゃないかなと思っております。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。  私も、何もかも規制しろというふうに申し上げているわけではなくて、やはり公の役割の果たすべきところは、大事な規制もあると思いますし、コントロールが必要じゃないかなと思っているところで、市場万能主義というのは様々な弊害を生んでいるんじゃないかと思うところです。  改めて、あのときの議論でちょっと気になることがあったので、あのときは林芳正さん、今の総務大臣ですね、が質問されて、規制緩和について、その重要性といいますか、効果について質問されて、そのときに八代先生は、参入規制、外資規制、こういうものは取っ払って、競争を通じて経済の活性化という中で、二〇〇二年に行われた都市再生特別措置法について言及されておりまして、容積率の緩和、大都市の中心部はまだ効率化ができる、余地がある、高度利用が妨げられていると。それが、都市再生特別措置法で特区が可能になるとか容積率の緩和ができるということで、これは大変、それによって住みよい生活ができるというようなことまで言及されていて、これは私のずっと、そのときの質問の私のお答えの中にもおっしゃったわけなんですけれど、今、あれから十八年、どうなっているかですね。  東京が、おっしゃったとおり、都市再生特別措置法で特区を設けられるようになって容積率の大規模な緩和をやって、今、億ションと言われるのが乱立をして、しかも投資、投機の対象になって、海外マネーも入っていて、挙げ句の果て、もう東京のサラリーマンが東京で持家、家を持てなくなっている、マンション買えなくなっている、家賃も物すごい値上がりになっているという点を考えますと、あのとき先生がおっしゃった都市部における、今日も議論になりましたけど、都市部における住みよい生活というのはやっぱり規制緩和だけでは実現しなかったのではないかと、現実的にそう思うんですけど、いかがですか。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) 御質問ありがとうございました。  今、億ションというか、マンションの値段が非常に高くなっている、なかなか普通の人は買えない。どうすればいいのか。家賃を下げるわけですね。家賃を下げるためにはどうしたらいいか。供給を絞ることか供給を増やすことかといえば、それは供給を増やすことにあるわけですね。  ですから、やはり今そういう、議員がおっしゃったように、容積率の緩和というのもされていますが、それは特定の地域だけで、東京駅の周辺とかそういうところはビルがたくさんありますし、何というか、元商業地区というか、そういうところでどんどんマンションが建っているわけで、ある意味で一部に偏っているわけですね。  ですから、やはり私は、東京都も考えていますように、例えば環七の中は環七の外とは区別して考えるべきじゃないか。やっぱり、環七の内側にも一戸建ちの住宅がたくさんあるわけですけれども、私はパリに六年住んでいましたけれども、パリで一戸建ちなんというのはないんですね、あの環状線の中は。物すごい大金持ちしか一戸建ちには住めないわけで、普通の人は中層のマンションといいますか、六階建て、七階建てのマンションに住んでいる。もし環七の内側がパリのように、そういう中層のマンションが大部分になっていれば、もっと多くの住宅が供給されて、別にそんなタワーマンションに住まなくても普通のマンションに住める人がたくさんできるんじゃないか。  だから、議員がおっしゃったこととは意見は違うわけですが、私はもっと、この容積率の緩和というのが不十分で、東京都が緩和しても二十三区が反対するというような形でなかなか実現していない。だから、それが緩和されている商業地域というごく一部のところでやたらに高層マンションが乱立するという、非常にある意味で健全じゃない状況が起こっているんじゃないかと、そういうふうに考えております。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。  是非東京の全体の地価を見ていただきたいんですけど、上がっているのは、都市部が上がって、都心部が上がって、周辺が上がって、新築が上がって、中古が上がって、この土地の住宅の高騰というのはもう全区的に、全都的に広がっておりますので、ちょっとおっしゃったのからもう波及しているという点は申し上げておきたいと思います。  熊谷公述人にお聞きします。  中国経済、アメリカ経済、日本経済のお話がありましたので、私は三者密接に結び付いていてどれも大事だと思うんですよね。  そういう点で、日米中経済のこれからの在り方なんですけれども、トランプさんが中国封じ込め戦略ということをやってきたんですけど、必ずしも成功していないと。関税も掛けても、中国は、じゃ、アメリカ一番じゃなくてEUとやるとか、方向転換していますよね。簡単に言うと、ハイテク分野ですね。ハイテク分野も封じ込めようと思っても、いまだ中国、一番ハイテク分野伸ばしていますよね。  そういう点で考えますと、アメリカに訪米、参議院から訪米団で行ったんですけど、アメリカは結構したたかでございまして、中国に拳を上げているようなふりをして、ふりをしてというか、結局は決定的な対決するつもりはないという中で、日本だけは何かアメリカの中国封じ込め戦略に付いていって、乗っちゃっていくのはちょっと危ないのではないかと。日本はやっぱり自分の頭で考えて、国益を守って、主権を守っていくべきじゃないかと思うんですね。  そういう点でいきますと、日本の貿易相手は今、中国を含むアジアが半分になっていますよね。アメリカは一五%ぐらいですよね。そういう点でいきますと、これからはアジアを非常に重視して日本の貿易関係も考えていくべきではないかと思いますが、一言お願いいたします。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) ありがとうございます。  基本的にはおっしゃるとおりだと思いまして、アメリカ一辺倒ではなく、やっぱり多国間外交を同時に、したたかに全ての方位に対してしっかりした外交を展開することが肝要である。  ただ、先日のあの日米の首脳会談に関して言えば、これはやっぱり日本は様々な中国との間での緊張みたいなものはあるわけですから、先日の対応はあれはあれで一定の評価ができるのではないかと考えます。

大門実紀史 日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございました。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 大島九州男でございます。  お二人の公述人、今日はありがとうございました。  さっき道州制という言葉を久々に聞きまして思い出したんですけど、私が地方議員のときに、三十年ぐらい前になるんですけど、道州制というのはもう県の合併みたいなもので余り意味がないと、日本独自の連邦制国家をつくるっていうのでキャプテン@九州という政治団体をつくって、九州を一つの独立した形で運営できるものにしようというふうなことを活動していたことがあるんですが、お二人の公述人、道州制というのはどうかと。私は余り意味がないと思っているので、そこら辺、御見解を。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。  議員は私よりもっと過激なお考えを持っておられて、私も、道州制というのは確かにちょっと昔のイメージなんですが、もうちょっとそういうブロックに自治権を与えると、アメリカの州に近いようなですね。もちろん、外交とかそういうものは駄目なんですが、もっといろんな法律で、言わば特区みたいなものでいいんじゃないか。なぜならば、これからの日本というのは、とにかく今後どうしていいかと、先例がないわけですね。だから、もう知恵を集めなきゃいけない。  アメリカにはいろんな問題がありますが、一つのアメリカの良いところは、州がそれぞれ独自のルールを持っていて、がんがんそれをやるわけですね。それでうまくいく法律もあれば、うまくいかないものがある。例えば会社法だと、デラウェア州の会社法が一番いいとなると、ほかの州がそれをまねする。  だから、日本でも、例えば九州の都市国家がいい政策を取ったら北海道がそれをまねするとか、お互いにまねし合う、そういうような、何というか、そのブロックごとの競争関係を維持するということが、東京だけが決めるよりもずっといい社会になるんじゃないかなと思っております。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) ありがとうございます。  私が先ほど申し上げた道州制というのは、昔の道州制ではなくて、最近、経団連などが新しい道州制というもので言っていますが、それは今、八代公述人がおっしゃったようなものとある程度親和的なものであるということです。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 八代公述人、まさに私どもで言っていたのは、アットマーク九州、アットマーク北海道があって、関東、関西があってと。例えば、東北なら税収格差が出るじゃないかと。そうしたらどうするかといったら、九州と関東が協定を結んで、税収を譲ってもらったら、東京の人が九州に来るといろんな割引制度があるとか、そういうような知恵を出し合ってやることで地域の主権、独自なものを光らせるという、それを三十年前にやっていたというのは今考えたら私も大したものだなと、まあそれは冗談ですけど。  八代公述人が先ほどライドシェアのことをおっしゃいましたよね。当然あれも民主党時代にやっぱりタクシー業界からいろいろ陳情を受けた。今考えたら、都会は今のままでいいとしても、田舎は、はっきり言って犯罪率も低いし、みんな知っている顔ですから、そういう意味では地域限定の、田舎は本当のライドシェアをやったらいいと思うんですけど、そこら辺はどうですか。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。  先ほど、ライドシェアは怖いという考え方で、これは特に女性の方がそう言われるんですが、ただ、アメリカの犯罪率と日本を比較しても仕方がないので、アメリカはもうタクシーも同じぐらい怖いわけなんですよね。  ですから、むしろ日本ではライドシェアを活用することによって、あれは物すごくよく考えていて、もう誰がどこで乗ったか、どの運転手が誰を乗せたかというのを全部本部が把握しているわけで、悪いことをすれば確実に捕まるわけです。それから、カメラも全部機能していて、お客が非常ボタンを押したら最寄りの警察に直ちにSOSが行くというか、いろんなことを考えているわけですね。それでもやっぱりライドシェアは嫌だという人は乗らなければいいわけで、その分、タクシーに乗っていた人がライドシェアに移ればタクシーを待っていた人の行列が短くなるわけですから、あくまでこれは選択肢の一つなんですよね。  だから、おっしゃったように、顔見知りの多い地方の方がはるかにライドシェアというのは効率的ですし、都会でも深夜になればもう車はないんですよね。だから、そういう意味では、やっぱりこれからどんどん職業運転手という人のなり手も少なくなって、そういうときにまさにこの知恵なんですよね、ライドシェアというのは。普通のほかの仕事をしている人がついでにやる、兼業としてやることによってもう限界コストがゼロに近いわけで、ガソリン代も少ないですし、そういうものが日本だけ何か何となく怖いということで採用しないというのは非常にもったいないことだと思っております。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 一律に何でもやるというのはなかなか難しいと思うので、そういう意味では私は地域限定してやるというのは一つの案だなというふうに思っております。  熊谷公述人にお伺いしたいんですけど、私は、円安と円高、じゃ、どっちがいいのかといったら、それはもう大企業、輸出する企業にとっては円安ウエルカムかもしれないけれども、国民にとっては円安って何かメリットあるのと。私は、円高は国の価値が高いんだからいいじゃないかという考え方を持っているんですけど、ここら辺、百三十円台がちょうどいいんじゃないとおっしゃっている根拠とか、円高、円安についてのちょっと見解をお願いします。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) ありがとうございます。  先ほど九ページのところで百三十と申し上げましたが、例えば、帝国データバンクが企業全部に聞いていますけれども、これだと大体百十円台から百二十円台というところが、これが五割以上を占めているという、そういう状況ですので、その意味では、一部の輸出の企業に関して言えば円安で潤うけれども、たくさん物を輸入している企業などもあるわけですから、恐らくやっぱり適温のところがあって、それが恐らくはぎりぎり円安で見たとしても百三十ぐらいのところなんじゃないかなと考えるところであって。  それから、もう一つちょっと今心配なのは、要するに、今、物価が高くて実質賃金が低迷しているから対策を打つわけですよね。経済対策を打つと、そこでまた国債が発行されて、それを日銀が買うことになりますから、更にまた円安が進むと。円安が進むと、また輸入物価が上がって、結果的に実質賃金が下がるというですね。そういう意味で、インフレと円安の悪循環が起きるリスクというのが存在する状況だと思いますから、やはり国民の実質賃金を上げるという観点からも、円安をやはりこのまま放置するということは私は問題があるんじゃないかと考えます。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 まさに、そういう発信をしていただかないと、何か今、円安は日本にとっていいみたいな、それは全然違うだろうと、庶民のこと考えているのかというのが私の基本的な意見なんですけど、それでいうと消費税というのは何なんだと。  はっきり言って、輸出する側の企業にとっては還付金があったりするわけですよね。今回、食品消費税ゼロみたいなことを言っていますよね。これで簡易課税と免税に非常にみんな、農家の人たちは目が行くわけですよ。結局、還付が受けられないから、本則課税に行ったり、自分たちが登録をしていって、そこで把握されていったら、もう全て、財務省はもうこれで簡素な消費税、付加価値税を完成するんだみたいなところに行く入口になっているんじゃないかと。  だから、野田さんとか、今まで絶対消費税下げるの駄目だと言っていたのが公約に挙げたりするような流れになっているという、私はそういう見解を持っているんですけど、それぞれ御意見どうぞ。

八代尚宏 昭和女子大学特命教授

○公述人(八代尚宏君) いろんな面があると思いますが、先ほど、円安が得か円高が得かというのは非常に基本的なポイントで、私も学生時代に先生に聞いたことがあります。それは立場によって違うんですよね。おっしゃったように、企業にとって、輸出企業にとって円安がいいと。しかし、輸入する企業、それから消費者は基本的に輸入する方ですから、今ツーリストが増えてきて外国人が日本に来て、日本って物が安くていい国だねと言って帰るわけですが、それは我々から見ると、日本人の労働力を安売りしていることになるわけですよね。かつては、円高のときは、日本人の観光客が外国に行って同じことを言っていたわけです。  だから、円安も円高も望ましくないですが、今の円安水準は余りにも行き過ぎであると。何を基準にするかというのは難しいですが、例えば私が勤めておりましたOECDが出している購買力平価という二国間の物価を直接比較するような水準だと一ドル百円ぐらいなんですよね。だから、消費者から見たときは私はもう少し、百三十円より円高の方が望ましいんじゃないかなとは思っております。  以上です。

熊谷亮丸 株式会社大和総研代表取締役副社長兼副理事長

○公述人(熊谷亮丸君) 食料品の消費減税に関して言えば、先ほどほかの先生の、委員の方への答弁で申し上げましたが、やっぱり様々な問題あって、これはもう問題山積しているということだと思います。  それからあと、消費税自体に関して言うと、これは逆進性の問題等々あるわけですが、やはり所得税が高齢化していく中で取れなくなっていく中で、消費は高齢者の方でもやるわけでございますから、やはりそれは、諸外国などで見てもそれは入れているということですし、また、日本は国際標準のインボイス入っていませんでしたが、それは一応これから、入ってきたという状況の中で、私は、消費税自体を否定するのではなくて、そのメリットを生かしながら、消費税に問題点があるのであればそれを是正する政策を取ることが肝要なのではないかと考えます。

大島九州男 れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございました。  簡素な税金を目指す財務省にこれから徹底抗戦していかなくちゃいけないと思っているところでございました。ありがとうございました。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々にお礼を申し上げます。  本日は、有益な御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。今後、委員会運営にもしっかり反映させていただきたいと思います。委員会を代表いたしまして心からのお礼を申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後一時五分休憩      ─────・─────    午後二時開会

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。  令和八年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。  この際、公述人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙の中、本参議院予算委員会に御出席を賜り、御意見を頂戴できることをとてもうれしく、感謝申し上げます。委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。  本日は、令和八年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、外交・安全保障・エネルギー・物価について、公述人キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問宮家邦彦君及び合同会社エネルギー経済社会研究所代表松尾豪君から順次御意見を伺います。  まず、宮家公述人にお願いいたします。宮家公述人。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 本日は、参議院予算委員会の公聴会、公述人としてお招きいただき、誠にありがとうございました。  本来であれば、イラン情勢ですとかいろいろ関心の多いものがあると思うんですけれども、必要があれば後ほど御質問にお答えすることにいたしまして、今日は、僣越ながら、私が現下の国際情勢をどのようにして見ているのか、その上で、日本の安全保障、外交はどうあるべきなのか、卑見を申し述べたいと思っております。  現時点で私の仮説を今用意してまいりました。ここにお配りいただいた発言要旨にもありますけれども、仮説の一は、この幸せな過去の八十年間、安定して、予測が可能で、何となく幸せだったこの戦間期、戦間期というのは大戦と大戦の間ですよね、ちなみに第一次大戦と第二次大戦の間は二十一年、今回は八十年続いたんですね。しかし、この八十年が終わってしまったのではないか、終わりつつあるのではないかという仮説でございます。  二つ目は、もしそうであれば、我々は発想を変えなきゃいけなくなっているんじゃないのか、従来の常識にとらわれない新しい国家戦略が必要なのではないかというこの二点について、なぜ私がそう考えるかをお話ししたいと思っております。  まず、このお手元にある紙で言いますと、一番目、地球規模の話なんですが、グローバルな視点から始めたいと思います。  地政学というのは私好きじゃないんですけれども、今、グレートゲームという概念があるそうです。元々は十九世紀の中央アジアをめぐるイギリス帝国とロシア帝国の対立、これをグレートゲームと呼んでいたんですけれども、大きな意味でいうと、ユーラシア大陸のハートランドというのが真ん中にありまして、ハートランドのランドパワー対その周辺にあるシーパワーの争いというふうに見ることも可能だと思っています。  もしそうだとすると、私はこれが、十九世紀の最初のイギリスとロシアの両帝国の対立がその後どうなったかと。イギリスの代わりにアメリカが入ってきた。そして、ロシアはロシア改めソ連になって、そして次の対立が生まれました。これを我々は普通、冷戦と呼んでおります。私はこれをグレートゲームパート2と考えております。  その後、ソ連がまたロシアに戻りました。しかし、ウクライナ戦争で疲弊をしました。代わって、ユーラシア大陸の中央部ではロシアに代わって中国が台頭しつつあるのではないか。それに対してアメリカが牽制を始めたのではないか。このような発想で私は今、物事を見ております。あくまでも仮説です。この米中の対立というものを私はグレートゲームパート3とあえて名付けて、勝手に名付けさせていただいております。  パート3は、三番だからいいということではありません。実は、大きな問題がございます。グレートゲームパート3の最大の問題は、過去、先ほど申し上げた八十年間の国際的なルール、先ほど申し上げた、幸せで、安定した、予見可能な、しかし大義名分は、自由で、民主的で、オープンで、ルールに基づく国際秩序、これが過去八十年間何とか曲がりなりにも保たれてきたわけですが、このグレートゲームパート3ではこの八十年の幸せな戦間期が終わっているのではないか。冷戦の時代もこの八十年の間に行われましたから、まだ制御が可能だったんですが、私は今回はちょっと違うのではないか。  そして、言うまでもないことですが、この八十年間の国際ルールというのは、これは大国というよりも、むしろ日本を含む中小国にとって有利な制度だったわけですね。それがなくなる、もしなくなるとでもなれば、日本は非常に厳しい立場に置かれるのではないかというふうに考えているわけでございます。  続きまして、二ポツ目の地域情勢に移りますが、グレートゲームパート3で最大、私が最も懸念しているのは何かというと、この八十年間はうまく機能したかもしれない抑止効果が薄れていくのではないかという仮説でございます。  グレートゲームパート3が始まるとほぼ同時に、世界の各地で地域紛争、戦争が再び起き始めたのはこれ決して偶然ではないと思っています。自由で開かれた国際秩序が揺らぐに従って、戦争若しくは紛争の抑止力が機能しなくなっているのではないか。その典型例がウクライナではないのか。  我々は、ウクライナでロシアの抑止に失敗したんですね。そして、ガザでは、実は我々はハマスとイランの抑止に失敗したのかもしれない。さらには、言い方は難しいですけど、イスラエルを抑止することにも失敗したのかもしれません。もし次の抑止の失敗が、中東、欧州ではなくて、インド太平洋地域だったら大変なことです。こうならないことをもちろん祈るしかないのでございます。  じゃ、何でこんなことが起きちゃったのかというのが次の三番目にあります国内情勢の問題でございます。  これ、各国の内政と関連していると私は考えています。冷戦時代、この八十年間の幸せな時代には、冷戦が少なくとも終わるまでは西側諸国の民主主義というのは、良くも悪くもと言ったら失礼ですけれども、中道というよりも、穏健な左派と穏健な右派が、これ両方とも政治エリートなんですね、各国では、皆さんも含めてですけれども、その政治エリート同士の切磋琢磨で政権交代を行うことで民主主義が保たれてきたんですが、これが九〇年代以降、状況が変わってしまいました。  なぜかというと、IT革命が起きた、そして弱肉強食の資本主義が戻ってきた。その結果何が起きたかというと、格差が広がったんですよ。格差が広がると、負け組と勝ち組に分かれますよね。そして、その負け組というか、忘れ去られた人々、この格差の拡大で犠牲となった忘れ去られた人々の不満ないし怒りが、これの受皿ができたんです。これが左右の極端な、場合によっては特に極右のポピュリズム若しくは自国第一主義になっていくんだと私は思っています。これはもう既にドイツでも見られる、フランスでもあり、イギリスにもあり、アメリカでももちろんあります。そして、同様の現象がもしかしたら失われた三十年を経験した日本でも起きているのかもしれない。決して例外ではないのではないかというのが私の仮説でございます。  このような時代になりますと、各国で、今までのように理性が優先するんじゃなくて、物理的な力が優先したり、場合によっては啓蒙主義的な国際主義に対する支持、関心というものがどんどんどんどん衰えていく。その結果何が起きるかというと、それは我々にとっては非常に有利な制度だったんですけれども、それに代わりまして、国力が衰退していくかもしれない大国、若しくはこれから更に国力を伸ばそうとしているような大国同士で、そんなことを夢見る大国同士で国際ルールの書換えが始まっているのではないかというふうに私は恐れているわけでございます。それが国内情勢に関する私の見方でございます。  続きまして、じゃ、インド太平洋はどうなのかと。一番御関心が高いと思うんですが、もちろんこのインド太平洋についても、台湾問題等々いろいろ御質問があるかもしれません。そのときには個々のことを御説明することとして、私が一つ申し上げたいのは、重要なことですが、一昔前と違って、インド太平洋が独立した別個の地域ではなくなったということです。欧州にも中東にもそしてインド太平洋にも地域はございますけれども、昔はこれ別々だったんですね。別々でよかったんです。  しかしながら、今何が起きているかというと、ロシアはイランの無人機をウクライナで使っているんです。そして、ロシアは北朝鮮の兵隊をウクライナで使っているんですよ。つまり、中東も欧州もそしてインド太平洋も、実はもう一つの、戦域という言葉を使わせて、あえてシアター・オブ・オペレーションというんですが、戦域になりつつあるんだというのが私の仮説でございます。  そうなりますと、このイラン情勢もやっぱり気になるところなので、ちょっとだけ一言申し上げようと思います。エネルギーと物価については今日もう一人御専門の方がいらっしゃるので、私はイラン戦争の停戦の可能性について一言述べたいと思います。私の結論は非常に簡単で、非常に悲観的です。外れるといいなと思っています。  仮にアメリカとイランの停戦があったとしても、イスラエルとイラン若しくはイランの代理勢力との戦いは、残念ながら続く可能性は高いと思っています。ホルムズ海峡を含む湾岸地域の情勢というのは、恐らく当分不安定な状況が続くだろうと。もちろん、石油価格もそうですけれども、それ以上に地域情勢が安定に向かわないのかなというふうに思っています。  従来のように、一昔前の中東では一連の代理戦争があったわけですよね。アメリカは直接イランと戦っていないし、イランも代理人でやっていたわけですよ。代理人同士でやっているときはそれなりに、ああ、まあこれくらいで、抑止が効くんです、ある程度。だけど、もしイランとアメリカが直接戦争が始まると、引くに引けない部分が出てきて抑止が更に難しくなる、停戦も容易ではなくなるというのが私の見方です。  これが始まったのは去年の六月なんですが、去年の六月以前と六月以後では中東の状況はもうがらっと変わってしまった。それを私は地殻変動が起きていると申し上げたんですが、このような状況では、仮に一時的な停戦が成立したとしても、イランのイスラム共和制が続く限りと言ったら失礼ですが、紛争の種は消えないだろうなと思います。イスラエルはイランの共和制を潰しにいっているし、イランの方はもう潰されたら大変だから命懸けで生き残りを考えていますから、非常に状況は去年の六月から変わってしまったというふうに思っております。この点について、御質問があれば後ほどもっと詳しくお話をいたしましょう。  話を元に戻します。  さきに述べましたとおり、中東と欧州では抑止に失敗しているわけですよね。ですから、何とかしてこのインド太平洋地域での抑止の失敗だけは避けなきゃいけないと思っています。しかし、欧州や中東での戦争が長期化すればするほど抑止のためのコストも上がってきている。これを忘れてはいけないわけですね。  最後に、では、日本は何をすべきなのかということについてお話しいたします。  一言、もうずっと言っていることですが、日本は生き残らなければいけません。これほどの、百年に一度の私は大変革の時代が来ていると思います。これ、どうやって一億数千万の国民が今までどおり幸せに平和に暮らせるか。そのためにまずしなきゃいけないのは、生き残りでございます。  この生き残りを考えるには、どうしても自由で開かれた国際秩序、先ほど申し上げたとおり、中小規模の国家にとっては有利な制度でしたけれども、そんな有利な時代はもう返ってこないかもしれない、残念ながら。今後は、より厳しい時代が来る可能性がある。だからこそ、日本は国土と国民を守って、来るべき危機を生き延びる必要があると私は思っています。  そのために国家として何が必要か考えまして、それは大義名分、戦略と、もちろん戦術と同盟国であります。自由で開かれたルールに基づく国際秩序は、一時的にせよ今衰えて、必ず戻ってくると思いますよ、しかし、当分は衰えていくんじゃないかと思います。日本の周辺では特に中国が台頭をしております。しかも、その中国は歴史上例のない規模とスピードで軍事力を増強しています。過去八十年間のこの現状をもしかしたら必要があれば力によってでも変更しようとするようにすら見えます、間違っているかもしれませんが。  このように、日本は、政治的、経済的だけではなくて、恐らく軍事的にも大きなチャレンジをこれから受けるであろうと思います。特に軍事面では、抑止力が先ほど申し上げたとおり不足をいたします。ここはやはり発想の転換が必要ではないかと思っています。過去八十年間の常識は、必ずしも機能しないかもしれません。外国に言われるまでもなく、日本は自国で自国を守る、自国の利益を最小限守る努力が必要、そのためには必要な抑止力と防衛力が必要だと思っています。これは、もちろんコストが増大するわけですから仕方がないことなんですが。  もう一つ大事なことは、人口が減っても、この抑止力不足を一国で、人口が減っているわけですから、一国ではとても無理だと思います。となりますと、恐らくこれから考えなきゃいけないのは、同盟関係若しくは戦略的なパートナーシップの多国化、多極化、これが必要になってくるのかなというふうに思います。  三番目、もう時間が来ましたのでこれでやめますが、三番目に重要なことはやはり国内経済の再活性化だと思っています。これから十年、二十年にわたって抑止力のコストが高まる中で、日本の国民の生活、そして生命を守るために、やっぱり経済を立て直さなければいけない。そのためには、国民にそのことを理解していただき、と同時に政治家の方々におかれては政治的な決断をしなければいけない時期が来ると思っています。  次の時代への備えは今から始めなければいけないと思います。そのための十分な抑止力と国家としての大義名分、それを実施するための安定した国内政治と国民の理解と支持、これを是非皆様の御協力で実現していただければと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ありがとうございました。  次に、松尾公述人にお願いいたします。松尾公述人、どうぞ。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) ただいま御紹介いただきましたエネルギー経済社会研究所の松尾と申します。  本日は、このような貴重な機会を、大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私の資料、エネルギーと申し上げましても非常にこれ分野が広いものでございます。私はどちらかというと電力を専門にしておりますので、電力を中心にしながら、原油についても少しお話をさせていただければと考えております。  最初のスライド、一ページ目を御覧いただければと思います。  今申し上げましたとおり、石油、特に石油についてはこれ非常に裾野が広い産業です。この石油、しかも原油が、供給が九割絶たれているような状況ですので、影響は非常に幅広く広がる可能性があるというふうな状況でございます。  LNGに関しては、今現状、ホルムズ依存度はそれほど高くはないという状況ではありますけれども、やはり三週間しかためられないと、こういう懸念がある中で都市ガスや電力への影響が懸念されている状況と理解をしております。  私のスライド、最初の方で、やはりエネルギー、今何が起きているのかというものを少し御説明した後、最後まとめて私が今考えていることを御紹介させていただく、このような構成になってございます。  お手元の資料二ページ目を御覧いただければと思います。まずは、LNGについてでございます。  今申し上げましたとおり、日本のLNG輸入におけるホルムズ依存度は五%、これ今止まっているのは五%ですから、総量としてはそれほど多くない、ほかのエリアは逆に言うと安定的に輸入ができていると、こういう状況でございます。  ただ、私が懸念をしておりますのは、これもうオマーンでございます。オマーンはこれ比率五%でございます。合計で中東依存度は一〇%ということになります。  実は、過去ひもといてみますと、二〇二二年にサハリン、ロシアのサハリン2の供給が途絶えるかもしれない、実際はそのまま供給が続いたわけですけれども、サハリン2の運営会社が国有化されるに当たって日本もLNGが来るのかどうなのか、こういう懸念があったと思います。このとき、日本のLNG輸入におけるロシアの比率というのは九%でございました。  これを考えますと、やはりオマーンという存在は非常に大きいと考えておりまして、仮に、今これ、オマーンは今現状、石油や物流施設に対しての攻撃が続いている状況でございますので、仮にこのLNGの供給が止まるということになってくると、場合によっては対策を考えなくてはいけないと、こういう状況だと感じております。  三ページ目でございます。  なかなか今この中東が止まったというマクロ感が分かりにくいと思いましたので、少しちょっと資料で、データで御紹介させていただければと思っております。  今、世界のLNGの輸出量は大体年間四億二千万トンでございます。このうち、昨年、カタールとアラブ首長国連邦、この二か国のLNGが止まっていますけれども、この二か国が輸出したLNGの量は年間八千六百万トンと非常に大きな数字でございます。大体二〇%でございます。これは短期的には、二〇二二年のロシアによるヨーロッパ向けの天然ガスの供給の停止、これを超えるインパクトだと感じております。  ただ、これ、二〇二二年と状況が異なるのは、これ今現状、アメリカと、ちょっとカタールはいつ動くかというお話にはなりますけれども、アメリカを中心に建設中の天然ガスの液化施設、LNGを作る工場が続々今後、運転開始予定、これが薄いピンク色の部分でございまして、これ長期的に見ると二〇二二年ほどのインパクトをもたらさない可能性はあるのではないかと。ただ、当然、短期的な混乱は非常に大きなものになるだろうと感じております。  四ページ目でございます。  こちら、今回は物価も扱われるということですから、これはあくまでモデルでございますので、必ずしもこうなるというものではございませんので、あくまで私のモデルとして御用意させていただいておりますが。  LNGの輸入形態には長期契約とスポットと言われる二つの形態がございます。日本は、この後のスライドで御紹介しますけれども、長期契約の方が比率が大きい。ただ、この長期契約も原油価格に連動をいたしますので、今回、原油の供給も絶たれている、その中で原油価格も非常に上がっている状況ですから、これ、長期契約も上昇すると、LNG全体で価格が上がっていく傾向にあるという状況でございます。  五ページ目が、日本のLNG調達においてのスポット比率を御紹介させていただいております。  これはガスの生産者協会がある意味の推計値として出しているものですので、日本の事業者が本当にこの数字なのかというのは、各社の定義があると思いますから、ちょっとこれはあくまで御参考になりますけれども、足下二〇二四年は一八%のスポット比率であるというような状況でございます。  スポットの依存度は近年低下傾向でございます。これは背景には、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの導入拡大によってLNGの調達量自体が徐々に下がってきているというところが背景にございます。  ここまでがLNGのお話でございます。  六ページ目、ここからは今度は原油のお話でございます。  ホルムズ封鎖による供給支障、これはグローバルの供給支障は一千五百万バレル・パー・デーという状況でして、これは世界の年間輸出量の二〇%に相当いたします。中東ではこれ三二%と書いておりますけれども、中東も、今報道等でございますように、迂回ルートはございますし、ホルムズ海峡を通らない、ペルシャ湾から出てこない原油もございますので、この数字を除きますと二〇%に相当するというような状況です。  このグラフを見ていただくと、今回、一千五百という数字を差っ引いて作った図がこちらでございますが、過去最大の供給支障であるということがお分かりいただけるかなと思います。  七ページ目を御覧いただけますでしょうか。  これは、日本の原油と粗油の輸入状況とホルムズ、中東依存度をお示ししているものでございます。  こちら見ていただくと、中東依存度というところで申し上げますと九三%と、非常に比率として高いものでございます。これ背景として、やはり中東は世界最大級の大規模な供給地帯であるというところは申し上げることができると思います。  日本の製油所は、これ長らく、製油所の設備を造っていく、そして原油も本当にいろいろな質がございます。もうどろどろのアスファルトのようなものから非常にさらさらしたものまで、出てくるタイミングでいろいろな質がございます。日本の製油所は、この中東の原油に合わせて製油所の設計をしてきて運用をしてきているというところがございます。  やはり、このオイルショックが起きてから、日本も調達先の分散化をしようと。例えば過去で申し上げると、中国とかインドネシアに依存したこともございました。ただ、これらの国々も経済発展でだんだん原油が出てこなくなった。近年はロシアというものにも頼っておりましたけれども、結果的に近年のロシアによるウクライナ侵攻等々を経まして分散の余地がなくなってきているというところでございます。  八ページ目でございます。  これ、過去の供給ショックと比べても非常に規模が大きい混乱であるというところは先ほど申し上げたところですが、IEAのファティ・ビロル事務局長は、現在の危機は二度のオイルショックを既に超えているという評価をされているところです。  二〇二二年の対ロ制裁では、やはり今報道でもありますけれども、シャドーフリート、制裁されているけれども輸出しますよ、こういう迂回の輸出が出てきている、若しくはパイプラインの輸出、大陸間でのパイプラインの輸出、こういうものが出てきたわけですけれども、今現状は非常に規模の大きい影響になってしまっているというところでございます。  九ページ目でございます。  昨年、ホルムズ海峡を通過した原油、石油製品というのは、これ二千万バレル・パー・デー近くでございました。そのうち、先ほど一千五百万バレル・パー・デーの供給支障なのではないかと申し上げたのは、迂回ルートがあるから。幾つか迂回ルートはございますけれども、四百七十万バレル・パー・デー、もしかしたらもう少し超えるかもしれないということで、供給支障は千五百万バレル・パー・デーくらいであるというところです。  分析の内容、これで最後になりますけれども、十ページ目でございます。  やはりこういうことになってくると、化石燃料という観点では石炭という扱いもここでは触れなくてはいけないと思っております。  一方で、これ、アジア諸国を中心に、皆さん考えること一緒ということになりますけれども、石炭需要というのが非常に増えてきているというような状況でございます。石炭のこれ先物価格、非常に上昇しております。これ、炭鉱は、これ私自身も見に行ったことがあるんですが、炭鉱を掘るのに重機をたくさん使います。重機は当然ディーゼル燃料で使う、つまり軽油が非常に大量に消費するわけですけれども、今炭鉱ではこの軽油を将来にわたっても確保できるか、これが非常に不透明で、長期化すると石炭市場も混乱する可能性があるんじゃないかと、このような指摘が出てきているところでございます。  最後、五分ほどで私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。  最後、十一ページ目でございます。  今回、石油、LNG・電力、そしてエネルギー全般ということで三つに分けて御紹介できればと思っております。  石油については、まずは、何と申し上げましても、これ調達ポートフォリオの再構築、これは非常に重要なのではないかと思っております。やはりこれまでは、ホルムズ海峡を封鎖する、それが世界的な経済へのインパクト、そして今封鎖しているイラン自身への影響というものを鑑みれば、それほど考慮する必要があるのか、こういうような考え方の下、基本的には中東への依存度というのは高い状態が続いてきたわけですが、やはりこれだけ地政学リスクが高まってきますと、また海上輸送リスクが高まってきますと、調達先の分散というものは戦略的に進める必要があると、このように感じております。  経済合理性が非常にこれまで重要だったわけですが、供給途絶時の耐性も含めてどのように調達ポートフォリオを構築していくか、これは検討が必要になると思います。  また、製油所の在り方ということもしっかり議論をしていく必要があると思っています。これは民間収益事業であるものの、これ有事の燃料供給を支える安全保障のインフラでもあると、このように申し上げることができると思います。  この合理化であったり設備投資というのは、今現状、事業者任せと言わざるを得ない状況ではございますけれども、場合によっては制度的支援や費用負担の在り方というものを国としても議論する必要があるのではないかと感じております。  LNG・電力については三点です。  一点目は、エネルギー自給率の向上でございます。  やはり今、日本は七割を化石燃料に、電力供給の七割を火力電源に頼っているような状況でございます。エネルギー自給率の向上というのは今回の危機でも改めて再確認されたところでございまして、原子力発電所の再稼働や次世代炉へのリプレースの推進に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大を着実に進めていく、これは極めて重要だと思っております。これは中長期のエネルギー安全保障にも資すると感じております。  二点目は、電源多様性確保の重要性。  これは、もう率直に申し上げますと、石炭火力ってどのように扱いますかという、非常に議論をしにくい内容ではございますが、今ここでは、アジア諸国も含めて石炭というものの重要性が高まってきている状況でございます。  ただ、これ、石炭火力に向けた、石炭火力の維持に向けた議論というのは重要であるものの、これ、脱炭素の潮流によって炭鉱の閉山増が見込まれるような状況でございます。オーストラリアでは二〇三〇年代のこのタイムリミットというのが大分迫ってきているような状況でございますので、供給面の制約も強まっている、中長期的には依存度を下げる、こういう考え方が必要になっていると思います。  LNG調達の強靱化という観点も重要だと思っています。  これは石油と全く同じということで、今、分散化を進めていて、その分散調達先でまた課題が出てきているという非常に苦しい状況ではあるんですが、改めて分散化ということを図っていく必要があると思いますし、また、この需給が変動した際とか緊急時に対応しやすい、LNGというのは契約形態が比較的柔軟性のない契約が非常に多いんですが、その中でも柔軟性のある契約を確保していく、こういうことが求められると思っています。  その他二点でございますが、一つはエネルギー安全保障コストの覚悟でございます。  やはり、今申し上げてきたことというのは基本的にはコストが掛かること、これをどこまでこのコストとして許容するのか、これは非常に重要だと思います。こういう危機が起きた際に、それでも国民生活を維持できる、このコストと安全保障のバランスをどのように考えていくか、これは国民的議論が求められると感じております。  最後、中長期的なエネルギー補助金の在り方や方向性というところでございます。  現在、経済や国民生活への急激な悪影響を鑑みて、への対策としてエネルギー補助金が拠出されていると理解をしておりますけれども、仮にこれ長期化するということになってくると、これ一律的な価格抑制から、ある程度省エネ、節ガス、需要抑制、こちらに促していく、このような転換が必要になるのではないかと感じております。  私からは以上でございます。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

阿達雅志 自由民主党・無所属の会

○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。  本日は、お二人の公述人から非常にタイムリーな、また非常に興味深いお話をいただきまして、誠にありがとうございます。  まず、宮家公述人に少し質問させていただきたいと思います。  宮家公述人がおっしゃった、今、大国におけるグレートゲームパート3が始まったんじゃないか。私も同感なんですけれども、特にこれ今、バランス・オブ・パワー、今までの価値観外交からバランス・オブ・パワーの世界に入って、そういう中で境界線の線引きの変更というのがなされつつあるんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども。  そういう中で、それぞれのこの大国、プレーヤーが、今までは国際協調というのを前面に出していたのが、今、国家主権というのが正面にぼおんと出始めている。実際にアメリカのいろんな主張なんかを見ても、このトランプの、第二次トランプ政権では、今までのような民主主義対権威主義、この対立ではないいろんなアプローチが見られているのではないかと思うんですけれども、その辺りについて宮家公述人の評価をお聞かせください。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 御指摘のとおりだと思います。  トランプさんが民主主義を言わなくなって久しいんですけれども、私はトランプさんの現象が全てアメリカをこれからずっと形作っていくとは思っていません。トランプさんみたいな人がアメリカに出てくるのは、これ歴史上何度もあることですから驚いてはいけないんですが、同時に、トランプさんのような人がずっと続いているわけでもないと。つまり、アメリカの社会の強靱性というものも、若干期待値が高いかもしれませんが、思っております。  その上で、先ほどおっしゃった大国同士のプレーヤーの国際協調がそうでもなくなってきたというのは、そのとおりでございます。私は今どう考えているかというと、トランプさんが、もしあの人に戦略があってですよ、あったらどう考えているかというと、自由貿易をやって国際主義でやったらば、結局アメリカの製造業は空洞化しちゃったよねと、それで中国がみんな作れるようになっちゃったんだよねと。これじゃ困るので、もし中国との長期的な競争に勝ち抜くことを考えたらば、まずは国内の製造業をしっかり再興して、その上で西半球を、自分たちの裏庭ですから、固めると、その上で長期戦に耐えようとしているのではないかと。これが本当の、本当かどうか分かりませんが、もしトランプさんに戦略があるとしたら、そう考えているのではないかなというふうに思っております。

阿達雅志 自由民主党・無所属の会

○阿達雅志君 今の最初のお話、全てアメリカということではないのではないかという御指摘、非常に大事なところだと思うんですけれども、それは、日本は今までずっとアメリカと、自由で開かれたインド太平洋と、この自由で開かれたという部分は明らかに価値観を含んでいたわけですね。  ところが、今そういう、ルールに基づく国際秩序だとかあるいは民主主義というのをもう前面に出さなくなったアメリカとのその付き合い方を考えたときに、本当にいつまでもこの自由で開かれたインド太平洋を言っていていいのかということなんですが、その点については宮家公述人は、トランプさんは今そこに重きを置いていないけれども、アメリカ全体を見た場合にはやはり日本としてはこの自由で開かれたインド太平洋というのを堅持すべきだという、そういうお考えなんでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) おっしゃるとおりだと思います。  トランプさんの現象というのは、これ永久に続くものではありません。トランプさんが出てきたのは、トランプさんが偉いからもあるかもしれないけれども、先ほど申し上げた忘れ去られた人々の不満が続く限りトランプ現象というのは続くんだと思います。  しかし、そうはいっても、日本が、主要な同盟国であるアメリカ大統領がこう言っているからといってそれに従う必要はないので、先ほども申し上げたとおり、自由で開かれたルールに基づく国際秩序というのは日本にとって最も有利な国際秩序なんですね。ですから、これを大義名分として常に掲げていないと私は次の時代に生き残ることができないと。必ずアメリカがこれに戻ってくるときが来るまでは、ヨーロッパ若しくは近隣の諸国と一緒にこの理想を一緒に掲げ続けるということが戦略としては大事だとは思います。

阿達雅志 自由民主党・無所属の会

○阿達雅志君 ありがとうございます。非常に貴重な御指摘だと思います。  先ほどお話の中で、ちょっと微妙な言い方で、トランプ大統領に戦略があるとすればというおっしゃり方をされたんですけれども、トランプ大統領ないしはアメリカがやっぱり中国との長期的な覇権競争、これを一つの目的で置いていると考えた場合に、今までの、最近のアメリカのアプローチというのは、例えばアフガンから撤退する、ウクライナで前面に出ない、こういったことをやってきたというのは、やはり二方面作戦を避けたかったんじゃないかという見方があったと思うんですが、今回なぜあえてこの二方面作戦になるようなことをしたのか。  それからまた、このイランという国についての多少なりとも文化的、宗教的理解があれば、宗教的指導者をたたいたら、そのときにイランにおいて、特にシーアの、シーア派の方が、実際問題、今回二人のアヤトラがジハードのファトワを発しました。こういうことが起きるというのは当然想定されたと思うんですけども、なぜアメリカはここであえて今までと違う代理戦争から直接戦争、そして二方面作戦を取るようなことをしたのか、何か御意見ございますでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 恐ろしい御質問をされる方だなと。  研究者として正直に客観的に申し上げようと思いますが、先ほど申し上げたとおり、アメリカは中国が一番、今後のアメリカの存在を脅かす勢力としては中国が一番大きい。ですから、できれば、先ほど先生がおっしゃったとおり、ヨーロッパでの関与を減らし、中東での関与を減らし、余力があればそれはアジア太平洋に投入したいというのが本音だったと思うんですね。少なくとも彼の周りにいる人たちの戦略家の一部はそう考えていたと思います。  しかしながら、一体なぜ二正面作戦をやろうとするのかと。大統領の判断ミスという言葉は使いたくないのでそうは言いませんけれども、やはりいろいろな、大統領の下にいる行け行けの人たちもいるし、それからそうでない人たちもいる、その中で恐らくトランプさんが個人的に判断をしたんだろうなと思います。  同様のことは、宗教指導者に対する暗殺、これはもうみんなやめた方がいいと思っているわけですよ。これやったら、それはマドゥーロさんだったらいいですよなんて言ったら失礼な、これも失礼な言い方だから取り消しますが、ベネズエラであれば大統領を拉致してあれでうまくいったかもしれませんが、イランで宗教指導者を暗殺すれば、間違いなく殉教者になって、そして半ば神格化されて、そして代替は幾らでもいるという意味では余りいい作戦ではなかったと思います。それをあえてやった理由についてはトランプさんに聞いていただくしかないと思います。

阿達雅志 自由民主党・無所属の会

○阿達雅志君 どうもありがとうございます。  昨年六月の十二日戦争の後に宮家公述人がお書きになった本、中東大激変という中で、直接戦争八つのシナリオという中で実は一番起こってほしくない状況に今行っていると思うんですけれども、その一番起こってほしくない状況のシナリオのその最後のところにちらっと書かれたのが、ホルムズ海峡が封鎖をされたときに中国と日本の間でもいろんな衝突が出てくる、こういうことを書かれていたんですが、これ、具体的にはどういうことを想定されたんでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) よく読んでくださって、ありがとうございます。  中国のシーレーンといいますか、エネルギーのルートというのは実は日本と全く同じなんですね。そして、湾岸地域に深く依存している点でも同じです。中国の問題は、中国から見ればですよ、あの重要なシーレーンが、中東までのシーレーンが、実はアメリカの第七艦隊が守っているということです。日本はもちろんそれはできませんから、逆に、もしホルムズ海峡等で危機が長期化すればするほどそのルートが止まる、そのために中国はそれを確保しなければいけなくなる、そのときに第七艦隊とのあつれきがもっと深まると。  そういう意味では、中国とそれから日米の間でシーレーンをめぐる動きが、確執が更に高まる可能性がある、そのトリガーになるのが恐らく中東地域、特にホルムズ海峡での危機だろうというふうな想定で書いた次第でございます。

阿達雅志 自由民主党・無所属の会

○阿達雅志君 本当は松尾公述人にもちょっと石油価格で聞きたかったんですが、もう時間が参りましたので終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

村田享子 立憲民主・無所属

○村田享子君 どうも、立憲民主党の村田享子と申します。  今日は、宮家公述人、そして松尾公述人、どうもありがとうございます。  私の方から、まず宮家公述人にお聞きをしたいと思います。今日のお話の中でも、このグレートゲームパート3ということで米中の対立について挙げられていました。先ほどの阿達委員の質疑の中でもあったんですけど、米国が中国を今後どうしようとしているのか、そもそも米国は中国をどのような相手と捉えているのかというところで、公述人の昨年五月の日経ビジネスでの記載の中で、戦略的競争相手として、軍事的圧力を掛けてでもその弱体化、無力化を図ろうとしているのか、それとも、単なる経済上の競争相手として、戦術的、経済的な妥協で満足するのかと、そういった問いがあったんですけど、その点の御認識を教えてください。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) ありがとうございます。  今でも、中国をどのように見るかについて、トランプ政権はもちろんのこと、米国内でもいろいろな意見があることは事実です。そして、それを明確な敵対国というふうに見る向きもあれば、いや、ビジネスの相手として重要だと考える人たちがいることは事実です。  ただ、先ほども申し上げたとおり、中長期的に考えた場合に、アメリカの国際的な覇権と言っていいでしょうね、この主導力を脅かすことがあるとすれば中国しかない。ロシアは人口一億ちょっとですし、中国ほどの生産力があるわけではないし、イランは別にアメリカの敵ではない、敵ではないというか、アメリカの地位を脅かすものではない。その点、中国はその可能性が高いということはみんな心配していたわけですね。それで、七〇年代、七二、三年でしたけれども、米中、日中の関係が正常化したときからずっとその問題は続いていたと思います。  しかし、最近になりまして、やはり中国軍が一線を越えて、そしてあれだけの大きな部隊を持つようになった、そして南シナ海にも進出するようになった、さらには米軍に対するちょっかいも出すようになったとなりますと、やはり中国は、これは潜在的な敵対国であるという意見の方がこれから恐らく強くなっていくだろうというふうに私は思います。

村田享子 立憲民主・無所属

○村田享子君 そうした中で、やっぱり日本としては、アメリカでも今いろんな御意見がある中で、やはり潜在的な敵国だろうというようなアメリカのそうした中国への見方の中で、日本としてはどういった米中の外交をやっていけばいいかというお考えをお聞かせください。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 対中政策の基本は、順番はともかくとして、抑止と対話であります。昔は対話と抑止と言ったかもしれませんが、最近は抑止と対話というふうに言っております。なぜかというと、抑止すべきことが増えちゃってコストが高いからでございます。  抑止の部分についてはもう御説明したので、簡単に対話の方をお話しします。  対話を軽んじる人がいるかもしれませんが、私はそれはそうではないと思っています。実は、対話も抑止になるんです。中国が南シナ海若しくは東シナ海で何か現状を変更しようと思ったときにそれを抑止する方法は、それをやったら失敗する、失敗したら痛い目に遭うからやめておこうと、これは抑止ですよね。だとしたら、相手は残念ながら独裁的な体制にある指導者です。独裁者ほど正しい情報が上がりません。したがって、独裁者ほど間違える可能性が高いわけです。独裁者に正しい情報を入れる方法は首脳会談しかないんです、彼らの部下に頼んでも部下は聞こえのいいことしか言いませんから。  その意味でも、対話を続けるということ、そして、中国が置かれている状況が、安全保障上の状況がどうなっているかを正確に知らしめることが実は抑止につながる。そして、抑止がうまくいけば対話もうまくいくと、こういう関係になっていると考えます。

村田享子 立憲民主・無所属

○村田享子君 今、日本と中国の関係でいうと、やはりレアアースの輸出規制というものが大きな問題となっています。  先日の予算委員会でも私も取り上げさせていただいて赤澤経済産業大臣の方に、やはり輸出規制緩和に向けた中国へのまさに対話ともいう、そういう働きかけが大事なのではないかという質問をしたところ、現状、日本政府としては、ハイレベルの二国間対話であったり局長級の日中輸出管理対話を通じて繰り返し申入れを行っているということなんですけど、これが今後功を奏してレアアースの輸出が前のようにできるようになればいいなと私も思っているんですが、この点いかがでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) レアアースの問題は、コストです。コストが高いために我々は中国に依存せざるを得ないわけで、そして我々が何か努力をすれば、彼らは安値攻勢でその独占的な地位を維持しようとする。ですから、話合いだけでこの問題が解決するとは私は思いません。  なぜならば、これビジネスじゃないからです。レアアースの問題は、彼らはもう何十年も前からビジネスではない、一つの手段として、カードとして使おうと考えていたわけですから。我々も、実はコストが一番大きな問題ですけれども、対話をもちろん続けることは大事です。しかし、対話を続けて、日本にも対抗策があるんだと、そして、それは日本だけではなくて、主要国、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの国々と組んで、そして中国の独占というものを事実上認めない、そういう動きになっているんだから、レアアースを政治的に使うのはおやめなさいねと、率直に言うと嫌われますから、それをうまく言うために対話をすべきだと私は思います。

村田享子 立憲民主・無所属

○村田享子君 宮家公述人、ありがとうございます。  続いて、松尾公述人にお聞きをしたいと思います。  まさに、今の中東情勢による日本の今後のエネルギーの状況、非常に厳しいことも予想しながら対応しなればいけないと私も思いました。  今、資源エネルギー庁の中でも電力に関する議論が行われていまして、例えば小売電気事業者に対する量的な供給力の確保義務、こういったこともテーマの一つになっておりますが、この点、公述人、どのようにお考えでしょうか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) 実はこの量的な供給力の確保義務というものについては、やはりこのようなエネルギー危機に対して事前に電源の多様性という観点と、燃料調達も、やはり今この瞬間で申し上げると、今まだ起きていないですけれども、恐らくあと一か月、二か月続きますと、これLNG、スポットの取り合い、争奪戦ということが起きかねない状況だと思っています。特に今回は、中国や台湾といったような国々もカタールへのLNGへの依存が非常に高いので、これは今までのあったようなアジアとヨーロッパの取り合いだけではなくて、アジア間でも取り合いになってしまう、こういうようなリスクが出てきていると思います。  これをやはりカバーしていくためには、LNGの長期契約をしっかり確保して、事前にしっかりこのLNGを量的に確保していくということが重要になってくるわけですが、やはり今電力自由化の中で、市場が非常に競争状態の中で、なかなか発電事業者が燃料の長期契約取りに行きにくい状況になっています。  その観点では、小売電気事業者がある程度責任を持って、どれだけの量を事前にこれだけ買いますということを、ある程度事前に確保しておけば、これに基づいて発電事業者は燃料の長期契約を取りに行けますので、この点非常に重要なポイントだと感じております。

村田享子 立憲民主・無所属

○村田享子君 あわせて、先生の最後の御意見というところにも日本のエネルギーの自給率の向上というものが重要だと書いてありまして、その中に次世代炉へのリプレースの推進といったものもございますが、次世代炉へのリプレースをしていくということにおいてはやはり安全性の確認であったり御地元の理解といったこと、またあわせて、先生のこれまでの記述で原子力損害賠償法の見直しも必要ではないかといった御指摘がございました。この点について御認識を教えてください。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) まさにこの次世代炉のリプレースについては、もう先生おっしゃるとおり、やはり地元の理解が大前提でございます。原子力発電所、地元に与える影響が非常に大きいものですので、そこはそのとおりだろうと思っております。  一方、今このリプレースに当たって課題になっているというのが、事業者のその賠償責任というところをどのように考えていくかというところが非常に重要だと思っております。  私は、数年前、フランスにお伺いしましてお話を伺ったところ、やはりある程度国の責任の下、事業者はこの事業を運営していく、逆に言うと事業運営に集中できるというこの役割分担が図られているというお話を伺ってまいりました。やはり日本で今後、二〇五〇年代、六〇年代もカーボンニュートラルの電源を安定的に確保するという観点ではこのような議論も必要になってこようと、このように感じております。

村田享子 立憲民主・無所属

○村田享子君 以上で終わります。ありがとうございます。

平戸航太 国民民主党・新緑風会

○平戸航太君 国民民主党・新緑風会の平戸航太です。  本日は、現下の世界情勢を踏まえた大変貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。  まず初めに、宮家公述人にお聞きしたいと思います。  グレートゲームパート3という視点でのお話がございました。インド太平洋地域の情勢についてというところでお聞きしたいと思いますが、先日の日米首脳会談がございまして、ホワイトハウスのファクトシートにおいて、地域の安全保障と世界の繁栄に不可欠な要素として台湾海峡の平和と安定を維持することにコミットした、また、両首脳は、両岸問題の対話による平和的解決を支持するとともに、武力や威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも反対することを表明したと表現がございました。また、詳細は割愛しますが、北朝鮮に対する言及もございました。  このファクトシートの内容が東アジアあるいはインド太平洋の情勢にどのような影響があるのかと。今日のお話を聞いたところ、欧州、中東とインド太平洋は不可分となりつつあるということでしたので、抑止にはならないのではないかと私自身少し、抑止にはならないのかと考えてはおりますが、その点についての宮家公述人の考えをお聞きしたいと思います。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) さきの日米首脳会談は、私は比較的うまくいったと思っています。メディアの一部には、これをアメリカからの要求を回避できたなんという報道もありましたけど、私は日米首脳会談の本質ってそれじゃないと思っています。もちろん、それも大事ですけどね。やはり、インド太平洋地域での日米の同盟の重要性、そして中国を、名指しするかどうかは別にして、その地域の問題について連携をしていくということをもう一回確認するということはこれ常にやってきたことです。  その中で、ファクトシート、アメリカのファクトシートは結構細かく書いてありまして、今回はなぜか。いろいろ書いてありますけど、別に新しい点はありません。逆に、これを見て私はほっとして、ああ、アメリカと日本は相変わらず連携しているなというふうに思いました。  ですから、その意味では確かに中東の問題はありましたけれども、基本的に大事なのは、この地域、インド太平洋地域の平和と安定のために何ができるのかということを常に首脳レベルで確認し合うということに一番大きな意義があったと考えます。

平戸航太 国民民主党・新緑風会

○平戸航太君 ありがとうございます。  米国とイスラエルの対イラン共同軍事作戦が実行されて一か月が経過しようとしております。日本の国内においてもガソリンの価格が高騰している、あるいは石油関連製品が手に入らないといった事態が発生しております。この長期化を避けたいというところではございます。  一方、宮家公述人は三月十日、オンラインメディアにおける記事におきまして、米国が勝利するのは困難ですと、そもそも何が勝利なのか決めることができていないからですという記載もございました。この記事が出てから二週間近くたっておりますが、この点について変わりがないのかということをお聞きしたいと思います。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 私はいろんなところでいろんなことを言っているんだなとか思いましたが、変わりません。  研究者として申し上げれば、今回の戦争について、明確な戦略、そして戦術だけはありましたけれども、大義名分と同盟という観点でいうとかなり不足していた部分があると思います。だからこそ、アメリカの大統領の発言が二転三転するというのもこれはある程度仕方がないことだと思っています。  ただ、全体として、イランが核兵器を持てば、これ間違いなくイランで済みませんので、どこの国とは言いませんけど、中東に恐らく核の拡散が急速に広がるということは間違いない、核兵器のですね。それと同時に、中東の地域、各地域に対してイランがいろいろな攻撃を今しているわけですから、それについて厳しくするというのは、指摘するというのは当然必要なことだろうと思っています。  ただ、この戦争がどうなるかは恐らく、先ほども申し上げたことですけど、アメリカの大統領だけでは決められないだろうと思います。なぜかというと、イスラエルとイランは今チキンゲームやっていますから、どっちも降りる気ありませんので、仮にアメリカとイランの戦いが一段落したとしても、イスラエルとレバノンとか、イエメンにもいますけれども、イランの第二勢力との戦いは当分続くんじゃないかなというふうに悲観をいたしております。

平戸航太 国民民主党・新緑風会

○平戸航太君 ありがとうございました。  これ以降は、松尾公述人にお聞きしたいと思います。  先ほどいただいたお話の中で、電気料金が上がっていくという点もあったかと思います。一方で、日本の国内、再エネ賦課金、二〇二六年度から単価が上がると、標準家庭においては年間負担額が二万円以上増加するという報道もされております。  一言に再生エネルギーと言っても、大規模太陽光発電、いわゆるメガソーラーもありますし、風力発電もございます。メガソーラーに関しては、二〇二七年度以降、新規事業から廃止、対象外とすることが決定しております。一方で、風力発電、特に洋上風力については国としてこれから推進していく方針かと思います。再生エネルギーと言っても、それぞれ対応が異なっているというところがあるかと思います。    〔委員長退席、理事長谷川岳君着席〕  いただいた資料の十一ページには、再生可能エネルギーの導入拡大を着実に進めることが重要と記載がございます。国民民主党としては、再エネ賦課金の徴収停止と、そして廃止により電気代の値下げというところを訴えているところではございますが、特に風力発電の今の事情等を踏まえたときに、再生エネルギーの在り方、課題という点についてどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) ありがとうございます。  まさに先生がおっしゃるとおり、やはりこの再生可能エネルギーをめぐる、特に景観であったりとか住民とのあつれきという問題も出てきていると思っておりますし、まさに電気料金が上がる局面でこの再エネ賦課金が非常に、四円を超えるという、単価では四円を超えるという状況ですので、少し、最初導入をするとき、コーヒー一杯からというお話ではあったものの、これがだんだん上がってきているという現状はもう申し上げることはできると思っています。  これは、じゃ、この再エネについては、やはりエネルギー自給率の向上という観点では非常に重要ではあるものの、やはり住民や景観との調和ということはまず考えていかなくてはいけないと考えております。  また、少し将来、先を見越していきますと、この再エネは、二〇一二年に施行されましたFIT制度、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度で導入が始まり、これで進みましたけれども、二〇三二年、恐らく量としては三三年以降、卒FITと言われるFIT切れの太陽光が大量に出てくると、このように考えておりまして、これが恐らく一定は除却される、なくなってしまうということも考えていく必要があると思います。例えば、野立てで、もう木々が生い茂って何の管理もされていないような太陽光発電所、これ今問題になっていますけれども、こういうものもたくさん出てくると思っています。  その観点では、やはり追加で再エネを入れていって、減らさないという努力も必要になってくると思います。ただ、その過程では、やはり住民や地域や景観との調和というものが求められるというのはこれはもうおっしゃるとおりでございますし、また、これ事業者の集約化ということも将来考えていく必要があると、このように感じております。  以上です。

平戸航太 国民民主党・新緑風会

○平戸航太君 ありがとうございます。  またですが、いただいた資料十一ページの中にエネルギー安全保障コストの覚悟という項目がございます。この点は今後のエネルギー政策を検討する上で必要な視点だと私自身も共感をしております。  そこで、我が国と比較してエネルギー安全保障コストに関する議論が進んでいる国、あるいは今後日本が参考としていくべき国はあるのかという点について、公述人の考えとしてお聞きしたいと思います。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) 実はこれはエネルギー安全保障という観点で申し上げますと、やはりこの一九九〇年代から日本も発電の自由化から始まって徐々に自由化が広がってきたという状況ではございます。やはり日本は、先進諸国の制度をどちらかというと追いかけるという側面があり、自由化を追いかけてきたところがございますので、比較的このエネルギー安全保障というものに課題を抱えている資源のない先進国が多いんだろうと、このように感じているところでございます。  この中で少し、ちょっと私が興味深く見ているのは韓国でございます。韓国は、このエネルギー安全保障というもの自体を何か大きく掲げているわけではないんですが、彼らは、二〇二一年ですかね、COP26、グラスゴーの際には、これはネットゼロの計画と電力の需給基本計画というものを分けまして、やはり二〇五〇年カーボンニュートラルというものを、もうしっかりそこを見て計画を作るという観点と、今足下どこまでできますかというものをある程度分離した計画を作っています。これは当時批判を浴びたんですけれども、今となっては、これは改めて移行の難しさということが見えてくるという状況の中で、ここは一つ参考になるのではないかと、このように感じております。  以上です。

平戸航太 国民民主党・新緑風会

○平戸航太君 時間となりましたので、終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

原田大二郎 公明党

○原田大二郎君 ありがとうございます。公明党の原田大二郎です。  本日は、イラン情勢も含めまして緊迫化する世界情勢を踏まえたエネルギー安全保障の話を聞かせていただき、大変にありがとうございます。  まず、私の方から宮家公述人の方に御質問をさせていただきたいと思います。  先ほど村田委員からもお話がありましたが、米中対立と日本の外交バランスということに関しましてですけれども、これから本格的な米中対立をグレートゲームパート3と表現をされました。日本は、対中抑止のために米国の関心を東アジアに日本はとどめるべきだと、こう指摘されておられますけれども、我々公明党といたしましては、日米同盟を基軸とした抑止力、これの向上と対話による外交、これを通じた地域の安定化も不可欠であると考えております。  今後の対中外交に関しまして、日本においては抑止と対話のこのバランスというのをどのように取っていくべきであるか、また今現段階の状況におきましてどのようなアプローチが今後必要になってくると公述人としてお考えか、ちょっと聞かせていただければと思います。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 中国にとって日中関係というのは米中関係とは若干違う見方をしていると思います。  彼らにとって戦略的な対立の相手はアメリカですから、米中関係が一番重要。逆に言いますと、こういう言い方はしてはいけないかもしれませんけど、日中関係というのはもしかしたら米中関係の従属変数である場合があるんです。つまり、中国から見た場合に、米中関係がうまくいっていれば、日本はどうでもいいとは言いませんけど、プライオリティーは低いんです。米中関係が悪いときには、今度は日米を引き離そうとして日本に対してアプローチをしてくると。それの大体繰り返しだと私は見ています。    〔理事長谷川岳君退席、委員長着席〕  今は米中関係は余り良くない状況ですから、日本に対して厳しく出るのは当然だと思いますけれども、それに一つ一つ一喜一憂してはいけないと思います。やはり我々の国益は、もちろん、近隣国との友好関係というのももちろん大事ですけれども、やはり我々の領土ないし我々の国民の生命、財産が脅かされないというのが一番の基本でありますから、そのようなことをする国に対してはやはりある程度の対処をしていかなければいけない。そこで抑止と対話の使い分けというふうになっていくんだろうと思っています。

原田大二郎 公明党

○原田大二郎君 ありがとうございます。  抑止と対話、両方うまくバランスを取りながらということだと思いますが、今の段階におきましては、より対話を強くすべきか抑止を強くすべきか、公述人といたしましてはどちらのウエートがより強いだろうというふうにお考えでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 一部に、中東でああいう状況になったので、中国が最近台湾を含め現状変更に、よりのめり込んでいくのではないかという議論もあると思います。そういった報道も見たことがありますが、私はむしろ逆だと思っていまして、中国が今一番望んでいるのは、アメリカとの関係をしっかりとマネージすること、管理すること、そして、彼らは時間を掛けて、必ずしも武力に頼らずに現状を変えていこうとしているのが基本だと思っています。  しかも、今の中国人民解放軍の状況を見ておりますと、とても軍事作戦をできるような状況にあるとは思えません。ですから、その意味では一息はつけると思います。短期的には私は余り心配をいたしておりません。  ただ、中長期的になった場合で見れば、人民解放軍のリーダーシップが入れ替わる、そしてそこでより強硬な意見が出てくるとも限りませんので、中長期的には慎重に見るべき点がまだ引き続き残っていると思います。

原田大二郎 公明党

○原田大二郎君 ありがとうございました。  この米中の対立の中で、日本がうまくその対立を緩和するような方向で対話ができればいいのかなというふうに思いました。  続きまして、公述人は、米国とイランの紛争や中東情勢に関しまして、イランの死に物狂いの抵抗により長期化するリスク、また大地殻変動とも言える構造的変容を指摘されておられます。エネルギーの多くを中東に依存する日本におきまして、この地域の安定は国民生活に直結する死活問題です。欧米とは異なる歴史的背景を持つ日本が、この中東地域の緊張緩和や平和構築に向けて独自に果たし得る外交的役割はどのようなものであるとお考えでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 鋭い御指摘ですが、私はこれについて若干変わった意見を持っておりまして、私は本当に、過去五十年間のエネルギー危機、一九七三年のエネルギー危機以来の日本の中東政策が本当にこれで良かったのかということをつくづく考えております。  思考停止とは言いませんけれども、七三年に起きた問題と今はどこが違うんですか。最も違うのは、当時は九〇%以下だったのが今九五%まで依存率が高まっているわけですよ。それにもかかわらず、あれ以来、掃海艇を出すまでにも、例えば海上保安庁の船を出す出さないの議論、すったもんだいたしました。しかし、結局何もしなかったんですね。それで本当に原油の九五%を依存するあの地域での、国民の生命線とも言えるエネルギーの供給路というものがこれだけ大きな問題になっているにもかかわらず、我々は本当に何もしないでいいのかということを本当つくづく思っておるわけです。  それがあったからこそ本も書いたわけですけれども、その意味では決して楽観はしませんし、日本ができることに限界があることも事実です。しかし、七三年以来の今までの五十年間の経験を踏まえて、やはり先ほども申し上げましたけれども、今までとは違う時代に入っているときに果たして、今までと同じ常識にとらわれて何もできない、そして戦争が終わったら何かするということでいいんだろうかということを私はつくづく思っております。

原田大二郎 公明党

○原田大二郎君 ありがとうございました。  続きましては、松尾公述人の方にお伺いしたいと思っております。  環境大臣の所信表明におきまして、二〇五〇年ネットゼロに向けた地域や産業の脱炭素化を強力に推進する方針が示され、令和八年度の環境省予算案でも脱炭素の取組に多額の経費が計上をされております。一方で、松尾公述人は、欧州の事例を挙げ、風力発電の出力低迷と過度な再エネ偏重がエネルギー価格の高騰を招いたとも指摘をされておられます。  国民生活や家計を圧迫するグリーンフレーション、いわゆる脱炭素によるインフレ、これを回避しつつ、環境省が進める脱炭素政策とエネルギーの安定供給を両立させるために今後どのような現実的な軌道修正が必要だとお考えでしょうか。よろしくお願い申し上げます。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) 御質問ありがとうございます。  まさに、今まで特にヨーロッパで起きているのは、どちらかというと投資がやはり再生可能エネルギーに非常に偏重してきていた、そして火力電源への投資というものが全く行われていない、こういう状況が続いてきて、かつその燃料は、例えばドイツであれば自国で取れていた褐炭であったりとか、場合によってはロシアのガスというものをかなり念頭に置いた移行ということになってきていたと理解をしています。  この中で、そのロシアのガスが絶たれたことで脱炭素移行というものが非常に厳しくなった。恐らく最後は、ブルー水素なんというものもおっしゃっていたのは、やはりロシアでブルー水素を作って、それをパイプラインで引っ張ってくる、こういうようなもくろみが一気に崩れてしまったのが二〇二二年に起きたロシアによるウクライナへの軍事侵攻だったということだと理解をしています。  この中で、今非常に重要なのは、私自身も過去述べさせていただいておりますけれども、やはり目標を掲げるというものの重要性、これは非常に重要だと思っていまして、決意を示すという意味では非常に重要だと思いつつ、やはり足下ですね、これ急激な移行というのは非常にいろいろなゆがみを生みます。例えば、これ、先ほど再エネ賦課金のお話も出ましたけれども、こういうようなお話もございますし、また、電力の安定供給という観点でも、どこまで電源を維持していけばいいのか、既存の電源を維持していけばいいのか、このバランスが非常に難しくなります。  その観点では、これ再エネを導入しつつも、火力電源を維持、既設のロジックを維持していく、こういうものは非常に重要だと思いますし、また需要側の脱炭素を促していくという観点も極めて重要だと感じております。例えば再エネの多く出る時間帯に電気をたくさん使っていただくような、そのような移行を進めていく、こんな考え方も非常に重要になってくると感じております。  以上です。

原田大二郎 公明党

○原田大二郎君 ありがとうございます。エネルギーのベストミックスというものが非常に重要になってくるのかなということだと思いました。  環境省のエネルギー対策特別会計におきましては、企業の脱炭素技術やペロブスカイト太陽電池の導入促進に予算が割かれています。データセンターや半導体工場の新設ラッシュが今起こっておりまして、二十四時間三百六十五日稼働する莫大かつ安定的な電力需要が急増していると、こう指摘をされております。  その一方で、こういった再生エネルギー等に関しましては天候等に左右をされるということがあります。巨大な需要増に対しまして対応できない懸念がありますが、政府の推進するこのDX、そしてGXという両方とも大事であると思うんですけれども、この相反する課題をどうやって両立させていくか、先ほどもお答えがあったかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) ありがとうございます。  やはり今ありましたとおり、ベストミックスという考え方は非常に重要だと思います。これ、今は非常に多岐にわたる課題が顕在化してきている状況だと思っておりまして、やはり何か一つが、一つの技術がソリューションになるわけではない、これは非常に重要な考え方だと思っています。それぞれ様々な課題をいろんな技術で解決していくと、こういう考え方が重要になってくると感じております。  以上でございます。

原田大二郎 公明党

○原田大二郎君 ありがとうございます。

串田誠一 日本維新の会

○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一でございます。  宮家公述人にまずは質問させていただきたいと思うんですが、今回のイラン紛争は核兵器開発に対する措置というようなことを言われているんですけれども、イランは核兵器をなぜ開発しようとしているのか、持った後どうしたいと思っているのかということと、もし仮にこれが成功してしまったときの世界のパワーバランスというのはどのように変化していくのかということのお考えをお聞きしたいと思います。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) まず、なぜ核が欲しがるか。私がイランの戦略家であれば、当然オプションとして考えると思います。それは、北朝鮮は核を持っているからアメリカにやられないのよね、サダム・フセインは持っていなかったからやられたのよね、だったら持つしかないでしょうと、私だったら思います。宗教的にファトワが出ておりまして、一応反対ということですが、ファトワというのはすぐ変えられると私は思っていますので、その方向に動く可能性は十分あると思います。  一体核で何をしたいのか。北朝鮮と同じです。生き残りです。イランの政府の行動基準というのは極めて単純で、とにかく昔の日本でいえば国体護持です。制度を維持することが全てだと思います。そして、核兵器を持つことによって最終的に潰されないというふうに信じているからこそ、核兵器を造りたい。しかし、核兵器を造るとなると、イランというのはレベルが高いですから、ちゃんと核拡散防止条約へ入っていますから、今では造れないんですね。ですから、彼らが望んでいるのは、核兵器をその気になれば数週間、若しくは数分でもいいんですが、すぐに造れるような技術力とその生産施設を持つこと、これが彼らの目的だろうと思います、今のところ。  もし成功した場合にどうなるか。それは、パワーバランスは大きく変わりますが、先ほど申し上げたグレートゲームのパワーバランスが大きく変わるとは私は思いません、核の数がもう限られていますから。ただ、中東地域の中でのパワーバランスは大きく変わってしまう。そして、その後、先ほどもちょっと申し上げかけたんですけれども、ペルシャ湾の反対側の国々、どこの国とは言いませんが、の数か国は間違いなく核兵器を造ろうとするだろうと思います。そうなりますと、中東における核抑止というのが意外に難しい分だけ核が使われる可能性が高まってしまうと、それが私が一番恐れていることでございます。

串田誠一 日本維新の会

○串田誠一君 今の御答弁というのが、まさに世界中で悩みを持っていらっしゃるのかなと思うんですけれども、アメリカ国内でも賛成、反対というのもあると思いますし、国連でも、安保理がなかなか機能しない中で、グテーレス事務総長が双方を反対するような声明も出されていると思うんですが、今言ったような形で、パワーバランスという点では大変危険な状況になるということで、それを阻止するという名目で行われている今のトランプ大統領の判断に関して、宮家公述人としてはこれはやむを得ないと思うのか、それともこれはやはり問題であると思うのか、大変難しい質問かと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 非常に難しい質問ですが、政治的な判断を抜きにして研究者として申し上げれば、私は、必ずしも正しい判断ではなかったというふうに将来の歴史家がそういう判断をする可能性はあると思っています。もっとうまいやり方があった、彼が駄目だったと言うつもりはなくて、もっとうまいやり方があったとは言えると思います。  具体的に言いますと、やはり先ほど申し上げたとおり、戦略と戦術と大義名分と同盟国が必要です、戦争の場合には。そして、まず戦略がない。何が目的か分からない。そうすると、目的を達成して勝利を説明できない。それから、大義名分がないと、同じように、国民の心に打てない、の理解が得られない。国民にも説明はしていない。そして、同盟国もイスラエルだけと。このような戦い方は、今回は例外かもしれませんが、古今東西歴史を見る限りにおいては成功しない可能性の方が高いものだと思っています。

串田誠一 日本維新の会

○串田誠一君 そのトランプ大統領がどのぐらい長期になるかというのをどのように考えているのかと、大変難しい点ではあるんですが、その後のエネルギー政策等の中で、続けて質問させていただきたいんですが、その前に宮家公述人にお聞きをしたいんですけれども、今回行われたのが二月の二十八日ということであります。ある意味ではいつでもこれはできたことであろうかなと思うんですけれども、冬を終え、真夏の前、長期的にも大変な真夏の前に終わらせられるんじゃないかというようなことで、二月二十八日という微妙な気温の中で行われたようにも思うのですが、これは計画的であると公述人は思われますか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 私も報道以上のことは知りませんけれども、それを総合させていただくと、恐らくイスラエルは昨年の段階からこのような作戦を考えていたと思います。そして、アメリカとは少なくとも軍レベルでは緊密な連絡を取っていたと思います。ですから、作戦を作っていたかもしれません。  そして、実は今年に入って、というより去年の末、年末にイランで騒動が起きました。そのときに、実はトランプさん自身が、これ報道ですよ、正しいかどうか分かりませんが、トランプさん自身はやりたがって、やろうと言ったんですけれども、ネタニヤフさんが準備ができていない、米軍も準備ができていないということでやらなかったということでございます。あのときにやっておればという人がいるそうでありますが、それはもうタイミングを失してしまい、そして反対勢力の呼応する形の動きがなかった。そして、二月二十八日まで延びてしまった。これが微妙な時期かもしれませんけれども、それでもイスラエルは恐らくできるだけ早くやりたかった。そのそれにアメリカが乗ってしまったということだと思います。

串田誠一 日本維新の会

○串田誠一君 松尾公述人にお聞きをしたいんですけれども、この資料の中でも、最終的には節約促進というのが、需要抑制というのも書かれているんですけれども、先ほどの気温の話なんですが、昨今四十度というような状況もあって、エアコンなくしては生活できないというのが現実的ではないかなと思うんです。  今はまだ春、春先というような状況ではありますけれども、これが徐々に長期化していって、電力需要が本当に必要になってきたときに、場合によっては計画停電などというようなこともあり得るのではないかなというふうに思うんですけれども、この節約促進というのは、公述人の立場からすると、いつ頃からどのような形で行うことがベストだと思われますでしょうか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) ありがとうございます。  これは非常に難しい御質問かなと思っておりまして、これは原油と電力ではまた事情が違うと感じております。  電力については、どちらかというと、今現状止まっているのは、LNGの調達におけるホルムズ依存度というのは五%でございますし、これをちょっと推定で電源構成で見てみますと、全体、これ再エネとか原子力も入れてですね、全体の正直二%ぐらいかなと感じております。  その観点では、これ夏は何とかなるところは非常に大きいんだろうと感じておりますが、冬まで差しかかるかどうかというのは一つ私は注目しているポイントでございまして、冬まで行くと少しちょっと心配になってくるところがあるかなと感じております。これは、冬の前になってくると、恐らくヨーロッパと、あと中国や台湾等とこれLNGの取り合いになることが改めて秋口に起きる可能性がございますので、ここは少しリスクだと感じているところでございます。  原油については、またちょっと事情が違うと思っております。これは、どちらかというと備蓄がどれだけ減少していくかによるところが大きいと思っております。原油は、やはり油田は一回止めてしまうと、これ一か月以上再開に掛かる可能性がございます。また、公海にも、今、二月二十八日に最後、二十七日ですね、にホルムズ海峡を通過した船が、三月の二十日だったと記憶していますけれども、最後に船が到着したということですから、ちょっと長く見て一か月を見なくてはいけない。これらを考えると、二か月のリードタイムは最低持たなくてはいけないと感じております。  どのタイミングでどれだけの節約をするかというのは極めて難しい判断が必要になると思いますが、最後のお尻は、二か月余裕を見て、三か月くらいは少しちょっと余裕を見ておきたいなと、このように感じております。

串田誠一 日本維新の会

○串田誠一君 この資料の中に石炭というのがあるんですが、いろいろと脱炭素で批判されたりすることもあるんですけれども、このようなエネルギーのいろいろなリスクヘッジを考えた場合に、公述人としては石炭火力というものも残しておいた方がいいとお考えでしょうか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) 私自身、実は石炭火力は維持する必要性を感じております。  これは、理由は二つございます。一つは、今おっしゃられたとおり、やはり電源多様性の確保という観点は非常に重要だと思っております。もう一つは、今後、ちょっとコストが非常に高いということで今回残念ながら撤退になってしまいましたが、洋上風力、風力発電の導入拡大というものを考えたときに石炭の重要性というのを改めて申し上げることができると思います。  風力は、やはりヨーロッパで起きているように、吹くと思ったら吹かない、吹かなかったら一か月吹かない、こんなことが起きるわけで、これをLNGだけでカバーするというのは非常にハードルが高いと思っています。石炭はためられる燃料である。ちょっと管理が非常に重要なんですけれども、ためられる燃料である。この風力の特性をカバーできる燃料というのは、石炭は非常に優れているというところがございますので、この観点でも重要だと感じております。  以上です。

串田誠一 日本維新の会

○串田誠一君 大変参考になりました。ありがとうございました。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 この度は、貴重なお話を伺わさせていただきまして、ありがとうございます。  参政党の塩入清香と申します。今日はよろしくお願いいたします。  まず、松尾先生からお話を伺ってまいりたいんですが、ずばり伺いたいのは、国民目線で大変恐縮なんですけれども、第三次オイルショックの可能性についてです。  昨日、国際エネルギー機関のトップが二度のオイルショックを合わせたものより深刻だというふうに発言されておられます。日本国内でも、足下で既にスーパーの棚からトイレットペーパーが消えるというような事態が起こっている地域もちらほらあるということなので、今後日本における原油供給の予想を教えていただけると有り難いです。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) ありがとうございます。  これは、今現状、石油元売各社は、これはもう品位や品質を問わず、もう世界各地から輸入をかき集めてきているという状況であると思っています。  ただ、これ今現状、統計的に表せるものが、恐らく来月の十八日に通関統計の速報が出るまでなかなか分からないので、ちょっと定量的にお示しすることは難しいと思うんですが、一定は確保していると。また、スポットもやはり今価格が非常に高騰し始めています。原油スポット価格も高騰し始めていますが、まさに取り合いという状況になってきている中で、日本勢は比較的調達できているものと承知をしております。  ただ、これが全量カバーできているかというと、もちろんそういうわけではないとも認識をしておりまして、これは在庫が、徐々に数字が公表されるようになってきていますけれども、減ってきているというところからも明らかかなと、このように感じております。  以上です。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。  松尾先生がこちらの資料でも書かれているように、ポートフォリオの再構築が大事だと思います。短期的にはLNGも含めて調達の範囲を広げていかなくてはいけないと思うんですが、その際、現在輸入していない国で交渉の可能性がある国を教えてください。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) 輸入していない国というとちょっとあれなんですが、輸入量が比較的その依存度として低い国も含めて申し上げさせていただくと、まさに米国の原油というのは、今現状も輸出をしているという状況の中で、比較的活用の余地というのはあるのかなと感じております。  一方で、この原油というのは非常に難しいといいますか、取扱い大変なものでございまして、油と一概に申し上げても、質の問題、先ほど私がどろどろなものもあればさらさらなものもあると。これ、金属を含有しているかどうか、硫黄の含み具合、こんないろいろな成分を装置できれいに取り除いてあげる、こういう過程が必要になります。場合によっては、装置の改修が必要になる可能性もございます。その観点では、ちょっといろんな選択肢を恐らく排除しないということが重要だと思うんですが、これ装置改修の必要性も出てくる可能性はあるかなと、このように感じております。  以上です。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。  精製度なども含めて、いろいろまだまだ投資するべき部分があると感じております。  そして、先ほども松尾先生がお話しになっていた洋上風力にも関連しまして、現在までの日本の再生可能エネルギーは太陽光に偏っておりまして、再エネ賦課金が一家庭当たり年間二万円の負担になっていると。ただでさえ物価高に苦しんでいる国民を追い詰めているような状況でございます。  また、今後、洋上風力に力を入れていくという予算付けになっているんですが、日本のその再生エネルギーのときに、太陽光パネルにしても洋上風力にしても、国産のものを造っていた段階では投資をせずに、それを撤退してから投資を始めるという、そういう嫌いがあると思うんですけれども、その件に関してはいかがお考えでしょうか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) ありがとうございます。  まさに、二〇一〇年代まで、特に再エネが導入拡大進んだのが二〇一〇年代ですけれども、この頃はどちらかというと、国産というよりは競争力のある再エネをしっかり育てていくといいますか、産業として育てていくと、こういう嫌いがあったと思います。  ただ、やはりこれだけ地政学リスクが高まっているということ、また経済安全保障の重要性がうたわれている中で、日本国内でしっかり、これメーカーも含めたサプライチェーンを構築していく必要性というのは改めてあると思っています。  太陽光パネルで申し上げますと、先ほども申し上げましたが、やはり二〇三三年頃から卒FITの太陽光がそれなりに出てくる。場合によっては、これリパワリングといいまして、もう一回造り替えと、パネルの張り替えとか、あとパワーコンディショナーという機械を交換しなくてはいけない、こういうメンテナンスをしなくてはいけないわけですけれども、こういうタイミングでは是非国産のものがだんだん増えていくような、競争力としてあるようなメーカーを育てていくような必要があると、このように感じております。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。二〇三三年が一つの起点になるということで、大変参考になりました。ありがとうございました。  続けて、宮家先生にお伺いしたいと思います。  原油が途絶しているキューバのガソリン価格が一リットル千四百三十円という状況になっているということで、観光産業も壊滅状態で危機的な状況にあるキューバに対してトランプ大統領は、キューバを手に入れる光栄にあずかることになると信じているという発言がございました。  やっぱりキューバに対して政権交代を望む姿勢を隠さないというような状況にあって、石油危機でこれから日本が困ってまいりますと、同じような振る舞いを日本に対してもされるような可能性があるのかどうか、オイルショックが日本の主権を脅かす事態を招く可能性について宮家先生はどのようにお考えでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) まず、キューバについてですが、キューバの前に申し上げなきゃいけないのは、これは言い方難しいんですけれども、私はトランプさんが何を言うかは余り関心ないんです。彼が言ったことは朝昼晩で違いますし、目的も全部違いますから、ですから、言ったことはその程度で聞き流して、彼が実際に何をするかということに一番重きを置いております。  キューバの場合には、彼が何を言おうと、できることとできないことがあるわけで、もちろんルビオさんみたいに、十中八九キューバに思い入れのある方もいらっしゃるかもしれませんけど、そう簡単に、幾ら裏庭とはいえ、アメリカが好き勝手にできるような状況では私はないと思っております。ですから、トランプさんが何を言っても余り動揺されないように、やったことが大事だというのがまず第一点です。  その上で、今の御質問はアメリカが日本の主権に対して何か制限するようなことをやるかどうかということですか、そういう趣旨ですか。そうであれば、それはまた、言うこととやることとの違いだと。言うことは言うかもしれません、あの人のことですから。しかし、それを真に受けてはいけないので、実際に何をするかというところがポイントですけれども。  実際にそのようなことになったときには、やはり政府間同士、役人レベル、それから軍のレベル、それから政府高官のレベル、さらには閣僚のレベル、これ幾らでも意思疎通ができますので、そこを常にうまく使いながら、大統領の言っていることは言っていること、しかし、それをやらせないという、いろいろな手は打っていかなきゃいけないと思いますが、そうは申し上げても、基本的には、同盟国である日本に対して日本の主権が脅かされるようなことをアメリカがするというのは余り想定したくないことでございます。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 よく分かりました。ありがとうございます。  先ほど宮家先生が抑止の失敗という言葉もおっしゃっておられました。今、こうした世界的な緊張を背景に、フランスは抑止力として核弾頭の増強にかじを切っております。韓国に至っても、原潜を導入するという話もございます。自民党、日本維新の会の両党合意では、次世代の動力を活用した潜水艦に係る政策を推進するというふうに書き込まれております。  宮家先生は、このような世界的な動きについてどのようにお考えでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) それは、日本の核についての対応ぶりということと理解いたします。  私、個人的に言いますと、このような不確実性が高まる中で抑止力を高めなければいけない、これは正しい。その抑止力を高める手段として核兵器があるかと言われれば、理論的にはあると思っています。  ただ、じゃ、それを日本がやるかということになりますと、これは単に軍事的な効果だけでなくて、政治的な効果もあるわけです。さらに、もちろん経済的な効果もあります。  まず、軍事的な効果からいったら、一発二発持っても意味ないので、これ何百発持たないといけないんですね、一発持って抑止力になるかといえばなりませんので。何百発持つというふうになりますと、とてつもない金が掛かります。しかも、サイロだけでは足りないので、原子力潜水艦が例えば三隻、六隻、九隻必要になってくるわけで、これまたとてつもない金が掛かるわけです。さらに、それを核武装を言った時点で、戦後日本が説明してきた日本の政策とのやはりそごが出てくる。それは当然のことながら政治的にマイナスになるわけで、軍事的なプラスと、経済的なマイナスと、政治的なマイナスを考えた場合に、私は一発二発持つぐらいだったら持たなくていいと思っています。

塩入清香 参政党

○塩入清香君 ありがとうございます。  先生もおっしゃったように、そのグレートゲームということで、新たな時代に突入した中で、日本が生き残っていくための選択肢として最良の抑止力を持つという面において何が一番いいのかということを真剣に国会で語り合うべき時期に来ていると考えております。  貴重なお話を伺いまして、ありがとうございました。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 今日はありがとうございます、御意見をいただきまして。  日本共産党の山添拓と申します。  松尾公述人に伺います。  調達先の分散ということの御指摘があり、今日先ほども議論がありましたが、この間の日米首脳会談では、米国産の原油を日本で調達する、そのための備蓄の共同事業をということで日本側から提案もしております。米国は最大の産油国ですが、日本がこれまで原油の調達先としてきたのは圧倒的に中東依存でした。  先ほど質的な問題を少し指摘されたのですが、そのほかにも米国産の原油の輸入に当たってはどういう課題があるのか、御意見をいただけますか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) 米国産のその原油については、今、質のお話を申し上げましたけれども、比較的スイートと言われる質ではありますけれども、価格がやはり中東の原油に比べて高いという側面が指摘できると感じております。  日本の場合は、比較的安価で大量に出てくる中東の原油を大量に受け入れて、そこからそれに合わせた製油所の設計をして、ある程度、経済合理性のあるような形で製品を作ってきたという過去の歴史がございますので、ここの商習慣が非常に積み重なってきて、それに沿った設備設計になっている。そこに改めてアメリカの原油を拡大する必要があるかというと、なかなかそうではなかったという過去の経緯がございます。  以上です。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  原油あるいは今日御指摘のあったLNG、それから農業用の肥料なども含めて、このホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う直面する危機的な問題があります。これらを回避しようと思いますと、中長期的にはいろいろ考えるべきところが当然ありますけれども、結局、この戦争を止めてホルムズ海峡の封鎖を解くということが、日本にとってもアジア地域の多くの国にとってもどうしても必要になってくるのではないかと、ここ数か月あるいは数年という単位で見たときに。松尾公述人、いかがでしょうか。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) まさにおっしゃるとおりでございまして、やはり今回止まった、ちょっとLNGで申し上げますと八千六百万トン止まっています、四億二千万トンのうち八千六百万トン止まっている。これをカバーできる国というのはなかなかないわけでございます。場合によっては、例えばロシアの天然ガスをヨーロッパがもう一回受け入れるんじゃないか、こういうようなお話もちらほら出てくるわけですけれども、とはいえ、今現状、ノルドストリーム、ノルドストリーム2はこれ四本ですね、パイプラインが実は二回線ずつございますけれども、四本中三本が破壊されている状況ですから、実はカバーできるのは二千万トンから三千万トンくらいだと理解をしています。  こうすると、実はカバーする能力というのは比較的限定的でございまして、やはり最終的にはホルムズ海峡の通過、安定通航ができる、安定航行ができる状況に持っていかなくてはいけないと感じております。  以上です。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  今、松尾公述人からロシアのLNGという話がありました。  今度は宮家公述人に伺いたいのですが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖の影響がアジア各国にも及んで、その下で韓国やフィリピン、タイなどがロシア産の原油の輸入を検討していると報じられています。これがロシアにとってどういう状況なのかと、御意見を伺えますでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) ロシアの国内での報道などを読みますと、やはりこれがロシアに有利であるという見方がないわけではありません。確かに、ロシアの石油に対する需要が高まっていて、そして、しかも値段が上がっているという意味で、短期的にロシアがある程度一息つけるということはあるかと思います。  しかしながら、かといってロシアがイランに対して、軍事情報等も含めてイランに支援していること、もうこれもよく報じられていることですけれども、そのような状況でロシアに対する国際社会が見る目というのがそんな劇的に変わるのかというふうに考えたら、そんなに甘いものではないと思います。ですから、短期的にはある程度一息つけるかもしれませんが、プーチンさん、決してこれで一件落着という状況にはならないと思っています。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 米国のイラン攻撃がきっかけとなって、ウクライナ侵略を続けるロシアを利するような、そういう結果になりかねない、短期的には少なくともですね、これはそれなりに重大な問題ではないかと思います。  もう一点、宮家公述人に伺います。  公述人は、ヨーロッパでも中東でも抑止が効かなくなったというお話を今日いただきました。でも、私は、その意味では今般、トランプ政権のアメリカもその抑止が効かない仲間入りをしたということなのかなと伺っておりましたが、しかし、だからといって力の支配に戻るようなことでいいのかと、あるいはトランプ氏の言うような力による平和ということを、大手を振ってそういう時代に変わっていくということを認めてよいのかというと、そうはいかないだろうと思います。日本政府も法の支配を掲げてきました。公述人も国際秩序ということを強調されております。  そこで、この法の支配を回復し、目下のイラン戦争を止めていくために、この不安定な状況しばらく続くということもお話ありましたけれども、今この目下の状況を止めていくために、法の支配を回復して止めていくためには何が必要だとお考えでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 法の支配を回復すると戦争が終わるわけではなくて、戦争が終わったら法の支配が回復されるのでございます。  ですから、国際法が万能ではもちろんなくて、国際法の研究者の方には大変申し訳ないですけれども、国際法というのはまだ開発途上の法体系でございます。なぜならば、強制力がないからです。国内法であれば当然強制力が、法執行機関があるわけですが、それがない。そして、強制力のあるものというのは安保理の決議だけですけれども、この安保理の決議も機能しない場合が多いということで、残念ながら、もちろん国際法が大事ですし、我々は国連を中心とした外交を続けるべきだと思いますけれども、実際には必ずしも思ったような役割を国連が果たし切れていないこと、これも覚悟しなければ、認識しなければいけないと思っています。  その上で、じゃ、どうするんだと言われれば、残念ですけれども、戦争若しくは平和、いろいろな見方があるかもしれませんが、悪いことをするやつをやっぱり力で抑えなきゃいけないときってあるんですよ。泥棒がいたら警察は捕まえるんですよ、何もしなかったら泥棒が泥棒続けるだけなので。  ですから、その意味で私は強制力が絶対駄目だというふうには思っていません。ただ、その強制力を使う場合に、国際法にできるだけ準拠する、若しくは国内的にもちゃんと説明をする、そして国際的にも同盟国を増やして、そしてそのような声を拡大していくということが恐らく国際法の強制力に次いで重要なことだと思いますので、それをやっぱり引き続き日本は目指していくべきだと考えています。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  その意味では、先ほどトランプ大統領の今度の行動は必ずしも正しい判断ではないのではないかという宮家公述人の御意見がありましたが、そうした正しい判断ではない下で戦争を始めて、今のように長期化の様相があるときに、これを終わらせるためにはやはり攻撃を始めた側が判断するということが必要になるかと思うんです。そのためには、例えば日本はどのような対応を取ることが必要だとお考えでしょう。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 私の申し上げた趣旨は、将来の歴史家が、この問題について正しい判断をするかどうかにもよりますけれども、いかがなものかというふうに見る方がいるかもしれないということを理論的な可能性として申し上げただけであって、今の時点でトランプさんの行動が国際法上どうだということについて私は議論をするつもりはありません。  オンゴーイングである、しかもイランにはイランの言い分がもちろんあるんですが、アメリカにはアメリカの言い分もあるわけです。そして、イスラエルも千二百人の人が殺されている。アメリカはレバノンで多くの海兵隊員が亡くなっている。  これ、彼、トランプさんが言うように、四十七年かどうかは別として、イランとアメリカの対立というのはイランのあの革命の時代にアメリカ大使館を占拠して以来ずっと続いている問題なんです。この問題についてはまだ結論が出ていないということもまた御理解いただきたいと思います。私は別にアメリカの代弁をするつもりはありませんけれども、あの対立というのは決して昨日今日始まったものではないということでございます。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 この間、イランでも千五百人以上が亡くなっているということもまた見なければならないと思います。  もう一点、今日のお話の中に、欧州、中東とインド太平洋は戦略的に不可分、こういう話がありました。私もそういう向きはあるかと思うんですが、ただ、今度の攻撃をめぐってNATO諸国は米国と少し距離を取っているかと思います、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどですね。艦艇の派遣も拒みました。  日本とNATOとではホルムズ海峡をめぐっての利害状況の違いがあるのですが、ヨーロッパはヨーロッパでロシアとの関係などまた日本との違いもあるかと思います。にもかかわらず、NATO諸国がイラク戦争のときとも違って今度のような対応を取っている、このことについてはどのようにお考えでしょうか。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) これは戦略的というよりは、個人的とは言いたくありませんが、やはり指導者同士のケミストリー等々があるのではないかと個人的には推測いたします。特に、トランプさんのNATO嫌いと言っていいと思いますが、これはかなり根の深いもののようでございますので、その感覚がやはりNATOの指導者にも伝わっているのかなという気がいたします。  日本はそういった状況にないことに加えて、やはり圧倒的にヨーロッパ、欧州、NATO諸国に比べてもエネルギーの依存度が湾岸地域については極めて高いですから、当然、おのずから対応が違ってくるのは当然だと思っています。

山添拓 日本共産党

○山添拓君 ありがとうございました。終わります。

伊勢崎賢治 れいわ新選組

○伊勢崎賢治君 まず、松尾先生にお願いします。  この一番最後のスライドの日本への御意見の中で、エネルギー自給率の向上、そして原発の再稼働のことをメンションされたと思うんですけれども、これちょっと見方を変えて、この原発の保安ですね、セーフティー、つまり事故とか故障への備えではなく、セキュリティーの話です、原発のセキュリティー。つまり、テロとか武力攻撃への備えですよね。その観点からちょっと一つお伺いしたいんですけれども。  ちょっと、今、世界からこれを俯瞰する形で、ウクライナ戦争では御存じのように原発が何と陸上歩兵戦の戦場になってしまいました。この恐怖を味わったばかりであります。現在の中東紛争では、原発施設を攻撃し合うというのが、ある意味、残念ですが、日常化してしまったんですね。もちろん、これは国際人道法、国際法が厳禁することでありますけれども、多分この後、人類はまた目覚めて、新たな国際協定だとか国際条約の締結、発動というふうに国連は動くはずですよね。  今お伺いしたいのは、この原発のセキュリティーの問題ですね、セキュリティーの問題。これは、各国でこれから進むであろう、不可避的に原発回帰の動きに対してどのくらいの障害になるのか、もし克服できるとしたらどう克服するのか、御意見をお願いいたします。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) これは、まさにウクライナでザポリージャ原発や南ウクライナ原発に対してロシア軍が攻撃を仕掛けていると、こういうようなことはございますけれども、ここで重要なのは原子炉建屋そのものは戦いの場になっているわけではないというところでございます。じゃ、だからないがしろにしていいかというと、なかなかそうではないと感じております。  日本の原子力規制の中で、やはり例えば非常用発電機なんかもばらばらに置いてあると。これが改めてテロ対策の観点で、置いてある場所が災害の観点では適切かもしれませんけれども、テロ対策の観点で適切なのか、適切な場所にあるのか。こういうようなものはこの地政学リスクの変化であったりとか、今まさにちょっとイランに対しても、原子力発電所の敷地内が攻撃されるというようなことがあり、イラン革命防衛隊はアラブ首長国連邦の原子力発電所を名指しするような状況がございますので、ここは少し気を付けるところは出てくるんだろうと思っています。  また、対策としてはもう方針が出てきていますので、改めてちょっと私からコメントさせていただくと、ドローン対策というものは少し懸念をしてございました。やはりドローンそのものが受変電設備にショートをさせるなんということになってしまうと、ちょっと原子力発電所の外部電源が絶たれる原因になりかねないと、このように感じていたところではございます。これに対する対応策というのは原子力規制庁で実際考えていくというようなお話は出てきていますので、ここは一つ安心しているところでございます。  以上です。

伊勢崎賢治 れいわ新選組

○伊勢崎賢治君 まさにそこなんですね。実は、僕、元研究者でありまして、「テロリストは日本の「何」を見ているのか」という本を書きまして、全然売れなかったんですけどね。何というのかな、IAEAももちろん、日本の三・一一、あれが世界で大教訓を与えたんですね、教訓を与えたんですね。IAEAも本当にこの核セキュリティーの協力とか人材育成の重要性を、繰り返し繰り返しこれを強調するようになりました。  御存じのように、アメリカはかなり進んでいまして、僕はこの本でこれを扱ったんですけど、フォース・オン・フォースみたいな、つまり、政府が企画した武装した集団を逆に商業原発の警備隊と戦わせる、それも抜き打ちでやるという、こんなことをやっているわけです。なぜかというと、アメリカは明確に原発のセキュリティーを国家安全保障、国防の問題と位置付けているんですね。  日本は今どうでしょう。素直な御意見、お伺いしたいんですけれども。

松尾豪 合同会社エネルギー経済社会研究所代表

○公述人(松尾豪君) やはりその安全保障、特にその防衛や警察、自衛隊や警察との連携というのは、これは発電所個々でそれぞれ連携をしている。特に、その地域の警察や自衛隊等々との連携というものが進んでいるとは理解をしています。  ただ、じゃ、これで果たして完璧なのか。例えば、これまでの国際情勢を前提にした警備計画でいいのかどうなのかというのは、まさにこの地政学リスクが高まってきている状況の中で議論が必要なところであるのではないかと、このように感じております。

伊勢崎賢治 れいわ新選組

○伊勢崎賢治君 宮家先生、お願いします。  イラン情勢であります。  おととい、昨日、停戦、微妙ですけれども、今、仲介やっているのがパキスタンという、非常にコントラバーシャルな核保有国が、パキスタンが今焦点になりつつありますね。  こんな感じでいつか停戦が来たとして、これ頭の体操なんですけれども、デー・アフターですね、デー・アフター、その辺から多分イランの戦後復興という話が国際社会の関心事になってくると思います。実は、国連のある部署からもう既に僕にも照会が、意見具申の照会が来ておりますね。特に、湾岸諸国やヨーロッパ諸国はエネルギー供給の安定化、これは我々にとっても同じです。とにかく難民問題の懸念で復興支援に関与する可能性が非常にモチベーションとしては大きなものがあると。これは日本にとっても同じだと思うんですね。  御専門のこの現在の現体制に完全崩壊はないでしょう。多分、指導部がこれだけ損失していますから、組織内に亀裂とか反政府の動きを誘発する可能性がある一方、逆に結束が高まる、こういう可能性もあると。凝縮か分裂か非常に不透明なんですけど、いずれにせよ、政治的な混乱若しくは治安的な混乱の状態の中で復興ということを考えなきゃいけないからね。  例えば、日本がイランの戦後復興、デー・アフターの戦後復興に協力する場合どういう状況を心積もりするべきか。若しくは、過去のイラン国内の人権侵害、残念なんですけれども、こういう事例を考えると、何らかの援助のコンディショナリティー、条件付けですね、これは多分必要になってくると思うんですけれども、そういった場合どういったコンディショナリティーが日本国として提示し得るか。若しくは、それを実現するために日本はどんな体制づくりを今から必要か、御意見をどうぞ。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 今のお話を伺っていて、私は、イラク戦争の後、占領組織でCPAというのができましてそこに出向していたので何となく分かるんですが、イランがこのままどのような形になるか知らないけど、停戦が仮に実現したとして、現政権が残ったとしても、恐らくいろんなオプションがというか、可能性があると思いますね。非常に強い政府が残るか。いや、残らぬでしょう。じゃ分裂するか。いや、しないかもしれない。  しかしながら、そこで十分外国の援助団体なり外国の援助組織が入ってきて、そして安全に国づくりができるのかということを考えますと、私がイラクにいてグリーンゾーンの中にいたときも外でドンパチやっていましたし、ロケット弾どんどん飛んできましたから、それでもやったんですね。それはなぜやったかというと、CPAという組織があったからです。  だけれども、もしイランで、これ頭の体操でしかありませんが、この後何か混乱が起きたときに、中央政府が十分機能しない、そしてそれに対して、じゃ、支援をする相手若しくは受皿、そういうものがあるのか。そうすると、どの程度の権限が我々にもらえるのか、若しくは特権・免除があるのか。安全のことを考えますと、非常に私は難しいだろうなと思います。やる気はあっても、やれないというのがポイントじゃないかと思います。  ついでに言いますと、私が実は一番恐れているのはそれでして、仮に停戦ができたとしても、ある程度中央政府が弱体化した場合に、テヘランはいいかもしれませんけれども、地方に行ったときにどのくらい力の真空ができているかということを考えますと、場所とタイミングをよく考えてでないと、各国とも、日本も含めてですけれども、援助はしたいけれども、具体的な案を作りにくいという状況が生まれる可能性は十分あると思っています。

伊勢崎賢治 れいわ新選組

○伊勢崎賢治君 僕も、宮家先生と同じようにアフガニスタンでそれをまた経験したんですけれどもね。  最後、時間があれなんですけれども、GCC諸国、バーレーンとか、もちろんオマーンも含めて、米軍抱えていますよね。今回、デー・アフターが来たとして、米との関係どうなるか、ちょっと御意見をいただきたい。なぜかというと、多分これセキュリティージレンマ、ある種の、置かれていたと思うんですよね。  つまり、米国、それらの国は米国の抑止力に、米軍の抑止力に依存する一方で、米軍の駐留がイランの報復を招くという、これは一種のセキュリティージレンマだと思うんですけれども、これがこのデー・アフター、どういうふうに変わってくるか、御意見を。

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問

○公述人(宮家邦彦君) 私には水晶玉がないので予測は難しいんですが、あえて申し上げると、GCCの方には申し訳ないけれども、あそこは基本的に都市国家です。そして、人口も限られています。そして、確かに最新兵器はアメリカから買っているかもしれませんが、軍隊の組織としてどれだけ戦闘力があるか、抑止力があるかと言われれば、ううんと疑問を持たざるを得ない。それに対してイランとの関係でいえば、イランは圧倒的に強い。  ですから、私は、仮にどのような形で戦後になるにせよ、GCC諸国がアメリカの依存から脱却することはできないと思います。ですから、それは、ただし、もっとうまいやり方をこれから考えてはいくだろうと思いますが、今の基本的な置かれた状況というのは恐らく十年後も変わらないだろうなというふうに思います。

伊勢崎賢治 れいわ新選組

○伊勢崎賢治君 ありがとうございました。

藤川政人 自由民主党・無所属の会

○委員長(藤川政人君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言お礼を申し述べます。  本日は、有益な御意見をまた御教示いただきまして、誠にありがとうございました。今後、この機会をしっかり生かして、国政に努めてまいりたいと思います。委員会を代表して心からお礼を申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  これをもって公聴会を散会いたします。    午後四時六分散会

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