令和八年七月十七日(金曜日) 午前十時一分開議 ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第三十号 令和八年七月十七日 午前十時開議 第一 ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案(内閣提出、衆議院送付) 第二 重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案(内閣提出、衆議院送付) 第三 種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付) 第四 国旗の損壊等の処罰に関する法律案(衆議院提出) 第五 電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付) 第六 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付) 第七 皇室典範等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付) ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件 議事日程のとおり ─────・─────
本会議
発言 50
○議長(関口昌一君) これより会議を開きます。 日程第一 ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔小川克巳君登壇、拍手〕
○小川克巳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、ヒト胚又はヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、これにより、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること並びに当該遺伝子改変の影響が将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植することを原則として禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制し、その他ヒトゲノム編集胚等の適正な取扱いを確保するための指針を策定しようとするものであります。 委員会におきましては、規制対象となるゲノム編集技術等の範囲、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する指針の策定手続、今後のヒト胚又はヒト生殖細胞に対するゲノム編集技術等の利用の在り方等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、れいわ新選組を代表して天畠大輔委員より反対の旨の意見が述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十三 賛成 二百三十八 反対 五 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(関口昌一君) 日程第二 重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案 日程第三 種苗法の一部を改正する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上両案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長藤木眞也君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔藤木眞也君登壇、拍手〕
○藤木眞也君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。 まず、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案は、高温や病害虫に強く、単収が多いなどの特徴を有する重要品種の育成、普及に継続的かつ安定的に取り組むための措置を講じようとするものです。 次に、種苗法の一部を改正する法律案は、育成者権の保護の強化及びその円滑な行使の確保のための措置を講じようとするものです。 委員会におきましては、両法律案に加え、舟山康江君外四名発議の主要農作物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等に関する法律案を一括して議題とし、参考人を招致してその意見を聴取するとともに、重要品種の育成等に向けた支援の在り方、優良品種の海外流出防止策、主要農作物の品種育成を国が直接支援する必要性等について質疑が行われました。 両法律案の質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩渕委員より両法律案に反対、国民民主党・新緑風会を代表してかごしま理事より両法律案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。 順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されております。 以上、御報告いたします。(拍手) ─────────────
○議長(関口昌一君) これより両案を一括して採決いたします。 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十三 賛成 二百二十七 反対 十六 よって、両案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(関口昌一君) 日程第四 国旗の損壊等の処罰に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長北村経夫君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔北村経夫君登壇、拍手〕
○北村経夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により公然と国旗を損壊等する行為についての処罰規定を設けようとするものであります。 委員会におきましては、発議者を代表して衆議院議員松野博一君より趣旨説明を聴取した後、参考人から意見を聴取するとともに、前提となる立法事実の有無、対象となる保護法益、政治的表現等に対する萎縮効果、罪刑法定主義の明確性の観点からの具体的な処罰事例等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・無所属の塩村委員より反対、国民民主党・新緑風会の堂込理事より賛成、公明党の窪田委員より反対、参政党の大津委員より賛成、日本共産党の大門委員及びれいわ新選組の伊勢崎委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(関口昌一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。塩村あやか君。 〔塩村あやか君登壇、拍手〕
○塩村あやか君 立憲民主・無所属の塩村あやかです。 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました国旗の損壊等の処罰に関する法律案に対し、断固反対の立場から討論を行います。 まず、冒頭に申し上げます。 私も、我が国の国旗を大切に思う一人です。国旗を尊重する思いや国民感情は尊いものであり、尊重されるべき価値があります。しかし、だからこそ私は、国家の強権たる刑事罰をもってそれを国民に強制し、縛り付けようとする本法案に、断固として反対をするのです。 本法案は、既存の器物損壊罪等とは異なり、自己所有の国旗を損壊する行為をも対象とし、国民感情という抽象的な法益を刑罰で保護しようとするものです。 しかし、これを刑事罰をもって強制する本法案は、憲法が保障する基本的人権を根底から揺るがす極めて危険な悪法であり、刑法学者ら百四十人を超える専門家や、約三十もの実務、宗教、表現、人権団体から反対声明や撤回要求が提出されている事実こそが、この異常性を物語っています。 先日の参考人質疑では、憲法学者お二方から違憲性について決定的な指摘がなされました。神戸大学の木下昌彦教授は、国旗の損壊は特定の主義主張を伝達する象徴的言論であり、表現の自由の核心であると指摘をされました。これを処罰することは、正当な言論活動に深刻な萎縮効果をもたらします。木下教授は、他人の宗教的行為が不快であっても法的保護には値しないとした最高裁の自衛官合祀事件判決を引き、不快な気持ちは表現の自由を保障する憲法の下では受忍限度内であると明言をされました。 さらに、国民感情を保護法益とし、不快感や嫌悪感を理由に国旗損壊を処罰する先進民主国は見当たらないと強く指摘をされています。仮に本法が合憲とされるのであれば、これまでの憲法理解が根本から覆り、憲法現象としては憲法改正と同じ意味を持つとの警告を、我々は厳粛に受け止めるべきです。 また、本法案は、刑罰法規として不可欠な明確性を致命的に欠いています。発議者は、政治的抗議であってほかに手段がない場合は違法性が阻却されると説明しますが、そもそも警察の取締りや逮捕は行為の外形に基づいて行われます。一瞬の現場で、行為者の内心の政治的信念やほかの手段の有無を客観的に判断できるはずもありません。 この基準の曖昧さは、実務上、極めて深刻な混乱と人権侵害をもたらします。本罪は非親告罪であるため、デモの現場などで、対立をする市民を現行犯逮捕することが可能になります。私人逮捕です。専門家や裁判官ですら判断が困難な、どこからが罪になり、何が免罪されるのかという判断を現場の一市民に委ねれば、主観的な正義感や愛国心を暴走させた市民同士が実力を行使し、物理的な衝突や不当な身体拘束を誘発しかねません。結局、曖昧な基準で広く網を掛けて恣意的に逮捕し、後から内心を取り調べるやり方は、中央大学の橋本基弘教授が批判をした後出しじゃんけん的な解釈を許す法規であり、法の支配の全面否定です。 国旗の損壊は、歴史的に人々が国家権力への抵抗や差別を糾弾するために用いてきた最も強い政治的表現の一つであります。この歴史的文脈を無視し、方法の規制という建前で、政府への抗議メッセージそのものを狙い撃ちにして取り締まる本法案は、橋本教授が警告をしたとおり、日本国憲法史上初めて政府批判を禁止する法律になり得る、極めて危険な本質を隠し持っています。 ここで、発議者が主張する国民感情という保護法益の欺瞞に満ちた二重基準についても指摘をしておかなければなりません。 平和や主権在民の象徴であるべき我が国の国旗が、他者を排斥するヘイトスピーチや人種差別デモの象徴として街頭で悪用されている現実こそ、国旗を真に大切に思う多くの国民が最も心を痛めている状況ではありませんか。具体的かつ深刻な実害を伴うヘイトスピーチの刑事処罰化に対しては、我が国は表現の自由への配慮を理由に、人種差別撤廃条約の処罰義務に留保を一貫して付してきました。それにもかかわらず、国旗への抗議がもたらす抽象的な不快感情にはいとも簡単に刑事罰を導入し、実害のあるヘイトスピーチは放置して、国家への抗議行動だけを狙い撃ちにしています。この極端な二重基準こそ、本法案が国民感情の保護という名目を借りた実質的な言論への介入にほかならないことを客観的に証明しているのではないでしょうか。 発議会派のアンバランスの是正や諸外国にも例があるという主張も、不誠実な詭弁です。外国国章損壊罪の保護法益は、外交作用の円滑、安全という国家的法益にあり、国民感情の保護など一切含まれていません。全く次元の異なるものを同列に扱う、明らかなすり替えです。 さらに、諸外国にもあると強弁しますが、都合のいい国だけを並べ、先進民主主義国の実態を隠すのは欺瞞です。自由民主主義の盟主アメリカでは、連邦最高裁判所が、国旗を焼く行為は憲法で保護されるべき象徴的言論であるとして、これを処罰する法律を明確に違憲としています。スウェーデンは、表現の自由を重視し、既に自国の国旗損壊罪を廃止しました。イギリスやデンマーク、カナダには、そもそも処罰をする法律自体が存在しません。カナダでは、過去に法案が提出されたものの、基本的人権を脅かすものとして実質的な審議すら行われず、第一読会止まり。つまり、これはつるしが下りず、門前払いにされて葬り去られています。 法規が存在をするドイツ、イタリア、フランス、韓国などには、ナチスの独裁への反省や植民地支配からの独立など、国家体制そのものが転換されたという切実な歴史的経緯が存在し、自らが命懸けで獲得をした憲法秩序そのものを守るために法を定めています。不快に思う多数派の国民感情という曖昧なものを刑罰で守ろうとする我が国とは前提が根本的に異なります。 安全保障を大義名分にする認知戦への抵抗という主張も論理破綻をしており、むしろ逆効果です。認知戦の狙いは社会分断の激化であり、この法案を強行して表現の自由を弾圧し、国論を二分すること自体が他国の思うつぼです。また、現代の認知戦の主戦場はデジタル空間の偽情報であり、自国民を刑罰で縛ったところで、他国がAI等で作成をするフェイク動画の拡散を防ぐことはできません。真に対抗する力とは、多様な言論が保障された強靱な民主主義社会を築くことです。 極め付けは、法案発議者である日本維新の会の阿部圭史衆議院議員の答弁によって図らずも露呈をした、本法案の透け見える本音です。阿部議員は、衆議院内閣委員会において、政治家としての答弁と前提の下、愛国心も醸成されていくのではないかと発議者席で答弁をしました。発議者自らの答弁は、個人の感想などではなく、この法案がもたらす実質な影響そのものではないでしょうか。これは内心の自由を揺るがしかねず、刑事罰を背景に特定の価値観を浸透させようとする意図が図らずも示されたものと受け止めざるを得ません。 更に重大なのは、野党が内心の自由を侵害するおそれがあるとして答弁の撤回を強く求めたにもかかわらず、発議者である阿部議員がこれに一切応じなかったことです。この撤回拒否の姿勢こそ、あの一言がまさに発議者の本音であり、この法案の真実を雄弁に物語っているのではないでしょうか。 これでは、刑事罰という国家権力を背景に、国民に特定の思想や信条、あるいは国旗への敬意を事実上求める法案ではないかとの懸念が深まるばかりです。 愛国心とは、国家が個人を尊重し、自由を保障することによって、国民の中から自然に、そして自発的に湧き出てくるものです。刑罰の制裁の下に愛せと強制をすることは、健全な政府批判を封じることであり、民主主義と立憲主義の否定にほかなりません。刑法の体系を無視し、法制審議会の手続すら踏まず、表現の自由を数の力で強行制約をしようとする本法案は、国会議員の使命に完全に背く暴挙です。 私たち国会議員の使命は、先人が多大な犠牲の末に獲得をした日本国憲法を擁護し、国民一人一人が尊重され、国旗が万人から自発的に愛される平和な社会を守り抜くことであって、刑罰の下に国旗への敬意を強制することではありません。 良識ある議員各位の賛同、そして本法案への断固たる反対を強く皆様に求め、私の反対討論といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(関口昌一君) 堂込麻紀子君。 〔堂込麻紀子君登壇、拍手〕
○堂込麻紀子君 国民民主党・新緑風会の堂込麻紀子です。 会派を代表して、国旗の損壊等の処罰に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。 初めに、法案提出の起点となった自民党、日本維新の会の会派として、なぜ討論をなされないのでしょうか。一言を申し上げて、討論に入ります。 まず、我が党は、日本の国旗は守るべきであるという基本的な認識を有している、有しているところであります。また、国民の声としても、国旗損壊罪の創設に係る世論調査の結果を見ますと、令和八年六月の時事通信の調査においては、賛成五六・七%、反対二〇・九%、また同月の産経新聞社とFNNの合同調査においても、賛成五六・九%、反対三四・九%と、いずれも過半数が賛成の回答をしているということから、多くの国民からも要請をなされているものと受け止めております。また、地方議会からの意見書につきましても、国旗損壊罪法の早期創設を求めるとして寄せられているものと承知をしております。 しかしながら、当初、自民党、日本維新の会が法案化したものは、国民の内心の自由及び表現の自由を侵害するおそれがあるほか、罪刑法定主義の観点からも問題がある等の懸念が明らかでした。 今回の国民民主党が賛成をした前提は、これらの懸念を踏まえ、数の力で押し切り法案が可決されることを批判するだけではなく、充実した協議により懸念の解消に努めることを選択し、課題については修正することとしたからです。 以下、その対応と修正がなされた点を挙げ、賛成の理由を申し述べます。 一つ目は、与党から提案のあった法律案について、国旗の損壊行為を処罰の対象とするだけではなく、国旗の損壊している様子を事後的に配信するという配信行為にまで処罰対象が及んでおりました。しかしながら、この配信行為の処罰対象は、これまでの表現の自由を大きく侵害するおそれがあるものであり、我が党の求めにより全面的に削除とすることができたからです。 二つ目は、憲法第三十一条を根拠とする罪刑法定主義の明確性の原則の観点から、何が罪で何が罪でないのか分かりにくいという点については、三年後の見直し規定を設けることにより、実施の状況を踏まえて、将来的に罪刑法定主義を更に担保していくこととしたものに加え、国民民主党が本法律案の共同提出者として加わることで、立法者として、質疑の中で、何が処罰の対象となるのかならないのか、具体的事例を示しながら、裁判規範となるよう答弁を行うことにより、その外縁を画していくこととしました。つまり、我が党は、責任ある野党として、憲法上の権利、自由を守る観点から、法文の修正協議に加わることに自ら懸念に対する説明責任を負うということでこの歯止めを掛けていく、その役割を果たしたと考えるからです。 三つ目に、衆参両院の質疑を通して、国民民主党は、本法律案で創設する国旗損壊罪に該当し得る例や、逆に基本的に処罰対象にならないのではないかという行為について、具体例をお示しすることに努めてまいりました。国会の場で法案提出者が一定の例示を示したことの意義は大きいと考えます。 そのほかにも、国旗損壊罪の客体となる国旗には何が該当するのか、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法とは誰が判断をするのか、第二条第一項の公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者について、公然ととはどのような状況を指し、損壊、除去、汚損とはどのような行為を指すのか、表現内容ではなく、行為の外形等で判断するとはどういうことを意味するのかなど、様々な観点から本法律案の趣旨や処罰対象を明確にすることにより、国民の皆様に対して、どのような法律なのか理解を深めていただけるよう、質疑と答弁を重ね、議事録に残したからです。 その上で、七月十四日に行われた参考人質疑において、賛成の立場である参考人からは、現代では、SNSを通じ、相手国社会の分断をあおり、国民の相互不信、これを増幅させる認知戦、影響力工作が平素から行われており、国旗を公然と損壊する画像、映像がこの認知戦においては極めて有効な弾薬となるとした上で、立法事実とは、件数だけではなく、行為が社会に及ぼす影響の大きさも勘案して評価されるべきもので、国旗損壊行為に関して、発生がまれでも一度起これば影響が甚大であるとし、さらには、SNS時代には、国旗への多様な思い、多様な感情を抱く国民は増幅されるために、これまで以上に事前に国旗をめぐる自由の境界を明示すること、これは国家のリスクマネジメントとして当然の要請であるとの意見が示されました。今、そしてこれからの社会を迎える上でも、本法律案の意義はあるのだと考えます。 一方で、本法律案に慎重な立場の委員や参考人などからも、依然として曖昧さや憲法上の懸念が残るといった厳しい御指摘もいただいているというところでございます。これらは、法案提出者となった我が党としても真摯に、そして誠実に受け止め、この必要があると考えます。 また、実際の運用状況や施行後に社会に与える影響などについても課題が生じることも考えられます。本法律案では、国民民主党の要望で三年後見直しの規定が掲げられていることから、政府には、国旗損壊の発生状況や運用上の課題を整理した上で、罪刑法定主義や表現の自由など、憲法上の懸念などが今以上にクリアになるよう必要な措置が速やかにとられることを望みます。 最後に、参議院内閣委員会で付された附帯決議では、政府は、国旗の使用への萎縮効果等を生じさせないよう、国旗損壊罪の客体に該当するものやアニメ、漫画、ゲーム、生成AIによる制作物といった客体に該当しないものをできる限り具体的に示すこと等を通じ、国民に対する本法の趣旨及び内容の周知に努めることという旨、国民の周知に関するものなど、本法律案の運用に関する重要な事項について記載がなされました。 政府においては、こうした事項を始めとする衆参の内閣委員会で付された附帯決議にも十分配意をいただき、適切に本法律案を運用することが求められるということを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(関口昌一君) 窪田哲也君。 〔窪田哲也君登壇、拍手〕
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也です。 会派を代表して、国旗損壊処罰法案に反対の立場から討論いたします。 私は、国旗を心から大切に思う一人です。しかし、国旗を傷つける行為に刑罰を科さねばならないような根拠は乏しく、法案は不要と考えます。本来、人に刑罰を科すような重い法案は、法制審議会で徹底的に議論し、閣法として国会提出され、正常かつ慎重、十分な国会審議を経て成立されるべきものです。 以下、主に十点にわたり、反対理由を述べます。 一、そもそも刑罰は、国家による最も強い権力行使であり、極めて慎重であるべきです。他の手段で利益を守れない場合に限り、最終手段として必要最小限で用いるべきです。法案は国旗を大切に思う国民感情の保護を目的としていますが、法益を保護するために教育を通じて国旗の意義を国民に涵養していくなど、刑罰以外の方法があると考えます。 二、それでもあえて刑罰を設けようとする以上、明白な立法事実が必要なのは言うまでもありません。ところが、今、国旗が損壊される事例がどれほど起きているのでしょう。提案者が示した事例は、いずれも他人所有の国旗の損壊であり、器物損壊罪で罰せられます。立法事実はないのです。 そこで、提案者は、将来に向けた予防的立法事実と説明します。しかし、将来、国旗を損壊する行為が社会に広がるような蓋然性はあるのでしょうか。提案者は、海外で国旗損壊が多発しており、そうした動きがSNSを通じて国内に伝わることを危惧しますが、説得力に乏しいと言わざるを得ません。 四、あらかじめ刑罰を科される犯罪行為を法律で定めておくという罪刑法定主義からも問題があります。人に著しく不快又は嫌悪の情を抱かせるとは何か。不快や嫌悪は極めて主観的な感情であり、何が処罰対象になるのかはっきりしません。条文上、罰則となる対象行為を明確に示せていないのです。 五、国旗損壊に嫌悪感を抱く人は確かに少なくありません。一方で、洋の東西を問わず、政府への抗議を表明するために国旗を燃やすなどの行為が行われてきたのも事実です。それを刑罰で抑え込もうとするのは、憲法が保障する表現の自由や思想、良心の自由に反します。 六、芸術的表現との線引きも明確でありません。例えば、現代アートの世界は、表現として社会問題を扱うケースが多く見られます。表現の自由に対する萎縮効果は否めないのです。 七、国連自由権規約委員会も、表現の自由の観点から、愛国心や国家の象徴に対する冒涜、不快な発言を刑事罰の対象にするのは許されないとの立場です。我が国は自由権規約の批准国ですが、規約の内容と相入れません。 八、国旗・国歌法制定時の尊重義務化をめぐる議論で、当時の小渕政権は、処罰をもって強制することが適当かという根本的な問題があるとの答弁書を閣議決定した経緯があります。法案は、尊重義務化を否定した過去の政府方針にも真っ向から反対するのです。 九、提案者は、外国国章損壊罪はあるが、自国の国旗損壊罪がないことのアンバランス解消を提案理由に挙げます。しかし、外国国章損壊罪の保護法益は我が国の外交上の国益であり、守るべき法益が釣り合っておらず、かつ、本法案は自己所有も処罰対象となるなど、新たなアンバランスを誕生させたことになります。 我が国は、明治四十年以来、刑罰を用いずとも自国国旗を大切にする一方、刑罰を用いてまで外国国旗を大切にしてきた歴史があります。これは、アンバランスどころか、我が国の誇るべき礼節の国柄だと私は感じます。 十、我が国では、これまで、公然と国旗を損壊するような行為は極めて限定的でした。多くの国民は、国旗に親しみを持ち、大切にしてきたのです。ところが、法案によって、国民が自然に尊重してきた対象が、処罰を用いて国民を威嚇する権威の象徴となってしまうのではないでしょうか。 以上が、主な、主な反対理由です。 今、SNSなどを通じて、国旗損壊の限界事例を試すような動きが起きています。本法案が逆に国旗をおとしめるような動きを誘発した事実を重く受け止めるべきであると訴え、国旗損壊処罰法案に対する反対討論とします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(関口昌一君) 梅村みずほ君。 〔梅村みずほ君登壇、拍手〕
○梅村みずほ君 参政党の梅村みずほです。 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました国旗の損壊等の処罰に関する法律案に賛成の立場から討論いたします。 国旗とは、その国が歩んできた歴史、先人が守り育み、現代へ受け継がれてきた伝統や文化、その国に生きる人々の象徴でもあります。 オリンピックのメダリストたちが、掲揚される国旗を涙とともに見上げるのはなぜでしょうか。国の代表選手として選ばれ、国民の期待を背負い、国旗を持って送り出され、国旗を振って応援され、国のプライドを懸けて戦い、長年にわたる苦労の日々の終着点として自国の旗が掲揚される瞬間を何度も夢見てきたからではないでしょうか。 また、外国から要人を迎えるとき、私たちは、日の丸と相手国の国旗を並べ、時には二本の旗を交差して掲げます。それは、単なる会場の装飾ではありません。国旗を通じて、その国の歴史、文化、国家、そして国民に対する敬意を表しているのです。 国と国との間には、時として深刻な意見の対立があります。外交関係が緊迫することもあります。価値観が大きく異なる国もあります。しかし、どれほど意見が違っても、相手国の国旗を焼き、引き裂き、踏みにじることは慎む、それが国家間における最低限の礼節、国際儀礼であります。だからこそ、我が国は、明治四十年の現行刑法制定時から、刑法第九十二条に外国国章損壊罪を置いてきました。 私たちは、中国の国旗を汚すことを許しません。北朝鮮の国旗を引き裂くことを許しません。アメリカの国旗を、フィリピンの国旗を、フィンランドの国旗を、韓国の国旗を、そして世界のいかなる国の国旗であっても、みだりに踏みにじることを是としません。なぜなら、国旗を侮辱することは、その国家の尊厳を傷つけ、その旗を大切に思う国民の心を傷つける行為だからです。 国家の主権と尊厳を守り、この国を築いてくださった先人に感謝し、世界に大調和をもたらさんとする参政党が、国政政党として初めて国会へ提出した議員立法が、まさに日本国国章損壊罪を創設する刑法改正案でありました。そもそも、その意味で本日の議論は私たちに、その意味で、本日の議論は私たちにとって特別な重みを持っています。そもそも、今日に至るまで、我が国の国旗に対してのみ、どれだけ汚されようが、引き裂かれようが、燃やされようが、自己所有の場合であれば許されてきたということ自体が公平性を欠いていました。 主要国においても、自国国旗の損壊等に対する罰則を設けている国は多く、外国旗への損壊等に対してのみ罰則を設け、自分たちの国旗のみ保護されていないのは我が国だけでありました。各種世論調査においても、国旗損壊罪の創設を支持する意見が反対を大きく上回っているのは、多くの国民が日の丸を大切にしてほしいと願っていることの表れです。 外国国章損壊罪は外国との友好関係を保護する趣旨を持つ規定であり、日本の国旗が損壊されても外交上の問題にはなり得ないとする言説があります。そんなことはありません。仮に、特定の国籍の者が集団で日の丸を引き裂き、その映像を世界へ発信するような行為が繰り返されたならば、我が国の対外関係に何らかの影響を及ぼさないとも限らないのです。 外国の国旗には敬意を払いなさい、しかし日章旗に何をされても日本だけは耐えなさい、そのような一方的な寛容を美徳と呼んではなりません。自国の尊厳を大切にできる者であってこそ、他国の尊厳にも真に敬意を払うことができるのであり、立法府として明確な規範意思を示す必要があります。 表現の自由を侵害するのではないかとの言説があります。もちろん、表現の自由は民主主義を支える極めて重要な権利であり、政府や政党、政策に反対する自由も最大限尊重されなければなりません。しかし、自由や権利は他者の自由と権利を尊重し合うことによって成り立つものであり、表現の自由もまた、国旗を大切に思う多くの国民の思いや人格的利益と調和しながら保障されるべき権利であります。 この法律自体が違憲である可能性を指摘する声もありますが、外国国章損壊罪に違憲論はなく、そうであるならば、日章旗についてのみ違憲とされることもないはずです。 とはいえ、アメリカでは、表現の自由を保障する合衆国憲法との関係で国旗保護法の適用を違憲とした連邦最高裁判所判決があります。もし、この法律が成立した暁に日本の最高裁において違憲判決が出されるようなことがあるのならば、そのときはドイツのように国旗を日本国憲法において定めることも一つの解決策となり得るでしょう。ドイツでは憲法に国旗が規定され、国旗保護は、国民感情や物の保護ではなく、国家の存立と憲法秩序を守ることとみなされるのです。 その場合であっても、当然に思想や信条、芸術や政治的言論そのものを罰する法律は許されず、罰則の対象は、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損する行為に限定されなければなりません。さらに、その判断に当たっては、行為の態様や周囲の状況など客観的事情を総合的に考慮し、憲法上の自由と権利を不当に侵害しないように配慮することが重要です。大切なのは、社会通念に照らし、独り善がりな主張ではない客観性において正当な表現と認められるかということです。 その意味において、昨年夏の参議院選挙以降、参政党の街頭演説等で掲げられてきた大きなバツ印を付けた日の丸は許されるものではありませんでした。参政党の政策に反対することは自由です。個人の政治家を批判することも自由です。それならば、堂々と言論で対抗すればよい。視覚的に意思を表したいのであれば、参政党の名称や党のシンボルを用いて表現すればよいのであります。日の丸は、参政党の象徴ではありません。特定の政治家の象徴でもありません。時の政権の象徴でも、総理大臣の象徴でもありません。日本という国家と日本国民全体を象徴する旗であります。汚された日本国旗を誇示し、我々を差別主義者と指さす者こそ、私たちの目には日本を蔑む差別主義者に見えました。 表現の自由を盾に取るたった一人のために、日の丸を大切に思う多くの国民が悲しみと憤りを胸にしまい込み、ただ耐え続けなければならない、そのような不条理をいつまでも放置することはなりません。今こそ、この法律を成立させるときなのです。 もっとも、本法律案は、参政党が当初求めた内容を全て実現したものではありませんでした。参政党は国旗損壊罪の保護法益は国家法益であるべきと考えてきましたし、本法が国旗を大切に思う国民感情を保護法益とするのであれば、損壊された日の丸を公然と誇示する行為こそ罰則の対象に含めるべきでした。 しかし、四党協議の結果、附則には施行後三年を目途とする見直し規定が盛り込まれました。損壊された国旗の公然陳列などについても検討対象とすることが明記されたことを重く受け止め、参政党は独自法案を撤回し、本法律案の共同提出者となりました。理念を曲げたのではありません。理念を実定法へと昇華させるための決断でありました。 まず、国家として、国旗を公然と著しく辱める行為は許さないという意思を明確に示す。そして、不十分な点があれば、三年後の見直しの中で更により良い制度へ発展させていく。それこそが、日本の尊厳を守る確かな一歩であると確信しております。 学校教育において、学習指導要領が自国と他国の国旗・国歌を尊重する態度を育てることを求めているにもかかわらず、今日なお国旗掲揚や国歌斉唱に係る職務命令違反による処分が皆無ではないということは恥ずべきことです。子供たちに日本だけはないがしろにされても我慢しなさいと教えるのではなく、日本も他国も共に大切にされるべきだと子供たちに伝えるためにも、この法律は必要です。 国旗を大切にすることは、戦争や軍国主義を賛美することではありません。他国を敵視することでもありません。自分を愛するからこそ他者にも優しくできるように、自国を愛するからこそ他国にも敬意を払う、自国の尊厳を守るからこそ他国の尊厳も守る、それこそが成熟した国家の姿であると日本の子供たちに伝えましょう。 国旗とは、国家の過去と現在、そして未来を結ぶ旗です。先人から受け継いだ形見であり、子孫へ託すたすきでもあります。 白地に赤く日の丸染めて、青空高く日の丸揚げて。この美しい日本の旗を、胸を張って次の世代へ受け渡そうではありませんか。 以上、参政党を代表して、本法律案に賛成することを改めて表明し、討論を終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(関口昌一君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十二 賛成 百六十一 反対 八十一 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(関口昌一君) 日程第五 電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長浜口誠君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔浜口誠君登壇、拍手〕
○浜口誠君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、電力の安定的かつ安全な供給を図り、エネルギー安全保障の確保を推進するため、大規模送電線や大規模電源の整備等について電力広域的運営推進機関による貸付制度を創設するとともに、小売電気事業の登録取消し事由に一定期間の休止等を追加するほか、太陽電池発電設備の安全性の向上に向けて第三者機関による技術基準への適合性確認を受けなければならない対象を拡大する等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、本法律案により創設される貸付制度の意義、大規模電源の休廃止に係る事前協議の在り方、太陽電池発電設備の安全性確保をめぐる課題、電力関連産業における人材確保に向けた取組の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十三 賛成 二百二十七 反対 十六 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(関口昌一君) 日程第六 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長伊藤孝江君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔伊藤孝江君登壇、拍手〕
○伊藤孝江君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、近年における刑事事件の再審の手続をめぐる諸事情に鑑み、同手続が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、再審請求審における証拠の提出命令、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てその他の再審の手続等に関する規定の整備を行おうとするものであります。 なお、衆議院において、この法律の施行後五年ごとに行われる検討の対象に例示として再審の請求の手続における証拠の目的外使用の禁止に関する制度及び検察官が保管する証拠の一覧表に関する制度を追加する等の修正が行われております。 委員会におきましては、二回にわたって参考人から意見を聴取するとともに、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止する必要性、証拠の複製等の目的外使用の禁止の是非、再審請求者やその弁護人に対して証拠の一覧表を開示する必要性等について、高市内閣総理大臣にも出席を求め、質疑が行われました。 本法律案に対しては、立憲民主・無所属及び公明党を代表して打越理事より、再審の請求理由との関連性を要件としない職権による証拠の提出命令及び開示命令に係る規定の追加、再審開始の決定に対する検察官の不服申立ての禁止等を内容とする修正案が提出され、原案及び修正案に対する質疑が行われました。 委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・無所属を代表して泉委員より修正案に賛成、原案に反対、参政党を代表して安達委員より修正案に反対、原案に賛成、国民民主党・新緑風会を代表して小林委員より修正案及び原案に反対、公明党を代表して横山理事より修正案に賛成、原案に反対、日本共産党を代表して仁比委員より修正案に賛成、原案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。 討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(関口昌一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。泉房穂君。 〔泉房穂君登壇、拍手〕
○泉房穂君 立憲民主・無所属の泉房穂です。 会派を代表し、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。 なぜ反対なのか。それは、政府案が冤罪の被害者を確実に救済できる内容になっていないからです。迅速な救済ができる内容にもなっていません。私たち立法府が責任を果たしたと言えるような内容にもなっていないからです。どういうことですか。 まずは、確実な救済に関してです。 今回の立法趣旨は冤罪の被害者らの確実な救済とされていますが、冤罪の被害者の多くが、今の政府案では冤罪の被害者が救われないと言っているんです。 袴田事件の巖さんのお姉さんのひで子さんは、衆議院の法務委員会、参考人として出席して、こう言われました。今の政府案では、巖も助からず、処刑されていた。驚くべき話です。冤罪の被害者らが、まさにこれでは駄目だと言っているんです。 さらに、福井事件の前川彰司さんも、再審法はただ改まればいいのではない、今まさに苦しんでいる人が救われてなんぼですと言っています。 日野町事件の阪原弘次さんも、満足のいかない状態で法案を法制化すると、今冤罪を闘っている方々に利益のある結果にならないとまで言っています。 さらには、東住吉事件の青木惠子さんにおいては、政府案では、獄中で無実を訴えて闘う仲間は今以上に苦しむことになると言っているんです。 開かずの扉と言われるまさにその扉を開けるのではなく、扉に鍵を閉めるような法案を通してどうするんですか。 この冤罪事件を考えるには、なぜ冤罪が起こったかを考えるのが重要。証拠の捏造が関わっています。最近の再審無罪事件、袴田事件も福井事件も日野町事件も、全部証拠の捏造が原因です。偶然に発生するんじゃないんです。捜査機関が真犯人でない者を犯人と思い込み、あえて証拠を捏造するなどして、その捏造証拠が裁判所に提出され、それが有力証拠となって、まさに冤罪が発生しているんです。 では、なぜその冤罪が救われるのか。それは、後になってその冤罪が分かるような、無罪につながる証拠が後から出てきたからです。でも、それは初めから捜査機関が手元に持っていた証拠なんです。まさに、この無罪につながる、捜査官が手元に持っている証拠が出てくるか否かが生命線。そのために必要なのは、幅広い証拠の開示です。 この点、政府案でも証拠提出命令という制度を新設し、検察官に提出義務を課しています。しかし、あくまでも再審請求理由と関連する証拠という極めて限られた、狭い狭い狭い、そういった範囲に限られてしまっています。これでは出てきません。それが最大の問題。だからこそ、冤罪の被害者がこれでは救われない、むしろ改悪だと言っておられるんです。 さらに、政府案には大きな問題があります。証拠の目的外使用の全面禁止です。こんな規定、今はありません。 この再審法の改正、七十八年ぶりと言われますが、七十八年間なくて何も問題起こってないんです。立法事実すら存在しません。にもかかわらず、いきなり全面禁止。確かに、犯罪の被害者や関係者のプライバシーへの配慮は当然必要です。でも、それは個別に対応すれば両立可能なバランス図れるテーマなんです。このまさに全面禁止も改悪以外の何物でもありません。 そして、もう一つ重要なのは、迅速な救済になっていないことです。救済にまで掛かった時間、袴田事件五十八年、福井事件三十八年、日野町事件四十一年。どうしてこんなに掛かってしまったのか、理由は簡単です。捜査機関が証拠を出さなかったからです。再審開始決定が出たのに、それに対して検察官が抗告をして引き延ばしを図ったからです。検察官の責任です。 まさに、この証拠が出てくるまでに掛かった年数、袴田事件で四十四年、福井事件で三十六年、日野町事件で二十四年。もっと早く証拠が出ていれば、もっと早く救済された話です。迅速な救済には、まさにこの幅広い証拠開示が早くなされることが重要。しかし、今の政府案ではこれが義務化されておらず、迅速な救済にはなりません。 そしてもう一つ、検察官の抗告による引き延ばし。これも、抗告によって、袴田事件で九年、福井事件で十四年、日野町事件で七年も引き延ばしが図られました。この点、ほかの国、例えばドイツやフランスなどでは、抗告は全面禁止されています。日本でも同じように全面禁止し、争いがあるのであれば、検察官はその後、再審公判で争えばいいだけのことです。 この点、閣議決定前に修正がなされ、抗告には十分な根拠が必要とされましたが、検察は、これまでも十分な根拠を持って抗告してきたと説明してきており、現状の追認にすぎません。検察官抗告を全面禁止にしていないことも、政府案に反対する大きな理由となっています。 さて、皆さん、改めて問いたい。私たちは何ですか。国会議員です。立法府の一員です。立法府は、しっかりと冤罪被害者を救済することは可能なんです。 この点、袴田ひで子さんの言葉を紹介させていただきます。神様が作った法律ではありません。人間が作った法律なんです。その法律を作るのは国会議員。私たちを助けていただくのは国会議員しかいません。冤罪被害者の多くが、私たち国会議員、立法府に対して助けを求めているんです。 改めて言います。冤罪の原因をつくってきたのは、まさに捜査当局、検察、法務省です。その法務省や検察の方に、まさにその軍門に下るのか、そうではなく、冤罪の被害者らに寄り添うのか、それが今問われているんです。 この点、確かに国会議員の多くが超党派の議員連盟を設定し、昨年六月にその議員立法が提出されています。それを通せばよかったんですよ。何も難しい話でない。実際に法案もできている。 その法案は、今回、年明けての衆議院解散で一旦廃案となりましたが、その後、改めて今国会に提出されました。衆議院で否決、同じほぼ内容の修正案を参議院で昨日、法務委員会で提出いたしましたが、可決には至っておりません。どういうことなんですか。みんなで作った法律でしょう。超党派議員連盟のみんなでこれが必要といって作った法律案じゃないですか。 改めて、ポイント三つ言います。 確実な救済には幅広い証拠開示が必要です。議員立法案ではこれをしっかり明記しています。政府案にはありません。 二つ目、証拠の目的外使用の全面禁止、こんなもの必要ありません。議員連盟案にはそんなものありません。政府案はこれをあえて規定しています。 そして三つ目、迅速な救済には検察官抗告の全面禁止が必要です。議員立法、まさに超党派の議連案ではこれはしっかりと規定しています。政府案はまさに十分な根拠のある理由を付けていますが、実態としてはほぼ変わりません。これでは、確実な救済、迅速な救済にはつながらないんです。 まさに、私たち国会議員の仕事は、法務省、検察の言うとおりに従うことではなく、政府案に問題があれば、それを是正し、修正していくことが私たちにできることであり、求められていることです。 まさに、今もなお冤罪に苦しむ方々が獄中におられます。そういった方々が私たち国会議員一人一人にまさに助けを求めているんです。その声に耳を傾けて、今からでも遅くはない。この後、採決になります。諦めてはいません。私たち国会議員が諦めるということは、冤罪の被害者を救えなくなるということなんです。冤罪の被害者が存在し、まさにそれを救う必要がある以上、私たち国会議員は諦めてはいけない。法務省や検察の軍門に下ることなく、しっかりと立法府の一員として役割を果たしたい、私はそういう思いです。このテーマは与野党対決のテーマじゃないんです。被害者を救うかどうかです。 さらにもう一つ、重要なポイント。今回のテーマは、冤罪の被害者を救うというテーマですが、そもそも冤罪そのものをなくす必要があります。冤罪の被害者をなくすには、まさにそういった法律も必要です。 是非、皆さん、これが終わりではありません。改めてしっかりと被害者に寄り添うことをお誓い申し上げ、この討論を終わります。共に頑張りましょう。(拍手)
○議長(関口昌一君) 安達悠司君。 〔安達悠司君登壇、拍手〕
○安達悠司君 参政党の安達悠司です。 会派を代表して、刑事訴訟法改正案に賛成の立場から討論を行います。 今回の刑事訴訟法改正案は、刑事裁判の再審に関する手続を整備するものです。再審は、三審制に基づく我が国の刑事裁判によって有罪が確定した者に対し、例外的に裁判のやり直しを行う手続です。 今までの刑事訴訟法では、再審の具体的な証拠開示のルールが明白でなく、審理の期限が見えず、長期化する例が見受けられました。そこで、裁判所による証拠提出命令の創設や検察官抗告の原則禁止規定など、再審に関する新しいルールが盛り込まれるとともに、即時抗告期限の延長、決定日の通知など、再審手続規定が整備され、無罪確定時の弁護人報酬も含めた費用補償の規定も盛り込まれました。 また、法務省の作成した政府案は、与党内の議論による修正を経て衆議院に提出されました。そしてさらに、参政党の要望した修正案により、任意の証拠開示の在り方と五年後の見直し対象が明文化されました。 具体的には、附則四条二項により、検察官による任意の証拠開示を、従来の運用を後退させないことはもとより、これまで以上に事案に応じて適切に行うものであることが、本会議での総理答弁や委員会での法務大臣答弁によっても確保されています。また、証拠一覧表と目的外使用禁止規定についても、五年後の見直し対象として明記されることとなりました。 刑事訴訟法の教授である成瀬参考人は、附則の修正も含めて、この法案は、裁判官や検察官に明確な行動指針を示し、再審開始決定や無罪判断の確実性を高めるもので支持できると評価され、また、令和八年六月十七日の日本弁護士連合会の会長談話では、更なる修正が必要としつつも、前進した内容であると評価できる面もあるとされています。 このように修正が積み重ねられたことで、完全とは言えませんが、参政党としては本法案に賛成することにいたしました。 参政党として、次の三つの観点から、賛成した理由を説明します。 一つ目は、誤判による冤罪からの救済にとって前進した内容であること、二つ目は、被害者のプライバシーや捜査協力などにも配慮した内容にすべきであること、三つ目は、我が国のグローバル化が進む中で、我が国の刑事司法に対する信頼を高め、国家の適正な刑罰権を確保する内容にすべきであることです。 第一に、冤罪からの救済の観点から説明します。 誤った裁判により罪のない人が処罰されることは、決して許されません。 今回の証拠提出命令は、裁判官が検察官に対し、再審請求理由に関連する証拠の提出を求めるものです。この関連性は、相当の広がりを持つもの、持つ概念とされ、再審請求理由の判断に資するという意味であり、後から再審請求理由を追加、変更することも可能とされています。 他方、関連性の要件をなくしてしまうと、再審請求理由の有無を審理するという行動指針を見失い、多数の証拠提出命令が繰り返されることも予想され、これに対応する裁判所の審理に遅延が生じて、かえって誤判からの迅速な救済を妨げてしまうおそれもあると指摘されています。 また、検察官抗告を原則禁止としていますが、完全禁止にすべきとの議論もあります。しかし、再審開始とは、一度は確定して、それらを前提に社会が動いているところの有罪判決を見直すということを意味し、重大な効果を持つため、その判断の正しさに疑いの余地を残すものであってはなりません。再審開始事由に疑問の余地を生じたまま再審公判に移行すると、かえって事実認定をめぐり争いが長期化してしまうことがあり、再審開始決定の判断の正しさにつき、多層的な検証を必要とする事案もあると指摘されています。 以上の点に大きな意見の対立がありましたが、少なくとも、証拠提出命令という新しい制度が創設されたことや検察官の抗告が原則禁止とされたことは、真相の解明、冤罪からの救済にとって大きな前進であると評価できるものです。 第二に、被害者のプライバシーや捜査協力等の観点から説明します。 我が国で人が被害者となった刑法犯の認知件数は、令和六年で五十六万件を超えています。平成十四年のピーク時の二百四十八万件超から大きく減少しましたが、それでも、いつ誰が被害者になるとも限りません。 犯罪被害に遭った場合、犯人を処罰するために、捜査機関である警察や検察官に被害を申告し、実況見分、写真撮影、調書の作成など、多くの時間と労力を掛けて捜査に協力し、自分や家族の情報を話すことにもなります。こうした情報や提供した写真や動画などが適正に利用され、万が一にも外部に流出して二次被害に遭わないことも重要です。 また、真相の解明や冤罪の、冤罪からの救済が重要であることは言うをまちませんが、調査手続の要件緩和や証拠提出命令の運用により、今後、被害者のプライバシーや裁判所、捜査機関にどのような影響が出るのかは慎重に見極める必要があると思います。 なお、法案には被害者の名誉やプライバシー、手続負担への配慮も盛り込まれており、被害者支援を担う弁護士である宇田参考人からは、かなりバランスを考慮して、失礼、かなりバランスを熟慮して構築された法案と評価されています。 第三に、グローバル化が進む中で、我が国の適正な刑罰権を確保する観点から説明します。 そもそも我が国は、世界各国の中でも犯罪発生率が低く抑えられており、大変治安の良い国の一つであると言えます。これは、我が国の歴史や文化や風土など様々な要因も考えられますが、捜査機関による高い検挙率や確実な有罪判決、そして、刑事司法に対する国民の信頼と協力が我が国の治安の良さに大きく影響していると思います。これは、我が国の刑事司法制度の成果であると言うこともできます。 他方で、多くの再審無罪事件を通じて、捜査や公判の在り方等の重大な課題が明らかになることがあります。先日公表された福井女子中学生殺人事件に関する名古屋高等検察庁の調査報告書もその一つです。これを読むと、四十年近く前の補充捜査や取調べの在り方、供述評価の考え方などに大変問題を感じます。 こうした課題への反省や教訓を人材育成や組織風土の改革に生かし、我が国の捜査や裁判の強みは生かしつつ、より良い在り方へ変えていく必要があります。そのためには、刑事司法を担う人材育成、司法戦略の策定や予算の確保など、積極財政が必要です。捜査機関が国民に信頼され、犯罪発生率が低く、治安の良い日本は、国民皆が望む大切な公共インフラではないでしょうか。 また、二十一世紀に入り、国境を越えた犯罪の処罰、犯罪の増加、外国人に対する刑事裁判、外国との捜査協力などの動きがますます進んでいます。 近年、不法滞在者ゼロプランの中で指摘される国内六万八千人余りの不法残留者や不法就労など入管法違反の犯罪、さらには、インターネットを通じた詐欺被害や、SNSにより犯罪に巻き込まれるケースが増えています。 こうした犯罪の捜査や処罰は、我が国の警察や検察の捜査能力を向上させるとともに、国境を越えた捜査、外国との捜査協力、そして海外の組織や団体に対しても適正な捜査権や刑罰権を行使し得る仕組みを築いていく必要があります。そのためにも、自立した公正な刑罰の実現を確保し、かつ我が国の刑事司法が対外的にも信頼される必要があります。 国会で時間を掛けて専門家の意見を聴取し、再審を通じて刑事司法の再審無罪事件の評価等を審議できたことは大変貴重な機会でありました。 今回の修正案は、再審請求審の手続を明確にし、検察官の証拠提出義務、抗告時の理由の公表などの制度も導入されています。今回の法案によって、我が国の治安をますます維持向上させ、刑事司法に対する国民の信頼を高めるとともに、高めることを期待し、あとは今後の運用を慎重に見極める必要があると考えます。 以上、冤罪からの救済によって前進した内容であるとともに、被害者のプライバシー等への配慮、国家の適正な刑罰権の確保などの観点を考慮し、今回の刑事訴訟法改正案に賛成いたします。 以上で参政党の討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(関口昌一君) 小林さやか君。 〔小林さやか君登壇、拍手〕
○小林さやか君 国民民主党・新緑風会の小林さやかです。 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。 今回の再審法改正の目的、それは、無辜の人を罰することはあってはならず、誤判からの速やかな救済のために必要な手続を確実に制度として保障するということです。その点において、与野党の立場を超えて一致し、本日まで議論を重ねてまいりました。 近時相次いだ再審無罪事件において共通している最も重要な課題は、誤判を是正するために必要な証拠にたどり着けるかどうかが運用に任されていたということです。すなわち、たまたま当たった裁判官や検察官の善意に委ねられていました。 しかし、人は誤ります。ドイツの政治学者ハンナ・アーレントは、個人として善良な人も、組織の中で思考停止状態になり、特段悪意なく重大な不正に加担し得ると指摘しました。虚栄心や組織の理論、様々な事情で、個人が持つ倫理観を超えることが時にあり得るのです。 だからこそ、長年、運用に委ねられてきた再審請求手続を七十八年の年月を経て法定化しようとしたその方向性を評価し、国民民主党は、対決より解決の立場から、現実的な修正の提案を重ねてまいりました。しかし、それでもなお、どうしても譲ることのできない重要な課題が大きく二点残され、本法案には反対せざるを得ません。 以下、その理由を述べます。 まず第一は、議論の原点となった肝腎の幅広い証拠の開示が、結局、運用に任されたことです。 再審請求人は、新証拠を示さなければ再審開始への扉を開くことができません。しかし、その新証拠は通常審で提出されなかった証拠の中にあるかもしれないにもかかわらず、どんな証拠が保管されているのか、その全体像すら知ることができません。このジレンマの構造こそが、近時の再審事件が突き付けた最大の教訓だったはずです。 証拠の提出命令が法定化されたことは確かに前進です。ただしかし、その対象は再審請求理由に関連する証拠に限定されています。一方で、関連性を問わない幅広い証拠の開示は、制度化されず、これまで運用で行われてきた裁判官による勧告、そして任意のままとなってしまいました。 この議論の最中、七月十日になって、名古屋高等検察庁からようやく福井女子中学生殺人事件の調査結果の報告書が発表されました。その中で、通常審だけではなく、第一次再審請求審においてさえなお客観的証拠との食い違いを複数の検察官が認識していたにもかかわらず、新しい捜査報告書をあえて提出せず、十分な是正につながらなかったその経緯が明らかになりました。 これはもはや、個人の検察官の資質だけの問題ではなく、組織も誤り得るからこそ、その誤りを制度で正す仕組みが必要だという教訓です。 それは過去の話だけではありません。今、この議論をしている最中でさえ、検察官をめぐる不適切な事案が相次ぎ、検察そのものの信頼性が揺らいでいます。 だからこそ、国民民主党は、勧告や任意という個人の判断に依存する曖昧な運用ではなく、再審請求理由との関連性を問わない幅広い証拠を職権をもって命令で開示させる制度の創設が必要だと訴え続けてきました。しかし、残念ながら受け入れられませんでした。 そして、第二の反対理由は、新たに設けられる証拠の目的外使用の一律の禁止規定です。 政府は、この規定について、犯罪被害者や関係者のプライバシー、名誉を保護するために必要な制度であると説明します。その問題意識そのものを否定するものではありません。確かに、性犯罪などにおいて、被害者の尊厳を踏みにじるような写真や動画などを決してさらされたくないというお気持ちは痛いほど分かります。 ただしかし、私はジャーナリストとしてこれまで取材してきて、捜査機関が時にプライバシーの保護を盾に、自分たちにとって都合の悪い情報や本来検証されるべき情報まで社会から遠ざける場面を幾度となく見てきました。その結果、被害も見えにくくなり、再発の防止や制度の整備を求めて世に訴えたいという被害者の思いさえも阻害してきました。 現に、福井女子中学生殺人事件において、被害者の御家族御本人が、参議院法務委員会の参考人の質疑の中で、証拠を広く社会に出して真犯人を探すべきだと訴えたのです。 政府は、再審請求の準備のためであれば、証拠の目的外使用には当たらないと説明します。また、証拠の謄写そのものではなく、概要であれば問題ないなどとも言います。しかし、では、何が再審請求の準備に当たるのか、どこまで加工すれば謄写そのものではないと認められるのか、その判断基準は今なお曖昧で、個別具体的に判断するとしか説明しません。ならば、一律に罰則付きの禁止規定などを設けるのではなく、最初から全て個別判断にすればよいのではないでしょうか。 我が国には、少年事件の記録閲覧、謄写制度や、犯罪被害者保護法に基づく訴訟記録の閲覧、謄写制度など、裁判所が事件ごとに利益衡量する制度が既に存在しています。被害者の保護が重要だからこそ、一律の禁止ではなく個別の判断をしているのです。なぜ、再審ではそれができないのでしょうか。 これまで再審無罪判決となった事件では、弁護人だけではなく、研究者や報道機関や市民、支援者など、多くの人々の知見によって真実へ近づいてきました。一律の目的外使用禁止規定は、その力を必要以上に萎縮させるおそれがあります。 通常審においても、証拠を報道機関に提供した弁護人に対して、検察が懲戒請求をかけた事案があります。また、結審した刑事事件に付随する国家賠償訴訟で同じ証拠を使う場合でさえも、報道機関に提供しないことを誓約させるといった運用がなされています。政府は、今回の規定で萎縮など生じないと言い切りますが、こうした行為ばかりしていて、どうして信じられるんでしょうか。 また、政府は、通常審と同種の禁止規定であるとも説明します。しかし、証拠の開示や証拠の一覧リストなど、通常審にあるほかの規定については、通常審と再審は手続構造が違うとして制度化しません。その一方で、証拠の目的外使用禁止規定に関してだけ、これまで禁止規定がなくても何にも問題がなくて立法事実がないにもかかわらず、都合よく通常審をコピー・アンド・ペーストするかのように援用していて、その説明性に全く整合性が取れません。 そもそも政府案では、衆議院で修正された附則において、この目的外使用禁止の規定を五年ごとの見直しの対象として特出しで言及しています。これこそが、今既に問題があることの証左です。だったら、五年後を待たずに今見直さないんでしょうか。 犯罪被害者の保護と冤罪被害者の救済は対立するものではありません。どちらの声をも奪いかねない証拠の目的外使用の罰則付きの一律禁止規定には、明確に反対いたします。 証拠は誰のものでしょうか。検察官のものでも、弁護人のものでもありません。真実を明らかにして、無辜を救済し、司法への信頼を守る公益のためにあるものです。だからこそ、その証拠へのアクセスは最大限保障されて、その利用も守るべき利益との均衡の中で判断される制度ではなくてはなりません。 人は誤ります。だから制度があります。 私たち国民民主党は、今の刑事訴訟法が形作られて初めて再審に関する具体的手続が明文規定されること自体は歓迎しています。その第一歩が、長年にわたって、そして今も冤罪に苦しむ人を救うことにつながっているのか。そして、今後も冤罪が発生しないようになっているのか。五年後ではなく、今日この日から、立法府の責任として不断の検証と見直しに取り組むことを誓い、私の反対討論とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(関口昌一君) 佐々木雅文君。 〔佐々木雅文君登壇、拍手〕
○佐々木雅文君 公明党の佐々木雅文です。 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の立場から討論いたします。 冤罪被害者を生まない、罪を犯していない人が処罰されることがあってはならない。だからこそ、これまでの再審制度が十分に機能していなかったこと、特に捜査機関の不適切、不十分な対応が散見されたことをいかに是正するか、そのことが今般の法改正の眼目であったはずです。 しかしながら、議題として俎上に上がったこと自体は評価いたしますが、果たしてその内容は当初の目的を達成するものとなっているのか、大きな懸念が払拭されていません。 一番の問題は、証拠開示に関する手続が不十分なままとなっていることです。 再審請求に当たっては、その理由として現行法四百三十五条六号を根拠とすることが多い中で、同号は、確定判決を覆すための新しく明白な証拠の存在を求めています。 今回の法改正では証拠提出命令が規定されていますが、これは裁判所が裁判所に対して必要な証拠を提出させるにとどまり、かつ関連性を有するものでなければならないとされています。 この点、政府は、再審においては、請求人や弁護人側で証拠の内容や有無はある程度想定され得るとか、関連する証拠の範囲は相当の広がりを持ち、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されると述べてきています。 しかしながら、証拠は基本的に捜査機関が有しています。そして、公判に提出された証拠以外には、請求人や弁護人は手持ちの証拠がほぼありません。その中で確定判決を覆すだけの証拠を想定し獲得することは、困難を強いるものであり、現実と乖離していると言わざるを得ません。 また、裁判所が関連性や必要性をないと判断すれば、そうした証拠を必要としているのは請求人側であるにもかかわらず、証拠が出てこなかったり、裁判所にだけ開示されたりするにとどまります。請求人が証拠にアクセスできないのでは、何のための証拠提出命令なのか分かりません。 そして、仮に裁判所が提出命令を出したとしても、本当に必要かつ十分な証拠が提出されたのかどうか、その確認のための手段が担保されていません。それでは、適切な対応であったかどうかを判断しようがありません。 さらに、衆議院で附則が修正され、これまでの運用上の措置として、任意での証拠提出、開示は適切に行うという趣旨の内容が追加されてはいます。 この点、通常審も含め、証拠の開示は進んできたと説明されることがあります。しかし、弁護人の努力で裁判所を動かし開示に至っている事例が多く報告されています。実際は、捜査機関が積極的に開示に応じるとは限りません。通常審においてすら、結果として証拠にたどり着いたり、合理的な説明ができなくなってようやく提出されたりするのが実態です。 任意では満足に開示がされていない状況がある中で、再審手続において何をもって適正な運用となるのでしょうか。適正な運用というのであれば、少なくとも、不明瞭な関連性という要件に縛られずに、裁判所が必要性や相当性を踏まえ証拠の提出や開示を求めた場合は、検察側は必ず提出すること、開示することに応じるべきです。 次に、目的外使用禁止及び罰則が設けられていることについても強く抗議いたします。 これまでの委員会等での質疑を踏まえましても、再審手続において目的外使用禁止の規定を策定する立法事実は存在していないことが明らかになっています。それにもかかわらず、通常審でも同様の規定があることやプライバシーへの配慮、今後の捜査への支障が生じることなどを理由に明文化されている状況です。 しかしながら、当事者主義の通常審で設けられている規定を職権主義的構造の再審手続に設けることに整合性がないことがつとに指摘されています。また、証拠開示に伴うプライバシー配慮は、これまでも個別的に十分対応されてきています。さらに、目的外使用禁止を明文化しなければ協力してもらえないような捜査があるとするならば、そもそも証拠化すること自体も困難であり、捜査に支障が生じる場面はかなり限定的です。むしろ、目的外使用禁止及び罰則があることによって当事者にとっては大きな萎縮効果が働き、再審手続における必要な対応すら束縛することになりかねません。 無辜の救済のための手続保障や迅速化のための法改正であるにもかかわらず、本末転倒な結果になっていると断じざるを得ません。 加えて、どういった証拠があるかどうかを明らかにするために証拠の一覧表を作成し開示することが有益であることは、これまでも指摘されてきたところです。そもそも起訴という終局処分がなされるには、様々な証拠の取捨選択がされ、それでもなお有罪とすべき証拠構造があると判断されているはずだからです。そうであれば、全ての証拠を提出すること、少なくともその一覧表を提出することにちゅうちょする理由はないはずです。出せないということは、無罪となるような証拠があるからと思われても仕方がないのではないでしょうか。 また、一覧表の作成を含め、逐一の捜査過程を記録化することは業務負担になり、現実的ではないということも言われます。しかし、社会全体においてもコンプライアンスを重視する中で、捜査機関の各人の業務内容を記録化することは不正を防ぐ上でも大切なのではないでしょうか。公権力を行使する捜査機関だからこそ、率先垂範して実行することが国民の信頼を維持することにつながります。 捜査過程を記録化し、獲得した証拠を一覧化しておけば、将来の批判にも耐え得るものとなり、捜査機関に不利益となる結果にはならないはずです。それは証拠の適切な管理、保管にも資するものともなります。そうすれば、当初不存在として開示されなかった証拠が、後日発見されたとして開示されるという今の事態も防ぐことになります。証拠の一覧表を作成し、堂々と開示する。そのことが当然となれば、冤罪被害も生じることがなくなります。 本改正において、再審開始決定に対する抗告は原則禁止となっていますが、例外的に十分な根拠がある場合に限っては可能となっています。しかし、これまでの再審手続においても、十分な根拠があったと判断したからこそ、異議申立てとして抗告がなされてきたはずです。そうすると、今後も原則と例外が逆転した運用がされることが常態になりかねません。 また、仮に改正が成立した後の再審手続においても、十分な根拠となる事情については審判の中で争われるわけで、それを踏まえても再審請求が認められたのであれば、更に輪を掛けて抗告する余地を残す必要があるとは思いません。今からでも抗告の余地は排除すべきです。 無辜を救済するには法整備が必要であることは誰しも異存ないと思います。しかし、今回議論されている法改正の内容のままでは、本当に目的に資するのか、懸念が拭い切れません。また、裁判所が強い問題意識を持って再審を主宰してもらえるとよいですが、その担保があるわけでもありません。 公明党は、立憲民主党とともに、関連性を要件としない証拠開示、提出を可能とすることなどを含めた修正案を提出いたしましたが、否決をされました。誠に残念でなりません。 以上の次第で、公明党は今般の法律案に反対するものです。 政府及び関係機関においては、冤罪被害者の声に真摯に向き合い、本当に求められている法整備を行うべきであることを申し上げ、反対の討論といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(関口昌一君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十二 賛成 百三十八 反対 百四 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(関口昌一君) 日程第七 皇室典範等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員長松山政司君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕 ───────────── 〔松山政司君登壇、拍手〕
○松山政司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、天皇及び皇族以外の男子と婚姻した内親王及び女王が皇族の身分を離れないこととするとともに、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王が皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない男子を養子とすることができることとし、当該養子が皇族となる等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、本法律案と立法府の総意との関係、内親王又は女王と婚姻した男子等の身分及び処遇、養子縁組制度の具体的な運用、将来の皇位継承の議論の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局した後、立憲民主・無所属を代表して長浜委員より、皇族の養子に関する改正規定を削るとともに、内親王等と婚姻した天皇及び皇族以外の男子等の身分に係る検討条項を追加する等を内容とする修正案が提出されました。 次いで、討論に入りましたところ、立憲民主・無所属の長浜委員より原案に反対、修正案に賛成、自由民主党・無所属の会の岡田理事より原案に賛成、日本共産党の小池委員より原案に反対、国民民主党・新緑風会の川合理事より原案に賛成、修正案に反対、れいわ新選組の伊勢崎委員より原案及び修正案に反対、公明党の谷合理事より原案に賛成、日本維新の会の金子委員より原案に賛成、参政党の松田委員より原案に賛成の旨の意見がそれぞれ述べられました。 次いで、順次採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十一 賛成 百八十四 反対 五十七 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(関口昌一君) これにて休憩いたします。 午前十一時四十三分休憩 〔休憩後開議に至らなかった〕
この記録を確かめる
S4RCIV が記録した内容から、改ざん検知用の値を お使いのブラウザで計算し直し、 記録済みの値と一致するか確かめます。計算は 下のボタンを押したときだけ、この端末で実行されます(暗号通貨の採掘や追跡ではありません)。 S4RCIV の「確認済み」表示を信じる必要はありません — 数字を再現するのはあなたの端末です。
- 記録 #137 観測 2026-10-10 19:16 JST改ざん検知用の値
31f8dbd0…1859f3(未計算)
チェックポイント
- 記録
- #307 まで
- 署名
- 署名あり(s4rciv-checkpoint-2026)
- まとめの値
- 6ec5fbd0…4ff090
仕組み
- 1各記録は、前の記録から計算した値を持っています。
- 2この端末で値を計算し直し、つながりが保たれているか確かめます。
- 3チェックポイントが、ある時点までの記録をまとめて固定します。
いつの時点かを外部(Internet Archive 等)に固定する仕組みは今後対応します。全件を通した計算は、公開エクスポートを使えば S4RCIV 以外の場所でも再現できます。
※ いつの時点の記録かを外部(Internet Archive 等)に固定する「外部アンカー」はまだ運用していません。これは S4RCIV 自身が過去をまるごと書き換えた場合に備えるもので、今後対応します。