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国会会議録

法務委員会

第221回 · 参議院 · 第20号 · 2026-07-14

出典 kokkai ↗ 最終取得 2026-08-15 00:24 JST 記録 #3770 ↗

発言 375

会議録情報

令和八年七月十四日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員の異動  七月九日     辞任         補欠選任      森 まさこ君     岡田 直樹君  七月十日     辞任         補欠選任      脇  雅昭君     山崎 正昭君      佐々木雅文君     横山 信一君  七月十三日     辞任         補欠選任      有村 治子君     森 まさこ君      岡田 直樹君     岩本 剛人君      山崎 正昭君     臼井 正一君  七月十四日     辞任         補欠選任      岩本 剛人君     加藤 明良君      臼井 正一君     出川 桃子君      森 まさこ君     有村 治子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 孝江君     理 事                 古庄 玄知君                 こやり隆史君                 打越さく良君                 川合 孝典君                 横山 信一君     委 員                 有村 治子君                 岩本 剛人君                 臼井 正一君                 加藤 明良君                 鈴木 宗男君                 出川 桃子君                 福山  守君                 森 まさこ君                 山谷えり子君                 泉  房穂君                 牧山ひろえ君                 小林さやか君                 嘉田由紀子君                 安達 悠司君                 仁比 聡平君                 北村 晴男君    国務大臣        法務大臣     平口  洋君    副大臣        法務副大臣    三谷 英弘君    大臣政務官        法務大臣政務官  福山  守君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   板津 正道君        最高裁判所事務        総局刑事局長   平城 文啓君    事務局側        常任委員会専門        員        武蔵 誠憲君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      遠藤  剛君        警察庁長官官房        審議官      鈴木 敏夫君        法務省民事局長  松井 信憲君        法務省刑事局長  佐藤  淳君        法務省矯正局長  日笠 和彦君        出入国在留管理        庁次長      内藤惣一郎君        文部科学省大臣        官房審議官    橋爪  淳君        厚生労働省大臣        官房審議官    榊原  毅君    参考人        弁護士      宇田 幸生君        福井女子中学生        殺人事件被害者        の実の姉     大橋 宏子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)(衆議院送付) ○政府参考人の出席要求に関する件     ─────────────

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、佐々木雅文さん、脇雅昭さん及び有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として横山信一さん、岩本剛人さん及び臼井正一さんが選任されました。     ─────────────

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に横山信一さんを指名いたします。     ─────────────

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、弁護士宇田幸生さん及び福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉大橋宏子さんでございます。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、今日は何とぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、宇田さん、大橋さんの順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構です。  それでは、まず宇田さんからお願いいたします。宇田さん。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) ありがとうございます。  それでは、宇田幸生より意見を述べさせていただきます。  弁護士の宇田幸生と申します。  私は、四半世紀にわたり犯罪被害者の支援に携わってまいりました。殺人や交通死亡事故など被害者の方が命を落とされる凶悪な事件が中心で、性犯罪被害の支援も手掛けてきました。名古屋市の犯罪被害者支援条例検討では有識者会議の座長を、愛知県弁護士会では犯罪被害者支援委員会の委員長を務め、刑事損害賠償命令制度では我が国で第一号となる事件を担当いたしました。  本日は、こうした経験に基づき、被害者の観点から再審法の改正について意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。  私が犯罪被害者支援に関わるようになったのは、忘れることのできない原点があります。四半世紀の前、ある少女に対する性犯罪事件で、私は加害者側の弁護人として謝罪のために被害者のお宅にお伺いしました。応対してくださったお母様は、その場で泣き崩れられました。すると、奥の部屋から被害に遭った少女が出てきて、お母さんをいじめるなと私に向かって叫んだのです。その言葉に、私は心がえぐられました。以来、被害者はどうすれば回復できるのかを考え、被害者支援に携わるようになりました。  犯罪被害者は、ある日突然犯罪に巻き込まれ、人生が一変します。それでも、判決が確定することは被害者にとって一つの区切りになります。このことを、私がかつて代理人を務めたある強盗殺人事件の御遺族が、昨年、法務省の法制審議会で語っておられます。たった一人の家族であった娘さんを奪われたお母様です。確定判決が一つの区切りとなり、精神的には限界の中で、ある意味ほっとしたのを覚えていると。そして、再審で再び裁判が始まることを想像して、こうおっしゃいました。燃え尽きたものに再び灯をともすのは至難の業です。前を向いて生きようと決意したときに安易に再審が開始されたら、被害者はまた刑事事件に巻き込まれます。いつまでも裁判が終わらないというのは、犯罪被害者にとって大きな二次被害なのです。  次に、検察官の抗告について申し上げます。  本法案は、再審開始決定などへの検察官の即時抗告を取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限るとして、原則的に制限しています。さらに、全面的に禁止すべきという意見があると伺っております。  私は、被害者支援の立場から、とりわけ全面的に封じてしまうことには明確に反対であります。人は必ずミスをします。再審開始決定をした裁判官の判断が一〇〇%正しいことを前提とする制度には賛成できません。もし誤って再審開始が決定されても、不服を申し立てる機会がなければ通常審をまた一からやり直すことになり、被害者はいつまでも裁判が終わらない事態に巻き込まれます。  殺人事件の御遺族にとって、確定した判決がまた翻るかもしれないというのは計り知れない負担です。被害者が再び証言を求められることになれば、その負担は甚大です。特に、幼い頃に起きた性犯罪被害で、その子をまた法廷に立たせて証言させることが望ましいことなのでしょうか。時間がたてば事件当時の記憶も薄れますから、真実の発見に資するとも言えません。  性犯罪の被害者は、被害に遭ったことを親や配偶者、恋人といった親しい人にも黙っていることが少なくありません。刑事事件の判決が確定した後、被害を隠して結婚される方もいらっしゃいます。それが、再審開始が決まって通常審からやり直すということで検察から久しぶりに連絡があったときの衝撃は計り知れません。大切な人に過去の被害を知られたくないという思いは最大限に守られるべきです。  仮に冤罪であれば、犯人とされた人は救済され、真犯人が処罰されるべきです。それは当然です。しかし、確定した判決があり、それが正しかった可能性もある中で、不服を言う機会もないまま裁判を一からやり直すことは、国民の納得を得られないと思います。再審請求は年間およそ二百数十件に上りますが、その多くは無罪を疑わせる新たな証拠が添えられていないなど、形式的な要件を欠くものだとも聞いております。先ほどの御遺族も法制審議会でこう問いかけておられました。再審の請求者イコール冤罪者なのでしょうか、そのような視点でスタートするのは大変危険だと思いますと。  次に、証拠の目的外使用についてです。  刑事事件の記録には事件当事者のプライバシーが数多く記載され、事件とは無関係なものも多く含まれます。被害者は、犯人を検挙してほしい一心で捜査に協力し、証拠を提出しているのであって、それが本来の目的を超えて使われるなどとは夢にも思っておりません。証拠の目的外使用を認める意見には絶対に反対であります。  特に性被害では、性的な画像や映像が決定的な証拠となっている事件が多数あります。令和五年の刑事法改正で、検察官がそうした画像などを消去、没収できるようになり、被害者は大きな安心を得ております。先ほどの御遺族は、娘さんが拉致され殺害されたと聞いたとき、娘さんが性被害を受けていなかったかと気が気ではなかったといいます。後に、捜査を担当した刑事からその心配はなかったと伝えられ、ようやく胸をなで下ろしたといいます。その御遺族がこう語っておられます。娘が性被害に遭っていたとしたら、私は絶対に証拠を開示してほしくないです、娘の尊厳を亡くなった後まで傷つけてほしくありません。これが被害者や御遺族の偽らざる思いです。もし証拠が目的外に使われ、性的画像を入手しようと支援を装う人が出てくれば、被害者は被害申告をためらい、泣き寝入りを選ぶ人も出ます。一旦ネットに流出した画像を完全に消すことは事実上不可能です。  なお、真犯人の処罰のために必要な証拠開示を充実させること自体に反対するものではありません。反対するのは、事件と無関係なプライバシー情報の開示と目的外の使用です。  被害者も決して冤罪は望んでおりません。犯人ではない人が処罰されても、被害の回復にはならないからです。先ほどの御遺族も、法制審議会でのお話をこう締めくくられました。冤罪で得する者は、本当に裁かれるはずであった真犯人だけです、被害者も、無実の罪を着せられた者も、共に被害者です。私も全く同じ思いです。だからこそ、刑事法の改正を検討される際には、それによって被害者に不必要な負担が掛かったり、理不尽な思いをさせられたりする人がいないかどうか、しっかりと検討していただきたいのです。  四半世紀前にお母さんをいじめるなと叫んだあの少女のような人を、そして、今申し上げた御遺族のような方を、終わらない裁判によってもう一度苦しめることがないように、被害者の声に是非耳を傾けていただければと存じます。  以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) ありがとうございました。  次に、大橋さんにお願いいたします。大橋さん。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) こんにちは。私は、大橋宏子といいます。福井女子中学生殺人事件の被害者、高橋智子の姉です。  私には軽度の知的障害があります。小さい頃に階段から転落し、その後遺症もあり、うまく考えをまとめてしゃべることが苦手です。でも、妹の事件で犯人とされて、刑務所で服役した前川彰司さんが実は無実だったことが分かってから、心の中にいろいろな気持ちが湧いてきました。事件のこと、妹のこと、両親のこと、警察や検察のこと、前川さんのこと、たくさんあってちゃんと話せるか心配ですが、心の中にある思いをどうしても国会議員や多くの人たちに伝えたいと思い、ここに来ました。  妹の智子は、今から四十年前に十五歳で命を奪われました。私は当時十八歳でした。今は五十八歳になります。事件よりも前に父と母は離婚しており、妹は母と暮らしていました。私は父に引き取られましたが、父が酒に酔って私に暴力を振るうことがあり、私は父の家と母の家を行ったり来たりしていましたが、事件のときは父のところで暮らしていました。当時、妹は余り話をしなくなっていましたが、小さい子供だった頃はよく一緒に遊びました。  先週、子供の頃に二人で一緒に遊んだ場所に行く機会があり、妹のことを懐かしく思い出しました。妹の中学の卒業アルバムを見ました。妹が卓球部で活躍したことも思い出しました。妹は、頭が良く、しっかりしており、私と違って母親からも頼りにされていたほどです。友達もたくさんいました。私には知的障害があり、学校ではからかわれたり、いじめられたりしたので、余り友達もいませんでした。でも、妹は私のことをばかにしたりはせず、お姉ちゃんと慕ってくれていました。  先ほども申し上げたとおり、妹が殺されたとき、私と父は別のところに住んでいましたが、母親は、仕事から帰宅して、誰よりも先に娘のむごたらしい姿を見てしまったのです。そのショックはとても言葉にはできないものだと思います。  事件の後、父も私も警察から事情聴取を受けました。特に父は、智子に生命保険を掛けていたので、犯人と疑われて厳しい取調べを受けていたようです。私は、事件の日は智子と一緒に家にいたと警察にちゃんと言ってほしいと父から頼まれたことを覚えています。  事件から一年ほどたって前川さんが逮捕されたというニュースを見ました。そのときはやっと犯人が捕まったと思いました。でも、福井の裁判所では無実でした。父は、犯人なのに無罪になるなんて許せぬと言い、物すごく怒っていました。それまで勤めていた会社では、夕方五時きっかりに仕事が終わっていたのですが、無罪のニュースの後、父はその会社を辞めて夜勤のあるタクシー運転手に転職しました。夜、家で事件のニュースを見るのが耐えられなかったのではないかと私は思っていました。父親は、その後、肝硬変で亡くなりました。お酒の飲み過ぎが原因です。  前川さんは、その後、金沢の裁判所で有罪になりました。無罪だったのが有罪となったというニュースを見て、何でこんなことになっているのかと母に尋ねました。すると、母は、事件の話はもうしないで、思い出したくないからと叫んで、それ以上何も教えてくれませんでした。きっと母は、妹が殺されてひどい状態になっていたのを直接見てしまったから、事件のことを思い出したくないのだと思いました。  私も、無罪になったり有罪になったり、再審開始が出たり取り消されたり、裁判所の言うことがころころ変わるのはどうしてだろうと気持ちが揺れました。何十年もの間、裁判が終わらず不安定な状態に置かれたのはとてもつらいものでした。  でも、事件の日に血の付いた前川さんを見たと話した人が、その日に見たというテレビ番組が放送されたのは実は事件の一週間後だったという証拠がこの前の再審で初めて出てきたと聞きました。裁判所の判断がころころ変わったのは、警察が証拠をちゃんと得ていなかったからだということが分かり、私は、前川さんを犯人にでっち上げた警察も、前川さんが犯人じゃない証拠があるのに隠した検察も、本当にひどいと思いました。私たちは、今まで罪のない前川さんを恨んでいたんだと思って、とても苦しく、申し訳ない気持ちになりました。  最初から証拠が出ていれば、一番初めの福井の裁判所で前川さんは無罪になって、真犯人を捕まえることができたかもしれません。無実の前川さんを犠牲にして真犯人を捜そうとしなかった警察、検察は絶対に許せません。そして、隠していた証拠がせめて第一次の再審でちゃんと出ていれば、二〇一一年には前川さんが無罪になって、このときに真犯人を捜し出せたかもしれません。このときであれば、母もまだ認知症になる前でしたから、真実を理解することができたでしょう。  私は、もう父も亡くなり、母も認知症になって施設で暮らしているので、この事件のことを話せる人間が私だけになってしまいました。私は、前川さんが無罪になったことは本当によかったと思っています。でも、妹が殺されたことを忘れないでほしい、事件のことを忘れないでほしい。  私が望むことは、もう二度と前川さんのように無実なのに長い間犯人扱いされる人を出さないために、証拠を全部出して、裁判をやり直すと一度決まってから、検察が文句を付けないで早く真実にたどり着くことです。警察も検察も、無実の人ではなく真犯人をちゃんと捜し出して処罰してください。  再審になると、元々の裁判が終わった後も被害者のプライバシーや私生活が何度もニュースで出たりするから、私たちを守るために、再審のルールを変えるのはよくないという人がいると聞きました。私はそうは思いません。  私だって、再審のニュースで妹のことを思い出してつらくなったり、自分の住所が知られたりするのはもちろん嫌です。でも、テレビ番組の放送日が一週間後だという証拠が出ても、誰のプライバシーとも関係ないじゃないですか。ちゃんと証拠を出して真実を明らかにする方がもうずっと大事です。  冤罪の被害者と犯罪の被害者は敵同士なのではありません。前川さんと私は二人とも同じ被害者なんです。前川さんと初めて喫茶店で話したとき、お互いのことが分かり合えると思いました。前川さんは、無罪になってからもいろいろ言われて苦労しているようです。私は心から応援したいと思っています。  私は、法律の難しいことは分かりません。でも、無実の人を有罪にしたままで、真犯人も捜さずに何十年も過ぎていくことをそれでいいと思う人はいないでしょう。それは、被害者や遺族にとっても耐えられないことです。  証拠をちゃんと出して、すぐにやり直しの裁判をして、前川さんのような人はすぐに無罪にして、真犯人をちゃんと見付けて処罰をする法律を作ってください。よろしくお願いします。  今日は本当にありがとうございました。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構です。  また、質疑者には、参考人が答弁しやすいように、質疑の冒頭に答弁者を明示していただくように御協力をお願いいたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。  宇田さんにお伺いをいたします。  長きにわたって被害者支援の活動をされてこられたということで、被害者の視点から、今回の法改正についてのお話をいただきました。  再審についての感じ方、いつまでも終わらない苦痛ということも本当にそのとおりだというふうに思いますが、今回、この本改正で、大きな争点の柱として、証拠の開示の在り方、また検察官の抗告禁止の在り方がございました。  この二点についてお伺いしたいと思いますが、まず、抗告禁止については、原則禁止としつつ、十分な証拠がある場合は抗告できる余地を残したということについて。全面的に封じてしまうことは明確に反対というふうにおっしゃられておられました。また、平口法務大臣は、この委員会で、検察は組織的に十分な検討をして慎重に行うというような答弁がございましたけれども、この改正でどのようになっていくかという思いがあればお聞かせください。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 御質問ありがとうございます。  今回の抗告の禁止の関係なんですが、原則は禁止ということにはなっているんですが、十分な証拠のある場合に不服申立てをするという立て付けになっていると理解しております。そういう意味でいうと、再審の決定をする裁判に対して十分な反論の余地は残っているのではないかと、そこは守られているのかなというようなまず受け止めをしております。そういう意味では、一律禁止でなかったことは大変評価するべきことなのかなというふうに受け止めております。  証拠の開示に関しても、今までルールがなかったところを明確にするということはとても大事なことだと私も受け止めております。ただ、それを出すときに、被害者の観点というのを必ず思い来してほしいということになります。  先ほど申し上げたとおり、目的外は駄目です。あるいは、プライバシー侵害するようなこともしては駄目です。それを事前に裁判官がチェックしてから、そしてそれを再審の手続の中にのせていくという、この辺りは非常にバランスを考えながら手当てをされているように受け止めております。  以上になります。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 大橋さんは、宇田さんにお伺いします、何十年もの間裁判が終わらず、不安定な状態に置かれた、とてもつらかったと語られました。  再審無罪となった前川彰司さんは、無実を訴えて三十八年、私の人生は法との戦いと言っておられます。福井女子中学生殺人事件の場合、二〇二二年の第二次再審においてやっと新たに二百八十七点の証拠が開示され、無罪の決め手となったわけです。起訴から三十五年以上たって開示された新証拠であります。  今回、証拠提出命令が新設されましたけれども、法案は必要性、関連性のあるもので、これでは開示の範囲が絞られるのではないか、開示の在り方についてこれで十分なのかという意見がございます。  福井の事件の場合、裁判所が強く強く促してやっと出てきた証拠によって無罪になったわけです。裁判官の能力、やる気には再審格差といったものがあるとも言われていて、裁判所に証拠開示命令の権限を持たせる必要があるのではという意見、考え方についてはどうお考えでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 今の御質問ですけれども、証拠開示命令という立て付けをつくっていくことはとても大事なことだと思います。  最近の裁判の運用のことを詳しくは存じ上げておりませんが、制度の前も柔軟に弾力的に任意の開示が進められてきたと理解しております。それを法律の立て付けにすることによって、運用の面と本当に法制度の面で二重に手当てをしていくことはとても大事なことです。  あと、どうしても付け加えたいのが、その場合に、やはり証拠を出したとしても目的外には使ってはいけないし、そこに罰則を設ける、この辺りが手当てされているところがポイントになるかなというふうに受け止めております。  以上となります。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 この七月十日、名古屋高検は、裁判に関わった検察官らに聴き取りをした調査報告書を公表しました。非常に細かいもので、私も読みましたけれども、十七人の検察官を聴取して、一審以降少なくとも検察官六人が証拠の誤りを把握していた、無罪につながる証拠が長く開示されなかったことについて、早期に裁判所に提出されていれば再審開始が決定していた可能性も十分に考えられるとありまして、一貫して反省すべきものと総括している。また、報告書は控訴審での対応を含め、適切な是正措置が講じられなかったことは事実、上司も結果として部下検察官を指導する責務を十分に果たしていなかった、また、本調査結果報告書の内容については、最高検においても全国の検察庁への周知や指導について適切な対応を行うと締めくくられていますけれども、報告書をどういうふうにお読みになって、受け止められていらっしゃるか、お聞かせください。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 正直なところ、この報告書見たときに、私は憤りを感じました。  憤りを感じたというのは、要は主張と証拠が一致していない、ずれているにもかかわらず、そこの是正をしないまま裁判を進めていってしまった、要は、それは本来の真実の発見ではないお話であります。被害者にとっても検察官というのは公益の代表者、それを信頼して、裁判で必ず正義がただされると信じております。そこの部分が、もしもそのようなことを分かった上で放置した状態で進めてしまったということであれば、それは大いに反省しなければならないし、絶対に是正しなければいけない、二度と起こしてはいけないということになろうかと思います。  今回の再審の制度においては、検察官の不服申立てのところも十分な証拠に基づいてということが書いてあったり、あるいは、不服申立てをする場合には政府がその理由を公表するという立て付けになっていると理解しております。そのような形で、検察内部の方は、これは厳重に戒めとして是正する措置をやるのも同時に、法制度によってそこも担保していくということでバランスを取っていくことは本当に大事な問題提起ではないかなというふうに感じました。  以上になります。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 大橋さんにお伺いいたします。  本当に長い年月のお気持ち、被害者の遺族にとってつらい時間だったと思います。お話しくださいまして、ありがとうございます。  冤罪はあってはならない、本当のことを知りたい、これで終わりではない、冤罪被害者と犯罪の被害者は敵同士なのではありません、二人とも同じ被害者なんです、最初から証拠が出ていれば、前川さんは無罪になって、真犯人を捕まえることができたかもしれません、真犯人をちゃんと探し出して処罰してくださいという思いは、本当にそのとおりだと思います。  私は以前、テレビで、大橋さんと前川さんが初めて喫茶店でお会いになるというところを見させていただきまして、非常に驚きました。本当に分かり合えたというのは、どういうこと、どういう気持ちだったんでしょうか、あのときは。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) あのときは何も思わなくて、ただ、前川さんがかわいそうだなって。やっぱり、しっかりして、社会復帰してもらいたいのが一番であったけど、前川さんがあんまりかわいそうだったんで、元気出してもらいたくて、頑張ってほしいなと思う気持ちがいっぱいで。それで、前川さんの、やっぱりいろいろつらい人生を、前川さんが受けてきたことをやっぱりかわいそうだなと思うし、やっぱり、犯人じゃないのに警察がそういうふうに証拠、じゃないわ、その警察がそういうひどいあれをして、前川さん犯人に仕立ててそういうことをするのは、警察が私はやっぱり許せないし、前川さんがやっぱりかわいそうでたまらなくて、前川さんと話し合える、許し合える、やっぱりそれが一番にいいかなと思って、自分は前川さんを理解、話し合いました。それが本当の気持ちです。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 最初から証拠が全部出されていればという、大橋さんにお伺いします、大橋さんの指摘は重いと思います。  今日、本当は前川さんが参考人としていらっしゃるという当初の予定ではありましたと聞いておりますけれども、お見えにならなかったことについて、今、大橋さんはどんなふうにお感じですか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) やっぱり前川さんはつらい思いしているからなかなか外に出れないんだと思うし、いろいろなことをみんなに分かってもらえないのがやっぱりあるから出てこれないのもつらいのもあるし、だから、代わりに私が今、前川さんの代わりに言う機会を今、前川さんの、何というかな、代わりに私が言っている感じです。感じというか、私、前川さんと話し合って、前川さんがそういうつらい思いしているので、やっぱり今出てこれないんじゃないかなって、外には出てこれないんじゃないかなって、だから、私が代わりに、前川さんの代わりに今ここで発言しています。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 本当に冤罪はあってはならないという思いでお話しくださったことをしっかりと受け止めながら、この法改正後、私たちは運用をしっかりとしていかなければいけないと思っています。  最後に、宇田さんにお考えをお聞かせいただきたいんですが、制度改革の機運が高まっての今回の改正です。一九四八年に刑事訴訟法が制定されて以来。  自民党は、三月から五月にかけて、法案が了承されるまで、大幅修正を求める会議を十一回開きました。政府は三回にわたって法案を修正したという、もう本当に異例のことでありましたし、怒号が飛び交うような合同部会でもありました。  衆参の法務委員会でも、課題、疑問、充実審議の中で、また修正も更に二点にわたってなされたわけでございますけれども、五年ごとに行われる検討に目的外使用の禁止に関する制度と証拠の一覧表に関する制度を例示として追加する、また、任意での証拠の提出又は提示に係る運用上の措置の適切な実施ということが書かれたわけでございますけれども、真摯に受け止めて、法務・検察行政、今後の取組に、法曹三者それぞれ生かして対処していかなければならないと思います。  施行後の制度運用が改悪ではなくて改正だったと言われるように皆で注目していかなければいけませんが、五年ごとに行われるといっても、五年ではなくて、やっぱり一つ一つ、一年一年、厳しい目で見て検証し続けなければいけないと思いますけれども、これからの施行後の制度運用について何か御意見あればお聞かせください。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 本当に慎重にも慎重を重ねる議論をしてくださった上で、今法案として一つの形が成り立ちつつあると思います。  とにかく、その法案が実際に議論した過程の中で考えた問題点とか、あるいはより良いところ、その辺りをもう逐一検証しながら、本当にそこが、五年の確かに見直し期間なんですが、実務というのは日々動いていくことになろうかと思いますから、その中でそれを集積しながら、本当に五年後に有用な議論ができるように進めていただければ大変有り難いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっております。

山谷えり子 自由民主党・無所属の会

○山谷えり子君 時間ですので。  宇田さん、大橋さん、本当にありがとうございました。しっかりとお声を生かしていきたいと思います。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 本日は、大橋さん、宇田さん、大変参考になるお話、ありがとうございました。  早速ですが、大橋さんにまずお聞きしたいと思います。  前川さんの無罪が決まった後に、大橋さんは、無実なんだから堂々とこれからの人生を生きてほしいと優しく話されましたね。こんな優しいお言葉を掛けられたのは、前川さんも被害者だと思うからでしょうか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) はい。  やっぱり、警察からいろいろひどい仕打ちを受けて、前川さんもこれから、そういう犯人に仕立てられて、証拠もないのに犯人にされた。  やっぱりそれを、やっぱり被害者だなって、犯人にされて前川さんがかわいそうだなって、やっぱりひどい仕打ち受けられて、前川さんが、それでやっぱりかわいそうな気持ちでいて、やっぱり初めに警察が前川さんの前に犯人を捕まえていれば、前川さんも社会復帰できて、人目から憎まれなく、人から殺人という重い、背負われるのがやっぱりなかったと思うんやって。  それで、やっぱり前川さんには、やっぱりそういう人を、これからも前川さんみたいな人を出さないようにちゃんと、警察も検察もちゃんと見てほしいなと思うんやって。そういう人を出さないように、これから前川さんみたいな人を出さないようにしていってほしいなと思うんやって。そうじゃないと前川さんがかわいそうでたまらんねって、私も。  それで、やっぱり被害者と思う気持ちが二人で重なって、話もできて、やっぱり気持ちがつながっていっているんだなって思うんやって。そうじゃないと、前川さん、元気に、やっぱり勇気を出してもらいたい、元気に、やっぱり出してもらいたいのがあるので、やっぱりこれから社会復帰できるように頑張っていってほしいなと思うけど、今それができないから、やっぱり今テレビで、前川さんのいる前で、勇気出して頑張ってほしいって、そういうふうな気持ちで今こうやって前川さんに投げかけているんですけど、前川さん、どんな気持ちでいるのかちょっと分かんないけど、やっぱり負けないで頑張ってほしい、前川さんには。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 いろんな証拠が、テレビ番組のそごの話とか、そういったことが出てきたから前川さんが無罪になったと思うんですけれども、証拠を全部出せないのは被害者のプライバシーを守るためだと繰り返し検察は言っているんですね。このことについてどう思われますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) そのことに関して、警察が証拠を出したということに関して、それは、やっぱり警察がそういうふうに仕立てて、前川さんを犯人に仕立てたんじゃないかなと思うんやって。そうでないと、前川さん、やっぱり警察も悪いなと思う。ごめんなさい、こんなことを言って。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 答弁者を指名してお続けいただければと思います。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 はい。  大橋さん、またお伺いしますけれども、証拠を出せないのは被害者のプライバシーを守るためだっていつも言うんですね。それについてどう思いますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) プライバシーに関しては、今私が読んだ原稿に書いてあるように、ちょっと難しい、ちょっとプライバシーというのがちょっと難しくて、ちょっと分かんないんですけど。ごめんなさい。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 大橋さんにまたお伺いしたいんですけれども、原稿では、住所とかは知られたくないけど、番組が一週間ずれたとか、そういうことはプライバシーではないですよね。でも、このことで前川さんが無罪になる大きな一歩となったわけなんですよね。それについてどう思われますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 無罪になったことで、それは一番に喜ばしいというかな、前川さんが無罪になって喜ばしいというか、うれしい気持ちでいっぱいで。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 ここで宇田参考人にもお伺いしたいんですけれども、今の大橋さんの、被害者のお一人である大橋さんのお話を伺って、それを踏まえてですね、目的外使用に反対の御意見と伺っていますけれども、もし目的という言葉が真実を追求するということであれば、しっかりとプライバシーの、例えば住所の部分とか、被害者が嫌がる性被害のビデオとか、そういったものは省いてですね、目的内使用は承認して、マルチでない一人の裁判官に頼らず、広く証拠の価値の有無を見てもらった方が私はよいと思うんですが、いかがでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 証拠に関して言うと、今の法案の立て付けというのが、まず裁判所に対して検察官が証拠を出すと、その中で、本当にそこの関連性とか弊害とか、その辺りを慎重に吟味した上で判断をすると、そういう立て付けになっておりますので、恐らくプライバシーに関わるところについて、本当にそれが被害者を再び傷つけないように、そういうような赤裸々なものもあると思うんですけれども、そういうところをちゃんと運用の中でしっかり判断いただけるんじゃないかなという期待はしております。  ただ、これは実際に始まって運用を見ていかなければいけない部分ですから、断定はできませんから、これまでの実例として運用で幅広く任意開示をしていたという裁判所の勧告の例があると伺っておりますから、そこの観点、両方から、しっかりプライバシーを守りながら、ただ、真実の発見にはしっかり努めていけるような、そんな進め方を大変期待をしております。  以上になります。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 宇田参考人にまたお伺いしたいんですけれども、目的外使用というのは検察側の裁量で決めるものだと思いますので、その中には目的内使用もあると思うんです。そういった可能性もあることについて、いかがでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) これはもう、検察官も裁判官も、弁護人もそうなんですけれども、誰でも、人ですから過ちというのは起こり得る話だと思います。  ですから、裁判所の方で、その証拠の関係を事前にチェックした上で、そういう理由に当たらないもの、開示できないものについては、それは駄目だよということで恐らく命令が出るという立て付けになっていると理解しております。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 また大橋さんにお伺いしたいんですけれども、前川さんではない可能性が、前川さんが犯人ではない可能性が少しずつ出てきましたよね。そのときから捜査を復活させてほしいと思いましたか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 警察にやっぱり真犯人を見付けてほしい、それだけが私の妹の供養にもなるんじゃないかなって思います。  もう一回警察が動いて、一人一人潰していって犯人を見付けてほしい、そういう法律を、また、法律をしてもらいたい。それが妹の供養にもなるし、誰が妹を殺したというのがまだ分かんない状態なので、犯人が、だから、早く犯人を警察が動いて見付けてほしい。それが妹の供養にもなるし、また、前川さんに、今度は元気に、出してもらいたい。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 大橋さんにまたお伺いしたいんですけれども、ということは、今からでも真犯人を捜したいですか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) そうですね。それは警察が動いてくれたらの話で、警察が動いてくれないと何も始まらないので、そういう法律を作ってもらいたいんやって。真犯人を捕まえるのは警察の仕事なので、それは、ちゃんと警察が一からもう一回やり直して、何というかな、もう時効にはなったけど、でも、それでも法律をもう一回作ってもらいたい、そういう。じゃないと、妹が浮かばれないというかな。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 大橋さんに伺いますけれども、ということは、時効になってもやっぱり真犯人を捜してほしいということですね。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) やっぱり、そうでないと妹が浮かばれないので、早くそういう法律を作ってもらいたい。今ここにいるのは、それしか今言えないというか、そういう気持ちがいっぱいで。済みません。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 大橋さんにまた伺いたいんですが、前川さんが有罪と言われた法廷で大橋さんは、びっくりした、前川さんは犯人に仕立て上げられたと感じたと新聞に書いてあったんですけれども、そのときどんなお気持ちだったんでしょうか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) やっぱり、それは警察がしたことで、やっぱりそれは許せない。前川さんがかわいそうだなって思うし、警察がそういうふうにさせたのは、それは駄目だなと思う、警察も。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっております。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 はい。  宇田参考人……

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっておりますので、質問おまとめください。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 はい。  では、終わります。ありがとうございました。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 今日は、本当に貴重なお話を教えていただいて、ありがとうございました。  まず最初に、大橋さんにお伺いしたいと思います。  前川さんが本当にかわいそうでたまらないというお話をいただきました。前川さんが無実になったというのはずっと出ていなかった証拠が出てきたからではないかなと私も考えているんですけれども、でも、もしその証拠が出てきたり、そういったことで、例えば妹さんのことについて世間が注目したり、いろんな記事が出たりすると嫌だなとか不安だなとか思うことはありましたか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) それはないという、それはない。うん、ないですね。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 ありがとうございます。(発言する者あり)

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) どうぞ。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) いや、私もほら、知的があるので、ちょっとうまくこう言葉がね、どうやって言ったらいいのか分かんないけど、でもやっぱり法律を変えてほしい、真犯人をまた見付け出してほしいし、その願いで今ここに来たので。  前川さんも無罪になったので、それでよかったなと思うし。でも、みんなから、嫌な思いされるのは前川さんなので、それはやっぱり前川さんをそっとしてほしいというか、非難をしないでほしい。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 ありがとうございます。  被害者の御家族として、いろんな報道をされるということが嫌だなという思いは大橋さんの場合はなかったというお話だったかと思います。一方、前川さんのことは心配しているということですね。  事件のことを忘れたいのに、再審の請求が何回も続くと家族もつらくなると、どこかで区切りを付けたいという思いがあるという御意見もあるかと思います。でも、真犯人が見付からないと事件が終わらないなというお気持ちもあるかと思いますが、その事件のことを早く忘れたいという気持ちと、それとも、真犯人を見付けるためにはこの後ずっと長くなっていくという気持ちと、どちらの方が大きいですか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) やっぱり真犯人を見付けて、それであの事件をもう終わらせてほしい、それが私の願い。  今はもう事件、その今の、妹の事件はまだ終わっていないんで、やっぱりそれをまた出発して、そういう警察に、頑張ってというか、犯人を、真犯人を見付けてもらいたい一心で、今こうやって訴えています。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 また、最後、大橋さんにもう一つお尋ねしたいんですけれども、福井事件で、さっきも大橋さんがおっしゃってくださった、あのテレビ放送の証言の日付が一週間違ったということですが、これは実は再審の請求をするときの一回目の、検察官の方も本当は違ったということを知っていたけれども正しい報告書を出さなかったということがつい最近分かりました。  このことを聞いて、どんなお気持ちになりますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) ちょっと、それはちょっと、自分でもちょっと分かんないかな。ごめんなさい。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 大橋さん、ありがとうございます。  続いて、宇田さんにお尋ねしたいと思います。  私も、前の仕事で性被害者の取材携わってまいりました。本当に被害者のプライバシーや名誉を守る必要性、強く実感しています。自分自身も報じる際にも、もう姿形が分からないように映像や音声も慎重に加工したり、時には衣服を貸し出したりですとか、慎重に慎重を重ねてまいりましたので、お気持ちよく分かります。  ただ一方で、被害者御自身も、その自身のプライバシーが保たれる中でその声を報じるということで世論の喚起につながって、様々な制度の是正等につながる力があったというところも実感しております。  ですので、バランスが非常に大事かと考えているんですが、被害者の保護のために、証拠の請求人、弁護人への開示に当たって一律の目的外使用禁止掛けるのではなくて、適切なマスキングをすれば、ある程度公益目的であればこの被害者保護と冤罪救済というところのバランスを取れるのではないかと私としては考えているんですけれども、例えば証拠が開示されたり、その後の報道等で使用される場合において、どういったマスキングの工夫ですとか、どういった対応があれば被害者の方は安心できるとお考えになりますでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 今の御質問のところですけれども、実際に、一律に今の立て付けは禁止、制限という形になっていると思うんですが、私はその立て付け自体は支持している立場でございます。  被害者の方からすると、再審請求のためとか、あるいは再審の準備のためにそれを使うというのはもちろんあり得る話だとは思うんですが、それ以外のことに使われるというのは想像すらしていないですよね。ですから、自分が必死の思いで自分のつらい思いとか苦しい思い、恥ずかしい思いを乗り越えて、何とか処罰してほしいという思いでその証拠とか捜査に協力をして提出していくわけですから、それがそれ以外の目的にもしも使われるかもしれないということ自体が実は被害の申告をためらってしまう。そうすると、本来処罰されなければいけない真犯人も逃すことになってしまう。出した証拠は目的外では使われないんだという一律の制限があるからこその安心感というのも私は大事だと思っております。  あとは、実際にそれが裁判所に出されたときに、弊害とか関連性とか、その辺りを踏まえて個別に対応していただいて、そこのバランスを取っていただくというのが一つの方向じゃないかなというふうに考えております。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 引き続き、宇田さんにお尋ねしてまいりたいんですけれども、通常審までにおいては非常に理解いたします。ただ一方、再審で、しかも一応スクリーニングの手続を経て、明らかに形式を成していないものは再審に付かないという前提で始まった中において、やはり通常審と手続構造も違うと思うんですね。より一層裁判官の関与がある中で、より被害者のプライバシーも保つ形で個々に判断していくというのが実際の運用に近くなってくるかと思うんですけれども、それでもなお一律に目的外使用を禁止するということなのか、これは再審においてですけれども、そこについてもう少し教えていただけますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 恐らく、被害者の方々の受け止めからすると、再審制度とそれまでの裁判制度の違いの部分というのを判断したり区別することはとても難しいと思います。将来、それが再審になるかどうかももちろん分からないですし、もう捜査の端緒の段階で必死の思いで証拠を提出してということをやっていくわけですから、やはりそこは、その扱いが変わらないんだという安心感はとても大事なのかなというふうに私は感じております。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 例えば、済みません、宇田さんにお尋ねいたします、例えば犯罪被害者の保護法第三条第二項では、被害者の保護という目的はありながらも、裁判所が個別事案ごとに使用目的の制限とか条件付けを行うという制度になっているかと思うんですけれども、そういった対応で、今運用としては、被害者にとって大きなプライバシーを侵害するような事態というのは今現状としては起きていないのではないかと考えるのですが、それでもなお、どういった御懸念がありますでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 実際の被害者の方々の声というのは、私も当然、全て捕捉できるわけではありませんし、実は多くの方々が声を上げられていないというのが実情じゃないかと思っております。  その中で、例えば私が被害者支援で代理人活動をするときに、弁護士にそれを依頼して何がしかの手続を求めるということが極めてレアケース、むしろ例外だと考えておりますから、声なき声のところを本当に耳をそばだてながら、本当に被害者の方が安心して捜査に協力しながら、本当に犯人の処罰を求めていく、そのために明確なそのルールというのが出ていることがとても大事じゃないかなというふうに思います。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 先ほどの御意見、陳述された中に、やはりどのような使われ方をするか非常に御不安だと。例えば、インターネットに流出してしまうかもしれないですとか、支援者を装って実はその性的な画像を見たいという目的の人が紛れ込むかもしれないですとか、そういったお話ございました。  御不安の因数分解が必要かなと考えておりまして、公益の目的でしっかりと報じる、本当に真犯人を探すためですとか、また、同種の被害を抑止していくという社会の啓発の目的で、公益の目的でお伝えするものと、そういったある意味興味本位というものがバックグラウンドに混じっているものと、また、ネットに、ユーチューブ等も様々玉石混交かと思いますけれども、それを一律に取り扱うということもまた、例えば被害者御本人がそのプライバシーに配慮した上でしっかり世に訴えていきたいと思ったときも、ある意味それも目的外使用禁止規定に係っていくわけですが、ここを例えば公益目的は例外規定として除外するですとか、そういった考え方についてはどう思われますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 公益目的という定義もなかなか悩ましいし難しいなというまず印象を受けております。  今回の法案の立て付けは、あくまで再審の準備と再審の公判というか、その手続の中で使う、それ以外を目的外としているのは非常に明確なところではあると思いますから、まずはそこの中で実際に裁判官が見ていって、本当にそれを出していっていいものなのかどうか御判断いただくというのがやはり慎重な運用じゃないのかなというふうに感じます。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 続けて宇田さんにお尋ねしたいんですけれども、今、少年審判の閲覧、謄写に関しましては、この事件の性質ですとか、被害者、関係者の危険性等も踏まえて、裁判所が個別具体に謄写の可否や条件を判断しているという運用をしているかと思います。この運用の中で御懸念点がもし、直接再審には関係ありませんけれども、そういった運用でもなお心配な点がございますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) どのような手続、あるいはそれが少年事件なのか、成人の刑事事件なのかはおいておいても、常に人がそれに携わっていくことは、もう全て人の営みは同じだと思うんですね。ですから、裁判官が、あるいは個別具体的にそれをやっていく中でも、ミスがないとはもちろん限らないわけですから、常にそこを自制しながら、本当に慎重にも慎重を重ねて、今ある制度であれば、それは運用していくことが必要かなと思います。  そして、新たに制度をつくるのであれば、少なくともそういう懸念が少しでも払拭できるような、そんな立て付けの制度にしていただけると大変有り難いと思います。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 もう一つだけ宇田さんにお尋ねしたいと思います。  私が今伺っている事案の中では、再審ではないんですけれども、被害者参加制度で自身の、性被害の方ですね、関係する証拠を開示されたんだけれども、御自身は世に訴えたいという思いがあるんですが、一律という形で目的外使用に係っていると。厳密に言うと、目的外使用をしないようにという、ある意味制約を取らされているといったような方がいらっしゃいます。  被害者の中には、その自身の事件を再発防止に役立てたりですとか、真犯人の究明に役立てたいですとか、そういう思いを持っていらっしゃる方がいるということも実感しています。もちろん、その思いに至るまでは本当に様々な葛藤があります。  ただ、声を上げた方が世の中を動かしてきたというところもまた事実だと思うんですね。その被害者の、全員ではないと思います、そういう思いを持っている方の気持ちを担保するためにも、この一律の目的外使用禁止ではなくて、厳格な運用の下での個別の判断という考え方もあるのではないかと思うのですが、こうした意見に対してどう思われますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 被害者、性犯罪の被害に遭われた方にも、様々なお考えをお持ちであることは私も伺っております。中には、本当に社会にそれを訴えていかなければならないという使命感あるいは思いで踏み出されている方もいるし、それもまた被害者の大切な声だと思っております。  ただ、一つ怖いのが、実はそれで出しました、でも、出したものは二度と回収できないんですよね。だから、恐ろしいのが、今はネットの関係とかもすごく進化しているというか進んでいまして、ちょっと名前を検索するだけでもうすごい情報がぶわっと出てくるような、そんな時代になってきているんですね。ですから、もしその方が、公益のためにとそのときは思ったかもしれないけど、後からそれを後悔して、しまったと、あれをしなければいけなかったといっても、もはやそれは手遅れ、出てからではどうしようもならないんですね。  ですから、その辺りの懸念を考えると、慎重にも慎重を重ねないといけないかなというのが私の現場感覚になります。

小林さやか 国民民主党・新緑風会

○小林さやか君 時間になりましたので、質問を終えさせていただきます。  大橋さん、また宇田さん、本当に今日はありがとうございました。

横山信一 公明党

○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  今日は、貴重な御意見、大変にありがとうございます。  まず、宇田参考人に伺います。  犯罪被害者の心理というのは、先ほど大橋参考人の意見陳述を伺っていて本当によく分かります。犯人だと思っていた人が無罪になったり、また有罪になったりと。妹を殺した犯人だと思って憎しみを持っていた人を、今度は完全に無罪になるわけですから、その長い期間の中で非常に心理が複雑に動いていく様子が大変に受け止められて、大変深刻に受け止めさせていただきました。  そうした方たちと宇田参考人はずっとお付き合いをされてきていて、その上で、検察の不服申立てはあるべきだという御主張でありました。  この福井女子中学生殺人事件の件でいいますと、前川さんが結局再審無罪になるまで長期間を要するわけですが、その長期間を要した原因の一つは検察による抗告だったわけです。しかも、その抗告の時点で、今回の名古屋高検の報告書によると、抗告の時点で検察は、この事実誤認があると、この証拠、証言に事実誤認があるということが分かっていた上で抗告をするわけですね。  そういう意味では、真犯人をその時点でもう取り逃がすということになると。これは、犯罪被害者からすると、別に犯人がいるということを検察が分かっていて、それでもその立証を進めようとするということをやったわけです。  そういう点から見て、それでも検察による抗告が必要だと、この福井女子中学生殺人事件を踏まえた上で、それでも抗告が必要だというふうにお考えになられる理由をまた改めてお伺いしたいと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 今の御質問なんですけれども、まず、私が抗告が必要だと考えている理由というのは、検察官が証拠を隠したり、ごまかしたり、裁判をねじ曲げるために抗告するということを認める前提の話では全くないという前提ですね。  私がチェックしていただきたいのは、裁判官による再審開始のところが、問題があるかどうか、そこでチェックしなければいけないという、そういう観点ですから、ちょっと視点が違っております。もしそこを認めないとすると、再審請求に対して、再審請求審から再審公判ということになると思うんですけれども、被害者の方からすれば、理由がなき再審公判にまたある意味引きずり出されて、そこで再び証言を求められて、捜査に協力してという、また過去のことを繰り返されることになるわけですよね。  ですから、そういう過ちがないように、そういう裁判官の誤りを是正するための不服申立ての制度というのはやはり必要だというのはあると思います。それは、検察官が証拠を選んで理由がない不服申立てをするというのとは全く意味が違うというふうに御理解いただければと思います。

横山信一 公明党

○横山信一君 はい、よく分かりました。  証拠の目的外使用のことについてもお伺いしたいんですが、宇田参考人にお伺いしたいんですが、この証拠の目的外使用の禁止というのは、本来、法制審からも報告がなかったものでもありますし、この政府提出法案の中に突如として入ってきたものであります。従来の刑訴法の中にもこの目的外使用の禁止はないんですね。これまでのその再審制度の中で、この目的外使用について何か問題があったわけでもないわけです。取り立てて大きな問題があったわけでもないと。  ただ、性被害のことを考えると、今後、そういう悪質な人が紛れ込んでいて、この目的外使用に何らの規制もなかったとすると、被害者に対して非常につらい思いをさせかねないということだというふうに思うんですけれども、この、従来、再審制度の中では特に取り立てて問題はなかった部分だというふうに、事実としてそうなんですが、その上で、目的外使用は禁止すべきだという、お考えになるところについて、もう一度お伺いをさせていただきたいと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 目的外使用の禁止というのは、実は私の素朴な意見としては、そういう規制があるないにかかわらず目的外に使っちゃいかぬでしょうと、それはもう何事もそうだと、まず素朴に感じます。  もう一つ私が感じるのは、今の時代背景ですよね。これほどまでにSNSやネットやいろんなものが拡散して、昔でしたら普通に個人の住所とか名前とか明らかに普通に出していたわけですよね、電話帳でも何でもそうなんですけど。でも、それがそういう時代ではない。しかも一回出たものはもうネットの世界にずっと永遠に残り続けるということになりますから、そこに対して、時代の背景を踏まえた上で本当に慎重に扱うという今の考え方というのはあり得るんじゃないかなというふうに私は受け止めております。

横山信一 公明党

○横山信一君 ありがとうございます。  犯罪被害者と冤罪被害者は、先ほど宇田参考人の話の中にもありましたけれども、本人の意思とは無関係に突然被害者になるわけです。そういう意味では、似ているというか、同じような苦しみを負わされていると。突如としてふだんの生活が破壊されるという共通点があります。  とりわけ冤罪は、捜査機関によってつくられた被害という点では、捜査機関が犯罪者になるわけですよ。だけれども、捜査機関に何らの償いをすることは求めないわけですね。もちろん反省もするし、今回の名古屋高検のように、対策もしっかりやるわけですが、それにしても冤罪被害者の、被害を受けた人たちというのは何か思いを晴らす場面がないというか、元々無実なのにその無実を証明しただけみたいなですね。ですから、気持ちが晴れないというか。  そういう意味からいうと、この犯罪被害者に携わってきた立場から、この冤罪被害者の皆さんに支援をするとしたらどんなことが考えられるか、御意見を伺いたいと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 私自身が実際に冤罪の被害者の方の救済支援に携わったという経験自体がそもそもございません。ですから、もしそれに携わるとしたらという形になりますと、ちょっと具体的に、仮定でお答えするのが難しいかなというのが率直な感想になります。

横山信一 公明党

○横山信一君 ちょっと二次被害についてもお伺いしたいんですが、犯罪被害者にも冤罪被害者にもどちらにもこの周囲からの偏見とか、あるいは心ない言葉を浴びせられるということがあります。例えば、被害に遭うようなことや疑われるようなことをやっていたんじゃないのとか、そういう心ない言葉が浴びせられる機会ってあると思うんですが、これらに対してはどのように対応されてきたのか、伺います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 実際に、周辺の心ない言葉とかそういうことに対してつらい思いをされている方はいっぱいいらっしゃいます。その周囲の方に対して、じゃ、そこの部分を止めるのかというのは実はとてつもなく難しいし、困難であると私自身は考えておりまして、これはもう実務的に申し上げますと、実際に本当にそのエリア、そこにいること自体がいたたまれなくなってしまって、引っ越しをしてしまう。要は、人々のうわさに対して口を止める、封じるということが物理的にできないんですね。そうすると、何ができるかというと、本当に何がしかその事件に対して報道されたり外に出るとしたら、そこの部分で、何をそこで出すのか、そこを慎重に慎重に考えていただいて運用していただきたいなというところはとてもありますね。非常に私もこれは問題点であるし、自分自身、こうすればそういう人のうわさに対して戸口を立てられるということの解決策を見出していないところではあります。

横山信一 公明党

○横山信一君 ありがとうございます。  じゃ、大橋さんにも伺います。  犯人と思ってずっと恨んでいた前川さんを、無罪になって本当によかったと思っていますというふうに先ほどおっしゃられて、そういう気持ちに変わったのはどうしてですか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 犯人だったのが無罪になったという、それはやっぱり、証拠もないし、妹と関わりがないというのがあるので、やっぱりそれは前川さんが犯人じゃない、かなと思います。だから、無罪になったのが、やっぱりそれが本当だったのかなって。妹とそれは関わりがあったら前川さんを犯人と思うかもしれぬけど、妹と関わりがないんだったら、やっぱり妹と、顔は知らないという、それがあるので、やっぱり妹と関わりがある人が犯人じゃないかなと思って。だから、前川さんが無罪になって、犯人じゃないというのは、それはうれしいことであり、やっぱり無罪になってよかったなって、気持ち的に歓迎するというのかな。

横山信一 公明党

○横山信一君 ありがとうございます。  じゃ、最後、宇田参考人にお伺いしますが、ちょっと再審制度とは離れるんですけれども、性犯罪にも関わられたということで、名古屋市条例では、犯罪被害の重傷病等に性犯罪被害が含まれているということで、犯罪被害の中でも性被害に遭った方は、トラウマによって思い出したくないとか、どうしてもその被害の申告に時間を要するという特性があります。  二〇二三年の法改正によって公訴時効五年間延びたんですけれども、だけど、それでも、被害者団体の方たちは公訴時効の撤廃を求めているんですね。この性被害の公訴時効についてどのようにお考えか、教えてください。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 性犯罪被害に関して言いますと、今御指摘いただいたとおり、被害の直後に申告するというのはなかなかないという体感はございます。私が御相談とかを受ける場合も、何十年も前の被害に遭われたということで、本当に、そのときに恐らく、ずっと抱えてきて、ようやく何かのきっかけがあって外に言えるようになったんだというところで、言ったところでもう時効になっているということは確かにあり得る話なんですね。だから、性犯罪の被害の特殊性を考えたときに、時効というものについて今のままでいいのかどうかというのは本当に慎重に考えていただければ有り難いなという思いはございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 ありがとうございました。終わります。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 日本維新の会、嘉田由紀子でございます。  宇田さん、また大橋さん、本当に大変緊張する場面に出てきていただいて、ありがとうございます。  まず、宇田さんにお伺いしたいんですが、私、ちょうど二〇〇六年に滋賀県の知事を拝命しまして、それで、その直前に犯罪被害者の基本法が、国が、できたんですね。それで、自治体としてもどうするかということで、そのときに二つのことをさせていただきました。  まず一つは、犯罪被害者の総合相談センターということで一般的な犯罪被害の窓口、それからもう一つは、性被害の方たちが泣き寝入りがとっても多いのを現場で見ていましたので、性被害の場合には、すぐ、できるだけ速やかに、その場で、真夜中でも、二十四時間ワンストップで相談しますということで、産婦人科の責任を持ってくださる病院と連携して、ワンストップセンター、SATOCOというのをつくったんですね。それが二〇〇七年でした。もう十九年ほど前なんですけど。  そこでやってきたことで、特に、行政、滋賀県はその後条例化もするんですけど、全国の、名古屋を中心にやっていらして、二点質問したいんですが、宇田さんのように本当に弁護士さんの知識を持ってボランタリーでやっていただいているときに、やはり、自治体としての予算化とか組織化、どんな支援が今必要とされているでしょうか。その辺、是非この法務委員会で公言していただいて、自治体に求めていただけたらと思うんですけど、いかがでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) これは行政に対して予算請求をするためのというようなお話なんでしょうか。(発言する者あり)

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 指名を受けてからお願いします。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 はい。済みません。  予算もあるんですけど、組織体制とか応援体制とか、本来、市民、県民の心と命を守るべき行政なりの役割として、どういう要望が今、宇田さんの立場からおありかということを教えていただけたらと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 行政との関係でいいますと、本当に相談の連携、窓口の連携もそうなんですけれども、あとは、定期的な、例えば本当に情報交換会みたいな形で現場のお話を伺いながら、新しい制度を、何かこういうものが必要じゃないかとか、そういうことを密にやっていくことが一番大事かなというふうに思うんですね。  やはり、現場で被害者支援に携わっていると、こういうところは手当てがもう少しあるといいのにというふうに思うこともやっぱりあるわけですよね。それを制度として、こんなものはどうでしょうかということで御提案申し上げて、そこをいろいろ議論尽くしていただくというのはありますね。  よくある話かもしれませんが、例えば殺人事件で被害を受けて、御遺族の方が、本当に一家の支柱を失って路頭に迷って、その日の生活も困ってしまうとか、あるいは現場が自宅で、自宅に入ることすらできないみたいなことがあったときに、じゃ、行政の方で宿泊施設を手配するとか、あとは、お弁当一つでも、こういうものがちゃんと手配できるのって実はすごく心強いんですね。被害に遭ったばかりですと、もう何も考えられないし、何も分からないです。日常全く関わってこなかった警察なり検察なり、もうあらゆるものが同時に押し寄せてくるんですよね。そこに対して、本当に行政なら行政ならではの細かなフォローアップで日常生活支援みたいなことをしていくところは、もう今結構やられていると思うんですが、こういうところの、本当に、弁護士ではなかなか思い付かないところにフォローアップいただけるのは本当に有り難いなというふうには体験上は思っております。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 実は、今、滋賀県の犯罪被害者支援センターは二〇〇七年につくったんですけど、もう十九年前、本当に熱心な所長さんなりサポートする人たちがいてくれて、被害者の方で助かったという声も聞いているんですけど、その人的なきめ細やかな生活支援なども確かに重要だということですね。そのバックに行政の支援があるということなんだろうと思います。  そういうところで、宇田さんの、特に性被害については目的外使用、証拠の目的外使用はやめてほしいという願いがあって、私たちは、どちらかというと、マスコミなり、あるいは支援者の立場からすると、そこに目的外使用と歯止め掛けられると、言わばマスコミの支援とか、あるいは一般社会での支援がなくなってしまう、そがれてしまうんじゃないのかということも懸念をしているんですけど、この辺のバランスの取り方はどう思われますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) そういういわゆる様々な情報、まあ捜査記録もそうなんですけれども、今の法制度の立て付けですと、被害者もいろんな要件の下にそういうものを記録として取り付けることができるような立て付けにはなっています。  ただ、当然そこには目的というものがあって、目的外には使ってはいけないということになっていますから、そこで、裁判所に申請するときに、それをこのように使いたい、こうするみたいなところで申請した上で調整を図るみたいなところは、実際に体験上はございますね。それで、もしその情報をその目的のために使いたいということであれば、それで取得した上で活用させていただくということはあろうかと思います。  ただ、先ほども申し上げたんですけれども、一回出してしまうと、取り返しが付かないということがどうしてもございまして、被害者支援の現場でいろんな、例えば被害者参加をするという場合もそうなんですけれども、日々思いが移ろいで変わっていくんですね。そのときはそうしたいと思われるんですけど、やっぱりよく考えたら、やっぱりやめたいと。それで、それが出ちゃったということになってしまうと、本当に取り返しが付かなくなってしまいますから、そこは本当に慎重に慎重に被害者の方の御意向を確認しながら、リスクも御説明した上で進めていくというのが現場感覚的なところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  今言われること、本当によく分かりますね。一旦承諾しても、この流れの中で、しまったということで、取り返しが付かない。特に今のネット社会の性情報というのは、そうでなくても、お金が絡み、いろいろな欲望が絡みというところで、大変な状況だろうと思います。  一方で、性被害なり性情報は、マスキングをして、それで公開するというのもあり得るんですけど、その辺のバランスで何か具体的に御経験ございますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 経験としては、実はなかなかないですね。性情報の一部をマスキングしてという概念自体がちょっと不思議な感覚があって、どういう感じのイメージになるのかなみたいなところがありますね。  要は、性犯罪の被害にお遭いになってしまったということになると、名前とかが出なくても、ある程度、住所とかエリアとかそういうものが出てくるだけでも、いろいろ推知されてしまうものですから、なかなか、それを一部マスキングして、性被害の関係をというのは、ちょっと私自身は経験がないところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  ここはまた皆さんの御意見もあると思いますけれども、特に支援者、マスコミの皆さん、例えば袴田事件もそうですし、あるいは、私は日野町事件なり湖東事件と関わってきたんですけど、あちらでは、やはりマスコミさんが情報を入手することでかなり社会的に関心を持っていただき、結果的には裁判にも影響するということもあったと思うんですけれども、そこのところは、宇田さんが言われる、目的外使用はちゅうちょして、そしてここは気を付けた方がいいという、その御意見は変わらないということでよろしいですか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 基本的なスタンスは変わらないですね。もちろん、マスコミのそういう言わば国家権力の監視機能とか、社会に対してそういうものを発信する機能、そこの重大さとか貴重さとか、そこはもう全くそのとおりであると考えておりますから、本当にバランスといいますか、そこをどう図っていくかということにはなると思います。  ただ、基本的なスタンスは、まずは、本当に個々の声も上げられないような被害者の方がどのようにそれを感じられているのかというところに思いを致していただけると、大変有り難く存じます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  本当に被害者の方に寄り添っていただき、またこれからもよろしくお願いいたします。  大橋さん、お疲れだと思いますので、一点だけお伺いしたいんですけど、本当によく、今日お越しいただきました。ありがとうございます。  それで、一点だけ。前川さんも被害者だということで、前川さん、かわいそうだと思っていただいて、前川さんと交流して仲よくなったということですけれども、前川さんの口から大橋さんに何か感謝の言葉とか、あるいは思いを伝えていただいたことはありますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) ありがとうって言ってくれて、言ってくれた。ありがとうございますって握手してくれて、それがうれしくて。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうと言って握手をしてくれた、それが大橋さんにとってもうれしかった。  振り返るのも大変ですけど、本当に妹さん亡くされて、お母さんが一番つらい思いでしたよね。その場を目にしてしまいましたからね。夜帰って大変な悲惨な場を目にしてしまったので。  それで本当につらいつらい年月だったと思うんですけど、大橋さんにとっては、じゃ、前川さんと心が通じるようになって、どういう、うれしいとかそういう気持ちはありますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) やっぱりうれしいというか、やっぱり被害者同士やで、それのつながりがあってやっぱりうれしくなって、やっぱり話も進んで、楽しく笑ったり、いろいろ妹の事件のことやら話してくれたり、そういう感じでつながりがあってよかったなって思うし、妹のことかわいそうやなって思ってくれる前川さんがいるんやなって、そばにいるんやなと思って、そう思って、やっぱり犯人見付からんで誰かなって二人でしゃべったりとか、そういう話もちょっとちらちらとしたり。  やっぱり私がお父さんのところにいたから、やっぱりお母さんのところにいれば、事情でちょっと私もお母さんのところから出てお父さんのところに行ったもんやで、やっぱりそれが、自分がせめてお母さんのところに、何でいなかったんやろって、そしたら妹はあんなことにならんで済んだのにって自分を責めたりして、思ったの。  一時期は、事件あったときはそう思って、ずっと。ただ、知っている人が、そんな責めんでいいよって、宏子さんのせいじゃないよって。でも、私がやっぱり妹のそばにいればあんな事件は起こらんで済んだのにってやっぱり自分を悔やんで、責めて、泣いて、それでやっぱり自分も、それから自分を責めるようになって、やっぱり病気になったり、精神的に。やっぱりそこからがちょっと自分が、自分を責めるようになったのがやっぱり一番に。妹はかわいかったし、やっぱり友達もようけいたから、やっぱりこれから、十五歳になったらディズニーランド行きたいって、夢はディズニーランド行きたいって言って、言って、その夢も砕け散ったし。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっておりますので、おまとめください。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  ディズニーランドに行くときに写真を持っていってあげたってね。もう、ごめんなさいね、涙が出てしまいます。本当におつらいと思いますけど、よくここに来ていただいて、お二人に感謝申し上げます。  終わります。ありがとうございました。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 参政党の安達悠司と申します。  今日は、お二方にお越しいただきまして、また、貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  まず、宇田参考人にお尋ねしたいんですけれども、今回の再審に関する刑事訴訟法の改正案につきまして、これは、参政党といたしましては、修正の上、衆議院では賛成をしております。その理由としては、附則の四条二項で検察官の任意開示を今まで以上に行うという趣旨や、またその五年後の見直し規定に追加されたこともありますが、再審請求者の立場ももちろんなんですけれども、あわせて、被害者の立場も踏まえて、完全ではないけれども前進した内容であるといったことが理由となります。  刑事裁判においては、誰しも加害者になったりあるいは被害者になるといったこともあり得ます。一方の立場だけでなくて、それぞれの立場からできるだけバランスが取れた内容であって、かつ我が国の治安や安全を守るために国が適正に刑罰を行使できるようにする内容でなければならないと私は思っております。  その上で、一つ目の御質問なんですけれども、今回の再審法改正案につきまして、被害者支援の側から見て懸念する点がどういったところにあるか、若しくはそういったところはなくて、法案としてはおおむね了承できるものになっているか、こういったところを端的にお聞かせいただきたいと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) まず、総論的な言い方ではおかしいのかもしれませんが、再審請求の手続の明確化、それと、あとは目的外使用の禁止と罰則の制定、あとは見直し、今いただいた規定の設置など考えますと、かなりバランスを熟慮して、考慮して構築された法案ではないかというふうには受け止めております。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 ありがとうございます。  あと、この法案に関しまして、ちょっと今までとは少し違う点についてお尋ねしたいんですけれども、一つ懸念されている事項として、まずスクリーニングといった規定があります。このスクリーニングで、要は、今回の法案では、元々は再審の明らかな理由がないときもこれはスクリーニングで切っていたんですけれども、その規定がなくなってスクリーニングを突破しやすくなったんではないかと言われています。  スクリーニングを突破した案件では証拠提出命令の申立てですとかができるようになる、いわゆる審判開始決定というものが出るわけなんですけど、この点について何か懸念されているところはありますでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 手続が明確化されているなという受け止めをしておりまして、具体的にこの二つの立て付けですか、いわゆるスクリーニングの調査手続とその後の審判手続、そこの部分について具体的にここの部分がという懸念点というのは、今の段階では特に申し上げるところはございません。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 続きまして、あと、これ、宇田参考人が弁護士をされておりまして実務的な感覚をお持ちであると思いますので、もう一つの期間制限の点についてお尋ねしたいんですけれども、今回、少し細かい点ですけど、附則の五条というところで、検察官が再審開始決定に対して抗告した案件は一年以内に努力をしなければならない、一年以内に終えるように努力をしなければならないといった規定がございます。  この一年以内というのは、要は、一審で、二審で、そして三審といって有罪が確定して、それに対して検察官が慎重に慎重を重ねて十分な根拠のある事件として再審開始決定が出たものに対してわざわざ理由まで、抗告して公表した案件ですから、非常に重大な案件であると思うんですけれども、記録の量も膨大であると思うんですけれども、これを、控訴審なのかは分かりませんが、その抗告審ですかね、ごめんなさい、抗告審が一年以内で終えると。弁護側だって相当な反論期間が必要だと思いますし、検察側もまた再反論の期間を言われるかもしれないし、また検察官が出してきた理由に対して弁護側が調査や証拠収集の期間も欲しいと言われるかもしれない、また記録を読む方もあるいは判断を、いわゆる決定を出す方もやっぱりこれ一か月で出せるのとか考えると、本当に、全体の期間を一年間で終えるというのは本当に現実的な想定なのだろうかと私はかなり疑問を持っておるわけなんですけれども。  その辺、先生のお感覚として、今のような抗告審を一年間で終えるといったことに関する現実的な感覚についてどのように思われるか、お尋ねしたいと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) いわゆる再審事件に関して、私自身が関わっているわけじゃないものですから、そこの具体的なイメージというのはちょっと申し上げようがないところはあると思います。  一年の期間制限というお話がございましたが、これは努めるものとするというふうに受け止めておりまして、絶対の義務というよりは、そこをやっぱり考えながら審理を進めていくというような、そんな立て付けかなというふうに理解しております。そういう意味でいいますと、本当に争点整理をして、きっちりそういう一定の基準の中で審理を充実して迅速に手続をすること自体は一つある形なのかなというふうに受け止めております。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 私は、弁護側なり検察側が要望あればそこはきちんと期間を取って準備期間を与えるべきではないかと思いますが、その点につきまして、参考人の御意見というか、一年にこだわるよりも、きちんと弁護側や検察側が、検察側というのはやはり被害者の立場もあるわけですから、が要望すればそういった期間は合理的な範囲できちんと延長すべきだと考えますが、その点いかがでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) まさに事案の内容によってくると思います。いわゆる義務規定というより努める努力規定というふうに受け止めておりますから、実際の運用の中で再審公判の手続を進めていくところでそこの部分の検証をまた進めていけばよろしいんじゃないかと思います。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 続きまして、今参考人の先ほどのお話の、宇田参考人にもう一点お尋ねしたいんですけれども、参考人の今お話の中で、確定判決で一つの区切りだというふうに被害者が考えている方もいらっしゃるというふうなお話がありました。  他方で、再審というものは、何十年たっても別の理由であれば繰り返すこともできます。もちろんこれによって本当の真犯人というのが見付かったり、あるいは冤罪被害が晴れるといったケースもありますが、先ほど参考人のお言葉の中にもありましたように、再審請求人は必ずしも冤罪被害者とは限らないと、こういったお話もありました。これもまた重く受け止めなければならないと思います。つまり、再審手続をしている者が必ずしも本当に無罪とは限らないといった事案が一般論としてですね、これあくまで一般論ですけど、としてあるということだと思います。  そうしますと、やはり濫用の懸念といったことも考えられると思いますが、この点につきまして参考人の御意見はいかがでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) どんな手続、どんな制度を準備したとしても、必ずその部分についてうまくいかない部分、あるいは、そこの名目を利用して本来使うべき方法ではなくて使ってしまうというような事案というのはどんなものでも私はあると考えております。再審手続の中でもそういうことが当然想定もされるわけではございますから、そこをしっかり抑止して、本当に救済されるべき者が救済される、そんな再審手続のバランスの取れた法案を是非構築していただけると有り難いなと思います。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 済みません、宇田参考人に引き続き、次、別の話題になりますが、今度は、被害者支援ということをされていらっしゃる中で、やはり、私も弁護士でありまして、被告人、被疑者の弁護をしたり、時に被害者側の弁護をしたりということで、弁護士もいろんな立場を経験するわけですが、ここで外国人についてお尋ねしたいと思うんです。  最近は犯罪も、外国人、在留外国人の数が増える中で、やはり外国人を被告人とする場合であったり外国人が被害者である場合といったものがございます。こういうふうな、いわゆる被害者の立場から見れば犯人が外国人といったようなケースで何か特に困った、あるいは工夫していると、そういった御事情があるかどうか、また、逆に外国人が被害者であるといったようなケースで御支援なさる場合に何か困っておられる点がありますでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 加害者が外国人というケースというよりは、私の経験上でいいますと、被害を受けられた方が海外の国籍の方だということは確かにございます。  特に難しいところがあるというか、気を付けなければいけないところがあるとすれば、やはり日本の法制度というもの自体を当然十分に熟知しているわけではないということと、あと、裁判の手続もそうなんですが、用語がとても難しいですね。日本人がいきなり、巻き込まれていきなり裁判用語とか刑事事件用語を言われても、それだって分からないぐらいですから、それが更に外国の方になるとなればますます難しくなる。ですから、そこの部分は、本当にちゃんと伝えられるように、しっかりした、例えば通訳の方が手配できるかとか、その辺りを非常に気を付けているというところはございます。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 よく、例えば外国人がこれ被告人であったり、被疑者であったり、また被害者である場合もそうかもしれませんが、やはり通訳の手配とかあるいは資料の翻訳とか、そういったものは結構大変じゃないかといったことはこの法務委員会でも話題に出るんですけど、その辺の現場の感覚というのはいかがなんでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 実際に適正な通訳人さんを探すというのは、ひとつ苦労があるところではあります。また、当然、それに対して無償でお願いするというわけにはいきませんから、そこの実費のところも当然考えていかなければなりませんから、その辺りは日本国籍の被害者の方とはまたプラスアルファで本当に気を遣うし、コスト面のところも気を遣う部分ではございます。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 あと、被害者の支援といったときに、私も被害者の相談から最初入る場合があるんですけれども、一般的には、警察に相談をして、警察の下で警察官の調書が作られて、被害届が出されて、また検察官の検面調書が作られると、こういった流れで証拠化をされていくのが一般的であるわけなんですけれども、例えば、そこで、支援に関わられる段階で、弁護士の方が、あるいは陳述書を作ったり何らかの証拠化といったことをする場合もあります。特に、検察官の調書、警察官の調書が信用性が否定されるといったことも後々出てきたということも想定しなければならないのではないかと言えます。  そうした場合に、やはり被害者の供述、これを何とかしてきちんと信用性ある形で証拠化しようといったことに関して、もし、工夫されていることや、こういった制度があればいいんじゃないかと、こういう要望がもしあればお聞かせいただきたいと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 被害者のお声を届けるという意味でいいますと、やはり捜査機関の方との連絡とか、あと打合せは非常に大事ですね。もちろん、出るべき情報、出せない情報というのはあるのかもしれませんが、とにかく綿密に連絡を取り合いながら状況を確認して、あるいは、被害者の遺族の方あるいは被害者の方の思いを書面にまとめてそれを基にまたお話をしに行ったりとか、そんな形の情報の連携と共有と、思いの届け方というのは結構気を遣ってはおりますね。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 例えば被害者の供述過程を録画しておくとか、これは被告人の取調べの開示とはちょっとまた違う議論かもしれませんけど、何らかの形で、証人尋問を早期に活用するとか、そういったことが適切なようなケースというのは、参考人はいかが、どのように考えておりますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 今の御質問の内容で、事前に録音するみたいな話とか、そういうそもそも事案を想定したことがないので、ちょっとなかなかイメージが持ちにくいというのが正直な感想です。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 では、今度は大橋さんにお尋ねしたいと思います。  私は、実は福井県にゆかりがありまして、福井市内、また、ちょっと福井県内も大変ゆかりがある場所なんですが、その中で、先ほどお話の中でお父様の話がありまして、お父様が、元々会社にお勤めだったのを会社を辞められてタクシー運転手になられたというお話がありました。その後、お父さんはお亡くなりになったというお話なんですけど、その辺りの、仕事を変えた、その部分について、ちょっとどういう思いだったかというのがもし参考になれば、お聞かせいただけないかと思います。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 初めは犯人と思っていた前川さんが犯人で、そのときはロッテアイスクリームの会社を、配達していたんですけど、急に、無罪になった途端にタクシー運転手さんに転職したんですよ。それは、ちょっと聞いて、結局、無罪になったことを聞いた、で、話を、無罪という話を聞きたくないと思ってタクシー運転手さんになったというのを聞いたんですけど。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 これは新聞の報道に書かれているんですけど、タクシー運転手だと情報が入りやすいから自分で証拠を集めたいというふうな、そういう思いについては聞いておりますか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) それは聞いてないですね。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっております。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 はい。  ありがとうございました。  今日はお二人とも本当にありがとうございました。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 初めまして。日本共産党の仁比聡平といいます。  大橋さん、本当に今日はおいでいただいて、ありがとうございます。  お尋ねしたいんですけど、先ほど、裁判所の言うことがころころ変わる、その中で不安定な状態がずっと続いてつらいとお話があったですよね。  妹さんの事件から今年で四十年になるわけですけど、その間に前川さんが捕まったり、けれど裁判で無罪になり、その後、高等裁判所では、金沢では有罪ということになる。で、服役されて、前川さんが再審請求をする。その再審開始という決定がされますよね。今回、再審無罪という、第二次再審で。  新聞では法廷で判決を聞いたというふうに書かれているんですけど、大橋さん、裁判所に行かれたんですか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) はい。  金沢、名古屋支部の裁判に行って、警察の人と被害者の会の人と三人で車で行って、一応車で金沢まで乗っけていってもらって、帰りもそれで車で帰ってきたんですけど。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 そのとき大橋さんが判決を聞いてびっくりしたという新聞記事があるんですけど、つまり、前川さんは無罪だという判決を聞いてびっくりしたということかなと思うんですけれども、前川さんは実は無罪なんだというふうに大橋さんが心の底から思われた、それはいつ、どんなことがあってなんでしょう。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) どんなときに、無罪になってびっくりしたということ、それは裁判所が、警察の人が教えてくれて、無罪になったんやということを言ったら、あっ、そうなんやって、ほんなら無罪、えっと思ってちょっとびっくりしたんやけど、それでも、家帰ってから、ああ、無罪になってよかったなって、家帰ってはそう思って。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 大橋さんがそうやって、無罪、実は無罪なんだというふうに思われて、前川さんともお話をされるようになって、今日、でっち上げた警察、それから隠した検察というのは本当にひどいっておっしゃっているでしょう。  この警察や検察に対して前川さんはすごく怒っていらっしゃると思うんですよ。前川さんは警察や検察の証拠隠しに対して本当に怒りを感じておられると思うんですけどね。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 私もそう思っているんですよ。私も警察のことすごく怒って、やっぱり、何でそんなでたらめなそういうことを、前川さんを犯人に仕立てるのかなって。やっぱり、それはやっぱり私でも怒ります。前川さんだけじゃなくて、私もやっぱり警察を怒っているし、前川さんと一緒。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 その中で、前川さんの事件について言うと、つまり妹さんの事件について言うと、先ほどもお話のあったテレビ、「夜のヒットスタジオ」のその番組が一週間ずれているという捜査報告書という証拠ですよね。これをずっと隠してきた。これが最初から出されていれば、こんなに長く、裁判所の言うことがころころ変わるとか、不安定な状態に置かれるとか、それから妹さんを殺した真犯人が野放しにされるとかいうことはなかったと、そういうことですよね。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 私もそう思っています。だって、警察が隠して、それでそんなふうになったんだから、やっぱり頭にくるし、私も。  やっぱりうまく言えないんやけど、済みません。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 大橋さんにもう一つ。  前川さんが捕まって最初の無罪という判決は、妹さんが殺されてから四年後のことなんですよ。大橋さん御自身もまだお若かったと思うし、お母さんももちろんはっきりしておられたと思うし、お父さんも元気におられたじゃないですか。  その無罪という判決に対して、その時点で、その「夜のヒットスタジオ」が一週間ずれているという証拠を検察官は自分で持っているんですよね、隠していたけど。それなのに、無罪ではなく有罪だといって控訴したから、高等裁判所が有罪だって間違った判決をしてしまった。「夜のヒットスタジオ」は一週間ずれているということをはっきり検察が裁判所に出していて、だから、前川さんは明々白々な無罪なんだということで福井の裁判所で確定していたら、大橋さんと御家族の人生は全然違ったんじゃないのかなと思うんですけど。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) いや、それはちょっと、自分ももう難しいことはちょっと分からないけれども、お母さんが元気なときははっきりと、死んだお父さんもはっきり、生きていたらこういうところに立って言えると思うんやけど、私自身がちょっと今、ちょっと自分も精神があるのでちょっと余り難しいことはちょっと言えない、分かんない。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 ありがとうございます。  それで、前川さんのことなんですけど、七月の一日には、行進して国会までおいでになったんですよ。今の法律では、自分のような冤罪の被害が繰り返されてしまうと。だから、この参議院の法務委員会でもっとちゃんとした修正をしてほしいという行進、パレードの先頭に立って、国会においでになったんですよ。けれど、今日、おいでになれない、なっていないって。  最初、ごめんなさい、先ほど、いろんなことをみんなに分かってもらえないからじゃないかというふうにおっしゃいましたけど、前川さんはどんなことを分かってほしいのに分かってもらえないと思っていると思います。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) やっぱり自分の言ったことを分かってもらえない人がいるから、やっぱりこういう場に出れなくてつらい思いしているので、やっぱり出れないから、代わりに私が、前川さんの代わりに。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 その前川さんの代わりに今日おいでいただいて、先ほどほかの方の質問に、法律を変えてほしいとおっしゃいましたよね。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 前川さんみたいなそういう、何というかな、犯人に、そういうふうに、何というか、じゃないのに捕まえたという、そういうふうな、ないような、法律を変えてほしい。それで、法律を変えてほしい。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 前川さんのように、やっていないのに捕まって有罪になるというような、そんな法律を変えてほしい。そのことが真犯人を見付けるという力になるんじゃないかということですかね。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) そうです。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 ありがとうございます。  宇田参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、性犯罪に関しても冤罪が起こって、これが再審で無罪になるという事案が残念ながらあります。DNA鑑定が問題になった足利事件、あるいは、真犯人が発見されたと、真犯人が発見されたというか、告白したということでの氷見事件と。こういう冤罪事件で、性犯罪の被害者自身も本当につらい思いをされるんじゃないのかなと思うんですが、いかがでしょう。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 今御指摘いただいたんですが、恐らく私の想像を超える負担と苦労と、またショッキングなお話だと思います。ですから、真犯人がちゃんと処罰されていなかったという事態はあってはならないことは被害者にとっても同じことでありますから、そういうことは是正はしていかなければいけないと私も思います。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 それと、先ほど一律禁止、目的外使用の関係で、一律禁止を望まれるという御趣旨ではあるんですけれども、ちょっともう一点聞きたいのが、罰則で禁じる、一律に禁止することを罰則で担保するという点についてなんですけれども、そうなると、第一次的に、刑罰法規としてのこの一律禁止規定に触れるという判断をするのは、およそ検察官になるということだと思うんですよ。それで、起訴されたら裁判所が何らかの判断をしていくということになるでしょうけれども、この一律禁止を検察が判断するという構造そのものが萎縮的な効果を生むのではないか。  ですから、個別の証拠に関して、先ほど来強調されておられる性犯罪の被害者の実情、被害の実情を示すような証拠など、まさにプライバシーの塊と。こういう証拠に関して裁判所が、これは何々という条件以外に絶対に使ってはならないというような判断を個別に行うという形にすれば、萎縮的な効果というのは極めて限定されるのではないか。  先ほど大橋さんも言われましたけど、例えば捜査報告書が、「夜のヒットスタジオ」が一週間ずれていると、そんな証拠は誰のプライバシーも侵害しないんだから、それは使っていいじゃないかという、その点についてどう考えますか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 基本的に、その具体的な事例に落とし込みながらということであるとは思うんですけれども、目的外使用はあくまで再審の準備と再審請求で使うこと以外に使っちゃいけないという、ごくごく素朴なお話だと私は受け止めております。その中でも、被害者のプライバシーとかそういう、センセーショナルなそういうものについてはやっぱり出てはならないし、元々そういうことが出ることを前提に捜査協力してきているわけではありませんから、まず大前提としてそれは一律に制限はするけれども、裁判所の方で個別に判断して、そこの部分について開示をできるものは開示するという形になっていくのかなと思います。もちろん関連性と弊害がないという前提だと思いますけれども。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 お二人ともありがとうございました。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 日本保守党の北村晴男です。  大橋さん、それから宇田参考人、今日は本当にありがとうございます。  最初に大橋さんにお聞きしたいんですけれども、覚えておられたら教えていただきたいんですが、妹さんを亡くされていろいろ大変なことがあったと思います。もちろん悲しかったと思います。それから、警察からいろんなことを聞かれて、それも大変だったと思うんですけど、それ以外に何か、ああ、あれは大変だったなというようなことが覚えておられたら教えていただけませんか。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 大変なこと。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 例えば警察以外の方からいろんなことを聞かれて大変だったとか、そんなことがあったら、覚えておられたら教えてください。

大橋宏子 福井女子中学生殺人事件被害者の実の姉

○参考人(大橋宏子君) 大変なことというか、ちょっとショックなことはあった。妹の仏壇の前で、実家にいたときに、団地のときに、あのときに知らん人が、これお姉ちゃんが亡くなったんかと言われて、いや、私がお姉ちゃんですと言って、そこからちょっとショックが抜けんようになって、ちょっと落ち込んだことがあって、いや、私がお姉ちゃんですと言って、これは妹ですと言ったら、済みませんでしたと謝ったけど、何でそういうふうに言い間違えるのかなって。何か、私が妹みたいで、妹がお姉ちゃんみたいな感じに思われてしまって、何かそれがちょっと事件やったかな。  あとは、妹の友達が、団地のところに、一円玉と五円玉を団地のブロック塀のところで集めて置いたというのもあったし、何か、一円玉と五円玉をブロック塀のところの上のところにずうっと置いたまま、何か、それは何でかなと思って、家ですればいいのに、何でこんなところに置いたのかなって、そういうのもあったし、あとは、みんなから、みんなというか、ほかの人からやと、うちのお父さんは何か妹の生命保険掛けていたと、そのときに、何か、お父さんが警察に事情聴取受けて、あのときが一番大変やったかなって、生きていたときに、事情聴取というか、されて。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 ありがとうございます。  宇田参考人にお聞きしたいんですけど、先ほど、被害者の方あるいは被害者の遺族の方からすれば、通常審が終わって心の区切りが付くというようなお話がありました。それが、再審という話が出てくると、それが、心の区切りが破られる場面、そういう時間になるというようなお話だったと思います。  それはある程度想像もできるんですが、もし可能であれば、より具体的な、こういうことがあって被害者の方が大変な思いをされたとか、その心の区切りが破られたことについての何か具体的なエピソード等を可能な範囲、可能なものがあれば教えていただきたいんですけど。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 今お問い合わせいただいたものは、再審の手続で心の平穏が破られたというものという前提でよろしいでしょうか。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 そういう趣旨です。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 私が関わっている中では、再審請求が始まって、それで被害者が直接心を揺さぶられたという事案そのものには私は携わっておりませんので、そこの具体的なお話というのはちょっと難しいということになります。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 それであれば、再審に限らず、もし何かあれば教えてください。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 詳しいところまでなかなかお話ししづらいんですけれども、とある凶悪犯罪の事件において、一度裁判が終わったと、それで結論が出たと思ったところに、実はまた新たな余罪が発覚して、また裁判がというような事案はございました。  要は、自分自身が被害者になっている事案についてようやく一つの区切りになろうとしたのに、実はまた、ほかの被害者の方ではあるけれども、同じ被告人が刑事裁判が始まっていく、それの衝撃や、あるいはそこでまた揺り戻されるショックというのはかなりのものだったというふうに伺っています。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 これまでの御質問と重複するところがあったら大変恐縮です。その上でお聞きするんですけれども、今回、再審の審判開始に至るまでのところで、スクリーニングをすることになりましたと。スクリーニングについては、手続違背があるとか、あるいは主張自体失当であるような、そういった主張だけをスクリーニングして、除いて、それ以外については全て一旦審判開始されるという手続になる、そういう改正案ですと。  その審判開始する時点で、そもそもその心の区切りが破られる場面があるのではないかなという感覚を正直持っているのですが、被害者の方にとって、その点はいかがでしょうか。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) まさに、スクリーニングが終わって本格的に審判手続が始まっていくということになると、状況は当然動いていくことになりますし、どうなっているんだろうという不安は相当なものだとは思います。  ただ、私も具体的にその手続に関わっている被害者の方、御遺族の方と触れ合ってお話聞いているわけではないですから、正確なことはちょっと申し上げられません。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 そこで、制度論なんですけれども、私は個人的には、再審開始理由がないことが明白な場合、これはスクリーニングで排除すべきではないかと思っています。といいますのは、裁判官による様々な手続、例えば証拠、証拠提出命令、それに至るまでの証拠、まあ証拠の一覧表についての提示であるとか証拠の提示であるとか、そういった手続は裁判官にとってかなりの負担も当然あるものだと思っています。  そういう中で、そのスクリーニングが十分でないと、つまり、例えば確定した方が、裁判確定した、有罪確定した方が、寝て起きたらあることを思い出しましたみたいな、何かその客観的な証拠だとか、証拠などとは一切関係なく、自分がある日突然思い出しましたと言って陳述書を出してくる、それだけでもって再審開始を請求してくるというような事例もあると聞いています。  そういった、内容にもよりますけれども、内容を見て、これはもう再審開始理由がないことが明白だよねというようなケースでも審判開始をしなければいけないというのが手続的な負担になるのではないのか、それがかえってマイナスではないのかという思いを持っているのですが、それについて御見解があればお聞かせください。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 再審のこの調査手続あるいは審判手続ですが、まだ始まっていないところでありますし、そもそも私がこの再審手続に関わった経験がございませんから、そこについてなかなか意見を申し述べることが難しい状態でございます。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 ありがとうございます。  目的外使用の禁止についてお聞きします。  先ほどから、そもそも本来の目的外に使用するのは素朴な感覚としてあり得ないという趣旨のお話だったと思います。  それに対して、これに反対する立場の方からは、反対というのは、目的外使用を違法とすべきでない、そして刑罰を科すべきでないという立場の方からは、支援者あるいは報道機関に説明すること、あるいは開示することによって新たな証拠の発見とかにつながる、そういうケースが実際にあったと、だから、これは、この目的外使用の禁止というのはすべきでないという立場がありますと。それについてのお考えをお聞かせいただきたいんですが。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 先ほども申し述べたのですけれども、例えばマスコミとかそういうところに新しいそういうものが情報として提供されることによって事実関係が明らかになったという事例があるということは私も伺ったことがございますので、それそのものの意義は全く否定するものではございません。大事なことは真実の発見だということ、あとは、もちろん冤罪を生んではならないということもそのとおりですし、被害者の立場からしても、真犯人が処罰されなければ何の意味もないというのはもう大前提でございます。  ただ一方で、一度出てしまったそういう被害者の特に性犯罪のプライバシーに関わるもの、性被害に関するもの、本当に家庭内の実情とか赤裸々なもの、そういうものが仮に出るということになってしまったら、それはもう本当に取り返しの付かないことになる。  だからこそ、そこは厳格に制限を掛けていただいて、本当に関連と弊害がないものに関して使って、目的達成はあくまで再審手続と再審請求の話だと思いますから、そこできっちりやっていただければ、被害者の方も、ああ、私が捜査協力して出した証拠はそういうこと以外には絶対使われないんだなということで安心して捜査にも協力できる、そんな土壌になるのかなというふうに私は受け止めております。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 再審手続について関わった御経験はないとさっきお聞きしました。であれば、通常審の場面で結構ですから、目的外の使用が疑われるようなケースで、それによって被害者なり被害者遺族の方が不利益を被った、傷ついたなどの具体的な例がもしおありで、かつ可能であれば、可能な範囲で教えていただければと思います。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 私自身が関わっている被害者支援案件の関係で、何か情報が目的外で漏えいしてそれで被害を被ったという事案は幸いなことにございません。  私も、被害者支援に関わる中でそういう記録などを手にすることはあるんですが、これはかなり慎重に、慎重の上にも慎重を重ねて取り扱っているというところだけは本当に気を付けております。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 先ほど来、目的外使用の件でも、それから証拠開示の件でも、性犯罪被害の方についての言及が多かったと思います。それについては我々もイメージが、私もイメージがしやすい話だと思っています。  性犯罪被害以外のケースで具体的に、具体的な例でなくても、想定されるようなケース、開示するべきでなかったよねとか、そういったケースがおありであれば教えていただきたいんですけれども。

宇田幸生 弁護士

○参考人(宇田幸生君) 性犯罪の罪名だけではなくて、例えば殺人罪一つ事例として挙げるとしても、要は、その方の人生の過去の履歴というか、そのやり取りが赤裸々に関わっていることがかなりございます。周囲の方のお話もありますし。中には、やはりいわゆる男女間の問題のこじれによって何か事件化するということになるとかなりやはり赤裸々なことが触れられていたりすることになりますので、一律に性犯罪の罪名ではないからそこは大丈夫だろうとは言いにくいのかなと。あと、最近よくあるものとすれば、結婚詐欺的なものとか、そうすると、やはりそういう赤裸々な背景事情が実は出てきてしまったりするということもあるかもしれません。  そのようなイメージです。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 ありがとうございました。  宇田参考人、それから大橋さん、本当にありがとうございました。  終わります。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、岩本剛人さん及び森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として加藤明良さん及び有村治子さんが選任されました。     ─────────────

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  刑事訴訟法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長佐藤淳さん外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 休憩前に引き続き、刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 こんにちは。朝に続きまして質問させていただきます。  まず、本件で大きな論点の一つに、証拠開示というのがあります。証拠開示については、大きく論、説が二つ分かれておりまして、まず否定する論、で、これは、その根拠は職権主義に反するということを言っています。これに対して、肯定する説の方は、職権主義には反しないと、裁判所としても直接弁護側に開示してもらった方が真実解明に近づくという根拠です。  二番目に、否定説の方は、被害者のプライバシーを守るために証拠開示しない方がいいというふうに言っていますが、肯定説は、プライバシーの保護は個別に図ればいいと、そういうふうに言っています。  そして、一覧表の提出ぐらいはやってもらってもいいんじゃないかという見解に対して、否定論の方は、どのような証拠があるか分かるはずであるというふうに言っていますが、これは机上の空論であり、どこにどういう証拠があるか分からないのに、分かるはずなどということは、これはもう論外の説であります。今度、否定説の方は、証拠提出命令で補えるというふうに言っています。ただ、これ、証拠提出命令で補えるかどうかというのは、はっきり分かりません。  そこで、今日は、主として証拠提出命令についてお伺いしたいと思います。  まず、これは改正案の四百四十五条の二で規定されております。この証拠提出命令について、これまでの法務省あるいは成瀬参考人の見解は、この関連性の意味というのは、相当広い、それから、裁判所の判断に資するという程度で足りるというふうにお答えしています。どの程度特定するかという特定性について、平口大臣は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りると言っていますし、局長の方は、再審請求理由に関連する証拠であれば一定の特定ができる、再審請求理由についての判断に資する証拠ということであり、そういう形で特定できると言っていますし、また、衆議院の方では、局長の方は、関連証拠については一定程度特定されればまず提出しますというふうにお答えしております。  そこで、四百四十五条の二について、私の方で、裁判所が証拠提出命令の申立てがなされた場合に提出命令という決定を出す場合、いろんなパターンがあると思うんですが、それについて考え得るものを作ってまいりました。まず資料一の一、これがそのときの決定、表の部分になろうかと思います。で、資料の一の二、これ、①と書いています。平成十年二月三日付け実況見分調書、ほかあと二点という形で特定しておりますが、裁判所にお伺いします。  こういう特定で申立書が上がってきたときに、裁判所はこういう内容の決定を出しますでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  ちょっと少し前置きを失礼させていただきます。  証拠提出命令を発するに当たり証拠の範囲をどのように特定するかは、個別事案における裁判官の判断そのものでございます。最高裁事務当局としてお答えすることが困難な性質の事柄でございます。  また、本法律案が成立した後の実務の運用につきましても、成立した法律案の内容や成立に至るまでの議論の状況等を踏まえ、各裁判官が考え、あるいは裁判官同士が意見交換をするなどして導かれるものでございまして、最高裁事務当局の立場でその見込みを述べることにも限界があるということは御理解いただきたいと思います。  その上で、あくまで一般論として申し上げますと、証拠提出命令は検察官に義務を負わせる決定でございますので、当該命令を発するに当たっては、その命令を受けた検察官においてどの証拠を提出しなければならないのかが判断できるようにしておく必要があるのではないかと考えております。証拠提出命令に至るまでに再審請求者側と検察官との間における任意の証拠開示に向けた協議、再審請求に係る主張と証拠の整理に向けた協議等を経て、提出命令の対象とすべき証拠の範囲についてどの程度共通認識が醸成されているかにもよりますけれども、今御指摘のありました資料一の二でよろしいでしょうか、①につきましては、個別の証拠まで指定されておりますので、検察官において提出すべき証拠の範囲を識別できるものとして、このような命令を発することはあり得るのではないかと思われるところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 もう今前置き大分長いことしゃべったんで、あとはもう前置きなしでお願いしますね。  資料一の三で、捜査段階で作成された一切の実況見分調書、捜査報告書、鑑定書、写真、動画、こういうふうな形で申請書が上がってきた場合に、命令は裁判所としては発し得るでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) 御指摘の事案は恐らく、類型によって証拠の範囲を画そうとするものであると理解いたしました。  これにつきまして、仮に関連性、必要性、相当性が認められるという前提に立ったといたしましても、このような特定の仕方で検察官においてどの証拠を提出すべきかが判断できるかどうか、これに尽きるものでございまして、まさに事案によるとしか申し上げることができず、これで提出を命ずることがあるともないとも申し上げることは困難でございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 そうすると、今の②のこういう申立てであればよう分からぬということですね。  それから次、資料一の四、③別紙記載の証拠、別紙そこに二つ書いていますが、又はこれらに関連する証拠、こういう特定の仕方の場合はいかがでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  これにつきましては、例示を付すことによって証拠の範囲を画そうとするものであると理解いたしました。  これにつきましても、先ほど申し上げたような理由から、命ずることがあるともないとも申し上げることは困難でございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 次の資料の一の五、④再審請求理由に関連する一切の証拠、これはいかがでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答えいたします。  これにつきましては、再審請求理由との関連性という、その部分で証拠の範囲を画そうとするものであると理解いたしましたが、これにつきましても、事案によるとしか申し上げることができず、お答えすることは困難でございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 それでは、資料一の六、⑤再審請求人の犯人性に関する一切の証拠、これはいかがでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答えいたします。  これにつきましては、争点との関連性で証拠の範囲を画そうとするものであるものと理解いたしました。  しかしながら、これにつきましても、まさに事案によるとしか申し上げることができず、お答えすることは困難でございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 次の資料の一の七、⑥検察官及び司法警察職員が保管している一切の未提出証拠、これはどうでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) これにつきましてはなかなかお答えが難しゅうございまして、特定の点はちょっとさておくといたしましても、関連性、必要性、相当性を要求している改正後の刑事訴訟法第四百四十五条の二第一項、これに適合していない可能性もあるということであることから、このような命令を発することは余り考えられないのではないかなと思われます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 法務省は、こういう形でも特定されていれば提出は、これは証拠開示のところですが、可能だというお答えをしているんですが、そうすると、法務省の認識と裁判所の認識はここでも違ってくるということだろうと思います。  それで、こういう特定の問題なんですが、弁護側もどういう証拠が検察側にあるか全く分からない状況の中で、どういう証拠を出してくれというふうに特定して提出命令を申し立てるというのは現実問題不可能ですね。それと、裁判所もどういう証拠を検察が持っているか全く知らないと。  そういう状況の中で、証拠の提出命令申立てしたとしても、今言ったように、裁判所の方はそれは分からぬから出せないみたいな、そういう返事なんで、そうすると、この提出命令というのはほとんど意味を成さないというふうに考えるべきじゃないかと思うんですが、その点、裁判所はどう考えています、いや、裁判所だけ。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) 御指摘のとおり、裁判所は、公判に提出されていない証拠、いわゆる公判不提出証拠になりますが、それに接しておりませんので、どのような証拠が不提出であるかを必ずしも把握しているわけではございません。  そのため、証拠提出の範囲等について再審請求者側及び検察官と協議をしたり、証拠及び標目の一覧表、この提示命令を発するなどすることを通じて、提出命令の対象とすべき証拠の範囲を具体化していくことになると思われます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 そうすると、裁判官が一生懸命やる人で、検察庁にいろいろアプローチをして一覧表出してくれ、あれを出してくれ、あれを見せてくれという場合は証拠が出てくる可能性があるけど、裁判官が、ああ、これはもう特定性がないから、はい却下というふうにすれば、もうそれでその証拠提出命令についてはその段階でもう終わりと、そういうふうに認識してよろしいでしょうか、裁判所。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  審理に当たっての裁判官の姿勢等についてこちらが所見を述べることは困難なんですけれども、これまで手続規定がなかったところについて手続規定ができました。また、裁判所に対する義務、また権限の範囲等も明確になるような手続規定が設けられようとしております。そのような中におきまして、裁判所としては、手続を主宰する者として、適正かつ迅速にこの手続を進めていく、こういう責務があると認識しているところでございまして、いたずらにそれを、例えば放置するとか、やる気のなさを見せるとか、そのようなことはないと、こういうふうに認識しているところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 さっきその資料一の何パターンか見せましたけれども、個別の案件に応じてはこういう特定の仕方でもいい場合もあるでしょうと、そういうお答えだったと思うんですが、そうすると、例えば、資料一の六、⑤再審請求人の犯人性に関する一切の証拠と、こういうことで裁判所が検察庁に証拠を提出しなさいと、そういうふうに仮に命令を掛けたとき、犯人性に関するかどうかというこの判断は誰がすることになるんでしょうか。これは裁判所にまず、じゃ、聞きます。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  その命令を受けた検察官において関する範囲というのを判断するということになろうかと思われます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 じゃ、法務省何か意見違いますか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  まず、前提として、資料一の六、⑤のような証拠提出命令が現に発付されたということになれば、これは検察官が一義的には判断するというのはそのとおり事実であります。このような⑤のようなことがあり得るともないとも我々としてもなかなか申し上げづらいというのが次であります。  その上で、証拠の提出命令を発するに当たって、その証拠を特定するために、先ほど最高裁からも答弁ありましたけれども、裁判所と再審請求人側、あるいは検察側とコミュニケーションを行って、そのようなものを特定していくということがあるわけですけれども、その次の段階として、裁判所は、必要があると認めるときは、検察官に対しその判断の対象となる証拠自体や、裁判所の指定する範囲に属する証拠の標目の一覧表の提示を命ずることも可能でありまして、前回、古庄委員に御答弁申し上げたとおり、検察官手持ち証拠の全部の提示命令をすることもできるということでございます。  裁判所は、そういった手だてを通じて検察官に義務を与える、証拠の提出の義務を与える、証拠の提出命令の発付の仕方を考えるということでありまして、そのような中で、証拠の内容は検察官が、義務となる対象は検察官が一義的には判断するということでありますけれども、そこで検察官がその個々の証拠からそれが提出命令の範囲に含まれているかを判断できる程度に特定されていくものというふうに認識しているところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 今局長が言ったのは四百四十五条の三だと思うんですが、ちょっと今は四百四十五条の二に限定して議論をしています。だから、三はまた後で聞きますね。  そうしたときに、検察庁の方でこれに関連すると思われる証拠を出してくださいということになるわけだから、その段階で検察庁が、これは関連すると思う、これは関連しないと思うというふうに振り分けたときに、関連しないと思うという証拠の中に本当は無罪を証明する証拠がある場合は、これはもう裁判所には全然出てこないということになりますね、論理的な帰結として。だから、提示命令のことは後で聞きますから、今の提出命令だけのことを聞いているんです。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) 済みません、提示命令と提出命令を分けてというふうにおっしゃるわけですけれども、裁判所は提出命令を発するに当たりまして、その前段階として検察官にそういった提示命令をすることができるわけです。これについて検察官はそれに従うということになります。  そうしますと、裁判所は関連性があるかどうかを自ら判断して、その中で関連性のある特定の仕方を、類型の方法もあるかもしれませんし、争点に関連するといったような方向性もあるかもしれませんし、個別に特定するといったこともあるのかもしれませんが、根本的には、検察官が判断できない、要するに個々の証拠が提出命令の対象に含まれているかどうかを判断できないような形で命令がなされるというのは通常は考えづらいのではないか、一方でその前の任意の段階で一定の結論が示されるのではないかというふうに考えられるところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 そこの、じゃ、今度、提示命令の方に行きますけれども、提示命令について、これまでの局長の答弁は、検察官が、裁判官が求めているのが何で、個別の証拠を見たときにこの中に入っているというふうに判断できればいいと、それから検察官が現に手元に持っている証拠全部という提示命令にも応じると、そう答えていますね。  ところが、四百四十五条の三を見ると、裁判所は、必要があると認めるときは、検察官にと書いているんですよね。だから、裁判官が、それは必要ないよと、特定性が不十分だからもうこれは却下だよというふうに言えば、提示命令には行き着かずに、もう提出命令申し立てた段階で、はい、却下、駄目ですよというふうになってしまう。これ、条文の構造上そうなっているでしょう。だから、あなたは盛んに提示命令があるからそこで不十分なところは補うんだと言っているけれども、そんなに簡単にいく話じゃないと思いますよ。  そこで、もう次に行きますけれども、それで、四百四十五条の三の一項に、裁判所は、必要があると認めるときは、検察官に対して、当該判断の対象となる証拠の提示を命ずることができるというふうになっていますね。そうすると、ここで当該判断の対象となる証拠に該当するか該当しないか、これは誰が判断するんですか。裁判所には手元に証拠がありません。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  お尋ねにつきましては、一義的には検察官において判断するものと考えられるところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 四百四十五条の三の二項で、裁判所は、必要があると認めるときは、検察官に対して、その保管する証拠であって、裁判所の指定する範囲に属するものの一覧表を提示することを命じることができると書いています。  ここでいう裁判所の指定する範囲に属するか属しないかというのは、これは誰が判断するんですか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  お尋ねにつきましては、一義的には検察官において判断するものと考えられるところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 そうすると、全て証拠が該当するか該当しないか、出すべきか出さぬべきか、これ全部、検察官が判断するということですよね。  そうすると、検察官がわざと出さない場合だけではなくて、善意で考えて、これは再審事件とは関係ないなと思って、善意で考えたけど、これは関係ないだろうなと思って出さんかったと。だけど、それが客観的には再審の無罪に導く非常に重要な証拠だったという場合、それはもうずっと表に出てこないということになるわけですね、この条文の構造からいえば。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  委員の御指摘は、証拠の特定が不十分なために、そこが検察官の判断に委ねられることになって、そういった証拠が提出されないのではないかということでありますけれども、これにつきましては、従来から、裁判所としては、証拠提出を命ずるに当たっては、提出を命ずるべき証拠を特定するために、その再審請求事件等の、あるいは再審請求理由や確定判決における証拠構造等を踏まえつつ、再審請求者側に対して、提出命令の対象となり得る証拠と再審請求との関連性や提出の必要性等に関する事情を確認したり、検察官に対しましては、提出命令の対象となり得る証拠の有無や提出に伴う弊害等について確かめるなどのコミュニケーションを行うことが考えられるところでありまして、それでもなかなかその証拠の特定が難しいといった場合には、先ほど申し上げたとおり、提示命令の手段があるわけでありまして、実際の証拠そのものを見た上でそれを特定して提出を命ずるということもできるわけでございまして、これ、裁判所がそのように判断すれば、裁判所の求める証拠は検察官は義務を負うわけでありますので、提出を命ずる義務を負うことになって、検察官、委員の御指摘のような御懸念は生じないのではないかというふうに考えられるところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 裁判所と検察庁でコミュニケーションを行えばいいんじゃないかという、そういう論法なんですけれども、この条文のどこかにコミュニケーションを行えと書いていますか。裁判所は日々検察官と連絡を密に取って仲よくしなさい、コミュニケーションを良くしなさい、これに書いている。全く書いておらぬでしょう。だから、それはあなたの言う理想論ですよ。  そういう裁判官もおるかも分からぬ。だけど、私が知っている大概の裁判官は、検察官ともコミュニケーションそんなに取っていません。もちろん、弁護士ともそんなにコミュニケーション取っていません。  そういうふうにコミュニケーションを行えばって言うけど、そんなの条文上どこも出てこないんでね、それはあくまであなたの希望論ですよ。それ、根拠にならぬですよ。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  今、通常審においても、証拠開示に関する様々な決定が裁判所によってなされるということでありますけれども、これに伴う弁護側の主張、検察官側の主張というのは裁判所に対してなされるわけでありまして、これをコミュニケーションというふうに指して呼んでいるわけでありますが、当然、その再審請求人側としては、このような証拠が含まれるように再審請求、じゃないですね、証拠提出命令の請求をするということになりましょうし、それに対する証拠の存否なども含めて検察官の意見を裁判所に言うというのは、これ、通常審でも通常に行われているところでありまして、そのようなことは再審請求審においても可能であるというふうに考えているところでございます。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 時間の関係でもう次の質問へ行きますけれども、資料の二を示します。  これは、四百五十条の二で、十分な根拠があるときは検察官は抗告ができるというふうに書いています。そうすると、これを図面にしたら、全く根拠がない場合は裁判所は棄却だと思うんですが、根拠がある場合でも、十分な根拠がある場合と、十分ではないけれども根拠がある場合と、こういう場合があると思います。  そこで、この点について、今まで参考人として出てきた成瀬参考人は、こういう十分ではないが根拠がある場合は理由はないものとして棄却すべきだというのが東大の成瀬参考人の意見でした。で、佐藤局長は、再審開始決定が取り消される蓋然性が高いことを裏付ける合理的な根拠がない限り再審開始決定が確定すると、こういうふうに、ちょっと長い答弁しているんですが、これも要するに、成瀬さんの意見と同じように棄却するということだろうと思います、短く考えれば。  そこで、裁判所に、この点について、裁判所にこういうあれがあったらどういうふうな判断をするか。最後の質問です。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  ここで言うそれなりの根拠というものを裁判官がどのようなものとして捉えるかによりますので、最高裁事務当局の立場で判断の方向性をお答えすることは困難ですが、仮に、それなりの根拠とはいっても、当該不服申立てには不十分な根拠しかなく、理由がないということであれば、棄却の判断に至るのではないかと思われます。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっております。

古庄玄知 自由民主党・無所属の会

○古庄玄知君 以上で終わります。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 立憲民主・無所属の打越さく良でございます。  通告しておりませんが、大臣、午前中の参考人質疑は御覧いただけたでしょうか。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) 十分聞きました。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 本当に、宇田参考人にしても、真犯人、しっかりと処罰されなければならないとおっしゃっていました。そしてまた、大橋宏子さんの思いも本当に重かった。妹の智子さんを殺害した犯人が処罰されないままでいると。その一方で、冤罪被害者の前川彰司さん、前川彰司さんとお話しもされて、その苦しい思いを共有したというお話をされていました。  その上で、私たちこの参議院の法務委員会は、何としてでも、この福井女子中学生殺人事件で苦しめられたお二人、冤罪被害者である前川彰司さん、そして大橋宏子さんにお話を伺いたいと、その決断をしたわけです。それでも、本日午前、前川彰司さんは現れませんでした。  聞くところによると、前川さんは、今日、自分が話したところで、その二日後には終局するんじゃないかと、そして採決するんじゃないかと、そのように聞いてしまったらしいです。まだ当委員会ではそのような決定はしておりませんし、事実ではないんですけれども、ただ、そのような報道もされていますし、自分が話したところで、冤罪被害者をきっちりと救う、万全にする、そのためには今の政府提出法案では駄目なんだと、だから修正してほしいと、そのような思いをしっかりとこの場で参考人として言おうと決断していたわけです。その前川さんは、愕然としたに違いありません。そのように自分が思いを述べたところで、聞くような国会ではないんじゃないか、法務省ではないんじゃないかと思ってしまわれたと。本当に胸が痛む思いです。  七月一日に、前川彰司さんは、ほかの冤罪被害者の皆さんやあるいは支援者の皆さんと、私たちの参議院に対して、このままじゃ駄目だと、冤罪被害者の自分たちや、そして家族が苦しむことがないような、そんな十分な修正をしてほしいと、そのような思いを託されたわけです。検察官の抗告をなくしてほしい、そしてまた証拠開示をしっかりと認めてほしい、一覧表、証拠の一覧表をしっかりと請求人側に渡してほしい、また、証拠の目的外使用を禁止しないでほしいと、そういうことです。いや、もう後ろから紙は要らないんです。これはもう大臣の決断が必要なことなんですよ。  ですから、今、私たちの議論のスタートというのは、そもそも冤罪被害者の方たち、袴田さん、もう五十八年も無実の罪で苦しめられました。そしてまた、現れなかった、本当に今絶望のふちにある、あるであろう前川さん、前川さんも非常に、そうですね、一九八六年の事件ですね、そしてその事件についてようやく昨年、再審無罪出たと。本当に自分の人生は何だったのかと。尊厳がこのような長い間奪われてきた方たちなんですよ。  その思いをしっかりと受け止めると、その政治決断は、法務省の後ろの紙に書いてあるコメントではなくて、大臣の決断を聞きたいです。前川さんの思いも察していただいて、御決断をお願いします。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) 個別の事件については私がここで述べるのは難しいと思いますけれども、一般論として言えば、やはり誤判を防ぐということと、遅くなっていたその手続を迅速化するということ、これが大事だと思いますので、思いは同じだろうと思いますけれども。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 一度お受けになったんです。参考人として自分の思いをしっかり伝えようと、とても重い重い決意の下に。国会が空転している間、この委員会設けられませんでした。そして、参考人として張り切っておられた前川さん、来ることができませんでした。本当に心を込めてお訴えをしようとしていたんですよ。  それについて私は大臣に対して、本当に重い重いことが起こったんですよね。この前川彰司さんが、冤罪被害者が、絶望して国会に来るという決断を翻した。もう絶望しているんですよ。これこそが、今私たちが審議しているこの政府提出法案が、冤罪被害者の思いに即していないし、冤罪被害が二度と起こらない、そういうものになっていないという立法事実ではありませんか。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) 前川さんの御指摘については、ちょっと個別の問題でございますので、私も聞いておりませんし、お答えできませんけれども、目指すところは一緒だろうと思います。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 いや、目指すところが全然違うんです。だから、抜け道のない再審法改正にしてほしい、冤罪被害者を二度と生まないでほしいという思いに即していないからこそ、参考人として思いを述べようと思っていたんですよ。でも、その思いに即した修正をする気がないと、冤罪被害を二度と生まないという決意なんぞないんだと思ったからいらっしゃらなかったんじゃないですか、前川さんね。  だから、証拠開示にしても、先ほど来、古庄議員が質問されていました。それについても、その証拠一覧表の提供にしても、目的外使用禁止の削除にしても、検察官の不服申立て、それを禁止すること、そうしたことを盛り込んだ修正、それじゃなかったら、自分のような、前川さんなどのような冤罪被害者が生まれてしまうと、その思い、ノーというか、この法案じゃ駄目だと、政府提出の法案じゃ駄目だというこの前川さんの思いというのをどう受け止めているかということなんですよ。だから、その思いをきっちり受け止めるということであれば、このままじゃ駄目だと、修正する、自分の指示の下に修正するって大臣の政治的な決断が必要なんですよ。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) 御指摘の事件で、前川さんが長期間にわたって服役し、さらに無罪の判決を受け止められたということについては大変重く受け止めております。  もちろん、処罰されるべきでない者が処罰されることはあってはならず、速やかに、そのようなことが生じた場合には速やかに救済されなければならないということはもちろんでございます。  本法律案は、こうした認識に立って、再審制度を非常救済手続としてより適切に機能するようにするために、裁判からの、誤判からの確実な救済と手続の円滑、迅速化を図ろうとするものでありまして、間違いなくこれは再審制度を大きく前進させるものであると思っております。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 そうはとても受け止められないというのが冤罪被害者、前川さんの重い訴えなんですよ。いらしてこなかったこと自体が非常にこの政府提出法案についての重い批判だと受け止めるべきだと思います。かたくなに、まるでこれで十分だというような、繰り返されることは誠に残念です。  そもそも、まだ向き合わなければいけない立法事実とは何かということを、その重さを受け止めてこの法案が準備されているとは到底思えません。この前川さんの冤罪被害を受けた事件、先ほど、本当に妹さんのことについて、いまだに真犯人が見付からないことについて胸を痛めておられる大橋さん、大橋宏子さん、その言葉にしても非常に重いものがございました。  福井女子中学生事件の再審無罪を受けて、名古屋高検が関わった検察官十五人への聞き取り調査を行ったと。そして、調査結果報告書をつい最近私たちも手にすることができました。ここからも更に多く学んで私たちは審議を進めるべきではないかと思います。  この調査結果報告書には、再審無罪の決め手となった証拠、目撃証言に出てくるテレビ番組の放映日、それが事件当日ではなかったことが記載されていました。しかし、この重要な証拠の存在を、原審に関与した一名の検察官、さらには第一次再審請求審に関与した少なくとも五人の検察官が把握していたと、そのことが認められています。このうちただ一人も、この証拠を裁判所にも弁護人にも明らかにすることはありませんでした。  それでは伺います。政府提出法案では、検察はこのような無罪方向の証拠の存在を認識した場合、迅速かつ確実に開示する義務を負うのでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  あくまで一般論として申し上げますと、特定の証拠が無罪を推定させるものであるかやその推認力の程度、確定判決の事実認定や検察官の従前の主張、証拠と矛盾するものであるかやその程度につきましては、一義的には定まるものではなくて、個別の事案に応じて判断されるべきものであることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難でございますけれども、その上で、検察当局におきましては、今御指摘の事件の反省点として公にしたとおり、検察官の従前の主張や証拠に誤りがあることが判明したならば、速やかにそれを撤回し、必要に応じて裁判所や弁護人に経緯の説明や関係証拠の開示を行うなど、適切な是正措置を行う必要があると認識しているものと承知しております。  ただいま申し上げたことは本法律案の成立前後で変わるものではない、ありませんけれども、検察当局においてはこうした対応に努めていかなければならないものと承知しているところでございます。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 そうなんですよ。前回も質問したときもそのような答弁だったと思います。  別にこの法案になったところで、改正されたところで、改正前と改正後とでは適切な措置というのは変わらないという、そういう答弁だと不安が募るというか、結局私が伺ったのは、義務がありますかと、義務があるようになりますかということなんですけれども、結局は、改正前と、今までと同様に、義務とまではおっしゃらないと、義務があるとは肯定していただけない、それが残念でほかなりません。  請求人が証拠を把握できるようにしなければ、請求人は再審請求理由の立証責任を果たすことができません。九日に私が質問したように、せめて、裁判所が必要であると勧告した場合には、裁判所が指定する範囲に属する証拠の一覧表は必ず提出していただきたいと。九日の局長の答弁は、開示されるといったこともあり得るという答弁だったんですね。  開示されることもあり得るが開示されないこともあり得るということでは困るわけです。せめて、もう一度言いますけれども、せめてですね、裁判所が必要であると勧告した場合には、裁判所が指定する範囲に属する証拠の一覧表は必ず開示するべきということでよろしいでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  現行法下におきまして、再審請求審におきまして裁判所が検察官に対し特定の範囲の証拠の一覧表の提示、提出を勧告する運用の例が見られるところでございまして、こうした運用は本法律案により証拠の提出命令制度が導入された場合も引き続き可能でありまして、実際に行われていくものと考えられるところでございます。  その上で、様々な事案ありますので、今の御質問に直接お答えするのは難しいのでありますけれども、裁判所から勧告を受けた場合の検察当局による対応の在り方について、法務当局、証拠を見ていない、個別の事案に関わらない法務当局として一概にお答えすることは困難でございますけれども、検察当局におきましては、改正法の下での運用上、改正後の刑事訴訟法四百四十五条の三第二項の標目の一覧表の提示命令に至らない場合であっても、例えば、再審請求者側が開示を求める証拠の存否をめぐって争いがあるような場合において、裁判所から裁判所が指定する範囲に属する手持ち証拠の一覧表を提出するとともに、弁護人にも交付するよう求められたようなときには、検察官におきまして、事案に応じて裁判所の意向を踏まえて、こうした一覧表の提出、交付に応じることも含めまして、適切な運用の在り方を検討していくことになると考えているところでございます。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 今までの局長の答弁で、関連性を問わなくても証拠を開示するというパターンは当然あり得ると、提出命令じゃなくて、裁判所と同時に弁護側に開示するという運用の話は多々ある、関連性に厳密に縛られるかというと必ずしもそうではないとか、今の通常審の運用が現にそうではないように思われる、再審請求審でも広く開示されるのではないかと発言していらっしゃるんですけれども、広く開示されるのではないかという、人ごとでは困るわけですね。  裁判所から開示が、勧告があれば、関連性を問わず証拠の開示を行うと明言していただけますでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  一般論として申し上げますと、現行法の下で検察官が再審請求審においてその保管する証拠を裁判所に提出するか否かについては、裁判所の意向を踏まえつつ、再審請求理由について判断するための必要性、関連性があるか、これを明らかにすることにより、関係者のプライバシーの侵害の弊害があるかなどを考慮して、相当と認めるときに裁判所に提出するという方針で審理に臨んでいるものと承知しているところでございます。  その上で、お尋ねにつきましては、検察当局におきましては、運用上の措置としての裁判所による証拠の提出、開示の勧告に法的拘束力はなく、また、様々なケースがあり得る中で一律の対応が困難であることから、個々の事案ごとに対応する方針としているものと承知しているところでございます。  その上で、衆議院における修正により加えられた附則四条二項におきましては、運用上の措置としての裁判所による勧告や検察官による任意での証拠の提出、開示について、事案に応じ適切に行われていくことを法文上担保するものであると受け止めております。そのため、本法律案が改正法として成立した場合には、検察当局におきまして、任意での証拠の提出、開示の運用について、従来より後退させないことはもとより、追加された附則四条二項の趣旨も踏まえまして、個別の事案に応じこれまで以上に適切な対応に努めていくものと考えているところでございます。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 今までも適切ではなかったので、これまで以上にといってもとても心配が残るところでございます。  国家賠償請求訴訟の場面ですけれども、弁護士ドットコムニュースが情報公開請求で得た検察国賠訴訟における基本的な方針という文書で、再審事件についてではなくて刑事事件一般についてですけれども、違法な取調べや冤罪の実態を明らかにしてきたメディアの報道を外部への流出と位置付け、裁判所に非公開を求め、問題の検証を妨げる姿勢がどうも伺える、とても懸念されるわけです。これ、この文書については、開示への消極的対応、それが裁判所の心証を損なうことも懸念されるのではないかとか、そうやって、真相解明とか過去の誤った捜査の訴追、検証のためということよりも、訴訟戦略のように考えていらっしゃるのかなというところが心配です。  もちろんこれは国賠訴訟の局面ですけれども、ただやっぱり、この目的外使用の禁止が本法案に盛り込まれるなどして、証拠の私物化なんじゃないかと批判されるところを想起せざるを得ません。証拠が誰のものと考えているのか、やはり社会的検証などに資するものとして位置付けるべきではないかということを、答弁をお願いします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  所有者が存在する証拠物を含めまして、刑事事件の証拠は適正な裁判を実現するために収集され、用いられるべきものでございまして、その意味で特定の誰かのものではございませんし、もとより捜査機関のものではないというふうに考えているところでございます。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっております。おまとめください。

打越さく良 立憲民主・無所属

○打越さく良君 本日、前川参考人が現れなかった、参考人予定者が現れなかったというのは、先ほど申し上げたとおり、政府提出法案が冤罪被害者の救済にならないという、明らかにその立法事実であるということを重く受け止めて、更に熟議を進めたいと思います。  以上で終わります。     ─────────────

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、臼井正一さんが委員を辞任され、その補欠として出川桃子さんが選任されました。     ─────────────

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 昨日夕方、突然ニュースが届きました。先ほど打越議員もお話ししておりましたけれども、午前中の参考人に来てくださる予定であった福井事件の冤罪被害者である前川さんが参議院事務局にあしたの国会質疑を欠席すると自ら電話されたというものです。前川さんは、採決が十七日に決まったと聞いた、それなら自分が東京まで行く意味はないと告げたそうです。  長年、冤罪被害者として本当に苦しんでおられた前川さんのお気持ちをお察しすると、いかに政府案とここまでの国会での修正案が不十分かを示す一つの私は立法事実だと考えざるを得ないと思います。やはり今回の再審法改正は不十分、修正しなければならないということです。冤罪被害者に全く寄り添っていないという前川さんの欠席理由を本当に重く受け止めているのであれば、さっき大臣も重く受け止めているというふうに言葉ではおっしゃっていましたけれども、本当にそう思うんでしたらそういう法律にしてくださいよと言いたいです。そのことを踏まえて、今回の法改正が誰のものなのかという根本から順次伺いたいと思います。  まず、今日は副大臣中心にお話を伺いたいと思いますが、今回は行政の都合のために法律を作る場ではないということ、そして、国民の権利を守り、制度によって傷つけられた人を救い、同じ過ちを二度と繰り返さないために法律を作る場が国会だということです。  再審制度の見直しも、検察庁や裁判所にとって運用しやすい制度をつくることが目的ではないはずです。二度と冤罪を起こさないこと、そして、誤った有罪判決によって失われた冤罪被害者の名誉を回復すること、そして、真犯人を明らかにして、犯罪被害者とその家族が真実にたどり着けるようにすることがその中心でなければならないことは言うまでもありません。今回の法改正は、行政のためでもない、検察のためでもない、真実を求める国民のための制度であると私は考えております。  副大臣は、この法改正の基本理念をどのように認識されているのか、御答弁いただければと思います。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) お答えいたします。  御指摘のとおり、このいわゆる冤罪というふうにおっしゃっていただいている、そういう様々な無罪判決、あるいは再審でそういった決定が出ている、そういったものがあることは承知をしておりまして、そういったことも含めまして、処罰されるべきでない人が処罰されることはあってはならず、万が一そのようなことが生じた場合には速やかに救済されなければいけない。  刑事訴訟法、これ憲法からそうなんですけれども、憲法三十一条以下ではありますけれども、しっかりとした、犯罪を犯した方に対しても適正な手続をしっかりと保障していく、そして加えて、もちろんのことですけれども、そういった本当の意味での犯罪を犯していない方に対しては処罰をするなんてことはあってはいけないという観点からしっかりと、憲法があり、そして刑事訴訟法があり、そして累次の刑事訴訟法の改正がこれまで積み重ねられてきたというふうに承知をしております。  そういった中で、この今回の再審法の改正というものについてもその文脈に乗るというふうに考えておりまして、今までのそういった指摘も真摯に受け止めた上で、これ、再審制度についての規定というものが十分になかったということもあります。  なので、これまで、誤判からの確実な救済というもの、そして手続の円滑、そして迅速化、この誤判からの確実な救済を図れば図るほど時間は掛かっていきがちなものでもあります。一方で、手続を円滑化し、そして迅速化していこうとすれば、ある意味、この判断内容というものが、ある意味もしかしたらいいかげんになりがちなものというふうに言っても過言ではないと。この非常に相反しがちな二つの理念を一緒に進めていくということを目指しているという法改正という意味では、非常に今回の法改正というのは重要なものというふうに考えております。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 それではお伺いしますけど、副大臣は、再審法を本格的に改正する戦後初のこの貴重な機会に、この法改正が冤罪をなくすための考え得る最高のものだと、心底から本当に法律家として感じておられるのかどうか。ペーパー見ないで、心底からこれが最高のものだと胸を張って言えますか、是非。そしてまた、何か問題があるとしたらどこにあると思われますか、今までの議論聞いていて。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) もちろん、この場には法務副大臣として伺わせていただいているということは大前提になるんだろうというふうに思っております。  もちろん、そういった前提を加える加えないと、ありますけれども、様々な方が、様々な法改正がこうあるべきだということをおっしゃっているというのは承知をしております。そういった意味で、全ての方の要望というものを満たしているかというと、そうではないかもしれない。  この犯罪、誤判を何とか防ぎたいという方、あるいは確実に処罰するべき者は処罰してほしい、様々な方がいろんなことをおっしゃっている中で、そういった中でのいろんな形の要望とかいろんな思いを積み上げてきて、今回の法改正、もちろんその中には与党内での修正もありました、また衆議院での修正もありました。そういった修正があって、今のものというのが、考えられる上で私は最高のものだというふうに考えています。  ただ、もちろんこれが最後ではないというふうにも考えております。我々の視点ではなく、もしかしたら、どこか別の高い次元から見ればもうちょっと違うような改正があり得るとか、そういったことは、今後の情勢の変化とか時代の流れとか、そういったことによってあるべき姿というのは刻々と変わっていくものだというふうにも承知をしております。  だからこそ、この立法府において、常にしっかりとより良い法改正を目指していく、そういった意味で、この今回の再審法の改正というものが全ての終着駅ではないと、その意味で、それを明確化する上でこの五年ごとの見直しという規定が設けられているというふうに承知をしております。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 是非、前川さんが今日来なかった理由というのをしっかりと受け止めて、最高のものだというふうにおっしゃるんであれば、今後二度と冤罪が起きないようにしていただきたい。そして、これが最高のものであるんだったら、全く問題がないというふうに、問題が少しでもあると思うんだったらそれ直していただきたいと思うんですね。  次に、証拠開示について法務副大臣にお伺いします。  福井女子中学生殺人事件では、いわゆる「夜のヒットスタジオ」の放送日に関する証拠が供述の信憑性を根底から覆すことになりました。このような無罪を立証する証拠が存在するのであれば、それは検察官の判断だけで閉じ込めてよいものではないと思うんです。なぜ再審開始までこれほど長い年月を要したのか、なぜ必要な証拠がもっと早く真相解明に使われなかったのか、この問いは残されたままなんですね。  一九九一年に、カナダ最高裁判決では、検察官は、自己の保有する全ての関連情報を被告人側に対して開示する法的義務を負う、捜査によって得られ、検察が保有している情報は、有罪判決を得るために検察官のためのものでもなく、正義を実現するために用いられるべき公共の財産である、開示義務には、情報の秘匿に関する裁量権及び開示の時期や方法に関する裁量権が伴うとされました。  カナダ最高裁判決で言い渡されたこの考え方について、いかがでしょうか、副大臣。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) 今御質問の点ですけれども、このいわゆる刑事事件における証拠、もちろんその所有者がいるもの等々いろいろあろうかというふうに思いますけれども、そういったこと、もとよりこれが捜査機関のものであるとか、行政府、行政機関の行使のためのものとか言うつもりは毛頭ございません。  そうではなくて、こういった証拠については、適正な裁判を実現するために収集され、用いられるべきもの。誰のものかというよりも、何のために集め、そして使うべきものかという観点から議論していく方がよいのかなというふうに思っておりまして、当然ながら、そういった収集した証拠については、プライバシーですとかあるいは様々な関係者の方々に対する配慮、あるいはこれまでの捜査手法についてそのありようとか、そういったことが含めてもろもろ入っているものですから、どれについてどれを出す、出すべきか出さないべきかというのは別途あるんだろうというふうに思いますけれども、繰り返しになりますけれども、いずれにしても、この全ての証拠というのは適正な裁判を実現するために収集され、用いられるべきものだというふうに考えております。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 だとすると、無罪なのに罪を着せられた人にアクセスを与えないというのは間違っていると思いませんか。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) 御質問の趣旨ですけれども、有罪判決を下された方に全ての証拠に触れさせないことが適切ではないのではないかという御質問だと思いますけれども、その点については、当然ながら、再審制度ではなくて通常審において、一審、二審、三審の中で様々な証拠開示の手続がある中でしっかりと主張、立証を加えていって、それで有罪判決を下していくということになるわけですから、そういった意味でのアクセスの機会というものは十分認められてきたんだろうというふうに思います。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 検察のものではないという重い発言、ありがとうございます。  刑事局長の御答弁は、毎回、証拠の目的外使用を制限する理由として、被害者のプライバシー保護が目的としています。しかし、本日の参考人質疑では、犯罪被害者の御家族の立場からも、真犯人を知るために証拠を明らかにしてほしいという御意見がありました。被害者の御家族ですよ。被害者側が、プライバシーじゃないものまで隠されていて、そのために無罪の人がずっと刑務所に入っていたわけですから。だから、プライバシーじゃないものまで、そんなことまで隠さないで、証拠は明らかにしてほしいというふうに言っていました。  被害者保護を旗印に証拠の利用を制限することは、かえって被害者が真実を知る権利を損なう場合があると考えますが、副大臣、いかがでしょうか。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) お答えいたします。  今御質問の点ですけれども、被害者の方がどういった思いでいらっしゃるかというのは非常に重要な点ではあるかと思いますけれども、その証拠については様々な方が関係をするものでございます。  一人の被害者の方がこれはプライバシー上問題ないからといっても、それに関係する様々な方のプライバシーがその証拠の中に入っているということも十分考えられるわけでもございますし、また加えていけば、その捜査手法ですとか、そういったことも全て手のうちを明らかにするということにもなりかねないということもあります。  そういったことも含めまして、しっかりと全ての名誉ですとかプライバシーの侵害等の様々な弊害を確実に防止するという観点から、この目的外使用を禁止するという形にもしてあるということは御理解をいただければと思います。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 今朝、参考人も、被害者の参考人が言っていましたけれども、全てプライバシーというふうに言うのではなくて、例えば、テレビ番組が違う週に放映された、それはプライバシーじゃないという趣旨の発言がありましたよ。それは、どういう理由でそれまで隠されていたのか分かりませんけれども、でも、そういう何でもかんでもプライバシーの保護の下に、それが理由で隠されてしまうという、そういう大変大きなおそれもあるということを過去の事例からも学んだと思うんです。ですから、余り、一概にプライバシー保護といっても、本当にプライバシーに当たるかどうかも分からないということも是非念頭に入れていただければと思います。  そして、証拠を隠したままでは、冤罪被害者の被告人も、被害者とその御家族も救われないということです。真実を明らかにするために必要な証拠は原則として出す。それが出発点であるべきだと思います。そう思いませんか、副大臣。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) お答えいたします。  これは繰り返しになりますけれども、検察官の手持ち証拠を全面的に開示する制度を設けるべきか否かにつきましては、今、先ほど申し上げた関係者の名誉、プライバシーの侵害、今後の罪証隠滅等の様々な弊害が生じ得るということと、今御指摘いただいたのは再審請求審ということにおける話だと思いますけれども、通常審における証拠開示制度との整合性が取れないという点も加味、加えさせていただいて、今回に関しては、一定の要件の下で証拠の提出を命じるという制度にさせていただいているものであります。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 時間がないので次の質問に行きますが、再審請求事件では、長期間にわたる記録の確認、鑑定、分析など、高度で幅広い専門知識が求められます。しかし、裁判官は、法律の専門家ではありますけれども、司法試験に合格しているだけで、全ての分野に精通したマルチな人間ではないんですね。証拠の価値を裁判官一人が見抜くことを期待するのは、私は間違っていると思います。  だからこそ、証拠を全面開示して、少なくとも被告人と弁護人に価値ある証拠を探し当ててもらう必要があると考えます。その考えは全く間違っていると思いますか、副大臣。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) 前提といたしまして、現在の法曹養成制度の下で裁判官が司法試験に合格をすると、一定の研修を受けて裁判官になられると、もちろんその後、様々な研修を受けていただくということで、足りない点は補っていただいていると思いますけれども、もちろん万能の方ではないという思いは共通しているんだろうというふうに思います。  その上で、しっかりと、ただ、さはさりながら、我々、刑事事件の中で証拠の認定の在り方というものは、様々しっかりと研修を積まれているんだろうというふうには考えております。  そういったことを前提にお答えさせていただきますと、こういった裁判所が主体的に再審請求理由について審理するというこの請求審におきましては、この必要な証拠については裁判所への提出を命じるという制度を新しく設けさせていただくことになっております。  この点につきまして、先ほど御指摘いただいておりますけれども、再審の請求の理由との関連性というものが要件として設けられるわけでありますが、そういった再審の請求の理由の関連性というのは一定程度広がりを持つものというふうになっておりますので、こういった犯人性なら犯人性、あるいはほかの、そもそもそういった様々な構成要件的な事実がありますけれども、どのポイントが問題になるかということについては、しっかりと再審を請求する側で指定していただくことでそういった一定の広がりを持つ証拠というものが出てくるということになろうかと思いますので、その点についてはしっかりと対応できるものというふうに考えております。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 私が質問しているのは、裁判官というのは、もちろんいろんなトレーニングを受けたり難しい司法試験を受かったり、いろんな意味で優秀だと思います。しかし、全てのことが見抜けるかといったら、それはそうではないということになりますよね。例えば、血が付いた布、布地をみその中に漬けたらどうなるかとか、あるいは被告人がどれぐらい長い間お話をしていたのかとか、その場に、現場にいなきゃ分かんないこととかいろんなことが、優秀だからって全部分かるわけがないのに、その人に頼るという制度になっているんです。  さっき、パーフェクトだ、に近い、もう最高の法案だと言っていましたけれども、私は程遠いと思いますよ。その一人の裁判官に頼るというのは本当に酷だと思いますよ。それは無理に等しいと思います。もう一度御答弁ください。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) もちろん、その再審請求審における判断というものがどのようなものになるかというのは、全てその裁判官が下す判断というものが正しいものではないということが前提として被告人あるいは検察官側からの抗告というものが認められているというふうにも承知をしておりますし、その以前の前提で、事実認定のことに関して申し上げても、当然ながら、先ほど十分ではないんじゃないかという話もありましたけれども、しっかりと裁判所がコミュニケーションをしながら、その証拠の範囲を特定をして提出を求めるというような仕組みというものも今回新しく設けさせていただくということでもありますから、今までそれこそ運用で行ってきたものを、法律を設けて、これ提出命令という制度を設けさせていただくという意味では、私は大きく前進するものだというふうに思っております。この答えは、何もその特定の裁判官が万能であるということを前提にしている答えではございません。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 私は、いや、この法制度は、まるで裁判官がマルチのような、その希望を持って作った法律だと思うんです。検事さんや裁判官の方々がマルチだという、そういう前提でできた法律のように思います。今までの答弁聞いていてもそうです。参考人の答弁聞いてもそうです。もう期待ですよ、期待だけ。期待に外れたらどうするんですか。結局それで苦しむ方々のためになっていないじゃないですか。  今、抗告という制度がありますというふうにおっしゃいましたけれども、抗告にどれぐらい時間が掛かると思いますか。もう計り知れないです。抗告が必要ないようにしなきゃいけないじゃないですか。  次の質問に行きます。  再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて伺います。  再審開始決定は、裁判所が新旧の証拠を総合的に評価し、確定判決に合理的な疑いが生じたと判断した結果です。それにもかかわらず、検察官の抗告によって再審公判の開始が何年も、場合によっては何十年も遅れることがあります。冤罪被害者は、その間も有罪の烙印を背負い続けます。そして、本当の犯人が別にいる事件では、真犯人の追及も日に日に遅れ、目撃者も証拠も消えていきます。抗告による長期化は、冤罪被害者だけではなくて、犯罪被害者や社会全体にとっても重大な不利益だと思います。理屈を積み重ねる前に、当事者が長年味わってきた苦しみを制度は正面から受け止めるべきだと思います。  再審開始決定への抗告を残すことによって、誰のどのような利益を守ろうとしているんでしょうか、副大臣。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) まず前提からお答えさせていただきますと、裁判は確定により拘束力が生じ、その内容に不服があっても争えなくなるからこそ紛争解決機能を有するというふうに考えられるものでございます。仮に、誤った再審開始決定であっても一切不服申立てができず、本来やり直すべきでない裁判でも直ちにやり直しとなる制度とすると、本裁判の確定の意義や裁判の紛争解決機能が損なわれるというふうに考えられます。  また、再審開始決定は、三審制の下で確定した有罪判決について裁判をやり直すという重大な効力を持つものであるため、上級審による審査の機会を保障して、裁判所による慎重、適正な判断を制度的に担保する必要がございます。  さらに、再審開始決定が誤りであるとして上級審で是正された事案が現に存在する中で、これを放置して安易に裁判をやり直すこととすると、被害者やその御遺族を含む国民の刑事裁判に対する信頼を損なうことになりかねませんということなんですけれども、そもそも、そういったこともありまして、誰の利益を守るということではなくて、今考えていかなければいけないのは、特定の誰かの利益を守ろうとしているんではなくて、今までの日本の刑事司法に対する信頼というものをどのように守るのか、もちろんこの本再審制度の改正のみによってそれは守られるものではありませんけれども、しっかりとこの三審制度を経て、この刑事事件というものが、紛争が解決されるんだというこの確定裁判の紛争解決機能というものがまずあるということ、そして、一旦確定したものというのはそれを前提に社会が次に動いていくということで、日本の刑事司法の信頼というものが生まれていくというふうに思っています。  こういった紛争解決機能と刑事司法への信頼感、これを守っていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。  取りあえず、以上です。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 信頼を保たなくてはという、信頼をもう失っている部分大きいと思いますよ。  福井事件では、アリバイを崩す証拠を持ちながらも抗告していたんです。この事案も踏まえて発言してもらいたいなと思うんですけれども。名古屋高検は、福井事件の福井地裁での抗告を今なお正当だったと評価しているんですね。この認識が改まらなければ、例外的な場合のみ抗告できるとする新たな条文四百五十の二ができたとしても、同様の抗告が私は繰り返されるんではないかという懸念があるんです。  福井事件での検察による明らかな証拠隠しでさえ抗告は正当だったと評価されているんですよ。そうであれば、例外的な場合のみ抗告できるという規定は実質的な抜け道になりかねないじゃないですか。再審開始決定は被告人と弁護人が長い年月を掛けて、まさに針の穴に糸を通すような思いで積み重ねてきた結果です。その努力を再び抗告で覆すことは、私は本当に例外でなければならないと思っています。  続きまして、次の質問ですが、捜査は初動が重要だと言われています。しかし、私はそれと同じぐらい、いつまで捜査を続けるのか、そしていつ捜査を見直すのか、いつ真犯人を探す再捜査を始めるのかという、そういった判断も同じぐらい重要だと考えています。  検察による再審手続の長期化となれば、その間にも時間は過ぎ、証拠は失われ、真犯人を発見することは日を追うごとに難しくなります。冤罪の可能性が一ミリでも生じた場合は、私は捜査の再開や証拠などの見直しは一刻も早く進めなければならないと思います。  名古屋の主婦殺人事件では、被害者の御主人が犯行現場のマンションを二十六年間借り続けたことで犯行現場はたまたま保全されました。これは極めて非常に例外的で珍しい事件で、多くの事件ではこのようにならないわけです。時間の経過とともに証拠は失われて、真犯人にたどり着くことはますます困難になる。  個別の事案について聞いていません。これまでの検察による数々の見落としや間違いへの反省を踏まえた経験から、捜査の延長ですとか捜査の再開のタイミングを計る判断はより進化したものであるべきと思いませんか、副大臣。

三谷英弘 法務副大臣 自由民主党・無所属の会

○副大臣(三谷英弘君) お答えいたします。  個別の事案ではないということですので、個別の事案の部分に関しては一概にお答えすることは困難であるというふうにお答えさせていただきますけれども、当然ながら、検察当局においては、過去の事件の捜査、公判から得られた知見を共有、蓄積するなどの取組を行うとともに、当該無罪判決等があった場合には、当該事件における捜査・公判活動の問題点を検討し、必要に応じて検察官の間で問題意識を共有して、反省すべき点については反省し、今後の捜査、公判の教訓としているというふうに承知をしております。  その上で、一般論として申し上げれば、様々な、例えば被疑者が自白したとしても、これは本当に様々なケースがあり得るんだろうと思います。犯人性が問題になっているものもあれば、そうじゃないものもある、自白事件もあれば、そうではないものもあるということで、自白事件であろうが、そうじゃないものであろうが、しっかりとした証拠調べを行っていき、そして、有罪に、公判に堪えられる証拠を積み重ねていくことができるかと、そういった観点から検討して起訴をしていくということになっているというふうに承知をしておりますので、その意味では、繰り返しになりますけれども、検察当局においては、客観証拠を適切に収集、分析する、あるいは、積極、消極を問わず、十分に証拠を収集、把握し、冷静かつ多角的にその評価を行う、供述の任意性の確保その他必要な配慮をする。そういったことを、「検察の理念」を踏まえて、基本に忠実な捜査・公判活動の適正な遂行に努めているものと承知をしておりますし、しっかりと今後もこれに努めていただくことが重要だと考えています。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっておりますので、おまとめください。

牧山ひろえ 立憲民主・無所属

○牧山ひろえ君 三谷副大臣、最高の法案だというふうにおっしゃっていましたので、そういうふうに言うのであれば、前川さんが来るような、来てくれるような、そういう法案を提案していただきたいと思います。  以上です。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。  本日は、大川原化工機の冤罪事件、この事件の事案を基に幾つか質問させていただきたいと思います。  幸か不幸か、一週間国会が止まってしまいまして時間に余裕ができましたので、その時間を使って、この大川原化工機の冤罪事件の関係者の方、大川原正明会長、それから、がんでお亡くなりになった相嶋さんの御子息、相嶋一登さんにお越しいただきまして、この事件の背景にあったもの、また、それぞれの当事者の方の御意見伺ってまいりました。  本日は、そうした聞き取りに基づいて御質問を幾つかまずさせていただきたいと思いますが、御遺族である相嶋一登さんからメッセージを頂戴しております。今日、参考人質疑で本当は来ていただければ一番良かったんですけれども、お呼びすることができませんでしたので、御本人の許可を頂戴しておりますから、そのメッセージを、相嶋一登さんのメッセージを私が読み上げさせていただきたいと思います。  私の父、相嶋静夫は、警視庁公安部及び東京地検による不正捜査により、無実であるにもかかわらず、十一か月間にわたって身柄拘束されました。そして、勾留中に胃がんが判明しても保釈が認められず、被告人というぬれぎぬを着せられたまま命を落とすこととなりました。現在、国会では再審法改正案が審議されています。もちろん、無辜の市民を早期に救い出すことは重要であり、本法案の審議を関心を持って拝見しています。しかし、そもそも重要なのは、通常審の精度を上げることであると考えます。つまり、誤判を防ぐことです。大川原化工機冤罪事件では公訴取消しという形で刑事裁判が終結しましたが、それでも長期勾留という大きな被害が発生しました。この原因は二つあります。一つは、捜査機関による証拠捏造、改ざん、そして証拠隠しです。二つ目は、取調べと調書の在り方です。大川原化工機冤罪事件では、警視庁公安部と経済産業省との打合せメモの隠蔽と、専門家からの聴取報告書の改ざん、そして欺罔、偽計を用いた取調べが行われました。通常審及び再審を公正に実施するには、証拠全開示と取調べの全面録音、録画の実施、取調べの弁護士立会いを制度化することが必要です。これらの対応は、多くの先進国では既に制度化されているものであります。  これが相嶋一登さんから頂戴をしたメッセージであります。  この大川原化工機事件、皆様も御承知のとおり、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反が問われた事件ということでありますが、軍事転用可能かどうか警視庁公安部が有識者から聞き取った内容と異なる聴取報告書を作成したことが既に明らかになっております。聴取報告書を作成した際、当該有識者の適切な確認や了承をしっかり取っていれば、こうした事態は生じなかったことは明らかであります。  そこで、政府参考人にまずお伺いしますが、被告人や証人に関する供述調書や聴取結果を記載した報告書は、この任意捜査等の段階、それから逮捕後の取調べについてもそうですが、簡単な確認のみで署名又は調書の手渡しといったようなことは行っていないというふうに聞き取りましたけれども、実際の運用がどうなっているのかということについて御質問したいと思います。

鈴木敏夫 警察庁長官官房審議官

○政府参考人(鈴木敏夫君) お答えを申し上げます。  お尋ねの点につきましては、刑事訴訟法第四十七条におきまして、訴訟に関する書類は公判の開廷前にはこれを公にしてはならないと規定されておりますところ、一般論として申し上げますと、警察が捜査を行うに当たり作成した供述調書などを複写をいたしまして、供述した方にお尋ねのような形で提供することは困難であると認識をしているところでございます。  一方で、警察が捜査を行うに当たり作成する書類につきましては、犯罪捜査規範第五十五条第二項に、書類の作成に当たっては、事実をありのままに、かつ簡潔明瞭に表現することを旨とし、推測、誇張等にわたってはならないと規定されておりまして、事実に即して正しく作成することは当然であると認識をいたしております。  いずれにいたしましても、警察庁として、法令の定めに基づきまして、緻密かつ適正な捜査が徹底されるよう都道府県警察を指導してまいりたいと、このように考えております。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ルールとしてはきちっとそうしたルールがあって、そのルールに基づいて運用されているということは分かりました。  この相嶋一登さんにお話を伺ったところ、この大川原化工機事件の一連の流れについて、警察庁から要請を受けて研修を何度かしていらっしゃるということで、反省に基づいたお取組を警察庁でしていらっしゃるということもお伺いをしました。  そのことはよしとした上で、これは通告をしておりませんけれども、確認させていただきますが、いわゆる乾燥噴霧器が軍事転用可能かどうかということについて有識者の学者さんの聞き取りを行ったその結果の報告書が、後でその供述をされた方が読んで、全然違う内容が書かれているといったような事態が生じてしまったそもそもの理由はどこにあったのかと認識していらっしゃるのか、もしお分かりになれば御答弁をいただきたいと思います。

鈴木敏夫 警察庁長官官房審議官

○政府参考人(鈴木敏夫君) お尋ねのような報道については承知をいたしておりますけれども、控訴審判決では、有識者の方が発言していない内容が捜査書類に記載されているといった指摘はなされていないものと承知をしているところでございます。  一方で、この事案につきましては、警視庁公安部が控訴審判決において違法とされた捜査を行いまして、当事者の方々に多大な御心労、御負担をお掛けし、警察に対する国民の信頼を著しく損ねるという重大な結果を招いたことを重く受け止めているところでございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 この聞き取りを行った四人の有識者の方々が、これは確認をしていただく必要もあるのかもしれませんが、マスコミからの取材に対して、自分たちが供述した内容と異なる内容の報告書が一方的に作られているという御証言をされているわけであります。  この報告書のいわゆる証拠能力がそもそも疑われるという事態になっているということが新聞各紙の報道でも既に出ているということでありますので、一般論としての御答弁で、通告もしておりませんから、この場で答えていただくには限界があることも理解しておりますけれども、この点について、なぜ、いわゆる捜査の裏付けを行うために有識者の要は聞き取りを行って報告書を作っているにもかかわらず、その報告書の内容が肝腎の供述を行った有識者の言ったことと違うことになってしまっているということが起こっていること自体がそもそもなぜなのかということが明らかにならないと、この問題の再発防止には決してつながらないということだと思います。  その上で、通告の方に戻りたいと思うんですけれども、私自身の問題意識としては、どういうその報告書を作ったのか、調書を作ったのかということを、いわゆる刑事訴訟法四十七条のいわゆる訴訟書類の非公開の原則というものがあるから出せないという説明は、これはもう法律条文にありますから、もちろんそういうことなのかと思いますけれども、実際に証拠資料として裁判に提出される、立件の材料にするために捜査書類集めているわけでありますから、その捜査の書類の中身が正しいものなのかどうなのかということについては、少なくとも供述した人間に対してはきちんと見てもらった上でその内容の確認をしていただく、その上で署名なりなんなりということをきちっとしていただくことで、その後改ざんや作文ができないような形にしないと、証拠能力として担保されないんじゃないのかと、当たり前のことですけど、と思うんですけど、その点について、刑事局長、どのような御認識でしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  あくまで一般論として申し上げますと、委員御指摘のとおりでございまして、一般に、人の供述の内容を録取した書面というのは、その人、つまり、供述者の署名押印が、押印、署名があって初めて供述調書としての要件を整えて、その上で、その三百二十一条、刑訴法の三百二十一条であります、三百二十一条と三百二十二条等でありますけれども、そのような形で証拠能力がようやく与えられて公判に提出されていくという類いのものであるというふうに考えております。  したがいまして、今委員が御指摘にあった聞き取り報告書というものは、あくまでその本人の確認を経ていない捜査機関の単なる聞き取りでありまして、これは捜査官が言う、何といいましょうか、公判でその内容を証言したとしても、それまた誰かがそれをしゃべったものを警察官が証言しているということになりますので、言わば伝聞でございまして、一般に、通常の公判で弁護人の同意がない限り、証拠として取り調べることは非常に少ないということであると理解しているところでございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 大川原化工機のこの冤罪事件の場合には、実際に社長、大川原社長を始め三名の方が逮捕されるまでの間のおよそ半年ほどの間に、会社の役職員四十八名に対して二百九十一回もの取調べが行われているということなわけであります。そこで膨大な量のいわゆる任意調書が取られているということなわけですが、ここで聞き取りをさせていただいたところ、おっしゃるとおり、署名、押印をしていないと要は手続上駄目だという話ではあるんですが、逮捕前の任意聴取の場合には、きちんと署名や押印を取るという作業自体も非常におざなりな対応になってしまっていて、もう皆さん疲れていますから、何時間も拘束されて、これで今日の聞き取りの、これでいいですねと言ってこれで終わってしまっているというようなことが現場の実態としてはあるということらしいです。本省が思っているのと現場が実際やっていらっしゃるのは必ずしも一致していないということが聞き取りから明らかになっています。  そこで提案なんですけれども、複写して渡すということについては刑訴法四十七条規定に触るということであったとしても、少なくとも、取った調書に関してはきちんと供述した方に目を通していただいた上で確認をして、署名、押印をしたものでなければ証拠力が要は発生しないといったようなぐらいの縛りは掛けるべきなんじゃないのか。こうしておくことが、要は証拠の改ざん、捏造といったような疑いを招くことを防ぐことにつながると思いますけど、こうした取組は進めるべきだと、刑事局長、思われませんか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  一般論として申し上げますと、刑訴法百九十八条に被疑者の取調べの根拠規定があるわけですけれども、そこに、被疑者の供述はこれを調書に録取することができるとした上で、調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤りがないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載しなければならないということにされておりまして、こうした要件を満たしたものが供述調書というものでございますので、それに従って、伝聞法則、伝聞証拠を始めとする調書の証拠能力が判断されていくということでありますけれども、委員の御指摘のとおり、このような調書を作成するに当たっては、当然に読み聞かせたり閲覧させたりして、その内容をちゃんと確認してもらうということが大前提になっているということでありますので、実際の取調べにおきましても、そのような手続がなされるように、ちゃんとそれは確実になされなければいけないものとしてやっていかなきゃいけないものと考えているところでございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ありがとうございます。ルールがきちんと決まっているということはよく分かりました。  その上で、実際の現場での対応は、膨大な捜査に携わる方が膨大な量の証拠を扱っていらっしゃるという、現場が大変なこともよく分かるんですけど、その上で、やはり基本動作をきちんと行うということ、通常審に向けた取調べの段階からどれだけ抜け落ちがないように手続を取っていくのかということが問われると思います。  この再審法の議論をしておりますけど、そもそも通常審がきちんとできていれば再審起こらないわけですから。ということを考えたときに、この手続をもう一度しっかりと見直していただきたいという意味で問題提起をさせていただきました。  時間があっという間に過ぎておりますので、次の通告の質問に入らせていただきたいと思います。  医療に関する質問をさせていただきたいと思いますが、拘禁中のいわゆる被収容者の医療の提供の在り方についてということで御質問させていただきたいと思います。  私も、この大川原化工機の事案、日を追って全ての時系列での情報を拝見をさせていただきました。この医療提供という点に関して、入管施設の医療の問題が生じたときと全く同じようなことが拘置所医療でも起こっているんだなということが分かったわけでありますが。  簡単に口頭で流れ御説明しますと、お亡くなりになられました相嶋元顧問、二〇二〇年の九月二十五日に、もう既に勾留されて随分時間がたっておりますけど、二〇二〇年の三月十一日に逮捕され、その後、約半年後、九月二十五日に貧血症状を発症されまして、そして翌年二月七日に亡くなられているという、こういう流れでありますが、実はこの逮捕、勾留中の十月七日の日、病理検査によって悪性腫瘍を御本人が告知されています。それ以降、翌年二月七日にお亡くなりになるまでの間に三度保釈請求が却下されているんです。  私が何より驚いたのは、悪性腫瘍の告知の後、十月十六日に半日、八時間だけ勾留執行が停止されて、外部医療機関を受診した際に、スキルス、いわゆる進行胃がんの確定診断が出ているんですね、出ているんですよ。にもかかわらず、その後も、十月十六日にこの進行胃がんの確定診断が出た直後、十月十九日にいわゆる保釈請求が出されて、これが十月二十一日の日に却下をされているんです。十二月二十八日にも、やはり再度保釈請求したものが却下をされていると、こういうことでありまして、実際にもう十一月九日の時点で転移してしまって外科的治療が困難であるといったような状況が既に把握されているにもかかわらず、保釈請求が却下され続けているという、こういう状況が続いているんですね。  私聞きたいんですが、この拘禁中の被収容者の病状、症状に応じた適切な医療提供というものについて一体どのように考えていらっしゃるのかということについて、政府参考人の認識をお伺いをしたいと思います。

日笠和彦 法務省矯正局長

○政府参考人(日笠和彦君) お答えいたします。  被収容者の心身の状況を把握し、社会一般の医療の水準に照らし適切な医療上の措置を講じることは、国の重要な責務であると認識しております。そこで、刑事施設内に医師を始めとする医療関係職員の配置や医療機器の整備等を行い、病院、診療所を開設するなどして必要な医療提供体制を確保しております。  その上で、施設内の医療体制のみでは十分な判断や対応が困難と認められる場合には、被収容者を矯正施設外の医療機関に通院又は入院させているほか、特に生命の危険等の急を要する場合には、直ちに救急車の出動を要請して外部医療機関へ救急搬送するなどの対応をしております。刑事施設に収容されている被収容者に対し、社会一般の医療の水準に照らして適切な医療を講ずることは被収容者の人権尊重の観点からも重要と認識しておりまして、引き続き、被収容者に対する適切な医療の提供を行ってまいります。  以上です。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 では、なぜこのような事案が起こったと分析されているのか、お聞かせください。

日笠和彦 法務省矯正局長

○政府参考人(日笠和彦君) 先ほど申し上げましたように、被収容者に対して、社会一般の医療の水準に照らして適切な医療上の措置を講じるということは、国の重要な責務であると認識しております。  本件につきましても、東京拘置所におきましては必要な医療上の対応を適切に講じておりまして、この点については、御遺族から提起されました国家賠償請求訴訟において、東京拘置所が行った医療内容には医学的合理性があり、外部の医療機関への入院に向けた調整も進められており、治療義務違反や転医義務違反があったとは認められず、また、御本人が御自身の病状等を理解するのに必要な説明が行われていた旨の判断が示されたものと承知しております。  被収容者は、自らが自由にその収容を外れて外部医療機関に入院等することができないからこそ、国の責務として社会一般の医療の水準に照らし適切な医療を講ずることとしており、被収容者の人権尊重の観点からも、引き続き適切な医療の提供を行ってまいる所存でございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 余り踏み込んで質問するつもりがなかったんですけど、同じような答弁二回繰り返していただいたものですから、ならばということで、進行胃がんが確認をされたということを拘置所のドクターは把握した上で、勾留をそのまま維持したという理解でよろしいですか。

日笠和彦 法務省矯正局長

○政府参考人(日笠和彦君) 保釈判断に至る具体についてお答えをする立場にはございませんが、矯正当局といたしましては、刑事施設においては、これまでも未決拘禁者御本人から必要な医療情報を求められた際には適切に診療情報提供書などの対応をしておりまして、また、検察官からの照会に対しましても適切に対応しているものと認識しております。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 私の手元、詳細な資料があるものですから、適切な医療ということをおっしゃっていますので、時系列で。これ、済みません、皆さん、口頭だと分かりにくいかもしれないんですが。  進行胃がんが診断が出たのが十月十六日。十九日の日に五回目の保釈申請を行って、弁護士から東京拘置所長に対して外部病院の診察を申入れを行っていると。この状況の中で、十月二十一日、二日後に保釈請求が却下をされ、弁護士から東京拘置所長に対して外部病院の診察を申入れを行った。その後、半月後ですね、十一月五日、進行胃がんの診断、確定診断が出ているのに、半月後に勾留執行が半月だけ停止をされて、翌日、横浜市内の医療機関を受診され、即日内視鏡検査、輸血、CT検査を行った後、入院をされたということです。  ここに記載されているのは、その病院の紹介状に本人が言っていないことが虚偽記載されていて、なぜこんなに遅くなったのかということを言われたときに、他院での受診が予定されていたが本人都合でキャンセルをしたといったようなことが紹介状に書かれていたということらしいです。把握されているかどうかは知りませんけどね。  その上で、三日後の十一月九日、肝臓に多発転移があるため外科的治療は困難、まずは化学治療で腫瘍の縮小と止血を期待するということで、その後、十一月十六日から十二月二十四日にかけて勾留執行が停止をされということになっておりますが、なぜか十二月二十八日に保釈決定に対して準抗告がなされて、保釈申請が却下をされているんです。で、翌年、半月後、一月十三日、二〇二一年一月十三日に再入院をされて、緩和ケアを開始をされて、その後、二月七日の日にお亡くなりになられているという、これがそういう経緯であります。  これが、要は人権を守った適切な医療提供であったという理解でよろしいですか、本当に。

日笠和彦 法務省矯正局長

○政府参考人(日笠和彦君) 申し訳ございません。それ以上なかなかお答えできないところでありますが。済みません。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 通告をしております、あっ、じゃ、佐藤局長、お願いします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  委員の御指摘の事件につきまして、最高検が公表した結果、検証結果報告書によれば、相嶋氏に係る保釈請求に関する検察官の対応につきましては、国賠法上違法とされた公訴提起に基づくものでございまして、そもそも保釈請求に対して反対意見を述べたことも結果として不適切な対応であった上に、遅くとも、進行胃がんの診断を受けたことが保釈請求書に明示されて以降は、病状等を的確に把握して、保釈請求に対してあえて反対の意見を述べないこととするなどの柔軟な対応を取ることが相当であったとされているところでございまして、保釈請求への対応につきましても問題があったと認識しているところでございまして、検察当局として深く反省しなければいけないものというふうに考えているところでございます。  その上で、今後、この検証結果を受けまして、検察当局におきましては、全国にこの事案の内容について周知図るとともに、病状の関係であるとか保釈請求への対応に関して通知を発出して指示をしたものというふうに理解しているところでございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ありがとうございます。  最高検が国賠訴訟後に出した、保釈実務に対する通知というのが去年の八月七日の日に出ています。私もそれ取り寄せて拝見をさせていただきました。  いろいろと御指導が最高検から入っているということは私も把握しておりますけれども、その上で、常識に照らして、スキルスの胃がんが見付かったということは、進行が早ければ、それこそ一、二か月で要は死に至るほどの劇症、激発型のがんということでありますので、見付かった時点で既に手遅れの可能性が高いほどのものであるにもかかわらず、それが、要は、恐らく私が思うには、医者がそのことを一言でも聞いていたら、すぐに医療機関、入院をさせて治療を開始しているはずなんですよね。知っていてやらなかったんだったら、医師免許を持つ資格ないと思うほどシンプルな話ですので。  ということを考えたときに、要は、国賠訴訟に当たってのいわゆる国側の主張を拝見させていただいていても、拘禁の性質上、医療に関する患者の自己決定権はある程度制約される場合があるということはやむを得ないとか、必ずしも希望どおりの医療行為がされるものではない、また、貧血状態の血液値を示すことは拘置所の高齢者にはよく見られるといったようなことをもって、いわゆる国賠訴訟に対して国側が訴訟されているんですよ。  いわゆる、今矯正局長が、先ほど人権に配慮してということを、本省としてそういったことを意識して立法をし、そして法の運用を行っていらっしゃることは私は疑っておりませんけれども、現場が必ずしも本省の意図を十分に酌んで動いているかどうかということについては、これは甚だ私は疑わしいところがあると思っておりますし、この一連の再審の議論を行う中での話も、法務省本省や裁判所といったいわゆるこの霞が関で物を考えて立法している人たちの思いと実際の運用の間には大きなずれが生じている。このことこそが、こうした問題を要は隠す、隠蔽することにもつながりますし、いわゆる再審が長期化することにも私はつながっているんだなということをこの間の再審法の審議を通じて痛感をしたわけであります。  よって、この医療提供の問題についてもでありますが、これは高齢者であろうが若者であろうが、やはり体調がおかしくなったときに、それが命に関わるものなのかどうなのかということも含めて、適切に医療にアクセスできるような状態をつくらなければいけない。同時に、捜査段階だから証拠の隠匿、証拠隠滅や捜査に支障を来すようなことを避けるために身柄を拘束するということで拘束されているということなんだろうと思いますけど、そのことと、いわゆる被疑者ですね、被疑者、まだ確定的に罪が決まっていない状態の方が、要はまともな治療すら受けられないような状況が放置されている、又は、今後、将来にわたって繰り返されるような状態だけは絶対に避けなきゃいけない。そのために何をするべきなのかということを、是非これはルール化というものをきちっと拘置所の中のことに関しても行っていただきたいんです。二度とこういうことは聞きたくないです。  そういった取組を行っていただくべきと考えますが、政府参考人の御見解をお伺いをしたいと思います。

日笠和彦 法務省矯正局長

○政府参考人(日笠和彦君) 今の委員御指摘のように、先ほどのまた繰り返しになりますけれども、国が矯正施設の被収容者に対して提供する医療の内容が社会一般の水準よりも低いということではこれは大変問題でありますので、矯正施設の中においても、社会一般の水準に準じたというか、即した医療体制がきちっと取れるように、そして、日々の運用の中でもしっかりとそこは、医師を含めたその職員がしっかりと自覚して体制が取れるように引き続き指導してまいりたいと思います。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 是非よろしくお願いしたいと思います。  ほとんど時間がなくなってしまいましたけれども、通告した質問に戻りたいと思います。  次の質問は、証拠開示についてということで質問をさせていただきたいと思います。  今回、証拠開示については、検察官が保管する証拠の一覧表に関する制度、これは五年ごとの見直しの対象と附則二条でされていますが、元々、これ、通常審では証拠一覧の開示というものは制度化されておりますから、この再審で証拠一覧の開示を行うということ自体に何ら支障がないものだと私は実は認識しておりまして、したがって、五年後の見直しに向けて、まず、裁判所が必要と認めるときには、検察官に対して証拠一覧表又はこれに代わる送致書類等目録の提出又は再審請求人弁護士への交付を命じることができる旨の規定の導入を、これから五年後に向けて速やかに検討を始めるべきなのではないかと考えておるところでありますが、政府参考人の御見解をお伺いします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  あの、済みません、裁判所への証拠の一覧表の提出ではなくて、再審請求者側への証拠の一覧表の交付という御質問。済みません、ちょっと聞き逃しまして、申し訳ございません。(発言する者あり)そういうことですよね。はい。  そのような趣旨でお答えいたします。  お尋ね、通常審における検察官保管証拠の一覧表の交付制度と同様の仕組みを再審請求審においても設けるべきとの問題意識であると理解しております。  我々として考えておりますのは、まず一つは、何度も出ておりますとおり、通常審と再審請求審との手続構造の違いということがございまして、通常審においては、当事者主義の下で、検察官が立証に用いようとする証拠を吟味するとともに、それらを踏まえつつ、自ら必要と考える証拠の取調べを裁判所に請求する立場にあるのが被告人、弁護人であることから、検察官が被告人、弁護人に証拠の一覧表を直接交付する制度とされているものと認識しているところでございます。  これに対しまして、再審請求審におきましては、職権主義の下で、検察官保管証拠を吟味する立場にあるのが裁判所であることから、本法律案におきましては、裁判所の命令によりまして検察官が裁判所に一覧表を提出することとしているところでございます。  その他、被告人側、また再審請求者側による証拠の把握の困難性などといったこともあるわけでありますが、要するに、起訴、起訴後の証拠への把握という観点でいきますと、再審請求審の段階と通常審の段階では大きく異なるということもあって、そのような制度とはしていないわけでありますので、こうした違いを捨象して、通常審の公判前整理手続における検察官保管証拠の一覧表等交付制度の、同様の制度を再審請求審についても設けることとはしていないところではございます。  その上で、御指摘のようなこともあると思いますので、今後、五年ごとの検証、検討などもしていくということでございますので、委員の御指摘なども、ここでの様々な御意見も踏まえまして、今後改めて検討し、済みません、そういう中で検討していくということになるのだろうと思っているところでございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 是非検討していただきたいと思うのは、職権主義と当事者主義って、そのことをもう金科玉条のようにずっと言い続けていらっしゃるんですけど、本当に職権主義が貫かれているのかというところに揺らぎが生じているから話がややこしくなっているということを考えたときに、このいわゆる一覧表のきちんと開示を行うということについては、これはもう当然のこととして検討すべきことだと思います。  日本以外の欧米先進国では当たり前の制度としてもう既にやられていることであるということを考えたときに、今の法律の制度がそうだからできないという今の状況の説明としては、今の御答弁、成立すると思いますけど、今後、正しい裁判を行っていくということを考えたときに、そもそも、先ほど、冒頭申し上げたとおり、通常審できちんと正しい裁判が行われていれば再審なんか起こらないわけですから、起こっちゃいけないことが起こっているということに対してどう対応するのかということを今は議論しているという意味でいけば、これまで議論してこなかったからこれからもやらないということではなくて、今後のことを考えて今から検討していただくことを是非お願いしたいと思います。  時間がなくなってきたので、これで恐らく最後の質問になると思いますが、もう一問、質問させていただきたいと思います。これは大臣に御質問させていただきたいと思いますが、問いの六にあるところです。  証拠一覧の開示に当たって関係者のプライバシーや名誉を侵害しない証拠開示の方法を検討するべきではないのかということを、私、せんだっての本会議で御質問をさせていただきましたところ、大臣からの御答弁で、御指摘の証拠の一覧表が通常審における証拠の一覧表の交付制度の一覧表と同様のものを想定しているのだとしますと、通常審の場合と同様に、関係者の名誉、プライバシーに配慮した開示、交付の方法というものもあり得ると思われますと、このように大臣に大変前向きな御答弁を頂戴したわけでありますが、この答弁を受けて改めて確認なんですが、再審の場合にも、通常審の場合と同様に、関係者の名誉やプライバシーに配慮をした開示、交付の方法を今後速やかに検討していただけるという理解でよろしいのかどうか、この点について大臣の御見解をお伺いします。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) 御指摘のように、私、本会議の方で御質問に対し御指摘のような答弁をいたしました。  しかしながら、もっとも、証拠の一覧表の開示、交付の制度を設けることにつきましては、証拠の提出命令の請求等に際して効果的な場面は限定的であるというふうに思われる一方で、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性、職権主義ということなんですけれども、ことから、慎重な検討を要するものと考えております。  その上で、現行法の下では、再審請求審において裁判所が検察官に対し特定の範囲の証拠の標目を記載した一覧表の提示、提出を勧告するなどの運用の例が見られるところでございまして、こうした運用は本法案により証拠の提出命令制度が導入された場合も引き続き可能でございまして、関係者の名誉、プライバシー等にも配慮しつつ実際に行われていくこととなるものというふうに考えております。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 関係者の名誉、プライバシーの保護ということを毎回この質問するとどの質問に対してもお答えになっていますけど、刑訴法四十七条は、関係者の名誉やプライバシーの保護と同時に公平な裁判の実現を図る規定として四十七条が定められているということですから、公平な裁判を図る上で、要は職権主義の中で、要は弁護側と検察と裁判所の間で同じ証拠を持った上できちんと再審の手続を進めていくというのは、その方が裁判手続としては公平だと思うんですけど、私の言っていること、おかしいですかね。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっておりますので、簡潔にお願いいたします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  今、委員の御指摘はそのまま受け止めた上で、やはり再審請求審の目的という観点から言いますと、再審請求理由に関連する証拠を調べるということになりますと、その中でどういう証拠の中身を、あるいは、今、先ほど大臣が答弁した運用で交付する証拠の一覧表というものをどのように作るかといったこともございまして、そういった中で、まさにその裁判所の訴訟指揮の中でそのようにすることが再審請求審の充実に資するというふうに考えるのであれば、例えば標目の一覧表のように証拠の中身などは書けないにしても、そういったことを皆さん努力しながらやっていくものだというふうに考えているところでございます。

川合孝典 国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 どうもありがとうございました。  そもそも起こっちゃいけないことが起こっているということを前提としてどうするのかを議論しているということでありますから、通常こうだからということを、その前提が、そもそもその理屈が成立しないということをお互いに理解して議論しなければいけないと思います。  時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

横山信一 公明党

○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  まず最初に、手続構造のところからお伺いしたいと思いますが、現行の刑訴法は、戦前の旧刑訴法を全部改正する形で成立をいたしました。一般的に、戦前の職権主義から当事者主義を基調とするものに改められたと。一方、再審の規定は旧法のまま職権主義が残され、不利益再審の廃止を除いて旧刑訴法から大きな変更はありませんでした。  なぜそのような経過となったのか、伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  御指摘のとおり、大正十一年に成立したいわゆる旧刑事訴訟法から現行刑事訴訟法への改正に際して、再審手続に関する規定につきましては、不利益再審が廃止されたことを除くとそれほど大きな変更はなく、再審請求審における手続構造については旧刑事訴訟法と同様に職権主義が維持されたということでございます。  その上で、お尋ねの、当時再審請求審における職権主義の手続構造を維持することとされた経過につきましては、法務当局において把握している限り、国会審議を含めまして議論の形跡が見当たりませんで、判然としないということでございます。  他方で、再審請求審において職権主義が取られている理由につきましては、文献等によりますと、例えば、再審請求審は既に通常審における当事者主義的な手続を経て判決が確定した事件についての手続であり、被告人の罪責そのものを決定する手続ではないこと、現実の再審請求には濫請求的なもの、すなわちおよそ理由があるとは認められる見込みが乏しいものが含まれている、多いと思われることなどが指摘されているということだと認識しております。

横山信一 公明党

○横山信一君 この再審の部分についての職権主義というのが何となく残っちゃったという、そういうことですよね、簡単に言うと、平たく言うとですね。そういう意味では、今、職権主義を取っている理由というのは裏付けが後でなされてきているわけですけれども、そういう意味からすると、職権主義を盾にしてこの証拠開示をかたくなに拒むというのは、やはり先ほどの川合理事の話でもありませんけれども、非常に矛盾を抱えたままでこの再審制度というのは維持をされてきているという一つのあかしなのではないかというふうにも思うわけです。  現行の刑訴法については、これまでの答弁にあったとおり、通常審は当事者主義である一方、再審は職権主義と。しかし、衆議院の参考人質疑において、再審請求審の手続は職権主義一色で性格付けることはできず、当事者主義的な入口を踏まえた職権主義的な再審請求審の構造であるという、そういう旨が指摘をされています。  非常救済手続としての再審制度の設計や運用において、職権主義とみなした上で演繹的に結論を導くのは妥当とは言えないのではないでしょうか。刑事局長に伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  再審請求審は、審判の開始が再審請求者等の請求によることとされるなど、再審請求者等にも手続進行について一定の権利が与えられているわけでございますけれども、とはいえ、職権主義の下で裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続でございます。  その上で、演繹的にというふうにおっしゃいましたけど、必ずしも、例えばということで申し上げますと、いわゆる証拠の開示、提出について申し上げますと、この手続構造からすると、裁判所が主体的に判断するわけですので、それが審理、判断のために必要と認めた証拠について裁判所への提出を命ずる仕組みとするのは整合的であるとまずは申し上げているのが一点であります。演繹的に直ちにこうと言っているつもりではないということが一点であります。  加えて、他方で、再審請求者に直接証拠を開示する制度につきましては、こういった手続構造と整合性を欠くことになるため、これは裁判官や手続関与者、再審請求人側もそうでしょうし、検察官側もそうですけれども、そういったものの行動指針といたしまして不明確となるのではないか、誰がこれをどのように判断するのかということが不明確なものとなって、かえって再審実務が混乱するおそれがあるといった指摘があるものというふうに承知しているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 今後、この法案が仮に成立すると、五年ごとの見直し議論になってまいります。そういう意味では、ここの部分は実際、今後、仮に成立したとして、運用されていく中で、やはりこの職権主義の考え方というのは刑訴法全体に貫かれている当事者主義とは非常に異なった存在としてあるわけですから、こうしたところの矛盾をしっかりと見定める五年間にしていかなきゃいけないと思うんですね。  次の質問に移ります。  今回の改正案では、再審手続やその準備に使用する以外の目的での証拠の複製等の他人への提供を罰則付きで禁止しています。この目的外使用を禁ずる規定について、ジャーナリズムの世界から厳しい指摘がなされているところです。  一般社団法人日本新聞協会の声明では、当該規定の創設に反対した上で、「弁護団や支援者、報道機関が開示証拠を共有・分析し、問題点を社会に提起してきたことは、えん罪救済に重要な役割を果たしてきた。」というふうに述べられています。全国の主要な新聞社が加盟するこの日本新聞協会の声明でありますので、こうした声明を重く受け止めるべきだというふうに思います。  市民の支援や報道機関による検証が再審事件で重要な役割を果たしてきたというこの指摘に関して、法務大臣の認識を伺います。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) お答えいたします。  もとより刑事裁判は法と証拠に基づいて行われるべきものでございますが、再審請求事件における支援活動や報道の重要性については私としても十分に認識しているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 大臣の御認識はそのとおり、文書に書かれてあったとおりということで、何の反応のしようが、思わずなくなってしまいましたけれども。  この目的外使用について少しちょっと具体的にお聞きをしたいんですが、佐藤刑事局長に伺いますけれども、改正案の条文によれば、再審請求者、弁護人又は弁護人であった者が、証拠の複製等を再審手続やその準備に使用することは可能とされています、四百四十五条の五ですね。また、衆参の政府答弁では、証拠の概要を伝達するなどの行為は禁止されておりませんとされています。では、その概要とはどの程度のものを想定しているのか。  例えば、写真やネガのような証拠の複製物そのものでなければ趣旨が全く伝わらない証拠物の場合、一部の核心的な部分や調書であれば、調書であれば、人物が特定されない部分の引用は許されるのか、具体的にお聞きします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  まずは、その証拠の複製等といいますのは、要約、加工等をすることなく、証拠の内容の全部又は一部をそのまま記録した書面等を意味するということでございまして、様々な形があり得るとは思うんですけれども、要するにこの要件の当てはめということになるかというふうに思っております。  そういう意味で、その証拠の概要は、このようなそのまま記録した書面とは言えないものを概要というふうに呼んでいますので、そういったものを使用することは禁止されていないということをまず、まず第一点がそれでございます。  その上で、やはり、今御指摘のあった、謄写した写真やネガそのものを直接人に交付、提示するといった場合には、目的外使用の禁止違反とはなり得るということでございますけれども、その上で、再審手続等やその準備に使用する目的以外の目的で交付したり提示したりすることは当然もとより許されているものでございますし、そういった物証であっても、これをそのまま提示、そのまま、証拠の内容の全部又は一部をそのまま記録したものにはならないような形で加工等される場合もあるというふうに考えられますので、やはりそれは逐一個別のものに応じると思いますけれども、当てはめが生じるのだろうというふうに考えているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 ちょっと難しいなと思いながら聞いていたんですけど、ちょっと具体的に。  例えばですよ、袴田事件のときのような、五点の衣類のカラー写真を基に血痕の変色に関する検証が行われました。その成果が報道されて、再審無罪判決につながったという経緯があります。これまで可能であった写真やネガの目的外使用が許されないのであれば、袴田事件のような弁護側の主張が裏付けるような実験ができなくなるんじゃないかと。これについてはどうでしょう。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  今御指摘のあったような、済みません、まずは、証拠の目的外使用の禁止に関する規律は、あくまで謄写した証拠の複製等を再審手続やその準備に使用することはもとより許されるわけでございます。  したがいまして、今のお尋ねでいきますと、例えば再審請求者側が自己の主張を裏付けるような実験等を行う目的で、謄写した証拠の複製等、これはそのまま記録されたもので大丈夫ですけれども、それを使用する場合には、それが再審手続の準備に使用する目的というふうになされたと認められる限りは、目的外使用の禁止の違反には当たらないということであると考えております。

横山信一 公明党

○横山信一君 それは、要するに再審請求者側がするのであれば問題はないと。  例えば、新聞報道で、一般の人が実験をして、こうでしたよと教えてくれる、そういったことに関してはどうでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) まず、ここで問題となっている証拠というのは、謄写した証拠、証拠の提出命令などで謄写した証拠のそもそもの使用という話でありまして、第三者が行った実験等については全くこの規制、規制というか規律が掛かるものではないというものが一点であります。  その上で、もう一つは、別な人がやった場合にということでありますけれども、これまたその、この目的外使用の禁止の規範が掛かっているのは再審請求人及び弁護人でございまして、等でございまして、それ以外の者がそういったものを利用することについては何らの規律がないという状況にあるということでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 じゃ、ちょっと繰り返しになりますけれども、じゃ、現行制度の下で袴田事件はあのような解決を見たわけですが、この法律案であっても同じような解決の道筋は立つということでよろしいんでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  本当にここは、法務当局としての立場で、証拠を、仮定の質問に対して個別具体のその事案に照らして証拠も見ていない者がこの場面でこうだというのを申し上げるのは大変難しゅうございますけれども、少なくとも申し上げられますのは、そういった袴田事件で問題になったネガであるとかそういったものですよね。これが、これは通常、今の裁判でいけば、通常審で当然開示、済みません、そういう主張とか争いがあったりすれば開示されるようなものだと私は理解しているんですけれども、それが起きたときに、その色合いがという観点で様々な実験等が行われるといったときに、それは、通常、実験等を行うことそのものは、再審請求、済みません、通常審と再審請求がごっちゃになっちゃっていますけれども、再審請求の場合でいけば、再審請求の準備に用いる目的だというふうに考えられるわけでありますし、弁護人がやればそうでしょうし、弁護人が誰かに頼んでする場合でもそのようなことになるのではないかというふうに思われるところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 できるということなんでしょうね、多分ね。弁護側とか再審請求側からすると、こういったものは実際に見れるし、今の局長のお話だと、本来はこれは通常審で出てくるものだと。袴田事件のときは出てこなかったんですけれども、本来は出てくるものだと。私もそうあるべきだというふうに思いますけれども、そういう意味では、既に公開をされているということになるんだと思います。  次の質問に移りますが、証拠の目的外使用を禁ずる規定について、ジャーナリズム論の澤先生、早稲田大学の澤先生が、捜査機関が保管する証拠は国民の税金を使って収集された公共財であり、できる限り公開するのが本来の在り方だ、一律に目的外使用を禁ずる規定ではなく、外部提供に配慮が必要なケースは法曹三者が留意事項を検討するべきだというふうに指摘をしています。  また、実際に少年審判規制第七条では、家庭裁判所が事件記録や証拠物の閲覧、謄写を許可する際、プライバシー保護などのために個別に条件を付すことができる仕組みも既に定められています。  このような有識者の指摘や少年審判での仕組みを参考にして、裁判所が個別に条件を付すような、より制限的ではない制度を検討するべきと考えますけれども、局長のお考えを伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  証拠の収集に税金が用いられることは事実でございますけれども、適正な裁判を実現するために証拠の使用をいかなる範囲で認めるかにつきましては、証拠の複製等の目的外使用により生じ得る関係者の名誉、プライバシーの侵害、その他もろもろありますけれども、こういった弊害を考慮することが必要であると考えているところでございます。  その上で、現行法上、通常審における検察官開示証拠につきましては証拠の複製等の目的外使用が一律に禁止されて、一定の違反行為につきましては罰則が設けられているところ、通常審と再審請求審とでは関係者の名誉、プライバシーの保護、その他もろもろの必要性に違いはないというふうに考えられるところでございます。  また、御指摘のように、裁判所が弁護人に証拠を謄写ないし閲覧させるに当たって個別に条件を付すなどの制度につきましては、そのような条件が遵守される担保が不十分であり、目的外使用により生じ得る弊害を防止する措置として実効性に欠ける上、提出される全ての証拠について提出に伴い生じ得るあらゆる弊害を確実に防止できるような適切な条件を設定することは現実的に極めて困難であるといった御指摘がありまして、課題が多いというふうに考えられるところでございます。  個別に閲覧、謄写を認めないとなりますと、要するに、弁護人が持っていない証拠が生じるということでございまして、これは逆に言いますと、弁護人等にとっての手続保障という観点からも問題があるところではないかというふうに思うところであります。  我々としては、いろいろ御指摘を受けましてごもっともだなと思うことも多々あるのでありますけれども、やはり目的外使用を一律禁止することによって、通常審でもそうでありましたけれども、これで広く証拠開示をするという、そういったことを見ずに広く証拠開示をすることが可能になっているということでありまして、その都度、今日の午前中も被害者の、犯罪被害者の弁護士の方もおられましたけど、その都度、被害者の様々な思いを全て受け止める個別の条件の付し方というのは本当に困難なところだというふうに考えておりまして、私どもとしては、いろいろ頭を悩ませた上で、こういった結論に至るのが正しいと、その上で、個別の事案に関しては調整規定などを置きまして個別に適切に対応していくのが重要だろうというふうに考えているということでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 じゃ、次、スクリーニングについて伺っていきますが、スクリーニング規定について日弁連の会長声明において、充実した審理を行うべき事件を選別するために、およそ再審事由とはなり得ない内容を主張するなど、濫用的な再審請求を早期に手続から外すこと自体を否定するものではないと述べた一方、再審請求の理由を当初から的確に構成することは極めて困難というふうに言及をされています。その理由の一つとして、再審請求前に裁判所不提出記録及び証拠物の閲覧、謄写ができる制度が存在しないと、これが理由だというふうに言われています。  これらの事情を踏まえて、裁判所としてスクリーニングをする基準をどのように考えていくのか、平城局長に伺います。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  再審請求審は、再審請求者の提出する証拠やそれに基づく主張に基づきまして再審請求者の主張する再審理由の有無、これを判断する手続でございます。また、改正後の刑訴法四百四十四条の二は、裁判所は遅滞なく、再審請求を受けた場合にはその請求について調査をしなければならないとされ、二項各号に掲げる場合に応じて決定する義務を負っているところでございます。  したがいまして、再審請求者が再審請求の理由を当初から的確に構成できないと、こういう場合がありましたとしても、例えば不適法な申立てを適法な申立てとして扱ったり、また適法になるように誘導したりすることまでは困難であると思われます。  しかしながら、事案によって再審請求者の主張における不明瞭な点が存在するようなときに、再審請求者に釈明を求めたり、また補正を促したりするなどして、できるだけ早期に主張等を明らかにできるよう努めていくことはあり得るものと考えているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 親切にやっていただければいいんですけれども、現実問題、弁護団が付いて再審請求というのはそれほど多くはないという現実がありますので、なかなか再審請求者側だけでその明確な論理を組み立てて再審理由を述べていくというのは難しいと思うんですね。そういう意味では、裁判所がどういうふうに見極めていくのかということが非常に問われる重要なスクリーニングは場面になってくると。もちろん濫用的な請求があるのはよく分かっていますけれども、そこの見極めはもう裁判所に任されてしまうということでありますから、しっかりとやっていただきたいと思います。  証拠提出命令について、改正案第四百四十五条二の第一項に審判開始の決定をしたと規定されていることから、スクリーニングの段階において裁判所は検察官に対して証拠提出命令を出すことはできません。しかし、過去の再審無罪事件では、再審請求後の裁判所の勧告による証拠開示等を通じて再審開始決定につながったということもあります。  そうしてみると、スクリーニングの段階で再審請求者側が証拠の開示を受けるなど、再審請求者に対しての十分な手続保障が必要と考えますけれども、刑事局長に伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  証拠の提出命令は、御指摘のように、調査手続において審理を要すると判断されて審判開始決定がなされた事件についてすることができることとされているところでございます。  この調査手続におきましては、再審請求の棄却事由を法令上の方式違反などに限定しておりまして、理由がないことが仮に明らかな再審請求であっても、再審調査手続の段階ではそれを理由として再審請求を棄却することはできませんで、審判開始決定がなされる仕組みとされていることから、真に救済されるべき事件の再審請求が調査手続の段階で拙速に棄却されるようなことはないだろうというふうに考えておりまして、その次のフェーズに進むのではないかというふうに考えているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 そうあればいいのですがというところなんですが。  改正案では、再審の請求を受けた裁判所は、審判開始決定の後でなければ、事実の取調べをすることができません。簡易迅速に調査手続を進めるには、事実の取調べのような時間を要することは認めない方がよいという判断なのかもしれませんが、二十五日の参考人質疑では、再審請求と同時にこういう証拠を取り調べてくださいという事実の取調べの請求をしてもらった方が、再審、審判開始決定の可否をより判断しやすくなるという意見が述べられていました。例えば福井事件の場合でいえば、「夜のヒットスタジオ」、午前中もありましたけれども、この捜査報告書があると聞いたので出してくださいという請求はできなくなります。その上で、請求人側で新証拠を出しなさいというのは不可能を強いることになるんじゃないでしょうか。  佐藤局長に伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  再審請求をする場合には、裁判所に対しまして再審請求理由を記載した書面を差し出すとともに、その請求理由に対応した証拠書類等を提出することが必要とされておりまして、このことは、本法律案による改正の前後において異なるところはございません。  その上で、現行刑訴法上、再審請求の補正に関する明文の規定は設けられていないところではございますけれども、実務上、裁判所においては、再審請求に法令上の方式違反等がある場合、再審請求者側に補正を求めることができるとの解釈に基づく運用がなされているものと承知しているところでございます。まずはそれが一点でございます。  また、裁判例といたしまして、再審請求者が裁判所に対しまして再審請求の理由を記載した書面を差し出したものの、ここに証拠書類等を添付せずに、一方でその証拠書類を具体的に列挙して、その所在を明示してこれらの取り寄せを求めるなどした事案がございまして、これにつきまして、裁判例といたしましては、当該事案における個別具体的な事情に照らしまして法令上の方式に違反するものではないとしたものがあるというふうに承知しているところでございます。そして、この本法律案における再審請求審における調査手続の新設といいますのは、これらの現行法の解釈や運用を変更する趣旨ではございません。  したがいまして、この調査手続の創設によりまして、今お話があったような再審請求者がこれまでよりも重い負担を負うといったことになるものではないと考えているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 そうすると、そういう証拠が例えばありそうだというところで、その証拠を請求した形で再審請求もすることができるということなんですね。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) 済みません、あくまでその当該事案における個別具体的な事情に照らしてそのような判断をした裁判例があるということでありまして、やはり最後は裁判所における個別具体な事案に応じた判断ということでありますけど、今お話ししたような解決もあり得るということだと理解しているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 じゃ、次に、大臣に伺いますけれども、刑訴法四百三十九条第一項では、検察官を再審請求者として規定しています。これは、検察官は公益の代表者とされることから、公益的な観点から元被告人を救済するべきであると考えられる場合を想定して、元被告人とは別に請求権限が認められているとされています。検察官は公益の代表者であり、再審請求者としても規定されていることを重く受け止めるべきであります。  大臣は、この検察官の再審請求の権限についてどのように考えるか、伺います。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) お答えいたします。  誤判により無実の人が処罰されることはあってはならず、万が一そのような事態となれば、一刻も早く救済されなければならないと思っております。  刑事訴訟法上、検察官も再審の請求をすることができるとされていますが、これは、検察官が公益の代表者として確定判決が誤っている場合にはその是正を求める立場にあるためでありまして、その権限が適切に行使されることは、誤判からの速やかな救済を実現するために極めて重要であると考えております。

横山信一 公明党

○横山信一君 じゃ、この検察官の再審請求権って実際どのような場面に行使されるのか、伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、有罪判決が確定した後に、有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠を収集、把握するに至った場合など、再審理由が判明したときには、検察官から再審の請求をして、その証拠を裁判所に提出するなどの対応を取るべきとの考えの下で対応しているものと承知しているところでございます。  その上で、これまで検察官が再審の請求をした事案としては、例えば、判決確定後に全く別の人物が真犯人であることが判明した強姦等の事案がありましたほか、判決確定後に保険金詐取目的での偽装事故であることなどが判明した自動車運転過失傷害の事案などがあるものと承知しているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 実際に検察官による再審請求というのはあるんだという報告でございましたけれども、公益の代表者としてこの自覚をしっかり持ってやっていただきたいと思いますし、再審請求がなぜ出てくるかといえば、無辜の救済と言われていますけれども、自分が犯人に仕立て上げられてしまったと、要するに、検察はそういうストーリーを作ってその人に罪を着せるわけですけれども、それに対して全く無実の証拠が現れる、証人が現れる、真犯人が現れるなんという場合はこういうことができるということなんですけれども、そもそもそういう誤判が起きないようにするということが根本的に大事でありまして、そこをこれからどういうふうに運用していくかが重要になっていきます。  ちょっと一つ飛ばしまして、次、再審請求が申し立てられた後の事件の進行について、現状では、弁護人からの求めに応じて裁判所、検察官、弁護人を含めた再審請求者側との三者協議が実施されることが通例となっています。  六月二十三日の本委員会で、平城局長は、本法律案が成立すると、証拠の提出等の権限と責務が明らかになるので、提出を求める証拠の範囲、必要性等につきまして、関係者とよく議論し、認識を深めることができるようになると答弁をされました。これは、三者協議により適切な証拠開示の勧告や命令がなされることを想定しての発言というふうに思います。  これまでの三者協議は、裁判所の裁量に委ねられているため、必ず実施されるものではありませんでした。三者協議、運用上義務化してもよいというふうに思いますけれども、平城局長に伺います。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  特に深刻な争いがあるような再審請求事件においては、早期に打合せ期日を設けて、関係者の主張や証拠を整理し、手続の進め方について共通の理解を形成していくことは、適正かつ迅速な手続進行を確保する上で有用な場合があると認識しております。  もっとも、全ての事件でこのような期日を設けることを義務付けることとなりますと、事案に応じた柔軟な手続進行が困難になることもあろうかと思われます。  結局のところ、三者協議を実施するかどうかは、適正かつ迅速な判断に向けてどのように手続を進行させていくことが適切かといった裁判体の訴訟指揮権の行使そのものに関する事項であり、個別の事案の内容に応じざるを得ない部分があるのではないかと考えております。

横山信一 公明党

○横山信一君 具体的に、じゃ、その三者協議を実施しない方がいい場合というのはどういう場合なんでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) 事務当局として網羅的に申し上げることはなかなか難しいところがありますけれども、例えば法制審の議論なんかで出てきたもの、例でいいますと、矯正施設に収容されている被告人から再審請求があった場合に協議の場を設けるかどうかであるとか、また、一応、審判開始決定されている事件かどうかというのもあるかもしれませんが、審判開始決定された事件において一応判断するという段に至っても、特別に事実の取調べ等を要することなく結論を導けるような事案もあるんだろうと思っておりまして、そのような事案含めて全て期日が義務付けられるということになると、柔軟な手続遂行が阻害される、そういう部分もあるのではないかと考えているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 じゃ、不服申立てについて伺いますけれども、改正後、第四百五十条二の第一項の十分な根拠がある場合に限り、即時抗告をすることができるの文言について、衆議院法務委員会において、実体上、抗告の事由をこの場合に限定する趣旨かとの質問に対して、検察官が再審開始決定に対する不服申立てをするか否かを判断するに当たって遵守すべき行為規範を定める趣旨であるというふうに答弁しています。  本法律案では、再審開始決定に対する検察官の抗告の原則禁止となっていますが、この改正部分が検察官の行為規範にすぎないのであれば、検察官における抗告を原則禁止するとしたことにならないのではないか。局長に伺います。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  本法律案におきましては、再審開始決定に対する抗告を原則として禁止した上、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限ってすることができることとしているところでございまして、検察官はこの例外要件を満たす場合でなければ抗告することができないこととされております。  その上で、本法律案では、検察官の抗告が十分な根拠に基づくものであるかどうかを国民がチェックできるよう、抗告の理由等を遅滞なく公表することとしているところでございます。  また、検察官の抗告に対しましては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされるところ、本法律案では施行後五年ごとの検討条項を設けることとしておりまして、裁判結果を踏まえて抗告の運用状況が定期的に評価されることになると考えております。そのため、検察当局におきましては、再審開始決定に対する抗告につきまして、抗告裁判所の審査に堪え得る客観的に妥当なものかどうかという観点から組織的に十分な検討を尽くした上で慎重に行われることとなると考えられるところでございます。  十分な根拠の判断主体は検察官でありますけれども、仮に検察官が十分な根拠がないにもかかわらず、再審開始決定に対して抗告をした場合には、抗告裁判所において、通常、当該抗告に理由がないとして棄却されることとなるわけでございますので、検察の抗告につきまして、司法的抑制は十分に機能するものと考えているところでございます。

横山信一 公明党

○横山信一君 従来、抗告をすれば、検察が抗告をすれば、裁判所はそれを受け入れてしまう場合が多かったわけですから、そういう意味では、十分な根拠がなくて抗告をしていても裁判所がそれを受け入れてしまうと、従来だったら、そういう例があったわけでありますので、まさに今のこの法案審査を通じて度々この問題は出されてきているところでありますけれども、そういうことが今後起きないように、本当はきちっと法令上縛りたいところなんですが、なかなかそれが今の段階では難しいので、しっかり覚悟を決めて臨んでいただきたいということで、質問を終わります。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。  まず、前回取り残していた法制審議会のメンバー選びについて、法制審の公平性、中立性というところから始めさせていただきます。  今回、そもそもこの再審法ですが、議連で議法を出しました。その後、かなり急いで法務省さんが法制審を設定をして、普通は一か月に一回ぐらいなんですけど、一か月に二回ということで急いで進めていただき、そして今回閣法の提案になっているんですけれども、法制審がどこまで公平性、中立性を担保できているのか、これ、かなり本質的な問題ですので、今回のメンバー選びについて、どのような基準、理由をもって選定したのでしょうか。法務省さんにお願いします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  法制審議会令におきましては、法制審議会の委員、臨時委員及び幹事につきましては、学識経験のある者のうちから法務大臣が任命し、そのうち、部会に属すべき委員、臨時委員及び幹事は、法制審議会の承認を経て会長が指名することとされているところでございます。  その上で、お尋ねにつきましては、個別の人事に係る検討の過程に関する事柄でございまして、お答えは差し控えますけれども、法務当局といたしましては、諮問の内容に照らして、再審請求事件の実情を踏まえつつ、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々に委員等をお引き受けいただいたと考えているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  そのようにしか言いようがないと思うんですが、この間、六月二十五日、田岡参考人さんも言っていらっしゃいましたけれども、今回の答申、反対したのは弁護士委員の三人で、残りの方、法務省、検察庁、裁判所の委員と研究者の委員も全て賛成されたということで、この辺のところに既にかなり意見が分かれているわけですけど、研究者の委員の中にも賛成、反対の方がいて、研究者内部での議論が活発に行われるようなメンバー選定がなされるべきだった、つまり、研究者の中では賛否は分かれていなかったんですね、というような御指摘もありましたけど、ここについてはどうでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  今の田岡参考人の御意見も含めまして、法制審議会刑事法(再審関係)部会の構成につきまして様々な御意見があることは承知しているところでございます。  その上で、個別の人事に係る検討の過程に関する事柄についてはお答えを差し控えますけれども、法制審議会のこの部会の委員、幹事を務めていただいた刑事法研究者は、刑事訴訟法学界、我が国の刑事訴訟法学界を代表する方々であると認識しているところでございます。その上で、個別の論点についてどのような御意見を持っているかといったことで判断して選定したといったものではないというふうに考えておりまして、法務省としては、諮問の趣旨や内容に照らして、再審請求事件の実情を踏まえつつ、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々に委員等をお引き受けいただいたというふうに考えているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 類似の視点ですけど、あのときの研究者のメンバーで、高平参考人も言っていらっしゃいましたけれども、再審の部分で長年取り組んできた研究者は、選ばれた方以外におられたのではないかと。その方の専門性が言わば配慮されずに、このメンバー選定における専門性をどのような範囲で担保するべきなのか、見解をお伺いいたします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  再審制度の改正といいますのは、基本法である刑事訴訟法の改正の根幹に関わるものでありまして、刑事裁判実務に、全体に非常に大きな影響を及ぼすものであると考えているところでございます。  そのため、刑事法に関する基本的な事項をつかさどる法制審議会におきまして、様々な立場の専門家の方々に、再審請求事件の実情を踏まえつつ、幅広い観点から議論していただくこととしたものでございまして、そのような意味で、今御指摘がありましたように、裁判所側、弁護、日弁連側、警察、検察、そういったところに加えて、日本を代表する学者の方々に入っていただいたということでございます。  その上で、専門という話がございましたけれども、まさにこの先生方が刑訴法を専門とする学者さんの皆様でありまして、私どもとしては、諮問の趣旨及び内容に照らして、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々に委員等をお引き受けいただいたと考えているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ここはもう押し問答しても先はつながりませんので、一旦引かせていただきます。  次は、今回のこの法案、今までずっと議論してきましたけれども、この法律が実際に無実の罪で苦しむ方が救済される、まさに法の運用が大事でございますけれども、今回、特に裁判所の体制、裁判官の実務について質問したいと思います。  再審請求は言わば裁判官ガチャと言われていましたけれども、再審請求審が個々の裁判官の職権に委ねられている中で、裁判官の中でも再審事件に対する個々の熱意、知見は大きな差があります。熱心な裁判官に当たるかどうかで結果が大きく変わるということはよく言われております。  毎回、私自身がなじみの滋賀のケースで恐縮ですが、湖東記念病院事件では、大阪高裁の再審開始決定が出た背景には、当時の、もう具体的に名前を申し上げますが、後藤眞理子裁判長が大変な熱意を持たれておりました。裁判長自ら確定審の裁判記録を詳細に読み込み、司法解剖鑑定書の記載から死因が致死性不整脈による自然死だった、つまり人為的に殺人ではなく自然死だったというところに注目をし、積極的な起訴指導を、指揮を執られました。当初、弁護団は死因について別の主張をする予定だったんですが、訴訟指揮を受けて戦略を転換し、裁判長の求めに応じて致死性不整脈に関するデータを集め、追加証拠を提出してきました。このように、積極的な訴訟指揮があってこそ、西山さんは再審無罪を勝ち取ることができたわけです。  逆に言えば、今回の法改正で導入する諸規定も、適切に機能するかどうかは最終的にかなり個々の裁判官の力に懸かっています。今回の議論でも裁判所の職権主義ということが強調されておりますけれども、再審請求審における裁判官の役割の重要性は一層高まっているわけですが、これまでの再審事件では個々の裁判官によって積極性にもばらつきがあり、裁判官ガチャと言われるような実態があったとする指摘に対して最高裁判所さんはどのような見解をお持ちでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  再審請求事件を含めた事件の審理の進め方は、事案の内容や再審請求者等の主張の内容等に応じて各裁判体が行使する訴訟指揮権に関する事項です。最高裁事務当局としてその評価にわたる事項について所見を述べることは差し控えさせていただきます。  一般論として申し上げれば、裁判官は手続の主宰者として適正かつ迅速な裁判を実現する職責を負っており、本法律案が成立した場合には再審請求事件における手続規定が整備されることになりますので、これらの規定及び趣旨に従って適正かつ迅速な裁判を実現していくことが重要であると考えているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  一般論レベルでしかもちろん答えられないと思うんですが、この裁判官の経験というのは非常に重要です。そもそも、この再審事件を担当すること自身が大変数が少ないと。例えば令和六年のデータでは、地方裁判所に提起された刑事事件約七万件ありますが、再審請求は百四十一件。つまり、七万件のうちの百四十一件、僅か〇・二%しかありません。  元裁判官で法政大の法科大学院の水野智幸教授によれば、これまで裁判官が再審に関わる機会も研修などで学ぶプログラムもなく、そもそも知識がないと指摘をしておられます。そんな中で、今年一月及び二月には司法研修所が裁判官を対象に再審制度に関する研究会を開催されました。こうした取組、始めていただくことは高く評価ができますし、歓迎したいと思いますが、この研究会を開催された目的と成果についてお願いいたします。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  司法研修所におきまして、令和六年度及び令和七年度に再審に関する研究会を開催いたしました。これは、昨今の再審開始決定事件等を受けて、再審事件の審理の長期化等について、もうこれは再審請求事件も含めてですけど、様々な御指摘がある中で、手続を主宰する裁判所として再審請求事件についても迅速に手続を遂行していく責任がある一方で、再審請求事件数は必ずしも多くなく文献も乏しいため、裁判所内でその知見や経験が蓄積、共有されにくい状況にあったことを踏まえて開催されたものでございます。  このうち令和七年度、本年一月ですかね、令和七年度に開催された研究会につきましては、主に審理の長期化への対策を研究し、共有するという目的から開催いたしました。  当研究会では、審理が長期化した再審請求事件の経験がある弁護士を講師としてお招きし、再審請求者側が感じている課題について御講演いただくとともに、同弁護士も交えまして、審理の長期化という問題意識の下、進行管理の在り方等について議論が行われました。  その結果を取りまとめた資料については、研究会に参加していない裁判官も含めまして、裁判所内で共有されているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 今までにない研修をしていただいたということですけれども、次の質問は、これからどのようにこの研修、研究会、展開をしていくかということで質問したいんですが。  質問六ですけど、ここも具体的に後藤眞理子さんの例をフォローさせていただきますと、湖東事件に関わる以前に足利事件に調査官として関わる御経験をなさっておられます。これが直接影響したかどうか分かりませんけれども、非常に珍しいケースなんですね。  一般的には個々の裁判官が再審事件を担当する機会が非常に少ない中で、裁判官個人として知識や経験を蓄積することは難しいわけです。そんなわけで、今後の研修、研究会の開催の方向性等、どうでしょうか、より強化していく方向をお考えでしょうか。お願いいたします。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、各裁判官が再審請求事件を担当する機会は必ずしも多くありません。その中で知見や経験を共有していくことは大変重要なことであると考えております。  最高裁といたしましては、本法律案が成立した場合には、その内容や成立に至るまでの議論状況等を周知するとともに、研究会の開催を含め、改正法下における再審請求審の適切な運用の在り方について裁判官同士が議論する機会を確保し、その知見や経験を共有、蓄積してまいりたいと考えているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  一方で、検察庁の方でも知識、経験を蓄積する体制が取られていると伺っておりますけれども、令和六年一月に最高検に再審担当サポート室を設置されまして、全国で再審事件を担当する検察官への支援をされておられます。日経新聞の報道では、再審事件に詳しい最高検検事ら数人で構成し、弁護側の提出する新証拠や証拠開示請求に関する相談等、アドバイスするとのことです。もちろん検察の組織ですから検察側の主張を充実させることが中心になるかとは思いますが、一面的に再審請求人を犯人視するだけではなくて、改めて事件について適切、公平に検証し直すことにもつなげていただきたいと思います。  特に今回の法改正においては、これまでも議論になりましたけれども、検察官の不服申立て原則禁止をしっかりと機能させるためにもサポート室に期待される役割は大きいと思います。地裁で再審開始決定が出たとして、地検だけで不服申立てを断念するというのは大変勇気が必要だと思いますが、そこで、サポート室から今回の法改正の趣旨を尊重した対応を取るよう背中を押していただくようなことができれば、現場の運用というものも変わってくるのではないでしょうか。  改めて、このサポート室の体制、役割、現在までの実績、法改正後の運用について御説明お願いいたします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  裁判所においてもそうだと思いますけれども、一般の検察官、この再審に関する経験を持っていない人がほとんどでありますので、そういったことを踏まえまして、御指摘の再審担当サポート室が最高検察庁に設置されたということでございます。これは、各検察庁におきまして再審事件に適切に対応できるようにすることを目的といたしまして、各検察庁が担当する再審事件についての助言、指導、あるいは再審事件に関する必要な情報の収集、分析、発信などの業務を行っているということでございます。  この実績といいましょうか、個々の事件との関係であるとか体制などについてはお答えすることは差し控えますけれども、委員の御指摘のように、もとより有罪の確定判決を維持することを目的とするのではなくて、個別の再審事件におきまして再審請求者が主張する再審理由を踏まえまして法と証拠に基づいて適切に対応するべく助言、指導等を行ってきたものと承知しているところでございます。  その上で、本法律案が改正法として成立した場合には、各検察庁が改正法の趣旨及び内容を踏まえて個別の再審事件により一層適切に対応する必要があると考えているところでございますが、この再審担当サポート室が中心となりまして、引き続き、各検察庁が担当する再審事件についての必要な助言、指導等を行っていくものと考えているところでございます。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  検察においても専門性を高める努力がある一方で、裁判所の組織としても体制整備が進まなければ、バランスを欠くことになります。  少し国際的な比較をしますと、イギリスでは独立の専門機関である刑事事件再審委員会、CCRCが再審請求に対応しており、もちろん経験を蓄積することができます。日本は裁判所が再審に対応するため、かなり異なるケースですが、また一方、フランスでは日本の最高裁に当たる破棄院の中に再審の専門部が設置されており、ノウハウを蓄積できるようになっております。  今回の法改正の検察官の不服申立ての原則禁止の実効性を担保するためには、地裁の再審開始決定の内容がしっかりしていることが大切で、そのためには地裁の体制充実が欠かせません。これを踏まえ、今後、裁判所では再審についての専門性をどのように蓄積し、向上させるのでしょうか。海外の例を踏まえて、裁判所における再審の専門部の設置あるいは再審調査官を配置するなど体制を整えることはできないでしょうか。最高裁さんにお願いいたします。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  再審請求事件に関する知見等を蓄積していくことが重要であると、このような問題意識から、令和六年度や令和七年度、研究会を開催し、再審請求事件における進行管理の在り方等について様々な悩みや対応策を共有し議論を行い、その結果を裁判所内部で共有してきたところです。  最高裁といたしましては、まずは適切な事件処理が行われるような体制整備に努めるとともに、引き続き、研究会を実施するなどして、再審請求事件に関する知見等を共有できる環境を整えてまいりたいと考えております。

嘉田由紀子 日本維新の会

○嘉田由紀子君 今日の質問で実は一番大事なところが、ちょっと時間がないので、エッセンスだけ申し上げます。  裁判官の人事評価のところで、この再審請求がなかなかポジティブには評価されていないということを、今日資料として弁護士ドットコムのニュース、皆様にお配りしておりますけれども、もう時間がございませんので、この点については次回詳しく、つまり生身の人間で、裁判官の人事評価というのは大変大事だと思いますけれども、その裁判官の人事評価に、再審を決定した判決、あるいは破棄した判決、この違いによってどうも評価が変わってくるということも一つの研究ですけど出されておりますので、この点については次回展開させていただきます。  時間来ましたので、私の方、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 参政党の安達悠司です。  まず初めに、お手元の配付資料を御覧ください。  これは、法務省が出している令和七年版犯罪白書の二十七ページから三十ページまでの資料でありまして、第三章、諸外国における犯罪動向、その中でも、諸外国との、我が国との犯罪発生件数や発生率の比較であります。  それを見ると、我が国は概して治安がいいというのは外国と行ったり来たりしても肌感覚で分かるんですけど、統計上も例えば殺人の発生率でいいますと、これは人口十万人当たりの発生件数をいいますが、例えば二〇二二年、令和四年は〇・二と日本でされているのが、韓国だと〇・五、フランスだと一・二、ドイツ〇・八、イギリスは数字ないですけど、その前年は一・一、アメリカ六・五ということで、我が国はほかの国と比較しても発生率が低いということになります。  またその次のページ、窃盗の発生件数や発生率見ると、二〇二二年、侵入盗で、我が国日本二九・三、韓国三七・八、フランス四四六・九、ドイツ三〇九・九、イギリスが数字がなくて、その前年が四一一・六、アメリカで二六八・五と。  さらに、その次のページ、性暴力を見ると、日本、これ性暴力の定義はちょっと国によって異なるようですけど、日本は令和四年が五・一、韓国四三・五、フランス一二六・一、ドイツ五九・一、イギリスが三一〇・一、アメリカ四一・四と。ただ、アメリカはセクシュアルバイオレンスのみのデータということはあります。  これの単純な国際比較ができないにしても、我が国というのはやはり非常に治安がいいというふうに言えるのではないかと思います。  これはなぜかといいますと、やはり国民性や文化の、文化慣習、道徳や経済など様々な要因ありますが、やはり一たび犯罪が発生したら、それを迅速に捜査して起訴し、確実な有罪判決を得て処罰する仕組みというのが整っているということは大きな原因ではないかと私は思います。つまり、国家の刑罰権、これは警察や検察、それから裁判所、弁護士と、こういった仕組み、司法の一連の仕組みによって得られる我が国の相当な成果ではないかと私は思っている面もあります。  他方で、この国家の司法制度、刑事的な司法制度、特に刑罰権というのは、今このグローバル化の流れの中で大きな変化にさらされようとしています。このグローバリズムというのは、国家以外の組織、例えば多国籍企業であったり国際機関という力が強まる一方で、相対的に国家の力を弱めようと、例えば国家の刑罰権もそうですね。外国の企業が日本にやってきたときに、どんどん処罰されてしまったら困ります。だから、処罰する力を弱めよう、処罰されないようにしよう、あるいは国際機関が犯罪の捜査とかやりますけど、外国、その国家主権に基づく捜査を権限を弱めようと、こういった動きがあるようにも考えられます。  なので、我が国の刑罰権も、外国、国際機関から様々な要求が来て、それによって刑罰の仕方も変えられようとしています。再審なんかももしかしたらその一つかもしれませんが、余り過剰に外国や国際機関の要求によって我が国の捜査の在り方や刑事制度の在り方を変えてしまうと、結果的に我が国の捜査能力や犯罪の取締り、起訴、処罰、その確定判決の効力、そういったものが変わってきて、結果的に我が国の治安の良さが守れないと、こういった可能性もなくはありません。  ですから、私は、弁護士でありますが、やはり検察、警察にはこの治安の良さを引き続き守り続けていただきたいですし、そのために、不祥事の報道や実例もありますが、そうしたときにもきちんと自己変革ができて、再び捜査あるいは処罰、起訴などの公正が担保できるようなチェックを国会、またこれは国民がしっかりやっていかなければならないと思っております。  中には被害者の立場や遺族の立場というのもありますし、また再審に関して言えば、これはもちろん冤罪だった場合は救済しなければなりませんから、これは、真犯人の発見ということはこれは誰の目から見ても正義でありますので、そういうことは必要なんですが、ただ、それを不用意に変えることで再審制度が濫用されたり悪用されたり、処罰されるべき者が処罰されなくなったりと、こういった抜け穴をつくらないように注意しなければならないのではないかと私は思っております。  そこで、いろいろ質問をしているんですけれども、まず今回、ちょっとあえて厳しい質問から、四番の、令和八年七月十日付け、名古屋高等検察庁のいわゆる福井女子中学生殺人事件の調査結果報告書についてお尋ねしたいと思います。  この福井女子中学生殺人事件というのは、今朝、午前中にその被害者のお姉さんが来ておられましたが、昭和、もうあれですね、六十一年三月十九日に発生したものでありまして、一九八六年ですね、今から四十年前の事件となります。しかし、なぜこれが話題になるかというと、昨年の七月に再審無罪が確定したからでありまして、その再審無罪に確定した、まあ様々なことが言われますが、大きな要因の一つとして、「夜のヒットスタジオ」の捜査報告書ということで、結局、目撃証人の、目撃証人といいますか、被告人の服に血が付いていたというのを見たと証言しているその目撃証人の一人が、供述の一連の流れの中で、「夜のヒットスタジオ」のテレビを家で見た上で、そこで嫌らしい踊りというのがある日、その日の上で、もう一人の目撃者から呼ばれ、行動を共にした上で、血を見て検問に至ったと。自動車の検問を受けたのは間違いないわけですけど、に至ったという流れを述べたわけですね。  しかし、実際にはその日にはその放送がされていなかったということなので、また、その人はもう一個別の供述もしていて、いや実は、その日はうどん屋に行ってけんかを見て、そして覚醒剤取引をして検問に遭ったと、こっちの方がどうも自分の記憶と合っているというようなこともずっと言っていたわけですよね。だから、要はその日が、「夜のヒットスタジオ」を家で見た日だったのか、それともうどん屋のけんかを見た日だったのか、これがどっちなのかということが問題になったわけですね。  検察官も、その辺は当時からすごく気にしていて、ただ、これが、じゃ、確定的にヒットスタジオの嫌らしい踊りはなかったということはいつ分かったのかということなんですが、いつだと思いますか。これが平成元年の二月六日です。非常に前ですよね。昭和六十二年に起訴して、そして平成元年にはもう分かって、その上で検察官は、平成二年の四月十七日に論告を行っているんですね。その論告行ったときに、いや、ヒットスタジオの供述の方が正しいんですよということを言っちゃったわけです。このとき分かっているわけですね、捜査報告書あるわけだから。その日に放送がないのを分かっているのに、平成元年二月に分かっていたのに、平成二年四月にそういう論告しちゃった。これ、大問題ですよね。このことをずっと維持したまま来ているわけです。  そうすると、これはどうすべきだったとかいうと、それはもちろんその真実でない供述、目撃者の供述を維持することはあり得ず、うどん屋だと。じゃ、うどん屋の流れで本当に血を見たのかというふうな補充捜査をやるべきだったわけですけど、なぜうどん屋の流れで被告人の体に血を付いているというこの流れがあり得るのかどうかという補充捜査しなかったのか。  その点、報告書を見てもいまいち分かりませんので、それの説明をお願いいたします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  本年七月十日に検察当局が公表した調査結果報告書に基づいてお答えいたしますと、御指摘の事件におきまして、御指摘のC、調査報告書、Cと名前が付いている者ですけれども、当初のCの第一次供述では、テレビ番組の当該場面、いわゆる嫌らしい踊りの場面でありますけれども、これが放送された日に被告人だったX氏らに会い、X氏の服に血が付いているのを見たとしていたのに対しまして、その後、供述が変遷いたしまして、変遷後のC第二次供述では、テレビ番組の当該場面が放送された日の夜、うどん屋において知人のけんかを目撃し、その後別の知人と会って覚醒剤を譲り受け、さらに別の知人とともに福井市内を車で走行していたところ、その事件に伴う検問に遭っていて、その日はX氏らには会っていないとしていたものと承知しております。  その上で、テレビ番組の当該場面の放送日につきましては、当初、検察官は、証拠調べ請求を行って証拠採用された昭和六十二年の段階の捜査報告書の内容を踏まえまして、当該場面の放送日は事件当夜である昭和六十一年三月十九日夜と主張、立証していたのに対しまして、確定審第一審の最中に改めて行われた裏付け捜査の結果作成された平成元年の捜査報告書では、その放送日は昭和六十一年三月二十六日とされていたところでございます。  その上で、検察当局の調査報告書でも、平成元年の捜査報告書の内容につきましては、委員御指摘のとおり、変遷後のC第二次供述でCが供述するうどん屋等での出来事が事件当夜のことではなくなるという点で、変遷後のCの第二次供述の信用性を代替することができる一方で、変遷前のC第一次供述でCが供述していたX氏に係る目撃状況も事件当夜のものではなくなるという点で、変遷前のC第一次供述の信用性も減殺される関係に理解できるものであるといったことが指摘されているということでございます。  その上で、お尋ねの補充捜査の有無につきましては、先ほどの調査結果報告書の内容でも言及されておりませんので、法務当局としてお答えすることは差し控えますけれども、いずれにしましても、先ほどの調査結果報告書におきましては、確定審第一審を担当していた検察官が従前の主張やその主張の前提となる捜査報告書をいずれも撤回するなどの是正措置を講じることにより、それまでの検察官の立証が一部が誤っていたこととなるとともに、Cの変遷前の証言の信用性を基礎付ける証拠の一部が失われる事態を避けようとして、適切な是正措置を講じずに、従前の主張、立証を維持してその内容を前提とした論告を行ったものと判断せざるを得ないと指摘いたしまして、この点を真摯に反省しなければならないとしているものと承知しているところでございます。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 要は、平成元年二月の時点で検察はリカバーできたわけですよね。ちゃんと捜査やっていれば、これはもちろん真実は、そのときはまだ検察はもちろん有罪を立証する立場だと思うんですけれども、果たして、そのうどん屋と血を見たのが両立するのかという点で補充捜査をしたり、そうしたら、これCの、目撃者Cの偽証や事実と異なる供述も明らかになった可能性が高いですね。そうするとまた全然話が変わってきて、その時点だとまだ何らかのリカバーがあったのかなかったのかも分かりません。結果的に、令和六年三月になって、あれですかね、その再審で供述した結果、そもそも血は見ていないという供述になっちゃったわけですよね。  なので、やはり、なぜそのときリカバーしなかったのかが、四十年近くたってきたということなので、やはり、この真実を把握したのにそうじゃないまま立証活動を続けたというのは非常に問題でありまして、その検証が余り、私はこれ読んでもなぜなのかが分かりませんでした。  また、今回の原因の一つとしまして、薬物などを使っている方々、薬物常用者が目撃者であったり、あるいは関係者であるといったこともあります。この薬物を使用しているという場合に、やはりそれ自体が犯罪行為ですし、その方々が参考人となって取調べや供述の信用性確保ということがされると、既に自分自身が捜査対象ですから、不利益事実を隠したり虚偽を言ったり、また精神状態も変動したり、思い込みがあったり、誘導に乗ったり、暗示にかかりやすかったり、そういった危険が常に付きまといます。  これ昭和六十年代なので、まあビデオ撮影ができたかというのはちょっと分かりませんが、録音はあったでしょうし、今だったら、取調べ過程の全録画や弁護人の立会い、医師の立会い、早期の裁判所での証人尋問の実施、これは、証人尋問はどうも公判前やっているようですけど、そういったことも考えられると思いますが。  今回のこの事件を踏まえて、こういったいわゆる精神的にも供述が変動しやすいなと思われる方が被害者だったり、あるいは参考人になった場合に、今後どういう対処や指導を行うと検察はしているのでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) 一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、取調べにおきまして、供述の任意性の確保その他必要な配慮をいたしまして真実の供述が得られるよう努めるとともに、その結果得られた供述について、他の証拠との整合性や変遷の有無などを踏まえて、その信用性を慎重に吟味するよう努めているものと承知しているところでございます。  とりわけ、今御指摘のありましたように、薬物の常用等を含めましたいわゆる供述弱者に対する取調べを行うに当たりましては、必要に応じて医療関係者等から供述者の供述特性に関する情報収集や助言を受けるなどして、その供述特性などを踏まえた必要な配慮をしているものと承知しているものでございます。  その上で、御指摘の事件の再審無罪判決を受けまして、取調べにおきましては、関係者に対する不当な誘導等の疑いを招くことがないよう配慮するとともに、供述の信用性評価に当たりましては、誘導等による供述の信用性低下の可能性も考慮しつつ、慎重な吟味を行うことが必要であることなどについての通知を発出した上、その内容を全国の検察官に向けて周知したものでございます。  その上で、今御指摘のありました録音、録画なども含めまして、そのような対応をしていくことになるというふうに考えているところでございます。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 今回、取調べ、主に警察などがやっているわけですけれども、警察に対する取調べや捜査について、検察庁は、検察官は、捜査の指揮権、一般的な捜査指揮権を持っております。法務大臣もそうですよね。  なんですが、その捜査指揮権に基づいて、あるいは捜査の監督権に基づいて、今回の事件を踏まえ、警察にはどのような指導をされたのでしょうか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  一般論として申し上げますと、検察当局と警察当局はそれぞれ独立の捜査機関でございまして、警察官による取調べや捜査の在り方につきましては、まずもって警察当局において検討すべき事柄であると考えているところでございます。  その上で、御指摘の事件の再審無罪判決を踏まえまして、検察当局が警察当局に対して指導等を行ったということは法務当局として承知していないところでございますが、警察当局におきましても、法律上、録音、録画が義務付けられている事件に加えまして、こういったいわゆる供述弱者、障害を有する被疑者等の取調べの録音、録画等、必要に応じて実施するなどしているものと承知しているところでございます。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 この事件、物すごく供述に変遷も見られて、やっぱり薬物も使われている方も参考人の中にいらっしゃって、参考人というかな、その取調べ対象者の中にいらっしゃって、そうすると、やはりその記憶が曖昧だったりとか誘導に乗りやすかったりとかするわけですよ。その過程を全部プロセスとして、今だったら、録画しておいた方がいいんじゃないかと言う方も、これは別に、その様々な、今、全面録画とかいろんな議論もありますけど、そうじゃなくて、むしろ信用性を後々確保するためにそういう議論をあえて捜査機関がやるということも十分考えられると思うので、これはもっと私は強く検察が警察を指導したらいいと、のではないかと思っておりますので、その点、是非これから検討いただきたいと思います。  次に、裁判所にお尋ねしたいんですけど、二番の質問なんですけれども、この今回の事件というのは四十年前の事件であります。それを再審で、今、四十年、約四十年近くたってから行っているわけです。  ただ、四十年前の事件を今裁判し直すということをやっているわけですけど、そうなると、別にこの事件に限らずということですね、この事件のことを言っているのではなくて、一般的に、例えば仮に四十年前の事件を再審し直すとなると、四十年前の社会通念とか、四十年前の社会常識がどうだったか、経験則がどうだったか、慣習がどうだったかということは分からなくなってきます。  例えば、当時、スマホも携帯もありません。連絡取るのにメモを使ったり伝言板使ったりしていましたし、固定電話はありますけど、ただ、電話番号を覚えられるかどうかとかも、携帯電話は無理ですけど、固定電話だったら覚えやすいとか。あるいは、例えば心証判断とかも、供述の評価としても、今だったら供述は軽く見られますけど、当時は重く見られたとか、男に二言はないとかそういう言葉もあった時代ですね。なので、そういうふうなことからいくと、現代の感覚で裁き直すということが許されるのかということです。  再審というのは、社会通念や経験則、証拠評価や心証形成、裁判官の心証形成につき、これはあくまで当時を基準に判断するのでしょうか。それとも現代を基準に判断するのでしょうか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  証拠からどのような事実を認定し、その事実をどう評価するか、どのような筋道で結論にたどり着くかといった事実認定の在り方は、各裁判官が個別事案に応じて判断すべき事項ですので、最高裁事務当局として御質問のような方向性を一概に示すことは困難でございます。  その上で、一般論として申し上げますと、例えば、事件関係者が当時なぜそのような行動を選択したのかといった行動原理を考える場面などで、過去の社会通念や経験則等を取り込みながら評価していくことが必要となる場合もあると思われるところでございます。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 続いて、もう一度裁判所にお尋ねしたいんですが、仮に当時を基準に、当時はこうではないかと、今お答えになりましたが、そういうふうな当時を基準に判断する場面があるのだとすると、現代の裁判官にとって非常に困難ではないかと。もうスマホが当たり前の時代にスマホがなかった時代を想定して判断しなさいと言われても、すごく理解に苦しむと思うんですよね。  そうすると、当時の時代考証ということが必要になって、正確性から事実認定や証拠の評価が遠ざかっていく。その結果、心証を誤るというふうな可能性がありますが、この問題について裁判所はどのように捉えていますか。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  これも一般論として申し上げますと、再審事件に限らず、事件の発生から相当期間が経過した後に起訴されるような事件は存在します。事実認定において、事件当時の社会通念や経験則等を取り込んで評価する必要があるというのであれば、まずは当事者がそのような過去の社会通念や経験則等の存在や内容等を主張、立証するはずでございまして、各裁判体は適宜その判断に取り込んでいくものと想定されます。  このような形で確定判決当時の経験則等が必要となる事案があっても、当事者の主張、立証を踏まえて適正な判断をしていくことは可能であると考えております。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 なので、私は再審の意義を否定はしませんが、余り何十年もの前の事件を何度も、もちろんそれで、本当に客観証拠でDNAとかで分かる場合もあります。しかし、それを余り何度も何度もやり直しということになると、今日午前中の弁護士の参考人の方の意見にもありましたが、やはり被害者も不安定な立場にも置かれますし、また、やはり証拠の評価を誤りやすい。時代考証を立証しろと言われてもなかなか難しいんではないかと思いますので、その点は慎重な評価が必要だと思います。  最後に、附則五条の期間制限の点についてお尋ねします。  今回の改正案附則五条には、一年以内に、まずこれは、対象となる事件は検察官が抗告した事件、再審開始決定に抗告した事件は一年以内に終わるように努めなければならないといった規定があります。  まず、この一年の起算日である受理をした日というのは、これいつなのかということと、あと、先ほども言いましたが、やはり検察官が抗告をして、つまりその十分な心証を得て抗告した事件において、一審、二審、三審と、どこかで有罪になって確定有罪判決が出て、そして再審開始決定が出た事件で、本当に一年以内に、裁判所や検察や弁護人が一年以内に終えましょうということになるのかと。十分な反論期間下さいと、あるいは、警察も再反論や再立証の期間下さい、調査の期間下さい、検察、裁判官も記録検討や読む時間下さいとなるんじゃないかと思うんですが、こうした要請に基づく審理の充実と、一年以内の判断のどちらを優先すべきだと考えるんですか。法務省にお尋ねします。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  御指摘の附則第五条の事件が受理された日とは、現裁判所が検察官の差し出した抗告の申立書を抗告裁判所に送付して事件が抗告裁判所に受理された日のことをいうと考えております。  再審開始決定に対して抗告がされた事件の審理期間について見ますと、即時抗告又は異議申立ての提起から即時抗告審又は異議申立て審の終局までに要する平均期間は約二十二か月程度、特別抗告の提起から特別抗告審の終局までに要する平均期間は約十五か月程度であると承知しているところでございます。  その上で、裁判の迅速化に関する法律二条一項におきまして、通常審の第一審の訴訟手続におきましては二年以内のできる限り短い期間に終局させることが目標とされているところでございまして、再審請求審の審判対象は再審請求者が主張する再審開始事由でありまして、通常審の第一審のそれが公訴事実全体であるのと比較して、一般に争点はある程度絞られていること、再審開始決定に対する抗告の事件が係属する抗告審は事後審とされているところでございまして、第一審と比較いたしまして、一般に短期間で審理をすることが可能であるとも考えられることなどを踏まえますと、一年以内という期間は、再審開始決定に係る抗告が所属する裁判所の審理期間の目標として達成可能なものではないかと考えているところでございます。  もっとも、この附則第五条はあくまでも努力義務を定めるものでございまして、必要な審理を省略してでも一年以内に必ず決定をしなければならないとする趣旨ではございません。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 時間になっておりますので、おまとめください。

安達悠司 参政党

○安達悠司君 はい。  終わります。ありがとうございました。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  冤罪、福井女子中学生殺害事件の冤罪被害者である前川さんが今朝の参考人質疑においでになれなかったという点について、御本人の絶望という指摘が打越理事からもございました。  この国会ないし我々の参議院法務委員会での立法のプロセスが冤罪被害者に絶望を強いるということになっては絶対にならないということは当然のことでございまして、前川さんがおいでにならなかった理由や事情について、当委員会として丁寧にお尋ねするという特段の対応を私はすべきだと思うんですが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 そこで、まず大臣にお尋ねしますけれども、この今朝の参考人質疑において、被害者遺族の大橋さんが前川さんの思いをこう代弁されました。いろんなことをみんなに分かってもらえないということではないかと、前川さんのように、やってもいないのに有罪にされるというこの冤罪をなくす法律に変えてほしい、それが真犯人を見付ける捜査につながるんだとおっしゃったし、私もそう思うんですね。  前川さんは一貫して否認を続けてこられました。犯人と結び付ける客観的証拠もありませんでした。ところが、前川さんを犯人だと昨年の再審無罪判決の確定まで検察、そして警察がずっと言い続けたということによって、真犯人は逃れているわけですよね。大臣はこのことについてどう思われますか。

平口洋 法務大臣 自由民主党・無所属の会

○国務大臣(平口洋君) お尋ねは個別事件における捜査機関の活動内容に関わる事項であり、法務大臣として所感を述べることは差し控えたいと思います。  元被告人の前川さんに対しては、令和七年七月十八日、再審無罪を意味する控訴棄却判決が言い渡され、その後同判決が確定しており、検察当局においても、元被告人の方、前川さんが相当期間にわたり服役し、無罪となったことについて厳粛に受け止めるとともに、御指摘の事件の調査結果報告書において再審無罪判決を受け入れており、元被告人の方、前川さんですが、を犯人視することはない旨、明らかにしているものと承知をしております。  いずれにしても、検察当局においては、厳正かつ的確な捜査・公判活動を遂行し、事案の真相を解明することが肝要であると考えております。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 犯人視しないのは当たり前のことなんですね。  前川さんが、先週末に公表された名古屋高検の調査結果報告書に対して憤りをあらわにしているという記事を二枚お配りしています。そこでおっしゃっている点、捜査の全容は分からないままだと、再審判決を後追いしただけで踏み込んだものには見えない、事件の詳細や、なぜ冤罪が起きたのかを明らかにしてほしかったと。私、そうおっしゃっているとおりだと思うんですよね。  この捜査の全容は分からないままというのが、今の大臣の御答弁もそれが前提になっているんだと思うんですけど、ここの調査は全く欠落しているというのがこの名古屋高検の報告書の特徴だと思うんです。  そこで、警察庁にもおいでいただいているんですが、まず真犯人を逃したということについてどんな御認識なんですか。

遠藤剛 警察庁長官官房審議官

○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。  御指摘の事件につきましては、その判決におきまして、警察の捜査の一部が不正、不当ないしその具体的な疑いがあるとして主要関係者の供述の信用性が否定され、本件について合理的な疑いを超える程度の立証がなされているとは認められないとして無罪とされたものと承知しておりまして、警察としてもこれを重く受け止めているところでございます。  警察の捜査は、国民の信頼の上に成り立つものでありまして、緻密かつ適正な捜査が徹底されることというのは極めて重要であると考えており、判決で指摘された点も踏まえまして、より一層緻密かつ適正な捜査を推進してまいりたいと考えております。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 全く総括になっていない。先ほど安達委員も少し触れられたんですけれども、この本件で、前川さんを犯人であるという、この結び付ける証拠はないのに、関係者六人を中心にした関係者の供述が、これを一致していくというプロセスがあるんですよね。  昨年夏の再審無罪判決は、警察庁お尋ねしますけど、無罪判決は、現に警察官らも供述がうそである可能性を感じていたと判示していますが、そのとおりですか。

遠藤剛 警察庁長官官房審議官

○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。  当時、警察におきましては、目撃者を含めた関係者から事情を聴取いたしまして、これを供述調書に録取するなど所要の捜査を遂げた上で、関係者の供述調書等の記録を検察官に送致したものと承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、無罪判決におきまして、警察の捜査の一部が不正、不当ないし具体的な疑いがあるということで、供述の信用性が否定されて無罪とされたということでございまして、これを非常に重く受け止めております。  警察といたしましては、取調べの適正確保は極めて重要な課題であると認識しておりまして、これまでも様々な施策を推進してきたところでございますが、引き続き、都道府県警察に対しても必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 再審無罪判決で判示されている事実についてもお認めにならないんですよ。調査もされないんでしょう。  その無罪判決は、かえって、警察は、その目撃証言だという中心的な人物に対して不当な利益を供与するなどして不正な意図を助長させた、ほかの取調べ対象者に直接面会をさせてこの殺人事件について話をさせた、供述調書の内容を示唆したなどとして関係者供述を汚染させる結果となったと、その可能性が否定できないと指摘をしていますよね。こういう警察の捜査がこの冤罪をつくり出したのではないですか。  今回の名古屋高検の報告書でも、三十二ページには、確定無罪、ごめんなさい、福井地裁の無罪判決の後に、控訴審で、この「夜のヒットスタジオ」の嫌らしい場面見たと、その後に前川さんと会ったんだという供述をしている人、その人が警察から呼び出されるということになります。その場に私の取調べを担当した警察官がいた。証言何でひっくり返したんや、証言、調書どおり証言してくれや、証言してくれたら覚醒剤見逃してやる。これが警察がやったことですか。

遠藤剛 警察庁長官官房審議官

○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。  御指摘の再審無罪判決におきまして、例えば、警察におけるその供述の誘導等があったでありますとか、利益供与があったのではないかと、こういった御指摘がなされているところではございます。  これを受けまして、警察といたしましても、その任意性、証明力について疑われる余地がないように、今後、引き続き緻密かつ適正な捜査を指導していきたいと考えております。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 まずやるべきは、今後じゃなくて、この事件の捜査そのものを徹底して検証して、前川さんを始め関係者にわびることじゃないですか。もうメディアで数々指摘をされているけれど、この福井県警も、もちろん警察庁も、前川さんに対してわびる意思がないでしょう。  再審無罪判決、何と言っているか。本件においては、主要関係者において、その中心的な人物の供述に迎合するだけの動機があり、その立場や性行などに鑑み、被誘導性も強いものがあり、その一方で、捜査機関、起訴後は検察官も含む、においては、捜査や公判での立証に行き詰まりを感じ、被告人を立件して有罪に持ち込みたいという思惑を強く有していたことから、捜査機関による供述誘導などの意図も相当強かったと推認できるところもある。しかも、主要関係者の各供述に客観的な裏付けとなるような証拠に乏しいため、主要関係者に対し、捜査機関が見立てた筋立て、ストーリーに見合った供述ないし証言を求めていたことは容易に見て取れ、主要関係者においてもそれに迎合した具体的な供述をすることは決して不可能ではなかったと考えられると。  こうした捜査を行って、今日まで四十年間にわたって前川さんの人生を奪ったということについての真剣な反省があるなら、ちゃんと調査をする、そしてわびるというのが当然じゃないですか、警察庁。

遠藤剛 警察庁長官官房審議官

○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。  御指摘の事件、そのまた捜査経過について、再審無罪判決の中で厳しい御指摘を受けております。また、そういった供述に関する裏付け等が不十分であったのではないかというふうに我々の方でも考えているところでございます。こういったことを受けまして、より緻密、適正捜査に向けて取組を進めているところでございます。  また、前川様につきましても、長く御負担をお掛けしてしまったことについて非常に重く受け止めているというふうに、福井県警の本部長からもそういった旨を言っているところでございますが、諸般の情勢を踏まえて、直接お会いするかどうかというのは検討するというふうに聞いております。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 私は、長く負担掛けてごめんなさいという話じゃないと思いますよ。警察とそれから検察がこの事件で行ったのは、その捜査機関が描いたあの筋立て、ストーリーに基づいて、言わば裁判所からだまし取った確定有罪判決を維持することにきゅうきゅうとすると、警察ぐるみ、そして検察ぐるみで有罪確定判決を維持することにきゅうきゅうとしてきたと、そのことについて反省がないということじゃないですか。  今回の報告書も、例えば概要をちょっと紹介をしていますが、資料の五枚目、概要でいえば二ページ目に、公益の代表者として公正誠実に職務を行う姿勢に欠けていたもので、真摯に反省しなければならないというけれど、先ほどちょっと紹介したような、もう本当に危険な、取調べ対象者の供述が不自然に収れんしていっている。  それは起訴前の段階で明らかなはずで、これを安易に起訴し、そしてその公判の中で既に「夜のヒットスタジオ」の嫌らしい場面を見たという証言そのものが争点になっているじゃないですか。その下で補充捜査が行われたんでしょう。だから、平成元年の、その「夜のヒットスタジオ」にはそういう場面、その日の番組にはそんな嫌らしい場面はなかったという報告書が上がっているわけじゃないですか。それを握っておいて、論告求刑はもちろんなんですけど、それが否定されますよね、無罪判決によって。その後の控訴趣意書にもそのことを主張すると。  それに対して、この今回の報告書の、名古屋高検の報告書の三十七ページのところには、この確定審控訴審の公判において、事実と異なる昭和六十二年捜査報告書の内容を前提とした具体的な主張立証を行ったとは認められず、弁論を行った際にも、事実と異なる主張をすることはなかったとわざわざ書いているんですよね。本当にこそくで、ずるい言い逃れなんじゃないですか。  検察官は、この昭和六十二年の報告書というのはうそだということを知っている。だから、最後、自分はそれに基づいて言っているんじゃないよという弁論をしましたということかもしれませんよね。それをこの検証報告の中でわざわざ取り上げて、検察官には責任はなかったかのような、こんな表現あり得ないと私は思いますよ。それは前川さん怒るでしょう。どうですか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  調査報告書の内容でありますけれども、そのような記載があるのは事実でありますけれども、それは責任がないというふうに指摘する趣旨ではなくて、そこの、三十七ページのその後に記載されておりますように、いずれにしても、確定審控訴審においても、本件捜査報告書に関する適切な是正措置が講じられることのないまま、裁判所に対し、動かし難い事実について真実と異なる心証を抱かせたまま判決に至らしめたとの事実経過は動かないというふうに記載されているものと承知しております。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 そのとおりなんですよ。  再審法の改正の焦点との関係でもちょっとお尋ねしますけど、この名古屋高検の報告書の四十四ページにはこんな記述があります。請求人側が主張する再審事由との関係に限定しないで、幅広く証拠関係全体を把握して検討していれば、より早くそごに気付いて必要な措置をとることができた可能性があったと。今の捜査報告書の問題ですよね。  つまり、「夜のヒットスタジオ」、新聞記事にその経過が分かるように紹介をしていますけれども、元々警察が調べたときに、テレビ局の方は、その嫌らしい場面があったかどうか分かりませんと答えているわけですよね。それをわざわざ、嫌らしい場面というか、男女が重なる場面があったというふうに昭和六十三年に報告書を作っている。私、これ、捏造じゃないかと思うんですけど。その後、争点になって、弁護人の活動なんかもあるということの中で、その平成元年に改めて補充捜査が行われて、それで、そういう場面はなかったということがはっきりするという経過になるじゃないですか。  第二次、ごめんなさい、第一次再審でなぜそれを出さなかったのか。それは、争点が違ったからだと言っていますよね、この名古屋高検の報告書は。その傷口、亡くなられた、殺害された方の傷口と犯行の凶器だと言われるそのナイフの傷は合わないじゃないかなどの点が争点になっていると、第一次再審では。そこで、だから、争点とは関係ないから出さなかったと言わんばかりの、出さなくてもおかしくないんだと言わんばかりの弁明を今も名古屋高検がしているわけですよ。一体何たることかと。それでもね、検察官の在り方として、再審請求理由との関係に限定しないで幅広く証拠関係全体を把握して検討していれば、そごに気付いて必要な措置をとることができた。つまり、弁護人や裁判所に開示するということができたと言っているわけでしょう、今。  つまり、この福井の事件における第一次再審の再審請求理由とこの本件捜査報告書というのは関連性があるということですか。

佐藤淳 法務省刑事局長

○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。  今るる御指摘がありましたけれども、調査結果報告書におきましては、確定審での訴訟や控訴を始めといたしまして、第一次再審での再審手続への対応や再審開始決定に対する異議申立てを通じ、一貫して反省すべきものとされたものと承知しております。  その上で、今御指摘の関連性の話でありますけれども、御指摘の事件の第一次再審請求審におきましては、被害者の遺体に認められた創傷の一部が、被害者方に遺留されていた二本の包丁と幅の点で整合せずに、未発見の第三者の刃器が使用されたとする法医学者の意見書等、また、本件犯行後にX氏が、X氏、元被告人の方ですけれども、この方が乗って移動したとされるスカイラインの助手席ダッシュボードにそもそも血液が付着していなかった可能性を示す法医学者による実験結果等の新証拠に基づいて、確定判決の判断に疑いが生じたなどとして再審開始決定がなされたものと承知しているところでございます。  その上で、今の関連性というお尋ねですけれども、裁判所が個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係等を踏まえて判断すべき事柄ではございますので一概に述べるのは困難でありますが、繰り返し申し上げておりますように、新証拠によって確定判決を支える旧証拠の証明力が減殺されたような場合には、他の旧証拠の証明力に関する証拠も再審請求理由に関連する証拠として証拠の提出命令の対象となり得ると考えられるところでございます。  したがいまして、御指摘の今の事件の第一次再審請求審のように、目撃者証言とは別の証拠の証明力を減殺するような証拠が提出された場合であっても、当該目撃者証言の信用性に関する証拠は再審請求理由に関連する証拠として提出命令の対象となり得ると考えられるところでございまして、例えば、目撃者証言の裏付けとなる目撃日時の特定に関する捜査報告書につきましても、こうした理由から提出命令の対象となり得ると考えられるところでございます。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 ところが、出さないじゃないですか。  今、刑事局長が言われるように、検察官が、そんな昭和の話じゃないですよ、その平成の時代に入って、かつ、この近年になっても、その対応をしていたんだったら、前川さんがこんな人生を奪われることなかったわけですよね。  先ほど、コミュニケーションを取って、裁判所が、再審裁判所が弁護人や検察官とちゃんとコミュニケーション取っていったらうまくいくんだという趣旨の御答弁されましたけど、昨年のこの再審確定判決まで、無罪確定判決まで検察官はずっと争い続けたんでしょう。  再審無罪判決はこう言っていますよ。検察官は、警察が主要関係者の供述を誘導した可能性があるというのは荒唐無稽であるとか、細部に目を取られて証拠全体を総合的に検討していない近視眼的な判断であるなどと検察官が主張していると、とんでもないと、全部ひっくり返して、まさに検察官が荒唐無稽と評価するような捜査が現実に行われた具体的な疑いが浮かび上がっているんだと……

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 仁比委員、時間になっておりますので、おまとめください。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 言って無罪判決を下したわけでしょう。昨年の夏までそんな姿勢を取っていた検察を誰が信用できるかと強く申し上げて、質問を終わります。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 日本保守党の北村晴男です。  本日は、この刑訴法、大変重要な問題ですけれども、大変長時間掛けて審議が行われ、質疑が行われ、そして論点自体は出尽くしているというふうに考えています。そこで、若干外れる部分もありますけれども、御容赦いただきたいと思います。  まず、裁判官の除斥事由についてお聞きします。  今回の改正により、四百三十八条の二の規定が新設され、原判決に関与した裁判官が再審請求審を担当したり、あるいは開始決定をした請求審に関与した裁判官が再審公判を担当したりすることはできないということが法律上明記されることになります。まず、この趣旨につきましては、再審請求審や再審公判の公正さに対する疑念を払拭し、裁判に対する国民の信頼を確保するためのものと理解しています。  そこで、最高裁にお聞きします。  今まで法律上の明文の規定はなかったとはいえ、原判決に関与した裁判官が再審請求審を担当したり、あるいは開始決定をした請求審に関与した裁判官が再審公判を担当したりすること、これ当然避けてきたものと私自身は思ってきたのですが、これまで実際に原判決に関与した裁判官が再審請求審を担当したりなどした、そういった例はあるのでしょうか。若干耳にしたところによれば、福井女子中学生殺人事件でそのような例があったように聞きましたけれども、実際のところはいかがでしょうか、お答えください。

平城文啓 最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。  最高裁事務当局で網羅的に把握しているわけではございませんが、御指摘のいわゆる福井女子中学生殺人事件では、再審公判を担当した裁判官のうち、一部の者が再審請求審における再審開始決定にも関与しているものと承知しております。  また、昭和三十四年二月十九日の最高裁第一小法廷決定において、その判示の中で確定判決となった第一審の審理に関与した裁判長ら三名の裁判官が、さらに本件再審請求事件の審理に関与しても、前審の裁判をした裁判官として再審請求事件の審理手続より除斥されるものではないと説示されていることからすれば、この事案においては確定判決に関与した裁判官が再審請求審に関与したものと思われます。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 最高裁決定自体は、法文の規定からすればそれは違法ではないんだというふうに言ったものと理解しています。  しかしながら、普通の我々の感覚、弁護士にしても一般の方の感覚からしても、原判決、これは有罪確定した裁判ですね、それに関与した裁判官が再審請求審を担当したりするなどすれば、これ公平な判断が期待できないと考えるのが当然だというふうに私は思います。裁判所の内部で何らその懸念が示されなかったとすると、いささか不思議な感じがいたします。  裁判官が、あるいは裁判所が法の規定がなければ疑問を持たないんだというふうに言うのであれば、例えば本件の改正案の中で議論されているような法定された証拠提出命令、それ以外には、つまり法定されていないものについてはする必要がないんだとされて、これまでの証拠開示勧告などする必要がないんだというふうに裁判官が考えるのでないかという、つまりこれまでよりも運用が狭まるのではないかという懸念、それ自体も無理からぬものがあるのではないかというふうなことを考えざるを得ません。その点、よく御検討いただきたいというふうに思います。  他方で、この法案は適切な刑事訴訟手続を確保するためのものであると理解していますが、外国人の場合、これについては、そもそも罪を犯す可能性が高い者を入国させないという視点を持つべきであるというふうに考えています。もちろん入国時点でその人が将来罪を犯すかどうかを正確に予測することはできませんが、日本の法令を遵守する気があるかどうか、そういう意識があるかどうか、遵法精神があるかどうか、これについて確認すること、それ自体は大変重要であると思っています。  現在、外国人の入国に当たり、日本の法令を遵守する意思をどのように確認しているのか、お答えください。

内藤惣一郎 出入国在留管理庁次長

○政府参考人(内藤惣一郎君) お答え申し上げます。  本邦に上陸しようとする外国人は、入国審査官に対して、渡航目的や退去強制歴、上陸拒否歴、日本国内外での有罪判決の有無等を記載して署名した入国記録カードを自ら提出して、上陸の申請を行わなければならないことになっております。  そして、我が国に上陸しようとする外国人から上陸の申請があったときは、渡航目的、活動内容等について必要な聴取を行うほか、関係機関から提供される情報も活用するなどして、我が国において行う活動が虚偽のものではなく、在留資格に該当する活動を行おうとしているか、上陸拒否事由に該当していないか等、上陸のための条件に適合しているかどうかを慎重に審査することとしております。  出入国在留管理庁としましては、委員御指摘のような問題のある外国人の入国を防ぐため、引き続き厳格な審査に努めてまいりたい、このように考えております。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 今のお答えの趣旨は、要するに法令遵守の意思があるかどうかという、その意思の確認自体はしていないということだと理解します。  これ、資料一を御覧ください。  こちらの資料は、欧州、ヨーロッパにおけるイスラム教徒の意識調査の結果の一部でございます。御覧いただければ分かるとおり、イスラム教徒の場合には、第一世代も第二世代も六割以上の方が、六五%前後の方がコーラン、つまりイスラム法典の教えは法律より重要であるというふうに考えているとのことです。これ、キリスト教徒の方の場合、同様の調査では約一三%の方が聖書の方が法律よりも重要だと考えていると。それと比較しますと、かなりイスラム教徒の方については自分が信じる宗教の法典の方をはるかに重要だと考えている、これ大きな差があるということが分かります。日本人の意識としては全く考えられないところで、日本人は法律に従うんだと、そう考えている方が大部分だというふうに理解しています。  このコーランの教えが法律よりも重要であるということは、両者が矛盾、抵触する場合には、法令違反を選択する蓋然性が高いということにもなります。このような考えを有する外国人を入国させることについては、日本の法秩序を脅かすということになりかねません。こうした考えを有する外国人の出入国在留管理について、現状どのような対応をしておられるか、お聞かせください。

内藤惣一郎 出入国在留管理庁次長

○政府参考人(内藤惣一郎君) お答え申し上げます。  入国の際につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  また、在留中のことでございますが、入国後の在留審査におきましても、すなわち在留資格の変更ですとか更新の場合でございますね、入管法により法務大臣が許可を適当と認めるに足りる相当の理由があるか否かについて、我が国の法令に違反する行為については素行不良として消極評価を行うことも含め、外国人の在留状況、在留の必要性等を総合的に勘案し、適切に判断を行っているところでございます。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 今のお答えは、結局のところ客観的な行為が起こってから判断するんだと、上陸拒否にしても強制退去事由にしてもということだと思います。  それらに該当する前に止めるべきものは止めておかないと、日本の社会、治安を守ることはできないのではないかというふうに考えています。実際にヨーロッパ、特に西ヨーロッパではこのような考えを有するイスラム教徒の受入れ、これを野方図に進めたことによって治安が著しく悪化したとも言われています。  先ほど安達委員が示されたその各国の犯罪率の比較等を見ましても、犯罪率の高いところから入ってきたらその国の治安が悪化するのは当然だというふうに考えます。  そこで、日本の法令よりもイスラム法典あるいは聖書を優先すべきであると考える外国人については、退去強制、入国拒否の対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。

内藤惣一郎 出入国在留管理庁次長

○政府参考人(内藤惣一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のような法令よりも特定の宗教の経典の理論を優先するという考えにつきましては、実際に我が国の法令に違反する行為に及ぶおそれの有無、程度、内容等について様々なものが想定されることから一概にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。  なお、いずれにしましても、これまで答弁申し上げているとおり、入国の際の審査につきましても、上陸の際の審査につきましても、在留の際の審査につきましても、入管庁においては適切に行ってまいりたい、このように考えております。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 これ言うまでもないことですが、全てのイスラム教徒の方がそう考えているという趣旨では全くございません。ヨーロッパの調査によれば、六五%前後の方がそのように考えている。これ第二世代の方もほぼ同様であるというのが調査結果でございます。で、内心の問題であるというのはそのとおり。内心の問題が行為に表れる、これが多いこともそのとおりであります。  さて、簡単なアンケートを取って、これ入国の際あるいは在留許可の時点の話です。その時点で簡単な、ごく簡単な問いを発することによって、その人の考え方をある程度把握することは可能だと考えます。もちろんアンケートを取っても、それにうそをつく人がいることは、それはそのとおり、しかし、それは仕方ないと。せめて、日本の法令とイスラム法典が矛盾する場合にどちらを優先するのかという、ごく単純な質問を発して、仮にイスラム法典を優先するんだということを明確に回答した方については、入国拒否、在留資格を与えないとすべきだと考えますが、いかがですか。

内藤惣一郎 出入国在留管理庁次長

○政府参考人(内藤惣一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のような回答内容次第で不利益処分を科すことを前提として特定の宗教に関するアンケートを取ることにつきましては、外国人の信教の自由への配慮という観点から、特に慎重になる必要がある、こういった御意見もあるのではないかと思われます。  その上で、いずれにしましても、入管庁といたしましては、上陸の審査につきましても在留の審査につきましても先ほど申し上げたような観点から厳格に行ってまいりたい、このように考えております。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 日本が現時点では致命的なほどに治安は悪化していない。しかし、ヨーロッパ、特に西ヨーロッパでは致命的なほどに治安が悪化している。その実情を見て、日本が何も対処しないというのはこれ大変な間違いだというふうに理解しています。  イスラム過激派の間では、異教徒の女性は性奴隷にしてもよいと考える者もいます。これは我が国の法秩序とは決して相入れないものであることは明白ですし、そのような考えを有する外国人は犯罪を犯してから退去させる、これは間違いです。そのような考えを持っている者であれば、これは、在留資格を与えないのはもちろん、退去強制、入国拒否の対象とすべきだと考えています。  さて、性犯罪は示談が成立して不起訴になることも多く、このようなケースは、現行法の退去強制事由、上陸拒否事由には該当しません。入管庁は、上陸目的に疑義があれば入国拒否できるケースもあると過去に答弁しておられますが、現行制度の枠組みの中の運用による対応では限界があります。それでは、日本人、あるいは日本人の女性、あるいは日本に居住する外国人女性も守ることはできないと考えます。法令を守る意思がない、とりわけ、異教徒の女性は性奴隷にしてもいいんだなどと考えている外国人は退去強制、入国拒否の対象とすべく制度改正を検討していただきたいと考えます。  また、客観的な事実や実際に取られた行動に基づく判断をするとか、内心の問題で退去強制、入国拒否はできないなどといった答弁が繰り返されているところ、内心の問題だけで刑罰を科すのはもちろんあってはならないことですが、内心の問題で外国人を国外退去させるかどうか、あるいは入国させないかどうか、これは政策問題であると考えます。政策判断の問題であります。刑事訴訟手続と入管行政は全く別物でありまして、別の判断基準があってよいと考えます。両者を混同すべきではないというのが私の考えでございます。この点につきましては、次回の委員会で時間があれば見解をお聞きしたいと考えています。  さて、政府は現在、外国人との秩序ある共生を掲げ、様々な外国人政策を打ち出しています。この共生というのは、本来は、お互いの文化、習慣、社会秩序などに対する理解や配慮があって初めて成り立つものであると認識しています。もちろん、この点を十分に踏まえて日本で生活している善良な外国人の方、これも多数存在していますが、日本に対する配慮を、失礼、自分たちに対する配慮をさも権利であるかのように求めるばかりで、日本の文化、習慣、社会秩序等に対する理解や配慮を著しく欠いていると思われる外国人も残念ながらおられます。地方自治体などがその対応に苦慮するケースが頻発しています。特に、近年、日本に住むイスラム教徒と日本人との間で顕著な問題となっているものとして、土葬の問題、それから学校現場の問題があります。  まず、土葬について厚労省にお聞きします。  近年、日本に居住するイスラム教徒が増えたことにより、イスラム教徒の方が日本国内において土葬の場や土葬行為自体を求めることが増えているとも言われています。これらの求めにどのように対応するか、これは各現場に任されているわけですが、これをどこまで対応すべきかについて判断に迷うケースも多いと思われます。  最終的には各自治体担当者の判断になるとしても、国として、信教の自由というのは、他人に何か負担を求める権利として認められているものではない、これらの求めに応じなくても違法、不適切な対処ということに必ずしもなるものではないということ、そういった当たり前の価値判断についてガイドラインなどにより明確に地方自治体等に示すべきと考えますが、いかがですか。

榊原毅 厚生労働省大臣官房審議官

○政府参考人(榊原毅君) お答え申し上げます。  墓地、埋葬等に関する法律の目的に照らし、土葬や墓地の管理等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることは重要と考えております。  墓地、埋葬等に関する法律上、土葬等については市町村長の許可を必要としているほか、墓地経営等については都道府県知事等の許可を必要としてございます。これらの許可の可否の判断に当たっては、各自治体において、墓地、埋葬等に関する法律や関係条例等の規定の内容も踏まえて、適正にその判断をされているものと考えております。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 土葬の問題については、日本は土地が狭い中で過密な人口が住んでいると。土葬というのはスペースも取りますし、とりわけ最終的には墓地の広さも大変必要になる。それから、湿度の高い風土の中で衛生上の問題もあるということで、今の点は今後も御検討いただきたいというふうに考えています。  さて、学校現場の問題について文科省にお聞きします。  学校現場においても、イスラム教徒である児童生徒の方が豚肉を除去した学校給食や礼拝の場を求める、授業中に礼拝することを求めるなどということが考えられます。これらにつきましても、先ほど土葬について申し上げたのと同様に、信教の自由は他人に負担を求める、そういう権利として認められているものではなく、これらの求めに応じなくても違法、不適切な対処ということには必ずしもならないという当たり前の指針を学校現場に対して国から示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

橋爪淳 文部科学省大臣官房審議官

○政府参考人(橋爪淳君) お答え申し上げます。  外国人児童生徒が急増し、文化的、宗教的背景も多様化する中で、可能な範囲でその背景を理解し、学校教育活動の円滑な実施を図っていくことが重要と考えてございます。  御質問のありました学校給食につきましては、児童生徒の安全確保を最優先に、調理場の施設設備、人員等を踏まえて、過度に複雑で無理な対応は行わないことを原則といたしまして、アレルギー対応の方針を定めているところでございます。一方で、当該原則に照らし、宗教上の理由による禁忌食材の除去などの個別対応は一般的に行う義務はなく、その点につきまして、各学校設置者において保護者に御説明いただくことが適切と考えてございます。  また、礼拝の場所や時間についてでございますけれども、文部科学省で具体的に示しているものはございません。一方で、文部科学省では、外国人児童生徒受入れの手引きにおきまして、日本の学校生活についてよく説明し、子供やその保護者に理解してもらった上で教育活動を行うことの大切さを記載してございまして、このような考え方を踏まえて個別具体の対応については適切に判断されるべきものと考えてございます。  文部科学省では、多様な背景を持つ外国人児童生徒等への対応につきまして、引き続き現場の課題を把握しながら必要な取組を進めてまいります。  以上でございます。

北村晴男 日本保守党

○北村晴男君 ありがとうございます。  大量な調理が必要な現場において、基本的には個別な対応はする必要がないんだということだと今理解しました。それについて、もう恐らくガイドライン等で示されているとは思いますが、十分に周知されるように対応を徹底してお願いしたいと思います。  さて、厚労省、文科省共に現時点ではそこまで大きな問題になっていないという認識なのかもしれませんが、少なくとも、これまでの政府の外国人政策、これを続けていく限りは、日本国内に居住するイスラム教徒の方の数は間違いなく増えていくと考えられます。それによって学校現場が困ったり、あるいは社会の治安が大きく悪化したり、そういった懸念がありますので、是非とも必要な実態調査を行った上で適切な対応を取っていただきたいというふうに考えています。  終わります。

伊藤孝江 公明党

○委員長(伊藤孝江君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会

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この記録を確かめる

S4RCIV が記録した内容から、改ざん検知用の値を お使いのブラウザで計算し直し、 記録済みの値と一致するか確かめます。計算は 下のボタンを押したときだけ、この端末で実行されます(暗号通貨の採掘や追跡ではありません)。 S4RCIV の「確認済み」表示を信じる必要はありません — 数字を再現するのはあなたの端末です。

  1. 記録 #3770 観測 2026-08-15 00:24 JST
    改ざん検知用の値 fc5b21f6…cfea71 (未計算)

チェックポイント

記録
#3772 まで
署名
署名あり(s4rciv-checkpoint)
まとめの値
d9c9751b…ce4f2e

仕組み

  1. 1各記録は、前の記録から計算した値を持っています。
  2. 2この端末で値を計算し直し、つながりが保たれているか確かめます。
  3. 3チェックポイントが、ある時点までの記録をまとめて固定します。

いつの時点かを外部(Internet Archive 等)に固定する仕組みは今後対応します。全件を通した計算は、公開エクスポートを使えば S4RCIV 以外の場所でも再現できます。

※ いつの時点の記録かを外部(Internet Archive 等)に固定する「外部アンカー」はまだ運用していません。これは S4RCIV 自身が過去をまるごと書き換えた場合に備えるもので、今後対応します。