令和八年六月十六日(火曜日) 午前十時開会 ───────────── 委員の異動 六月十一日 辞任 補欠選任 西田 英範君 山崎 正昭君 六月十二日 辞任 補欠選任 朝日健太郎君 鈴木 宗男君 六月十五日 辞任 補欠選任 有村 治子君 加田 裕之君 山崎 正昭君 いんどう周作君 六月十六日 辞任 補欠選任 加田 裕之君 有村 治子君 ───────────── 出席者は左のとおり。 委員長 伊藤 孝江君 理 事 古庄 玄知君 こやり隆史君 打越さく良君 川合 孝典君 横山 信一君 委 員 有村 治子君 いんどう周作君 岡田 直樹君 加田 裕之君 鈴木 宗男君 福山 守君 山谷えり子君 泉 房穂君 牧山ひろえ君 小林さやか君 嘉田由紀子君 安達 悠司君 仁比 聡平君 北村 晴男君 国務大臣 法務大臣 平口 洋君 副大臣 法務副大臣 三谷 英弘君 大臣政務官 法務大臣政務官 福山 守君 厚生労働大臣政 務官 神谷 政幸君 最高裁判所長官代理者 最高裁判所事務 総局総務局長 清藤 健一君 最高裁判所事務 総局家庭局長 馬渡 直史君 事務局側 常任委員会専門 員 武蔵 誠憲君 政府参考人 消費者庁審議官 黒木 理恵君 法務省大臣官房 司法法制部長 内野 宗揮君 法務省民事局長 松井 信憲君 厚生労働省大臣 官房審議官 林 俊宏君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○民法等の一部を改正する法律案(閣法第四三号)(衆議院送付) ○民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第四四号)(衆議院送付) ─────────────
法務委員会
発言 185
○委員長(伊藤孝江君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、西田英範さん、朝日健太郎さん及び有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として鈴木宗男さん、加田裕之さん及びいんどう周作さんが選任されました。 ─────────────
○委員長(伊藤孝江君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長松井信憲さん外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤孝江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(伊藤孝江君) 民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○こやり隆史君 自民党のこやりでございます。 今日は、参考人質疑を経て二回目の民法等改正案の質疑になりますので、確認を含めて幾つか質問させていただきたいと思います。 まず、現行の制度の利用者数が今二十六万人、そして、うち、新たな申立てが毎年四万人ということでございます。今回の改正を経て、各利用者個人のニーズに応じた柔軟な制度に改正をされるということ、そうしたことに伴いまして利用者の需要が高まることが予想をされます。また、家裁においても、それぞれ各個人のニーズに応じた審判、判断が必要になるということでございます。 さきの参考人質疑でも、その制度の改正はいいんだけれども、実際の実行に当たって、しっかりきめ細かく、家裁あるいはその後のことも含めて機能するのかどうかということに心配の声が上がっておりました。 まず、家裁におきまして、今回の改正を経て業務量がどの程度増えて、それに応じて、書記官を始め家裁の人員体制、これが十分と考えているのか。恐らくなかなか厳しいと思います。家裁の人員体制の強化について御見解をお願いします。
○最高裁判所長官代理者(清藤健一君) お答え申し上げます。 本改正法案におきましては、制度開始に当たって考慮すべき事項が増えると、また一方では、必要がなくなったと認めるときには制度の利用を終了することができることなどを踏まえますと、本改正法案が成立して施行された後の家庭裁判所の業務量につきまして、現段階で確たることを申し上げることは困難であるということは御理解いただきたいと思います。 その上で、最高裁といたしましては、これまでも事件動向や事件処理状況等を踏まえて必要な体制整備に努めてきたところでございますけれども、本改正法案が成立することとなった場合には、改正法の趣旨、内容を踏まえた適切かつ合理的な審理運用の在り方を検討していくことが重要であると考えておりまして、このような審理運用の在り方に見合った形で、委員御指摘の書記官も含めまして、必要な体制面の整備に努めてまいりたいと考えております。
○こやり隆史君 参考人の御意見で、この制度改正、本当に期待を込めた意見がたくさん述べられておりました。しっかりその期待に応えられるように、体制面で整備をお願いしたいと思います。 また、体制の面にもなるのかもしれませんけれども、今回、各判断に当たって、年一回定期報告が義務付けられております。定期報告だけでしっかりその各個人の状況を判断するというのは難しいというふうに思います。 そこで、市町村長に対する意見聴取というものも制度化されておりますけれども、実際にそれが機能するかどうか、実際、その現状をしっかり把握できるかどうかということについては、しっかりその各市町村の支援体制と家裁の方で連絡調整、情報交換をしっかりやっていく必要があると思いますけれども、その体制についてはいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お尋ねは、改正法案の成立、施行後の裁判所の運用に係るもので、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、一般論として、個別事案における判断に当たっては、申立人から提出される資料や御指摘の補助人からの報告により得られる情報に加えて、必要に応じて、委員御指摘のような規律を活用して、判断に必要な福祉的支援等に関する事情を市町村長等からも取得するというところも考えられるところでございます。 また、このように、改正法の施行後の制度の運用を適切に行っていくためには、各家庭裁判所において、御本人の支援を担う地方自治体との間で、相互理解の観点から、司法機関としての立場も踏まえた上で、地方自治体のニーズ等にも配意し、適切な形で連携を図ることがより一層重要となるというものと認識しております。 各家庭裁判所におきましては、これまでも、例えば支部、出張所を含む各家庭裁判所と地方自治体や中核機関、専門職団体との間で定期的に意見交換等を開催しているほか、地方公共団体等が主催する協議会にオブザーバー参加するなどの取組も行ってきたものと承知しておりまして、今後もこういった取組を進めていくことが考えられるというところでございます。 最高裁といたしましては、各家裁におきまして、成年後見制度の運用を担う司法機関として、改正法の趣旨、目的にかなった運用の基盤となる関係機関との適切な連携がなされていくよう、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○こやり隆史君 ありがとうございます。 確実に、情報交換というか情報をやり取りする、あるいは共有する密度は高まるというふうに思いますので、それを想定してしっかり事前に体制面での強化を図っていただきたいというふうに思います。 あともう一つ、利用者負担、負担の問題について確認をさせていただきたいと思います。 補助人制度に統一化されて、様々中身も千差万別になってくる、多様化してくるというふうに思います。今、ある程度報酬体系というのが明らかになっておりますけれども、こうしたサービスが多様化する中で、現行の成年後見制度の報酬体系と比べてどういう形になると想定をしているかということと、あと、やっぱり多様化するということになりますので、報酬というか、それも多様化することが想定をされます。そういう意味で、ある程度全国的に、あるいは案件の、何というか、類型的にある程度の基本的な共通の考え方をつくっておくというのも大事かなというふうに思っておりますけれども、その点について御見解をお願いします。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、補助人等に対する報酬の算定というのは、裁判官が個別の事案における諸事情を総合的に考慮して判断すべき事項でございまして、現在の実務におきまして裁判官の間で全国的に一定の考え方が共有されているものとは認識しておりますが、報酬体系といったようなものが明確に存在しているものではございません。改正法案が成立、施行後の報酬体系の変化についても、お答えすることはそういった意味で困難でございます。 また、御指摘のガイドライン的なものにつきましては、これは裁判官の判断を拘束するような画一的な基準を示すものであるということからしますと、これを事務当局で策定することは職権行使の独立の観点から困難であると考えておりますが、今般の改正法案におきまして、補助人等には、個人、本人の具体的な法的課題やニーズに対応するための必要十分な権限が付与され、補助人等はその範囲で事務遂行を行うことが基本的に想定されており、そうであるならば、補助人等に対する報酬算定の在り方につきましても、包括代理権を有する現行法下の後見人に対するものとはおのずから異なってきて、例えば当該補助人等が行った事務の内容をより重視したものになるといったことは十分想定されるところです。 改正法案が成立した場合には、後見関係事件を担当している全国の裁判官等が参加する協議会や裁判所内部での研修等における議論を通じるなどして、ただいま申し上げたようなところも含めて、改正法下における報酬付与の前提となる考え方についても一定の共有が図られていくものと考えておりまして、最高裁といたしましても、こういった共有に向けた必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○こやり隆史君 制度の変わり目というのは混乱する場合もありますので、事前にしっかり、最高裁の方からも基本的な考え方であったりとか参考になる情報をしっかり提供していただきたいというふうに思います。 次に、今度は受皿側について幾つか確認をさせていただきます。 今回の法改正、まさに終われる後見制度を実現するものでありますが、各参考人の意見も、基本的には、その後の受皿、これがどうなるかということが一番の最大のポイントであるというふうな御意見でありました。 今回、この民法改正と併せて、地域福祉の仕組みを支える社会福祉法改正案が今まさに審議をされているということかと思います。まさに、この法改正、両法の法改正が一体となって切れ目なくしっかり受皿を整備していくということが大事でありますけれども、こうした制度は、よくあることですけれども、地域間のばらつき、これがもう必ず生じてくるというふうに思います。 今回の中核的機関についても、義務的設置ではないというふうに承知をしています。確かに、体力がそれぞれ各市町村違うので一気に整備するということはいろいろまた障害出てくるのかということも理解はできますけれども、一方で、やっぱり空白地域をつくるということはこれは避けなければならないというふうに思います。 そうした観点で、厚労省として、この中核機関、これの整備にどのように臨むつもりか、お考えを確認したいと思います。
○政府参考人(林俊宏君) お答え申し上げます。 現在、中核機関の設置済みの自治体は御指摘のように約八割となっておりますが、本人の支援ニーズに対応した支援が行われるためには、全ての市町村において中核機関が設置されることが望ましいというふうに考えております。 このため、厚生労働省といたしましても、これまで、成年後見制度利用促進法に基づく政府の基本計画に基づきまして、市町村に対して中核機関整備のための様々な支援を行ってきたところでございます。 さらに、今御指摘いただきましたように、中核機関を制度上しっかりと位置付けるという観点から、今般国会に提出しております社会福祉法等の一部を改正する法律案におきまして、まず判断能力が不十分な方の権利擁護支援、これに係る市町村の事務を明確化した上で、中核的な役割を担う機関として中核機関を法定化して地域権利擁護相談支援センターと位置付ける内容の法案を提出しているところでございます。 その上で、都道府県とも連携しながら、今後、中核機関の法定化に伴う運営マニュアルの改定、都道府県と小規模市町村が共同して中核機関を設置した事例など中核機関の立ち上げに係る好事例を発信、共有する、小規模市町村などへの支援を行う都道府県に対する国研修の実施、体制整備アドバイザーの配置、派遣のための支援などによりまして、市町村における適切な支援体制の構築を支援してまいりたいと考えております。
○こやり隆史君 しっかりやっていただきたいと思いますし、少なくとも、中核機関の機能、これは一〇〇%カバーできるように制度の開始までに整備をしていただきたいと思いますけれども、それと、機関を設置するということとプラスして、その質の面もしっかり担保していかないといけないと思います。利用者がいろいろ、様々な利用者がいらっしゃいます。それをしっかりケアするということで、これはチームを組んで、何というか、支援をしていかないといけないということになると思います。 私も、この社会福祉法改正については自民党の中で事務局長として携わらせていただきましたけれども、やっぱりその質の地域間格差というか、レベルがやっぱり極めて大きいというふうに思います。 そういう中で、しっかりチームを組める体制を各それぞれの利用者ごとにチームを組んでそれを機能させていく、これがやっぱり一番大事だというふうに思います。 機関の設置と併せて、その一つ一つのチームを機能させるために厚労省としてどのような取組をされるか、確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(林俊宏君) 本人のニーズに応じた支援を行うためには、今御指摘のとおり、全ての市町村において中核機関が設置されるだけではなくて、全ての中核機関において支援チームの形成支援を含めて求められる機能を発揮することが望ましいと考えております。 先ほど申し上げたとおり、中核機関の設置済み市町村八割でございますが、現状、その八割の市町村のうち、約八割の市町村において支援チームを形成するための検討会議の開催などを行っており、また約五割の市町村において支援チーム形成後のバックアップを実施しているなど、本人のニーズに対応した支援の実現に向けまして中核機関は大変重要な役割を果たしていると考えております。 今般の民法改正法案等が成立、施行された際には、成年後見制度の見直しも含めまして、中核機関に求められる役割、支援チームの支援の在り方についても改めて整理が必要と考えております。また、都道府県とも連携しまして、中核機関に求められるような、こういう支援チームの形成も始めとした機能を発揮するための運営マニュアルの改定や、支援チームの形成支援など中核機関の個別の機能に係る好事例の発信、共有などによって、市町村における適切な支援体制の構築を促進してまいります。
○こやり隆史君 ありがとうございます。 それぞれチームをつくって対応していくということにおいては、やっぱり各自治体の首長さんの意思、強い意思、明石市を始め、やっぱりそうした強い意思というのが各機関、中核機関、あるいはその支援チームに伝わっていくというふうに思いますんで、まさに、チーム形成支援とともに、やっぱり各自治体に対する、何というか、適切な支援を厚労省も本気でやっていただきたいというふうに思っています。 もう一問、遺言制度について質問しようと、確認しようと思ったんですけれども、時間が来ましたので、これで質問を終わります。 ありがとうございました。
○打越さく良君 立憲民主・無所属の打越さく良です。 高齢化の中で、なかなか判断能力に十分ではない方たち、その方たちを支えるこの後見制度の重要性ますます高まってまいります。また、私は、地元新潟を歩き回って、知的障害のある方々の親御さんが、親亡き後が心配だとおっしゃっている。本当に、何というんでしょうか、親亡き後を心配せざるを得なくしているようなこんな社会、まだまだ法制度が足りないところだと、私たち政治の世界に身を置く者として反省しなければならないと考えております。 先日の十一日の参考人の先生方のお話、本当に学びを深めることができました。とりわけ育成会の会員の皆様、本当に家族だけでは障害のあるお子さんの一生を抱えることができないと、なおさらその親亡き後がとても心配だということをおっしゃっていたと。そういう心配を抱えさせていたこの社会を今回の改正法案が変えることができると、そういった痛みを抱えないで済む、不安を抱えないで済むようなそんな手掛かりになるようにと考えております。そしてまた、上山参考人の御指摘では、現行制度よりも自己決定の尊重に重点を少し置くというこの法制度については、やっぱり四半世紀にわたる様々なところでの積み重ねが実を結んだものだということも深く学びましたし、そして、星野美子参考人からは、共生社会の実現のためにはこれだけでは足りないと、社会福祉法を始めとする関連法の整備もしっかりと進めなければいけないと、本法の改正にとどまらない様々な課題があるということを学ばせていただきました。 十一日の参考人質疑を踏まえまして、従前の制度では支援を必要とする方々にとってもいささか過剰過ぎた、硬直的であったと、そして使いにくいものであったと、そしてまた、今回の改正によって後見と保佐を廃止する、利用者本人の同意による補助制度とする、御本人の意思を尊重する制度にするんだと、遅きに失したといえ、大変望ましい改正ではないかということは異口同音に参考人の先生方おっしゃってくださったと思います。 限られた時間ではありますが、しかしながらまだ課題もあるということで、一つ一つ解消できるような質疑にさせていただきたいと考えております。 そして、経過規定についてまず伺いますけれども、附則二条七項では、請求によって旧民法第七条の後見開始の審判を取り消すことができると規定されています。どのような場合に取り消され、どのような場合には取り消されないのでしょうか。御答弁をお願いします。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案の附則では、家庭裁判所は、本人等の請求により、現行法の規定によりされた後見開始の審判を取り消すことができることとしております。この請求があった場合には、基本的には審判が取り消されると考えられますが、本人保護の観点から相当でないと認めるときは審判を取り消さないことになると考えられます。 どのような場合に本人保護の観点から相当でないと認められるかについては、個別の事案における具体的な事情に即して判断されることになるため、一概にお答えをすることは困難でございますが、例えば、高齢者虐待への対応が継続している場合や、単身高齢者で住宅や食事等の生活を維持する基本的な法律関係を整えるための対応を終えていない場合などは、本人保護の観点から相当でないと認められると考えられます。
○打越さく良君 本人の保護の観点から相当でない場合については是非御検討いただきたいと、そういった運用が可能になるようにと考えております。 そして、現行法の後見、保佐を利用されている方は、附則二条七項で後見開始の審判を取り消すことができるほか、その同条二項で、後見人を解任できることにもなります。あるいは、現行法をそのままも利用できると。新制度へ移行することもできると。 これを選択することができるというのは、改正法七条の申立て権利者と附則二条四項の後見人、後見監督人ということになっていますけれども、このときの本人の手続能力、どのように把握するのでしょうか。最高裁判所に伺います。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お尋ねは、改正法案に基づく裁判所の運用の在り方に関するもので、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、一般論として、まず、御本人の陳述の聴取が原則として義務付けられている場合には、この御本人の意向等を把握するためにその陳述を聴取するということになり、その中で確認していくということになろうかと思いますし、御本人の陳述の聴取が義務付けられていない手続におきましても、事案の必要に応じて適切な方法により御本人自身からの意向の表明を受けるほか、後見人等を含む御本人を日常的に支援する方々からの報告等を通じて御本人の意向、状況を把握するということが考えられるというところでございます。
○打越さく良君 是非、きめ細やかに御本人のその状況というものを確認していただきたいと考えます。 そして、三番ですけれども、附則二条七項の後見開始の審判の取消し請求について、本人以外の請求の場合、本人の意向聴取というものはどうするのでしょうか。その場合の根拠規定についても御答弁を願います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案の附則では、施行日前に後見開始の審判がされている場合には、基本的には現行民法の内容で後見の制度の利用を継続することができることとしており、家事審判に関する手続についても、現行家事事件手続法の規定が適用されることとしております。 本人以外の請求権者から後見開始の審判の取消しの請求がされた場合には、家事事件手続法第百二十条第一項により、原則として本人の陳述の聴取がされることとなります。
○打越さく良君 親族が附則二条七項の後見開始の審判の取消し申立てをしてきたと、そうした場合に、支援者は反対している、家族が身上保護の事務を継続しているかなど、判断に困る場合が出てくると思うんですね。そうした場合には、中核機関へ意見照会ができるのでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案の附則では、施行日前に後見開始の審判がされている場合には、家事審判に関する手続についても現行家事事件手続法の規定を適用することとしております。家庭裁判所が必要と認める場合には、家事事件手続法第五十六条第一項に基づき事実の調査をすることができ、事実の調査として、中核機関を設置している市町村長等に対し意見を求めることができます。
○打越さく良君 本人以外の請求の場合の本人の意向聴取というのはどのように行われるのかと。せめてチームカンファレンスの報告だけでも求めてはいかがかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。最高裁に伺います。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お尋ねは、改正法案の附則に基づく裁判所の運用の在り方に関するものでございまして、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、その上で、一般論としては、委員御指摘の附則に基づき、現行の後見等の開始の審判を取り消す際には、原則として御本人の意向を把握するためにその陳述を聴取するということが基本的な考え方になると思われます。 また、その具体的な方法につきましては、個別の事案に応じた家庭裁判所の裁量に委ねられるものではございますが、例えば、適切な方法により御本人自身に意向表明を求めることに加え、後見人を含め、御本人をチームで日常的に支援している場合には、そのような方々を通じた意向把握等、個別の事案に応じた適切かつ合理的な方法が検討されるはずのものと考えております。 最高裁判所といたしましては、委員御指摘の場合も含め、改正法の趣旨や目的にかなった適切な運用が各家庭裁判所においてなされるよう、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○打越さく良君 個別の事案によるということですけれども、やはり、せめてチームカンファレンスの報告を求めるということはほとんどの場合適切だと思いますので、是非お願いしたいと思います。 そして、六番ですけれども、この度の任意後見契約法改正によって、公正証書によって指定した方も任意後見契約を発効させる裁判手続の申立てをすることが可能となったと。現行法が申立て権者を親族又は任意後見受任者に限定していたことからの転換となります。 この改正にはどのような意義があるのでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、今般の改正によって、本人が公正証書によって指定した者について、補助開始の審判の請求権者としたり、任意後見契約に、任意後見の開始の申立て権者とするなどの改正をしているところでございます。 今日においては、配偶者や四親等内の親族以外の者が本人の状況をよりよく把握しており、その者に本人についての補助開始等の審判の適切な請求を期待することができる事案もございます。 また、民法等改正法案では、本人の自己決定をより尊重することとしており、本人において自己の状況をよく把握している者として手続を任せたい者がいる場合には、その者を請求権者とすることを可能とすることにより、本人の自己決定をより尊重することができることとなります。 このような観点から、本人が公正証書によって指定することができるという制度を設けたものでございます。
○打越さく良君 しかし、いわゆる貧困ビジネスとか一部の不動産業者によって、公正証書が搾取に悪用されてきたということも残念ながらよく知られております。公正証書による申立て権者ということを認められることによって新たな搾取を許すということはあってはなりません。趣旨に反するような指定を本人にさせることを防止しなくてはなりませんが、その手当てをお考えでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、本人の自己決定をより尊重するという観点から、先ほども申し上げたとおり、本人が公正証書によって指定するという制度を設けたものでございます。民法等改正法案では、本人が指定する者を限定しておりません。 しかし、先ほどの制度趣旨からは、本人が指定する者として想定しているのは、現行民法で法定された請求権者ではないものの、本人と同居しているなどの事情により本人の状況をよく把握している者や、本人が入所している施設の運営法人や職員などでございます。そして、指定が本人の真意によるものであることを担保するために、指定は公正証書によってしなければならないこととしております。 公正証書の作成時には、本人の状況をよく把握している者に手続を任せたいとの本人の意思を公証人において確認することが想定されるため、制度趣旨に反するような指定がされることにはならないと考えております。
○打越さく良君 今おっしゃったようなことを通知を出していただけるということですかね。民事局からも、公証人に対して、そして趣旨をよく知らせて、この本人の生活状況をよく知る方かどうかとか適切に審査するようにといった通知が必要だと思いますけれども、あるいはその指導をする必要があると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 改正法の趣旨に沿った運用がされるためには、その内容及び趣旨が公正証書を作成する公証人に十分に理解されることが重要でございます。 法務省としては、公証人に対し、改正法の内容及び趣旨についてしっかりと周知し、適正な公証事務が行われるよう指導監督に努めてまいりたいと考えております。
○打越さく良君 是非よろしくお願いします。 そして、念のためですけれども、代理では指定できないと、公正証書の嘱託人は本人のみということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 本人による指定の制度趣旨というのは、本人が手続を任せたいと希望する者を請求権者とすることにより、本人の自己決定をより尊重することができることなどにございます。 このような制度趣旨からすると、その請求権者の指定が本人の真意に基づくものであることを担保する必要がございます。そのためには、公正証書の作成に当たり、その指定が本人の真意に基づくことを公証人が本人から直接確認する必要があることから、代理人が本人に代わってその指定をすることはできないと考えているところでございます。
○打越さく良君 ありがとうございます。 そして、十番ですけれども、撤回したい場合には撤回できるようにすべきだと考えます。撤回はできるでしょうか。 そして、撤回できるとして、ここで心配なのは、一度公正証書で申立て権者を指定しても、その後に撤回されたことは家庭裁判所では分からないと。登記事項でもありませんので、そうすると、撤回した御本人の意思を裁判所に黙って申立てがされたりしてしまうと、そうした場合も考えられるんじゃないかと。 その御本人が撤回したということをどのように家庭裁判所は把握できるのか、示されるのかと、その点はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、公正証書による指定の撤回を制限する規定は設けておらず、本人の自己決定をより尊重する観点などからも、指定の撤回は可能であると考えております。 そして、本人が指定を撤回した後、撤回された指定を受けていた者が公正証書を添付して補助開始の審判等の請求をしてしまう事態も生じ得ますが、一般には、その審判に関する手続の際に、本人は、家庭裁判所に対し、指定を撤回したことを主張する機会が認められているものと承知をしております。
○打越さく良君 いや、なかなか心もとないかなと思うんですね。結局、申立て権者としてその申立て時にも資格があるのかどうかということは、何か別途申立ての前に、半年前とかそういうときに、証明書なりを公正証書、公証役場で発行していただくとか、そういう工夫が必要なんじゃないかと。家庭裁判所が確認できないということがないように何か検討していただきたいということを、これは要望として申し上げます。 そして、心配なのが、家庭裁判所の人員体制ですね。やはり、全件は調査しないということですけれども、裁判所が脆弱な体制だから、その地域ではなかなか難しいということがないようにしていただきたいと。 そして、新潟県議会では全会一致で、法務大臣始め、これ家庭裁判所の拡充をということが求められているわけですけれども、この要望について大臣はどう受け止められたのか、対応していくのかと、その意気込みと決意をお願いします。
○国務大臣(平口洋君) お答えいたします。 御指摘の意見書は、新潟県議会において、令和八年三月二十七日に採択された新潟家庭裁判所出張所における十分な人的体制の確保等を求めるものであると承知をしております。 地域を問わず、あまねく全国において司法へのアクセスが確保されるようにするためには、司法権を行う裁判所において充実した人的、物的体制が構築されることは大変重要なことと認識をしております。もっとも、裁判所の人的、物的な体制整備の在り方については、事件の動向や裁判所等を取り巻く様々な状況を踏まえ、まずは最高裁判所において必要な検討がされるべきものと考えております。 法務省といたしましては、法律を所管する立場から、裁判所の判断を尊重しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○打越さく良君 裁判所を見守るだけではなくて、法務省としてもしっかり対応していただきたいと思います。 そしてまた、この法改正、大変長年の地道な取組を受けてのことであるとは思いますけれども、一方で、国連の障害者の権利委員会の初回勧告にも対応したものだと、大変意義のあるものだと思っております。 そこで思い出していただきたいのは、女性差別撤廃委員会が二〇〇三年から実に四回も選択的夫婦別姓について勧告を繰り返している、それには対応していただけない。やはり、国際社会で名誉ある地位を占めるためには、国連の人権委員会のこうした勧告について真摯に向き合うと、それでこそ日本の名誉というものが保てるということを意見として申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○牧山ひろえ君 今回の民法改正案では、新たな遺言方式として保管証書遺言が創設されるほか、自筆証書遺言などの押印要件の廃止や特別方式遺言における新たな作成方法の追加など、遺言制度の大きな見直しが提案されています。 我が国では、高齢化が進んで、単身高齢者や子供のいない夫婦も増えています。こうした中で、国民一人一人の意思を尊重し、そして相続をめぐる紛争を未然に防ぐ、そのためにも、遺言をより身近で利用しやすいものとすることが重要だと思っております。 遺言制度の利便性向上を評価する声がある一方で、遺言者の真意の確保や遺言能力の確保、そして不当な影響の排除などの観点から、専門家が適切に関与し、遺言作成を支援する重要性も指摘されています。 この改正を通じて政府はどのような課題解決を目指しているのか、そしてまた、遺言制度の利用促進と遺言の信頼性、安全性の確保をどのように両立させていく考えなのか、改正の意義と併せてお答えいただければと思います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案は、高齢化の進展、デジタル技術の進展、普及等の社会状況を踏まえ、遺言制度をより利用しやすくするために、民法等の規定を見直すものでございます。 具体的には、新たに創設される保管証書遺言については、全文を手書きする必要がないものとする一方で、法務局における本人確認、遺言者による全文の口述等を要件とし、自筆証書遺言については、押印をめぐる慣行や法意識の変容等の社会状況を踏まえ、押印要件を廃止する一方で、全文の手書きという要件を維持し、死亡危急時遺言及び船舶遭難者等遺言については、遺言者の最終意思をできるだけ実現する観点から、録音、録画を活用した方式を追加するものとしつつ、証人一人の立会い又は録音、録画の送信等を要件とし、これらによって、遺言者の利便性等に配慮しつつ、遺言が遺言者の真意に基づくものであることを担保することとしております。 遺言制度は、国民生活上極めて重要な意義を有する相続制度を支える法制度でございます。本改正法案による見直しにより、遺言制度が遺言の信頼性を確保しつつ、国民にとってより利用しやすいものとなると考えております。
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。 今回創設される保管証書遺言は、公正証書遺言に比べて手続の負担が合理化されて、そして法務局による保管を通じて紛失ですとか改ざんのリスクを低減する制度として期待されているかと思います。その一方で、実務家からは、法務局は本来、申請書類や登記手続などの形式的な審査を担う機関であり、遺言者の真意ですとか判断能力を確認する役割には限界があるんじゃないかという指摘もございます。 高齢化が進む中で、認知機能の低下が疑われる方や、家族や第三者からの影響を受けやすい状況の方が利用するケースも想定されています。保管証書遺言には公証人や証人の関与が予定されていないことから、遺言者本人の真意がどのように確認されるのか、国民の関心も高いところだと思います。 そこで伺いたいんですけれども、法務局において、遺言者の真意や遺言能力に疑義が生じる場合、どのような確認を行うのでしょうか。そしてまた、認知機能の低下が疑われるケースですとか第三者による不当な関与が懸念されるケースでは、法務局職員はどのような基準で判断して、必要に応じて手続を見合わせることができるんでしょうか。 例えば、法務局職員には注意すべき点がチェックリストになっているのかどうかとか、法務局職員は、認知機能低下や第三者による不当な関与を見抜く、そうした訓練というか練習というか、受けているのか、さらに、専門家との連携も含めて、保管証書遺言の信頼性をどのように確保していくお考えか、法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(平口洋君) お答えいたします。 遺言書保管官は、保管証書遺言書の保管申請がされたときは、遺言者の本人確認を行った上で、遺言者による遺言の全文の口述状況等を確認するなど、保管申請の要件を外形的に確認することとされております。 そして、例えば遺言者がウェブ会議を利用しようとする場合において、遺言者の周囲に他人がいる可能性があるときは、ウェブ会議の利用を認めないと判断することとなります。また、認知機能の低下等により遺言者が遺言の全文を口述できない場合には、保管申請を却下することになると考えられるところでございます。 法務省としては、改正法が成立した場合には、通達や事務処理要領等を策定して手続の基準を明確化するなど、保管証書遺言の信頼性を確保しつつ、保管の申請手続が円滑に行われるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○牧山ひろえ君 是非、本人の意思がしっかりと反映されるようにお願いいたします。 遺言制度と同様に、本人の意思を将来にわたって尊重する仕組みとして重要なのが、任意後見制度です。そこで次に、任意後見制度の見直しについて伺いたいと思います。 任意後見制度は、本人の自己決定権を尊重する極めて重要な制度であるにもかかわらず、利用件数は依然として低い水準にとどまっています。 そこでお伺いしたいんですが、政府は任意後見制度の利用が低調な要因をどのように分析されているのでしょうか。そして、制度の周知不足なのか、費用負担なのか、手続の複雑さなのか、あるいは任意後見監督人のコストなのか、どこに利用促進のハードルがあると考えていますでしょうか。見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 任意後見契約について、その締結数は、平成二十七年には約一万件、令和六年には約一万七千件であり、徐々に増加しているものの、法定後見制度の年間の利用者数が令和七年には四万件を超えていることと比較しますと、その利用が進んでいないとの指摘がございます。 法務省が令和七年に実施した任意後見契約に関する公証人の実態調査においては、任意後見制度について利用者がどのような点に不便や不都合を感じていると思うかとの質問に対し、任意後見監督人に報酬が支払われることに負担を感じていると思う、任意後見監督人や家庭裁判所による監督に負担を感じていると思う、受任者を引き受ける者を探すことに負担を感じていると思うなどの回答がございました。 法制審議会の部会においても、任意後見監督人による監督の負担が重い事案等があるとの指摘がありましたが、他方で、本人の自己決定を尊重しつつ、任意後見監督人や家庭裁判所による監督により判断能力が低下している本人の保護を図ることが重要であるとの指摘もあったところでございます。 法制審議会の部会においては、これらのバランスを図りながら見直しに関する議論がされたものでございます。
○牧山ひろえ君 次に、任意後見優先の原則について伺いたいと思います。 この改正で、これまでの任意後見優先の原則が見直され、法定後見が利用されやすくなることで任意後見制度の位置付けが後退するのではないかという懸念の声もあると承知しております。しかし、本人の意思を最大限尊重するという成年後見制度改革の基本的な方向性に照らせば、任意後見制度の重要性が失われるものではないというふうに考えております。 今回の改正は、任意後見優先の原則そのものを廃止する趣旨ではなく、本人保護の観点から、必要な場合に法定後見との適切な併用や調整を可能とするものであるとの理解でよろしいでしょうか。改正後も任意後見制度を本人の自己決定権を尊重する重要な制度として位置付けているのか、明確にお答えいただければと思います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 任意後見制度と補助の制度との関係に関して、現行法は、本人が任意後見制度を利用している場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、法定後見を開始するとして、任意後見制度が法定後見制度に優先することを規定しております。 民法等改正法案でもこの規定を維持しており、任意後見制度が法定後見制度に優先する原則を廃止するものではございません。 そして、任意後見制度と補助の制度との併存に関して、現行法では、任意後見契約の効力が生じた後に法定後見が開始されたときは任意後見契約が終了することとしており、法定後見が開始されると本人の意思に基づいて締結された任意後見契約を一切活用することができなくなってしまいます。 そこで、民法等改正法案では、任意後見契約の効力が生じた後に補助が開始されたときでも任意後見契約が終了しないこととして、任意後見制度と補助の制度の併存を認めることとしたものであります。
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。 そうすると、改正後も任意後見制度を重視するとの御答弁でしたけれども、そうであるならば、制度利用を後退させないためにやはり周知を強化するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、今申し上げたとおり、任意後見制度の方を優先されるという原則を維持して、本人の意思をより尊重するという、その理念を保っているものでございます。 この任意後見制度がより利用されますように、改正法が成立した場合には、制度を利用する方に必要な情報が提供されるよう十分な周知、広報を行い、利用促進に努めてまいりたいと考えております。
○牧山ひろえ君 是非お願いします。 今回の改正では、成年後見制度全体の見直しが行われる中で、任意後見制度については、任意後見監督人の選任要件の見直しなど一定の改善が図られていますが、法定後見制度に比べると比較的小規模な改正にとどまっているようにも見受けられます。むしろ、高齢化が進展する中で、本人の意思を尊重する観点からは、任意後見制度の利用促進こそ重要ではないかなというふうに思っております。 そこで、今回の見直しによって任意後見制度の利用は大きく進むと考えておりますでしょうか。利用促進、利用拡大に向けて今後更に取り組むべき課題も含めて、政府のお考え、御見解をお聞かせいただければと思います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、例えば、家庭裁判所が明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、現行法上、任意後見契約の発効に必要な任意後見監督人の選任を不要とするなど、任意後見制度の柔軟な利用を可能とし、利便性を高める改正をしております。これは、任意後見制度の利用の促進に資するものと考えております。 法務省としては、このような改正の内容を広く知っていただき制度の利用につなげていく必要があると考えており、改正法が成立した場合には、しっかり周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
○牧山ひろえ君 次に、新制度への移行について大臣にお伺いしたいと思います。 今回の改正では、本人の意思をより尊重し、必要な範囲で支援を行うという考え方の下、後見、保佐、補助の三類型を見直して新たな補助制度へと移行することとされています。こうした改革の方向性は、本人の自己決定権の尊重ですとか権利擁護の観点から大変重要なものと受け止めております。 その一方で、現在後見制度や保佐制度を利用している方々については、改正後も自動的に新しい補助制度へと移行することにはならないと承知しています。しかしながら、今回の改革の理念に照らせば、既存の利用者の中にも新しい補助制度に移行したい方もいるのではないでしょうか。 現在の後見、保佐制度の利用者について、新制度への移行を希望する場合の手続や支援についてどのような措置が講じられているのか、また、既存利用者が改革の恩恵を受けられず取り残されることのないよう、どのような配慮や周知を行うお考えなのか、是非お聞かせいただければと思います。
○国務大臣(平口洋君) お答えをいたします。 施行日前に後見又は保佐の制度を利用している方は、新しい補助の制度への移行を希望される場合には、新制度の利用の申立てをして新制度に移行できるわけでございます。 また、現行の後見又は保佐の制度の利用が継続される場合でも、本法案で新設した本人の意向把握の規定や新たな解任事由の規定は適用することとしておりまして、これによって自己決定の更なる尊重に配慮しているところでございます。 改正法が成立した場合には、このような経過措置も含め、広く国民に改正法の内容を理解していただけるようにしっかりと周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
○牧山ひろえ君 御高齢の利用者ですとか御家族が今回の制度変更を理解できるように、市区町村や専門職団体と連携した丁寧な周知を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 御承知のとおり、現在の法定後見制度は、家族だけではなくて、専門職の方々が後見人などになることが非常に多くございます。今回の改正法の理念をしっかりと広げていくためには、このような関係者の方々の御協力が不可欠でございます。 法務省といたしましては、広く国民そしてまたそれを担う専門職の方々にも改正の趣旨がしっかりと伝わるように丁寧に周知、広報をしてまいりたいと考えております。
○牧山ひろえ君 是非お願いします。 最後に一つお聞きしてみたいんですけれども、保管証書遺言についてまたお伺いします。 今回創設されるこの保管証書遺言は、公正証書遺言に比べて手続の負担が合理化されるということですけれども、費用の方はどうなんでしょうか。費用は、新しい制度に保管証書遺言が創設されることによって、費用は今までと比べてどうなるんでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 保管証書遺言書の保管の申請をする者が納めなければならない手数料の額については、現行の自筆証書遺言書の保管と同様に、物価の状況のほか、遺言書の保管及び遺言書に係る情報の管理に関する事務に要する実費を考慮して政令で定めることとしております。これは、新たな遺言書保管法第二十一条に規定しているところでございます。 そのため、現段階において保管証書遺言書の保管の申請に係る手数料の額について確定的な額を申し上げることはできないものでございますが、先ほど申し上げた考慮要素や制度趣旨などを踏まえ、適切な額となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○牧山ひろえ君 より負担が合理化されて利用しやすくするという観点から、是非そのような方向でお考えいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) 今回の改正の趣旨といいますのは、やはり遺言をより国民の皆様に利用しやすくする、そのような観点に立つものでございますので、手数料の額を定める政令を検討するに当たっても、そのような視点も踏まえながら考えてまいりたいと思っております。
○委員長(伊藤孝江君) 時間になりましたので、おまとめください。
○牧山ひろえ君 是非、遺言者のお話もありましたけれども、本人の意思がしっかりと反映できるように、法務局職員もいろんな新たな業務が発生すると思うんですけれども、その職員の方々にも、注意すべき点がないかどうかとか、いろんなことに慣れていただく必要があると思いますので、是非その点もよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○小林さやか君 国民民主党・新緑風会の小林さやかです。 私、前職の記者時代に、介護保険二十周年の、二十年のときに、一時間の特別番組を制作したことがございます。介護の社会化という世界に誇るすばらしい制度をつくるんだという当初の理念がだんだんと制度疲労を起こしまして、担い手の善意にすがるしかないといったさまを描きました。 今回の法改正も、もう理念として本当にすごく理想的だと思います。ただ、支え手が存在せず現実が追い付かないという事態にならないように、そういった形に現場が陥らないように今ここでしっかり体制整備について議論すべきだと、そういった思いで本日も質問させていただきます。 まず、前回に続きまして、本人同意の確認方法についてお尋ねしてまいります。 今回の制度では、本人の意向を尊重するということが大きな柱になっておりますが、実際には、本人と申立人、あるいは家族と支援者等の間で意見が対立するというケースも想定されるかと思います。また、一見、本人が同意しているように見えますが、その背景に虐待や親族間対立等の影響が潜んでいるといったような可能性もございます。 こうした場合も念頭に置きながら、家庭裁判所におかれましては丁寧に本人の真意を確認してほしいと考える次第ですが、前回も調査官調査についてもお尋ねさせていただいたんですけれども、行動科学の知見が生かされるときには活用するといったような一般的な御回答にとどまったかと思います。 現行制度における保佐や補助開始の際にも調査官調査活用されていると承知しておりますけれども、今回、新制度においてその運用は変わりないんでしょうか。調査官調査の活用の仕方も含めて、家庭裁判所がどのように本人の同意の真実性を担保するのかという点からまず伺います。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。 お尋ねは、改正法案が成立、施行された後の裁判所の運用に係るものでありまして、現時点で確たるお答えをすることは困難ですが、御本人の同意を確認する方法について、一般論としては、本人を支える福祉専門職の方々による申立てに係る御本人の認識に関する報告、また、親族その他日常的、継続的に御本人を支援する方の支援を受ける中で示された御本人の意向等に関する報告などを総合考慮するほか、本人の心身の状況等に照らして、行動科学の専門的知見や技法の活用が求められる場合には、事案の必要に応じて家庭裁判所調査官による調査も想定されるところでありまして、その事案に応じた適切かつ合理的な方法が検討されていくことになるものと考えております。 このような基本的な考え方自体は、現行制度の保佐や補助開始の審判において、御本人が事理弁識能力を欠く常況にあるわけではないことも踏まえ、御本人の意思の確認のために家庭裁判所調査官による調査を実施するかどうかの判断とも共通するものと考えております。 その上で、委員御指摘のような具体例につきまして、例えば、御本人の意思表示に虐待による精神的影響がうかがわれる事案におきましては、他の資料から御本人の意向が確認できないような場合には、家庭裁判所調査官による調査も検討され得るものと考えられるところでございます。 最高裁判所といたしましては、各家庭裁判所において改正法の趣旨や内容にかなった御本人の意向把握が適切かつ合理的な形でなされるよう、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○小林さやか君 現行制度と考え方、基本的には変わらないということで、であれば、より丁寧に本人意向を把握しなきゃいけないというケースが増えてくるかと思いますので、後ほど体制整備についてもお尋ねさせていただきたいと思います。 続きまして、補助の終了についてお尋ねしたいんですけれども、終了の審判に当たって、終わりたいと言えば、はい、そのまま終わりですとするのではなくて、本人の保護上に課題が残っていないかといった点も丁寧に確認する必要があるかと考えます。 中には、この終了の審判を進めていく中で、何か新たな支援が必要だと分かって別の代理権の必要性が判明してくるといったケースもあり得るかと思うんですが、ただ、そういった場合でも、家庭裁判所は職権で追加の代理権付与はできないということで間違いないのか、まず確認させていただきます。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 成年後見制度が導入された平成十一年の民法改正に当たって、家庭裁判所の職権により法定後見を開始することについても議論されたところでございます。しかし、私的自治の尊重等の観点から、中立的な判断機関である裁判所が職権で本人の行為能力等に一定の制限を加えることとなる手続を開始することには問題があると考えられたことなどから、法定後見を開始したり代理権を追加的に付与したりするのは、職権によらず、請求権者の請求によらなければならないこととされたと承知をしております。 今回の成年後見制度の見直しに当たっても、法制審議会の部会での議論では、法定後見を開始することが私的自治への介入になるとの理解がおおむね共有されており、家庭裁判所が職権で補助人に権限を追加すべきとの意見は述べられなかったところでございます。
○小林さやか君 その家裁から職権申立てができないという一方で、頼れる親族がいない方ですとか、また、先ほども申し上げましたように、親族間で対立がある方等はそもそも適切な終了の申立てができないのではないかというおそれがあるかと思います。 前回、本人情報シートの活用ですとか福祉情報の取得についてもお尋ねしたんですけれども、こうした終了に当たっての情報取得、またこの終了後の支えも、何というか、御答弁聞いていて、いずれもチーム支援がちゃんと存在しているということを前提にお話ししているように聞こえるんですけれども、現実は、地域によってこの支援体制というのは大きなばらつきがございます。 そのチーム支援が十分にないという地域においては、家庭裁判所ってどのように補助の必要性がなくなったんだということを確認して、終了後も本人の保護が確保されると判断できるんでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、本人の事理弁識能力が回復していない場合でも、補助の制度以外の支援の状況も踏まえ、補助の制度による保護の必要がなくなったと認めるときは補助に係る各審判を取り消すことができることとしております。このように、補助に係る各審判は、あくまで保護の必要がなくなった場合に取り消すのであって、取消しの申立てがあれば当然に取り消すものではございません。 そして、家庭裁判所が保護の必要性がなくなったかどうかを判断するに当たっては、本人や補助人の陳述を聴取することに加え、必要に応じ、市町村長等の意見を聴取することができることとしております。 したがいまして、補助人等の申立人から提出された資料のほか、このような方法によって得た情報も踏まえ、保護の必要がなくなったかどうかを適切に判断することになるものと考えております。
○小林さやか君 保護の必要性がなくなっていなければ取り消さないというところで、本当にそのとおりやっていただくためには結局チーム支援が必要になるというところで、堂々巡りになってくるような気がするんですけど、そこについてはまた後ほどお尋ねいたします。 続いて、補助人の解任、交代についてなんですけれども、これ前回もちょっとお尋ねしたんですが、この法案で、本人の利益のために特に必要があるときのこの特にって何なんだろうというところが分かりにくいと質問したところ、運用の在り方は実務の集積を待つしかないですという御答弁だったかと思うんですが、もう少しかみ砕いていただかないと現場に伝わらないと思いますので、前回例示されたもの以外の典型例をもう一度お尋ねします。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 どのような場合が新たに創設した解任事由に該当するかにつきましては、個別の事案ごとに補助人に付与された代理権や補助人のした行為の内容等の具体的な事情を踏まえて家庭裁判所が判断するものであり、一概にお答えすることは困難でございます。 その上で、法制審議会の部会における議論等を踏まえ、一般論として申し上げますと、この解任事由に該当する場合としては、例えば、補助人が財産管理は行っているものの本人に面会しなかったり、本人の家族等の本人を支援するチームと連絡を取らなかったりした結果、本人や関係者と適切な関係を構築することができていない場合や、また、補助人が、本人の意向に反し、かつ、何ら合理的な理由なく本人をその支援する家族や社会福祉関係者等から引き離すような施設への入所契約を締結した場合などが考えられるところでございます。
○小林さやか君 ありがとうございます。 二点目の施設に引き離していくというところは新たに御回答いただけたかと思いますので、しっかりそこも現場で理解が進めばというふうに思っております。 もう一点確認したいんですが、解任の請求権というのは市町村にはないということでいいかなというところを確認したいんですが、そうすると、身寄りがない高齢者というのは親族申立てがなかなかできにくいわけで、補助人に問題があったときに、この現行の補助人が適切に家裁に情報を上げてくれるかという担保もできないと。そういった場合はずっと不適切な補助が存置されてしまうのではないかと思うんですけれども、これ、誰がどのようにその身寄りがない方の解任請求につなげていくんでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、民法等改正法案では、現行法と同様に、本人の親族は補助人の解任の請求をすることができますが、市町村長は補助人の解任の請求をすることができません。 もっとも、補助人の解任は家庭裁判所が職権ですることもできます。そのため、市町村長が補助人に解任事由があると考える場合には、その旨を家庭裁判所に情報提供するなどをすれば、これに応じて家庭裁判所が職権で補助人を解任することもあり得ると考えられます。 さらに、民法等改正法案では、現行法と同様、家庭裁判所は、必要があると認めるときは補助監督人を選任することができ、補助監督人は補助人の解任を請求することができることとしております。そのため、補助監督人が選任されている場合には、補助監督人が補助人の解任を請求することも考えられます。
○小林さやか君 確かにその補助監督人の活用というのはすごく合理性があるなというふうに捉えました。 やはり、繰り返しになりますけれども、ここまで伺ってきて、やはり入口も出口も共に地域の福祉的支援がいかに機能するかということが重要だとほかの委員の皆様からもずっと御質問続いております。 ただ、何度も申し上げるんですけれども、本当に地域福祉って担い手不足で、例えば日常生活自立支援事業、これ私の地元のとある千葉県の自治体では、もう利用一年待ちということなんですね。もう中核機関の法定化等も言われていますけど、社協がもうとても受け切れないという状況に今陥っております。そんな中で、新たな第二種社会福祉事業を活用していくというのは、もうしようがないというか、方向性として必要なことだと思うんですが、この量とともに質の確保も必要になってくるという非常に苦しい状況だと思います。 身寄りのない高齢者を対象とした生活支援とか財産管理の分野では、今でさえ高齢者等終身サポート事業をめぐるトラブルが発生していて、多様な担い手を認めて支援の受皿を増やしていくという必要がある一方で、じゃ、この第二種社会福祉事業の監督スキームというのは議論されていないんじゃないのかなといったように受け止めております。 定期監査を行うですとか、実地指導したり、第三者評価したりですとか、この利用者の財産、権利を守る観点でこれを誰がまた行うのかと。また人がいないという堂々巡りになってくるんですが、この参入要件、定期監査等々の事業者の質を担保する仕組みをどのように構築するつもりなのかというところを厚労省にお尋ねします。
○政府参考人(林俊宏君) お答え申し上げます。 成年後見、今回の民法改正が成立した際には、成年後見制度見直しに伴いまして成年後見制度利用を終了する方が出てくることから、地域における権利擁護支援ニーズ、更に多様化、増加することが見込まれております。そうした状況に適切に対応する必要があると認識しております。 このため、今委員御指摘いただきました福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業というものを、今回、国会に提出中の社会福祉法等改正法案によって提案させていただいております。今御指摘いただきましたいわゆる日常生活自立支援事業を、そういう意味では対象を、事業範囲と対象者を拡充するというものでございます。 この新しい事業については第二種社会福祉事業として位置付けることにしておりまして、法律上は実施主体に特段の制限はないところでございまして、実施義務が掛かります都道府県社会福祉協議会だけではなくて、社会福祉法人など多様な主体の参入を期待しているところではございます。 こうした多様な主体が参入できることとする一方で、判断能力が不十分な高齢者等についての支援を行う事業でもあることから、その適正性を確保することは大変重要な課題と考えております。 法律上、まずどうなっているかを申し上げますと、実施主体は事業の開始から一か月以内に都道府県知事に届け出ることが義務付けられておりまして、届出を受理した都道府県知事は、必要に応じて事業経営の経営状況を調査し、また、検査拒否や不適切な支援などの実施が、提供が認められた場合には、経営の制限や停止を行うことが可能であります。 ただ、このような規制の実効性を確保するためには、都道府県が適切に指導監査を実施できるように国としても支援していくことが必要と考えております。このため、本事業の実施主体に対しましては、まず、令和六年六月に、実は民間事業者が実施いたします高齢者等終身サポート事業者に対するガイドラインというものを関係省庁が策定しております。こういった高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの遵守を求めるということとともに、第二種社会福祉事業の実施主体として取り組むべき適正な事業運営の確保策を盛り込んだガイドライン、これをこれから国が示す予定としてございます。 これらのガイドラインについては、都道府県知事による行政指導や法律上の、先ほど申し上げましたような法律上の権限の行使の判断に当たっての参考となると考えております。都道府県において適切な指導監督が行われるよう、国としてもガイドラインの周知、助言等を行ってまいります。
○小林さやか君 都道府県が主体となって監督していくというお答えだったかと思います。 また、現場見ていると、これは都道府県じゃなくて、市町村、自治体ですけれども、日自って何ですかと、足りないですよと質問すると、日自って何ですかみたいなところに高齢者担当課が答えるみたいなところからスタートなわけですね。本当に周知をしっかりと行っていただきたいということを強く申し上げたいと思います。 続きまして、本人保護の点でもう一つお尋ねしたいと思います。 消費者被害防止の観点からでございますが、今回の改正で広範な代理権や包括的取消権の見直しが行われると。障害があっても高齢になっても、自分が好きなものを買いたいですとか、自分らしい心豊かな生活したいという思いをしっかり尊重するということは本当に重要なことだと考えますが、一方で、認知症の方、知的障害のある方などが悪質商法や不当な勧誘の被害に遭ってしまうということも想定され得ると思います。その場合に契約の取消しによる救済が難しくなるのではないかというところを懸念しております。 政府としては、消費者契約上のいわゆる付け込み型勧誘の取消権などで対応していくというお考えがあるのかもしれませんが、そこに関しますと、事業者との契約に限られることですとか、事業者が判断能力に低下に付け込んだよということを立証しなきゃいけないというところも必要となってくるということで、これだけで十分に本人保護が図られるのかなというところに疑問が残っております。 今回の法改正後に消費者被害が拡大しないようどうやって防止するのか、また被害が起きたときの回復をどのように図るのかと消費者庁にお尋ねいたします。
○政府参考人(黒木理恵君) お答え申し上げます。 委員御指摘いただきましたように、取消権というものは、強い効果と事業者の行為規範としての機能を持つということで、消費者にとっての使いやすさのほかに、事業者の予見可能性や要件の明確性といった要件が全て満たされることによって機能するというものでございます。したがいまして、その導入に当たりましては、多角的な見地からの検討が必要であると考えるところでございます。 その上ででございますけれども、消費者取引につきましては、超高齢化やデジタル化の進展、それからコミュニティーの希薄化など、消費者を取り巻く取引環境の変化などを踏まえまして、消費者が安心、安全に取引できる環境を整備するために、令和七年十一月から、現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会を設置し、消費者の多様な脆弱性を踏まえた消費者取引を規律する規範の確立などについて検討を今行っているところでございます。本年夏頃をめどに中間取りまとめを行う予定でございまして、引き続き検討を深めてまいりたいと考えております。
○小林さやか君 その多様な脆弱性の中でカバーしていただかなきゃいけない方が増えてくるのではないかという懸念を持っておりますので、しっかりと御検討をお願いしたいと思います。 続きまして、報酬についてお尋ねしていきたいと思います。 前回もちょっと尻切れとんぼで、途中までお尋ねしました。報酬額の根拠が分かりにくいと、予見可能性に欠けているという指摘がこれまでずっと利用者から寄せられ続けてきまして、家裁が定めた報酬額に従うしかないというところも納得感がなかったかなと問題意識を述べさせていただきましたが、一回確認したいんですけれども、改正法においてもこの家裁が定める後見人の報酬額について即時抗告を認めないと、これはなぜそうなっているんでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 法制審議会の部会では、報酬付与の審判に対して不服申立てを認めるか否かについて検討がされました。この点、不服申立てを認めるとすれば、本人と補助人の双方に不服申立てを認めることが考えられますが、本人は判断能力が低下し適切に不服申立てをすることが困難であるのに補助人は不服申立てをすることができることになるため、両者の均衡を失すること、また、本人の親族に不服申立てを認めることは、本人の親族が本人の財産について権利を有していないことから相当でないことなどから、報酬の付与の審判に対して不服申立てを認めない現行法の規律を維持することとされたものでございます。 このような部会での議論を踏まえ、民法等改正法案でも報酬の付与の審判に対しては不服申立てをすることができないこととしております。
○小林さやか君 確かに非対称性があるというのは理解できるんですが、じゃ、その報酬額が納得できないという気持ちは解消されないというふうに思うんですね。 最高裁は今年、報酬に関する実情調査を公表されましたが、これまでも委員から御指摘等ありましたとおり、新制度で代理権の内容ですとか支援内容が更に個別化していくという中で、ますます新制度下では新たな報酬体系というのは分かりづらくなっていくのではないかなというふうに考えていますが、それをどうやって構築していくかというところが重要になっていくかと思います。 先ほどの御答弁ありましたとおり、裁判官の判断を拘束してはならないというところは一定理解しますが、しかし、利用者の予見可能性、納得感という面も必要だと考えておりまして、やはりその納得感、信頼性という意味では、やっぱり根拠をしっかりと示して、事前に分かって示していただかないと、制度そのものへの信頼性がなくなって結局利用しないということになりかねないかなと考えております。 こうした中で、その予見可能性を高めるという観点でどのような工夫を行うお考えがあるのかと、そこについて副大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。
○副大臣(三谷英弘君) お答えいたします。 小林委員御指摘のとおり、補助人の報酬の予測可能性を高めることというのは、補助の制度を利用しやすいものとすることにつながりまして、非常に重要なことだというふうに考えております。 この点、民法等改正法案では、後見の制度を廃止をいたしまして、補助人に個別に必要な範囲でのみ代理権等の権限を付与することとしておりまして、この報酬を算定するに当たっては、本人等の資力に加えて、この改正法案では、考慮要素として補助の事務の内容を追加することというふうにしたところでございます。この改正によりまして、補助人の報酬については、これまでの包括的代理権を有する後見人の報酬と異なり、補助人が行った事務の内容をより重視して算定されることになるものと想定をされるところでございます。 その上で、これ現行法での取扱いということになりますけれども、実務上は、最高裁判所が全国の家庭裁判所における報酬付与額の分布を公表することを通じて利用者の予測可能性をできる限り確保しようとする取組を行っているものというふうに承知をしております。 この改正法施行後には、補助人の報酬がその行った事務の内容がより重視されて決められるものとなることを前提に、こういった予測可能性の高めるための分布ですね、この報酬決定の運用状況等を踏まえた適切な取組がされるものと、これ最高裁での取組なので法務省としてということではないんですけれども、考えております。 法務省としても、この取組が進められるよう、最高裁としっかりと連携をしてまいりたいと考えています。
○小林さやか君 先般公開していただけたようなこの分布、それを改正法についてもしっかりと公表するという意気込みを持っていらっしゃるものと受け止めさせていただきました。 御回答する立場としては最高裁にもちろんなってくるんだと思いますけれども、そういった前向きな意気込みも聞かせていただきましたので、ここはもう運用状況の公表については必ずやっていただきたいというふうに意見を述べさせていただきます。また、その運用状況を公開されてくるまで少しお時間、タイムラグもあると思いますので、その間の予見可能性をどうやって高めるかというところももう一工夫必要だというところも意見を述べさせていただきます。 時間も迫ってまいりましたが、最後に、家庭裁判所の体制整備について伺います。 ここまで伺ってきましたとおり、新制度では現行利用者の移行対応も必要ですし、終了、再開の手続もあります。オーダーメード型の代理権も設定しなければならなければ、市町村、福祉機関との連携も必要と、ありとあらゆる新しい業務が発生するのではないかなと考えるわけです。さらに、二〇四〇年問題があって、身寄りがない高齢者もますます増えてくると。やはり、どう考えてもこの新制度の運用に対応できるだけの人員体制が本当に確保できるんだろうかというところが大変不安でございます。 これまでの御答弁では、業務量は把握できませんと、今の時点でということでしたが、毎回私はここがどうしても理解できなくて、民間企業では、その不測の事態も含めて、一定の予測をして人を配置して対応するものなのだと思います。もちろん、人員を頭数として増やすのは、いろいろな、何というか、予算請求も必要ですし、すぐにできることではないというのは理解しているのですが、せめて、すぐに要求できなくても、法改正に伴って必要となってくる書記官等の人数が何人必要なのか、財政負担の見通しはどれぐらいなのかというところを、要求はできないかもしれなくても試算ぐらいしてもいいのではないかなというふうに考えますが、もう一度見解を伺います。
○最高裁判所長官代理者(清藤健一君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、本改正法案におきましては、制度開始に当たって考慮すべき事項など様々なことが増える一方で、必要がなくなったと認められるときには制度の利用が終了すると、こういうこともできるということになったことなど踏まえますと、本改正法案が成立して施行された後の家庭裁判所の業務量について、現段階で確たることを申し上げることは困難であるということは御理解いただきたいと思います。 最高裁といたしましては、これまでも事件動向や事件処理状況等を踏まえまして必要な体制整備に努めてきたところでございますけれども、本改正法案が成立することとなった場合には、この改正法の趣旨や内容を踏まえた適切かつ合理的な審理運用の在り方を検討していくことが重要であると考えておりまして、そのような審理運用の在り方に見合った形で必要な体制面の整備に努めてまいりたいと考えております。
○小林さやか君 今、合理的とおっしゃいましたが、今日ずっと質問してきたんですけれども、本当にその本人の同意の確認というところ一つ取っても非常に慎重な判断が必要になってくると思います。場合によっては、調査官調査も必要でしょうし、市町村から福祉情報の取得もしなければならないと。本当にその合理性というところで、今の人員体制で、仮に終了が増えるから人が少なくなっていいというような考え方はできないのではないかというふうに考えておりまして、ちょっともう一回お尋ねしたいんですけれども、本当に今の人員体制で、予測ができなくて、人が足りないとは言い切れないというふうにお考えなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(清藤健一君) お答え申し上げます。 やはり、改正法が成立した場合でございますけれども、その改正法の趣旨や内容を踏まえて、議論があるような様々なその具体的な審理運用の在り方ということを、もちろん書記官も含め、家裁調査官も含め、事務官もおりますけれども、そういったようなものの審理運用の在り方というのをこれから具体的にやはり検討して構築していく必要があると、こういうことが重要であると考えておりまして、やはりそのようなものをよく踏まえて人的体制についても考えていくということになると思っております。
○委員長(伊藤孝江君) 時間になりましたので、おまとめください。
○小林さやか君 ここ不毛になるということは理解しつつ、強い思いを持っているのでお尋ねさせていただきました。 何度も繰り返しますけれども、この必要なときに必要な支援を行うという今回の制度改正がもうその趣旨どおりしっかりと機能するためには、本人の意向確認丁寧にする必要もあるし、地域の福祉との連携も必要だというところを申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。 ありがとうございます。
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。 今回の民法改正、もう本当に大改正になるわけですけれども、実際にその成年後見を使われていた人たち、またその親族、家族、また後見人としてこの事業に携われてこられた人たちの皆さんがこのように改正してほしいという、そういった思いが凝縮された内容になっているわけですが、一方で、それを運営していくことに対して、やはり、今日の議論でもいろいろ出てまいりましたけれども、やはり心配な点が幾つもございます。こうしたこの大改正がしっかりと動いていくように、機能していくように今日も議論させていただきたいと思いますが、若干ちょっとかぶるところが今までの議論の中でもあるんですけれども、通告しておりますので、そのとおり質問させていただきたいというふうに思います。 まず、本法律案で新設をされる補助人の家庭裁判所への年一回の報告義務規定、これについては、現行の後見、保佐の制度を利用中の者がこの本法施行後も引き続き同制度を利用する場合には適用することとしていません。 成年後見人や保佐人に対する家庭裁判所の監督強化という観点からも、改正後のこの規定を適用した方がいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、適用しないとする理由を伺います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、御指摘のとおり、補助人に毎年一回一定の時期に家庭裁判所に報告することを義務付ける規定を新設しました。この規定は、補助に係る各審判について保護の必要性を要件として明記したことを踏まえ、保護の必要性がなくなった場合に制度の利用を終了する実効性を担保する観点から設けたものでございます。 他方で、現行の後見や保佐の制度については保護の必要性は要件として明記されていないため、ただいま申し上げた観点から、家庭裁判所への報告を義務付ける改正法の規定を適用する必要性は必ずしも高くないと考えられます。そこで、現行の後見や保佐の利用が継続される場合にはこの規定を適用することとはしなかったものです。 もっとも、現行法でも、家庭裁判所はいつでも成年後見人又は保佐人に対し報告を求めることができるとされており、実務における運用として、家庭裁判所は、基本的には毎年一回一定の時期に報告を求めていると承知をしているところであります。
○横山信一君 規定上保護の必要性がないということでこうした適用しないということでありますけれども、一方で、様々な人たちがいるということを背景に考えて多様に運用していただきたいというふうに思います。 経過規定においては、現行制度をそのまま利用する、それから新制度へ移行する、取消しの請求をするという三つの選択ができるようになります。 現行の後見、保佐の制度を利用中の者が引き続きこの制度を利用継続したいという場合には、基本的には改正前の民法の内容で利用の継続は可能とされています。ただし、解任、交代ですね、交代とか、あとは意向尊重義務については、本法で新設をされる、家庭裁判所が本人の利益のために特に必要があると認めるときは補助人を解任することができるとする規定と、本人に情報提供してその事務に関する陳述を聴取すること等によって本人の意向を把握しなければならないとする規定を適用することにしています。こうしたことを適用することの理由を伺います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案の経過措置では、改正法の施行後も現行の後見及び保佐の制度を継続して利用する場合には、成年後見人、保佐人等についても、解任事由に本人の利益のために特に必要があるときを追加する改正法の規定や、本人の心身の状態に応じて、適切な方法により本人の意向を把握するようにしなければならないこととする改正法の規定を適用することとしております。 これらの規定を適用することは、本人がそのニーズに合った保護を受けることを可能とし、また、本人の自己決定をより尊重する観点から、本人の保護に資するものであります。一方で、新設した解任事由は欠格事由と結び付かないことなどから、これらの規定を適用することとしても成年後見人等を不当に害することにはならないと考えられます。 そこで、これらの規定については、改正法の施行後、現行の後見及び保佐の制度を継続して利用する場合にも適用することとしたものであります。
○横山信一君 分かりました。 取消しの請求をすれば現行制度も終了できるようになります。それでは、請求さえすれば、どんな場合でも終了できるのか、これについて伺います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、民法等改正法案の附則では、家庭裁判所は、本人等の請求により、現行法の規定によりされた後見開始の審判又は保佐開始の審判を取り消すことができることとしています。この請求があった場合には、基本的にはこれらの審判が取り消されると考えられますが、本人保護の観点から相当でないと認めるときは家庭裁判所はこれらの審判を取り消さないことになると考えられます。 どのような場合に本人保護の観点から相当でないと認められるかについては、個別の事案における具体的な事情に即して判断されることになるため、一概にお答えすることは困難でありますが、例えば、高齢者虐待への対応が継続している場合や、単身高齢者で住宅や食事等の生活を維持する基本的な法律関係を整えるための対応を終えていない場合などは、本人保護の観点から相当でないと認められると考えられます。
○横山信一君 まさに虐待事案とか継続しているような事案では、親族から請求があっても認められないということであります。 そこで、本人や親族が後見を終了させたいというふうに思っていても、虐待対応が継続しているときには家庭裁判所は中核機関へ照会することになるのか、これについて最高裁に伺います。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お尋ねは、改正法案の附則に基づく裁判所の運用の在り方に関するものでございまして、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、その上で、一般論としては、委員御指摘の事案のように、例えば高齢者虐待防止法等に基づく市町村の措置が継続中である場合に後見の取消しの請求があったときには、家庭裁判所は、成年後見人を通じて市町村による本人の保護等の状況について報告を求めることもあり得るものと考えておりまして、この場合、家庭裁判所においては、その報告の内容を含む様々な資料により明らかになった事情を踏まえて適切に取消しの可否を判断していくことになるものと考えております。 最高裁といたしましては、改正法の趣旨や目的にかなった適切な運用が各家庭裁判所においてなされるよう、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○横山信一君 その状況にもよるんでしょうけれども、あり得るということになるんですが、そういう意味では、家庭裁判所、何人も質問が出ていますけれども、家庭裁判所の体制がやっぱり皆さん非常に心配です。後でまた聞きますけれども。そういう意味では、しっかりこの家庭裁判所が機能するかどうかということがこういう虐待事案等を見抜けるかというところにもなってまいりますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。 続いて、厚労省に伺ってまいりたいというふうに思います。 成年後見制度が十分に利用されていないことを踏まえて成年後見制度利用促進法というのが作られ、また、それに基づいて成年後見制度利用促進基本計画が平成二十九年に閣議決定をされました。また、第二期成年後見制度利用促進基本計画、これが令和四年に閣議決定をされております。 成年後見制度の利用促進がこのように図られてきたわけですが、この基本計画では、全国どの地域においても、必要な人が成年後見制度を利用できるようにするために、権利擁護支援の地域連携ネットワークと中核機関を整備することになっています。この中核機関は、権利擁護支援や成年後見制度利用促進に向けた司令塔機能、それから司法、福祉、医療、地域、金融等の関係機関が連携体制を強化するための協議会機能など、地域連携ネットワークの中心的な役割を担っています。今国会に提出されている社会福祉法改正案では、この中核機関を地域権利擁護相談支援センターとして法定化をしてまいります。 今後、この地域権利擁護相談支援センターの窓口が地域における中核機関として機能していくことになりますが、この中核機関、どのような役割を担うのか、政務官にお伺いいたします。
○大臣政務官(神谷政幸君) お答えします。 中核機関には、現在、法的根拠がなく、その権限等が曖昧であるため、判断能力が不十分な方の権利擁護をチームで支援する場合の個人情報の取得、共有や会議開催等の調整、また、権利擁護支援の地域連携ネットワークの関係機関との協力、連携を行う上で課題があるとの指摘がございます。 このような状況を踏まえ、特に中核機関が未整備の比率が高い小規模市町村などの体制整備を促進する観点からも、今般国会に提出した社会福祉法等の一部を改正する法律案においては、判断能力が不十分な方の権利擁護支援に係る事務として市町村が実施に努めなければならないものとして、支援関係者や本人等に対する相談支援に係る事務や地域の関係機関、民間団体の連携体制の整備に係る事務を明確化することとしております。 その上で、市町村の事務の実施に当たり、中核的な役割を担う機関として地域権利擁護相談支援センターを法律に位置付けることとしており、法案が成立した場合には、地域権利擁護相談支援センターの行う事務やその権限等が法律上明確化されることになると考えております。
○横山信一君 法律で定めるのはいいんですけれども、こうして法律で定めて、実際に運用できるかどうかというのは、様々これから応援をしていかなきゃいけないわけです。 そのことをこの後聞いていきますけれども、厚労省の令和七年度成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査結果というのがありまして、これによると、令和七年四月一日時点で中核機関を整備している市町村は、全市町村のうちの七七%、整備予定を含めても八一・七%ということにとどまっていると。小規模市町村ほど整備が進んでいないという現状があります。 本法律案では、家庭裁判所が補助の制度に係る各審判をする場合に、市町村長その他適当な者に対し、本人の心身の状態、生活の状況その他必要な事項に関する意見照会をすることができるようになっています。中核機関は、意見照会において、家庭裁判所との情報共有、連携を図ることになります。 しかし、中核機関の未整備地域では、その役割を担う機関は存在しません。そのため、終われる後見が導入されるのに、それを運用する受皿が整備されていなければ終われないのではないかという懸念が生まれます。これについてはどうするのか、伺います。
○大臣政務官(神谷政幸君) お答えします。 民法改正法が成立、施行された場合には、家庭裁判所が成年後見制度の利用終了に向けた審判を行うに当たり、改正後の家事事件手続法第百二十条第三項に基づき、本人の福祉サービスの利用の有無などにつき市町村長等に意見を聞く場面も想定されるなど、これまで以上に司法と福祉の連携を図ることが重要になると認識をしております。 他方、市町村においては、委員も御指摘されたように、中核機関が設置されていない、そういった場合には、成年後見制度に精通した職員が配置されていない等の事情により、円滑な回答内容の検討や実効的な連携の観点で課題が生じる場面もあり得ると認識をしております。もっとも、家事事件手続法に基づく照会が市町村長にされた場合は、中核機関を設置しているか否かにかかわらず、市町村として照会への対応をすべきものであると考えられます。 また、今般国会に提出した社会福祉等の一部を改正する法律案においては、権利擁護に携わる支援関係者や本人等に対する相談支援に係る事務、地域の関係機関、民間団体の連携体制の整備に係る事務の実施を市町村の努力義務として規定しており、中核機関を設置していない場合でも、地域における権利擁護支援に係る事務を市町村が行うべきであることに変わりはないと考えております。 厚生労働省としては、今般、法制化、法定化することとしている地域権利擁護相談支援センターと家庭裁判所との情報連携の在り方も含めたマニュアルを作成する予定であり、同センターを設置していない市町村も含めて、市町村が果たすべき役割等について丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
○横山信一君 マニュアルを作るということで対応するということでありますが、自治体職員も自治体の中で当然異動があるわけでありますから、そういう意味では、常に、新しい人が入ってくるとまた一から勉強するみたいなことになりかねないですし、マニュアルは作ったからといって、それが自治体で常に共有されているということにもならないというふうにも考えられます。 現在設置されている中核機関は、市町村が直接運営するもののほか、市町村が社会福祉協議会等へ委託して運営するものがあります。小規模市町村ほど中核機関の整備が進んでいない理由の一つに、財源や専門人材の不足と、先ほど政務官もおっしゃられましたけれども、こういった問題があります。 そこで、市町村における中核機関の整備、運営のためには、国からの地方交付税、もちろんあるんですけれども、こうした地方交付税措置に加えて運営費を更に支援すべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○大臣政務官(神谷政幸君) お答えします。 中核機関は、本人の支援ニーズに対応した支援が行われるために重要な役割を担っていると認識をしております。 中核機関の運営費については、先ほど委員からもお話がありましたとおり、地方交付税措置の対象となっております。さらに、厚生労働省としては、中核機関の立ち上げや機能強化を支援するため、これまでも、成年後見制度利用促進法に基づく政府の基本計画に基づいて、中核機関の立ち上げに向けた準備を行う市町村や市町村の支援機能の強化を行う都道府県に対し、必要な経費の補助を行うなどの財政支援を行ってきたところであります。 民法改正法が成立、施行された場合には、制度上、成年後見制度の利用を終了する方が出てくることから、地域における権利擁護支援のニーズは更に多様化及び増加することが見込まれ、中核機関の役割はより重要になってくると認識をしております。こうした点や、厚生労働省において国会に提出した社会福祉法等の一部を改正する法律案の内容、特に、新たな第二種社会福祉事業を創設することや中核機関を法定化することも踏まえ、引き続き、中核機関の整備及び適切な支援体制の構築に向けて必要に応じた支援を行ってまいりたいと考えております。
○横山信一君 今の時点ではそういう答弁になるんでしょうけれども、ここはやっぱり皆さん非常に心配をしているところですので、交付税措置があるでしょうということではなく、やっぱり厚労省としてもしっかりここは厚みを持って対応できるような予算要求をお願いしたいというふうに思います。 先日の参考人質疑では、全国どの地域に住んでいても適切な権利擁護支援を受けられるようにする必要性が述べられておりました。また、財源や人手不足等により各市町村における地域福祉の充実が困難な現状に対して、都道府県が、市町村だけではなく都道府県が積極的に関与して広域連携を進めることが提案をされていました。財源や専門人材の不足などにより中核機関の設置が進まない市町村は、既に中核機関が設置されている近隣の市町村と連携するなど早急な対応が必要と考えます。 そこで、厚労省は都道府県による管内市町村の権利擁護支援体制を進めるための予算措置を図っていますが、このような都道府県の積極的な関与による市町村の広域連携の取組、これはどうなっているのか伺います。
○大臣政務官(神谷政幸君) お答えします。 現在、中核機関設置済みの自治体は約八割でありますが、本人の支援ニーズに対応した支援が行われるためには、全ての市町村において中核機関が設置されることが望ましいと認識をしております。 もっとも、特に小規模な市町村においては、先ほど御指摘もありましたが、人材の確保が難しい、また制度に対する理解が不足しているなど、様々な理由で中核機関の設置や必要な機能の発揮に当たり課題があると承知をしております。 このような状況の中、小規模市町村における中核機関の設置を促進するため、都道府県とも連携しながら、御指摘の広域での設置に係る事例や都道府県と小規模市町村が共同して中核機関を設置した事例など中核機関の立ち上げに係る好事例の発信、共有、また、小規模市町村への支援を行う都道府県に対する国研修の実施や体制整備アドバイザーの配置、派遣のための支援などを進めることにより、市町村における適切な支援体制の構築を支援してまいりたいと考えております。
○横山信一君 広域連携ができるということでありますので、そういう意味では、研修をこれから都道府県の職員にもしていくということでありますが、この都道府県の役割がここは非常に重要になると思いますので、是非、県職員に対して、整備が進まない特に小規模自治体に対して連携するようにと、連携したらどうですかと、こことお見合いしたらどうですかということを積極的にやるにはやっぱり県なので、その体制をしっかり、好事例の発信も含めてやっていただきたいというふうに思います。 終われる後見になることにより、この法律が施行後、中核機関は、これまでの入口支援に加えて、利用の終了に向けた出口支援という役割が加わることになります。 例えば、制度の利用を終了するかどうかの判断をする際の家庭裁判所から市町村長への意見照会があった場合の対応とか、あるいは利用を終了した後の本人を支えるチーム支援体制とか、こういったことに対する相談対応が考えられるわけですが、具体的に想定されるこの中核機関の出口支援について伺います。
○大臣政務官(神谷政幸君) お答えします。 第二期成年後見制度利用促進基本計画では、中核機関を中心とした権利擁護支援の地域連携ネットワークにおける支援について、一点目、成年後見制度の利用前の場面で、相談を行い、必要な支援につなぐ機能、二点目として、成年後見制度の利用の開始までの場面で、成年後見制度の申立ての準備から後見人等の選任までを支援し、本人を中心とした支援チームを形作る機能、三点目として、成年後見制度の利用開始後の場面で、本人を中心としたチームが機能するよう支援する機能の三つの場面に分けて整理をしております。 今般の民法改正法案が成立、施行した場合には、成年後見制度の利用を終了した後という新たな場面が生じることとなりますが、現在の中核機関の役割に鑑みれば、制度利用終了後に関する相談への対応も重要な役割になると考えられます。 具体的にどのような事務を行うかは、今後、成年後見制度利用促進専門家会議における議論等を踏まえて検討することになりますが、中核機関が新たな成年後見制度の利用終了後の支援も含めて引き続き必要な機能を発揮できるよう、成年後見制度の見直しに対応した業務運営等に関するマニュアルを作成するなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
○横山信一君 終われる後見によって、この中核機関の出口支援、非常に重要になります。そういう意味では、ここでもマニュアルが出てまいりましたけれども、しっかり対応していただいて、安心して終われるようにしていただきたいというふうに思います。 最後の質問になりますけれども、先ほど来出ていることなんですが、やはり家庭裁判所の体制です。 この法律案で補助人の家庭裁判所に対する年一回の報告義務が法定化をされましたが、この年一回の定期報告における最大の課題は、親族が補助人になった場合にその事務負担が重いということです。 親族補助人は書類の作成に不慣れなため、期限遅延や未提出が起きやすく、家庭裁判所による管理監督も課題になってくると思われます。現時点においても、既に家庭裁判所では、成年後見人から提出される膨大な定期報告書を審査、管理するマンパワー不足が指摘をされているところであります。先日の参考人質疑でもここのところが盛んに指摘をされていたところでもあります。 このような問題を解消するために、親族後見人に対する事務相談や講習会などを実施するための中核機関の整備が進められてきました。これも中核機関の役割の一つであります。一方で、参考人からは、年一回の定期報告がきちんと機能すれば適切な制度利用の終了の判断が可能になるだろうという、そういう意見も出ておりました。 そこで、終われる後見の要とも言えるこの家庭裁判所への年一回の定期報告をより実効的なものとするために、家庭裁判所のこのマンパワー不足、これにどう取り組んでいくのか伺います。
○最高裁判所長官代理者(清藤健一君) お答え申し上げます。 先般、改正家族法が施行されましたけれども、それに加えまして本改正法案が成立するということになった場合には、裁判所に期待される役割がこれまで以上に大きくなるということは裁判所としても認識しているところでございます。そのような裁判所に期待される役割をしっかりと果たしていくために、各裁判所において安定的な事件処理を確保するということが重要であると考えているところでございまして、これまでも体制整備を進めてきたところでございます。 本改正法案につきましては、先ほど申し上げたところでもございますけれども、この改正法案が成立して施行された後の家庭裁判所の具体的な業務量について現段階で確たることを申し上げることは困難であるということは御理解いただきたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたが、この改正法案が成立するということになった場合には、改正法の趣旨、内容をしっかり踏まえて適切かつ合理的に審理運用の在り方を検討していくということが重要であると考えておりまして、そのような審理運用の在り方に見合った形で、引き続き必要な体制面の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○横山信一君 定数増をこれから要求をしていくことになると思うんですけれども、家庭裁判所の役割が大きくなるというふうに答弁がありましたが、そこのところしっかり踏まえた上で、終われる後見が導入されることによって利用者が減るんじゃないかと思っている人もいると思うんですけれども、むしろ逆の方向に皆さんそれを大変心配されているわけですし、終われる後見によってむしろそうした家庭裁判所の役割はもっともっと大きくなっていくわけでありますから、しっかり体制整備に向けた要求をしていただきたいというふうに思います。 以上で終わります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。 十五分の時間いただいておりますので、成年後見について皆様の問題意識を引き受けさせていただいて、今の横山議員、また先ほどの小林さやか議員、本当にこれ担い手がいるんだろうかという問題ですね。 十一日の参考人質疑のときに、久保厚子さんがとっても分かりやすく言っていらっしゃいました。バスに乗りたいという人はいっぱいいるけれども、運転手も不足しているし、ガソリンもないと。こういう中でどういうふうに対応するのかということが共通の課題だろうと思います。 その中で、今日は三点質問させていただきますけれども、一点目は、まさに中核機関を自治体で引き受けるということですけれども、この中核機関を今後どのように進めていくのか、特に小さな市区町村では担い手、専門の知識もなければ、また人もいないというところで、今ほど横山議員の質問ともかぶるんですけれども、ここの辺りをおさらいをしていただけますか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 改正法が成立した場合に、その趣旨に沿った運用が行われるためには、地方自治体等を含め、関係機関との情報共有や連携などが重要であると考えております。 成年後見制度に関しては、成年後見制度利用促進法に基づき成年後見制度利用促進専門家会議が設置されておりまして、この専門家会議には、障害者の方やその御家族等のほか、知事や市長、町長といった地方自治体の代表の方や最高裁判所等の関係機関が参加し、厚生労働省が事務局を務めておられます。 法務省としては、改正法の成立後、成年後見制度利用促進専門家会議の場も活用して、その趣旨や内容等について御説明をしたり御意見を伺ったりするなどしながら、地方自治体や関係機関との情報共有、連携等に努めてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 公式な答弁はそういうことなんですけれども、具体的に現場からは大変いろいろな課題が示されております。 特に、様々な決定の手続あるいは事実確認の説明というのが当事者になされていないということで、そのような不満がたくさん寄せられているんですけれども、特に裁判の過程というのは、裁判官の独立性ということもありますし、私も幾つも書類見ましたけれども、審判の結果、たった一行しかない、説明を求めても説明をされないという場面がたくさん報告されておりますけれども、この決定手続の透明化、あるいは当事者への事実確認の徹底、今後どのように確保していかれるでしょうか。お願いします。
○政府参考人(林俊宏君) 私から、高齢者虐待防止法の面会制限の決定の過程に関してお答えを申し上げます。 高齢者虐待防止法に基づきます面会制限は、老人福祉法上の措置により、虐待からの保護が図られた高齢者について、養護者と面会することで生じ得る虐待の悪化及び再発の防止を目的にとられる措置でございます。 市町村がこの高齢者虐待防止法に基づく面会制限を実施するとの判断に至った場合、その決定は行政処分に該当することから、行政手続法に基づきまして、高齢者本人及び虐待を行った養護者に対して事前に弁明の機会を付与するということ、そして面会制限の処分通知には処分内容や処分理由などを書面で示すことが必要になってまいります。 また、面会制限を実施するか否かにかかわらず、高齢者虐待防止法に基づく対応におきまして、市町村が高齢者御本人や養護者などの当事者から事実関係の確認を行うということは、虐待の有無や緊急性の判断に当たって必要となることはもちろんでございますが、虐待の発生要因や課題を把握するとともに、虐待の解消あるいは再発防止のため、高齢者や養護者にどのような支援を行っていくかについて市町村が検討していくためにも重要と認識しております。 しかしながら、実態としては、事実関係に関する聞き取りなどに対して養護者等の当事者が消極的で協力が得られないなど、市町村が十分な確認を、事実確認を行うことが困難なケースもあると承知しております。 こうしたケースにおきましては、まずは例えば面会制限を実施するなど、高齢者の保護を行うことによりまして、虐待を行った養護者の介護負担などがひとまず軽減されることで精神的にも落ち着いた状態で事実確認を応じる、確認を行うことにつながります。また、虐待を受けた高齢者の安全が確保された状況の下で市町村が養護者に対する事実確認や指導、助言を円滑に行うことが可能となるなど、高齢者の保護の実施が効果的な事実確認に資する場合も考えられます。こういった旨を厚労省としても自治体向けのマニュアルにも明記しております。 引き続き、個々の事案に応じまして面会制限や事実確認における適切な対応が行われるよう、自治体向けマニュアルなどを通じまして市町村へ適切な運用を促してまいります。
○政府参考人(松井信憲君) 私からは、後見開始についてお答え申し上げます。 まず、後見開始の審判等の理由が十分に開示されていないとの御指摘について、現行法では、家事審判の審判書には、家事事件手続における迅速処理の要請から詳細の理由の記載を常に要求するのは相当ではないことを踏まえ、理由の要旨を記載することとされています。その上で、即時抗告をすることができない審判については、審判書の作成及び理由の要旨の記載を要しない場合があることとしております。 後見開始の審判は即時抗告をすることができる審判でありますので、審判書を作成し、理由の要旨を記載する必要がありますが、理由の要旨をどの程度記載するかについては、家事事件手続における迅速処理の要請を踏まえつつ、個別の事案における具体的な事情に即して家庭裁判所において適切に判断されるものと考えております。このことは、民法等改正法案の補助開始の審判についても同じでございます。 次に、手続の透明化や当事者への事実確認を確保すべきとの御指摘について申し上げますと、民法等改正法案では、補助に係る各審判をする場合には、原則として本人の陳述を聴取することとしております。また、補助人の選任の考慮要素として、本人の意見を重視すべきであることを明確にするために、考慮要素の冒頭に本人の意見を規定しております。 これらの規定の趣旨を踏まえると、本人の意見や保護の必要性の把握の観点から、親族に話を聞くことによって本人に害が生ずるおそれがある事案は別として、基本的には本人のことを最もよく知っていると思われる親族に話を聞くことが想定されます。これらの機会に当事者に必要な事実確認もされ、また、これらは手続の透明化にも資するものと考えております。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。 私は、ずっと子供の幸せをどうするかということで、離婚後共同親権のことをここ七、八年やってまいりましたけれども、認知症の後見、あるいは精神障害、あるいは障害を持っている方たちの後見も、本人という、今、局長が本人の意思ということを言っていただきましたけど、その本人の意思の表明そのものが不明瞭、元々がという状態の中で、どうやって最善の出口を探すのかというのは、これはもう心理学なりあるいは社会学なり様々な学問的背景を基にしながら結果を求めなきゃいけないと思うんですね。 私自身、アメリカとかフランスの民法のことを調べていきますと、日本の場合には、それこそ一方的に裁判所で決めた、もう親子の分離なんて大変なことです。私は、もう日々その不満、不満というか、課題を受け付けているんですけど、日本の裁判過程の中に対話というのがほとんどないんですね。裁判はもう裁判官が決める、理由は聞くな。聞いても、今の答弁ですね、審判の理由は付さなくていいというようなことになってしまっている。 でも、例えばアメリカ辺りの離婚の訴訟ですと、当事者、夫と妻が目の前にいて、裁判官が真ん中にいて、それで対話の場面をつくるところで最善の方法を考える。ここはもう日本の特に民事の裁判制度の根本的な問題ではないかと思いますので、この辺は今日、問題提起だけしておきます。回答はなかなかないと思うんですけれども。私たち、悶々とする、まさに高齢者、障害者、子供の代弁をしていくべき立場の者として、まさにそれを法制化するというのはどういうことなのかということを真剣に国家として、法務行政として考えなければならないと問題提起をさせていただきます。 それで、三点目ですけれども、本当に乗りたい人はたくさんいるけど運転手やあるいはガソリン足らないという、そういう状態の中で、数値的にいきますと、介護保険が始まったところで並行してこの制度ができてきた。ここはもう泉議員が経過を説明していただいていましたけれども、今後ますます認知症の高齢者増えるわけですね。そういう中で、今六百万人から七百万人、それでこの成年後見利用している方が高齢者ですと十五、六万人ですね、どんどん増えていく。行く行くは千二百万人の認知症の方がという時代になると言われている中で、人的にどうやってマンパワー増やしていくかということで、特に法定後見人が報酬をどう受け取り、そしてその実態の透明度を高めるためにはどうするかというようなことも含めて、成年後見の実務において行った事務、サービスに対する報酬をどのように明確化、透明化できるかということで、今後更に制度を必要とする方が増える中で、制度の利用拡大、透明化の観点で、私自身は民間活力の導入ということも前回提案させていただきました。 十一日の参考人質疑の中で、久保さん、また上山さん、星野さん、三名に聞かせていただきました。三名とも、もうこの後民間活力必要だろうと。そもそも介護保険のときも、あそこまで民間が増えると思わなかったけれども、結果的にはそうなっているわけですね。そして、この民間活力の活用についてどう後押ししていくのか。お三方とも、監督権限、あるいはきちんとしたチェックが必要だと。 どんな領域でも必ずいろいろ不正が起き得るから、この分野でも民間活力の導入についてどう判断なさるかということで、ここも是非当局の御判断をお願いしたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 まず、民法等改正法案では、報酬を算定する際の考慮要素として、補助の事務の内容を規定することとしております。また、後見人が包括的代理権を有する後見の制度を廃止して、補助人に個別に必要な範囲でのみ代理権等の権限を付与することとしております。この見直しによって、補助人の報酬の在り方も、包括的代理権を有する後見人の報酬と異なり、補助人等が行った事務の内容をより重視したものとなるということが想定されるところです。 次に、民間活力を活用して例えば株式会社等が法人後見を行うことなどについて申し上げますと、高齢化が進展していることや、民法等改正法案によって成年後見制度が利用しやすくなることに伴って制度の利用者が増加すると考えられ、このニーズに対応するためには、補助人の多様な担い手を確保するなどの観点から、各種法人による法人後見の育成や活用が進められることが重要であると考えております。 第二期成年後見制度利用促進基本計画では、これまで主として社会福祉協議会による法人後見の育成が進められてきたことを前提に、そのことは継続しつつも、社会福祉協議会以外の法人後見の担い手を育成する必要があるなど、法人後見の活用につながる施策が記載され、関係省庁等においてその取組が進められていると認識をしております。 法務省としても、今後もそうした取組が継続されるよう、関係省庁等と連携してまいりたいと考えております。
○委員長(伊藤孝江君) 時間になっております。おまとめください。
○嘉田由紀子君 はい。 時間終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。 以上です。
○委員長(伊藤孝江君) 午後二時二十分に再開することとし、休憩いたします。 午後零時九分休憩 ─────・───── 午後二時二十分開会
○委員長(伊藤孝江君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、加田裕之さんが委員を辞任され、その補欠として有村治子さんが選任されました。 ─────────────
○委員長(伊藤孝江君) 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○安達悠司君 参政党の安達悠司です。 まず、今回の法案が通ると現在の法定後見制度がどう変わるのかについて、お手元の配付資料を御覧ください。一枚目が法務省作成資料、そして二枚目がこれをやや単純化した資料です。 今回の法改正案で変わるのは、二枚目の図でいいますと、後見人や保佐人がなくなること、そして判断力を欠く常況にある人まで補助人の範囲が広がっていくことですね、青が広がっていくこと、そして判断力を欠く常況にある人にはこの特定補助人が必ずしも付されるとは限らないということですね。 ここで指摘したいのは、これは後見制度の規制緩和であるということです。つまり、本人にとって、規制緩和に対してセーフティーネットは大丈夫ですかと、規制緩和しても本人の財産はちゃんと守れるのですかという問題が一点あります。 また、念のために指摘しますと、現行制度は終われない後見とよく言われますが、これは誤解でありまして、実際には現行制度でも、一番左の補助人ですね、青の補助人は、これは、判断能力を回復していなくても、必要がなくなったときは民法十八条三項を根拠に審判の取消しができます。これは、昨年十月、東京家庭裁判所の後見センターレポート三十三号などにも明記されており、それには、現行の法定後見制度の中でも、補助類型においては、その制度利用の必要がなくなった場合に制度利用を終了させることができる仕組みになっています、診断書の提出は必要ありませんなどと書かれています。 本当は補助相当、青の類型だったのに後見人が付されてしまうといったケースは、これは実は法律の問題ではなくて、裁判所の判断や医師の診断書などによる運用の問題だと私は理解しております。 すると、問題は、一番右の部分、この法改正で、判断力を欠く、意思能力を、事理弁識能力を欠く常況にある人が、これが、今までは必ず後見人が付いたのが、今後特定補助人が付かない場合がある。これでも財産管理の問題起きないか。また、特定補助人が付いたとしても、今の後見人とどう違うのか、こういった問題が起きます。 ほかにも、代理権限をちゃんと増やせていけるのかといった問題もあるわけですが、この財産管理の実務に関して、特定補助人と後見人の違いについて、やや実務的な視点からお尋ねします。 六月九日の法務委員会では、民事局長から、本人の預貯金等の現状を保存するために必要と言えるときは、保存行為として当該親族等に対して本人の通帳等の引渡しを求めることができるとし、特定補助人が通帳等の引渡請求をしなかった場合の責任について説明がありました。もし特定補助人の保存行為の権限をもって全部の財産に対し一定の責任が生じるなら、この特定補助人、これには実は包括的な財産管理の義務があるようにも見えます。 そこでお尋ねします。特定補助人のこの保存行為の権限の対象は本人の財産全部に及ぶのでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 特定補助人が有する本人の財産に関する保存行為をする権限につきましては、本人の全ての財産がその対象となります。
○安達悠司君 そうしますと、この特定補助人が保存行為の権限と善管注意義務によって生じるこの財産全部に対する義務や責任というのは、今の現行の後見人の包括的な財産管理の義務や責任、これと比較して、その内容、範囲、程度などにおいてどのような違いがあるんでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 現行法の成年後見人は、本人の財産を包括的に管理し、かつその財産に関する法律行為について当然に本人を代理する権限を有しております。そして、成年後見人はこれらの権限の行使について善管注意義務を負います。 他方、特定補助人は、本人の財産を包括的に管理する権限及び包括的代理権をいずれも有しておらず、本人の財産に関する保存行為をする権限等を有するのみであります。この保存行為をする権限については、本人の全ての財産がその対象とはなりますが、その内容は、財産の現状を維持するために必要な行為をするにとどまります。そして、特定補助人は、これらの権限の行使について善管注意義務を負うことになります。 一般論として申し上げれば、善管注意義務に関連して生ずる責任として、その違反による不法行為等が成立する場合における本人に生じた損害の賠償責任というものがございます。どのような場合に善管注意義務違反による損害賠償責任を負うこととなるかについては、個別の事案における具体的な事情を踏まえて判断をされるため、一概にお答えすることは困難でございますが、特定補助人は、成年後見人とはその有する権限の内容が異なるため、成年後見人と同じ責任を負うものではないと考えております。
○安達悠司君 要するに、成年後見人の場合よりも義務や責任が緩くなると理解してよいですか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 委員御指摘の緩くなるというところの意味するところが必ずしも明らかではございませんが、申し上げたとおり、特定補助人は、本人の財産に関する保存行為をする権限等を有するのみであって、本人の財産の包括的な管理権や本人の包括的な代理権をいずれも有していないため、善管注意義務を負う範囲は成年後見人とは異なっております。 特定補助人は、あくまでその負っている善管注意義務に反した場合に損害賠償責任を負うにとどまります。
○安達悠司君 この辺りは、要するに制度が今と異なって緩くなると私は理解しました。なので、この制度について非常に危機感、危機を持っております。 次に、財産目録の対象範囲についてお尋ねします。 今までの後見人は、包括代理権に基づき全財産について財産目録の作成を行っています。これに対し、補助人や特定補助人の作成する財産目録というのは、与えられた特定の法律行為の代理権に係る財産に限定されるのでしょうか、それとも全財産について財産目録の作成が必要なのでしょうか。補助人、それから特定補助人、それぞれについてお答えください。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、現行法と同様に、家庭裁判所は、いつでも補助人に対し財産の目録の提出を求めることができることとしております。 補助人が提出すべき財産の目録については、家庭裁判所により求められた範囲の財産がその対象となります。 これに対し、特定補助人は、特定補助人として付されるなどした後、本人の財産を調査し、その目録を作成しなければならないとなっております。これは、特定補助人は本人の財産に関する保存行為をする権限を有しており、この保存行為をする権限については本人の全ての財産がその対象となることから、その権限行使の実効性を確保するには、その権限によって可能な範囲で本人の財産の総額及びその状態を明確にしておく必要があるためであります。特定補助人が作成すべき財産の目録については、本人の全ての財産がその対象となります。
○安達悠司君 今のは明確な答弁だったと思いますが、そうすると、補助人や特定補助人は、代理権の対象になっていない財産について、つまり、代理権を持たない財産についていかなる権限に基づいて調査を行うのですか。代理権がなければ、金融機関や保険会社、証券会社等に対し、照会して財産の調査を行うことができないのではないですか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 補助人が提出すべき財産の目録については、家庭裁判所により求められた範囲の財産がその対象となります。補助人は、任意の協力を求める方法や代理権を付与する旨の審判によって付与された代理権によって可能な範囲で調査を行い、その目録を作成することになります。他方で、特定補助人が作成すべき財産の目録については、本人の全財産がその対象となります。 法制審議会の部会における議論では、財産の目録の作成は、任意的な方法を含め、可能な限りで把握できた財産について行われるべきであるとの意見が述べられたところです。
○安達悠司君 金融機関や証券会社が任意で応じるとは到底思えません。代理権がないのに照会に応じることはあり得ませんよね。なので、この点も大いに問題だと思います。 今回の民法改正案を一言で言いますと、これは後見制度の規制緩和であります。財産管理の責任が後見人と比べて緩くなりますし、そして、それによる最も大きな問題は、本人の財産を外部の人間がつまみ食いすることができる危険が高まるということです。 例を挙げて説明しますと、判断能力のない、全くない本人が自宅ではない土地を持っているとしますよね。駐車場とか、そういうふうに使ったとします。それに対して、その土地を買いたいと思った不動産会社がいます。判断能力のない本人に後見人を付けるかどうか、これは、今の状態では家族の判断でした。しかし、この改正後には、土地の売却を求める不動産会社や境界の確認を求める隣地の、隣の土地の管理会社が、特別代理人の選任を行って、選任申立てを行って、補助人選任に至らせることができるのではないかということが気になります。 そこで質問しますが、新しく作られる九十八条の三の、民法の九十八条の三の意思表示の受領の特別代理人を裁判所に請求できる場合とは、不動産会社が本人に対し、土地売却交渉を目的として土地の買取りの意思を伝える場合や、隣の土地との境界確認の同意を求める場合も含まれるのですか。 また、このように相手方からの申込みにより土地売却交渉が必要な場合や隣地との境界確認の合意書締結が必要な場合も、特別代理人の請求により同条三項に基づく補助人の選任審判がなされるケースもあるのですか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 まず、民法等改正法案では、本人が精神上の理由により事理弁識能力を欠く常況にある者である場合において、本人に代わって意思表示を受領する者がいないときは、表意者の請求により意思表示の受領の特別代理人を選任することができることとしております。 例えば、事理弁識能力を欠く常況にある本人に対し、お尋ねのように、本人が所有する不動産について売買契約の申込みの意思表示をしようとする場合において、本人に代わって意思表示を受領する者がいないときは、表意者は意思表示の受領の特別代理人の選任の請求をすることができると考えられます。 そして、意思表示の受領の特別代理人は、必要があると認めるときは補助開始等の審判の請求をすることができます。もっとも、この必要性は、本人にとっての必要性を意味します。 意思表示の受領の特別代理人は、家庭裁判所において中立的な者を選任することが見込まれ、また本人に対して善管注意義務を負っております。そのため、個別の事案についてお答えすることは困難ではありますが、一般論としては、本人にとって必要がないのに補助開始等の審判の請求がされることはないと考えられます。 また、家庭裁判所は、意思表示の受領の特別代理人から補助開始の審判又は代理権付与の審判の請求がされた場合には、その審判によって本人を保護する必要があるかどうかを踏まえ、その審判をするかどうかを判断することとなります。そのため、個別の事案についてお答えすることは困難ですが、同様に一般論としては、本人にとって必要がないのに補助開始の審判や代理権付与の審判がされることもないと考えられます。
○安達悠司君 もうこれ大変危険な話なんですよね。 まず、補助人は、土地を売却したら成功報酬が普通は加算されますが、売却しなかった場合は通常何もありませんね。 これ、補助人として選任されるかどうかは裁判所の判断だと言いましたけれども、例えば、本人が駐車場の土地を持っていて、隣の土地から境界の立会いしたいのでということを言われた場合、通常は必要があると判断しますよね。それで、必要があって補助人が選任されますと。補助人は中立なんですけど、その土地の、土地のね、例えば境界立会いしか権限がなかったとしましょう。それで境界の合意を行いましたと。そうしたら、隣の土地から、おたくの土地買いたいんだけどと言われた場合、それは安易に断ることもない。例えば五千万で買いたいと言われたら、これいい話かもしれないし、しかし悪い話かもしれない。これは本人の状況を調べないと分からない。ただ、補助人は、結局そのとき、全部の財産を調査する義務もないし、そんな権限もないので、これ、本人の土地の売却聞かれたとき、どうしようかなとなるんですよね。 また、今回、その結果、ここで質問しますけれども、この事理弁識能力がない人について、本人の関係者から補助人選任と不動産売却の代理権付与のみ申立てがありましたと。そのような場合に、補助人が不動産売却しようかどうしようかといったこの判断の観点から、これを判断するには、本人の全財産の残高とか支出とか、施設に入っているならその施設の支払とか、ほかの収入は何かとか今後の見通しとか、そういったものを理解するために本人の財産全部を把握したい、また管理が必要だというようなことを考えた場合に、この今、例えば今のような場合に、特定の代理権だけ与えられた補助人が、これは特定補助人、先ほど言いました、全部の保存行為の権限持っている特定補助人の選任が必要だと考えて特定補助人の審判を求めること、それによって特定補助人が認められると、こういったことは考えられるのでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 特定補助人を付する旨の審判は、申立人において本人が不利益な行為をする危険がある行為類型を的確に予測して特定することが困難な場合において、法定の重要な財産行為をいずれも取り消すことができるようにしておく必要があるときにされるものでございます。 そのため、補助人が不動産の売却等の特定の法律行為について代理権を付与された場合において、その事務の遂行に当たり本人の全ての財産を把握し又は管理することが必要であると考えたときであっても、法定の重要な財産行為をいずれも取り消すことができるようにしておく必要がないときは、特定補助人を付する旨の審判をすることはできないと考えております。
○安達悠司君 だから、意外とこの特定補助人も非常に使いづらいということですね。 だから、要は、今のように、例えば外の人が不動産買いたいと言ってきた、五千万で買いたいと言ったと。しかし、これで補助人が申し立てられたとしましょう。補助人に弁護士などが付いたとします。しかし、その弁護士も困りますよね、これ、この五千万の買取り申出に応じるべきなのか、応じないべきなのか。 普通だったら、これは、本人の状態がどうで、施設がどうで、例えばその駐車場から四、五万の毎月の収入があるとしましょう。そして、それと年金を合わせると一応施設の費用は賄えるというふうな話、状況、情報まで分かったとしても、じゃ、これによって売った方がいいのかというと、いや、五千万が妥当なのかとか、売ってしまったらやっぱり定期収入なくなりますから、それはそれで考えるなとなるし、また他方で、けど、この機会を逃してしまうとまた不動産で今後こんな高値で売れないかもしれないとかいろんなことを考えて、難しい判断です、結構。 しかし、これを全財産とか本人の収支状況を把握せずにやっちゃったら、これ多分、善管注意義務違反になる可能性もありますし、でも、そのために特定補助人も選任できないんだったら、これどうしたらいいんですかと。結局、補助人になった人はその代理権の追加付与の申立てを行うのか、でも、それも認められるかどうか分かりませんし、結局すごく本人にとってなかなかリスキーな判断をせざるを得ません。 しかし、今までの後見人と違うのは、結局それやったら辞めれますから。ということは、そのスポットで売却して、報酬を得て辞めるという人が出てこないとも限らぬですよね。こうなると、まさに本人の財産が、これ家族の意向に反してでもできなくはないですから、家族の意向に反してでもつまみ食いされちゃう危険がどうも排除できないんじゃないかと私は思います。 最後に、この包括代理権を廃止した理由についてお尋ねしますが、今申しましたように、今回の法改正、事理弁識能力を欠く常況にある人について、この判断、包括的な代理権を廃止した理由というのは一体何なんでしょうかね。これ、そのようなニーズが、つまり包括代理権という、もう本当に最後のとりでとしての包括代理権というニーズが全くなかったということなのか、それとも全く違うまた理由なのか、それはいかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 法制審議会の部会での審議の過程では、成年後見人が包括的代理権を有する後見の制度を残して、申立人がその利用を選択できるようにする案なども検討され、パブリックコメントの手続では、このような案に賛成する意見もございました。 他方で、成年後見人が包括的代理権を有することについては、本人の自己決定が必要以上に制限されているなどの指摘がされており、障害者の方などが参加していた部会やパブリックコメントの手続でも、包括的代理権を残す制度とした場合には、必要性の消滅によって制度の利用を終了することができなくなることなどの理由から、これに反対する意見もございました。 民法等改正法案では、このような法制審議会の部会での議論等を勘案し、成年後見人が包括的代理権を有する後見の制度を廃止することとしており、制度利用者の具体的なニーズに基づく制度の見直しであると認識をしているところでございます。
○委員長(伊藤孝江君) 時間になりましたので、おまとめください。
○安達悠司君 はい。 私は、この本人の全体像をきちんと把握して財産全部の管理を行う後見人の廃止をしたことは、最も問題が大きいと思います。本来、親亡き後の問題のように、包括的な財産管理責任者を頼みたいというふうなニーズもあるはずです。そうした包括的財産管理権の選択肢すらなくしてしまったことで、今回の民法の改正案には重大な問題が残っていると考えます。 以上で終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 司法と福祉の連携について、まず厚労省にお尋ねをいたします。 成年後見制度利用の促進状況の調査を厚労省行っていらっしゃいますけれども、令和七年度の調査によりますと、今日も随分議論になっている中核機関の設置率というのは、去年四月時点で七七%と。年々増加しているんですけれども、小規模自治体ほど設置率が低いというのが現実です。 お手元の資料を御覧いただくと、この未整備自治体の主な課題ということで、割合が大きい方から行きますと、自治体内部での調整が必要というのが五四・五%、人材の確保が難しいというのが五二・四%、続けて、制度利用に関する相談受付はできても、受任者調整など権利擁護支援チームの形成支援に係る仕組みが整えられないというのが四六・七%もあるんですよね。加えて、その一つ下ですけど、制度利用に関する相談受付はできるんだけれども、後見人などからの相談対応など権利擁護支援チームの自立支援の仕組みが整えられないという自治体が四〇・八%もあるという。 この地域間格差、自治体間格差というのは今でも深刻だと思うんです。この現状からすると、この新しい法制度の下でも逆に格差が拡大するということになるんじゃないか、そんなことあってはならないと思うんですが、厚労省、いかがですか。
○政府参考人(林俊宏君) お答え申し上げます。 中核機関においては、権利擁護を担う支援者などからの相談を受け、支援の内容を検討し、適切に実施するための調整を行う役割や、その前提として地域における関係機関の連携を図る役割を担っており、全国どの地域においても本人の支援ニーズに対応した支援が行われるためには、全ての市町村において中核機関が設置され、受任者調整などの求められる機能を発揮することが望ましいと、このように認識しております。 このため、厚生労働省といたしましては、これまでも、成年後見制度利用促進法に基づく政府の基本計画に基づいて、中核機関の立ち上げに向けた準備を行う市町村や市町村の支援機能の強化を行う都道府県に対して必要な経費の補助を行うなどの財政支援を行ってまいりました。 さらに、中核機関を制度上にしっかりと位置付け、特に中核機関が整備されていないことが多い小規模市町村などの体制整備を促進する観点からも、今回国会に提出しております社会福祉法等の一部を改正する法律案において、判断能力が不十分な方の権利擁護支援に係る市町村の事務を明確化した上で、その中核的な役割を担う機関として中核機関を地域権利擁護相談支援センターと改め、法律上に位置付けるなど、必要な制度的対応を盛り込んだところでございます。 その上で、具体的には、都道府県とも連携しながら、今後、中核機関の法定化に伴う運営マニュアルの改定でございますとか、小規模市町村における中核機関の立ち上げに係る好事例の発信、共有、小規模市町村への支援を行う都道府県に対する国研修の実施や体制整備アドバイザーの配置、派遣のための支援などを進めることによりまして、市町村における適切な支援体制の構築を支援してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 今日もさんざん議論ありましたけれども、法的に義務付けして号令掛けるというだけでは、この地域の福祉の基盤ということの充実というのはやっぱり遠くなってしまうんですよね。 次のこの資料に、全国障害者問題研究会の「みんなのねがい」から、「家族介護はもう限界!」という記事をお配りしています。 今回のテーマでいいますと、御本人を中心にしたチーム支援ということを考える上で、一番身近な家族は限界と、それが現実だということなんですよね。 御覧いただくとおり、実際、知的障害やあるいは他の障害との重複の方がこのアンケートで八四%に上ると、当事者が一日以上一人で留守番ができるという方はもうほとんどなくて、だから常時見守りが必要と、その主たる介護をほとんどがお母さんという場合が多いんですけれども、その約半数は働けないという実情にあって、世帯の所得も低い、介助疲れなどもあって家族介護はもう限界という声なんですが、この調査でも、実際制度を活用してお互いに支え合いながら暮らしている障害者家族の場合の調査なんですよ。 ですから、そういう支援につながっていないと、地域で孤立した生活を余儀なくされている方々の実態というのは想像に余りあると、やっぱりそれは本当に深刻な実情だと思うんですね。 福祉の現場はそれを受け止めてチーム支援に臨んでいかなければならないということだと思うんですが、その観点から、せんだっての参考人質疑で、東京社会福祉士会の星野参考人が、支援機関からの相談を後見申立てよりも先に受けて、候補者を選定して、本人との事前面談を行うという取組をこの十五年ほどやってきたというお話がありました。 本人を中心にその意思を尊重して必要な課題に応えていこうというオーダーメードの意思決定支援のためにとても重要な取組だと思いますがどうかということと、そうした支援をナショナルスタンダードにしていくというためにどのように取り組みますか。
○政府参考人(林俊宏君) お答え申し上げます。 中核機関において後見人等の受任者調整などによって権利擁護支援チームの形成を支援し、その権利擁護支援チームが本人への支援を適切に行うことができるようにすることは、本人の意思を尊重した成年後見制度の適切な利用の観点から重要であると考えております。 このため、厚生労働省としては、これまでも、成年後見制度利用促進法に基づく政府の基本計画に基づきまして、市町村に対し、中核機関が受任者調整を含めて求められる機能を発揮するよう、その機能強化のための支援を行ってまいりました。 その結果として、中核機関がコーディネートする後見等開始の申立て支援を行う検討会議において適切な推薦候補者の検討を行うなどの受任者調整の取組が各地で広がり始めていると認識しております。現在、中核機関設置済み自治体の、全国の約八割の自治体でございますけれども、そのうち約六割において、後見人等の候補者と選任形態についての調整を実施しております。 また、今般の民法等改正法案が成立、施行した際には、成年後見制度の見直しを踏まえまして、中核機関に求められる役割や、受任者調整の在り方についても整理が必要と考えております。 厚生労働省としては、こうした点も踏まえつつ、成年後見制度の見直し後においても中核機関が地域において必要な機能を発揮できるよう、国における研修などにおいて、御指摘のような本人と後見人等候補の予定者が申立て前に面談して相性を確かめるといった方法も含めまして、好事例の共有を図るといったことによりまして、市町村における適切な支援体制の構築を促してまいります。
○仁比聡平君 八割のうち六割ということですから、まだまだこれからだということだと思うんですよ。 前に進めていこうということはとても大事なことだと思うんですけれども、現実には、地域によっては、これまでの後見申立てで受任者調整はされていなくて、家庭裁判所が専門職に当たると、そうやって調整されるというみたいなことが結構あるというふうに思うんですけれども、法務省、改正法の趣旨からしても、この東京社会福祉士会のような取組が期待されるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、補助人は、その事務を行うに当たっては、本人の心身の状態に応じて、適切な方法によりその意向を把握するようにしなければならないこととしております。補助人による本人の意向の把握は、本人に対し補助の事務に関する情報の提供をして本人の陳述を聴取する方法や、本人との関係が良好な親族からその陳述を聴取する方法がありますが、これらの方法には限られません。 現行法の下で、例えば、本人について権利擁護支援の地域連携ネットワークによる支援が行われている事案では、本人を中心としたチームが形成されており、成年後見人等がその一員としてその事務を行っていることがあると承知をしております。改正法の下で、補助人がそのようなチームの一員として本人の意向を把握しようとすることは、委員御指摘のとおり、改正法の趣旨に沿うものと考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございます。 そうした運用が実際本当に全ての件で申立てでなされていくということが期待されると思うんですけれども、家庭裁判所、最高裁は、この補助の申立てを受けて、どんな考え方で補助人を選任していくんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お尋ねは、改正法案が成立、施行された後の裁判所の運用に係るものでございまして、現時点で確たるお答えをすることは困難でございますが、現行法下において、後見人等の選任は、裁判官が個々の事案における御本人の法的課題等を含む諸事情を総合的に考慮して判断しているものと承知しており、また、例えば、制度の利用に先立ち、御本人を支援する方々により、御本人の意向も踏まえつつ、適切な受任者の調整がなされた上で申立てがなされている場合には、家庭裁判所においてもその調整の結果を十分踏まえた形で後見人等の選任がなされるという運用が一般的となってきているものと承知しておりまして、このような考え方は改正法下における補助人等の選任においても大きく変わるものではないのではないかと考えているところでございます。
○仁比聡平君 今、馬渡局長がおっしゃったような取組というのは、成年後見利用の今現在二期計画ということの中で、家庭裁判所も、地域の福祉機関などとの協議会というんですかね、そういう形で参画をして実情を見学したりとか、その意思決定支援というのはどういうことなのかという現場を、一般的には裁判官なんかも見学をしたりして研修をしながら取り組んでいると思うんですけれども、そういう認識でいいですか。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 我々としては、福祉と司法の相互理解ということが必要であると、重要であるという認識の下に、各家庭裁判所においては、御指摘のような、例えば受任者調整の会議を見学するなどの取組も裁判所において、各家庭裁判所において場所によってはされているというふうに理解しております。
○仁比聡平君 そういう中で、新補助人には、本人の意向把握や尊重義務の誠実な履行ということが求められることになるわけですね。本人の意思や好み、それから日常生活上の課題、認知症や障害に係る最新の知見を学ぶという上でも、チーム支援の一員として本人と向き合うということが期待されると思います。 民事局長、先ほどと答弁が重なるかもしれませんが、一言で、イエスかノーかで。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 改正法の下で、補助人がチームの一員として本人の意向を把握しようとすることは、改正法の趣旨に沿うものと考えております。
○仁比聡平君 間違っても一人が独断で人のことを決めるという形であってはならないということだと思うんですね。 改正法について、上山参考人は、意思決定支援義務の法制化とも捉え得るというふうにおっしゃって、私はその意見とても重要だというふうに思いました。今後生かしていっていただけたらなと思うんですけれども。 そこで、家裁の、家庭裁判所の後見的機能について最高裁にお尋ねをしたいと思うんですが、前回の久保参考人が、九千円のセーターはぜいたくかというエピソードを紹介されました。私は決してぜいたくではないと思うんですよね。ノーマライゼーションの理念からも、知的障害がある方、とりわけ後見制度に若いときから補助の利用があり得るという方々が旅行や買物を楽しむ権利、より条件の良い賃貸住宅への引っ越しなど生活の質の向上を実現する権利があるのは当然だと思います。 新しい制度が、硬直した財産保全ではなくて、本人の意向を尊重した身上保護を重視して運用されるというために、家庭裁判所がどんなふうに後見的な機能を果たしていくか、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、個別具体的な事案における裁判官の監督の在り方につきましては、職権行使の独立の観点から、事務当局として、監督はこのようにすべきであるといったようなことをお答えするのは困難でございますが、その上で、一般論として申し上げますと、家庭裁判所においては、御本人の財産状況や御本人に生じ得る経済的な悪影響の有無、程度等を考慮しつつ、後見人等による収支の管理等について監督を行っているものと承知しております。 もとより、この監督におきましては、後見人等がその事務遂行につき広い裁量を有していることが前提とされておりまして、各家庭裁判所では、後見人等に対し、御本人の意思を尊重し、その生活状況等に配慮する必要があることについての注意喚起をしつつ、後見人等の判断がその裁量を逸脱、濫用していると認められない限り、委員御指摘のようなものを含め、後見人等の裁量判断を尊重するという認識が後見監督を担当する裁判官の間で共有されているというふうに承知しております。 最高裁といたしましては、各家庭裁判所において御本人の意思を尊重した後見等事務の遂行が確保されるよう、改正法が仮に施行された後も必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 つまり、御本人の意向を把握する、そして尊重するという義務が今度の法改正で明確になるわけですよね、補助人にとってみると。ですから、チーム支援の一員として、補助人が、御本人の好み、お買物にせよ、あるいは旅行にせよ、そういう取組で行う行為については、今局長のおっしゃる広い裁量権を逸脱するというものに基本的にはならないと、そういう理解でいいですか。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 個々の事案においてどういった場合に裁量の逸脱、濫用と、当たるかというのは、なかなか具体的な事情を踏まえて考えていく必要があって、一概に申し上げることは困難でございますが、今もおっしゃったような御指摘のような事案が常に逸脱、濫用になるというふうには一般的には考えにくいのかなというふうに思っております。
○仁比聡平君 最後の質問になってしまって、大臣、申し訳ありません。 最高裁にお尋ねしたいと思います。 今のような取組を審理、後見ということ、後見的機能ということで果たしていく上で、本人の課題や必要をつかむということは、前回も同感するというふうにおっしゃったんですが、この今回の法改正で、本人の心身の状態など必要な事項を行政福祉機関に意見を聞くというふうにあるんですが、ここにはどんなものが含まれるのか、終了の際は日常生活自立支援事業の契約書がちゃんと交わされているかというようなことも想定されると思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) この点につきましても現時点で確たることをお答えすることは困難ですが、その上で、御指摘、改正後の家事事件手続法百二十条三項は、補助に関する審判のうち、その必要性の有無を判断するものや補助人の選解任を判断する審判について、必要な場合には、市町村長その他適当な者に対してお尋ねの事項に関する意見を求めることができることを定めるものでございますが、一般論として、委員御指摘の規定により照会することが想定される事項といたしましては、御本人の課題の内容等にもよるところでございますが、例えば福祉、福祉的支援の有無及びその内容等に関する事実関係が想定されるところでございます。 その具体的な運用の在り方は、改正法が仮に成立した場合には、その後に各家庭裁判所において適切に検討がなされていくはずのものと考えておりまして、現時点で御指摘のような契約書が想定されるかどうかまではお答えすることは困難でございます。 いずれにせよ、最高裁判所といたしましては、委員御指摘の規定の活用の在り方を含め、各家庭裁判所において改正法の趣旨や内容にかなった運用がなされるよう、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。
○委員長(伊藤孝江君) 時間になっています。
○仁比聡平君 終わります。
○北村晴男君 日本保守党の北村晴男です。よろしくお願いします。 さて、まず、先週も少し触れましたが、今回の改正で新たに創設される保管証書遺言の関係でお聞きします。 保管証書遺言の創設は、パソコンなどを利用した作成が可能であること、オンラインによる保管申請が可能であること、ウェブ会議を利用した手続が可能であることなど、遺言のデジタル化を大きく進めるものであり、また利用者の需要も大きいと思われることから基本的に賛成ですが、ウェブ会議を利用した場合、例えば本人確認が適正に行われたのかとか、あるいは、遺言者が遺言の全文を口述するわけですが、本当に本人だったのか、とりわけ生成AIのテクノロジーが今後も格段に進展することが確実に予想されることからしますと、口述したのが例えば生成AIだったのではないかなど、法廷で争われるケースが多数に上る可能性があります。 そのため、ウェブ会議でどのようなやり取りがなされたのか、その様子を動画で記録、保存しておく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、遺言書保管官は、保管証書遺言書の保管申請があった場合において、遺言者の本人確認や遺言の全文の口述の状況等の確認を行い、所定の各要件が満たされているときは保管証書遺言書の内容等を保管、遺言書保管ファイルに記録し、保管することとしております。 保管申請に際して提供された情報等を含む記録の保存の在り方の詳細については法務省令等で定めることとしており、ウェブ会議を利用した場合の遺言者の本人確認については、遺言書保管官において、遺言者から提供を受けた身分証明書の写しや遺言者の画像キャプチャーを保存することを想定しております。 他方で、ウェブ会議を利用した場合に本人確認や全文の口述の状況を録音、録画して保存することについては、現時点では、一般的に利用することができるデジタル技術によると、そのデータ量が膨大となり、長期間の保存が困難であること、ファイル形式によっては長期間経過後に再生することが困難となる可能性もあると考えられることから、想定していないところです。 記録の保存の在り方については、相続に関する紛争を防止する必要性、保管のコスト等を考慮した上で、デジタル技術の進展の状況等も踏まえ、適切に検討してまいります。
○北村晴男君 確かに適切に検討されるということでよろしいかとは思いますけれども、保管の技術自体も、動画の保管の技術、それからそのコストも格段にリーズナブルになるということも予想されますし、その点十分考慮いただきたいと思います。 というのは、私自身も、例えば年に複数回、相続関係専門としていない弁護士でございますが、年に複数回、遺言無効を争うような事件を受任するというようなことも、ケースもありましたし、そんな経験からしますと、相当数の遺言無効を争うケースが全国的にはあるのかなと思っていまして、特にそれは自筆証書遺言のケースでしたが、公正証書遺言についてもかなり訴訟が提起されているということも聞いています、最近は。そういうことからすると、USBメモリーなどによる保存など、十分検討の余地があるのかなというふうに思っています。 それをしつこく言っていますのはどういうことかといいますと、訴訟になりますと、これ保管証書遺言の場合には、必ず遺言書保管官が法廷に呼ばれて証言を求められるということになろうかと思います。その場合、日常業務としてこの遺言書保管業務を行っている保管官にとりましては、個別の記憶を問われてもほとんど覚えがないというケースが大変多いと予想されます。そんな場合に、双方代理人からしつこくいろいろとその当時の状況を聞かれて非常に困るということ、これが、動画があれば一発でそれを示して、これを見てくださいということで終わると。そうなると、訴訟それ自体も、極めて不毛な尋問をしなくても、合理的にその動画で判断できるということが重要なのかなというふうに思っています。 さて、続いて、先週の質疑で最後時間切れになってしまいましたので、一点確認させてください。 改正法が成立しますと、遺言証書の押印要件が廃止されまして、遺言証書の作成に押印は不要ということになりますが、押印要件が廃止されても、実印あるいはその人が日常的に使用している印鑑を押している、そういう場合には事実上の信用性が増すものと考えられますので、押印をすることは今後も妨げない、妨げられないと理解してよいのでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、昨今の行政手続や民間等における押印廃止の流れにより、押印をめぐる慣行や法意識に変容が生じていることなどを踏まえ、自筆証書遺言等における押印要件を廃止することとしております。 このような押印要件の廃止により、押印がされていないことを理由として遺言が無効となることはなくなる一方で、御指摘のとおり、遺言者が任意に遺言書に押印することは妨げられません。 改正法の施行後も、遺言者が任意に遺言書に押印した場合には、その押印に基づく印影は証拠の一つと位置付けられ、遺言が遺言者の真意に基づいて作成されたものであることの根拠の一つになり得るなど、引き続き有益な機能を有するものと考えております。
○北村晴男君 ありがとうございます。 契約書や遺言などについて、署名してかつ捺印するという慣行、これは日本独特のものと理解していますけれども、これ実は、実務上は大変有意義な機能を持っていまして、特に実印、印鑑登録された実印というのは勝手に他人が利用できませんし、そうでなかったとしても、印鑑の偽造というのは意外と少ないですね、実務上見ていますと。そういうところからすると、本人が日頃使っている印鑑が押されているというものは証明力が大変高い。ですから、この押印要件の廃止それ自体に反対するものではありませんが、一般に押印要件がなくなったからといって押印しない方がいいというような誤解が生じないような、そういった広報も必要なのかなと思っています。 もう一度言いますと、署名プラス実印の押印というのは大変証明力が高いので、余計な争いを少なくできるという、非常にメリット、大きなメリットがあります。 続いて、特別の方式による遺言についてお聞きします。 今回の改正により、特別の方式による遺言に係る手続につきましてもデジタル方式が一部認められることになります。現行法上、特別の方式による遺言として、死亡の危急に迫った者の遺言、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言の方式が認められています。 まず確認ですが、現在これらの方式はどの程度利用されているのでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法は、普通の方式の遺言の要件を遵守することができないような特別な事情がある場合について、要件を緩和した特別の方式の遺言として、死亡危急時遺言、一般隔絶地遺言、在船者遺言及び船舶遭難者遺言を規定しているところ、各遺言の作成件数については統計がないため、お答えをすることは困難でございます。 もっとも、民法上特別な方式の遺言のうち、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言については、その効力が生ずるには家庭裁判所における遺言の確認の審判を要するとされており、この遺言の確認の申立て件数は、令和六年には全部で約二百件であったと承知をしております。
○北村晴男君 ありがとうございます。 死亡の危急に迫った者の遺言及び船舶遭難者の遺言についてデジタル方式の手続が認められることとなりますが、特に船舶遭難者の場合、証人がいなくとも、スマホなどを用いて録音、録画したものを特定の者に送信することによって遺言ができるようになります。 利便性が向上する一方で、保管証書遺言の場合と比較してやや成り済ましや偽造などの問題が起きやすくなるとも考えられますが、この点についてどのような対策を講じていかれるのか、お答えください。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 民法等改正法案では、死亡危急時遺言及び船舶遭難者等遺言について、切迫した状況下でも遺言による最終意思をできるだけ実現することができるようにする観点から、スマートフォン等の機能を利用することを想定し、遺言の作成過程を録音、録画することなどを要件とする新たな方式を追加することとしております。 具体的には、死亡危急時遺言及び船舶遭難者等遺言のうち証人の立会いを要する方式については、証人一人以上の立会いで足りるものとし、また、船舶遭難者等遺言のうち証人の立会いを要しない方式については、口頭で遺言する状況が録音、録画された電子データを特定の者に送信することを要するものとすることとしております。そして、証人一人以上の立会いを要する方式においては、録音、録画に係る電子データだけでなく、一人以上の証人が併せて遺言の作成過程についての証拠となります。また、電子データの送信を要する方式においては、電子データの送受信記録や遭難等の日時や場所等を含むその他の事実関係に関する証拠が遺言の作成過程についての証拠になると考えられます。 これにより、遺言が遺言者の真意に基づくことを担保し、御指摘の偽造や変造を防止することができるものと考えており、死亡危急時遺言や船舶遭難者等遺言の新たな方式において偽造や変造が行われるおそれが特に高くなるものとは考えていないところです。
○北村晴男君 ありがとうございます。 続きまして、相続人に対する遺言の通知についてお聞きします。 これはデジタル方式には限られないのですが、遺言をめぐる相続に関する紛争防止又は早期に解決するためには、できる限り早期に遺言の存在を相続人に知らせることが重要であると考えます。 相続人への遺言の通知の関係で、現在どのような制度が設けられているのか、具体的にどれくらいの期間でどのような方法で通知されているのか、お答えください。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 現在、自筆証書遺言の保管制度においては、遺言者の死亡後に、遺言者の相続人等の請求により遺言書情報証明書の交付等がされた場合には、遺言書保管官は、他の相続人等に対し速やかに遺言書を保管している旨を郵便で通知することとしております。また、運用上、遺言者が保管申請の際に申出をしていた場合において、遺言書保管官が戸籍情報により遺言者の死亡の事実を確認したときは、遺言書保管官は、遺言者が指定した者に対し速やかに遺言書保管所において遺言書を保管している旨を郵便で通知することとしております。 改正法案におきましては、自筆証書遺言及び保管証書遺言の両方において、この通知を行う制度を明文化することとしているところです。
○北村晴男君 細かい話で恐縮ですけど、相続人が長期不在などで通知できないような場合、通知が到達しない場合、この場合はどういう処理になりますでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 先ほど述べた通知の仕組みは遺言書の存在を相続人等に速やかに知らせるために設けられたものでありまして、相続人の中に長期不在などの方がいらっしゃると郵便が到達しないということになります。そのような方がいらっしゃったとしても遺言の効力に影響を及ぼすものではございませんが、御指摘のような場合が生ずることを可能な限り防止するため、遺言者の相続人等が遺言書情報証明書の交付等を請求するに当たっては、相続人の住所を証明する書類を添付しなければならないこととしているところです。
○北村晴男君 更に細かい、若干細かい話になります。ただ、実務上問題となり得るのではないかなと懸念される事項についてお聞きします。 改正法案の附則第五条第一項の遺言に関する経過措置によりますと、施行日より前に作成した自筆証書遺言、こちらは施行日前ですから当然押印が必要となりますが、その自筆証書遺言の内容を施行日以後に変更する場合、その場合には、なお従前の例によるとなりますので、押印を要することになるかと思います。 この結論自体は相当だと考えますが、一方で、押印要件の廃止が施行されますと、一般に、遺言についてはもう押印が必要なくなったんだよねという、そういう理解が進むかと思います。その場合に、今申し上げたようなケースで、従前の遺言を変更する場合にも押印は必要ないというふうに勘違いしてしまうのではないかということが懸念されます。 こうしたケースで遺言していない場合、ごめんなさい、そうしたケースで押印をしないで遺言の変更をした場合、当該自筆証書遺言の変更は無効になってしまうということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、施行日前にした自筆証書遺言について加除等の変更をした場合には、仮にその変更した日が施行日以後であるときでも旧法が適用され、その変更の場所への押印が必要となり、押印を欠いたときはその変更が無効となります。 これは、遺言者は遺言をする時点における規律が適用されることを前提に遺言をすると考えられることから、遺言の効力については遺言をした時点における規律によって決することが相当であると考えられること、自筆証書遺言について加除等の変更をしても、遺言をした日自体には変動を生じないと考えられること、仮に加除等の変更した日が施行日の前か後かによって旧法又は新法のいずれが適用されるかが異なるとすれば、その変更した日をめぐって爾後に紛争が生ずるおそれがあると考えられることを理由とするものでございます。 委員御指摘のような懸念につきましては、法務省としては、改正法が成立した場合には、具体的な場面における押印の要否も含め、遺言をされる方に必要な情報提供がされるよう、改正法の趣旨、内容の十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
○北村晴男君 最後に、遺言書保管官が不相当と判断するとウェブ会議の利用は認められないということになります。そういう場合、遺言者側がこれを不服として当該判断を争うこと、これは可能なんでしょうか。
○政府参考人(松井信憲君) お答え申し上げます。 ウェブ会議利用の申出の相当性は、保管申請の手続において、遺言が遺言者の真意に基づくものであることを適切に担保することができるかという観点から判断されるものですが、ウェブ会議の利用を相当と認めないとの判断自体は、遺言者の権利義務に直接具体的な効果を及ぼす行為ではなく、事実上の不利益を生じさせるにすぎない行為であることから、遺言書保管官の処分には該当しません。したがって、遺言者は、当該判断に不服がある場合であっても審査請求をすることはできず、争うことはできないと考えております。 もっとも、遺言者があくまでウェブ会議の利用を求め、遺言書保管官が保管申請がその要件を満たさないとしてこれを却下した場合には、その却下処分は遺言書保管官の処分に該当しますので、遺言者は審査請求をすることができ、その却下処分を争うことができることになります。
○北村晴男君 ありがとうございました。以上で終わります。
○委員長(伊藤孝江君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○安達悠司君 参政党の安達悠司です。 本法案に反対の立場から討論を行います。 今回の民法等改正案は、包括代理権を持つ後見人の制度を廃止し、補助に一本化するものであり、後見制度の規制緩和ですが、以下、四つの理由から反対します。 反対理由の第一として、現行制度が終われない制度というのは事実ではなく、改正の実益が限定的であることです。 事理弁識能力が不十分な方の現行の補助の制度は、判断能力を回復した場合でなくても、必要がなくなった場合は取り消すことができます。今でも補助は、必要な時機に必要な範囲だけ利用できる制度です。本当は補助相当なのに後見人が付されてしまうケースは、これは法律の問題ではなく、裁判所の判断や運用の問題だと理解します。 他方、事理弁識能力を欠く常況にある後見相当の方にとっては、全国銀行協会の意見などのとおり、金融機関を利用する場合に途中でやめることは現時点では困難である可能性が高く、仮にやめた場合も、その後誰が財産を管理するのか明確ではありません。 第二に、補助人や特定補助人では、本人の財産の保護のセーフティーネットとして十分ではありません。 特定補助人や補助人は、後見人に比べて財産管理の義務や責任が緩く、また、代理権のない財産については財産調査の権限が非常に曖昧であり、本人の全体像、全財産の把握が極めて甘くなりがちです。事理弁識能力を欠く常況にある者に対し、全財産の管理責任者、適切な管理責任者が付与されない可能性のある制度というのは、法律上の欠陥であると言わざるを得ません。 権限がなければ責任もありません。後見人の包括代理権を廃止すると、包括的な財産管理責任者もなくなります。本人の全財産について管理責任を負う者がいなくなる今回の規制緩和は、無責任であると言えます。 第三に、全財産を管理する後見人がなくなることで、本人の財産が処分されやすくなり、つまみ食いをされる危険が否定できません。 元々、判断能力のない本人の財産というのは他人に狙われる危険性というのがありまして、しばしばそうした事態が起きます。例えば、本人が所有する不動産を購入したい者が意思表示の特別代理人制度を通じて補助人を選任させ、そして補助人によって不動産売却交渉を行わせることも想定されます。その場合も、全財産の管理責任を持つ後見人は、まず全財産を調査し、収支計画を作成して最後まで責任を負い、財産処分も慎重に判断してきました。 しかし、他方、改正後の新補助人は、本人の全財産を調査するかどうかは任意であり、特定の法律行為だけ代理して不動産を処分し、報酬を受け取って辞任するといったことができます。全財産を調査しないため、本当に本人の今後の収支や人生まで考えた判断なのか、制度上は分かりません。裁判所が職権で代理権を追加したり特定補助人を選任することもできません。 第四に、法改正の背景には、意思決定代行制度の廃止などを示唆する国際機関の勧告などがありますが、代行廃止というのは行き過ぎであり、我が国の文化や家族、社会の在り方などを反映した改正とは言えません。 よって、本法案に反対します。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、成年後見法など民法等一部改正案、同整備法案に賛成の立場から討論いたします。 成年後見制度を抜本的に見直して、包括代理権を廃止し、特定の行為の代理のみを行う補助制度に一元化し、本人の意思決定の尊重、好みを含む意向把握義務を明文化、明確化することは、障害者権利条約の観点からも、代理決定を縮小する点で前進です。 障害者権利条約は、本人の意思決定を支援して一緒に決める制度への転換を求めています。障害のあるなしにかかわらず、全ての人に法的能力があり、障害者の様々な困難は社会の側の障壁によるものという観点にしっかり立って、なお残されている代理決定の仕組みを廃止し、意思決定支援制度への転換を検討する必要があります。 不断の見直しのため、附則十条に基づいて、本人の意向、自己決定の尊重がどのように図られていくか、その定性的な実情の把握がなされるよう求めたいと思います。 新制度の運用に当たっても様々な課題が懸念されますが、国が意思決定支援は自律の保障という基本的人権であることを明記し、責任を果たしていくことが重要です。特に、家庭裁判所が、本人の意向や補助を必要とする課題、終了後の日常生活に支障が生じないかなど、必要な情報をどのように把握して審判を行うのか、これまでの補助申立てにおいて多く実施されている家裁調査官による調査を施行後増加が見込まれる申立てにも行えるのか、残念ながら、最高裁から明確な答弁はありませんでした。 新制度が硬直した財産保全ではなく、本人の意向を尊重した身上保護と意思決定支援として機能するために、家庭裁判所の後見的役割は極めて重要です。充実した調査は不可欠であり、家裁調査官を始め、裁判所職員の抜本的増員を強く求めます。 また、司法と福祉の連携やチーム支援についても、中核機関の設置率は現在七七%程度で、小規模自治体ほど未設置です。専門職や福祉分野の担い手が不足し、財政的にも余裕のない中で、支援チームが組めない、チーム支援が機能せず裁判所が直接専門職に依頼するという実態も少なくありません。既に生じている自治体間格差を更に拡大させてはなりません。どこに住んでいても同じ支援を利用できるよう、国の抜本的な財政支援が必要です。 最後に、遺言制度のデジタル化について、様々な場面において遺言書の真意性、真正性の確保が問われることになります。しっかり注視し、対策を講じていくべきことを指摘し、討論といたします。
○委員長(伊藤孝江君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、民法等の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊藤孝江君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊藤孝江君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、打越さんから発言を求められておりますので、これを許します。打越さく良さん。
○打越さく良君 私は、ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対し、自由民主党・無所属の会、立憲民主・無所属、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び最高裁判所は、両法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 家庭裁判所による補助人の選任に当たり、本人の意見が重要な考慮要素であること及び補助人の本人に対する意向把握義務・意向尊重義務が明文化された趣旨に鑑み、本人意向を最大限尊重し、その利益の最大化に資するよう、家庭裁判所による適切な情報収集に向けた必要な研修その他の取組に努めるとともに必要な体制整備を図り、また、補助人と親族その他日常的に本人を支援する福祉関係者等との適切な連携が確保されるよう、関係機関に対する周知及び運用の徹底を図ること。 二 成年後見制度の利用終了後においても、判断能力が不十分な者が地域において必要な支援を継続して受けることができるよう、高齢者福祉、障害者福祉及び金融包摂の観点から、第二種社会福祉事業による支援を含む権利擁護支援施策の充実及び関係機関の連携強化を図ること。また、市町村において権利擁護支援の中核的役割を担う中核機関について、全市町村での設置及び十分な相談機能の発揮に努めること。 三 家庭裁判所が市町村長その他適当な者に対して意見を求めることができる仕組みが設けられる趣旨に鑑み、中核機関をはじめ福祉関係者から意見聴取することなどを通じて、本人が地域において適切な支援を受けることに結びつくよう、適切な制度周知や研修その他の必要な取組に努めること。 四 成年後見制度に係る事件の審理及び補助人等の監督が適切に行われるよう、裁判官、家庭裁判所調査官等の裁判所職員の必要な人的体制の整備、専門性の向上のための研修等の体制整備を行うこと。 五 新たな解任事由の創設を踏まえ、専門職後見人による支援の必要性が低下した場合には、親族後見人や市民後見人等への適切な引継ぎを含め、本人の状況に応じた適切な役割分担が図られるよう制度の周知及び環境整備に努めること。また、成年後見制度利用者の多様なニーズに対応するため、市民後見人の確保及び育成に向け、研修の充実、相談・支援体制の整備その他必要な施策を推進すること。 六 補助人等の報酬について、補助人等が行った事務の内容等が報酬の考慮要素であることが規定上明確化されることに鑑み、報酬の額に事務の内容及び負担の実態を適切に反映し、利用者と補助人等の双方に過度な負担を生じさせることがないよう、裁判官等の裁判所職員に対する研修その他必要な取組に努めること。 七 居住する地域や資力の有無にかかわらず成年後見制度を利用することができるよう、成年後見制度の利用に係る申立費用及び報酬に対する助成について、各市町村の要望を聴取しつつ必要な措置をとること。 八 改正後の法定後見制度の運用に当たっては、障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨を踏まえ、本人の自己決定権を最大限尊重し、ノーマライゼーションの理念が十分に反映され、特に、特定補助人を付する制度については、真に必要な場合に限り適切に利用され、障害者の権利を不当に制約することのないよう、制度の周知・広報及び関係者への研修を充実させるとともに、その利用状況について不断の検証を行うこと。 九 家庭裁判所による特定補助人の選任に係る「必要があると認めるとき」の要件については、その判断の予見可能性及び適正性を確保するため、要件該当性の判断に当たり考慮すべき事項及び判断基準の明確化を図る観点から、特に、本人があらかじめ特定補助人の選任を望まない意向を示していた場合その他本人の意向を把握することができる場合には、その意向を適切に考慮するなど、国会審議において示された考え方を踏まえた適切な制度利用がなされるよう、政府及び最高裁判所においてその周知等必要な取組に努めること。 十 補助人等による不正の未然防止及び早期発見並びに被害発生時の適切な対応が実効的に行われるよう、家庭裁判所による監督に関し研修その他必要な取組に努めるとともに、専門職団体による内部監査その他の自主的な不正防止の取組との連携強化に努めること。 十一 任意後見制度の利用が低調である要因について実態を把握し分析するとともに、精神上の理由により将来の財産管理や身上保護に不安を感じる様々な立場にある者が、任意後見制度を積極的に活用し、本人の意思を尊重した生活を営むことが可能となるよう、利用のための相談体制の充実、任意後見監督人の候補者に関する情報の提供の在り方を検討し、更なる改善に努めるとともに、両法による改正の趣旨も含めた任意後見制度の一層の周知・広報などを通じて、利用の促進を図ること。 十二 成年後見制度の利用の前又は利用と同時に備えることのできる財産の管理・承継のための将来設計として、高齢者、障害者等の生活を支援する福祉型信託を利用することが有効な手段であることに鑑み、国民がその機能、役割等を理解し、利用するためのあらゆる環境整備を進めることについて検討すること。 十三 任意後見制度の適正な利用の促進及び身寄りのない高齢者等の問題に関して、高齢者等終身サポート事業における預託金等の管理業務の信頼性を確保する観点から、信託会社、信託銀行等と高齢者等終身サポート事業との連携の在り方について検討するとともに、適正な事業運営を確保し、利用者が安心して利用できるよう努めること。 十四 成年後見人の包括的取消権の廃止に伴う消費者被害の拡大を防止するため、高齢の消費者や障害のある消費者の保護の強化などについて検討を行い、知識・経験・判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合などの対応について、法制上の措置も含めた検討を進め、必要な措置を講ずること。 十五 両法施行後の成年後見制度の円滑な運用及び利用の促進のため、成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づき、その運用状況について公表するとともに、制度利用の申立てが適切に行われるよう、民法等の一部を改正する法律附則第十条を踏まえ不断に検証し、その支援をするための方策について検討を行い、必要に応じて、その結果に基づき所要の措置を講ずること。 十六 現行の成年後見制度でも、家庭裁判所の審判に対する不服申立てにおいて親族側の意見が採用されていないこと等が指摘されていること等を踏まえ、民法等の一部を改正する法律の施行から三年後の検討が実証的なものとなるよう、速やかに成年後見制度の利用者及びその親族から意見を聴取するなど必要な調査を行うこと。 十七 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により「成年被後見人」を「特定補助人を付する処分の審判を受けた者」に置き換える等の改正がされた各法律について、今後個別にその改正を検討する際に、成年後見制度において「事理を弁識する能力を欠く常況にある者」との認定がされたことをもって当該法律に規定する制度において「特定補助人」又は「特定補助人を付する処分の審判を受けた者」に一定の地位を付与することの当否についても検討を行い、必要な措置を講じること。 十八 次期成年後見制度利用促進基本計画の策定に当たっては、両法の趣旨及び国会における議論を十分に踏まえ、改正後の制度が適正かつ円滑に運用されるよう検討すること。 十九 新設される保管証書遺言を含む各種の遺言制度が円滑に運用されるよう、関係機関と連携し、遺言の作成を希望する者が適切な遺言制度を選択するために必要な情報提供その他の遺言制度の利用促進に関する取組を推進すること。 二十 新設される保管証書遺言の信頼を高めるため、法務局の人的・物的体制の充実を図るとともに、保管証書遺言書の保管等の業務をつかさどる遺言書保管官の業務の適正な遂行及び利便性向上のため体制の整備等、必要な措置を講ずること。また、本制度の創設により、法務局において電子保管証書遺言書の保管等を行うことなどに鑑み、個人情報の保護の観点から、情報セキュリティ対策を着実に行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(伊藤孝江君) ただいま打越さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊藤孝江君) 多数と認めます。よって、打越さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、平口法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。平口法務大臣。
○国務大臣(平口洋君) ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。
○委員長(伊藤孝江君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤孝江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十四分散会
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S4RCIV が記録した内容から、改ざん検知用の値を お使いのブラウザで計算し直し、 記録済みの値と一致するか確かめます。計算は 下のボタンを押したときだけ、この端末で実行されます(暗号通貨の採掘や追跡ではありません)。 S4RCIV の「確認済み」表示を信じる必要はありません — 数字を再現するのはあなたの端末です。
- 記録 #3311 観測 2026-07-23 23:41 JST改ざん検知用の値
6d31bb73…7b8576(未計算)
チェックポイント
- 記録
- #3315 まで
- 署名
- 署名あり(s4rciv-checkpoint)
- まとめの値
- 43e2851a…81e1f7
仕組み
- 1各記録は、前の記録から計算した値を持っています。
- 2この端末で値を計算し直し、つながりが保たれているか確かめます。
- 3チェックポイントが、ある時点までの記録をまとめて固定します。
いつの時点かを外部(Internet Archive 等)に固定する仕組みは今後対応します。全件を通した計算は、公開エクスポートを使えば S4RCIV 以外の場所でも再現できます。
※ いつの時点の記録かを外部(Internet Archive 等)に固定する「外部アンカー」はまだ運用していません。これは S4RCIV 自身が過去をまるごと書き換えた場合に備えるもので、今後対応します。