令和八年六月九日(火曜日) 午前十時開会 ───────────── 委員の異動 六月二日 辞任 補欠選任 石橋 通宏君 勝部 賢志君 六月三日 辞任 補欠選任 宮本 和宏君 青木 一彦君 六月四日 辞任 補欠選任 青木 一彦君 宮本 和宏君 六月九日 辞任 補欠選任 片山さつき君 滝波 宏文君 ───────────── 出席者は左のとおり。 委員長 熊谷 裕人君 理 事 赤松 健君 石井 浩郎君 古賀 千景君 伊藤 孝恵君 金子 道仁君 委 員 上野 通子君 清水 真人君 末松 信介君 鈴木 大地君 滝波 宏文君 橋本 聖子君 宮本 和宏君 勝部 賢志君 斎藤 嘉隆君 水野 孝一君 下野 六太君 谷合 正明君 中条きよし君 後藤 翔太君 吉良よし子君 国務大臣 文部科学大臣 松本 洋平君 副大臣 文部科学副大臣 中村 裕之君 事務局側 常任委員会専門 員 北脇 達也君 政府参考人 こども家庭庁長 官官房審議官 竹林 悟史君 文部科学省大臣 官房学習基盤審 議官 堀野 晶三君 文部科学省初等 中等教育局長 望月 禎君 厚生労働省大臣 官房審議官 佐藤 大作君 厚生労働省大臣 官房審議官 江浪 武志君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○学校教育法等の一部を改正する法律案(閣法第五五号)(衆議院送付) ─────────────
文教科学委員会
発言 79
○委員長(熊谷裕人君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、石橋通宏さんが委員を辞任され、その補欠として勝部賢志さんが選任されました。 ─────────────
○委員長(熊谷裕人君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 学校教育法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、こども家庭庁長官官房審議官竹林悟史さん外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(熊谷裕人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(熊谷裕人君) 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○下野六太君 公明党の下野六太でございます。 質問に入る前に、冒頭、教育について少しだけ触れさせていただければと思っております。 現在、社会全体としては物価高騰や、国際情勢を見ると様々な不安定な状況が続いておりまして、こういった中において、ともすれば、教育や子育て、福祉の議論が今なかなか思うように進んでいないというような、もどかしいような気持ちを抱いておりますが、教育がなぜ大切なのかと申しますと、最終的に子供たちが社会人となって大人になったときに、自分の夢を描き、そしてその夢を自分で自己実現できる、そういう子供をやはり育てていくのが教育の本質ではないだろうかというふうに思っておりますが、そのためには、自立という言葉がいろんな場面で言われますけれども、では、その自立をどうやって成し遂げるかというと、私は、学校教育時代に子供たちに、できる喜び、分かる喜びをシャワーのように浴びていく、そして、自分の中に宝がある、価値がある、自分はやればできるんだということを体感できる、実感することができるかどうかというのが、これが達成感として私は自信につながって、自信がやがて自立につながっていくものだというふうに見てきました。 やはり、そう考えると、学校教育の時代に子供たちに自信を付けさせる、その基になる達成感をどれだけ、分かった、できたという喜びを味わわせていくことが重要かと。そうでなければ、やってもできない、やっても分からないというようなことだけを味わった子供が自信を失っていくようになれば、自立への道は非常に厳しいのではないだろうか、自信を持てないということで、なかなか自立に進んでいけないと。 だから、学校教育においてはやはり達成感を味わわせる、それが自己肯定感につながって自信につながり、そして、やがて自分の夢を描き、自分で努力し、その目標を達成させていく、そういう子供を学校教育の中で育てていかねばならないということで、時代はどのような時代になったとしても、やはりそう考えると、国家百年の計は教育にありというのはまさにそのとおりで、私たちは、不安定な社会情勢にあったとしても、教育こそが一番重要であるというような気持ちは持って、これから先も、超党派で、みんなで子供たちのためにいい社会を築いていかねばならないということを最初に申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。 義務教育の無償について伺いたいと思います。 本会議でも御紹介したとおり、義務教育における教科書の無償給与については、昭和三十八年の本会議における公明会の柏原ヤス議員による質疑が大きな転機となりました。 柏原議員の質疑に対し、当時の池田勇人内閣総理大臣が、義務教育の教科書を全て無償とする考えを明らかにしました。改めて、大変意義深い、象徴的な質疑であったと感じます。 実は、このときの質疑で柏原議員は、義務教育の無償についても尋ねられました。柏原議員はこう聞きます。総理は、無償とは、教育に要する費用、すなわち授業料を無償とするという見解をお示しになっておられますが、憲法二十六条に示された無償とは、果たしてこれだけの意味でしょうかと尋ね、義務教育に要する保護者負担が著しく高く、保護者の間から、給食の無償やPTA会費の全廃を求める声が盛んに上がっている旨を伝えました。 これに対し、池田総理は、憲法の理想をより広く実現するために、教科書の無償配付を行うことにしたと答え、さらに、給食費用の予算を増やすなど、この憲法の理想の実現に努めていきたい旨答弁したのです。 今年度から、公立の小学校段階のみではありますが、学校給食費の抜本的な負担軽減、いわゆる給食無償化が始まりました。あのときの参議院本会議における柏原議員の質疑、池田総理の思いが、六十年以上の時を経て、その一歩を踏み出したことに大きな感慨を覚えます。 これまで積み上げられてきた我が国の義務教育の無償について、文部科学大臣の所感と今後に向けた決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(松本洋平君) まず最初に、委員から大変大事な話を冒頭いただいたと思っております。しっかりと我々としても、そうした委員の思い、共有をさせていただいて、教育の充実に、先生方のいろいろな御指導もいただきながら努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。 我が国における義務教育の無償制でありますが、明治三十三年の小学校令におきましてその原則が確立をいたしまして、戦後は日本国憲法において義務教育の無償が定められたところであります。 憲法における義務教育の無償とは授業料不徴収の意味でありますが、今委員からも御紹介をいただきましたように、過去、先人たち、とりわけ御党のお力添えも含めまして、先人たちの尽力、また国民の理解をいただきながら、この無償の精神をより広く実現をするために、教科書の無償給与制度が実現をしてきたものと理解をしているところであります。また、子育て世帯への支援を強化する観点から、本年四月から学校給食費の抜本的な負担軽減を実施することといたしました。 私といたしましても、こうした歩みに思いを致しつつ、質の高い義務教育を誰もが享受をすることができるように、教育施策の充実、これに一層尽力してまいりたい、そのように考えております。
○下野六太君 しっかりよろしくお願いします。 中央教育審議会が昨年九月にまとめた学習指導要領改訂に関する論点整理を見ますと、教科書の在り方等について記載があるのはもちろんですが、デジタル学習基盤を前提とした学びの在り方や情報活用能力の抜本的向上といった文言が目に留まります。 中央教育審議会における学習指導要領の改訂に向けた検討の中で、教科書の在り方やデジタル学習基盤を前提とした学び、情報活用能力の向上についてどのような議論が行われているのか、文部科学省に伺いたいと思います。
○政府参考人(望月禎君) 下野委員から学校教育の意義について冒頭いただきました。 学習指導要領の改訂におきましては、そうした学校教育の意義というものをしっかり押さえた上で、新しい時代においても、確実に学校教育において身に付けなければいけない力をしっかり育むことができるように、主体的、対話的、深い学びの実装、そして多様性の包摂、実現可能性の確保という三つの基本的な方向性に基づき中教審で議論を進めているところでございます。こうした観点から、教科書につきましては、各教科等の本質的な理解をつかみやすい内容に重点化する方向で検討をしているところでございます。 デジタル学習基盤につきましては、多様な子供たちへの包摂性を高め、主体的、対話的、深い学びの実現を支えるインフラとして位置付けまして、これらを前提とした学習指導要領の在り方を検討しております。 こうしたデジタル学習基盤を活用して、探求的に学ぶ力を育むとともに、情報活用能力を、言語能力とともに、学習の基盤となる資質、能力として位置付け、その抜本的向上を図るために、小学校の総合的な学習の時間に情報の領域を付加する、中学校に情報・技術科を創設する方向で議論を進めており、今後とも引き続き丁寧な検討を行ってまいります。
○下野六太君 情報活用能力等について、私が特に重要だと考えるのは情報モラル教育です。昨今の生成AIの台頭やデジタルな形態の教科書の導入を踏まえれば、その重要性はますます高まっていくと考えます。 生成AIやSNS等を利用する際の注意点やマナー、個人情報の取扱いなど、身に付けるべき情報モラルはたくさんあると思いますが、加えて、重要だと考えるのは、デジタル端末の使用による健康面への影響等の正しい理解です。デジタルな形態の教科書の導入に当たっては、子供たちの健康面への影響が懸念されています。しかし、教員や保護者が子供の姿勢や画面との距離、休憩の取り方といった使用方法をずっと見張っていることはできません。そうすると、最終的には子供自身が健康にも留意したデジタル端末の適切な使い方を身に付けることが重要だと考えます。 現在の学校における情報モラル教育では、健康面への影響についてどのように扱われていますでしょうか。また、デジタルな形態の教科書の導入を契機に、デジタル端末の適切な使い方を身に付けるため、健康面を含む情報モラル教育に力を入れていくべきだと思いますが、文部科学大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(松本洋平君) 様々なデジタル技術が飛躍的に発展をする中、学校におきまして、健康面への影響にも十分配慮しつつ、端末の適切な使い方を含めた情報モラル教育を一層充実させていくこと、これが大変重要だというふうに考えているところであります。 そのため、文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報モラルを含む情報活用能力を学習の基盤として位置付け、健康を害するような行動について考えさせる学習活動などを行うように全ての学校現場に求めているところであります。また、各学校の取組を支援するため、例えばインターネットの使い過ぎによって起き得る昼夜逆転でありますとか睡眠障害といった弊害の学習でありますとか、適切な時間の使い方を考えさせるための児童生徒向けの学習コンテンツを提供するとともに、教職員を対象とした研修会を開催しているところであります。 今委員お話がありましたように、この問題大変難しくて、もちろん学校におきましてのデジタルの基盤の活用のみならず、これスマホ等々も含めて、やっぱり家庭でどういうふうに指導をしてもらうのかということも含めて、やっぱりそれぞれ考えていただかなければいけないということだと思っておりまして、関係省庁とも連携をしながらしっかりと進めてまいりたいと思っているところでありますが、一方で、やはり学校で子供たち自身にそうしたことをしっかりと理解をさせ、身に付けさせるということも大変大事なことだと思いまして、今申し上げたような施策というものをこれまでも行ってきているところであります。 現在審議いただいております学習指導要領改訂の議論、これも踏まえつつ、情報モラル教育、一層充実を図ってまいりたい、そのように考えております。
○下野六太君 ありがとうございます。 私も、家庭の中における情報モラル教育においては、やはり家庭にしっかりしてもらいたいという気持ちはあるものの、やはり、リーダーシップを発揮していくのはやはり文科省、文科大臣のリーダーシップに是非期待したいと思います。文科省の皆さんに是非とも全社会で、子供の情報モラル的な子育て、教育はどうすればいいのかということを積極的に発信していただきたいと思います。それが行く行くはその子供自身を守ることにつながっていくというふうに思いますので、文科省、文科大臣の、これから情報モラル教育で子供たちを守るということで、しっかりリーダーシップをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 情報化が進む世の中を踏まえれば、デジタルな形態の教科書の導入は当然の流れと言えるかもしれません。しかし、私がこれまで主張してきましたように、このような時代や状況だからこそ、それと同じくらいリアルな体験が重要なのだということを改めて強調したいと思います。 本法律案の提出に先立ちまとめられた中央教育審議会のワーキンググループの審議では、教育課程全体、授業全体として、紙の良さに加えてデジタルの良さも生かし、リアルの活動も適切に組み合わせてデザインすることが重要であると指摘されています。中央教育審議会における学習指導要領の改訂に向けた検討の中で体験活動についてはどのような議論が行われているのか、文部科学省に伺いたいと思います。
○政府参考人(望月禎君) デジタル端末の普及あるいは生成AIの飛躍的な発展が進む中、また、そうだからこそ、豊かな情操や社会性、主体性を育んでいく上で体験活動の重要性が一層増していると考えてございます。 次期学習指導要領に向けました中央教育審議会の検討におきましては、各教科等の特質に応じた体験や実際の活動を重視をした上で、特に、総合的な学習の時間で体験的な活動等を通して生まれた興味、関心や問題意識を探求の基盤と位置付けること、特別活動でリアルな体験や多様な他者との協働の中での学びを重視する、生活科の中で実感を伴う生きた知識を身に付けるため身体性を伴った体験活動を充実することなどが議論されてきたところでございます。
○下野六太君 是非これからもリアルな体験をしっかり重視していくという方向性をしっかり打ち出していただければというふうに思います。 学校教育法では、小学校等において、教育指導を行うに当たり、児童の体験的な学習活動、特にボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとすると明記されています。学校教育法に基づき策定される学習指導要領においてはこの内容がしっかり反映されるべきと考えます。中央教育審議会の教育課程企画特別部会がまとめた論点整理は百十三ページありますが、その資料の中で体験活動という言葉はたったの一回しか出てきていないようです。それも注の中の例示といった形の小さい扱いになっています。これでは、我が国の教育において体験活動が軽視されていると思われかねません。先日の本会議では、文部科学大臣の体験活動に対する所見と体験活動の充実に向けた今後の取組について伺い、その重要性を改めて共有できたと思っています。 学習指導要領の改訂に向けて体験活動の重要性や在り方についてもしっかりと議論を行い、次期学習指導要領に反映していただきたいと思いますが、文部科学大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(松本洋平君) デジタル学習基盤を前提といたしました学びの在り方が議論される中にありまして、自然体験活動でありますとか社会体験活動等の体験活動はその重要性が一層増しているというふうに考えているところであります。 現行の学習指導要領では、例えば総則におきまして、学校の教育活動を進めるに当たりましては、道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動などを通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること、総合的な学習の時間において、自然体験やボランティア活動などの社会体験、物づくり、生産活動などの体験活動を積極的に取り入れることなどが盛り込まれているところでありまして、これらに基づく指導が各学校で行われているところであります。 その上で、次期学習指導要領に向けた中央教育審議会の検討におきましても、各教科、総合的な学習の時間、特別活動等における議論の中で、体験活動の重要性等についても御議論をいただいているところであります。 文部科学省として、学校等における宿泊体験活動の取組に対する支援なども進めながら、引き続き子供たちの健やかな成長に欠かせない体験活動の充実に努めてまいりたいと思いますし、今委員からも御指摘もいただきました、やはり社会がこうしてデジタルだったりとかそうした形で変容をしていく中で、教育の中で子供たちにより一層意識的にそうしたことをきちんと伝えていく、教えていくということが求められていると私自身強く思っているところでもありまして、そうした思いを共有をしながら取組を進めてまいりたい、そのように考えております。
○下野六太君 子供たちに体験活動を重視していく中で、私は、五感ですね、五感をフルに使った形での実感する体験、これが子供たちにおいては将来への健やかな成長につながっていくものというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。 本会議では、本法律案で新たに認められるデジタルな形態の教科書についても、これまでと同様に、義務教育段階における無償給与がなされることを文部科学大臣に確認をさせていただきました。 一方で、気になっているのが高校段階における教科書の扱いです。高校については、小中学校と同じように教科書の使用義務が課されている一方、無償給与は保障されていません。本法律案により認められるデジタルな形態の教科書については、アクセシビリティーへの対応やクラウド管理などが必要となるため、製作コストが高くなることも予想されます。製作コストをきちんと反映した形での価格設定は必須ですが、高校段階の場合は、教科書を買う、購入する生徒側の、保護者側の負担も考える必要があるかと思います。 デジタルな形態を含む新たな教科書の価格について、高校段階では特に生徒側の負担も考慮する必要があると考えますが、文部科学省の認識と対応策を伺いたいと思います。
○政府参考人(望月禎君) お答え申し上げます。 下野委員御指摘のとおり、高等学校段階の教科書の経費につきましては保護者負担でございます。これを可能な限り低廉にとどめることが望ましいと考えてございますけれども、一方で、教科書の質を担保するために、教科書の製造、供給コストに見合った価格となるよう考慮することも必要であると考えているところでございます。 デジタルな形態を含む新たな教科書の価格につきましては、紙の教科書と同じく物価変動等を注視しながら、クラウド通信料など、製造、供給に係るコスト構造が紙の教科書と異なる点などについて考慮する必要があると考えてございます。 そのため、文部科学省におきましては、中央教育審議会の審議のまとめ以降、教科書発行者とデジタルな形態を含む教科書の製造、供給に必要なコスト算出に向けた検討を始めたところでございます。 本法案をお認めいただいた後には、教科書発行者と丁寧な情報共有や意見交換を行いながら検討を加速させ、保護者負担の観点も併せまして適正な教科書定価の設定に取り組んでまいります。
○下野六太君 非常に難しいところではあると思うんですね。教科書の質を高めるということと、それを安価、低廉に抑えるということの両立というのは非常に難しいと思いますけれども、是非保護者負担の軽減に努めていただきたいと思います。 デジタルな形態の教科書を活用するに当たって必須となるのは、タブレットなどのデジタル端末です。このデジタル端末についても、公立の小中学校では無償ですが、高校では必ずしも無償ではありません。令和六年度時点の文部科学省の調査によれば、公立高校等におけるデジタル端末の整備について保護者負担を原則とする都道府県が半数を超え、高校生の保護者の大きな負担となっています。本年度予算では、授業料以外の教育費負担を軽減するための高校生等奨学給付金について対象世帯の拡充や国の負担割合の引上げが行われましたが、昨今の物価高も踏まえれば、必ずしも十分とは言えないかと思います。 デジタルな形態の教科書の使用の前提となるデジタル端末の購入が高校生の保護者の大きな負担となっていることを踏まえ、高校生等奨学給付金について給付額対象世帯の更なる拡充や国による全額負担を実現する必要があると考えますが、文部科学省の見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(望月禎君) お答えいたします。 公立高校の端末整備に当たりましては、国において、学校のICT環境整備計画に基づきまして、低所得世帯への貸与機器の整備等に必要な経費に係ります所要の地方財政措置を講じてございます。これらを踏まえて各設置者において端末が整備されていると承知をしてございます。 そのような財政措置が行われている中において、公立高校の端末整備につきましては、その費用負担の在り方も含めて各設置者において御判断いただくものではございますけれども、原則保護者負担としている都道府県におきましても、低所得世帯への貸与や購入の補助など、何らかの支援を行っていると承知をしてございます。 また、私立高校の端末整備に当たりましては、学校法人が整備する場合、国において学校法人に対し端末の購入費の補助を行っているところでございます。 下野委員からございました高校生等奨学給付金につきましては、今年度、三党合意も踏まえまして、中所得層への拡充等を行ったところでございます。その際、端末購入に係る支援の在り方につきましては、本年三月の高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議におきまして、授業料以外の支援である高校生等奨学給付金において、学習者用端末の購入費を補助できるようにするなど、給付額や対象世帯の更なる拡充を図ることとされてございます。今後の重要な検討課題であると認識してございます。
○下野六太君 更なる拡充をお願いしたいと思います。物価高騰で非常に厳しい情勢であります。よろしくお願いします。 高校段階のデジタル化につきましては、デジタル端末の整備に係る保護者負担のほかにも、義務教育段階とは異なる状況が見られます。例えば、教科書の内容の全部をそのままデジタル化した現行のデジタル教科書について、紙の教科書に対する発行割合は、義務教育段階で一〇〇%に迫るのに対し、高校段階では六割を切っています。高校は義務教育ではないために小中学校と状況が異なることは理解しますが、国としてデジタル端末の使用を前提とした教育を推進していることを踏まえれば、国はそうした教育を実現できる環境を整える責任があるかと思います。 義務教育段階に比べて遅れている高校段階におけるデジタル化の状況に対する所見と今後の対応策について、文部科学大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(松本洋平君) 義務教育段階におきまして一人一台端末環境で学んだ児童生徒が高校に進学した後も同様に一人一台端末で学ぶことができる環境を整えていくということは大変重要でありまして、既に多くの自治体で整備済みと認識をしております。 他方で、今委員から御指摘をいただきましたとおり、端末の整備の方法や、また現行の教科書代替のデジタル教科書の発行割合など、義務教育段階とは異なる状況も見られているところであります。 今回の制度改正は、子供たちの学びの質を高めることを目的といたしまして、これまで紙だけが認められてきた教科書にデジタルを取り入れて作成することを可能とするものであります。 文部科学省としては、今後策定予定の大臣指針におきまして、高校段階も含めてデジタルの活用が期待される場面などを示し、新たな教科書の発行、使用を促していくとともに、実証研究を高校段階においても進めてまいりたいと思っておりまして、これは今年度の予算にも計上させていただいております。また、新たな教科書を効果的に活用できる学習環境の整備、これらに取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○下野六太君 次に、法案とは直接は関係ないんですが、小学校の英語専科教師の採用状況についてのお尋ねをしたいと思います。 これ、地域名を言うと差し障りがあるので地域名はちょっと伏せますが、ある地域の小学校で、アメリカの小学校で教えることができるという教員免許を有している方が小学校の英語専科教師として勤務しておられました。その方が異動先の学校で特別支援学級の担任をお願いされたということです。その理由を尋ねると、教員不足だということだったそうです。非常に残念な事案だと思います。特別支援学級の担任となることが残念なことではなくて、英語専科教師がその力を発揮できるようにできないということが残念なことではないかと思っております。この地域におきましては米軍基地があって、地域的には英語が非常に、地域的には非常にポピュラーになっているような地域であります。 そういった地域でそういうことが起こっているということ、これは地方自治における問題であって、直接文科省が口を挟む話ではないということは理解していますが、教員不足の影響がこのようなところに出ているということを重く受け止めなければならないということで、こういった問題に対してどのように対処すればいいのかということをアドバイスいただければと思います。
○政府参考人(堀野晶三君) お答え申し上げます。 一般論として申し上げますれば、教師の専門性に対応した適材適所の人事配置を行えるということが望ましいと考えております。そのためにも、教師不足の解消に取り組んでいくということが重要であると考えております。 教師に優れた人材を確保するため、文部科学省としては、学校における働き方改革の更なる推進や処遇改善、指導運営体制の充実等、教師が働きがいと働きやすさを共に実感できる環境整備等を通じた質の高い教師志願者の確保、また特別免許状の更なる活用や柔軟な任用形態の拡大による専門性を持つ社会人等の入職など、多様な分野からの入職促進などを進めております。 加えて、文部科学省におきまして、大臣の指示で発足した教師不足に関する対策プロジェクトチームを中心に更なる対応を検討しており、特に状況が厳しい自治体に対する伴走支援等を通じて課題の解決に全力で取り組んでまいります。
○下野六太君 これで終わりますけれども、やはり教師不足がこういうところに波及してきているということを重く受け止めて、しっかりとした対処をしていきたいと思います。よろしくお願いします。 以上で終わります。ありがとうございました。
○金子道仁君 おはようございます。日本維新の会、金子道仁です。 本日もデジタル教科書に関して早速質問させていただきたいと思います。 デジタル技術の急激な進展の中で、子供たちを危険から守ることと同時に、教育の質を高め、デジタル社会で生きるためのリテラシーをしっかりと子供たちに伝えていく、このような難しい政策目標を実現、しかも早急にしていかないといけない、そのように考えております。 最初に、こども家庭庁にお伺いしますが、昨日、私たち日本維新の会は、黄川田大臣に対して、青少年インターネット規制の今後の方向性について提言を出させていただきました。今後の青少年インターネット規制法の改正も含めて、早急な対応が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。
○政府参考人(竹林悟史君) お答え申し上げます。 インターネット上では子供を取り巻くリスクが多様化しており、青少年が安全に安心してインターネットを活用できる環境の整備は急務であると認識しております。 このため、政府としては、令和七年九月に関係府省庁連絡会議において取りまとめた政府全体の工程表に沿って、関係府省庁が連携して必要な取組を進めております。 さらに、青少年インターネット環境整備法の在り方につきましては、本年一月にこども家庭庁に設置した有識者会議におきまして、青少年が年齢や発達段階に応じて安全に安心してインターネットを利用できるよう、より幅広いステークホルダーが青少年の保護について具体的な方策を講ずるよう、事業者の役割のリバランスを図ることなどの規制の在り方、あるいは青少年自身がリテラシーを底上げすることなどについて検討を進めております。 引き続き、御党の御提言もしっかり受け止めつつ、G7の共通原則等を踏まえながら、法制上の対応を含めてしっかりと検討し、関係府省庁と連携しながら、令和八年中を目途に具体的な方針を取りまとめてまいります。
○金子道仁君 来週のサミットでもこのテーマが取り扱われますし、是非、我が国としても遅れることなく速やかに子供たちの守るための環境整備、法制度をしっかりと整えていただきたいと思います。 と同時に、デジタルを使った教育の質の向上、これもしっかりやっていく必要があるということで、今回、デジタル教科書が検定の範囲に入ってまいりました。デジタルの形態を含む教科書の標準仕様等も今検討が進められている中で、例えばルビを付す、これは標準仕様として検討されるということを伺っております、まだ決まっていないですが。じゃ、ルビは全部チェックするんですかと聞いたら、文科省の方は、全部チェックしますと。すごいなと思うんですけれども、全ての漢字のルビまでチェックして教科書の正確性をしっかり把握するということです。 で、例えば、標準仕様ではないですけれども、外国籍の子供たちのために、包摂性を高めるために、外国語の翻訳機能、こういったものもデジタル教科書に搭載されてくる可能性があると思うんですね。私も海外で、語学の研修しながら大学等行くときに、当然デジタルの様々なものを使いながら、でも何とか授業に付いていこうとする中で、もしデジタル教科書でぱっとそこの翻訳が出てきたら、授業に遅れることなく、そして言語も学べる、非常に有益じゃないかと考えました。 じゃ、デジタル教科書に外国語の翻訳を付けた、その機能を検定できるのかと言われれば、これ、五か国語、六か国語、全ての言語を外国語でチェックするということが検定でできるとはちょっと思えないわけです。 つまり、デジタルの教科書を導入するということは、これまでの検定の在り方ではなく、デジタル内容に沿った検定方法を考えるべきだと思うんですが、文科省の見解をお伺いします。
○政府参考人(望月禎君) お答えいたします。 新たな教科書におけるデジタル部分の具体的な検定方法等につきましては、今後、教科書検定審議会において専門的な見地から審議をお願いをすることにしてございますけれども、検定は教科書の内容を審査するものでございますので、例えば、音声読み上げの機能など内容の正確性に影響を与えない技術的要素が強い機能につきましては、記述内容との関連性など限定的な範囲で一定の確認を行うにとどめる方向で検討したいと考えてございます。 御指摘の外国語翻訳機能を含めまして、デジタルを含む教科書にどのような機能を教科書に位置付けることができるのか、その場合にどのように確認をしていくのかという点につきましても、教科書検定審議会において検討してまいります。
○金子道仁君 非常に重要な御回答だと思います。 つまり、一定の確認という言葉の中に、全てを確認することがもう難しくなってきているという内容が含まれていると私は理解しておりますし、これは一定仕方がないことではないかなと思うんです。 そこで、さらに、外国語の翻訳より更に一歩進んだAIが教科書に搭載される場合はどのように検定をしていくのかということについて御質問していきたいと思います。 まず、資料を御覧ください。今日は二つ資料を出させていただきました。 まだ、教育現場でAIを使った場合にどのようなメリット、デメリットがあるか、そのような研究がなかなかない中で、まず一つ目の資料は、これCOMPASSという会社、キュビナというAIドリルを出しておられる、大体、今、自治体の数でいうと千ぐらいの自治体には入っているというふうに伺っています、かなり多くの子供たちが利用しているAIドリルですが、これを慶応大学の中室先生と研究をした際に、二万人規模で検証した場合、一週間当たりの利用頻度、習熟度等が、スコアが上がると正答率が上がるという、教育の質にプラスの効果があるというような、そのような研究資料が出ております。 他方で、資料の二枚目を御覧ください。これは、東京大学の吉田先生の研究資料を今日は使わせていただいておりますけれども、トルコの高校生千人に、AIを使う際の三グループで、自由利用型AI、つまり無制限に自由にAIを使う場合と、ガードレールを付けたAIを使わせる場合と、AIを使わない、その三つの対照群で実験を一年間した際に、発見一としては、AIを利用中の演習成績としては、自由型AIもガードレール付きAIを使った子供たちも共に成績が良かったと。しかし、AIを使わない試験では、自由利用型のAIの成績は、AIなしの対照群、つまりAIを使っている人の方が使わない人より学力が落ちたという成果も出ています。発見の三のところで、その成績低下の背景には、AIを考える補助ではなく答えを得る近道として使う傾向があった。そして発見四に、AI利用が自分の学習を損ねていることを必ずしも自覚していなかったという、非常に示唆に富んだ研究が出ております。 ポイントとしては、AIを使うということよりも、答えを与え過ぎない設計、ガードレールというものが必要なのではないかというふうに私自身は考えております。 今、教育現場では令和六年のガイドラインがありますけれども、先生の力量に懸かっていると。学習指導要綱に基づいて適切に使用するようにということで、言わば道もない、舗装路もない中で安全運転を心掛けてくださいと。せめてガードレールを造る必要があるのではないかと思っております。 令和六年のガイドラインの早期改定が必要だと思いますが、文科省の見解をお聞かせください。
○政府参考人(堀野晶三君) お答え申し上げます。 文部科学省では、これまで学校現場における生成AIの利活用に向けて、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインを策定、更新するとともに、パイロット校の指定を始め様々な形で実証研究を進めてきたところです。 昨年度、文部科学省が実施した実証研究からは、例えば、発達の段階に応じた回答や、不適切な回答を行わないなどの技術的に出力を制御するいわゆるガードレールの必要性、また、答えを聞いても即座に示さずに思考を促すことなどの設計の重要性やその実装に向けた課題などが明らかとなっておりまして、技術の進展を踏まえた実証的な知見を蓄積していくことが重要だと考えております。 御指摘のガイドラインの改訂につきましては、これまでの実証研究の知見や、技術の進展や国際的な動向等も踏まえまして、有識者等へのヒアリングを行いながら、今年度中に改訂をしたいと考えております。
○金子道仁君 是非早急にお願いします。 そして、大臣にお伺いしますけれども、今回、デジタル教科書が検定に含まれる。じゃ、果たしてAIを搭載した教科書がこの検定に含まれるかどうかということに関しては、今までの答弁では、排除されないというお答えをいただきました。ただ、この直近の二年後の検定にこのAIを搭載した教科書が上がるかどうかということについては明確な答弁がありません。ただ、検定教科書にAIが搭載されようがされまいが、学校現場ではもうAIの利活用はどんどん広がっていくわけです。 その中で、適切なAIの利活用を促すガードレールを設ける最も重要なところは恐らく教科書ではないかと私自身は考えております。適切なAIを搭載した教科書を検定によって選定することが最も有効なガードレールの設置になると思いますが、大臣の見解をお聞かせください。
○国務大臣(松本洋平君) 学校現場におきましてのAI利活用の広がり、これを踏まえまして、学校教育全体の中でAIの適切な利活用を図ることは重要と考えているところでもありまして、文部科学省としては、まずはガイドラインの策定、周知、パイロット校の指定、実証研究などの取組を進めているところであります。 デジタルを含む教科書にこれまでにはなかった新たな性質や形態のコンテンツでありますとか機能を搭載することを認めるに当たりましては、あらかじめ教科書検定における審査の基準や方法などを整えまして、教科書発行者等に対して示す必要があると考えているところであります。 実際にAIの搭載を認めていくに当たりましては、どのようなAIが教科書への搭載の対象となるか、内容の正確性を担保することができるか、学習指導要領に基づき適切な内容を保証できるか、教科書検定においてどのような基準、方法、体制によって審査を行うのかなどの観点について整理をすることが必要であると考えております。 こうした観点からの整理でありますとか、あと、学校現場における教材としてのAIの活用や質保証の状況、実証研究の成果などを十分に踏まえながら教科書へのAIの搭載について検討してまいりたい、そのように考えているところであります。 今後の具体的なスケジュールについて現時点で申し上げるのは大変困難でありますけれども、今申し上げたような観点で様々な整理をしていくということが大変これから必要になっていく、そのように考えているところでもあります。
○金子道仁君 検討はしていただく、そして検定の方法もこれから考えるということですが、仮に今度の教科書、ごめんなさい、学校教育法の改定、そして二〇二八年の検定でAIを含む、搭載したデジタル教科書が検定の対象にならない場合、二〇三三年までは教科書にAIは搭載されない、最短でも二〇三四年になる。つまり、今から八年後まで学校の現場の教科書にはAIはないと。これから八年間、どんな技術の進展があるか分からない、それまで教科書の中で適切なAIというものが指定されず、副教材でどういうふうになっていくか、ガイドライン次第かもしれませんが、非常に危険ではないかというふうに私自身も考えております。 子供たちに適切なAIを使わせるために、是非、教科書の検定の在り方、早急に検討していただいて、安全に使えるAIを学校現場でどんな先生方でも使えるようにしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(松本洋平君) 今申し上げたように、今後のスケジュールについてなかなかこの場でお答えをするのは、難しいというか、できない状況ではありますけれども、ただ、技術の進展のスピードがこれだけ速い中で、このAIというものをどのような形で利活用をしていくのかということは極めて重要な事柄だと思っておりますし、また、今し方委員からも、資料も拝見をさせていただいたところでありますけれども、やはり子供たちの、何というんですかね、教育の質、学びの質を高めて、子供たちの自己実現をしっかりと後押しをしていくことができるような教育を施していくためには、AIをどういう形で利活用をしていかなければいけないのかということを我々としてもしっかりと検討をしていくことが必要だと思っております。 もちろんそういう問題意識を持って我々としてももう既に検討は進めているところでもありますし、また、様々なパイロット校等々も指定しながら、現場でどういう形で活用していくのがいいのかということのいろいろな実証というものも積み重ねているところでありますが、こうした検討、また実際の実証なども踏まえまして、我々として、できる限り早急にそうした考え方をお示しをすることができるように検討のスピードを上げていきたい、そのように考えております。
○金子道仁君 ありがとうございます。 子供の安全を守りながら教育の質を高めていくという難しい課題を実現するために、検定の在り方という大人のサイドは是非柔軟に考えていただいて、子供の安全と教育の質の向上、これを最優先に検定の在り方、再検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 以上で終わります。
○後藤翔太君 参政党の後藤翔太でございます。よろしくお願いいたします。 私は、五月二十九日の本会議で、デジタル教科書に関する議論が不足していることを指摘いたしました。本日の文教科学委員会では、この点について、更に具体的な内容、制度設計に関する議論を深掘りしたいと考えます。 まず、我が国の公教育を振り返ると、教育の内容に関しては、自由と統制のバランスに苦慮してきたことが分かります。一九八三年の中教審答申、教科書の在り方については、教科書が、児童生徒に国民として必要な基礎的、基本的な教育内容の履修を保障するものであり、児童生徒として、児童生徒に国民として不可欠な教育内容を確実に身に付けさせる基本的な教材であると述べ、教科書のもたらす教育内容の水平的平等を評価しています。特に教科書問題は、記載内容に関して、教育内容の全国の水平的平等を前提としつつも、その中でどの程度違いを認めるかが常に争点であったと言えると思います。これは、教科書の内容を軸にした議論です。 配付資料の一を御覧いただければと思います。 これまでの教科書の内容ですけれども、自由に教科書を選択できた時代、教科書検定が導入された時代、教科書を国が作成、発行した時代、そして、教科書検定制度が復活して現在まで続いています。 教科書の内容を軸にした議論では、学習指導要領と教科書検定によって内容の違いが一定にとどめられ、教科書発行者の創意工夫と教育内容の水平的平等の共存が図られているというふうに考えます。 その上で、本改正法案は、教科書を紙に限定する規定を削除するもので、文部科学省の資料では、これによって、紙、デジタル、紙とデジタルのハイブリッドの三選択、三類型を選択できるようになったとされています。これは教科書の媒体を軸にした議論で、従来の内容を軸にした議論をより複雑なものにしたというふうに考えます。 二〇二一年のいわゆる令和の日本型学校教育答申では、主体的、対話的で深い学びを実現するための手段として、ICTの効果的活用による個別最適な学びの重要性が強調されています。媒体としての教科書の多様性が広がることは、個別最適な学びに資する可能性がある一方で、教育体験の水平的平等は弱まるおそれがあるというふうに考えます。 ここで、文部科学省の政府参考人に伺いたいと思いますが、教科書の媒体を軸にした議論においても、個別最適な学びと協働的な学びの両輪があるように、この自由と統制のバランスを確保することが求められるというふうに思いますが、そこで、媒体軸においても内容軸の議論における学習指導要領や教科書検定基準に相当する制度を考える必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(望月禎君) 今回の制度改正につきましては、これまで学校における実証研究なども踏まえまして、教科書の内容あるいは教科の内容を子供たちにとってできる限り分かりやすく、学びやすくすることを目的としまして、これまで紙だけが認められてきた教科書にデジタルも取り入れることによりまして作成することを可能とするものでございます。 制度改正後におきましても、教科書の形態にかかわらず、教科書として位置付けられる内容につきましては、全てが検定により質が担保されるわけでございます。 その上で、文部科学省におきましては、児童生徒の発達段階と教科特性等を踏まえまして、全てがデジタルの教科書の扱いや、紙とデジタルの活用が期待される場面などを示した大臣指針を策定することをしてございます。あわせて、検定の仕組みの中で、全てがデジタルの教科書については、大臣指針の内容を踏まえて、検定規則等で示す学年、教科以外では検定申請を受け付けないこととすることによりまして、指針で示す内容の実効性を担保することを考えているところでございます。 さらに、文部科学省としましては、実証研究を継続しまして、得られた知見や優れた実践事例を周知、横展開することを通じまして、採択した教科書の形態にかかわらず、全国的な教育水準の確保を図ってまいります。
○後藤翔太君 ありがとうございました。大臣指針、また検定内容にはまだ不確定な要素があるということを認識しております。 では、現在の学習者向けデジタル教科書というところですけれども、この教科書は紙の教科書と同一な、今のデジタル教科書は紙の教科書と同一の内容をデジタル化した教材とされていますので、これまでのデジタル教科書に関する議論は電子書籍やPDFファイルの域を出なかったものというふうに考えます。 しかし、本改正により、そのかせが外れることになると説明されておりまして、その場合、デジタル教科書は、紙の教科書の記載や形態に拘束されず、独自の進化を遂げる可能性が開かれることになります。現時点でも、デジタル教科書はハードウェアとソフトウェア、つまり端末とプログラム、データから構成される情報システムですけれども、今後の制度設計では製品という観点から規制を考える必要もあると思います。このときに、製品に対する規制について先行しているのは医療分野、特に医薬品、医療機器分野です。 そこで、医療分野における規制からデジタル教科書の制度設計に対する示唆を得たいと私は考えております。 なお、これから医療用語が少し出てきますが、これについては配付資料の表に書き出しておりますので、御覧ください。 まず、データ活用についてお伺いしたいと思います。 教育分野の個別最適な学びを実現するためにデータの活用が重要になると想定されますが、そういったことを考える上で、医療領域のテーラーメード医療の事例から示唆を得ることができると思います。特に、学習ログなどは医療領域におけるパーソナル・ヘルス・レコード、これは個人の健康情報です、そしてリアルワールドデータ、これは研究開発に用いるデータ、このような活用が考えられます。医療領域において、特に研究開発の面で個人情報保護とデータ活用の両立について制度設計や制度改善が図られてきたことが知られます。 ここで、厚生労働省の政府参考人に伺いたいと思います。 学校教育への示唆を得るために、医療におけるパーソナル・ヘルス・レコードやリアルワールドデータの活用の現状と課題について簡潔にお答えいただければと思います。
○政府参考人(江浪武志君) お答え申し上げます。 まず、議員御指摘のパーソナル・ヘルス・レコード関係につきましてお答えいたしますと、医療機関や薬局におきまして、患者の同意の下、医療保険のレセプトの診療情報や特定健診の情報、直近の処方、調剤を含む薬剤情報などを医師などが活用することが可能でありまして、また、健診などの情報は個人がマイナポータルを通じて閲覧できるようになっておりまして、個人の健康管理などに利活用できるようになっております。 また、リアルワールドデータの活用の関係でございますけれども、医療や介護などのデータを厚生労働大臣等が保有するデータベースに格納し、これらのデータを匿名化や仮名化した状態で研究機関などに提供することにより、医学、医療分野のイノベーションを通じ、その成果を国民に還元することを目指しております。 さらに、次世代医療基盤法におきましては、医療機関などから医療情報を収集し、匿名加工医療情報などに加工して利用者に提供する事業者について、国が安全管理措置などを審査して認定を行う取組も行われております。 厚生労働省といたしましては、こうした情報の利活用の更なる促進を図るため、今後、情報連携基盤を構築することとしておりまして、この基盤を通じて複数のデータベースの利用を希望する研究者や企業などからの利用申請の一元的な受付なども検討しているところでございます。
○後藤翔太君 ありがとうございます。個人情報の保護と、一方でその情報の活用によって医学の進化が進んでいるのだということを認識しました。 では、次ですけれども、先ほど申し上げたように、デジタル教科書はハードウェアとソフトウェアから構成されますが、例えばハードウェアはiPadやノートパソコンなどの市場流通品を使用する一方で、その中身ですね、ソフトウェアに関する製造管理、品質が次に重要な論点になってくるというふうに思います。このソフトウェアとしてのデジタル教科書が電子書籍やPDFファイルの枠を越えてよりインタラクティブなものになったとき、教科書検定がどのように行われるのか考えていかなければならないと思います。 これを考える上で参照できる事例が医療機器プログラムのSaMDの承認審査です。SaMDというのは、診断や治療の補助、予防、モニタリングが行われるプログラムのことですね。こういった医療の機器は、審査を受けて承認や認証を受けないと、製造販売、すなわち市場出荷することができないということになっています。この点に関しては教科書検定と似ている部分があると私は考えます。 ここで、厚生労働省の政府参考人に伺いたいと思います。 医療機器プログラム、SaMDの承認審査において、品質面、この中身はどのように評価されているのでしょうか。設計や開発の観点、例えばソースコードの査読を行うのかといった点について、簡潔にお答えいただければと思います。
○政府参考人(佐藤大作君) お答えいたします。 医療機器プログラム、SaMDは、有体物を含まずソフトウェア単体で流通する医療機器でございます。SaMDの承認審査においては、医療機器として人へ適用した場合に有効性、安全性を確認する必要がありますので、臨床試験の結果を踏まえ、プログラムが意図する性能や臨床的有用性を確保しているか、またリスクが許容範囲内となっているか等のソフトウェアの性能を含め、審査、評価をしております。 このように、承認審査においてはソースコードを確認すること自体は行っておりませんが、プログラムに想定される使用場面における作動状況を確認をしているという形でございます。
○後藤翔太君 ありがとうございます。 デジタル教科書も止めどない進化を遂げると思いますので、このような審査方法も一つ参考になるのかなというふうに考えております。 続いて、検定を経た教科書の内容を変更する際の手続を取り上げます。 教科書検定規則の十四条と十五条には検定済図書の訂正という規定がありますが、内容を訂正した後に刷り直して再給与するにせよ正誤表を配付するにせよ、教科書発行者の負担が大きいことから消極的に運用されているものと推察します。しかし、デジタル教科書では、内容の変更、変更後の再給与が容易なことから、記載内容を含めた教科書の品質の継続的改善が期待されます。このとき、企画、設計、開発、製造、使用、終売、廃棄といった製品ライフサイクルの観点を盛り込んだ変更手続制度を、それを制度化する必要性が生じると考えます。ここでも参考になるのが医薬品における承認事項の変更管理です。 ここで、厚生労働省の政府参考人に伺います。 配付資料表三にあるように、医薬品の承認事項の変更管理は製品品質に与える影響に応じて手続が変化するというものになっていると存じますが、その内容を簡潔に教えていただければというふうに考えます。
○政府参考人(佐藤大作君) お答えいたします。 医薬品等の製品につきましては、承認事項として、品質、規格、製造方法等の内容の詳細を規定しているところでございます。承認事項の一部を企業が変更しようとする場合の手続としましては、委員御指摘のように、品質に与える影響が大きい変化については事前に変更内容についてPMDAの承認審査を受け、大臣の承認を受ける一部変更承認申請の手続がございます。また、品質への影響が軽微な変更については、変更後三十日以内に変更届を提出するという手続を定めてございます。 また、昨年の薬機法改正におきまして、品質への影響が大きくない中等度の変更については中等度の変更の手続、また品質に与える影響が極めて軽微な変更につきましては年に一回の報告により可能とする年次報告の仕組み等を導入してございます。現在、施行に向けて検討を進めているところでございます。 このように、医薬品等の製品につきましては、変更内容が品質に与える影響の程度に応じて迅速な対応可能となるような必要な手続を整備してございます。
○後藤翔太君 ありがとうございます。 デジタル教科書もどんどん進化していくと思いますので、デジタル教科書の教科書検定や変更管理を考える上で参考になる事例だったと思います。ありがとうございます。 続いて、サイバーセキュリティーについて取り上げさせていただきたいと思います。 GIGAスクール構想に基づく一人一台端末環境が整備され始めた二〇一九年から、学校教育の情報化の推進に関する法律、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを整備、対応してきたことが知られております。しかし、これは使う立場であって、製品であるハードウェアやソフトウェア、それ自体について、作る立場からサイバーセキュリティーの確保を求めるものではありませんでした。デジタル教科書については、製品自体のサイバーセキュリティーを考える必要があると考えます。 ここでまた厚生労働省の政府参考人に伺いたいと思います。 この場合も医療機器の事例が参考になると思いますが、医療機器のサイバーセキュリティーの確保に関する制度について簡単に教えていただきたいと思います。IMDRFガイダンス、これは医療機器サイバーセキュリティの原則や、またJIS規格にもなっているというふうに存じているのですが、是非説明していただければというふうに思います。
○政府参考人(佐藤大作君) お答えいたします。 医療機器が備えるべきサイバーセキュリティーの具体的な対応につきましては、委員御指摘のように、医療機器規制当局の国際調和の枠組みでございます国際医療機器規制当局フォーラム、IMDRFにおいて、医療機器サイバーセキュリティの原則及び実践に関するガイダンスとして取りまとめられてございます。 このようなサイバーセキュリティーに係る国際的な動きを背景にいたしまして、国内でも令和五年四月に、サイバーセキュリティーの対応を薬機法に基づく医療機器が満たすべき基準に位置付けたところでございます。この医療機器が満たすべき基準の内容としては、現在、医療機器ソフトウェアのサイバーセキュリティーに関する要求事項、例えば、セキュリティー要求事項の検証ですとか脆弱性の監視、顧客等への脆弱性の通知など、セキュリティーを考慮した設計にするというような内容でございますけれども、そういう要求事項を定めた日本産業規格であるJIST81001―5―1を活用しているところでございます。
○後藤翔太君 ありがとうございます。 文部科学省は、これまで、産業を所管しているということではないので物づくりという観点はなかなか持ちづらいのかなというふうに存じておりますが、デジタル教科書に関しては、製品の観点からこのようにレギュレーションを考える必要があると思います。 続いて、災害時における教育の継続性について伺います。 デジタル教科書は情報システムであることから、災害時にも教科書さえあれば授業を再開できるといった青空教室のようなものは実現困難です。教育の継続が多くの要素に依存することを前提に対策を考える必要があり、その際、事業継続マネジメント、BCM、ビジネス・コンティニティー・マネジメントの整備が有効であると考えます。そして、そのツールとして、事業継続計画、BCPですね、ビジネス・コンティニティー・プランを策定したり、演習、訓練を行ったりすることが有効だと思います。 こちらも厚生労働省政府参考人に伺いますが、災害拠点病院の指定要件にはBCPの策定が含まれておりますが、どのような内容が求められているのでしょうか。特に、医療機器や情報システムに関するものを簡潔に教えていただければと思います。
○政府参考人(江浪武志君) お答え申し上げます。 厚生労働省では、平成二十九年三月に、災害拠点病院の指定要件にBCPの策定を追加するとともに、平成二十八年度厚生労働科学研究の研究結果を踏まえたBCP策定の手引を厚生労働省のホームページに掲載し、災害拠点病院におけるBCP策定を推進しております。この手引は、BCP策定見直しに必要な準備や手順、想定される災害や時間経過に応じた各部門の対応といったBCPに盛り込むべき事項など、BCP策定に係る全体像をお示ししたものとなってございます。 情報システムにつきましては、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを策定しておりまして、災害拠点病院を含む全ての医療機関等に対し、災害時を含め、システム障害が生じた際の事業継続を想定したBCPの策定を求めております。 医療機器につきましては、各医療機関のBCPの策定において、各部門に求められる対応の必要に応じて検討が行われているものと承知をしております。そのほか、平時におきましては、医療法施行規則などにより医療機器安全管理責任者を配置し、職員研修や情報収集、保守点検に関する計画の策定及び実施などを求めているところでございます。
○後藤翔太君 ありがとうございました。 これまで厚生労働省から医療分野における先進的なデバイスの規制についてお伺いいたしました。 最後に、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。 これまでの医療分野の質疑を通じまして、デジタル教科書の制度設計に対して参考にできるポイントはないか、また、これまでのデジタル教科書の議論は本当に十分だったのか、是非御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(松本洋平君) デジタルな形態を含む新たな教科書の導入に当たりましては、具体的な制度設計などにつきましては、本法案をお認めいただいた暁には検定規則や標準仕様等の策定に向けた検討を加速してまいりたいと考えております。 今委員から医療に関するシステムについていろいろと御指摘をいただいたところでありますけれども、これらについて対応していくことは我々としても必要であると考えておりまして、大変参考になるということだと思っております。 一方で、当然、それぞれ全然全く業務も違いますから、そういう意味では全てがということではなくて、こうした先行事例なども含めまして、我々として参考にできる部分をしっかりと吸収をしていくということが大変大事だというふうに思っているところであります。 現時点での方向性を申し上げますと、データ活用につきましては、教育データの項目や形式をそろえるための標準の策定でありますとか、自治体や事業者ごとに異なるシステム間で相互運用性を確保することなど、教育データの標準化の取組を促進することとしているところであります。 また、教科書の審査、訂正につきましては、デジタルコンテンツの審査方法やデジタル部分の訂正申請の在り方など、デジタルな形態を含む新たな教科書に対応した検定審査の在り方について検定審議会で検討をしてまいります。 サイバーセキュリティーにつきましては、今後策定するデジタルな形態を含む教科書の標準仕様の中で、不正利用、不正アクセスの防止等のサイバーセキュリティーについても標準実装を求めることを検討しております。 災害時に備えた対策につきましては、標準仕様の中におきまして、あらかじめ印刷、ダウンロードできる機能を標準的に備えることに加えまして、影響を最小限に抑え、サービスを継続、早期復旧できるよう、バックアップの仕組みを構築するなどのBCP対策を講じることについて定めることを検討してまいります。 今後、学校教育以外の分野における取組も必要に応じて参照しながら、具体的な制度設計に向けた検討を進めてまいります。
○後藤翔太君 ありがとうございました。 時間となりましたので、以上としたいと思います。ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(熊谷裕人君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、片山さつきさんが委員を辞任され、その補欠として滝波宏文さんが選任されました。 ─────────────
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。 本法案では紙媒体を前提としていた教科書についてデジタル教科書も認めるということで、つまりは、このデジタル教科書も無償化やまた検定の対象とするというのが法案の中身だと思うわけです。 そこで、まず、その無償化に関わって、価格設定について伺っていきたいと思うわけです。 文科省は、この間の議論の中で、この価格について、印刷代がなくなる一方でクラウド通信料も発生するなどと答弁をしているわけですけれども、このデジタル教科書政策に係るコストというのは何もクラウド通信料だけにとどまらないと思うんですね。特に、紙とデジタル両方を検定を同時に行うようになるということで、検定の対象になるということで、デジタルコンテンツについても検定意見が付いて修正が必要になるということも想定されると。 そうしたことに対応することも想定しながら、例えば動画の制作事業所であったりとかデザイナーであったりとか、場合によっては声優などの手配も含めた制作費用が上乗せをされるということを想定し、その上乗せされるコストが本当に全て回収できる価格設定になるのかというのがやはり発行会社から寄せられている声なわけですね。 この価格については、この間でいうと、発行者の意見を聞きながら設定をすると局長は答弁されているわけですが、やはり、コストに見合う適正な価格にするためには原価計算、これをちゃんとしていくべきと思いますが、局長、いかがですか。
○政府参考人(望月禎君) 現在の紙の教科書でございますけれども、そのサイズや紙質などの規格をどうするかということにつきましては、各発行者の判断に委ねられてございます。製造過程や仕入れの実態も様々であることを踏まえまして、教科書定価につきましては個別の教科書ごとに原価計算する方式は採用してございません。物価変動等を踏まえつつ、教科書の種目別、学年別に最高額を定める方式を採用してございます。 制度改正後のデジタルな形態を含む新たな教科書におきましても、デジタル部分の配信体制など、製造や供給の実態は様々となることが想定されるわけでございまして、個別の教科書ごとに経費を積み上げた原価計算により算出される数値から価格を設定、適切な価格を設定するということは難しいのではないかと考えてございます。 今後、教科書発行者ともしっかり連携をしながら、デジタルな形態を含む教科書の製造、供給に必要なコスト算出に向けた検討を行い、適正な教科書定価の設定に努めてまいります。
○吉良よし子君 原価計算が適当じゃない、難しいといってやろうとしないというのは、私あり得ないと思うんです。というのも、紙の教科書でも原価計算していないんだからということをるる説明されたわけですけど、だから、今この紙の教科書の価格が安過ぎるんだと、適正じゃないんだと、この今の物価高に見合った価格になっていないんだという悲痛な声が発行現場の皆さんから寄せられているわけですね。 しかも、今、現下は物価高騰続いていますし、ナフサ不足によって決して紙の印刷コストもこのまま安くなるとは言えないような状況で、そこにデジタル部分のコストも上乗せされるという状況の中で、適正な価格にならない、安い価格設定になってしまえば、余力のない中小業者がもうデジタル教科書に手を出せないまま淘汰されて、寡占化が進むんじゃないかという、そういう懸念の声まで届いていると。 やはり多様な教科書の発行を確保していくためには、適切な価格設定は欠かせないし、原価計算、必須だと思うんですけど、局長、原価計算、絶対にやらないんですか。やるべきじゃないですか。もう一度お願いします。
○政府参考人(望月禎君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、それぞれ発行者によって発行の仕方は様々でございます。デジタルのみの教科書を作るものもあるかもしれませんし、発行者によっては紙のみの教科書を作る場合もあるというものでございます。 原価計算によらず、発行者ともしっかり連携をしながら、物価上昇等の状況も踏まえまして、適正な教科書設定の、教科書価格の設定に努めてまいりたいと考えてございます。
○吉良よし子君 いや、様々な発行形態を認めるのは文科省の側なので、それに対してのちゃんと原価計算をやって適切な価格設定をする責任が文科省にはあるんだということは強く申し上げておきたいと思うんです。 その上で、じゃ、様々とおっしゃいましたけど、まさにその様々な形態を認める中で、一体、じゃ、これからどのような教科書を作ればよいのかというのが、この国会審議聞いていても、全く全体像、私見えてこないと思うんですよ。大臣や文科省は、この間の議論の中で、デジタル化を無理やり進めるものじゃないとか、紙とデジタルのベストミックス、紙とデジタルの双方の良さを適切に組み合わせるなどと答弁されているわけですが、何をもって適切とするのかというのが全く見えてこないんですね。 例えば、二次元コード先のデジタルコンテンツについてもデジタル教科書と認めるわけですけれども、それは教科書の一部として位置付けられるものに限定するというような答弁があるわけです。限定する、どの程度なのか。 お配りした資料見ていただければと思いますが、これ文科省の作成した資料なんですが、この現在の教科書における状況というのが載っていて、二次元コード先のデジタルコンテンツの状況、例えば掲載動画であれば、動画の本数というのは教科書一冊当たり五十本だというふうにあるわけですね。 では、その限定をするといったときに、この本法案の下で作るデジタル教科書、例えばハイブリッドだとかになるわけですけど、その動画の数というのは現在の一冊五十本よりも少なくするということになるわけですか。局長、いかがでしょう。
○政府参考人(望月禎君) 教科書につきましては、学習指導要領に基づき指導するための主たる教材でございます。児童生徒が授業において共通的に学ぶ内容を記載するものであることを踏まえまして、教科書検定によって質を担保するとともに、教科書として真に必要なものについて一定の枠組みによりまして掲載を認める方向で検討したいと考えてございます。 教科書全体の内容、分量の精選の観点から、動画の総時間数などデジタルコンテンツの分量の在り方につきましても、教科書検定審議会において検討をお願いしたいと考えております。
○吉良よし子君 真に必要なものにすると、分量も示すとおっしゃるんですけど、今は示せないわけですよね。五十本より少なくするかどうかというお答えはなかったわけです。全部指針に任せる。この量を今示さないままで適切なベストミックスの教科書というのが作れるんだろうかというのは甚だ疑問なんですね。 指針ということをおっしゃいましたけど、その中で、例えば紙が望ましい場面、デジタルの望ましい場面というのを示すということをこの間繰り返しおっしゃっているわけです。先ほどもそういう御答弁あったわけですけど、じゃ、そのデジタルが望ましい場面というのは、それについては例えば英単語の音読であるとか理科の実験動画だとかが望ましいよねという例示があるわけです。じゃ、デジタルが望ましくない学習場面とは何なのか、考え方お示しください。
○政府参考人(望月禎君) お答え申し上げます。 これまで実施をしてきました現行の教科書代替のデジタル教科書を使用しました実証研究や中教審での議論などを踏まえまして、例えば、文脈を理解しつつ読み込んだり書き込んだりする学習場面、文章と資料を一覧で見る学習場面、作図したり実際の長さを測るなどの学習場面などにつきまして紙の活用が大いに期待されるのではないかと考えているところでございます。
○吉良よし子君 それが中教審の中身だったということですね。 これらについて、文脈を理解せず云々というところで、デジタルが望ましくない学習場面、紙が望ましい学習場面だとおっしゃると。これね、今回初めて答弁されたんですよ。これまではずっと指針、指針とおっしゃっていて、それ言えるんだったら最初からちゃんと言わなきゃいけないと思うんです。 その上で、その文脈を理解せず云々という流れの中で、フルデジタルについては小学四年生以下については認めない、又は国語や社会、道徳は認めないというようなことも言われているわけです。フルデジタルについてはそうだということは理解をしたわけです。 では、ハイブリッドはどうなんですか。ハイブリッドも、小学四年生以下や国語、社会、道徳は認めないということになるわけでしょうか。局長、どうでしょう。
○政府参考人(望月禎君) 今、吉良委員からも御指摘がございましたけど、全てがデジタルの教科書の扱いにつきましては、今後大臣指針で定めることとしてございますけれども、中教審や有識者会議におきまして、小学校低学年や中学年では慎重に考えるべきという意見が多く出されていることなどを踏まえまして、現時点では、小学校四年生以下では認めるべきではなく、また、教科についても当面、国語や社会、道徳などでは認めるべきではないと考えてございます。 これらの学年や教科におきましても、紙とデジタルを組み合わせたいわゆるハイブリッドな形態の教科書は十分に考えられるところでございまして、例えば、文脈を理解しつつ読み書きを行ったり、文章と資料を一覧で見るといった学習内容については紙で学習、作成しつつ、動画や音声等のデジタルコンテンツにより紙で作成される部分の理解を助けることなどが可能になると考えてございます。 全てがデジタルな教科書を認めるべきでない教科につきましても、デジタルを活用することで児童生徒にとってより分かりやすい教科書が発行されるよう、紙、デジタル、それぞれの活用が期待される学習場面を大臣指針で示してまいりたいと考えてございます。
○吉良よし子君 つまり、フルデジタルについては低学年や中学年については望ましくないから認めないけれども、ハイブリッドという形であればデジタルコンテンツを小学生、四年生以下でも使うということと。いや、だったら何で小学四年生以下についてフルデジタルを認めないのかということがやっぱり理解ができないんですね。やっぱりフルデジタルを小学四年生以下について認めないというのは、それに対する負の影響があるからじゃないのかと思うわけです。 先ほど局長は、文脈を理解しないとか、理解をできるようにするものとか、文章の一覧は見ることが必要なものなんかは紙が望ましいということもおっしゃっていましたけれども、デジタルの負の影響ということでいうと、それにとどまらないと思うんですね。 私たち直接、学校現場の子供たちや保護者の皆さんの声聞きましたけれども、例えば、もうタブレットが導入されていて、その教材の中で平仮名の練習があると。そうした小さな「や」とかを書くときに、その枠の四等分にしたその小さな枠の中に確実に入るように書かないと、何度書いてもバツになるんだと。何度も何度も何度も何度も書き直して、大人が見ても平仮名として不自然なくらい小さく書いて、ようやくマルになって、もうそれを繰り返す中で子供が勉強嫌いになった、こういう声があるわけです。こうした声を聞けば、学び始めの低学年の子が、一部であってもデジタルを使って適切に学べるのか、学ぶことを楽しく思えるのかということについては疑問が残るわけです。 このデジタルの負の影響ということでは、文科省も一定調べられていて、主に視力や姿勢の影響について関係者や医師会などから意見や注意点を聞いて、ガイドラインや今後指針で示していくと言いますけれども、やっぱり視力や姿勢の問題だけじゃないと思うんです、私、この負の影響というのは。デジタル教材やタブレットの使用がもう増えることで、紙や鉛筆での読み書きをする時間が減少することによって、読解力や思考力が低下する、若しくは記憶の定着など、言語処理能力の発達の阻害などの影響があるということをもう既に多くの研究者、専門家が指摘しているわけです。 私たちが聞いた声も、単純に勉強が嫌いになったという声のみならず、デジタルの導入により、年々手書きの文字が薄くなり雑な文字になってしまう、文章を書くことも読み取ることも苦手な子が増えているとか、集中力が短くなったとの声も聞いています。また、タブレット依存症の生徒がクラスにもう数人いて、タブレットを取り上げると切れるので、もう放置しているのが現状だなどという声まであるわけです。 大臣、こうした視力や姿勢だけじゃなくて、デジタルの使用が、集中力の低下、読解力や思考力、定着力の低下、発達の阻害を引き起こすこと、さらにはデジタル依存の問題まで引き起こす可能性があることなどを、デジタルの負の影響というのを認識をされているでしょうか。
○国務大臣(松本洋平君) 今回の制度改正は、デジタル化自体を目的とするものではなくて、デジタルの特性が生きる学習にデジタルを取り入れることによりまして子供たちが学びの質を高めていくことを目的とするものであります。 今委員からもお話がありましたように、例えばこのため手書きがおろそかになるという声も聞きますが、例えばデジタルの部分で学んだことを紙のノートにまとめるといった、手を動かして書く活動の重要性についても今後策定する大臣指針において示して、学校現場にも周知をしてまいりたいと考えているところでもあります。 また、先ほど、本日の質疑の中で下野委員からもお話がありましたけれども、こうした時代だからこそ、むしろそうしたアナログというか、というものの大切さというものは意識的に教えていくということが極めて大事だと思っておりますし、とりわけ発達段階に応じてということで、やはり小中低学年、ごめんなさい、低中学年のときにはやはりそうしたところをしっかりとやっていかなければならないという、そういう思いもあって、中教審の、ごめんなさい、検討会の中でもそういう議論が有識者の皆さんからも示され、そして私の方からもそうした答弁というものをさせていただいているということで御理解をいただきたいと考えているところであります。 また、端末の学習目的以外の使用への懸念に対しましては、フィルタリング設定を適切に行うことを各教育委員会には要請をしておりまして、フィルタリングの設定のほか、端末の利用可能時間帯を制限するなどの取組が実際に行われていると承知をしております。 そういう意味では、今委員がおっしゃられた問題意識というものもしっかりと受け止めつつ、また一方で、やはりデジタルの利点というものもあるわけでありますので、こうした点をしっかりと組み合わせ、適切な形の教育を施すことができるように我々としては検討を進めさせていただきたい、そのように考えております。
○吉良よし子君 書く活動が大事であるとかフィルタリングもやるんだとかおっしゃっていただいているわけですけれども、そうした例えば書く活動を大事にした授業の在り方とかどういう授業でやるべきかなんというのは、結局この法案とかではなくて指針の方で提示をしていくということになるということになれば、やはりどれだけその書く活動というのが大切にされるのかというのがいまだ分からない。低中学年に配慮って言いますけれども、先ほど確認したとおり、ハイブリッドであればデジタルも認めるということであれば、本当に低中学年に配慮した教科書になるのかということはやはり疑問が残るわけです。 デジタルの教材の使用によって、もう既に勉強嫌いになったとか、字をうまく書けないとか、集中力が切れるみたいな、そんな声が現場にあるということを本当に深刻に受け止めていただきたいと思うんです。 一方で、もちろん本法案について、障害や発達などの特性を持つお子さんやその保護者から期待の声があるということも事実です。現行制度上も、視覚障害、発達障害など障害を持つ子供たちが必要に応じて文字の拡大、色やフォントの変更などなどデジタル機能を使用するということは可能になっているわけですけれども、やっぱりこの法案などで求められているのは、障害認定の有無にかかわらず、必要とする子供に有用なデジタル機能がより広く届いてすぐに活用できるようにすると、そういうことだと思うんですね。 しかし、じゃ、そういったニーズのある子、認定などはないけどニーズのある子がちゃんと使えるようになるかといえば、子供による教科書選択については、この間、児童生徒によって異なる内容の教科書を使用するということは難しいという答弁が国会で繰り返されているわけです。ということは、つまり、学校がフルデジタルの教科書を採択していない場合、様々な事情で障害認定はないけれども、そのデジタル機能がフルで使えるそういう教科書の方が理解しやすいというニーズのある子はそれを使用できないということなんでしょうか。局長、いかがですか。
○政府参考人(望月禎君) 教科書につきましては、採択権者である教育委員会等の権限と責任により一つの教科書を採択することとなってございます。このことは、教科書の形態としてデジタルな形態が含まれる場合でも変わるものではございません。 一方、紙の教科書では学習が困難な児童生徒のために、教科書バリアフリー法に基づきまして、デジタル化したハイライト表示やリフロー表示等の高いアクセシビリティー機能を備えたものの発行を促進しまして、そのような児童生徒につきましてはこれを無償で使用できるようにする予定でございます。
○吉良よし子君 要するに、教科書バリアフリー法で対応をしていくんだというお話だったと思うんですけれども、現行上でもそれがあるわけだけれども、結局、その障害認定がされていないとかそういうことで使えない場合とか、若しくはニーズに合わせた教科書、教科書用特定図書というのが作られていない、そういう場合もあるわけで、それをカバーするものとしてデジタルが期待されていると思うんですけれども、やっぱりフルデジタルじゃなくてハイブリッドを学校が採択したということであれば、やっぱり紙部分は一定残ると。つまり、紙の使用が困難な子にとっては理解しづらい部分が取り残されてしまうわけです。 じゃ、そのためにフルデジタルみんなで一括採用すればいいかといえば、先ほど申し上げたとおり、それに対しても負の影響があり望ましいとは言えないわけで、やっぱり必要なのは、その子たちが学びやすい形態をその場に応じて選べるようにする、フルデジタルであっても紙であっても選べるようにするということなのに、それができない、一つの教科書しか採択しない、そういう日本の教科書制度がハードルになっているんじゃないのかと。 やっぱり、こうした、国が全ての教科書を検定して、教育委員会が採択した教科書以外は学べない日本の教科書制度を見直して、子供たちが、また学校現場が自由に教科書選べる制度にしていくべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(松本洋平君) 学校における学習は、通常、学級等の集団を単位といたしまして展開をしているものでありまして、児童生徒によって異なる内容の教科書を使用することは、学習上、指導上の支障を生じさせる可能性もあるため、なかなか難しい、慎重な判断が必要であると考えているところであります。 また、現在、公立の義務教育諸学校の教科書については、市町村を基本と、基本的な単位とした採択単位において採択が行われておりまして、教師によります共同研究や研修の充実など、教育上の意義を有している、そのように考えているところであります。 ただ一方で、紙の教科書では学習が困難な児童生徒のための教科書バリアフリー法に基づいたデジタル化した上でのハイライト表示でありますとかリフロー表示等のアクセシビリティー機能を備えたものを発行促進をして、そうした児童生徒についてはこれを無償で使用できるようにするということで、先ほど局長から答弁をさせていただきました。 教科書のその基本的な仕組みは維持しつつ、そうした様々な困難を抱えるそうした生徒にもきめ細かく対応していくことができるように我々として努めてまいりたい、そのように考えております。
○吉良よし子君 きめ細かく対応といっても、やっぱり採択した教科書しか使えないという制度では限界があるわけなんです。 何より、今回の法改正というのは、デジタル教科書を子供たちや教師が選べるようにするという制度じゃないんですよね。デジタル教科書を今の日本の教科書制度に組み込んで検定の対象にしていくという、それが制度の趣旨なわけです。 しかし、日本の教科書検定制度というのは世界の中でも異例の仕組みで、教育の質の担保というよりも、政府の見解を押し付ける、そういう仕組みとして使われてきた。そうした、政府の見解に基づかないという意見で修正を余儀なくされた教科書というのもたくさんあるわけで、そうした検定制度の対象にデジタル教科書も含め、つまり、動画を始めとした印象操作が容易なデジタルコンテンツで、より印象的に、効果的に政府見解を一方的に押し付けるような教科書を作るようなことになってはならないんだと、このことを強く申し上げまして、時間になりましたので、ここで質問を終わらせていただきます。 以上です。
○委員長(熊谷裕人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○後藤翔太君 参政党の後藤翔太でございます。 会派を代表し、本法案に反対の立場から討論いたします。 前提として、私は、デジタル教科書の可能性を否定し、紙に固執しているわけではありません。本法案は、教科書を紙に限定する規定を削除するものにすぎず、直ちに教科書が、紙の教科書が氾濫、失礼しました、直ちにデジタル教科書が氾濫するわけではないことも理解しています。 具体的な運用は現行法でも学習指導要領と検定基準に委ねられ、大臣指針も成立後に示されるといいます。ただ、私は、まさにそれにこそ制度設計をめぐる議論の不十分さが現れていると考えます。 これまでの学習者用デジタル教科書は、紙と同一の内容をデジタル化した教科書しかなく、電子書籍やPDFの域を出ないものでした。ですが、デジタル技術には予測困難な無限の可能性があり、紙とは本質的に異なる製品の発展も考えられます。 具体的に危惧する点を三つ挙げます。 第一に、教科書の議論は、明治期以降、学習指導要領と検定基準によって内容の自由と統制のバランスが取られてきました。今回、ここに媒体の違いが加わり、議論は一段と複雑になります。しかし、媒体の物差しが必要かどうかの議論は十分ではありません。これは、教科書がもたらしてきた全国での水平的平等を揺るがし、教育体験の格差を拡大させるおそれがあります。 第二に、デジタル教科書は、もはや本ではなく、ハードとソフトで構成される情報システムです。学習ログの取扱い、継続的な更新の管理、サイバーセキュリティーの確保など、製品に主眼を置いた規制の設計が必要です。医薬品や医療機器の承認、変更管理の仕組みが参考になるはずですが、そうした議論がまだ足りていないと考えます。 第三に、教育現場の受入れ準備です。デジタル教科書は電気やネットワークを必要とし、その準備状況には地域差があるのではないでしょうか。災害時の継続も従来のようにはいかず、教員にも従来とは異なる準備が求められます。これは、かつてデジタルデバイドと呼ばれた問題にも重なります。 教科書は、学級の中だけではなく、全国での協働的な学び、言わば学びの体験の共有にも大きな役割を果たしてきました。その多様性をどうコントロールするのか、制度設計が不十分なまま児童生徒の環境を変えることは慎重であるべきだと考えます。 議論はまだ不十分であり、まだ我々は児童生徒の未来に責任を負える状況にはないと考えます。ゆえに、本法案には反対いたします。 機会をいただき、ありがとうございました。
○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 本法案は、紙媒体に限定していた教科用図書を改め、教科書と規定し、デジタル教科書を本格的に導入し、これまで教材扱いだったデジタル部分も検定の対象とするものです。 そもそも、日本の教科書検定制度は他国にない異例の制度です。教育の質の担保のためと言いますが、実際には、国による検定制度の下、学術的な到達点や多様な意見を認めず、政府見解を教科書に盛り込む仕組みとして機能してきました。 この検定対象に音声、映像共使用し、よりセンセーショナルに一方的な見解を印象付けることが可能なデジタル教科書を含めることで、政府見解に沿わない多種多様な意見、見解などを子供たちが学ぶ機会が失われ、教科書の公正性、中立性が損なわれかねないことは重大です。 デジタル教材やデジタル教科書には、障害などにより紙での学習に困難を抱えている子供や外国ルーツの子供の負担を軽減できるといった利点があり、ニーズのある子の活用を進めるべきですが、教科書検定採択の制度がある日本において、デジタルなのか紙なのかを子供自身が選ぶことができないままとなることは課題です。 何より、デジタル端末の利用の増加により、情緒やメンタルヘルスの悪化、読解力や思考力の低下などの言語処理能力の発達の阻害、一見便利なツールを使うことが脳機能を働かせないという逆効果につながる危険性が専門家や研究者から指摘がされるとともに、保護者や子供たちからもデジタル端末利用で勉強が嫌いになったという声まで出されていることを軽視することはできません。 文部科学省は本法案について、デジタル化を無理やり推進するものではない、ベストミックスなどと言いますが、紙とデジタルの適切な分量とはどの程度か、デジタルが望ましい又は望ましくない場面とはどういう場面かなどは、国会の議論で示されないまま、全て有識者の議論を受けて示される指針に丸投げしています。このような状況でベストミックスの教科書が作成できるのか甚だ疑問です。 また、教科書製作では、現在でも国が定める教科書価格が低過ぎます。今回のデジタル教科書を作成するためには、クラウド通信料にとどまらない、紙の教科書とは全く違う多くの労力と費用が掛かることが想定されますが、文科省は価格設定をする際に原価計算をすると明言されませんでした。原価計算もせず、安価な価格設定となれば、今後、規模の小さな教科書会社の経営が危うくなり、結果として教科書発行の寡占化が更に進み、教科書の多様性が失われるおそれも看過できないということも指摘し、討論といたします。
○委員長(熊谷裕人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 学校教育法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(熊谷裕人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、古賀さんから発言を求められておりますので、これを許します。古賀千景さん。
○古賀千景君 私は、ただいま可決されました学校教育法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・無所属の会、立憲民主・無所属、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一、デジタルな形態の教科書のアクセシビリティ機能を充実させ、障がいの有無や不登校、言語の壁を越えて、一人一人が得意を伸ばし自分らしく輝ける質の高い教育環境を全国に整備すること。加えて、認知特性にかかわらず、全ての児童生徒が学びにアクセスできるよう、標準化を推進するとともに、多様な学びを適切に評価する方策について検討を進めること。また、国内外のアクセシビリティに関する標準規格を踏まえ、デジタルな形態の教科用特定図書等が満たすべき技術的標準規格の策定に当たっては、当事者の声が規格策定のプロセスにおいて適切に反映されるよう、参加の機会を確保すること。 二、デジタルな形態の教科書の導入を単なる教材の電子化にとどめることなく、生成AIの急速な進展や人口減少社会の到来を見据え、我が国が目指す公教育の将来像を明確に示すとともに、子どもたちの主体性、創造性、協働性及び情報活用能力の育成に向け、必要な施策を総合的かつ計画的に推進すること。また、デジタルな形態の教科書の教育効果について、学力のみならず、主体性、創造性、協働性、情報活用能力その他の資質・能力を含む多面的な観点から継続的な実証及び検証を行い、その結果を公表するとともに、教育政策へ反映すること。 三、児童生徒の学習履歴及び教育データについては、その利活用とプライバシー保護の両立を図りつつ、本人及び保護者の権利を尊重した適切な管理及び運用の在り方について検討を進めること。あわせて、教育データの標準化や継続的な調査研究を実施し、子どもの発達段階や障がいの特性、教科の特性、言語の多様性等を踏まえ、その結果を不断に教育現場の改善に反映させる仕組みを構築すること。また、不登校児童生徒、病気療養児童生徒その他多様な事情を有する子どもたちについて、学習履歴及び教育データの利活用を含め、学びの継続性及び教育機会の確保に必要な施策を推進すること。 四、N―E.X.T.ハイスクール構想により専門高校等の機能強化・高度化が進められる中にあっても、学習意欲や基礎学力に課題を抱える生徒、視覚障害や発達障害のある生徒、外国にルーツを持つ生徒等が取り残されることのないよう万全を期すこと。具体的には、デジタルな形態の教科書のアクセシビリティ機能や、高度な専門技術習得のためのシミュレーション教材等を最大限に活用した個別最適な学びの実現に取り組むとともに、多様な生徒の表現方法を評価する多面的・アウトプット型評価を推進すること。 五、ICTやデジタルな形態の教科書を賢く使いながらも、五感を通じた体験活動や対話的・協働的な学びを子どもたちに保障し、紙の教科書・デジタル活用・体験活動のベストミックスでバランスがとれたハイブリッドな学びを実現すること。また、デジタルな形態の教科書やAI等の導入によって、他者との対話や身体的な実体験が軽視されることのないよう、教育の本質を見失わない運用を徹底するとともに、児童生徒が達成感や自らの強みが伸びる歓びを実感できる人間教育を強力に推進すること。国は、教科書に関する紙とデジタルの最適な組合せについて、諸外国の状況も含め多角的な調査研究を継続するとともに、エビデンスに基づいて子どもの発達段階や教科特性を踏まえた指針を示すこと。 六、デジタルな形態の教科書について、国は、デジタルの活用を目的とするのではなく、児童生徒の学びの充実を図ることを目的として、その活用の在り方等を検討し、教科書に係る指針や標準仕様等を定めること。また、教科書の質を担保するため、デジタルな形態の教科書の検定審査の方法等について専門的な見地から検討を行うとともに、検定審査の体制を着実に整備すること。 七、デジタルな形態の教科書の採択に関し、地域間の格差が生じないよう、全ての教育委員会が適切な判断を行えるようにするため、教育委員会の採択に係る負担の軽減策を講ずること。また、従来の教科内容に加え、アクセシビリティ、操作性、学習支援機能等について適切に評価するための指針の整備を図ること。あわせて、デジタルな形態の教科書及びその活用法について、教科書展示会その他の機会を通じ、保護者及び地域住民への十分な情報提供と採択過程の透明性の確保に努めること。 八、教科書の内容や分量、教科書に掲載される二次元コードが大幅に増加する中、教科書の内容を網羅的に教えなくてはならないという考え方が依然として根強く、学校現場で負担感が生じている実態を踏まえ、教科書の分量やデジタル教材との役割分担等を検討するとともに、教科書「を」教える教科書観から教科書「で」教える教科書観への転換を促進し、子どもや学校現場の負担軽減を図ること。 九、デジタルな形態の教科書の活用効果を最大限に引き出すには、教員がきめ細かく指導できる環境が不可欠であるため、高等学校を含め更なる学校の望ましい指導体制の構築に努めること。あわせて、教員の業務負担軽減に向けた校務DXの推進や、地域の教育資源との連携体制の整備を行い、教育効果の最大化を図ること。また、デジタルな形態の教科書の使用が認められることを契機として、教員がデジタルの活用も含めた授業研究のための時間を十分に確保できるようにするため、教員業務支援員等の学校を支えるスタッフの配置の一層の拡充等に努めるとともに、必要な予算措置を講ずること。 十、国は、教員の専門性を最大限に引き出す支援に万全を期すこと。そのために、現職教員が受講しやすいオンライン研修も含めた多様な形態による教員研修の抜本的拡充や効果的な活用事例の共有、教員養成課程での実践的指導法の修得、ICT支援員の配置による技術的サポート体制の充実を国の責任において支援・推進すること。 十一、新たな負担や格差を生まないよう、高校生等奨学給付金による端末購入支援や家庭の通信環境の整備支援の拡充に取り組むこと。また、転校・進学時の学習履歴の継続性の確保及びネットワーク障害時でも学びが止まらないセーフティネットの構築を行うこと。 十二、デジタルな形態の教科書を活用するためには、学校における安定した通信環境が必要であることから、地方公共団体ごとの通信環境の違いが児童生徒の学習環境の格差につながることがないよう、ICT環境の整備に努めること。また、デジタルな形態の教科書に関連する端末や機器の整備について、必要な予算措置を講ずること。 十三、デジタル教科書の導入に伴うアカウント設定・管理等の事務的負担が学校現場において大きな課題となっていることを踏まえ、国は、教科書発行者等と連携しながら負担軽減に向けた取組を進めるとともに、有効な対策や好事例を学校現場に積極的に周知・共有すること。また、デジタルな形態の教科書の導入に当たり、認証基盤、ID体系、データ形式等の標準化及び相互運用性の確保を進めるとともに、ベンダーロックインの防止及び地方公共団体・学校の負担軽減に努め、教育DXの推進に資する持続可能な教育基盤の整備を図ること。 十四、デジタル教科書の使用による児童生徒の視力低下など健康面に関する留意点を整理し、教育委員会や学校等への周知・啓発を図ること。あわせて、スマートフォン等のデジタル端末によるSNS依存等のリスクを踏まえ、医学的知見に基づく学校での利用ルールのガイドライン等の周知を保護者等にも徹底するとともに、自己管理能力を高めるデジタルウェルビーイングの視点を養うこと。また、これらについて、健康面に関する調査と医学的知見に基づくフィードバックを継続して行うこと。加えて、視力、睡眠、依存その他の健康への影響に十分配慮し、端末利用時間の管理、フィルタリングその他のデジタルウェルビーイングを仕組みとして確保するための取組を推進すること。 十五、より良い教科書を子どもたちに確実に届けるため、教科書発行者との連携を図りつつ、教科書の定価については、物価の変動や技術の進展等に伴い必要なコストに見合った適正な価格に設定すること。また、義務教育段階の教科書の無償措置を実現するために必要な財政上の措置を確実に行うこと。 十六、著作物等を教科書に掲載する際の補償金額の検討に当たっては、学校教育における教科書の役割、教科書の安定的な発行・供給の確保、権利者への適切な対価還元等に十分留意すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(熊谷裕人君) ただいま古賀さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(熊谷裕人君) 多数と認めます。よって、古賀さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、松本文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。松本文部科学大臣。
○国務大臣(松本洋平君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
○委員長(熊谷裕人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(熊谷裕人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十五分散会
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