令和八年七月十六日(木曜日) 午前十時開会 ───────────── 委員の異動 七月十四日 辞任 補欠選任 天畠 大輔君 木村 英子君 七月十五日 辞任 補欠選任 福士 珠美君 石橋 通宏君 木村 英子君 天畠 大輔君 七月十六日 辞任 補欠選任 猪瀬 直樹君 岡崎 太君 ───────────── 出席者は左のとおり。 委員長 小川 克巳君 理 事 石田 昌宏君 自見はなこ君 小西 洋之君 田村 まみ君 秋野 公造君 委 員 かまやち敏君 神谷 政幸君 木村 義雄君 福岡 資麿君 古川 俊治君 本田 顕子君 山田 宏君 石橋 通宏君 郡山りょう君 山内佳菜子君 庭田 幸恵君 芳賀 道也君 川村 雄大君 猪瀬 直樹君 岡崎 太君 新実 彰平君 岩本 麻奈君 宮出 千慧君 白川 容子君 天畠 大輔君 国務大臣 厚生労働大臣 上野賢一郎君 副大臣 厚生労働副大臣 仁木 博文君 大臣政務官 厚生労働大臣政 務官 栗原 渉君 事務局側 常任委員会専門 員 佐伯 道子君 政府参考人 内閣官房内閣審 議官 岡本 利久君 内閣府健康・医 療戦略推進事務 局次長 仙波 秀志君 個人情報保護委 員会事務局審議 官 小川久仁子君 消費者庁政策立 案総括審議官 飯田 健太君 文部科学省大臣 官房審議官 生田 知子君 厚生労働省大臣 官房危機管理・ 医務技術総括審 議官 佐々木昌弘君 厚生労働省大臣 官房医薬産業振 興・医療情報審 議官 森 真弘君 厚生労働省労働 基準局長 岸本 武史君 厚生労働省老健 局長 黒田 秀郎君 厚生労働省保険 局長 間 隆一郎君 厚生労働省政策 統括官 辺見 聡君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案(閣法第五八号)(衆議院送付) ─────────────
厚生労働委員会
発言 151
○委員長(小川克巳君) ただいまより厚生労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、福士珠美君が委員を辞任され、その補欠として石橋通宏君が選任されました。 ─────────────
○委員長(小川克巳君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐々木昌弘君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川克巳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(小川克巳君) ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○古川俊治君 この法律の第一条なんですけれども、この法律は、ヒト胚又はヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、これによりヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること並びに当該遺伝子改変の影響が将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすことがあることに鑑み、その臨床利用を禁止するという法律になっているんですね。 この三行目の当該遺伝子改変というのが、この字面だけを見ますと、予測し得ない遺伝子改変、その前のですね、これを受けているように読めてしまうんですよね。そうすると、この予測し得ない遺伝子改変だから将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすことがある、この法律はそのように認識しているんじゃないかということが疑われてしまうわけですね。 これ、今モザイクやオフターゲットが問題になっています、いわゆるゲノム編集ではですね。ですけれども、もう既にDNAの二本鎖を解離しないベースエディティングとかプライムエディティングという新しいゲノム編集の方法も開発をされてきていまして、恐らくオフターゲットはかなり制御できる、もうそういう時代になりました。また、モザイクについても、今はCas9をたんぱくで入れてRNAのガイドを入れるんですね。それから、エレクトロポレーション法も非常に、パルス幅とあるいは電圧を工夫すると、レーヤーにですね、こういう方法ができたりしましたので、モザイクについてもかなりこれはもう抑えることができる。そういう時代になると、もはや予測し得る遺伝子改変、これが達成可能になることも恐らく近い将来あるでしょう。 私が聞きたいのは、予測し得る遺伝子改変だった場合に、受精胚やあるいは生殖細胞の遺伝子を予測し得る改変をしても、これが将来の世代にわたって個人や社会に影響を与えないのかどうか、これが問題だと思うんですよね。 今まで、仮に予測し得る遺伝子改変であっても、これをやらないというコンセンサスが医学界にはあったんです。いいですか。これは衆議院でも議論がありましたけれども、我々の染色体というのはネアンデルタール人から受け継いでいるんですよね。ホモサピエンスの発祥のもっと前から今日までこのように我々つないできているんですね。それは、こういう現代社会のテクノロジーをつくったホモサピエンス。そういう遺伝子を我々の世代になって本当に変えていいのかどうか、その議論がまだできていないからやらないというコンセンサスで来たわけですよ。 ですので、このゲノム編集というものが仮に予測し得ない改変をもたらすのか、あるいは予測し得る改変をもたらすかにかかわらず、受精胚とそれから生殖細胞に対する遺伝子編集、遺伝子改変というのは行っちゃいけないというはずなんですけれども、この点ちょっと確認をしたいんですね。ですから、当然のことながらそう考えていると思いますけれども、これは大臣、ここでちゃんとただしてください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 御指摘のとおり、本法案は、将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすことを防止することが目的であり、この考え方はゲノム編集技術が発明される以前から一貫して取られているものであります。 実際にゲノム編集技術が存在をしなかった平成六年に策定をされました遺伝子治療臨床研究に関する指針において人の生殖細胞の遺伝的改変をもたらすおそれのある臨床研究を禁止して以来、現行の遺伝子治療等臨床研究に関する指針においても、人の胚及び生殖細胞を対象とする遺伝子治療等臨床研究は禁止をされております。 今後、ゲノム編集技術等の技術水準が進展し、遺伝子改変が予測し得るようになっても、臨床利用の可否の判断に当たっては、当該改変に関する安全性や社会的受容性の観点が必要になると考えています。技術の進展に後れを取らず議論を進め、こうした観点も勘案しながら、適切な規制の在り方となるよう努めていきたいと考えております。 本法案は、ゲノム編集技術等をヒト胚、ヒト生殖細胞に用いた場合に、現在の技術水準の下では予測し得ない遺伝子改変を生じるものであることから、ヒトゲノム編集胚等の胎内移植を禁止するなどの規制を設けているものでありますが、このことは、技術水準が進展し遺伝子改変が予測し得るようになっても、その技術の臨床利用が直ちに許容されることを意味するものではないと考えています。
○古川俊治君 どうも確認して、ありがとうございました。 これは遺伝子治療等臨床研究に関する指針も、再生医療等安全確保法とそれから臨床研究法ができて、改正されて、もう歴史的役割を終えていたんですけれども、やっとこの法律が通ることによって、なくなるんですね、実際は。ですから、そういう歴史的な重みもしっかり把握した上でやらなきゃいけないというふうに思います。 次、資料一を御覧いただきたいんですけれども、これ遺伝性のミトコンドリア病に対する治療の概念なんですが、二つあります。上がヒト胚核移植胚と言われる方法、下が卵子間核置換と言われる方法です。 先に歴史的に登場したのが卵子間核置換でありまして、アメリカの二つのグループが一九一〇年、一三年と一六年、両方ともネイチャーに載っておりますけれども、それが、実は受精はさせることができるんだけれども、受精が正常に進まないということが分かりました。 イギリスのグループは、上のヒト胚核移植胚の方法を使って、次のページ、資料二に出ていますけれども、これが二十二例中八例の先端事例を受けて、一例は妊娠中であるという、これは去年のニューイングランド・ジャーナル・メディスンですけれども、載っている。これはヒト胚核移植胚を使っているんですね。こちらの方が恐らく臨床に近い。日本でもこれがやれるんじゃないかと期待されるわけです。 次のページですけれども、これが現在、ヒト胚に関するゲノム編集等の規制の状況を示しています。今、この赤で書いているところが今回の法律でできるわけですけれども、青で書いたところは今回の法律によって基礎付けられる、委任立法になるわけですね。そこは青でくくってあるところで、ここは卵子間核置換を含んでおりますけれども、こども家庭庁、文科省、厚労省の三省の管轄になるということです。 これ、緑のところが既にイギリスで臨床例のあるヒト胚核移植胚なんですね。これはクローン技術規制法によっての特定胚指針で規制されているわけですけれども、こちらが臨床例に近いのであれば、私はこのタイミングでクローン技術規制法も改正をして、三省の管轄にすべきではなかったかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(生田知子君) お答えいたします。 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律の下で規制されているヒト胚核移植胚について、海外で臨床利用されていることは承知しております。 ヒト胚核移植胚は、委員御指摘のとおり、ミトコンドリア病の治療技術の観点で本法案の規制対象であるヒトゲノム編集胚と密接に関係しており、その臨床利用に向けては、本法案の共管省庁である厚生労働省、こども家庭庁と緊密な連携が必要と考えております。 文部科学省としては、ヒトゲノム胚等の臨床利用に係る議論を注視するとともに、今後の臨床利用に向けては三省庁で一体的に検討してまいります。
○古川俊治君 是非これは厚労省もしっかりウォッチをしていただきたいというふうに思います。 次、資料四を見ていただきたいんですが、これは日本産婦人科学会のレジストリーを用いた研究で、米国の生殖医学界雑誌に載った、掲載された論文ですけれども、新生児二万五千七百七十七人、これ全部、体外受精を使った日本の子供たちです。この研究、非常に有名ですけれども。上が、三本あって、一番高い、上の方にあるのが、これが凍結して融解した胚を使っているんですね。その新生児の体重です。一番下が、これは新鮮胚の新生児の体重なんですね。真ん中が、全ての、この間の、日本人の新生児の体重になっています。これ、三群に明らかな有意差、〇・〇〇〇一ですから、僅かだが見えますけれども、これNがすごく多いので完全な有意ということになります。何かが違うんですね。 この体重の違いを説明するのは恐らくエピゲノムだろうと言われています。エピゲノムが結局、胚を凍結して融解させることによって、エピゲノムが動いてこのような体重の違いになるということですね。現に、凍結融解胚とそれから新鮮胚の子供たちの間では、新生児の間では、これはゲノムの、エピゲノムが異なることがもう次の研究で分かっております。 産婦人科医の中には、体重を少しずつ重くしよう、すなわち低体重児のリスクを下げるために、わざわざ胚を凍結して起こして培養するという工法を取る人までいるようなんですね。これ示唆されています、そういうことが、論文には。今回の、実を言うと、法律では、エピゲノムを変えることは規制の対象になっています。ですけれども、現に生殖補助医療で、こういったエピゲノムの変化を認識しながらも医学的な目的を持ってそのような操作をする場合があるわけですね。 今回、これ非常に、何が禁止されて、エピゲノム編集操作で、何が禁止されていないのかって、非常に線引きが微妙で難しいと思うんですけれども、これどうやって現実的に線引きするつもりなのか、お答えをお願いします。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 御指摘の生殖補助医療につきましては、胚に対して凍結、融解を施した結果としてエピゲノムの変化が起こった可能性はある一方で、胚に対して直接的にエピゲノムを編集する操作を施したものではないことから、ゲノム編集技術等を政令で規定する際にエピゲノム編集技術を規定しても、御指摘の生殖補助医療が禁じられるものにはならないのではないかというのが今までの議論でございます。 いずれにしても、委員御指摘の点も踏まえ、今後、関係する学会等の御意見もお聞きすることなどにより、生殖補助医療の実態等も踏まえながら、関係する審議会で構成される合同会議において御議論いただいて、細心の注意を払って検討をしてまいりたいと考えております。
○古川俊治君 生殖補助医療のところは非常に微妙な規制になりますので、よろしくお願いいたします。 次、資料の⑤を御覧いただきたいんですが、私は前回の再生医療等安全確保法の改正のときに、この、実は言うと、生殖補助医療というのは、受精胚もあるいは卵子も精子も培養するので、実は再生医療の一環なんですね。細胞を加工しているわけです、培養して加工していますから。その意味では、再生医療等安全確保法のスコープの中に入っているんですけれども、わざわざその政令の一条の一号のハでこれを除外しているんですね。除外しているので今回の法律が必要になったんです。ですから、その除外をコントロールしちゃえば、やめればですね、別に今回の法律を作らなくてもよかったんですけれども。これをずっと私言っていたんですけど、まあ出せてよかったです、こういう形でですね、本当にやっとこれで規制できるかということでほっとしておりますけれども。 ちょっとこれ、非常にややこしいんですけれども、一番下に、この再生医療安全確保法の一条の一号のハというのがあるんですね。これを言葉で、一番、書いてあります、この紙にですね。これめちゃくちゃ分かりにくくて、この紙を用意してもらっているんですけれども、この一番右の青でくくったところですけど、丸のところですけど、Eというところで、神経細胞と血液細胞がここにあって、これは再生医療等安全確保法の対象外だというんですね。私は、これやっぱり対象にしないとまずいんじゃないかなとずっと思っていたんですけれども、いかがお考えでしょうか。お願いします。
○政府参考人(森真弘君) 委員御指摘のこの青い丸の部分でございますが、そもそも、再生医療安全性確保法は、国として普及を促進するべき医療技術を適用対象に位置付けるというのが基本でございまして、この青い丸の部分も含めて、現在、生命倫理の観点から指針において禁止されているそのES細胞由来の受精胚を用いる医療技術を法の対象に位置付けるということはしてこなかったところでございます。 ただ、令和七年の八月に、総合科学技術・イノベーション会議生命倫理専門調査会の報告書において、一定の条件の下、ES細胞から作成した生殖細胞を受精させて受精胚を作成することを許容するということが盛り込まれ、これを鑑みると、現在禁止されているそのES細胞由来の受精胚から更にES細胞を樹立し体細胞を作成するといった医療技術も想定されるようになってきているところでございます。 こうした医療技術を再生医療等安全性確保法の対象とすることについて、厚生科学審議会再生医療等評価部会においてきちんと検討し、政令改正等の必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
○古川俊治君 どうも、時間になりましたので、これで終わりにいたします。
○山内佳菜子君 立憲民主党・無所属の山内佳菜子です。 まず、ヒトゲノム編集胚規制法案について伺います。 ゲノム編集技術は、難病や遺伝性疾患の克服、再生医療の発展など、医療に大きな可能性をもたらす一方で、人の生命の在り方や尊厳に深く関わる技術でもあります。だからこそ、技術の進歩を支えることと人の尊厳を守ること、この二つをいかに両立させるかが重要であり、本法案はその基本的な考え方を示すものと受け止めています。一方で、この分野の研究は国境を越えて進められており、各国で制度設計や規制の考え方にも違いがあると伺っております。 そこで、まず参考人にお伺いいたします。 今回の法案は日本の法案の中では罰則はどのようになっているのでしょうか。また、意欲ある研究者が過度に自主規制をしてしまったり適切な研究活動の妨げにならないような考え方も必要だと思いますが、法案ではどのような配慮が盛り込まれた制度設計になっているのか、具体的にお答えください。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、今委員から御指摘いただいたとおり、規制という観点と研究推進という観点の両面から検討を進めることは非常に重要だと考えております。 その上で、まず規制の方ですが、国ごとに規制手法が異なるため、一概に比較すること自体は困難ではありますが、ヒトゲノム編集胚等の移植に関する量刑につきましては、これ厚生労働科学研究班で調べていただきました。その結果によると、例えば、イギリスやアメリカといったこの分野比較的進んでいる国と我が国が今回の法案としてお示ししているものとの拘禁刑に相当する刑罰は最大十年という点で、ここは同じでございます。この点、諸外国とおおむね同程度の規制になっていると思います。 もう一つの方の研究の推進の観点ですが、例えば、この基礎的研究の自由への配慮という点で申し上げますと、関係する審議会で構成される合同会議で昨年十二月に議論の整理をまとめていただきました。この中では、基礎的研究の発展を妨げることがないよう配慮することが必要とされております。 これを踏まえ、この法案におきましては、動物へのおなかの中、胎内移植を一定の要件において可能としていることや、取扱計画書について、許可制ではなく届出制とした上で、届出内容について国が策定する指針に適合するか確認すること等の規定を設けるなど、基礎的研究を妨げることのないよう制度設計を行っているところでございます。
○山内佳菜子君 罰則は諸外国と同程度であると、あと配慮もきちんと考えていただいているということを確認いたしました。やはり、御説明いただいたとおり、研究の発展と倫理の確保、その両方を実現できる制度であることが重要であるというふうに私も考えております。 そこで、大臣にお伺いいたします。 ゲノム編集に関する研究や技術開発は、国際的な協力の下で進められています。我が国としても、医療技術の発展と人の尊厳の確保を両立させるためには、国内だけでなく海外の規制制度との整合性や国際連携を視野に入れながら制度運用を進めていくことが重要だというふうに私は認識をしております。国際連携を視野に入れた制度運用をどのように進めていくお考えなのか、大臣のお考えを明確にお答えください。
○国務大臣(上野賢一郎君) ヒトゲノム編集胚等を人や動物に移植する行為にどのように対処するかは、それぞれの国の生命倫理に対する考え方に深く関係する問題であり、各国によってその取扱いは必ずしも一様ではありません。米国や英国を始めとする主要国では、臨床利用を法律で規制している例が多いと承知をしております。 こうしたことから、我が国においても、まずは本法案をお認めをいただき、胎内移植を禁止する等の必要な国内措置を講ずることにより、国際協調の実現に向けた環境整備を行うこととしたいと考えております。 その上で、今後、ヒトゲノム編集胚等の胎内移植をどう考えていくかは、御指摘のとおり、世界各国が協調して対処をしていくことが重要だと考えておりますので、諸外国の技術の進展や制度の動向にも十分注視をしながら情報収集を進めていきたいと考えております。
○山内佳菜子君 是非お願いしたいと思います。ありがとうございます。 それでは、以下は、最近報道もなされております骨太の方針を始めとした社会保障関係のことについてもお伺いしてまいりたいと考えております。 資料一を御覧ください。 七月九日の朝日新聞では、政府が骨太の方針の中で、現役世代の保険料引下げを明記へ、骨太方針、医療介護の負担増もというような記事が配信をされております。 現役世代の負担軽減を図るという方向性自体は、多くの国民が期待しているところではございます。しかし、私が懸念しているのは、保険料だけではなく、家計への影響という視点も必要ではないかということです。これは、高額療養費の自己負担引上げの際にも議論になった大切なテーマだというふうに考えております。 例えば、高齢者の窓口負担や介護の自己負担が一割から二割、三割へと上がれば、現役世代が自分の親の介護費や医療費を補填することになり、結果として現役世代の負担増に直結するというブーメラン現象が起きるのではないかというようなことも可能性としてはあるというふうに考えております。国民にとって重要なのは、保険料が幾らかだけではなく、暮らし全体の負担がどう変わるのかという点ではないかというふうに考えております。 そこで、参考人にお伺いいたします。 現役世代の社会保険料負担の軽減を進める一方で、家計への影響という視点が必要ではないでしょうか。医療や介護の自己負担の見直しが検討されることについて、こうした家計全体のトータルな収支悪化の影響を現時点でどのように分析を行っていますか。お答えください。
○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。 骨太方針の具体的文言につきましては、現在、政府で調整中と承知しておりまして、その内容についての答弁は差し控えたいと存じますが、本年五月の経済財政諮問会議におきまして、総理から、社会保障負担率の目標の検討、真に公平な応能負担を実現する医療費窓口負担の見直しなど、具体的な給付と負担の見直しの検討などに取り組むよう指示があったところでございます。 厚生労働省といたしましては、社会保障負担率の目標の検討も含め、給付と負担の見直しの検討に当たっては、国民の生活や安心を支える社会保障の機能が損なわれることがないようにすることが基本と考えており、委員御指摘の医療費の自己負担の在り方も含めて、こうした認識の下、今後、内閣官房等の関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○山内佳菜子君 資料一の同じ記事の末尾にございますが、医療や介護のサービスが機械的にカットされるとの懸念が自民党内に根強い。赤線部になります。原案では社会保障制度が果たす機能を損なわない配慮という留保が付いたというふうに書かれています。 これも、まだ骨太の方針自体が決定していないという状況ではございますので、確定的なお答え、御説明は厳しいところではあるかというふうには考えますが、それでも大事な部分ですので、参考人にお伺いしたいと思います。 政府として、社会保障制度の機能を損なわないとは具体的にどういったことを指すのでしょうか。お答えください。
○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。 具体的な文言について直接お答えすることは難しいところではございますが、厚生労働省といたしましては、社会保障負担率の目標の検討も含めて、給付と負担の見直しの検討に当たりましては、持続可能な社会保障制度の実現に向けて、高齢化や医療の高度化による社会保障負担の増加ですとか国民所得の変動の影響、こうしたものを踏まえながら公費負担の在り方と併せて検討を進めるべきものと考えており、ただ目標ありきで削減ということがないようにする必要があると考えております。
○山内佳菜子君 今、社会保障のことについて全体的に、総体的に議論をされていくというような御説明をいただきましたけれども、一旦立ち止まって考えたときに、そういった社会保障全般のことを国民的に広く議論するという場が、今まさに社会保障国民会議というものが設置されているのではないかというふうに考えます。 社会保障国民会議について、現在は給付付き税額控除の話ですとか食料品の消費税をめぐる議論が絞ってされておりますが、本来であれば、今御説明いただいたような社会保障制度全体の給付と負担の在り方についても社会保障国民会議で議論の対象とすべきだと考えますが、政府として、社会保障国民会議の今後の位置付けや議論の方向性、どのようにお考えですか、参考人、お答えください。
○政府参考人(岡本利久君) お答え申し上げます。 社会保障国民会議におきましては、給付付き税額控除の制度設計につきまして、受益と負担の全体像の分析などを踏まえ、現在議論が進められているところでございます。 その上で、社会保障国民会議につきましては、まずは給付付き税額控除と食料品消費税率ゼロにつきまして同時並行的に議論を進め、給付付き税額控除の議論を進める過程で明らかとなった社会保障制度の課題等につきましては、改めて調整した上で協議を継続するということにされていると承知をしております。 こうしたことを踏まえまして、今後の具体的な進め方につきましては、御党を含めた参加各党と御相談しながら検討されていくものというふうに承知をしております。
○山内佳菜子君 なかなか全体的な議論に始まらないなというようなもどかしい思いで連日拝見をしているところではございます。是非、国民の皆さんの未来を担う社会保障制度でございますので、そういった全体的な議論についても、私たちも努力をいたしますので、是非政府としてもお進めいただきたくお願いを申し上げたいと思います。 続きまして、資料二を御覧ください。 芳賀委員も先日取り上げられました特定疾病制度、これも患者の命に直結する極めて重要な論点ですので、私からも確認をさせていただきたいと思います。 芳賀委員が全く同じ資料を取り上げられましたが、六月二十六日の財政制度等審議会財政制度分科会での資料になります。下線部になりますが、制度創設から長期間が経過し、他疾患の患者との公平性、負担能力に応じた負担の考え方に鑑み、特定の疾病についてのみ自己負担限度額を大きく抑制していることについて、見直しの必要性を含め検討していくべきではないかと明記をされています。 先日の答弁では、これはあくまでも財政制度等審議会での考え方であるという旨の御答弁だったかと思いますが、しかし、今国会を振り返ると、来月からは高額療養費制度の自己負担引上げもいよいよスタートしてしまいます。私たち立憲民主党は強く反対の声を上げましたが、形にすることはできず、いまだに多くの患者団体の皆様から切実な声が寄せられています。政府はその際も、家計への影響を十分に把握し丁寧に対応すると説明をしてきました。しかし、そのような影響を十分に検証しないうちから、今度は別の制度で自己負担の見直しが議論されるということがあっては私は絶対にならないというふうに考えております。 物価高、そして続く医療費自己負担増の議論。例えば、この特定疾病制度を活用している慢性透析患者の方は全国で約三十四万人。一生透析を続けて命をつなぐ患者にとって、命に関わる議論です。 そこで、大臣にお伺いいたします。 改めまして、厚生労働省として現時点で特定疾病制度を見直す必要性をどのように認識していますか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 高額特定疾病制度は、人工透析を必要とする慢性腎不全等の長期にわたって著しく高額な医療費を必要とする疾病について医療費の負担軽減を図る特例的な制度でございます。厚生労働省としては、現時点でその見直しは考えておりません。今回の高額療養費制度の見直しにおいても、見直しの対象とはしていないところであります。 他方、一般論として申し上げれば、医療保険制度の在り方については、社会経済状況の変化を踏まえた不断の見直しが必要であるということについては付言をさせていただきたいと思います。
○山内佳菜子君 現時点でという限定が付いております。この資料一枚だけでも患者や御家族に計り知れない絶望と不安を与えているという状況があることを大臣にはお伝えをしたいと思います。 一点確認させていただきたいのですが、少なくともこのような見直しが行う場合には患者団体との協議を行うということは確認をさせていただけますでしょうか。これは通告はしていませんが、大臣にお伺いをしたいというふうに考えております。
○国務大臣(上野賢一郎君) 先ほど申し上げましたように、このような見直しを考えておりませんので、仮定の質問にはお答えは控えさせていただきたいと思います。
○山内佳菜子君 今は見直しを考えていない、だけど、見直しを行う段階に至ったときには患者団体の確認、協議が高額療養費のときと同様に私は必要だと考えますが、その点、もう一度聞かせてください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 高額療養費制度の際にも患者団体の皆さんのお考えをお伺いをしておりますので、現時点でそのような見直しは考えておりませんが、あえてというお問合せでありますので、仮にそういったことがあった場合には、当然患者団体の皆さん等の御意見も踏まえてという形になろうかというふうに考えております。
○山内佳菜子君 とても大事な御答弁をありがとうございます。しっかりと受け取らさせていただきたいと思います。 続きまして、介護職員の処遇改善についてお伺いしたいと思います。 こちらも報道ベースではございますが、骨太の方針の中に、介護・福祉職の方について、物価の変動に適切に対応するとともに、他職種と遜色のない処遇改善の実現を図ることも盛り込むというようなことも言われております。しかし、現実はまだまだ本当に厳しい状況でございます。 資料三を御覧ください。 七月三日付けの毎日新聞では、介護報酬加算で最低賃金到達、処遇改善の趣旨逸脱という見出しの記事が掲載をされております。介護報酬加算を使って最低賃金を到達できるようにするケースが広がっているとも報じられております。 処遇改善加算は、その名のとおり、介護職員の処遇を改善するために設けられた制度です。記事の中では、経営状況が脆弱な企業が多い地方を中心に当たり前のように行われてしまっているというような懸念ですとか、その要因として、毎年の賃金の上がり幅が大きい一方で、賃金の財源となる介護報酬が十分に上がっていないため、上昇に追い付けていないのが実情として、有識者の先生からは、物価高騰や賃金上昇が続く中でも経営を継続、拡大できるよう、基本報酬の増額が必要とのコメントも紹介されています。 資料四を御覧ください。 こちらも、厚生労働省のQアンドA、処遇改善加算に関してのQアンドAでございますが、今年三月に公表されたもので、最低賃金を満たした上で、更に賃金改善を行うことが望ましいというような使い道も示されております。つまり、最低賃金を確保するためだけに加算を使うということは本来想定している姿ではないのではないかというふうに私は受け止めています。 そこで、大臣にお伺いいたします。 厚生労働省として、このような実態は把握されていますか。また、今後の実態調査や対応策などを行う考えはございますか、お答えください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 処遇改善加算につきましては、加算額の全額を賃金改善に充てることを要件といたしまして、その算定額に相当する賃金改善が行われていない場合には返還事由に該当することになります。 介護事業者は、処遇改善加算も含めた介護報酬を原資として、最低賃金法も含めた労働基準関係法令を遵守をして労働者に対して賃金を支払うものであります。 他方、介護分野の職員の処遇改善については、累次の取組を講じてきた結果、介護職員の賃金は改善をしてきましたけれども、他産業とはまだ差があります。介護人材の確保に向けて、処遇改善は重要だと考えているところであります。こうした趣旨も踏まえつつ、処遇改善加算を原資に行う賃金の引上げについては最低賃金を満たした上で行っていただくことが望ましい旨をお示しをしているところであります。 現在、足下の対応といたしましては、令和八年度の介護報酬改定を実施をいたしまして、介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けて、介護職員については定期昇給込みで最大月一・九万円の賃上げが実現をする措置を講じたところですが、その上で、令和九年度の定例改定においても、介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保、そうしたことを図る必要があるという認識の下で、介護サービス事業者の経営状況等を把握をした上で、物価や賃金の上昇等を適切に反映するための対応を実施してまいります。
○山内佳菜子君 済みません、周りの先輩の委員からもちょっとお声が上がりましたので、もう一度ちょっとできたら確認させていただきたいんですけれども、賃金改善を、この処遇改善加算を使って賃金改善を行うことが、そういう使い方をしない方が望ましいというようなQアンドAの表現になっていますけど、つまりはこういう使い方は不適切だというような厚労省の認識なんでしょうか。
○政府参考人(黒田秀郎君) お答えいたします。 先ほど大臣から考え方についてはお示ししたところですが、補足をさせていただきます。 今回の、委員お尋ねの処遇改善加算は、処遇改善に、加算額の全額が賃金改善に充てられるということを条件にしてお渡しをしておりますので、お渡ししたものが賃金改善に充てられていないということになると、これは要件を満たさないことになりますので、この場合は返還していただくということになります。これは必ず満たさなければならない条件としてまず設けているということです。 その上で、望ましいというのは、必ずではありませんけれども、方向性として望ましい姿として、委員も御紹介くださったように、最低賃金を満たした上で賃金の引上げを行っていただくことが望ましいということをお示ししているところでございます。言わば二段構成になっているということでございます。 足下の状況で申し上げますと、先ほど申し上げたその望ましい姿というものは意識をしながらということになりますが、足下ではやはり物価が上がっている、最賃も上がっている、一方で公定価格の仕組みでございますので、その公定価格の仕組みが毎年上がっていくという姿に残念ながら今はなっておりません。そういうお話の中で、今申し上げたような、必ず満たしていただくものとそれから望ましい姿を二つお示しすることによって何とかその両立を図れないかというのが今私どもが皆様にお願いをしている姿ということになります。 他方で、やはりその改定の中で、経営の安定ですとか物価の上昇ですとかに応えていくということが重要だという話は委員御指摘のとおりでございまして、そういうものにつきましては令和九年度の改定の作業の中で実態も把握をしながら位置付けを考えていきたいと、そのようなことでございます。
○山内佳菜子君 公定価格が上がっていくことが望ましいですよねということを、今参考人の御説明をお聞きしながら、そこをしっかり頑張っていかないといけないよなということを改めて感じましたし、そこを強く求めたいというふうに思います。 資料五を御覧ください。 介護を支えるために、介護報酬の加算は何度も見直されてきました。加算は、平成十二年当初と書かれていますが、二〇〇〇年当初と比べて増加、複雑化、更に算定要件も複雑化して、加算申請の手間が増えています。例えば、訪問介護の加算は、当初の平成十二年の三種類から、令和八年六月時点では二十三種類まで増えています。 資料六を御覧ください。 昨年二〇二五年の実績ですが、じゃ、実際にどれぐらい使われているかというと、算定率八〇%、まあ大体八〇%使われているという加算も七種類、延べ十七種類ありますが、資料七を御覧ください、一方で、算定がない、使われていない加算も二十六種類、延べ百七十八種類、一%未満も四十六種類に上り、加算はあっても使いづらい、使われていないというものもたくさんあるという現状がございます。 そこで、参考人にお伺いいたします。 利用率が低い背景には、要件が厳しいことや事務負担の重さなど、制度設計上の課題もあるのではないでしょうか。制度設計そのものを見直す必要があると私は考えますが、参考人のお考えをお答えください。
○政府参考人(黒田秀郎君) お答え申し上げます。 介護報酬の加算の仕組みの意義でございますが、事業者に一律に求める段階には至らない、これは、一律に求める場合は、それを満たさない場合にはペナルティーが入ってまいりますので、その一律に求める段階には至っておりませんが、利用者に対する事業者のきめ細かな取組を促していく、奨励をしていくと、そういう趣旨で設けられているものでございます。 他方で、累次の改定に伴って加算の数が増えております。この一つ一つの加算の請求には事務作業も発生をしますので、報酬体系の複雑化、それから現場における事務負担の増加等々が強く指摘されているところでございまして、こうした見直しを行うべしという話は様々な方々からも頂戴しております。 厚生労働省といたしましては、事務負担の軽減に向けて、例えば令和六年度の改定の際にも一部の加算を基本報酬に取り込んだりというような見直しをしておりますけれども、事務負担軽減の観点から更なる取組を検討してまいります。 令和九年度の介護報酬改定に向けまして、本年四月より介護給付費分科会の議論開始しております。その中で、分科会の委員の方々からも、請求に時間を取られるのではなくて現場がケアに専念できるように加算の整理を行ってほしいというお話、それから、算定して当然になっている加算については基本報酬に組み込むべきというお話、それから、算定率低い加算についてはその原因を丁寧に分析して要件の見直し等を行うべきといった御指摘をいただいておりまして、そうした御指摘は委員が今ほど御紹介くださったお話と重なるものと考えております。 こうした声もしっかり受け止めさせていただいた上で、令和九年度の介護報酬改定において、報酬体系の簡素化に向けて、関係者の御意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいります。
○山内佳菜子君 ありがとうございます。 今、資料八の令和六年度の処遇改善加算の一本化のお話ですとか、そこをめぐる課題についても参考人から丁寧な御説明をいただきました。是非、今検討中ということですので、現場の皆さんがしっかりと使いやすい、そして必要な方にしっかりと届く在り方というものを是非皆さんと構築をしていただきたいというふうに考えます。 質問の③は飛ばしまして、④を質問いたします。参考人にお伺いいたします。 やはり、介護現場からは、加算が増えても経営は苦しい、職員の賃金改善につなげたくても原資がないという切実な声が届いています。処遇改善加算は重要な仕組みですが、本来は基本報酬を補完するものです。介護という仕事そのものの価値を評価し、処遇改善を安定的に進めるためには、特に訪問介護については加算に頼るのではなく基本報酬で適切に評価することが必要だと考えますが、参考人の考えをお答えください。
○政府参考人(黒田秀郎君) お答え申し上げます。 訪問介護事業者の経営状況につきましては、地域の特性、事業者規模、事業形態等によって様々である中、長引く人手不足や物価上昇の影響などにより厳しい状況にあるというふうに認識してございます。 令和九年度の定例改定を待たずに令和八年度に介護報酬改定を臨時で実施をいたしまして、こうした取組を通じて、訪問介護のヘルパーの方々含めて介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けて取り組んでまいります。 また、令和九年度の介護報酬に向けては、今年度実施をしております介護事業経営実態調査におきまして、事業所の立地、規模、事業形態など、経営状況をきめ細かく把握した上で、適切な単価制定となるよう検討を進めてまいります。
○山内佳菜子君 ありがとうございます。 続いても介護職員の処遇改善について関連してお伺いしたいと思いますが、資料九を御覧ください。特定最低賃金についてもお伺いをいたします。 二〇二五年三月十八日の東京新聞、「介護などに「特定最低賃金」 首相、導入検討「政治主導で」」との記事が掲載をされています。このときは、国民民主党の田村まみ議員が、介護を始めとするケア労働、人手不足で大変厳しい、であればこの特定最低賃金を活用していくのはどうかと、骨太の方針に明記をして道筋を付けてほしいと主張され、当時の石破前首相も、政治主導できちんと判断したいと応じられました。 その後、高市政権へ替わった二〇二五年十二月の参議院予算委員会で、再び田村議員が高市総理に認識を確認をしました。高市総理は、厚労省で特定最低賃金の審議の活性化のための参考事例を取りまとめ、地方最低賃金審議会に共有しているので、特定最賃が活用されるよう取り組んでまいりますと、上野大臣も同様のような御答弁をいただいたかというふうに思います。 改めて、参考人にお伺いいたします。 特定最低賃金をめぐる現在の検討状況についてお答えください。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。 特定最低賃金は、最低賃金法上、労使の申出により最低賃金審議会の議論を経て特定の産業において任意に設定されるものであり、まずは労使のイニシアチブを尊重すべきものであるというふうに考えております。 このため、厚生労働省では、国会での御議論も踏まえて、昨年八月に特定最低賃金の審議の活性化に資するよう全国から事例を収集し、参考となる事例を取りまとめ、各都道府県の地方最低賃金審議会に共有を図ったところでございます。 引き続き、特定最低賃金がその制度趣旨に沿って活用されるよう努めてまいりたいと考えております。
○山内佳菜子君 ありがとうございます。 事例を御紹介いただくのも非常に重要なことだと思いますが、その課題にあるのは高いハードルではないかというふうに考えています。 資料十を御覧ください。特定最低賃金のハードルです。 特定最低賃金を新設する場合は、対象となる産業の労働者の二分の一以上の労働協約などが必要です。先日の石橋委員からの紹介のとおり、組合の組織率は全体でも一六%と非常に低迷をしている。介護従事者の労働組合の組織率、僅か三・二%という推定もございます。昨年十二月の上野大臣の答弁でも、特定最低賃金は二百二十四件設定されているものの、介護分野は皆無、ゼロという状況です。組織率僅か三・二%の介護業界で二分の一以上の労働協約、制度を使えない状況が続いてしまっています。介護分野だけではなく、人手不足が続く他産業の労組からも、ハードルを見直す時期に来ているのではないかというような御相談をいただいております。 そこで、大臣にお伺いいたします。 人手不足が国家の存亡にも関わるような現状です。この高過ぎるハードルを介護分野等の特例として引き下げるなど、制度の要件緩和に向けて検討すべきと私は考えております。制度の要件緩和について検討するお考えはありますか。お答えください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 特定最低賃金は、団体交渉の補完との性格付けの下で制度創設されたものであります。そのような制度趣旨に照らしまして、関係労使から申出がなされることや、申出がなされる場合には一定規模の労働協約が締結されていることなどを新設や改正、廃止の要件とするなど、地域別最低賃金と比べ、労使の主体性がより強い仕組みであります。こうした特定最低賃金制度の本来的な性格付けの下、制度の在り方や運用方法についても公労使の議論により決められてきたものであります。 厚労省としては、労使のイニシアティブを尊重しつつ、その制度趣旨に沿って活用がされるような取組を進めることが重要であると考えておりますので、先ほど局長が申し上げましたとおり、引き続き審議の活性化に資するような事例収集を行っていきたいと考えております。
○山内佳菜子君 公労使の協議、本当に大事だと思いますし、情報提供も本当に有り難いことではございますが、課題となっているのはそのハードルの高さです。そこは政府としても検討できるところだと思いますので、せめて検討から始めていただきたいということをお願いして、最後の質問に移ります。 もちろん、特定最賃を上げるだけでは経営が厳しい地方や中小の事業所の経営リスクを高めてしまうおそれがあるので、これまでお話ししていただいたとおり、公定価格をきちんと上げる、手当てをするということが同時に進められなければいけません。介護職員の賃金を引き上げることは、介護職員のためだけではなく、働く皆さんの親御さんを預かるですとか、社会全体に資することであるというふうに私は考えています。 もう一度改めて、物価の変動に適切に対応するとともに他職種と遜色のない処遇改善の実現を図るという骨太の方針に入るとも言われる理念、是非私も進めていただきたいというふうに考えておりますし、実現を求めたいというふうに考えております。 最後に大臣に質問をして終わりますが、ケア労働が他職種と遜色のない賃金を得られなければ、宮崎のような地方から介護、医療が崩壊し、地域社会が消滅します。来年度の介護報酬改定までにどのような工程で全産業平均との差の縮小を進めていかれるのか、現時点でお示しいただける範囲で結構ですので、できるだけ具体的にお答えください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 介護人材の確保に向けて、処遇改善は極めて重要だと考えております。そのため、他職種と遜色のない処遇改善に向けて令和八年度に臨時の報酬改定を実施をしたところでありますが、その上で令和九年度の定例改定においても、介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保、こうしたことを図る必要がある、そのような認識の下で、物価や賃金の上昇などを適切に反映するための対応を実施をしていきたいと考えております。
○山内佳菜子君 具体的な御答弁がなかなかいただけなかったことは残念ですが、引き続きこの問題については取り組んでまいりたいと思います。 私の質問を終わります。ありがとうございました。
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。よろしくお願いいたします。 良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律、いわゆるゲノム医療推進法との関係についてまず伺いたいと思います。 私は、超党派の適切な遺伝医療を進めるための社会的環境の整備を目指す議員連盟、通称ゲノム議連というふうに呼んでおりますが、そこの役員も務めております。議員立法のゲノム医療の推進法の取りまとめに当たり、医学界や難病、希少疾病をお持ちの患者団体の皆様から直接お話をお伺いしまして、ゲノム編集技術を始め、新たな治療法の確立に向けた研究開発への期待、これを受けて、推進法の基本理念、基本方針にもこうした声が反映されたというふうに受け止めております。 そこで質問させていただきます。 二〇二三年六月成立のこのゲノム医療推進法に基づく基本方針には、ゲノム医療の研究開発の推進と併せて生命倫理への適切な配慮の確保やゲノム情報の適切な取扱いの確保も示されています。今回議論になっております本法にも同様の規定が設けられていますが、二つの法律の関係、これをまず御説明ください。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、ゲノム医療推進法ですけれども、これは先ほど委員からも正式な全ての名称をおっしゃってくださったとおり、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進、これがゲノム医療推進法の目的としているところで、これは法律の第一条でも定められているところでございます。 一方、今回の法案につきましては、ヒト胚又はヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること等に鑑みて、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植することを原則として禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制する等の措置を講じること、これも第一条で法律の目的を定めているところでございます。 よって、別の法律ですので、ゲノム医療推進法とは趣旨、目的そのものは異なるところでございます。 しかしながら、ゲノム医療を適切に推進するためには、研究者や医療関係者に関係法令等を適切に御理解いただくことが重要です。もちろん国民の皆さんにもそのことを御理解いただくことが重要です。 よって、本法案をお認めいただいた際には、ゲノム医療を取り巻く、今御指摘の法律も含めて、関係法令等を遵守し、研究や必要な医療の提供を適切に実施できるよう、例えば厚生労働省のホームページでの周知をするだとか、対面的な場を設けて周知を図るだとか、こういった形で分かりやすく周知する取組を進めてまいりたいと考えております。
○田村まみ君 ありがとうございました。 もう一点、二〇二四年に成立した再生医療等の安全性の確保に関する法律、昨年五月に改正法施行されました。この点で、ゲノム医療の推進法に基づき推進するバイオ医薬品、再生・細胞・遺伝子治療等の研究に係るゲノム編集技術に関して、この再生医療等安全確保法、そして今回の法案によって、いわゆるこのゲノム分野のところの規制的事項は網羅されていっているのか、そういう整理で間違いないのか、また、そうでないんだったら、この法案を伴って何か規制が必要となる事項があるのか、その整理についても参考人に伺います。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 再生医療等安全性確保法は、再生医療等技術について安全性の確保のために講ずべき措置等を規定しております。今御紹介いただいた令和六年の改正により、ゲノム編集技術を含む核酸等を用いる医療技術についてもその対象に加えたところでございます。 一方で、この法案は、先ほど申したとおり、再生医療等安全性確保法の対象とならない生殖細胞又は受精胚について、ヒトゲノム編集胚等の人又は動物の胎内に移植することを原則として禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制する等の措置を講ずることとしております。 よって、本法案をお認めいただいた際には、今委員から御指摘いただいたような再生医療等確保法等の既存の法律を合わせれば、ゲノム編集技術等の対象となり得る細胞を用いた研究及び診療等に対して、現時点で必要な範囲に基本的な規制等を全てカバーできると考えております。 一方で、先ほど古川委員からも御指摘いただきましたけれども、今後、技術というのはどんどん進歩をしていきます。その進展等に伴って、本法案及び既存の法律が対応できない事例も生じるということを想定はしております。 このため、諸外国の動向や技術の進展等に関する情報の収集なども、先ほど大臣から御答弁差し上げたとおり、この点も並行して取り組んでまいりますし、必要な対応も、都度対応を講じてまいりたいと考えております。
○田村まみ君 現時点で必要なものは網羅されたということが確認できました。 先ほど紹介した二〇二三年の六月のゲノム医療の推進法の議論をしている最中に、特に研究者の皆さんから、本来であれば研究開発をしていきたい、そして必要であれば臨床研究もしていきたいという思いと、そして患者の皆様からの声も受けて、頑張りたいんだけれども、諸外国に比べて国内での法整備というのが余りにも整っていなくて、この生命倫理観だけに頼ってやっていくというところに対して二の足を踏んでいたという声がたくさんありました。 ですので、今回、現時点での必要なものということは整備されたというふうに承知しましたし、これでようやく、諸外国に正直少し後れを取っていた部分もあったわけですけれども、ようやくスタートラインに立てたというふうに思っていますので、これからの技術進展、期待していきたいというふうに思っております。 とはいえ、この懸念されることも幾つかあるのでお伺いしていきたいと思います。届出義務の実効性の確保について伺います。 衆議院の厚生労働委員会の質疑でも指摘が幾つかありました。そもそもの前提として、今回の法案、これに基づいて取扱計画書の届出が想定されるヒトゲノム編集技術を用いる研究を実施している国内拠点について、厚労省として現時点で把握しているものがあるか、状況、お伺いします。
○政府参考人(佐々木昌弘君) 現行の法律に基づかない指針の下で行われているヒト胚等に対してゲノム編集技術等を用いる研究でございますけれども、まず、区分というか類型で申し上げますと、大学のみならず、医療機関、民間企業等において、ヒトの発生、分化の解明等を目的とする研究や生殖補助医療の向上に資する基礎的研究は行われております。ただ、じゃ、それがどれぐらいの数かという数というところまでは把握はしておりません。 一方で、本法案に基づいて届出をいただくことを想定している国内拠点については、本法案をお認めいただいた際に政令で定めることとしておりますゲノム編集技術等が指し示す具体的な技術の範囲、これによるため、現行の指針の下で行っているものが届出の対象となるかも含め現時点では具体的な想定はしておりませんが、いずれにせよ、その届出を行っていただくことになりますので、実施施設等の把握には、この法律、法案を通していただいた際の仕組みをもって把握に努めてまいりたいと考えております。
○田村まみ君 あくまでも届出制であるということから、国内研究拠点において、本法によって新たに設けられる罰則規定を認識しつつも、届出をせずに研究を実施する研究者が現れないとは言えないというふうに私自身懸念をしております。こうした研究者等の把握をどのようにするんでしょうか。 また、立入検査についても、あくまでも取扱計画書の届出を前提に制度設計がされており、計画書が国の指針と適合しない場合に報告徴収、立入検査、改善措置命令をすることとなっていますので、そもそも、悪いことしようと思ったらとか、これ、どこかに黙って先んじてやれることあったらやってしまおうという良からぬことを考えていらっしゃる方がいるかもしれない。そう思えば、そもそも届出をしない、そのまま研究開発進めるんじゃないかという懸念があります。 そういう違法な研究の兆しを国としてどうやって未然に把握するのか、お答えください。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、先ほどの答弁の中で今の指針とこの法案が通った際の指針ということで分けて申し上げた際に、現行の指針に基づいての数、現行の指針に照らし合わせたものは文部科学省が把握はしております。 その上で今の御質問にお答えいたしますけれども、まず、御指摘のように、届出をせずに研究が行われている可能性を確実に捕捉すること、このことがこの法案のかなり重要な点になろうかと思います。このため、本法案におきましては、ヒトゲノム編集胚等の取扱いについて、届出義務規定とその義務に違反した場合の罰則規定を設けております。これは先ほど山内委員からも御指摘いただいた、御質問いただいた点ですけれども。 よって、本法案をお認めいただいた際には、先ほども厚生労働省のホームページに分かりやすい説明資料などを掲載すると申し上げましたけれども、これは、まず研究者、直接研究をする方のみならず、その周囲にいらっしゃる方が、そういえば誰々先生が研究しているのはホームページで見たあの研究に相当するんじゃないか、黙ってやっているんじゃないかということの、そういった副次的なホームページの周知効果が図れるものと思っております。もちろん、直接的に関連する学会や大学等の研究機関に対する説明会も実施してまいります。 こうした形で制度の周知を行うことによって確実に届出を行っていただく、また、周囲の環境からもそのような環境を整えるということを図ってまいりたいと思います。 あともう一点だけありますけれども、届出の要否等に関する研究者からの相談を受けられる、これも重要なことだと思います。この対応についても検討してまいりたいと考えておりますが、その際に、無届けや違法な研究に係る通報等があった場合は、これは当該情報を活用して、厚生労働省のみならず、関係省庁と連携しながら指導等の対応をすることも考えております。 こうしたことも含めて、状況の把握に遺漏がないように努めてまいります。
○田村まみ君 現在の指針に基づいての研究所は把握しているということもお伺いしました。そして、その周囲の人たちが気付く、そういう仕掛けをしていくということの御答弁がありました。 恐らくそうだろうなというふうに思ったので、ということはですよ、善意ある人たちがやって気付けばそれで問題はないんですけれども、まあ一番懸念しているのは悪いことをしようとしている人たちの話なので、内部通報しか私はこれ外に出ていくという可能性がないわけなんですよね、ないと思っています。 ですので、公益通報者保護法を所管する消費者庁に今日お越しいただきました。ゲノム医療推進法、さきにお話しした、これは公益通報者保護法の対象となっていません。法律の立て付けが規制的手法が規定されている法律ではないからです。一方で、再生医療等安全性確保法は、臨床研究に当たって一定の規制がありますので、こうした規制に反する研究があれば内部通報を始めとする公益通報の対象となっております。 それでは、今回のこのゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律、施行された際は、公益通報者保護法の対象になるのでしょうか。
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。 公益通報者保護法の対象となる法律でございますけれども、これは国民の生命、身体、財産その他の利益の保護を直接の目的とする法律であって、その違反によって国民の生命、身体、財産その他の利益の被害が想定され、最終的に刑罰又は過料により実効性が担保されているものを対象法律としているところでございます。 御指摘のヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案につきましては、現在まさにその内容を御審議いただいているところでございますので、公益通報者保護法の対象法律に該当するか否かにつきましては、この時点で予断を持ってお答えすることは、大変申し訳ございませんが、困難でございます。 今後、法律が施行いたしましたら、所管官庁である厚生労働省とも連携して適切に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○田村まみ君 審議中の法案でありますし、消費者庁も検討中だということで、まあ今の御答弁は受け止めます。ただ、照らし合わせれば対象になるというふうに考え得るというふうに思っております。 仮定の話かもしれませんけれども、これ、公益通報者保護法の対象になったときに、私もう一個懸念しているのが企業規模要件、これがあります。三百一人以上の従業員がいる組織、病院や大学等の今登録されているような大きな研究機関、こういうところは内部通報の窓口等の事業者の体制整備の義務が掛かっているんですね。 しかし、法律では、一方で、従業員三百人以下の組織には、これ努力義務しか掛かりません。法律の対象にはなっているんですけれども、いわゆる体制整備をして、内部通報がきちっと行われるような体制整備、これが義務化されていません。 ですので、これ本当に、先ほど、周りの人が気付いて、それをちゃんと届出するというところに至るのかどうなのか、そして、至らない場合にちゃんと、これ、まずいんじゃないかということの届出、申出ができる、これをちゃんと担保する必要があるというふうに思いますが、厚労省の方にもう一度、先ほど窓口みたいなことがちょっとありましたけれども、ここ、もうちょっと詳しく御答弁ください。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、現行の指針、法律に基づかない指針の下で行われている研究を実施しているところにおいて、各機関の常時使用する労働者数についてはまず承知はしておりません。その上で、今の委員の御指摘だと思います。 まず、公益通報者保護法における内部通報窓口の設置の有無にかかわらず、この法律で御指摘のような国として適切に情報提供、相談を受ける体制を整えることが重要と考えております。 このため、先ほども御指摘いただき、今申し上げるところですけれども、まず、厚生労働省のホームページに分かりやすい説明資料を掲載すると、学会等への説明会によって周知も図ると。その上で、研究者から、元々は、この届出をしたいんですけど、この研究の基礎研究を届出したいんですけどと、窓口は設けます。よって、研究者からの相談を受けられるような対応について検討することによって、ある意味で、ここで一義的に受けることによって、もし誰々さんのこの研究ってどうなのかということも含めて御相談があった場合に、ワンストップ的に、厚生労働省の、厚生労働大臣が主務大臣となっている部分につきましては厚生労働省になりますし、他の省庁、大臣が直接主務となっている部分につきましては、それぞれの省庁においてまず把握をし、その上で関係省庁と連携をしながら対応を図っていく、このような流れを考えております。
○田村まみ君 ですので、先ほどホームページで周知をしていく、届出、必要性について、中身について周知するというふうにありましたけれども、そこに、もう一番目立つ場所に、やはり気付いたときにはここに連絡していいんだよということを分かるようにしておいていただかないと、要は、こういう研究している人たちは、早くきちっと研究できる、担保いただいて研究したいと思っているので、むしろそれを見なくとも届出していくと思うので、そうじゃない人たちに、この範囲に限ってはここの窓口に連絡していいんだよということを、先ほど言ったスタートアップなのか、もう本当に個人で研究されているということは内部通報体制ということがなかなか考えづらいので、是非、この窓口の周知に関して、そして中身についても、今言ったような視点を分かるような形で提示していただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。 その上で、ちょっと時間がなくなってきたので一問飛ばして、厚労大臣にお伺いしていきたいというふうに思います。 今、計画の届出のところはちょっと議論していったんですけれども、できた指針ですよね、指針自体の見直し、ここも適切なタイミングで行われていくということが私は大事だというふうに考えています。 これを今、総合科学技術・イノベーション会議、通称CSTIと言うんですね、ここの意見を聞くこととされています。また、CSTIに諮る前段としても、厚労省、文科省、内閣の三省庁で見直しの必要について検討されるということも伺っています。 しかし、もう一方で、研究者がそこに全て情報を入れていっているわけではないというふうに考えますので、このゲノム編集技術を取り巻く状況の変化、つまり、当該研究をしている研究者当事者からの申出、こういうことの見直しも行われることが重要だと考えております。 ヒトゲノム編集技術の進歩において、政府としても内外の動向について情報収集に努めていくとされていますけれども、この合同会議にヒトゲノム編集技術を用いる研究を実施している研究者当事者そのものが参画しているわけではないので、是非この見直し、指針の見直しの議論、研究者や研究拠点からの申出、これによって行うというルートも定めるべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 指針の見直しにつきましてですが、まず、本法案では五年以内の見直し規定がございますので、指針についてもその際に改めて検討するということは想定できようかと思いますが、ただ、現時点では、具体的な指針見直しの判断基準であったり頻度、そうしたものをお示しをできるような状況ではございません。 その上で、一般論で申し上げますが、技術が進展をし、胚等を取り扱う際に遵守いただくべき事項に影響があるものがあれば積極的に対応することが必要ではないかと考えております。また、諸外国の動向や技術水準の進展等に関する情報を収集をして、合同会議等でも御議論をいただきながら、必要性については不断に精査をしていきたいと思います。 その上で、研究者の皆さんからの情報収集でありますが、議員から大変重要な御指摘をいただきました。本法案をお認めいただいた際には、ヒト胚等に対してゲノム編集技術を用いる研究を届出により把握するとともに、研究者からの相談を受けられる、そのような対応についてもしっかり検討していきたいと考えておりますので、そうしたものも十分踏まえながら、指針の見直しにも反映できるように努めていきたいと思います。 また、合同会議には多様な研究機関の研究者に委員として御参画いただくこととしておりますので、必要に応じ有識者からのヒアリング等も実施をして、適切な議論がなされるように努めていきたいと考えています。
○田村まみ君 届出制ですので、いろんなアンテナを立てて、そしていろんなチャネルを作って、しっかりと情報を把握していただくことが重要だというふうに思いますので、先ほどありました相談窓口含めてしっかりと整備いただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。 最後に、本法案に関連して、日本成長戦略で戦略投資十七分野として位置付けられている創薬・先端医療についてもお伺いしたいというふうに思います。 本年の日本成長戦略の案の提出に当たり、先月六月二十四日に創薬・先端医療ワーキンググループ構成員の意見が取りまとめられました。官民投資ロードマップ案では、現状と目標として、特許品市場の主要国成長率平均九・六%とした上で、世界に比肩する成長を目指すことが記されております。 四月二日の厚生労働委員会の私の質疑でも官民投資ロードマップ並びに医薬品市場について指摘をしましたが、今回の取りまとめにおいて目標を示した意義と併せて、二問目のこのワーキンググループの取りまとめの中での投資額、具体像として二十三・四兆円というふうに記載されておりましたし、二〇四〇年までには百六十二・一兆円の経済波及効果、ここまで具体的な数字まで示されておりました。この投資の規模感についても、どのように理解すればよいのか、この整理、積算根拠についてお示しください。
○政府参考人(仙波秀志君) お答えいたします。 まず、一つ目の質問に関しては、先ほど委員からも御指摘ございましたとおり、四月二日の委員会において鈴木隼人内閣府副大臣より、企業等が日本で医薬品開発や治験を実施するか否かを検討するに当たっては、投資回収の可能性、規制、治験環境など様々な要因が影響すると承知している旨を答弁申し上げたところでございます。 その認識の下、創薬・先端医療ワーキンググループにおける有識者の御意見などを踏まえて、今般、委員御指摘のとおり、我が国の特許品の市場規模について、特許品の世界の成長に比肩する成長を目指す旨を官民投資ロードマップに盛り込みました。 これを受けて、製薬業界からは、国内外からの投資を呼び込み、日本市場の魅力を高めるとともに、日本が創薬の地として選ばれ続けるための基盤になるものとして高く評価するとともに、創出・イノベーションと供給の両面から前向きな投資と挑戦を続けていく旨が表明されております。 この目標は、ドラッグロスの解消に向けた国内外の人々の医薬品アクセスの確保、医薬品関連産業と我が国の経済成長の実現、並びに健康医療安全保障の構築の観点から意義があるものと考えており、引き続き関係省庁と連携して我が国の創薬力の強化に努めてまいります。 また、二つ目の質問にございました積算根拠等については、本年六月二十四日に開催された日本成長戦略会議において示された官民投資ロードマップ案では、官民投資額については、官民投資ロードマップ案を前提として、原則、政府担当部局が主要企業や団体に対してヒアリングを実施し、今後の投資の予定、見通しを聴取したものを積み上げるなどして算出したものでございますし、また、経済波及効果については、官民投資額及び当該官民投資による生産増加額をインプットとして産業連関分析を実施して算出したものとされております。 委員御指摘の創薬・先端医療分野におけるファーストインクラス、ベストインクラス製品の官民投資額や投資による経済波及効果についても、この考え方に基づいて算出されたものでございます。ファーストインクラス製品、べストインクラス製品の二〇四〇年度までの官民投資額の想定規模二十三・四兆円については、AI・半導体分野のフィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体など二十五兆円を超える製品、技術等が数製品しかない中で、金額規模としては六十二の主要な製品、技術等の中でも上位に位置しております。 以上でございます。
○田村まみ君 この投資額がいかに大きいものかというアピールを最後していただきました。 ただ、これ民間企業もしっかり投資してもらわなきゃいけないわけなんですよね。国が全部出すわけじゃない。そこに期待するための、前段の、どういう成長を目指すのかといったときの一つの例示として、主要国の特許品の市場の成長率平均九・六%というのが同じ資料に書かれていました。 厚生労働大臣にお尋ねいたします。 もちろん、投資をしていく、治験環境を整えていく、その環境整備は大変重要だというふうに思います。企業投資を呼び込むという意味でいけば、そのサポートは厚労省の重要な仕事だというふうに私自身認識しております。 しかし、二日前に質問をせずに言いっ放しで終わりましたけれども、この今の日本の中での薬の値段の決め方、薬価制度ですよね、この制度そのものが、どうやって交渉してもどのような価値を提示しても今付いた値段よりかは上がらない、そういう仕組みになっています。実勢価改定、ここ、これがある限り、そして一つ一つの薬価制度によって、正直、私から見ると、財務省との交渉の中での、決められた中での社会保障費の中でどうしても決めなきゃいけない、もうそうしていった中での今の薬価制度の在り方、ここ、見直していかなければ、この投資額、到底私は達成できないというふうに思っています。 これ、本当はこんなことやらなくたって、今もまだ辛うじて日本には創薬をしていく力が私は残っているというふうに思っています。ほかの分野とは違って、まだ力があるというふうに思っています。しかし、投資回収ができない、薬価制度、ここがネックになってできない、この声が一番私は大きいんだというふうに思っています。それさえあれば、治験環境だって自分たちでそろえるんです、投資だって自分たちでそろえるんです。だから、薬価制度、ここの見直しをしなければいけない。そして今回、実勢価改定するなんていうことは絶対しちゃいけない、これを是非大臣からお考えを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 医薬品産業は、言うまでもございませんが、日本の経済成長を担う成長産業、基幹産業という観点からも大変重要な産業であると認識をしておりますし、その際には、委員から御指摘のありましたように、この薬価制度をどうするか、そういう観点も非常に大事だと考えております。 創薬イノベーションを推進する観点から、革新的新薬については、これまでからも特許期間中の薬価を原則として維持するほか様々な対応を取ってまいりました。また、令和八年度の改革によっては、企業の予見可能性を高める観点から、いわゆる共連れを廃止するなど不断の見直しを行ってきたところでもございます。また、先ほど来御議論のありますとおり、高市内閣では、創薬・先端医療を十七の戦略分野の一つに位置付けておりますので、そうした観点からも様々な政策を総合的に講じるように、ロードマップの取りまとめに向け調整を図っているところであります。 厚生労働省としては、創薬イノベーションの推進の観点も踏まえ、革新的な新薬が着実に開発されるように、革新的新薬のイノベーションの更なる評価の検討を含めまして、薬価制度については関係業界の御意見をしっかり伺っていきたいと思います。その際には、御指摘のような課題あるいは物価の状況、そうしたものも視野に入れることも必要かと考えておりますが、いずれにいたしましても、各般の御意見を伺う中で、中医協においてしっかり検討していきたいと考えております。 なお、先週行われました創薬力向上のための官民協議会におきましても、これは米国のMFN価格政策に関してでありますが、高市総理から、国民や患者の皆さんに革新的医薬品が迅速に届くよう確実に対応していくことをお約束をいたします、そのような旨の発言がございましたので、そうしたことも踏まえて、この価格の問題等についても我々としてもしっかり取り組んでいきたいと考えています。
○田村まみ君 この分野勉強する前だったらそうかって言いそうでしたけれども、こうした状況というのは一体何を調整しなきゃいけないのかというのは正直分かりませんでしたし、間には中医協という言葉がありました。 私、毎回言っているんです。結局、この成長戦略の分野で議論したのに、厚労省に持って帰って価格って話が出た瞬間に中医協ってなったら、結局、さっき言ったキャップはまって、その中での調整だけに終わるんじゃないのか、その懸念を私申し上げたわけなんです。そこの範囲じゃない、そもそもの仕組みの見直しをしていただきたい。 その点について、もう一度御答弁お願いします。
○国務大臣(上野賢一郎君) 大変重要な御指摘だと考えておりますが、先ほど中医協と申しましたのは、これまでの仕組みの中でそうした形で御議論をいただいてきたわけでございます。ただ、問題意識については私も共有をしていると考えておりますので、様々な今後の検討の中で、関係業界の皆さんを始め委員の皆さんからの御意見も十分踏まえた対応をどうするかということはしっかり検討していきたいと考えております。
○田村まみ君 今の答弁受けて、中医協以外のところで薬価制度のきちっとした抜本的な見直し、そういう場をつくっていただけるということでいいですか。
○委員長(小川克巳君) 時間が参っておりますので。
○国務大臣(上野賢一郎君) やはり制度は制度としてしっかりその中で運営することが必要でございますので、そこを逸脱したということはなかなか難しいかというふうに思いますけれども、その中で十分工夫をしながら議論が進展するように努力していきたいと、そのような趣旨でございます。
○田村まみ君 後発品のときは検討会つくって進んだというふうに認識をしておりますので、是非御検討お願いします。 ありがとうございました。
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てるように質疑をしたいと思います。 沖縄型神経原性筋萎縮症、私の三線の師匠でありました我如古盛健先生、この病気と闘っておりました。もうお付き合いをして十二年ということになります。次の世代も育っておりまして、資料一にお示しをしておりますけれども、武見大臣からも大変寄り添った励ましのお言葉もいただいて、病気の克服に取り組んでいます。 めくっていただいて、二ページ目でありますけれども、この沖縄型神経原性筋萎縮症、全国に患者数、百名いらっしゃるかどうかということで、全身の筋力が低下していきまして、寝たきり、そして人工呼吸器が必要となるといったような疾患でもありますが、原因はたった一つの遺伝子の変換でありまして、たった一つの遺伝子の変化でそんな状況になるのかと本当に思いましたけど、二ページ目の下を見ていただきますと、たった一個の遺伝子の変異でいわゆる細胞の中のごみ処理が狂って、そういった状況になります。 三ページ目見ていただきますと、私の師匠、我如古盛健先生のiPS細胞もできました。たった一個の遺伝子変換でありますから、その下にありますsiRNAという方法を使って克服できるのではないかということを患者さんも期待しており、いよいよこういった研究が行われているというのが四ページ目、最後のページの上ということになります。 まずお伺いをいたしたいと思いますけど、ゲノム編集技術、大変使い方によっては有用なものであるはずでありますが、この将来的な臨床利用についてどんな恩恵があると有識者会議で議論がなされたか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 この法案の基となる議論をいただきました審議会、三審議会の合同会議におきましては、議論の整理の中でこういう記載がございます。ゲノム編集技術は、遺伝子により発生する疾病を修復し、その効果は次世代にわたって引き継がれることから、これまで治療方法がなかった難病に対する根本的な治療技術として期待されているというような記載、見解をいただいております。
○秋野公造君 全く患者会が考えていることと同じことでありますが、先ほど申し上げたとおり、この沖縄型神経原性筋萎縮症のiPS細胞、できております。siRNA法等のゲノム編集技術を用いると解決される可能性があります。 一方で、この本法案成立をいたしますと当面実施できないということもよく理解をしております。その理由はオフターゲット、つまり、狙ったところ以外を修正してしまう可能性がある、その影響が分からないということはよく理解をしているつもりであります。 このオフターゲット変異減らせるかという基礎研究は重要です。患者の希望になります。政府として支援を行うべきと考えますが、御見解、お伺いをします。
○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、委員におかれましては、この病気の患者団体である希の会が発足間もない頃から、十年以上にわたりますね、ずっと寄り添ってこられたことに心から敬意を表したいと思います。 その上で、この病気を含めて疾患の治療法の開発が進むことは重要なことでございます。その上で、この疾患につきましては、厚生労働省のAMED、難治性疾患実用化研究事業というものがございます。この中で、患者由来iPS細胞を活用した病態解明等への研究開発支援を行っており、引き続き研究開発支援に取り組んでいくものでございます。 また、御指摘のヒト胚等に対してゲノム編集技術等を用いた際のオフターゲット変異の低減は、低く減らすですけれども、低減は、臨床利用の容認の是非に関する検討を行う際に、安全性の評価の点で大変重要な要素と認識しております。このため、オフターゲット変異の低減に関しても、関係省庁と連携しながら、そもそもどのような研究を行えばそのような低減が図れるのかという観点から検討を行って、必要に応じて支援を行う、取り組んでいきたいと考えております。
○秋野公造君 ありがとうございます。 今日お示ししている資料、まさにAMED研究、谷口班の中の森本先生が作ってくださったものであります。どうしてこの疾患が起きるのかという仮説は立っている状態でありまして、極めて期待がされるものであります。 改めて、臨床利用を心待ちにしている患者さんがいらっしゃいますが、そのプロセスをどうお示ししていくかということが重要だろうと思っております。いわゆる動物胎内に移植をするにしても、胎盤が形成されるかといったような確認は、女性の健康の保護という観点からも重要だろうと思っております。こういった科学的技術に得られる情報も含め、どういったプロセスを踏むことになるか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(佐々木昌弘君) 多少長くなるので早口で申し上げます。 御指摘の安全性評価に必要な情報の収集の観点では、厚生労働省の研究班によれば、先ほどお答え申し上げたような患者由来細胞やインビトロ系での編集精度の検証等が臨床利用に向けた多層的検証のために前臨床段階で要求されるとの見解が、米国や英国の専門家から成る委員会が取りまとめた報告書において示されているものと承知します。 その上で、この法案を御議論いただいた合同会議での議論の整理では、そもそも臨床利用が容認されるためには様々な科学技術的課題に基づいた安全性の評価に関する考え方の構築や社会的倫理的課題に対応する体制の整備等が必要、もう一つ、我が国と諸外国での検討状況や科学技術の進捗なども踏まえ、社会的受容性を確認しながら継続的に検討することが必要とされております。ただいま申し上げた前臨床段階における検証も、こうした安全性評価に用いられるものと考えております。 こうした検証が進み臨床利用が容認される段階となれば、委員御指摘のような胎盤の形成を正常に開始できるか等の検証ですとか、容認後の初期の段階で臨床研究の段階として行い得ると理解しており、そのような研究結果も踏まえつつ、実臨床が検討されるなどのプロセスも考えられます。 いずれにしても、まず先に申し上げた安全性、社会的合意等の観点により臨床利用の是非に関する検討が必要と考えておりますけれども、本法案をお認めいただいた際には、速やかに今申し上げたようなプロセスを周知し、実際にそうなれば取り組んでまいりたいと考えております。
○秋野公造君 ありがとうございます。 一問差し込みますが、生殖補助医療の現場では、ミトコンドリアの自家補充療法、行われております。これは今後法律の対象となるのか、また、他家補充療法が法律の対象となるのか、併せて確認をしたいと思います。
○政府参考人(佐々木昌弘君) 御指摘のミトコンドリアの自家補充療法につきましては、本人由来のミトコンドリアを用いるものであり、加えて、先ほど申し上げた合同会議において、関係学会からは、自家幹細胞等のミトコンドリアを卵子内に注入する方法は規制対象から除外すべきとの御意見をいただいております。 一方で、他家補充療法につきましては、先ほどの合同会議での御議論の取りまとめでは規制対象として例示されております。加えて、研究班からの報告においても、外来のミトコンドリアDNAの導入に伴う後世代への影響が懸念されること等を踏まえ、他家細胞に由来するミトコンドリアの補充は規制の対象とすることが相当であるとの見解が示されております。 御指摘のこの二つの技術につきましては、今申し上げたような御議論や研究をこれまでいただいておりますが、いずれにせよ、本法律の規制対象となる、この法案の規制となる技術の範囲は改めて合同会議で御議論いただいた上で政令等を定めてまいりたいと考えております。
○秋野公造君 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。 この沖縄型神経原性筋萎縮症、二ページ目の上の段に、感覚障害が認められたことから、ALSという病気とはちょっと違うんではないかと、こういうアプローチで検討が行われてきました。今検討が進んで思うこと、それは、この沖縄型神経原性筋萎縮症と診断されている患者がALSと実際に診断されている実態もあります。個票上もALSと診断されることと矛盾しないのではないかと考えますが、大臣の御見解、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(上野賢一郎君) 沖縄型の神経原性筋萎縮症患者についても、個別の症例ごとの審査を経てALSの診断基準を満たす場合には、ALSと認定されることは矛盾しないものと考えています。
○秋野公造君 ありがとうございます。しっかり応援していきたいと思います。 終わります。
○川村雄大君 公明党の川村雄大でございます。 ゲノム情報の解析や利活用は、創薬、それから個別化医療を進める上で極めて重要です。個人の権利利益を確実に守りながら医療への活用を進めるという観点から伺います。 まず、個人情報保護委員会に確認をさせていただきますけれども、個人情報保護法上、包括的なゲノムデータは、氏名や住所等の直接識別子と結び付いていなくても、それ自体が個人識別符号に該当し、これを含む情報は個人情報として取り扱われるとの理解でよろしいでしょうか。 また、一口にゲノム情報といっても、その内容や情報量は様々でございます。例えば、がんにおける一つ又は数個の体細胞変異、単一遺伝子疾患の原因となる一つ又は数個のバリアント、又は本法案審議においても特出しで扱っているミトコンドリアDNAの全塩基配列については、直ちに個人識別符号に該当するわけではないという整理でよろしいでしょうか。
○政府参考人(小川久仁子君) お答えをさせていただきます。 個人情報保護法における個人識別符号とは、当該情報単体から特定の個人を識別できるものとして政令に定められた文字、番号、記号その他の符号をいいまして、これに該当するものが含まれる情報は個人情報となります。 具体的には、政令、規則、ガイドラインにおいて定められておりまして、細胞から採取されたデオキシリボ核酸、別名DNAを構成する塩基の配列、すなわちゲノムデータにつきましては、全核ゲノムシークエンスデータ、全エクソームシークエンスデータ、全ゲノム一塩基多型データ、SNPですね、それから、互いに独立な四十か所以上のSNPから構成されるシークエンスデータ、九座位以上の四塩基単位の繰り返し配列などの遺伝型情報により本人を認証することができるようにしたものは個人識別符号に該当いたします。また、個人識別符号に該当するゲノムデータが含まれる情報につきましては、個人情報に該当することになります。 委員お尋ねのデータにつきましても、このような基準に照らしまして個人識別符号に該当するか否かを判断することとなります。
○川村雄大君 今お答え、非常に長い答弁で、当然そのとおりだということでありますけれども、ゲノムデータは、それ自体で持っている情報も全然違うわけでありますけれども、全ゲノムデータと、あとは、ミトコンドリアDNAというのは、今回も法案、特出しで扱っているから取り上げましたけれども、それは、両親由来のゲノムではない、独立したDNAの配列であるわけでございまして、つまり、ゲノムデータが個人識別符号に該当するか否かについての科学的な線引きを厚労省としてはどのように定義しているんでしょうか。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 ゲノムデータの個人識別性につきましては、ゲノム解析技術の進展や、また研究データの蓄積等に伴ってのゲノムデータの利活用の局面が増加するとともに、個人識別性を判断するに当たっての技術的知見が向上してきております。こうした状況を背景に、個人識別性の検討を更に進めるべきとの御指摘や御要望もいただいてきたところでございます。 このため、厚生労働省では、三年前ですかね、令和五年度にゲノムデータの個人識別性に関する研究班を設けました。まずここで、学術的に科学的な観点から論点整理を行いました。 その上で、この研究班で得られた知見を確認するとともに、その結果を研究現場における利活用に反映していくため、昨年からゲノムデータの個人識別性に関する検討会において御議論をいただいているところでございます。 今、オンゴーイングではございますけれども、できるだけ早くこのまとめをすることによって、多くの方に対して解釈が間違えないように周知をしてまいりたいと考えておりますので、関係省庁等と密接に連携しながら、まずは取りまとめに向けた作業を進めてまいりたいと考えております。
○川村雄大君 古川先生から遅いという声がありましたけれども、つまり何が言いたいのか、ゲノムデータといっても、それを科学的に、客観的に個人情報である、個人識別符号であるということを定義すること自体もまだ議論の途上ということでございました。 再び個情委に聞きますけれども、今般の改正で、統計特例に基づけば、このような、今話題になったようなゲノムデータにつきましても、本人の同意なく、第三者の民間の統計等作成事業者に全部の生データを提供することが可能になるという理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(小川久仁子君) お答えをさせていただきます。 今般成立をいたしました個人情報保護法等改正法における統計作成等の特例におきまして、個人識別符号であるゲノム情報を含む個人情報につきましても、適用が一律に排除されているものではございません。 一方で、本特例が適用される場合には、個人の権利利益の保護を確保する観点から、対象となる統計作成等を個人の権利利益を害するおそれが少ないものに限定した上で、規則等におきまして、個人の権利利益の保護の観点から一定の措置を講じるように求め、また、一定の事項の公表を求め、目的外利用、第三者提供を禁止し、本特例に違反する行為を課徴金制度の対象とすることなどの措置を講じておりまして、仮に委員お尋ねのような情報を本特例に依拠しまして第三者に提供する場合であっても、個人の権利利益の保護が十分に図られる制度となっているものと考えております。 さらに、実際に本特例に基づきまして情報を第三者に提供するかどうかという点につきましては、個人情報保護法以外の法令、慣行や当該情報の取得経緯なども踏まえまして、個人情報取扱事業者におきまして個別に適切に検討されることとなるものと承知しております。
○川村雄大君 GeMJについて伺いますけれども、本年三月三十日に国立がん研究センター内に設立された日本ゲノム医療推進機構、GeMJでありますけれども、衆議院の厚労委員会の質疑の中で、GeMJにおけるゲノム情報の利活用については、患者の同意が必要であること、それから利用目的を事前に審査すること、それから安全な解析基盤上で解析をしていくこと、それからデータのダウンロードを持ち出したりすることがないようにというようなことの方針が整理されたというふうに理解をしてございます。ゲノム情報の安全な利活用は大事でありますので、こうした慎重な管理は重要であるというふうに思います。 では、これらのGeMJにおける管理措置というのは具体的などのような根拠に基づいて実施されるんでしょうか。
○政府参考人(森真弘君) GeMJにおいて収集されるゲノムデータの取扱いについては、基本的には個人情報保護法や関係する各種ガイドラインのその規定を遵守することが基本であると。その上で、それらの規定を踏まえた詳細なルール整備については、現在、GeMJ内部において検討が進められているところでございます。 具体的には、GeMJによる企業等へのデータ提供に際しては、患者の十分な理解の上で同意取得を行うとともに、アクセス権限が付与された利用者が患者等の個人情報を侵害することがない安全な環境を備えたプラットフォームを介してのみデータ解析を行えるよう整備を進めていると。 この安全な環境整備というのが、まさに委員御指摘のとおり、データそのものをダウンロードするのではなくて、解析だけできて結果だけ持っていけるという仕組みだというふうに考えていただければというふうに思っております。
○川村雄大君 公的な性格が極めて強いGeMJではそれほど厳格に運用がされていて、今般の改正によっては、民間事業者に対しては本人同意なく提供が可能になるという立て付けになっているということについての実運用上の懸念は私は強く持っているところでございますので、引き続き厚労省においては、個情法改正の運用のガイドラインを定めるというふうに質疑の中でもおっしゃっておりましたので、患者、権利利益の擁護ということをしっかり進めていただきたいというふうに思います。 時間がありませんけれども、端的に次、伺います。 動物への移植に関する例外規定について参考人に伺いたいと思うんですけれども、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植することを原則として禁止する一方、動物については、その胎内において胎盤の形成を開始する可能性がないものとして政令で定める要件に該当するときを例外としている。 これを文言どおり読みますと、ヒトゲノム編集胚そのものを動物の子宮や卵管等の内生殖器に移植することも例外的に可能であるというふうに読めますけれども、現時点において、ヒトゲノム編集胚、胚をですね、受精した状態の胚を動物の内生殖器に移植をしながら胎盤形成及び個体産生の可能性を確実に排除するという具体的な技術あるいは研究方法を想定されているのでしょうか。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 具体的な方法そのものについては、これまでの議論の中でも、これだと確定的に議論をした経緯というものはございません。よって、ヒトゲノム編集胚等を動物に移植する場合であっても、この一定の条件下において個体産生に至らないと、こういうことの、法案第三条でのただし書の要件については、今後政令を定める際により議論を深めて、そして公表してまいりたいと考えております。
○川村雄大君 生殖細胞だけではなくてヒト胚も含めるようにも読めるというふうにしたのは、今後の将来の基礎研究の幅を必ずしも狭めないと、そういう意義だったのかなというふうに理解をいたしました。安全な運用をよろしくお願いします。 以上です。
○猪瀬直樹君 まず、今般の法案についてお伺いします。日本維新の会の猪瀬直樹です。 ヒトゲノムの編集技術等は、病気の原因遺伝子を把握し、それを改変することで原因遺伝子を取り除くことを可能とする技術です。遺伝性疾患の九九%には有効な治療法がなく、対症療法しかないと言われる中で、このゲノム編集技術等はあらゆる遺伝性疾患に応用可能と言われることから、夢の治療法となる可能性があります。 一方で、ヒトゲノム編集技術等は優生学にもつながる側面もあり、慎重に取り扱う必要があります。優生学というのは、人類の遺伝的素質を改善し、不良な形質を淘汰し、優良な形質を保存することを目的とする学問及び思想をいいます。 資料一ですけれども、(資料提示)ちょっと歴史を振り返ってみていただくと、戦前の日本においては優生学の影響を受けた活動が活発化しました。当時の新聞を見ると、ここに書いてあるんですが、民族の花園を荒らす雑草は断種手術によって根こそぎ刈り取り、日本民族永遠の繁栄を期さねばならぬ、あるいは右下の方ですけれども、反対論もあるが、それは断種の基礎になっている遺伝学の高度の進歩発達を理解しない無知な議論だと、こういう戦前のその言葉、すごい激しいですけれども、これは一九三六年、日本民族衛生協会は、日本民族衛生研究機関の設立、断種法の制定、結婚相談所の設置などを求める民族衛生振興の建議を行い、この建議などを受けて、一九四〇年、昭和十五年ですけれども、国民優生法が成立しました。 戦後日本においても、一九四八年、戦後ですけれども、昭和二十三年ですが、優生保護法が制定されました。この法律では、法の目的の一つとして、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するというふうに規定して、遺伝性疾患や精神疾患などを理由に、個人の意思にかかわらず、生殖能力をなくす強制不妊手術を合法化しました。この法律は一九九六年まで存在し、多くの被害者を生んだことは皆さんも御承知のことと思います。このような過ちを繰り返してはならないと考えます。 そのような問題意識を持ちつつ、厚生労働大臣に質問しますけれども、今回の法案において、ゲノム編集技術等を用いた生殖細胞や受精胚の臨床利用、胎内移植を禁止することにした趣旨は何でしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) ゲノム編集技術等をヒト胚又はヒト生殖細胞に対して用いた場合には、予測し得ない遺伝子改変がもたらされる可能性があります。そのような遺伝子改変により、ヒト胚や人の発育に重大な影響を及ぼすおそれや、その影響が将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすおそれがあると認識をしております。こうした点への対応として、合同会議において御議論をいただき、ヒトゲノム編集胚等の人等への胎内移植を禁止する本法案を提出をしたところであります。 また、基礎的研究についてでございますが、ヒトゲノム編集胚等を用いた基礎的研究は生殖補助医療や遺伝性、先天性の疾患等の治療技術開発等につながる可能性も想定されておりますので、合同会議の議論の整理でも、基礎的研究の発展を妨げないような配慮が必要とされているため、禁止をしていないところであります。
○猪瀬直樹君 体細胞のゲノム編集は本人の遺伝子を改変しますが、その子孫には伝わりません。一方で、生殖細胞、受精胚のゲノム編集は子々孫々にまで遺伝子改変が継承されます。人類の遺伝的多様性の確保や優生学への懸念を踏まえつつ、慎重に前へ進めるべきだと考えます。 資料二を御覧ください。ゲノム編集技術等に対する規制の主要国比較です。主要国は全て、ゲノム編集をしたヒト受精胚の臨床利用を禁止しています。ただし、イギリスなどは、ミトコンドリア核置換術について規制の対象から外しています。 ミトコンドリア核置換術とは、資料三ですけれども、既に皆さんいろいろ出てきていますけれども、母親の異常なミトコンドリアDNAが子供に遺伝するのを防ぐ生殖補助医療技術です。 このミトコンドリア核置換術は、今回の法案で規制対象となるゲノム編集技術等に含まれるのでしょうか。参考人、お答えください。
○政府参考人(佐々木昌弘君) この法案に基づいての規制対象となる技術の範囲は、本法案をお認めいただいた後に厚生科学審議会等の合同会議で検討をいただく予定となっております。 ただ、その前段として、昨年十二月にこの会議体がまとめた議論の整理の中では、望ましくない遺伝子発現や後世代への影響等を与え得る技術を規制の範囲に含めるとした上で、委員御指摘のミトコンドリア核置換術は規制対象として明示、例示されているところでございます。恐らく、これを踏まえての今後の政令制定作業になろうかと考えております。
○猪瀬直樹君 ミトコンドリア核置換術も規制対象に含まれるということですね。そういうふうに今理解しましたけれども。 ただ、希少遺伝性疾患は世界全体で推定四億人の患者がいるとされ、日本でも指定難病の約半数に遺伝子が関与していると言われています。遺伝性疾患で多く苦しんでいる方がいることを踏まえれば、日本もいずれこのミトコンドリア核置換術を始めとするゲノム編集技術等を規制の対象から外していくことも必要かと思います。 そこで、上野大臣に伺いますが、ミトコンドリア核置換術を始めとする生殖細胞や受精胚に対するゲノム編集技術等の臨床利用、胎内移植を将来的に容認する可能性はありますでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) まず、審議会の議論の整理におきましては、将来的に臨床利用が容認されるためには、様々な科学技術的課題に基づいた安全性の評価に関する考え方の構築や社会的倫理的課題に対応する体制の整備などが必要だとされております。また、我が国と諸外国での検討状況や科学技術の進捗なども踏まえ、社会的受容性を確認しながら継続的に検討することが必要だとされているところであります。 本法案をお認めいただいた際には、まずは着実に施行するわけでありますが、将来に向けましては、御指摘のミトコンドリア核置換術も含め、合同会議において多角的な観点から今後も議論を継続していただくことを考えております。 こうした御議論に資するように、諸外国の動向や技術水準の進展等に関する情報の収集、ゲノム医療、ゲノム編集技術を取り巻く現状や課題について国民の皆さんの理解を深めるための情報発信などにも着実に取り組んでいきます。
○猪瀬直樹君 ゲノム編集をしたヒト受精胚の臨床利用が将来的に容認される可能性を残しておくことは重要です。ただし、容認する場合には、優生学的な差別が生じないよう細心の注意が必要であります。既にゲノム情報による不当な差別と考えられる事案が幾つか報告されています。 例えば、過去、生命保険会社の約款において、傷病歴等があっても保険料の割増しや保険金の削減等の特別な条件を付けて引き受ける場合の規定の中に遺伝が記載されていた事案があります。実際に、生命保険の高度障害特約の査定で遺伝性疾患だったという理由で支払拒否されたというヒアリング調査結果もあります。また、労働分野では、遺伝性腫瘍を伝えて雇用契約が打切りになった事例、これもあります。そういう報告があります。さらに、これも深刻ですけれども、婚約者や配偶者の家族から遺伝学的検査の受検や検査結果の提出を求められたという、そういうヒアリング調査結果もあります。 これらの報告踏まえて上野大臣にお伺いするんですけれども、今申し上げたように、保険あるいは労働分野でゲノム情報による不当な差別事例が過去あったということですが、現在、同様の事例が生じた場合にはどのような救済措置があるのでしょうか。お伺いします。
○国務大臣(上野賢一郎君) 昨年十一月に閣議決定をいたしましたゲノム医療の基本計画において、差別の防止を含めた国民による正しい理解の促進を柱の一つに位置付け、取組を進めることとしております。 具体的には、ゲノム情報による不当な差別を受けた者等が相談をできる相談窓口、これを周知をすることとしておりますし、御指摘のあった労働分野では、採用選考や健康管理のための情報として企業は応募者や労働者に不要な遺伝情報の提出を求めてはならないこと等を明確化をしております。また、保険分野においても、生命保険等の引受け、支払に遺伝学的検査結果の収集、利用は行わないこと等を明確化するなど、ゲノム情報を理由とする不当な取扱いを防止するための取組を具体的に行うこととしております。さらに、人権相談を通じて人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講ずることとしているところであります。 引き続き、ゲノム医療やゲノム情報に関する正しい理解が社会全体に浸透するように、関係省庁と連携をして取り組んでいきます。
○猪瀬直樹君 そこはよく分かったんですけれども、ただ、保険や雇用などの労働分野ですと救済措置がしっかりととられるということですけれども、結婚相手にゲノム情報を求めるなどの行為は十分な救済が図りにくいですよね。私人間の問題でもあり、なかなか公権力が介入するのは難しいところがあると思うんですけれども、個人のゲノム情報を簡単かつ安価で入手できる時代になった現在、このような差別が引き起こされないような、何か政府はその措置を講じるべきではないかというふうに思います。 こうしたゲノム情報に基づく差別を放置すると、冒頭に申し上げたような優生学的思想が再び広がる素地を醸成することになりかねないんで、ゲノム編集技術等が悪用される方向に進んでいくおそれ、これを気を付けなければいけないと。そんなことを留意されることを重ねてお願いして、今日の質問終わりにいたします。 どうもありがとうございました。 〔委員長退席、理事自見はなこ君着席〕
○岩本麻奈君 参政党の岩本麻奈です。 私は皮膚科医なんですが、この十年ほどは再生医療や抗老化医療の現場にも携わり、細胞培養加工施設、いわゆるCPCを含め、再生医療の現場を見てまいりました。現在では、細胞培養工程の自動化もかなり進み、生命科学の現場は人の手作業だけを前提とするものではなくなりつつあります。その自分の経験も踏まえ、最初の質問をいたします。 まず、罰則の対象についてなんですが、本法案第三条はヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植することを禁止し、第十九条以下で違反行為をした者に対する罰則を定めております。 現在の胎内移植には、移植を直接行う医師だけでなく、ゲノム編集胚を作成した研究者、移植を指示した研究責任者、胚培養士、胚を提供した者、医療機関や研究機関、さらには資金提供者まで複数の者が関与する可能性があります。 そこで、まず処罰される者の範囲を確認させてください。 本法案第十九条の当該違反行為をした者とは、具体的にどのような者を想定しているのでしょうか。あわせて、実際に移植の操作を行った者だけではなく、刑法上の共同正犯、教唆犯又は幇助犯として違法な移植に関与した者も含まれるのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 刑罰を科す話でございますので、ちょっとここは丁寧に、特に丁寧にお答えしたいと思います。 まず、委員から御指摘いただいたように、まず第三条において禁止行為として、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内へ移植することを禁止するということを規定しております。それに対して、十九条で罰則規定として、その処罰の対象は、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内、体の中に、胎内に移植した者となっております。 御指摘いただいた、ちゃんとそこを分類して区別せよという点でございますけれども、移植を受けた者が移植した胚等がヒトゲノム編集胚と知らなかった、知らなかった場合は罰則の対象とならないと。一方で、ヒトゲノム編集胚等の移植計画に自ら関与した場合や、移植するよう唆して実行した場合や、移植する胚等がヒトゲノム編集胚等であるとあらかじめ知りながら移植を受けた場合などは、共同正犯や教唆犯又は幇助犯として罰則の対象となり得るということを想定してこの法案を提出しているところでございます。
○岩本麻奈君 ありがとうございました。 二番の方をちょっと飛ばしまして、次にデザイナーベビーについてお伺いします。 ゲノム編集技術について最も大きな懸念の一つは、疾病の治療から能力や容姿の改変へと利用目的が広がることだと思います。いわゆるデザイナーベビーの問題です。ここでは、違法行為を防げなかった後に出生してしまった子供をどう保護するかという事後対応の点についてお伺いいします。 〔理事自見はなこ君退席、委員長着席〕 違法なゲノム編集が国外や閉鎖的な環境で行われた場合、これはもう行われないと考える方がちょっと難しいかもしれないと思っての質問です。規制だけで完全に防止することには限界があります。仮に、能力向上を目的としてゲノム編集された子供が出生し、日本国内で生活することになった場合、その子供は、違法行為とは切り離して、一人の人間として尊厳と権利を保障されなければなりません。同時に、本人の健康や将来世代への影響を把握するため、長期的に医学的フォローが必要となる可能性もあります。 政府は、本人の権利やプライバシーを守りながら必要な医療的支援や長期的な医学的フォローアップをどのように行うのか。万一の場合を想定した相談窓口、遺伝カウンセリング、情報管理、差別防止を含めた基本方針を今から検討を始めるべきではないかと思いますが、政府の認識をお伺いします。
○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、先ほど御質問、そして御答弁差し上げたとおり、元々禁止、罰則付きで禁止している行為でございますので、御指摘のようなケースが生じ得ることを想定するものではございません。で、多分、仮定の話はというふうになるんでしょうけど、ちょっと見方を変えて申し上げます。 もしかしたら将来これが臨床応用されることを社会的にもお認めいただいた場合、合同会議において、先ほど大臣から申し上げました、将来の臨床利用、この観点での是非に関して御議論いただいております。その際には、生まれてきた子の生涯にわたる安全性や新たに生じてくる課題を検証する際には、プライバシーを守りつつ、世代を超えて長期的かつ適切にフォローアップできるような体制について検討する必要性を御指摘いただいております。よって、この考え方をその万が一のケースの場合は援用することになろうかと思います。 今の話を更に進めますと、もし、こういう委員御指摘のケースを把握した場合、先ほどの合同会議での議論で申し上げたような内容をこれはもう急ぎ適切に検討していただいて、それを踏まえ、権利保護を含めた対応を関係省庁と連携して講じることになるということを想定しております。もちろん、そもそもそのような事態にならないように、先ほど来申し上げている周知等を図ってまいりたいと考えております。
○岩本麻奈君 ありがとうございます。やはり、子供のというか、権利ですね、人権というものは明確に切り分けて考えられると有り難いと思っております。 さて、この再生医療の現場では、人の応用に至るまで、動物実験や基礎研究の長い積み重ねがあるということを今まで自分で見てまいりました。 ゲノム編集についても、人の能力や性質の改変に応用される知見、まず動物研究の中で蓄積されていく可能性があると思います。動物を対象とするゲノム編集研究は一律に禁止されておらず、既に牛、豚、羊、魚などにおいて生産性に関わる形質の改変、感染症への抵抗を持つ動物の作成、人の疾患を研究するための動物モデルの作成などが行われております。こうした研究には、食料生産、動物福祉、疾病の解明や治療法の開発に貢献する大きな意義がある一方で、将来、認知機能、寿命、行動特性など、より根源的な性質を人為的に改変する研究と発展する可能性も否定できないと思います。人への応用だけを議論するのだけではなく、その前段階となり得る動物研究についても、どこまでを許容するのか、科学的必要性だけでなく、動物福祉や生命倫理の観点から、今の段階からもう本当、省庁を横断して議論を進めていく必要があるのではないかと思っております。 もう一つ、老化についてお伺いします。 老化は、がん、認知症、心血管疾患など、様々な疾患の発症リスクを高める要因と考えられております。仮に、将来ヒト胚の段階で遺伝子を改変し、老化を遅らせる技術が登場した場合、それを疾病の予防や治療と位置付けるのか、それとも、人の能力や性質を高めるエンハンスメントと位置付けるのか、その境界は必ずしも明確ではありません。がんや認知症などの発症を防ぐことは予防とされる一方、その結果として寿命や身体機能が大きく伸びるのであれば、治療とエンハンスメントは連続的なものになっていくと思います。 政府は、両者を明確に区別できていると考えていられるのでしょうか。現時点での認識を大臣にお伺いします。
○国務大臣(上野賢一郎君) まず、本法案を議論いたしました合同会議による議論の整理におきましては、御指摘のエンハンスメントに関して、エンハンスメント目的に利用される可能性についても許容するのかについての国民的な議論がなされていないとの御指摘をいただいております。 このエンハンスメントは、一般的には運動能力や知的能力のような人の性質や能力を人為的に向上させたり増強したりすることを指すものと認識をしておりますが、委員から今御指摘のあったとおり、そもそも何がエンハンスメントに該当するのか、そういった点、線引きの問題もあろうかと思いますが、重要な観点であります。 今後、臨床利用の是非について今後多角的な観点から検討をする際には、そうした御指摘も十分に留意をして検討を深めることが必要だと考えています。
○岩本麻奈君 ありがとうございます。医学界でもまだはっきり答えは出ていないところでしたので、お答えありがとうございました。 次に、人工子宮など、今後の技術進歩についての対応について伺います。 本法における胎内とは、女性又は動物の雌の内生殖器と定義されています。したがって、将来受精胚を人工子宮などの体外環境で発育させる技術が実用化された場合、現在の胎内移植という禁止規定では対応できない可能性があると思います。 政府は、人工子宮技術が実用化された場合には、その時点で対応するという考えだとは承知しております。しかし、人間の生命に関わる問題について、技術が実現してから規制を考えるのでは遅いかもしれないと思っています。五年前を思い浮かべていただくと、今のようなLLM、チャットGPTとかAIのこれが全くなかったものが、このまさに五年もしない今、これだけもう世の中を変えてしまっているという事実を見据えまして、この人工子宮を始め、胎内移植を使わず人の個体の発生を可能とする新たな技術について、政府は現在から検討を始めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まずは、御指摘のいわゆる人工子宮でございますけれども、今の時点で科学的にどういうふうに考えるかということを申し上げますと、胎児を体外、体の外で成長させられるような技術は、委員御指摘いただいたように、現時点では実現しておりません。これをちょっとどういうふうに分解するかというと、ヒト胚の段階があって、その一の個体まで完全に発育させるまでにはどのような環境を再現しなければならないのか、そこのところが細かく分解、整理できていないので、人工子宮が今科学的には実現できていないし、そもそも研究的にもかなりまだ発展途上の段階にあります。 一方で、人工子宮の実現可能性がいずれかのときにはあるだろうということの場合は、今回法案をお示しいただいたときと同様に、まずは、研究者のみならず様々な立場の方から構成される有識者会議を構成して、そこで、科学的評価に加え、倫理的な評価、さらには諸外国の法整備状況との比較検討、こういったものを踏まえて本法案の適用対象の拡大を検討する必要があるものと承知しております。 ですので、先ほど来大臣から申し上げたとおり、様々な今後の情報収集を行ってまいりますので、その中で委員御指摘のようなケースについても対応できるようにしてまいりたいと考えております。
○岩本麻奈君 ありがとうございます。 もうその時々の対応というのがこれからまさしく考えられる、まあ昭和の時代だと五年ごととか十年とかあったと思うんですが、物すごい勢いだというのが私も現場で感じられたので質問にいたしました。 次、最後なんですが、AIを活用したゲノム解析や遺伝子機能の予測がこれから進展することで、ゲノム編集技術は今後更に急速に発展し、その応用範囲も広がる可能性があります。その結果、重篤な遺伝性疾患に新しい治療の可能性をもたらす一方、人間そのものを国家、企業や親が設計し得る管理社会というか、こういう社会にもつながることも懸念されます。 技術が実現してから制度を考えるのではなく、どこまでを認め、どこから先は認めないかという基本原則を社会としてあらかじめ議論しておく必要があると思います。技術の進歩そのものを止めることはできない、できないです。だからこそ、社会がどのような未来を選ぶのか、国がどう判断するのか、その原則を先に定めておく必要があると思います。 そこで、大臣にお伺いします。 政府は、人間の尊厳と将来世代への責任を出発点として、あらかじめ認めてよい技術の限界を国民的な議論によって定めていく姿勢を明確にすべきではないかと思うのですが、大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(上野賢一郎君) 技術の実用化が完成した段階で社会的な議論が不十分でありますと、適切な規制の設定が遅れるおそれがございます。したがいまして、あらかじめ国民的な議論を進めておくことは御指摘のとおり大変重要だと考えています。 このため、医学、自然科学、生命倫理、法学等の専門家に加え、患者団体や報道関係者も交え、多角的な観点から今後とも議論を継続していただきたく考えております。このような議論を進めるためには、諸外国の動向や技術水準の進展等に関する情報の収集が必要かと思いますし、また、ゲノム医療やゲノム編集技術を取り巻く現状や課題について国民の皆さんの理解を深めるための情報発信も必要でございますので、そうしたことにも着実に取り組んでいきたいと考えています。
○岩本麻奈君 そうですね、ちょっとこれ、ちょっと質問で、もしお答えになれなかったらあれですが、今、アメリカでは、CRISPR―GPTというシステムですね、AIによってかなり自動化、こういうものができているというのは御存じでありますでしょうか。
○政府参考人(佐々木昌弘君) 関連する様々な情報の中で接したことはございます。
○岩本麻奈君 ありがとうございます。 この本法案によって、本当、これまで指針にとどまっていた胎内移植の禁止が法律上明解となり、罰則が設けられていることには意義があると考えます。しかし、技術の進歩は法律を待ってくれません。本当に今、いろいろと調べたんですけれども、かなり諸外国で進んでいる、まあ基礎研究ですが、ことが分かってまいりまして、私もかなり、ある意味、一種動揺もし、あと光も見ているところですね。本当に遺伝子疾患の方は、これはもう光明だと思っています。 今後は、このAIなんですが、今回、AIは本法案の直接の規制対象ではないのも存じておりますし、文にも特にAIのことは書いてはないんですけれども、非常にゲノム解析と相性がいいと思っております。研究設計や編集候補の選定にも確実にそういうものに関与していくと思っております。 科学は何が可能であるかということを示すことはできると思います。しかし、私たちがどのような未来を選ぶべきかという問いに、科学だけでは答えることはできないです。先ほどの大臣のおっしゃったとおりです。その答えを出すのは、科学者だけでも行政だけでもAIだけでももちろんなく、社会であり国会であり、そして主権者である国民だと思っております。このゲノム編集は、人類が初めて自ら進化そのものに手を伸ばし、その方向性まで選ぼうとする技術だと思っています。だからこそ、私はこの法律を単なる規制の法律としてではなく、日本が未来の生命とどのように向き合うのかを考える最初の一歩と位置付けたいと思っております。 最後なんですけれども、一つの問いを置いておきたいと思います。 親が自分の子供に、より健康であってほしい、病気になりにくくあってほしい、少しでも長く幸せに生きてほしい、そう願うことはごく自然なことです。では、その願いを科学が実現できるようになったときに、私たちはどこまでそれを認めていったらいいのか。そして、もし認めないのであれば、どのような価値観と人間観を根拠としてその境界を引くのか。もうこれ本当に難しい問いだと自分でも思っているんですが、是非国会と国民全体の皆さんで考えていただきたいという、この言葉を残して、私の質問を終わります。 ─────────────
○委員長(小川克巳君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、猪瀬直樹君が委員を辞任され、その補欠として岡崎太君が選任されました。 ─────────────
○白川容子君 日本共産党の白川容子です。 ヒトゲノム編集胚等の取扱い規制法案について質問をいたします。 ゲノム編集技術を人の生殖に用いるということは、科学技術的な課題とともに、人の尊厳の在り方、優生思想や社会的差別につながる可能性、次世代への不可逆的な影響など、倫理的、社会的な課題も指摘をされています。法案は、ゲノム編集胚等の胎内移植を禁止をし、基礎研究などでの取扱いについても法律で規制をしようとするものです。 そこで、基礎研究への受精胚提供について、まず大臣の認識を伺いたいと思います。 ゲノム編集胚を用いた基礎研究は、例えば遺伝性・先天性疾患の病態解明や治療法開発につながる可能性があります。同時に、当事者からは受精胚などの提供について複雑な思いも述べられています。 例えば、二〇一九年九月の専門委員会合同会議で、日本難病・疾病団体協議会の当時の斉藤副代表は、研究目的の提供について、私個人の考えですと断りつつ、こう述べています。 個人的には、やはり積極的に提供しようとは言えません。他の研究法がほとんどない中では、研究に必要であることを理性では理解していますけれども、気持ちの問題としてです。ですが、迷いつつではありますが、受精卵の提供を納得したいと、私個人としては思います。また、他の方たちから聞き取ったものとして、受精卵というのは、心理的な葛藤が強い、そのまま育てると赤ちゃんとなる、既に一つの命なのだという思いも一方ではあったり、いや、そうではないのだ、まだ違うのだという思いが複雑に浮かび上がってくるという声も紹介をしています。 治療法の開発などにつながる可能性のある研究であっても、当事者が受精胚提供への複雑な思いや葛藤を抱えているということについて、大臣はどのような認識を持っておられるでしょうか。ヒト受精胚の位置付けと併せてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(上野賢一郎君) 議員御指摘のとおり、ヒト胚を滅失することに対して葛藤などがある方がいらっしゃるであろうということは認識をしております。 その上で、御指摘の倫理的な側面の見解につきましては、平成十六年に総合科学技術・イノベーション会議が取りまとめたヒト胚の取扱いに関する基本的考え方において、ヒト受精胚は、人そのものではないとしても、人の尊厳という社会の基本的価値の維持のために特に尊重されるべき存在であり、かかる意味で人の生命の萌芽として位置付けられるべきものと考えられるとされております。 本法案は、総合科学技術・イノベーション会議におけるこうした人の胚に関する御議論の延長にあり、令和元年に法的規制の在り方も含めた適切な制度的枠組みの検討が必要とされたことを踏まえて、厚労省など三省庁での合同会議における御議論を踏まえ、法案化に至ったものであります。法案第四条において、胚等の取扱いについて遵守いただくべき指針を作成、変更する際には、あらかじめ、生命倫理専門調査会も置かれる総合科学技術・イノベーション会議の意見を聞く規定も設けているところです。 今回の法規制は御指摘の倫理的側面を踏まえたものとなっておりますが、こうした考え、十分尊重して運用していきたいと考えております。
○白川容子君 お答えいただきました。 人の生命の萌芽である受精胚の研究利用などについて法律に基づいて指針を策定していくことになります。指針の策定や見直しに当たっては、研究者、医療者、法律や倫理の専門家だけではなく、難病患者、障害当事者、家族や、希少性疾患の当事者団体などの参画を制度的に保障する必要があると思いますが、どのように保障していくおつもりでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) まさに、本法案は、患者を代表する立場の方等も含めた多様な立場の方に御参画をいただいた合同会議での御議論を踏まえ、提出をさせていただいたものであります。 指針の策定、変更に当たっては、合同会議において、引き続き、学識経験者だけではなく、患者団体を始めとする当事者の御意見をしっかりとお聞きをしながら議論をしていきたいと考えております。また、パブリックコメントにより、広く国民や当事者の意見を求めることも含め、広く各界各層の意見を反映させていきます、まいりたいと考えております。
○白川容子君 丁寧な議論、そして意見聴取を行うように求めておきたいと思います。 それから、ゲノム編集胚を用いた研究への社会的信頼性についても伺いたいと思います。 個人情報や知的財産権には配慮しつつも、研究計画や審査結果、進行状況、終了報告、違反事例など、可能な限り公開することが、国民的議論の土台になるし、社会的信頼性を高めることにもつながると思いますが、どのように取り組んでいくおつもりでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) ヒトゲノム編集胚等を用いた研究につきましては、国民の皆様に適切に理解をいただいた上で国民的な議論を深めることが重要であります。そのための継続的な情報提供が不可欠だと考えております。 情報提供の方法としては、例えば、ゲノム編集技術等に関する基礎的研究や医療への応用可能性に関する研究についてその成果を公表することや、科学技術の応用により想定されるリスクや倫理的課題、諸外国の状況等について厚生科学審議会等で御議論をいただきその結果を公表することなどが考えられますが、知的財産権にも配慮しつつ、可能な限りの情報公開に努めていきたいと考えています。
○白川容子君 倫理的課題も含む問題ですから、可能な限り、そして、広く一般市民に情報提供して社会的議論が行われる必要があるというふうに思います。 受精胚の提供者へのインフォームド・コンセントについても伺いたいと思います。 インフォームド・コンセントは、提供者の自由意思に基づくものであることが不可欠で、研究の目的や方法、そして予想されるリスク、同意撤回、資料や情報の将来利用、個人情報や遺伝情報の保護措置など、正確に理解した上で判断できることが重要だと思っています。 主治医から提案を受け、研究者から説明を受けるということだけでなく、人の生命の萌芽であるがゆえの冒頭に述べたような葛藤なども含めて、提供を検討する方が丁寧に相談を受けられるようにする必要があると思いますが、どのように対応していくおつもりでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 御自身の受精胚等の提供を検討する方が、理解、納得した上で提供を行っていただくことが不可欠だと考えています。 現行指針においても、インフォームド・コンセントを受けた上で受精胚等の提供を受けることが規定をされております。研究の目的及び方法等について提供者の十分な理解が得られるよう、分かりやすく説明を行うことが規定をされています。インフォームド・コンセントを受けるに当たっては、提供者の心情に十分配慮するとともに、提供者が置かれている立場を不当に利用しないことなども規定をされているところであります。こうしたインフォームド・コンセントの手続については、指針に適合したものになっているか、あらかじめ倫理審査委員会による審査や国による確認が行われているところであります。 このように、現行指針では、提供に係る説明を受ける際に心理的な葛藤も含め相談できる体制が確保されると考えておりますが、本法案をお認めいただいた際には、合同会議にお諮りしながら検討を行って、法に基づく新たな指針の策定に当たっても、提供者の心情への配慮などに努めていきたいと考えています。
○白川容子君 この点、患者さんや御家族を説得するだけのようなものにならないように、よく検討してもらいたいというふうに思います。 同意撤回の権利についても確認をさせていただきたいと思います。 現行指針では、提供者はインフォームド・コンセントを撤回することができるとしつつ、提供者が撤回意思を表明しても、二つのケースで研究を継続できることになっています。 一つに、提供者を識別することができない状態となっている場合とあります。仮名加工をすることはあると思いますけれども、照合もできないということなのでしょうか。個人情報保護は徹底しつつ、解決できる課題であるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、今御指摘いただいた状態ですけれども、提供機関と実際にその研究機関において、ほかの情報と照合をしても提供者を識別することができない状況、これはもうどうしても、保護すればするほど、それは照合できなくなるようにするので、生じ得るものになります。 一方で、現行指針の下で現に実施されている研究では、提供機関で仮名加工を実施後に研究機関に提供されており、提供機関において情報を照合することで提供者の識別が可能な状態であるため、研究開始後も同意撤回が可能な状態を維持しております。 ですので、今後どういうふうにするかと申しますと、先ほど来大臣が御答弁差し上げているとおり、まず説明の段階で、それが説得ではなく、ちゃんと理解し納得した上での参加をしていただくということが重要ですし、その上で、個人情報保護の観点から、提供者の識別ができない状態を必要とする研究の可能性も否定できないので、本法案を認めていただいた際には、指針の策定に当たって御指摘の点を、これは指針の段階でも十分担保できるように検討をしてまいりたいと考えております。
○白川容子君 提供者の納得と同意が大前提で、仮名加工などで対応できないのか、何か問題があった場合に完全に特定できない状況になっていることがよいのか、よく検討してもらいたいというふうに思います。 この二つ目なんですけれども、研究機関の倫理審査委員会の意見を尊重した上で、研究機関の長が了承した場合には研究継続できるというふうにされています。 この点について、日本学術会議の哲学委員会、いのちと心を考える分科会が人の生殖にゲノム編集技術を用いることの倫理的正当性についてという提言をまとめたときの委員長だった田坂さつき氏からは、提供者の意思よりも研究を優先させる事態が発生しかねない内容である、提供者の人権に配慮するなら、倫理委員会の意見を聞くまでもなく、研究機関の長は研究を中止すべきであると考えるという指摘もされています。治療のための研究への貢献であっても、冒頭で紹介したように様々な葛藤を抱えて、そして提供した後に決心が揺らぐこともあるというふうに思うんです。 指針のガイドラインには、研究を開始した場合など撤回に応じることが事実上困難なケースという例示もありますけれども、研究を開始していれば撤回に応じなくてよいということではなくて、既にゲノム編集を加えてしまって事実上撤回できないというように限定的にするなど、提供者の撤回の権利が最大限保障される必要があると思いますが、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 現行の指針や指針に基づくガイダンスの規定においては、提供者がインフォームド・コンセントを撤回できない条件を、研究機関等がインフォームド・コンセントの撤回に応じることが事実上困難であることを倫理審査委員会の意見を尊重した上で研究機関の長が了承した場合と限定することにより、提供者のインフォームド・コンセントの撤回の権利を保障しているところです。 提供者に安心して研究へ参画していただく観点からも、個々の研究においてインフォームド・コンセントの撤回の権利が保障されることは極めて重要であります。本法案をお認めいただいた際には法に基づく指針を策定することになりますが、その際には、引き続き現行指針の考え方も生かすことが重要であり、こうした点も踏まえて合同会議にお諮りをしながら、検討を行って、提供の同意撤回の権利を最大限保障するよう努めていきたいと考えています。
○白川容子君 生命の萌芽と位置付ける受精胚ですから、やはり提供者意思が最大限保障されるよう、丁寧な検討を行っていただきたいと思います。 最後に、先ほど御紹介したJPAの斉藤副代表はこうも述べられていました。研究と同時に進めてほしいことがあります。障害を持って生まれても尊厳を持って生きていける、そういう社会の創造があれば、余り固執しないで済むということもあるかと思います。 難病治療研究の推進とともに、医療費負担の軽減、そして就労支援や収入の保障、家族介護を前提とした施策を改めるなど、難病、障害を持っていても尊厳を持って生きられるようにすることが強く求められていると思います。そのことも指摘をして、質問を終わります。
○天畠大輔君 代読します。 れいわ新選組の天畠大輔です。 私は、重い障害のある当事者として、この法案を単なる科学技術の規制法ではなく、私たちはどのような社会を目指すのかが問われる生命倫理の法律として質問いたします。 我が党は、ヒトゲノム編集ベビーを法的に禁止するという本法案の趣旨には賛同しております。また、難病の治療や生殖補助医療を必要とする方々の願いを否定するものではありません。しかし、人間の尊厳に関わる生命倫理のルールを行政の裁量に委ねるべきではありません。 本日、猪瀬委員からも御指摘がありましたが、日本には旧優生保護法という決して繰り返してはならない歴史があります。だからこそ、この法律には優生思想と決別するという理念を制度として確実に担保することが求められます。 国連の障害者権利条約は、障害の社会モデルとインクルーシブ社会を掲げています。これは、障害のある人を排除するのではなく、社会の側が障壁を取り除き、誰もが共に生きられる社会を目指す考え方です。生命倫理に関わる制度もその理念の上に築かれるべきです。ドイツでは、優生政策への反省から、人間の尊厳を法制度の中心に据えています。 一方、本法案は、重要事項を政令や指針に委ねている部分があります。生命倫理という国の根幹に関わる問題だからこそ、理念を法律に刻み、行政裁量によって後退しない制度とすべきです。 受精卵の遺伝子改変は、デザイナーベビーや命の選別につながりかねない重大な倫理的課題です。一昨年の旧優生保護法違憲判決は、被害者救済にとどまらず、優生思想と日本社会が決別することを求めた歴史的判決でした。この法律がゲノム編集ベビーを禁止する理由は、単なる技術的リスクの回避ではなく、優生思想を二度と繰り返さないという国家としての意思を示すものでなければならないと考えていますが、大臣の認識と決意を伺います。
○国務大臣(上野賢一郎君) 旧優生保護法につきましては、障害などを理由に生殖を不能にする手術を強制したものであり、不良な子孫の出生を防止するという法の目的は、障害者を差別的に扱い、個人の尊厳を著しく侵害するもので、憲法第十三条及び第十四条第一項に違反するとの最高裁判決が下されたものと承知をしております。 政府としては、旧優生保護法の問題を踏まえ、引き続き国民の、引き続き全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に全力を尽くしていく考えであります。 本法案の提出に先立ち審議会で取りまとめをいただいた議論の整理では、臨床利用が容認される可能性に対し、優生学的な思想への懸念等が新たな課題として生じる可能性が考えられるとして、こうした点についても検討していく必要がある旨の御指摘をいただいております。 本法案をお認めいただいた際には、まずは着実に施行しつつ、さらに、将来に向けては、委員御指摘の優生思想への御懸念も踏まえ、多角的な観点から今後も議論を継続していきたいと考えています。
○天畠大輔君 代読します。 大臣、私が懸念しているのは、医学の進歩そのものではありません。問題は、科学技術の発展の中で、障害のある命や多様な命が結果として生まれない方が望ましいと評価される社会になってしまわないかということです。障害者権利条約が目指すインクルーシブ社会とは、多様な人が共に生きる社会です。しかし、今後も議論を継続するという答弁では、その理念が将来の制度変更で後退する余地を残します。だからこそ、この法律には、科学技術がどれほど進歩しても揺らぐことのない理念が必要です。私は、その曖昧さが法案の制度設計そのものにも表れていると考えます。 そこで、本法案における基礎研究の審査体制について伺います。 現行指針では、研究機関の倫理審査委員会で審査した上で、国の審議会の意見も踏まえ、関係大臣が確認する仕組みとなっています。今回、法制化するのであれば、この第三者審査の仕組みこそ法律で担保すべきではないでしょうか。 ところが、本法案は届出制を維持したままです。一方で、届出後六十日間の実施制限があり、専門委員会等の意見も踏まえ、計画変更命令も可能になっています。つまり、実質的には事前審査を行う制度です。 例えばイギリスでは、独立機関、HFEAが法律に基づいて厳格にライセンス審査を行っています。しかし、事前相談や補正を丁寧に行うため、申請が最終却下された事例はほとんどありません。厳格な法律と研究の自由は両立していると考えます。 それにもかかわらず、なぜ日本では第三者審査の仕組みを法律に明確に位置付けず、政令や指針に委ねるのでしょうか。厚労省の見解を伺います。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、本法案において、指針遵守義務と届出制という組合せによっての審査、担保するということを採用した理由につきましては、研究の自由は思想の自由の一つとして可能な限り担保すべきものであるという点も一つ重要な国民の中での一つの権利ですし、配慮すべき点だと思います。それを受けて、届出を受けて指針への適合性を確認するという規制体系の方が、まず、今申し上げました自由の一つである研究の自由の侵害程度の低さの観点から望ましいといった議論を経て今回の法案にしております。 その上で、研究の内容や態様は多岐にわたります。委員が懸念されているような点もあろうかと思います。よって、確認すべき事項や確認方法も個別の研究計画によって異なり得るものでございます。このため、指針への適合性確認の具体的なプロセスを法律上画一的に規定することはせずに、適合性確認の基準となる指針は、まずは制定して、その上で、これはその時々の課題に応じて対応できるようにする、これを公表することによって、多くの方が、指針の策定はどういう内容でどういう検討を経て行われたものなのか、見直しに当たってどういう議論を経たものなのか、これを有識者による三省庁の合同会議でも御議論をいただきますし、先ほど大臣からの答弁でも差し上げた総合科学技術・イノベーション会議での倫理的な視点での意見もいただきます。さらには、広く国民からパブリックコメントを行うということを想定しています。 長くなりましたが、逆に言えば、これだけのことを想定して、委員の御指摘のようなことがない、社会的にもお認めいただけるような手続となるようにこの法案の仕組みを制定したものでございます。 いずれにせよ、これらは公開の形で行われることになりますので、その動きを基に、御指摘の国会における議論も含めて様々な形において御議論いただくことも十分に可能になるのではないかと考えております。
○委員長(小川克巳君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君 少なくとも第三者審査の仕組みは法律に明記をすべきです。代読お願いします。 私が申し上げているのは、技術的な基準を法律に細かく書き込めということではありません。第三者による事前審査という仕組みは、技術が進歩しても変わるものではありません。むしろ問題なのは、技術の進展を理由に法改正を経ることなく審査の在り方が緩和される余地が残されていることです。 イギリスでは、このような審査体制を法律によって位置付けています。これに対して日本では、第三者による事前審査という制度の骨格が法律ではなく行政指針に委ねられています。生命倫理に関わる重要なルールは、行政の裁量に任せるのではなく、法律によって国民的な議論の下に置くべきと重ねて申し上げ、次に行きます。 ヒトゲノム編集胚等の胎内移植の禁止を定める第三条について伺います。 まず、前提を確認します。 現行のガイドラインにおいて、ヒト受精胚等の動物への胎内移植については、ヒト受精胚の移植は一律禁止とするが、精子や卵子などの生殖細胞の移植については禁止されていないという理解で相違ないか、政府の明確な答弁を求めます。
○政府参考人(生田知子君) お答えいたします。 ヒト受精胚の提供を受けて行う遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針等のヒト受精胚に関連する現行指針においては、研究に用いたヒト受精胚を動物の胎内に移植することは一律で禁止されております。 一方で、ヒトiPS細胞等から作成したヒト生殖細胞については、ヒトiPS細胞等から生殖細胞又はヒト胚モデルの作成を行う研究に関する指針等に基づき適正な管理の下で基礎的研究が行われており、動物の胎内への移植については禁止されておりません。
○天畠大輔君 代読いたします。 その上で、第三条ただし書について伺います。 現行指針ではヒト受精胚の胎内移植は禁止されています。一方、本法案では、胎盤形成の可能性がないものとして政令で定める要件に適合すれば例外を設ける構造です。 現時点でヒト受精胚の動物胎内移植を認める考えがないのであれば、なぜ受精胚まで例外対象となり得る書き方にしたのでしょうか。せめて生殖細胞に限定すれば足りるのではないでしょうか。厚労省、いかがですか。
○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、本法案においては、ヒトゲノム編集胚等が人又は動物の胎内に移植された場合に、その胚等から個体産生に至る可能性があることから、そのような胎内移植を禁止するものです。つまり、ここで鍵になるのが、個体産生に至る可能性があるか、このためにはどのような措置を講じるべきなのか、こういった考え方での法案をお示ししていることになります。 一方で、この法案を議論した三つの審議会の合同会議におきましては、その議論の整理、昨年十二月の段階で、個体産生に至る可能性がない基礎的研究に規制の対象が及ばないよう留意するべきとの見解をいただいています。このため、ヒトゲノム編集胚等を動物に移植する場合であっても一定の条件下においては個体産生に至らないことから、法案第三条ただし書でその要件を政令に委任すると、こういう立て付けになっております。 この同ただし書においては、政令で定める要件について、その胎内において胎盤の形成を開始する可能性がないものという条件を設けております。政令で規定する内容は、今御指摘のどのようなものがというのは、今までの議論を含めてですけれども、移植対象が胚であっても、また生殖細胞であっても、胎盤の形成を開始する可能性がない、この点をどう担保するかという視点での規定の設け方になろうかと考えております。 どのような、じゃ、具体的な要件を政令で定めれば胚や生殖細胞を移植した場合であっても胎盤の形成を開始しないのかについては、これは技術的な観点も含めて、また、今御指摘いただいた社会的、倫理的な観点も含めて、本法案をお認めいただいた際に、様々な立場の有識者から成る専門委員会合同会議での御議論をいただくこととしておりますけれども、例えば動物に未受精卵を移植する場合で、雄と雌を分けて管理を行うこと、さらには、移植する動物にあらかじめ不妊手術を行っておくことを要件とすることが、今までの議論、また様々な報告等の中では示されているところでございます。
○委員長(小川克巳君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君 ヒト受精胚の動物胎内移植を広く認める趣旨ではないという理解でよろしいですね。政府参考人に伺います。手短にお答えください。
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。 まず、ヒト受精胚を胎内に入れて、それからその胚から胎盤形成に至らない、この、逆に言えば、ヒトの受精胚が着床して胎盤形成に至らないようにするということを定めた内容でございます。 よって、移植対象が胚であれ生殖細胞であれ胎盤の形成を開始する可能性がない、ここが鍵になります。 以上です。
○委員長(小川克巳君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君 曖昧な答弁で懸念が強まりました。代読お願いします。 私がお聞きしているのは技術論ではありません。法律の書き方です。 現時点でヒト受精胚の動物胎内移植を広く認める趣旨では現行指針ではないはずですので、その趣旨が明確に伝わるよう、せめて生殖細胞に限定して法律に書けば済む話ではないでしょうか。 ところが、政府は、具体的な線引きは法案成立後に専門委員会で検討すると答弁されました。生命倫理に関わる重要な例外規定だからこそ、将来必要になれば法改正を提案し、国会で議論すべきです。 生命倫理は、行政の裁量でなく、国会が法律で責任を持ってルールを定めるべきと重ねて申し上げ、質問を終わります。
○委員長(小川克巳君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○天畠大輔君 生命倫理に抜け道は許されません。代読をお願いします。 私は、れいわ新選組を代表し、ただいま議題となりましたヒトゲノム編集胚等取扱い規制法案に反対の立場から討論を行います。 私たちは、ヒトゲノム編集ベビーを法的に禁止するという本法案の趣旨には賛同しています。また、難病の治療や生殖補助医療を必要とする方々の願いを否定するものでもありません。しかし、人間の尊厳に関わる生命倫理のルールを行政の裁量に委ねるべきではありません。本法案はその点で不十分であるため、反対いたします。 二〇一八年、中国では、HIV感染を防ぐ目的で受精卵の遺伝子を改変し、ゲノム編集を受けた双子が誕生しました。安全性や倫理性が確立しないまま生殖利用に踏み切ったこの事例は、世界に大きな衝撃を与えました。 その背景には、罰則を伴う法律ではなく、指針や自主ルールに依存していたという制度的限界がありました。科学技術の進歩に対し、行政の指針だけでは生命倫理の暴走を防げないことは、歴史が示しています。それにもかかわらず、本法案が基礎研究の審査体制を法律ではなく行政の指針に多く委ねていることは、極めて深刻です。 政府は、実質的に厳格な事前審査を行う仕組みであると説明しました。それほど重要な審査であれば、第三者による事前審査の仕組みそのものを法律に明記すべきです。法改正を経ることなく行政判断で審査の在り方が緩和される余地を残すことは、中国の教訓を生かしていません。 第二の理由は、第三条ただし書の例外規定です。 現行指針で一律禁止されているヒト受精胚の動物胎内移植について、本法案は政令で定める要件次第で例外を認め得る曖昧な規定となっています。具体的な線引きを法案成立後の専門委員会に委ねることは、生命倫理の根幹を国会ではなく行政に委ねるものであり、到底容認できません。 一昨年の旧優生保護法違憲判決は、障害のある人の尊厳を否定してきた優生思想と日本社会が決別することを求めた歴史的判決でした。障害者権利条約が目指す誰もが共に生きられるインクルーシブ社会を築くためにも、一度道を誤れば取り返しの付かない生命倫理のルールは、当事者を含む多様な人々の参画の下、国会が責任を持って法律で定めるべきです。 以上の理由から、本法案は規制としてなお不十分であることを申し上げ、反対討論といたします。
○委員長(小川克巳君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小川克巳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、小西君から発言を求められておりますので、これを許します。小西洋之君。
○小西洋之君 私は、ただいま可決されましたヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案に対し、自由民主党・無所属の会、立憲民主・無所属、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会及び参政党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。 一、ゲノム編集技術等の技術の範囲及びヒトゲノム編集胚等の取扱いに係る具体的運用については、急速な技術の進展の動向を的確に把握し、専門的知見を十分に踏まえ、政令、指針等において適切に定めること。 二、違法な胎内移植が内密に遂行されることを防止するため、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに係る届出が確実に行われるよう周知を徹底すること。また、報告徴収等により得られた情報を最大限活用しつつ、研究機関における法令及び指針の遵守状況並びに研究の実施状況を適切に把握し、取扱いの適切な是正及び必要な指導監督を行うこと。さらに、無届又は違法な取扱いに関する情報を適切に把握するため、相談及び通報を受け付ける体制を整備するとともに、関係省庁間の情報共有を図り、必要に応じて捜査機関その他の関係機関と連携すること。 三、動物の胎内に移植する場合で、その胎内において胎盤の形成を開始する可能性がないものとして政令で定める要件については、研究機関におけるヒトゲノム編集胚等の取扱いの実態と乖離したものとならないよう、専門的知見を踏まえ十分に検討した上で、胎盤の形成を開始する可能性がないことが科学的に担保され、かつ、個体産生に至ることがない適切な要件を定めること。 四、指針の策定及び変更に当たっては、総合科学技術・イノベーション会議の意見のほか、国民の意見を十分聴取すること。また、ヒトゲノム編集胚等の基礎的研究の実施に関して、現行の指針等においては、あらかじめ研究機関等の倫理審査委員会での審査や、国の審議会の意見を踏まえた関係大臣等の確認を受けるものとされていることを踏まえ、新たに策定される指針等においても、適切な審査が行われるよう、必要な事項を定めること。 五、ヒトゲノム編集胚等の臨床利用に関しては、安全性の評価に関する考え方の構築、社会的倫理的課題に対応する体制の整備等が必要であることを踏まえ、諸外国の動向や技術水準の進展等を十分に把握し、それらも考慮しつつ、社会的受容性を確認しながら継続的に検討を行い、その結果に基づき、必要に応じて制度上の対応を適時適切に講ずること。 六、ヒトゲノム編集胚等の臨床利用に関する検討に当たっては、生殖補助医療や遺伝性・先天性疾患に対する医療を受ける者の意見を十分に聴くとともに、特定の疾病、障害又は身体的特徴を有する者及びその家族、医療従事者、生命倫理に関する専門家その他の幅広い当事者及び関係者の意見を十分に聴くこと。また、本法により届け出られる基礎的研究の内容も最大限活用すること。 七、前項の検討においては、諸外国における臨床利用の中にヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成十二年法律第百四十六号)により禁じられる行為があることを踏まえ、同法の在り方や適切な所管の設定も含め、必要な事項を一体的に検討すること。 八、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する制度の運用及び今後の検討に当たっては、人の尊厳及び生命倫理を尊重するとともに、将来世代への影響に十分留意し、また、多様性及び包摂性に十分配慮し、国民の理解の促進及び社会的信頼の確保に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(小川克巳君) ただいま小西君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小川克巳君) 全会一致と認めます。よって、小西君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、上野厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上野厚生労働大臣。
○国務大臣(上野賢一郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。
○委員長(小川克巳君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川克巳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十七分散会
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