令和八年五月二十六日(火曜日) ――――――――――――― 議事日程 第十六号 令和八年五月二十六日 午後一時開議 第一 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出) 第二 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出) 第三 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出) 第四 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出) 第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出) 第六 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出) 第七 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出) 第八 社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出) 第九 下水道法等の一部を改正する法律案(内閣提出) ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件 日程第一 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第二 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第三 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第四 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第六 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出) 日程第七 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第八 社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第九 下水道法等の一部を改正する法律案(内閣提出) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出) 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外三名提出)の趣旨説明及び質疑 午後一時二分開議
本会議
発言 67
○議長(森英介君) これより会議を開きます。 ――――◇――――― 日程第一 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第二 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(森英介君) 日程第一、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長丹羽秀樹君。 ――――――――――――― 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔丹羽秀樹君登壇〕
○丹羽秀樹君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 まず、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案は、民間事業者等が国等の保有するデータを活用した事業を行う場合の認定制度を創設するほか、国と地方公共団体等による公的基礎情報データベースの共同整備等に係る規定の整備等を行うものであります。 次に、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案は、統計等の作成を行う第三者に個人情報を提供する場合等について本人の同意を不要とするほか、個人情報の違法な取扱い等によって財産上の利益を得た場合に個人情報保護委員会が課徴金納付を命ずる制度の創設等の措置を講ずるものであります。 両案は、去る四月二十一日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。 本委員会においては、五月八日松本国務大臣から趣旨の説明を聴取した後、十二日から質疑に入りました。十四日には参考人から意見を聴取し、二十一日質疑を終局いたしました。質疑終局後、討論を行い、順次採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 討論の通告があります。順次これを許します。犬飼明佳君。 〔犬飼明佳君登壇〕
○犬飼明佳君 中道改革連合の犬飼明佳です。 私は、中道改革連合・無所属を代表し、ただいま議題となりました個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。(拍手) AI開発競争が激化する中、我が国の国際競争力を強化しなければなりません。その必要性については、私たちも十分認識をしております。一方、個人情報保護法の本来の目的は、個人の権利利益の保護にあります。だからこそ、目指すべきは、安心して提供できるデータ社会であります。国民の信頼を裏切るようなことがあれば、むしろ開発へはマイナスになるのではないでしょうか。 しかし、本法案は、AI開発など事業者側のデータ利活用を著しく優先するかのような内容となっており、国民のプライバシーや個人の権利利益を守る視点が欠けていると指摘せざるを得ません。 私たち中道改革連合は、消費者団体の皆様の御意見等も伺いながら、繰り返し、法案の問題点を追及してまいりました。政府は個人の権利利益を守ると答弁しますが、決意だけでは国民の不安は払拭できません。本法案は、デジタル社会における個人の権利保護という原点から大きく逸脱しており、到底容認できるものではございません。 以下、反対の理由を五点申し上げます。 反対の最大の理由は、統計作成等の目的であれば、要配慮個人情報が本人の同意なく取得や第三者への提供ができてしまう点です。 本法案の第三十条の二では、統計作成等の目的であれば、本人の同意を得ずに、公開されていないものも含め、要配慮個人情報を取得し、さらに第三者に提供できる特例が設けられています。 要配慮個人情報とは、人種、信条、病歴、障害、犯罪歴など、差別や不利益に直結しかねない、最も慎重に保護されるべき機微な情報であります。それを、統計作成等という極めて曖昧な名目で、しかも本人の同意なく、取得や提供ができるようになってしまいます。これは、個人の権利利益保護の根底を揺るがす重大な問題であります。 委員会の質疑においても、個人の病歴等の極めてプライベートな情報について、AI開発を含む統計作成等の目的ならば、病院が患者の病歴を、名前や住所つきの生データを、本人の同意なく、第三者である企業や個人事業主に渡すことができるようになることが明らかになりました。さらに、外国企業であっても、基準適合体制を満たしていれば、同じように私たち国民の名前と住所入りの病歴データを提供されることになります。 EU等、G7では、医療情報は極めて機微性の高い情報として厳格に保護されており、研究やAI開発等への二次利用に際しても匿名化、仮名化などの強い保護措置が求められており、実際には、氏名や住所などの直接識別子を除去、分離した運用が採用されております。 一方、政府は、不要な情報は事業者が適切に判断して削除すると述べていますが、法律上の歯止めが設けられておりません。ましてや、本人が拒絶してもこれを止める権利もなく、これでは国民のプライバシーを守ることができません。 さらに、医療情報の利活用を定めた次世代医療基盤法では、本人の意思確認を事前に行う丁寧なオプトアウトや、国の厳格な審査、認定が規定されています。それにもかかわらず、本法案は、統計作成等の目的であればデータの受渡しを可能にしており、次世代医療基盤法との整合性も全く取れておりません。本人の知らないところで病歴などがAI開発に利用されることは、人権侵害にもつながりかねない重大な問題であると考えます。 第二の理由は、漏えい等発生時における事業者からの本人通知義務が緩和されている点です。 本法案の第二十六条第二項では、本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合として、事業者による本人への通知を免除する規定が追加されました。しかし、情報漏えいを最も把握すべきは本人です。被害の有無や深刻性を判断する主体も本人であり、事業者ではありません。事業者負担の軽減を理由に通知義務を緩和することは本末転倒であります。漏えい等が発生した場合は、原則として本人へ通知すべきではないでしょうか。 第三の理由は、新設される課徴金制度が極めて不十分である点です。 本法案では、課徴金制度が導入されますが、対象は千人を超えるなど大規模な違反事案に限定されております。さらに問題なのは、漏えいの最大の原因となり得る安全管理措置義務の違反が課徴金の対象から外されていることです。本来投資すべきセキュリティー対策を怠り、ずさんな管理によって利益を得る悪質な事業者こそ厳しく規制するべきであります。安全管理措置義務違反こそ課徴金の対象に含めるべきであります。このような骨抜きの制度では、大規模漏えいに対する十分な抑止力にはなりません。 第四の理由は、個人救済の仕組みが法案検討時から大きく後退し、団体訴訟制度の導入が見送られた点です。 個人情報に関する被害の多くは、少額かつ多数の被害者を生むため、被害者本人が単独で訴訟に踏み切ることは現実的ではありません。そのため、違法なデータ利用を迅速に停止し被害の拡大を防ぐため、適格消費者団体等による訴訟制度が不可欠であると消費者団体から強く求められております。にもかかわらず、政府は、法的な整理が困難などという理由で制度導入を見送りました。 海外では、消費者団体等による訴訟が広く認められております。こうした中、日本だけが事業者の意向を優先し、生活者の声を軽視する姿勢を貫くことは、国際的な信頼をも失墜させるものにつながりかねません。 第五の理由は、実際の運用の多くが個人情報保護委員会規則やガイドラインに委ねられており、事実上の白紙委任となっている点です。 本人の権利利益を害しないことが明らかな場合の定義や、公開されている要配慮個人情報の活用の詳細など、国民の権利に直結する重要なルールが国会の審議を経ない規則やガイドラインで決定されることになります。 近年の個人情報保護委員会の監督状況を見ましても、勧告や命令は年間数件程度にとどまっており、今回のような大規模な規制緩和に対して実効性のある監視、監督機能を発揮できるとは到底思えません。委員会の体制強化が求められている中で、責任と判断だけを現場に押しつけるのは無責任であります。 以上、申し上げましたとおり、本法案は、AI開発の促進やデータ利活用の円滑化といった大義名分の裏で、本来最も保護されるべき医療情報などの要配慮個人情報を本人の同意なしに流通させ、事業者の義務や責任を不当に軽減するものであります。これまでの個人情報保護法の歴史と国民のプライバシー保護の努力を無にするものであり、このような法案に賛成することは断じてできません。 国民が自らの情報が適切に守られていると実感できてこそ、安心してデータ提供に協力ができ、結果として、持続的なAI発展と健全なイノベーション、そして我が国の国際競争力の強化につながるのであります。 政府に対しましては、本法案を直ちに撤回をし、課徴金制度の対象拡大、団体訴訟制度の創設、そして何よりも、要配慮個人情報の厳格な保護と本人同意原則の徹底など、個人の権利利益を真に守るための抜本的な見直しを行うことを強く求め、私の反対討論といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(森英介君) 谷浩一郎君。 〔谷浩一郎君登壇〕
○谷浩一郎君 参政党の谷浩一郎です。 会派を代表し、ただいま議題となりました二法案に対し、反対の立場から討論いたします。(拍手) 我が党は、データ利活用が行政の効率化や国民の利便性向上に資することを否定するものではありません。しかし、本法案は、国民の重要な個人情報、そして我が国のデジタル主権を損なうおそれがあり、利活用と保護のバランスを著しく欠いたものであります。 反対の第一の理由は、我が国のデジタル主権が失われ、デジタル植民地となる危険性にあります。 政府は、統計情報であり個人情報ではないから安全と説明しますが、現代のAI技術の進展においては、モデル反転攻撃等の手法により、統計データから元の個人情報が復元されるおそれがあります。EUのような厳格な再識別防止基準がないまま国のデータを外資系AI企業を含む事業者に委ねることは、自殺行為であります。 第二の理由は、相互主義の欠如とデジタル赤字の加速にあります。 中国等の諸外国が自国のデータを厳格に管理する中、日本が国等データを広く開放しようとするのは非対称と言えます。国の保有データは、日本社会に適合したAI開発のための戦略資産です。国内AI産業が十分に育つ前に開放すれば、資金力や技術で圧倒的な優位性を持つ外資系巨大IT企業に利益を独占され、デジタル赤字が更に拡大し、外国依存が一層深まります。これは経済安全保障上の重大な問題であり、本来は国産IT企業の成長と歩調を合わせて進めるべきです。 第三の理由は、制度設計の不備と国民の権利保護の軽視にあります。 報告徴収違反への罰則は三十万円以下の罰金にとどまり、巨大IT企業への抑止力としては余りにも不十分です。さらに、国等データの提供も、本来は国の裁量を確保する許可制とすべきですが、事業者に有利な認定制です。また、対象となる情報や安全措置の内容という安全保障の核心部分を指針等に丸投げする白紙委任は、法治国家として許されません。 まずは、国民の財産である行政データや個人情報を適正に保護し、国産技術を育成して、真のデジタル主権を確立することが大前提であります。十分な保護措置と監督体制を整えないまま、行き過ぎたグローバリズムの下で拙速にデータ開放を進める本法案には強く異議を唱え、反対の理由とし、私の討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(森英介君) これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○議長(森英介君) これより採決に入ります。 まず、日程第一につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、日程第二につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇――――― 日程第三 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第四 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(森英介君) 日程第三、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案、日程第四、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。環境委員長宮路拓馬君。 ――――――――――――― 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔宮路拓馬君登壇〕
○宮路拓馬君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 まず、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案は、使用済みの金属、プラスチック物品の不適正な保管又は再生による人の健康又は生活環境に係る被害を防止するため、当該物品の保管又は再生を行う事業について許可制を導入するとともに、非常災害により生じた廃棄物を円滑かつ迅速に処理するため、地方公共団体と事業者間の協定の締結、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業の範囲への非常災害廃棄物に関する事業の追加などの措置を講じようとするものであります。 次に、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案は、高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物及び高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品の処分がほぼ完了することを踏まえ、今後のポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処分のため、低濃度のポリ塩化ビフェニル使用製品の管理及び当該製品が廃棄物となる場合の処分に係る規制を設けるとともに、中間貯蔵・環境安全事業株式会社のポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理事業を廃止するなどの措置を講じようとするものであります。 両案は、去る十四日本委員会に付託され、翌十五日石原環境大臣から趣旨の説明を聴取した後、十九日から質疑に入り、二十二日に質疑を終局いたしました。質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) これより採決に入ります。 まず、日程第三につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、日程第四につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇――――― 日程第五 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第六 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
○議長(森英介君) 日程第五、民法等の一部を改正する法律案、日程第六、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。法務委員長井上英孝君。 ――――――――――――― 民法等の一部を改正する法律案及び同報告書 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔井上英孝君登壇〕
○井上英孝君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 まず、民法等の一部を改正する法律案は、成年後見及び遺言の制度を国民がより利用しやすいものとする等の観点から、後見及び保佐の制度の廃止並びに補助の制度の適用範囲の拡大、事理を弁識する能力を欠く常況にある者についての補助の制度の特例の創設、任意後見契約と補助の制度との関係の見直し等を行うとともに、電磁的記録等をもって作成する保管証書遺言の創設等の措置を講じようとするものであります。 次に、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、民法等の一部を改正する法律の施行に伴い、関係法律の規定の整備等を行おうとするものであります。 両案は、去る五月十五日本委員会に付託され、同日平口法務大臣から趣旨の説明を聴取し、十九日質疑に入り、翌二十日参考人から意見を聴取しました。二十二日、質疑を終局し、採決の結果、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、民法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 両案を一括して採決いたします。 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇――――― 日程第七 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(森英介君) 日程第七、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。内閣委員長山下貴司君。 ――――――――――――― 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔山下貴司君登壇〕
○山下貴司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、最近における小型無人機等をめぐる状況に鑑み、重要施設に対する危険を未然に防止するため、その上空において小型無人機等の飛行が禁止される対象施設周辺地域として指定すべき地域の範囲を拡大するとともに、対象施設及びその指定敷地等の上空以外の対象施設周辺地域の上空における小型無人機等の違法な飛行を行った者に対する罰則を設ける等の措置を講ずるものであります。 本案は、去る五月十九日本委員会に付託され、翌二十日あかま国家公安委員会委員長から趣旨の説明を聴取いたしました。次いで、二十二日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、本案に対し附帯決議が付されました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇――――― 日程第八 社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(森英介君) 日程第八、社会福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長大串正樹君。 ――――――――――――― 社会福祉法等の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔大串正樹君登壇〕
○大串正樹君 ただいま議題となりました社会福祉法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、質の高い福祉サービスの確保と社会福祉事業等の安定した経営基盤の確立の双方の実現に向けて、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、 第一に、小規模市町村における包括的な支援体制の整備を促進するための事業を新設すること、 第二に、中山間、人口減少地域での地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みが導入可能となる特例介護サービスの類型を新設すること、 第三に、頼れる身寄りがいない高齢者等に対して、日常生活の支援、入院等の手続の支援、死後事務の支援を行う事業を第二種社会福祉事業に位置づけること、 第四に、中重度等の要介護者を入居させる有料老人ホームの都道府県等への登録制度を導入するとともに、その入居者に係る新たな相談支援の類型を新設し、利用者負担を求めること 等であります。 本案は、去る五月十三日本委員会に付託され、同日上野厚生労働大臣から趣旨の説明を聴取し、十五日から質疑に入り、二十日には参考人から意見を聴取し、二十二日質疑を終局いたしました。次いで、討論、採決を行った結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇――――― 日程第九 下水道法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(森英介君) 日程第九、下水道法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。国土交通委員長冨樫博之君。 ――――――――――――― 下水道法等の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔冨樫博之君登壇〕
○冨樫博之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案は、強靱で持続可能な下水道を実現するとともに、道路における下水道管等の占用物件の適切な維持管理の確保を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、 第一に、下水道の維持修繕の基準に、施設の安全性を評価する診断基準を追加すること、 第二に、道路占用者と道路管理者が連携して、点検等を行うための協定制度を創設すること、 第三に、市町村が管理する公共下水道を、都道府県が管理することができる特例を創設すること などであります。 本案は、去る五月十四日本委員会に付託され、翌十五日金子国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十八日に、本案審査に資するため、八潮市の道路陥没事故現場の視察を行いました。次いで、二十二日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 なお、本案に対し附帯決議が付されました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ――――◇―――――
○小寺裕雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(森英介君) 小寺裕雄君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(森英介君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。 ――――――――――――― 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
○議長(森英介君) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長山口俊一君。 ――――――――――――― 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― 〔山口俊一君登壇〕
○山口俊一君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。 本法律案は、各議院の議長、副議長及び議員の期末手当の支給割合について、直近の参議院議員の任期満了月又は衆議院の解散月の末日までの間、令和六年改正前の特別職の職員の給与に関する法律の水準とする措置を講じようとするものであります。 本法律案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出をしたものであります。 何とぞ御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。 以上です。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(森英介君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。 ――――◇――――― 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外三名提出)の趣旨説明
○議長(森英介君) この際、内閣提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外三名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。法務大臣平口洋君。 〔国務大臣平口洋君登壇〕
○国務大臣(平口洋君) 刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければなりません。再審制度は、そのための非常救済手続であり、重要な意義を有するものです。 しかし、近時、一部の再審無罪事件において、再審の請求から再審無罪判決の確定までに相当な長期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生ずる事態となっています。 そして、こうした事態の原因に関し、捜査機関が保管する裁判所不提出記録の提出までに多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てにより再審の手続が長期化しているといった指摘がなされているほか、刑事訴訟法上、再審請求審の手続に関する規定が少なく、裁判所の裁量に委ねられている部分が多いことなどを理由に、再審請求者等の手続保障が十分でないといった指摘がなされています。 こうした事態や様々な指摘は、従来の再審制度やその運用の在り方に大きな反省を迫るものであり、これを真摯に受け止めた上で、再審制度の趣旨に立ち返りつつ、反省、改善すべき点について速やかに手当てを講ずる必要があります。 そこで、この法律案は、こうしたことを踏まえ、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求審の手続の円滑化、迅速化を図りつつ、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げます。 第一は、再審請求審における証拠の提出命令に関する規定の整備であります。すなわち、審判開始の決定をした裁判所は、一定の要件の下で、検察官に対し、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととするとともに、再審の請求の手続において謄写された検察官提出証拠の複製等の適正管理及び目的外使用の禁止に関する規定を整備するなどの措置を講ずるものであります。 第二は、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てに関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定等に対しては、当該決定等が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告等をすることができることとするとともに、政府は、再審開始の決定等があったときは、遅滞なく、その旨並びに検察官が当該決定等に対する即時抗告等をしたかどうか及び当該即時抗告等をした場合におけるその理由を、公表することとするものであります。 第三は、再審の手続における裁判官の除斥に関する規定の整備であります。すなわち、通常審における判決等に関与した裁判官を一定の範囲で再審の請求の手続及び再審公判から除斥するとともに、再審の請求についての決定に関与した裁判官を一定の範囲で再審公判から除斥することとするものであります。 第四は、再審請求審において審理を要する事件を選別するための調査手続及び審理を要すると判断された事件についての審判手続に関する規定等の整備であります。すなわち、再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならないこととし、当該裁判所は、調査の結果に基づいて、審判開始の決定又は再審開始の決定若しくは再審の請求を棄却する決定をしなければならないこととするとともに、再審請求者等は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができることとし、当該裁判所は、審理終結日及び決定日を定めた上、それらの日を再審請求者等に通知しなければならないこととするほか、再審の請求に係る一定の決定に対する即時抗告等の提起期間を延長するなどの措置を講ずるものであります。 第五は、再審請求審に要した費用の補償に関する規定の整備であります。すなわち、再審開始の決定が確定した事件について、無罪の判決が確定したときは、一定の範囲で、その再審の請求の手続に要した費用の補償をすることとするものであります。 このほか、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定等に対する不服申立てについて、その係属する裁判所の決定が事件の受理日から一年以内にされるよう努めなければならないこととすることを含め、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 提出者西村智奈美君。 〔西村智奈美君登壇〕
○西村智奈美君 ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。 巌だけが助かればいいという問題ではありません、冤罪被害で苦しんでいる方が大勢いらっしゃいます、抜け道をつくらないで。元死刑囚である冤罪被害者の袴田巌さんの姉、袴田ひで子さんは、再審法改正の議論に際して度々そう訴えてこられました。袴田巌さんの事件で、逮捕から無罪が確定するまでに五十八年もの年数がかかっています。この事件のほかにも、近年、再審無罪事件が相次いでいますが、いずれも長期間にわたる再審手続を要しており、刑事司法に対する信頼も大きく揺らいでいる状況です。 このような中で、刑事訴訟法の第四編、いわゆる再審法については、様々な制度的不備があることが指摘されています。本法律案は、刑事訴訟法を改正して再審及び再審請求手続に関する規定を整備することにより、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済を図ろうとするものです。 次に、その主な内容は、第一に、再審又は再審請求手続について、当該再審等に係る被告事件の裁判等に関与した裁判官を、除斥及び忌避の対象に追加することとしています。 第二に、再審請求手続に関し、期日の指定、裁判長の手続指揮権等の規定を整備することとしています。 第三に、再審請求手続における証拠開示について、より広範な証拠開示を可能とする観点から、まず、開示請求があった場合には、開示の必要性や開示による弊害などを考慮して相当でないと認めるときを除き、再審請求人等に対し直接開示する制度を設けることとし、また、その対象は、検察官等が保管する証拠だけに限られず、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物や書類のリストにも及ぶこととしています。加えて、裁判所が証拠開示の必要性を認めた場合には、その証拠の再審請求理由との関連性を問うことなく、職権によりその開示を命じることができることとしています。なお、本法律案では、開示された証拠の目的外使用については、証拠の公表による支援活動の拡充や報道機関による報道がこれまでの再審無罪事件で大きな役割を果たしてきたことを踏まえ、禁止規定及び罰則規定は設けていません。 第四に、検察官は、再審開始の決定に対しては、即時抗告、異議の申立て及び特別抗告をすることはできないこととしております。 第五に、附則において、政府は、この法律の施行後三年を目途として、捜査段階における書類や証拠物の目録作成及び保存の在り方、再審の請求をしようとする者への検察官保管証拠等の開示の在り方について検討を加え、必要な法制上の措置等を講ずる旨の検討条項を設けています。あわせて、新法の規定は、この法律の施行の際、現に係属している再審及び再審請求手続についても適用する旨の経過措置を設けることとしています。 最後に、本法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としています。 以上が、本法律案の趣旨及び主な内容です。 何とぞ、十分に御審議の上、本法律案に御賛同いただけますようお願いいたします。(拍手) ――――◇――――― 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(森英介君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。谷川とむ君。 〔谷川とむ君登壇〕
○谷川とむ君 自由民主党の谷川とむです。 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました内閣提出の刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手) 言うまでもなく、冤罪、罪を犯していない者が処罰されることはあってはなりません。有罪の確定判決が誤っている場合には、速やかに救済する必要があります。そのための手段として、再審制度は極めて重要な意義を有しています。 他方で、再審制度については、三審制の下での確定判決による法的安定性の観点も重要であります。制度が悪用され、安易な裁判のやり直しにより真犯人が処罰を免れるような事態も防がなければなりません。 再審制度の在り方は、こうした両面を考えなければならない困難な問題であります。 本法律案は、政府の法制審議会における専門家の検討をベースとしつつ、我が党において、刑事司法の信頼回復が急務との声を受け、様々な観点から議論に議論を積み重ね、その結果、全体としてバランスの取れたものになっていると考えます。 例えば、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについては、法務省の原案においては現行法のまま維持することとされておりましたが、我が党における議論を通じて、これを原則として禁止することとなりました。その原則禁止規定をどう設けるかについても、法務省の当初の修正案では本法律案の附則に置くこととされていたところ、最終的に、刑事訴訟法の本則の規定を削除した上で、例外規定を書き起こして規定することとされました。 さらに、本法律案の提案理由説明においても、審理の長期化について、証拠の提出をめぐるやり取りや検察官の不服申立てに関する指摘を真摯に受け止めたことが触れられるとともに、従来の再審制度やその運用の在り方に反省、改善すべき点があったことが明記されました。 このように、我が党において議論に議論を積み重ねた結果である本法律案は、誤判からの救済を実現するとともに、手続の円滑化、迅速化に資するものとして、再審制度を大きく前進させるものであると考えます。 まず、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについてお伺いをいたします。 本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止した上で、一定の場合に限って可能とすることとされました。 これについては、誤判からの速やかな救済のために全面的に禁止すべきという考え方がある一方で、全面的に禁止いたしますと、三審制の下で確定した有罪判決について、本来、裁判をやり直すべきでない場合でも、一回限りの判断で常にやり直すこととなり、相当ではないという考え方もあり、様々な意見があるところです。 検察官の不服申立ての機能を維持しつつ、対処すべき課題に対処するという観点からは、この原則禁止という形はバランスの取れた解決策であると考えます。 そこで、本法律案において、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則禁止にすることとした趣旨について、改めて平口法務大臣にお伺いをいたします。 また、この原則禁止については、その実効性を疑問視する声もあります。当該規定の実効性について、平口法務大臣の明確な御答弁を求めます。 次に、いわゆる再審請求審における証拠開示についてお伺いをいたします。 捜査機関が収集する証拠の中には、被疑者や被告人が犯人でないことを示すような証拠が含まれている場合もあります。通常審においては、平成十六年の刑事訴訟法の改正により証拠開示制度が整備されましたが、袴田事件のように、これよりも前の事件も存在します。そうした事件については、再審請求審の段階で証拠の十分な利用が確保されることが重要であります。 本法律案においては、再審請求審における証拠の提出命令制度を設けることとされていますが、その趣旨について、平口法務大臣にお伺いをいたします。 あわせて、本法律案では、証拠の提出命令の対象を再審の請求の理由と関連する証拠としておりますが、この点については様々な議論がございます。そこで、再審請求の理由と関連する証拠を対象としている理由について、平口法務大臣にお伺いをいたします。 さらに、関連性を要件とすることで提出命令の対象となる証拠の範囲が限定され、従来の運用よりも後退するおそれがあるとの懸念も示されております。こうした懸念に対してどう応えていくのか、平口法務大臣の御所見をお伺いをいたします。 続いて、証拠の目的外使用の禁止についてお伺いをいたします。 本法律案では、再審請求審における証拠の目的外使用を禁止することとされています。現行法上、通常審においては証拠の目的外使用の禁止に関する規律が設けられているのに再審請求審においては規律が設けられていないのは、不均等であり、被害者等関係者の名誉やプライバシーの保護に欠けることから、再審請求審においてもこれを禁止することは合理性があると考えます。 もっとも、証拠の目的外利用を禁止すると、再審請求者に対する支援活動や、再審請求事件に関する報道に支障が生じるとの見解も見受けられます。こうした指摘に対してどのようにお考えか、平口法務大臣の御所見をお伺いをいたします。 最後に、高市総理にお伺いをいたします。 本法律案は、冒頭に述べたとおり、自民党内において議論に議論を積み重ねた末に、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則禁止としているほか、再審請求審における調査手続、いわゆるスクリーニングに関しても、再審請求が理由のないものであることが明らかであると認めるときに請求を棄却する旨の規定が原案から削除されました。これにより、救済されるべき事案までが調査手続において拙速に棄却されてしまうおそれがあるとの懸念を払拭するなど、様々な角度から十分に練り上げられたものであると考えられます。 本法律案の成立に向けた高市総理の強い意気込みをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 谷川とむ議員の御質問にお答えいたします。 本法律案の成立に向けた意気込みについてお尋ねがございました。 再審制度の見直しについては、私自身、自民党の総裁選でも公約とし、強い思いを持って取り組んでまいりました。 本法律案は、誤判からの確実な救済と手続の円滑、迅速化を図るものであり、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、大変重要な意義を有するものでございます。 十分に御審議をいただき、是非とも速やかに成立をさせていただけるよう、政府として、丁寧に説明を尽くしてまいります。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣平口洋君登壇〕
○国務大臣(平口洋君) 谷川とむ議員にお答え申し上げます。 まず、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止する趣旨についてお尋ねがありました。 近時、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、機械的、形式的に行われており、再審手続の長期化の原因となっているといった指摘がされています。 もっとも、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止することは、三審制の下で確定した有罪判決について、一回限りの判断で常にやり直すこととなり、裁判の紛争解決機能が損なわれる、あるいは、裁判所による慎重、適正な判断の制度的担保が失われるなどの課題があり、相当でないと考えています。 これらのことを踏まえ、本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保するため、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止し、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限って不服申立てができることとしています。 次に、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止する規定の実効性についてお尋ねがありました。 本法律案においては、再審開始決定があったときは、不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとしております。 これにより、検察官が不服申立てをした場合には、その都度、十分な根拠の有無について国民のチェックを受けることとなります。 また、本法律案においては、施行後五年ごとの検討条項を設けることとしております。 検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされることとなるところ、その結果も踏まえて不服申立てが適正に運用されているかが定期的に評価され、仮に問題があれば、制度の在り方が改めて検討され得ることとなります。 以上のことから、本法律案の規定は、検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保する上で、十分な実効性を有すると考えていますが、改正法として成立した場合には、検察当局に対し、これらの規定の趣旨等を適切に周知してまいります。 次に、再審請求審における証拠の提出命令制度の趣旨についてお尋ねがありました。 再審請求審においては、裁判所が再審請求理由について判断するに当たり、検察官に対して、その保管している裁判所不提出記録等の提出を求めることがあります。 もっとも、そのような裁判所による提出の求めについては、現行法に明文の規定がないところ、近時、再審無罪事件も契機として、再審請求者等に請求権がなく、要件、効果も定まっていないことから、手続保障が必ずしも十分でない、あるいは、提出をめぐる争いが生じて手続が遅延しているなどの指摘がされています。 そこで、本法律案においては、再審請求者等の手続保障の充実や再審請求手続の円滑化、迅速化を図る観点から、再審請求審における証拠の提出命令制度を創設することとしています。 次に、証拠の提出命令制度の対象となる証拠についてお尋ねがありました。 再審請求審は、裁判所が再審請求者の主張する再審請求理由について審理、判断する手続です。 したがって、証拠の提出命令の対象となる証拠は、その審理、判断に資する証拠、すなわち、再審請求理由に関連すると認められるものとすることが合理的です。 また、裁判所において、再審請求理由と関係のない証拠について提出命令の要否を判断することは困難であると考えられます。 そこで、本法律案においては、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠を証拠の提出命令制度の対象とすることとしています。 次に、証拠の提出命令制度に対する懸念への対応についてお尋ねがありました。 再審請求理由に関連する証拠の範囲は相当のつながりを持つものであり、これを提出命令の対象とすれば、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 また、証拠の提出命令制度は、裁判所による証拠の提出、開示の勧告や検察官による任意の証拠の提出、開示という従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものです。 さらに、本法律案においては、再審請求理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない旨の規定を設けることとしています。 したがって、本法律案により、これまでの実務運用よりも提出される証拠の範囲が狭まるようなことはないと考えています。 改正法として成立した場合には、これらの趣旨等を関係機関に適切に周知してまいります。 最後に、証拠の目的外使用の禁止による支障についてお尋ねがありました。 本法律案では、再審請求審について証拠の目的外使用の禁止に関する規定を設けることとしていますが、謄写した証拠の複製等を再審の手続やその準備等に使用することはもとより許される上、証拠の概要を口頭で伝達するなどの行為は禁止されません。 また、弁護人による目的外使用が罰則の対象となるのは、対価として利益を得る目的であった場合に限られます。 さらに、目的外使用の禁止に違反した場合の措置については、複製等の内容、行為の目的、態様等の個別の事情を考慮することとしています。 したがって、証拠の目的外使用の禁止により不当な事態が生ずることはないと考えています。(拍手) ―――――――――――――
○議長(森英介君) 平林晃君。 〔平林晃君登壇〕
○平林晃君 中道改革連合・無所属の平林晃です。 会派を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案、いわゆる再審法改正案の閣法並びに衆法第九号の両案について質問をいたします。(拍手) 冒頭、一言申し上げます。 党首討論でも、昨日の会見でも、高市総理は、ナフサの総量は足りている、目詰まりの解消に政府を挙げて取り組むとおっしゃいました。しかし、世論調査では、政府の説明に納得できないが六割を超え、現場には深刻な不安が渦巻いています。業界ごとに必要な成分のナフサが本当に届いているのか、調達価格の高騰はいつ落ち着くのか、中小零細企業の資金繰りはもつのか等々です。私がお会いしたマンション修繕事業者はこれまで経験ない事態だと語り、塗装事業者もコロナ禍以上だとおっしゃっていました。 どうか総理、モグラたたきや売名行為といって現場を抑制したり牽制したりするのではなく、苦しむ国民に寄り添った経済対策を策定いただきたい。中道、立憲、公明三党が合同でまとめた、一万二千件もの声に基づく提言も取り入れていただきながら、政府を挙げて、打てる手を打って、打って、打ちまくっていただきたい。 我々も、今まで以上に現場の声を丁寧に伺い、それらをまとめ、実効性ある手だてを提案してまいります。このことを強く申し上げ、本題に入ります。 近年、刑事司法に対する国民からの信頼が大きく揺らいでおります。いわゆる袴田さんの事件や福井女子中学生殺人事件では捜査機関による証拠隠しが指摘され、また、プレサンス事件や大川原化工機事件においては、捜査機関の過度な取調べをめぐり、いわゆる人質司法の問題も指摘されるとともに、佐賀県警科捜研職員によるDNA鑑定の不正をめぐっては、科学捜査の根幹を揺るがす極めて深刻な事態を招いております。 このような状況にあるからこそ、再審法の見直しに当たっては、国民の重大な不信を払拭するために、高市総理の強いリーダーシップが求められています。 しかし、今回の政府案提出の経緯をめぐっては、総理のリーダーシップが示されたように私には見えませんでした。自民党内での議論は三月から開始されましたが、紛糾し、政府自らが設定した法律案の提出期限である四月十日に提出できず、一か月以上遅れた五月十五日の提出となりました。この間の自民党の関係の皆様の御奮闘には心からの敬意を申し述べます。その一方、総理出席の重要広範議案としては異例の展開です。この要因に関して、一部報道では、本法律案が高市印ではないからだとも言われています。 そこで、総理に伺います。刑事司法全般に対して国民の信頼を揺るがす事態となっている現状をどのように捉えておられるのでしょうか。その上で、この度の再審法の改正にどのような御決意を持って取り組んでおられるのでしょうか。御見解を伺います。 本年二月の衆議院本会議で行われた施政方針演説で、高市総理は、速やかな救済と法的安定性とおっしゃいました。確かに、速やかな救済は重要です。袴田さんは、逮捕されてから再審無罪判決の確定まで半世紀を超える約五十八年という年月を要し、福井事件についても約三十八年がかかりました。人生の大半が失われている事態に、高市総理も思いを深くしておられるのではないでしょうか。先ほどの法務大臣の閣法提案理由においても、従来の再審制度やその運用に大きな反省を迫るものとの認識が示されました。 そこで、総理に伺います。この度の再審法改正の必要性を総理はどのように感じておられるのでしょうか。また、法務大臣が示された反省を迫るものとの認識について、総理はどのようにお考えになっていますでしょうか。御自身の言葉で御答弁をお願いいたします。 一方で、総理がおっしゃられる法的安定性とはどのようなものなのでしょうか。我々国民にとって重要なことは、第一に誤審が起きないようにすることですが、不幸にも起きてしまったのであれば、確実に正すことのできる制度を確立することです。 そもそも、近代刑事司法は、疑わしきは被告人の利益にの原則を基礎として発展してきたと理解しています。その原則を確定判決後にも担保する極めて重要な仕組みが再審制度です。 そこで、総理に伺います。冤罪救済という再審制度本来の役割を踏まえれば、法的安定性よりも、正すべくは正す、そのための環境整備こそ重要なのではないでしょうか。御見解を伺います。 議法提出者に伺います。冤罪は、有罪とされた方や家族の人生を大きく狂わせ、命すら奪いかねない、国家の重大な人権侵害です。再発防止と迅速な救済のため、被害者の声に寄り添う法改正を行うことは国会議員の使命と考えます。 そこで、伺います。政府案が提出される中で、前回国会で衆院解散に伴い廃案となった議員立法をあえて再提出をした提出者の認識と思いをお聞かせください。 以上、総論的にお尋ねした上で、各論に入ります。再審法改正をめぐるいわゆる五大論点のうち、検察官の不服申立ての禁止、証拠開示の範囲、証拠の目的外使用の禁止、スクリーニング規定の四点についてお伺いいたします。裁判官の除斥は委員会審議に委ねます。 まず、検察官の不服申立ての禁止について伺います。 検察官の不服申立ては、裁判所によって再審開始が決定されたことに対して行われます。袴田さんの事件では、二〇一四年三月に再審開始が決定されたものの、検察官により不服が申し立てられ、その審議の後、再審開始が最終的に確定したのは二〇二三年三月のことです。実に九年かかっております。福井事件では、第一次再審請求審の再審開始が二〇一一年十一月に決定されたものの、上級審で一旦退けられ、第二次再審請求審にて再審開始が確定したのが二〇二四年十月です。こちらは約十三年を要しました。検察官による不服申立てが再審の審理を長期化させているのは明らかです。 そこで、伺います。冤罪被害者を速やかに救済するためには、検察官による不服申立てを例外なく禁止する必要があるのではないでしょうか。政府及び議員立法提出者の見解を伺います。 また、政府案では、検察官の不服申立てを原則禁止することとし、例外として、十分な根拠がある場合に不服申立てできることとされています。しかし、検察官は、現行法においても十分な根拠があればこそ、不服申立てをしてきたのではないのでしょうか。そうであるならば、政府案はこれまでの検察官の不服申立ての現状を追認するものでしかありません。 そこで、政府に伺います。仮に閣法が成立したとしても、今述べた理由によって、検察官抗告の運用はこれまでと変わらないのではないでしょうか。御見解を伺います。 次に、証拠開示の範囲について伺います。 袴田さんの事件や福井事件では、再審請求審で検察官から開示された証拠が無罪判決を導く決め手となりました。そのため、今回の再審法改正においては、通常審で検察官が開示してこなかった未提出証拠が広く開示される制度となるか否かが鍵となります。政府案では、開示される証拠が再審請求理由に関連すると認められる証拠に限るとされており、これでは冤罪被害者の救済につながらないのではないかと危惧します。 そこで、伺います。今回の改正案で開示される証拠の範囲及び裁判所の職権による証拠開示制度の在り方について、政府及び議員立法提出者の見解を伺います。 関連して、議法では、証拠のほかに送致書類等目録も開示命令の対象としておられます。この目録は、警察から検察に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物、書類のリストです。再審請求理由を適切に構成するためには、証拠の全体像を把握することが重要であり、そのために証拠リストの開示が重要であるということは、これまでも様々議論されてきたところです。 そこで、議員立法提出者に伺います。今回の法律案の提出に当たり、当該目録を開示命令の対象としているのは、いかなる考えに基づくのでしょうか。 一方で、閣法では当該目録の開示を認めておりません。これはいかなる理由によるのか、政府に伺います。 過去の再審事件では、検察がないと言った証拠が事後にたまたま発見されたり、福井事件では、検察が証言の信用性を疑わせる事実を把握しながらもそれを明らかにしないなど、意図的な証拠隠しと言われても仕方ない事態が生じております。この点、裁判所からも、不利益な事実を隠そうとする不公正な意図があったことを推認されても仕方がないと指摘されています。 そこで、伺います。このような証拠隠しを防ぐために、それぞれの法案ではどのような措置を講じることとされているのか、政府及び議員立法提出者に伺います。 続いて、証拠の目的外使用の禁止について伺います。 政府案では、開示された証拠の複製等の目的外使用を罰則をもって禁止することとしています。確かに、同様の規定は通常審においても存在します。しかし、通常審が原則公開であるのに対して、再審請求審は非公開で行われます。 袴田さんの事件では、開示証拠を支援者や専門家と共有し検証を重ねたことが再審無罪へとつながりました。こうした証拠の共有が禁止されれば、冤罪被害者の救済は遠のきかねません。 日本新聞協会も、本年一月十六日、この禁止規定について、取材、報道の実質的な制限につながり、国民の知る権利に奉仕する報道機関の役割を十分に果たせなくなると強い懸念を表明をしています。 そこで、政府に伺います。証拠の目的外使用の禁止は、結果として冤罪被害者の救済を遅らせ、国民の知る権利を侵害することとならないでしょうか。答弁を求めます。 四点目として、スクリーニング規定について伺います。 当該規定の創設は、冤罪被害者の迅速な救済どころか、再審請求の迅速な棄却をしてしまい、真に救済が必要な冤罪被害者をも門前払いすることとなりかねません。政府の見解を伺います。 以上、再審法改正二案について伺ってまいりましたが、最後に、立法府は行政府から提出された法案を認めるだけの機関ではありません。良識ある議員の皆様と徹底的に議論を闘わせ、国民に真に寄り添った改正を成し遂げてまいりたい、このことを強く申し上げ、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 平林晃議員の御質問にお答えいたします。 刑事司法に対する現状認識と再審制度の改正に向けた決意についてお尋ねがございました。 近時、一部の事件において、捜査機関の活動が適正に行われていないのではないかといった厳しい指摘がなされていることは承知しております。 捜査機関の不適正な活動は、刑事司法に対する国民の皆様の信頼を揺るがすものでございますので、あってはならないことであります。 再審制度の見直しにつきましては、私自身、非常に強い思いを持って取り組んでまいりました。 本法律案は、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようなものにするために、大変重要な意義を有するものでございます。早期の成立に向け、強い思いを持って取り組んでまいります。 再審制度の改正の必要性などについてお尋ねがございました。 罪を犯していない人が処罰されることがあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定判決があれば、速やかに救済されなければなりません。 再審制度については、近時、再審無罪判決の確定までに長期間を要し、当事者の皆様に大きな負担を生じる事態となった事件があることなどを真摯に受け止め、その反省の下に必要な改善を行っていく必要があると考えております。 その上で、再審制度の改正については、非常救済手続としてより適切に機能するよう、誤判からの速やかな救済を図るとともに、あわせて、法的安定性という観点も両立させることが必要であると考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣平口洋君登壇〕
○国務大臣(平口洋君) 平林晃議員にお答え申し上げます。 まず、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについてお尋ねがありました。 御指摘のように再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止することは、三審制の下で確定した有罪判決について、一回限りの判断で常にやり直すこととなり、裁判の紛争解決機能が損なわれるなどの問題があり、相当でないと考えています。 これを踏まえ、本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止し、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限って不服申立てをすることができることとしています。 その上で、不服申立てをした場合における理由の公表や、施行後五年ごとの検討などについての法整備も行うこととしており、本法律案の規定により、検察官の不服申立てについて、より慎重で抑制的な運用が確保されることとなると考えております。 次に、再審請求審におけるいわゆる証拠開示の範囲などについてお尋ねがありました。 本法律案においては、裁判所が、再審請求者等の請求により又は職権で、検察官に証拠の提出を命じる制度を設けることとしています。 この証拠の提出命令制度においては、再審請求理由に関連する証拠が対象となるところ、関連するとは、裁判所による再審請求理由についての判断に資するという意味であり、相当の広がりを持つものです。 そのため、この制度により、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 なお、再審請求審は、裁判所が再審請求理由について審理、判断する手続であり、裁判所が再審請求理由との関連性を問わずに証拠の提出を命ずることができる制度は、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性に欠けると考えています。 次に、送致書類等目録の開示についてお尋ねがありました。 再審請求審は、職権主義の下、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続であるところ、御指摘のような送致書類等目録を再審請求者側に開示させる仕組みは、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性に欠けると考えています。 他方、再審請求者側が裁判所に証拠の提出命令の請求をする際の証拠の特定は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるため、送致書類等目録がなくとも十分に可能であると考えています。 その上で、本法律案においては、裁判所による証拠やその一覧表の提示命令の制度を設けることとしており、これらも活用することで、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 次に、証拠隠しを防ぐための措置についてお尋ねがありました。 本法律案において新設することとしている証拠の提出命令制度においては、裁判所は一定の要件の下で検察官に証拠の提出を命じなければならず、命令を受けた検察官は提出の義務を負うこととしています。 また、裁判所が証拠の提出命令について適切に判断することができるようにするため、裁判所による証拠やその一覧表の提示命令の制度を設けることとしています。 したがって、本法律案における証拠の提出命令制度は、検察官の恣意的な判断による証拠の不提出という事態が生じないものとなっていると考えています。 その上で、本法律案が改正法として成立した場合には、証拠の提出命令制度の適正な運用を確保するため、改正の趣旨、内容等について、関係機関への周知を徹底してまいります。 次に、証拠の目的外使用の禁止についてお尋ねがありました。 本法律案においては、再審請求審について証拠の目的外使用の禁止に関する規律を設けることとしていますが、謄写した書類の複製等を再審の手続やその準備等に使用することはもとより許される上、証拠の概要を口頭で伝達するなどの行為は禁止されません。 また、弁護人による目的外使用が罰則の対象となるのは、対価として利益を得る目的であった場合に限られます。 さらに、目的外使用の禁止に違反した場合の措置については、複製等の内容、行為の目的、態様等の個別の事情を考慮することとしています。 したがって、証拠の目的外使用の禁止により不当な事態が生ずることはないと考えています。 最後に、いわゆるスクリーニング規定についてお尋ねがありました。 再審請求の実情を踏まえると、スクリーニング規定、すなわち再審請求審における調査手続を設けて、再審請求理由についての審理を経た上で終局決定をすべき事件と、それ以外の事件を選別することとした上で、前者について、再審請求者側の手続保障をより充実させることが必要かつ合理的であると考えられます。 その上で、調査手続においては、再審請求の棄却事由を法令上の方式違反などに限定し、理由がないことが明らかな再審請求であっても、調査手続の段階ではそれを理由として再審請求を棄却することはできないこととしています。 したがって、御指摘のような真に救済が必要な事件が門前払いされるおそれはないものと考えています。(拍手) 〔西村智奈美君登壇〕
○西村智奈美君 平林晃議員の御質問にお答えします。 まず、議員立法の再提出に至った認識と思いについてお尋ねがありました。 令和五年三月に袴田事件の再審開始が決定されたことを受け、冤罪被害者の適切かつ迅速な救済が急務であるとの思いから、超党派による、えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟が設立され、その場において、関係者からのヒアリングや議員間での真摯な議論を積み重ね、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止し、再審請求審における証拠開示を幅広く認める内容の法律案を策定しました。 その法律案は、議員連盟の主要メンバーが所属する自民党において党内手続を進めることができなかったため、昨年の通常国会で、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、参政党の野党五会派で共同提出したところでありますが、審議されることなく、高市総理による衆議院解散のため廃案となってしまいました。 その一方で、この議員連盟の法律案策定の取組をきっかけに、政府においては、法制審議会に対し再審法改正に関する諮問がなされ、その答申を踏まえ、また自民党内での議論も踏まえ、今般、政府案が提出されたものと承知しています。 しかし、その政府案は、再審開始決定に対する検察官の不服申立てができる余地を残していること、証拠開示の範囲が現行の実務運用よりも後退するおそれがあること、証拠の目的外使用について一律禁止とした上で罰則を設けていることなど、問題点が多くあり、これをこのまま成立させてしまったら、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済は遠のくと言わざるを得ません。 そこで、冤罪被害者の救済に資する真の再審法改正を実現させるために、昨年提出した法律案を一部修正した上で、今国会に再び提出しました。 次に、検察官の不服申立ての禁止についてお尋ねがありました。 現行法上、裁判所の再審開始決定に対しては検察官が不服申立てを行うことができるとされています。そして、法制審の議論においては、検察官は十分に慎重な検討をした上で不服申立てをしているとの御発言もあったと承知しています。 しかし、実際には、裁判所の再審開始決定に対する検察官の不服申立てが一般化し、再審手続が長期化する主たる原因になっている場合があることは、大きな問題として指摘されなければなりません。 例えば袴田事件では、静岡地裁で再審開始決定がされてから検察官の即時抗告を経て確定に至るまで約九年の、また、日野町事件では、大津地裁で再審開始決定がされてから検察官の即時抗告及び特別抗告を経て確定に至るまで約七年半の、それぞれ長い年月を要しており、これが冤罪被害者に多大な労苦と負担をかけたことは想像に難くありません。 このような現状を踏まえれば、冤罪被害者の迅速な救済を図るためにも、裁判所の再審開始決定に対する検察官の不服申立てを例外なく禁止する必要があると考えました。 検察官の不服申立てを禁止することについては、法制審の議論の中でも様々御指摘や御批判があったと承知していますが、第一に、再審請求審において検察官が公益の代表者として追求すべき公益というのは無辜の救済であり、検察官にはこれに資する形での関与が求められ、第二に、検察官が再審開始決定に不服があるとしても、再審公判の中で主張すれば足りるのであり、確定判決の法的安定性を著しく損なうことにはならず、第三に、再審請求審は、通常審と異なり、再審請求人の請求に理由があるか否かを裁判所が主体となって審理する二面構造になっており、検察官は当事者としての地位を有していないため、通常審における上訴制度と必ずしも整合性を取る必要はないといったことを踏まえれば、十分に合理性あるものとして説明可能であると考えます。 次に、開示される証拠の範囲及び裁判所の職権による証拠開示制度の在り方、あわせて、送致書類等目録を開示命令の対象とする理由についてお尋ねがありました。 冤罪被害者の救済のためには、再審請求審における証拠の開示、特に、通常審の段階から存在していたものの裁判所には提出されなかった無罪方向の証拠の開示が極めて重要な役割を果たすものであることは、近年相次ぐ再審無罪事件を見ても明らかであると思います。 そこで、本法律案では、適切かつ迅速な証拠開示を実現するため、まず、再審請求人側に証拠開示の請求権を認めることとしています。その対象となる証拠の範囲について、再審の請求の理由に関連すると認められるとの条件を付しているところですが、これは、再審請求審が再審の請求の理由の有無を裁判所が判断する手続であることを踏まえ、およそ関連しない証拠について除外する趣旨であり、再審請求理由に直接間接に関連すると認められる証拠であれば、広くその対象とし得るものであると考えております。 また、その証拠開示請求の対象は、検察官等が保管する証拠だけに限られず、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される証拠物や書類の目録である送致書類等目録にも及ぶこととしています。これは、再審請求人側が再審請求理由について的確に主張を組み立てるためには、開示を求める証拠がその全体像においてどのような位置づけと重大性を有しているかを適切に把握することが重要であると考えたからです。 なお、この趣旨をより徹底させる観点から、本法案の附則で、捜査段階における証拠物や書類の目録の作成及び保存の在り方や、再審請求準備段階における送致書類等目録の開示の在り方について、検討条項を設けております。 さらに、本法律案では、裁判所の職権による証拠開示制度を設けています。そして、その対象となる証拠の範囲については、再審の請求の理由に関連すると認められるとの条件は付していません。これは、裁判所が必要と考える証拠を幅広く開示させたことが再審無罪につながった事件も少なくないことから、このような実務運用を制度化して、冤罪被害者の適正かつ迅速な救済につなげていく必要があると考えたからです。 次に、検察による意図的な証拠隠しを防ぐための措置についてのお尋ねがありました。 本法律案では、証拠開示請求の対象に、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される書類や証拠物の目録も含むこととしています。これが開示されることによって、再審請求人側は、仮に検察官が証拠隠しをするようなことがあれば、その目録と照らし合わせることができるようになると考えられます。 ただし、その目録は、警察から検察官へ送致されなかった書類や証拠物は当然記録されてはいないので、全てをカバーするものではありません。 そこで、本法律案では、附則第二条において、政府に対し、この法律の施行後三年を目途として、捜査段階における書類及び証拠物の目録の作成及び保存の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるよう求めています。この検討を経て、適切な目録の作成及び保存が実現することとなれば、検察官による証拠隠しはできなくなるものと考えます。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 ―――――――――――――
○副議長(石井啓一君) 金村龍那君。 〔金村龍那君登壇〕
○金村龍那君 日本維新の会の金村龍那です。 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案、いわゆる再審法改正案について、内閣総理大臣並びに法務大臣に質問をいたします。(拍手) 我が国の刑事司法は、適正な手続の下で事案の真相を解明し、国民の基本的人権と社会の治安を守るために不断の努力を重ねてまいりました。とりわけ、確定判決に重大な誤りがあった場合に人権救済を図る再審制度は、司法の信頼性を担保する最後のとりでであります。 大正時代に現在の刑事訴訟法の基礎ができて以来、長期にわたり実務の運用に委ねられてきた再審手続について、手続の適正化と迅速化を目指し、今般、政府が歴史的な法改正へと踏み切られたことは、法治国家としての責任を果たす力強い一歩であり、高く評価するものであります。 しかしながら、この法案については、国民の間にも様々な意見があるところであり、幅広く国民の理解を得るためにも、与党の立場から、本法律案の具体的な規定と運用の在り方について、政府の明確な説明を求めるものです。 まず、再審開始決定に対する検察官の不服申立て、すなわち抗告の制限について伺います。 本法案においては、審理の迅速化を図る観点から、裁判所が下した再審開始決定に対する不服申立てを原則として禁止する画期的な規定が盛り込まれました。 その一方で、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、例外的に検察官が不服申立てをすることができることとされています。ここで言う、十分な根拠がある場合とは、具体的にどのような場合を想定しているのでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。 さらに、十分な根拠があるか否かを一義的に判断するのは検察官自身です。検察官は、これまでの実務においても、十分な根拠があると判断したからこそ、再審開始決定に対して不服申立てを行ってきたはずであり、今回の改正を経てもなお、検察官の再審開始決定に対する不服申立ての在り方は何も変わらないのではないかとの指摘も見受けられます。こうした指摘に対してどのように考えるか、法務大臣の所見を伺います。 本改正案には、再審開始決定に対する不服申立てがあった場合、事件が受理された日から一年以内にその係属する裁判所の決定がなされるように努めなければならないことが附則の第五条に明記をされました。この附則第五条の目的と期待される効果について、法務大臣の答弁を求めます。 再審手続が長期化する中で、請求中に請求人が亡くなってしまう事例も起きています。 昭和二十四年の三鷹事件では、無実を訴えていた被告本人の死亡で請求審が終了し、亡父の遺志を継いだ長男による第三次請求審も高齢となった長男の死去で終了し、今年、孫が請求人となって、第四次再審請求が行われています。再審請求に時間がかかることによって、請求人にとっては寿命の壁も立ちはだかることになります。 本改正案では、こうした請求人死亡の場合、どのように対処することになるのか、法務大臣の見解を求めます。 次に、審理の透明性と公平性を高めるための証拠開示について伺います。 本法案では、審理の適正化を確実なものとするため、裁判所が再審請求者や弁護人の請求を受けて検察官に証拠の提出を命じる証拠提出命令制度を新設することとしております。これは大きな前進であると評価できます。 他方で、この新たな命令制度が設けられることによって、かえって、これまで裁判所の広範な裁量や三者協議等を通じて、実務上、柔軟に開示されていた証拠が開示されなくなるのではないかといった懸念も示されています。 本法律案による改正後も、例えば、袴田事件における五点の衣類のカラー写真や、福井女子中学生殺人事件における音楽番組に関する捜査報告書のような、再審開始に極めて重要な役割を果たした証拠は確実に開示される仕組みとなっているのか、法務大臣の見解を求めます。 次に、検察官が保管する証拠を把握するための証拠の一覧表について伺います。 本法案においては、裁判所が検察官に対して証拠の一覧表を裁判所に提示するよう命じることもできることとされました。しかし、再審請求者や弁護人に対する証拠の一覧表の開示、交付制度は設けられておりません。 再審請求者や弁護人は、検察官がどのような証拠を保管しているのかが分からないので、的確に証拠の提出命令を請求することができるように、検察官が保管する全ての証拠を記載した一覧表を再審請求者や弁護人に開示、交付するべきとの指摘があります。こうした指摘に対してどのように考えるのか、法務大臣の所見を伺います。 次に、開示された証拠の管理と報道の自由との関係について伺います。 本法案においては、罰則つきで証拠の目的外使用を禁止することとしています。この規定に対しては、冤罪の社会的救済や国民の知る権利の観点から、マスコミの報道等に支障を生じさせるものであり、罰則まで設けることは過剰な規制であるといった批判や指摘もなされています。 再審請求審で検察官が裁判所に提出した証拠の複製等を弁護人等がマスコミ等に提供する行為は、全て処罰の対象となるのでしょうか。罰則が必要となる理由とともに、罰則の適用範囲について、法務大臣の明確な見解を求めます。 最後に、本法案が成立し、施行されることにより、今後は、袴田事件や福井女子中学生殺人事件のように、再審の開始から最終的な無罪判決が確定するまでに、人生のほとんどを費やすような、不当に長期間を要する事態を確実に防止することができるようになるのか、内閣総理大臣の決意をお答えください。 昭和五十年五月、最高裁は、再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめば足りるという意味において、疑わしいときは被告人の利益にという刑事裁判における鉄則が適用されるものと解すべきであるとの判断、いわゆる白鳥決定を示しました。それから半世紀がたった今も、この決定は極めて重要な意義を有しています。 本法案が、適正な手続の下で速やかに無実の罪を晴らし、司法への信頼を揺るぎないものとするための真の改革となるよう、政府の真摯かつ明快な答弁を強く期待し、私の代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 金村龍那議員の御質問にお答えをいたします。 本法律案により、再審無罪判決までに長期間を要するような事態が防止できるのかについてお尋ねがございました。 本法律案では、通常審において導入済みの証拠開示制度に加えて、再審請求審においても、審理に必要十分な証拠が迅速に提出されるようにするため、証拠の提出命令制度を設けることとしております。 また、再審開始決定に対する検査官の不服申立てについて、原則として禁止するなどし、より慎重で抑制的な運用を確保するとともに、手続の長期化の防止を図ることとしております。 このほか、再審請求者などの手続保障の充実を図るための諸規定の整備も行うこととしています。 こうした制度の見直しとその適切な運用により、御指摘のような事態は防止できると考えております。 本法律案が早期に成立するよう、強い思いを持って取り組んでまいります。(拍手) 〔国務大臣平口洋君登壇〕
○国務大臣(平口洋君) 金村龍那議員にお答え申し上げます。 まず、十分な根拠がある場合の意義についてお尋ねがありました。 再審開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合とは、不服申立てにより再審開始決定等が取り消される蓋然性が高いことを裏づける合理的な根拠がある場合を意味します。 その上で、いかなる場合がこれに当たるかについては、個別の事案ごとに、具体的な証拠関係を踏まえて判断すべき事柄であり、一概にお答えすることは困難でありますが、例えば、再審開始決定の根拠となった関係者の供述が虚偽であることを示す信用性の高い証拠が存在しており、当該決定に重大な事実誤認があるため、上級審において当該決定が取り消されることとなる蓋然性が高い場合などはこれに当たり得ると考えています。 次に、本法律案が再審開始決定に対する不服申立ての運用に与える影響、効果についてお尋ねがありました。 本法律案においては、再審開始決定があったときは、政府において、不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとしています。 これにより、検察官の不服申立てが十分な根拠に基づくものかどうかについて、その都度、国民のチェックを受けることとなります。 また、本法律案においては、施行後五年ごとの検討条項を設けることとしています。 検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされることとなるところ、その結果も踏まえて不服申立てが適正に運用されているかが定期的に評価され、仮に問題があれば、制度の在り方が改めて検討され得ることとなります。 以上のことから、本法律案の規定により、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、より慎重で抑制的な運用が確保されることとなると考えています。 次に、再審開始決定に対する不服申立てに係る審理期間に関する規定の目的及び効果についてお尋ねがありました。 近時、一部の再審請求事件について審理の長期化が指摘されており、再審請求手続の迅速化が求められているところ、再審開始決定がされた場合には、当該決定の当否を特に早期に確定させる必要があると考えられます。 そこで、本法律案においては、再審開始決定がされた場合に、当該決定に係る不服申立てが係属する裁判所の審理期間が一年以内となるよう、努力義務を定めることとしています。 これにより、裁判所及び手続関与者は、定められた審理期間が遵守されるよう、迅速な審理に努めていくことが十分に期待されるものと考えています。 次に、再審請求者が死亡した場合の対処についてお尋ねがありました。 現行制度の下では、再審請求審の係属中に再審請求者が死亡した場合、再審請求手続は当然に終了することとされています。 もっとも、他の再審請求権者が再審請求の意思を有している場合には、その者に新たに再審請求をさせるよりも、手続を引き継がせて、それまでの成果を利用して手続を続行することを認める方が、再審請求手続の円滑化、迅速化等に資すると考えられます。 そこで、本法律案においては、審判開始決定があった場合において、再審請求者が死亡したときは、再審請求手続は中断することとした上で、他の再審請求権者は、当該死亡の日から一か月以内に申立てをしたときは、その手続を受け継ぐことができることとしています。 次に、証拠の提出、開示の仕組みについてお尋ねがありました。 本法律案においては、再審請求理由に関連する証拠を対象とする証拠の提出命令制度を設けることとしているところ、関連する証拠の範囲は相当の広がりを持つものであり、これにより、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 加えて、証拠の提出命令制度は、裁判所による証拠の提出、開示の勧告等の従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものです。 さらに、本法律案においては、再審請求理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない旨の規定を設けることとしています。 したがって、これまで裁判所に提出され、再審開始に極めて重要な役割を果たしたような証拠は、本法律案による改正後も同様に裁判所に提出されるものと考えています。 次に、再審請求審における証拠の一覧表の取扱いについてお尋ねがありました。 再審請求審は、職権主義の下、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続であるところ、御指摘のような、全ての証拠の一覧表を再審請求者側に開示させる仕組みは、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性に欠けると考えています。 他方、再審請求者側が裁判所に証拠の提出命令の請求をする際の証拠の特定は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるため、証拠の一覧表がなくとも十分に可能であると考えています。 その上で、本法律案においては、裁判所による証拠やその一覧表の提示命令の制度を設けることとしており、これらも活用することで、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 最後に、証拠の目的外使用の禁止に係る罰則についてお尋ねがありました。 現行法上、通常審における検察官開示証拠について、証拠の複製等の目的外使用の禁止に関する規律が設けられているところ、本法律案においては、関係者の名誉、プライバシーの保護等を図るため、再審請求審において謄写された証拠の複製等についても、通常審と同様の規律を設けることとしています。 そして、目的外使用の禁止規定の実効性を担保するため、違反行為について罰則を設けることとしていますが、弁護人等による目的外使用が罰則の対象となるのは、対価として利益を得る目的であった場合に限られます。 また、目的外使用の禁止に違反した場合の措置については、複製等の内容、行為の目的、態様等の個別の事情を考慮することとしています。 したがって、弁護人等が証拠の複製等をマスコミ等に提供したとしても、その全てが処罰の対象となるわけではありません。(拍手) ―――――――――――――
○副議長(石井啓一君) 小竹凱君。 〔小竹凱君登壇〕
○小竹凱君 国民民主党・無所属クラブの小竹凱です。 会派を代表して、再審法改正案について、高市総理大臣及び議員立法提出者に質問いたします。(拍手) まず、基本認識について伺います。 昨年八月、福井事件の前川さんは、私の地元にあります名古屋高裁金沢支部において、事件発生から実に三十九年を経て再審無罪となりました。また、袴田事件では、事件発生から無罪確定まで五十八年を要しました。これらは現行の再審制度に深刻な構造的課題があることを示しています。 法務省は、本改正案を、再審制度が非常救済手段としてより適切に機能するための重要な法案と説明しています。 総理に伺います。福井事件や袴田事件が示した現実を踏まえ、再審法改正の必要性を総理はどのように認識しておられるのでしょうか。また、本改正によって、これまで冤罪被害を生み出してきた制度的、構造的課題を克服し、無辜の人を二度と長年苦しめない制度へと改めることができると考えておられるのか、明確な答弁を求めます。 証拠リストの開示について伺います。 本案では、証拠開示の入口となる送致書類等目録を含む証拠リストの開示について、なぜ明確に広く保障しなかったのでしょうか。再審請求人側は、そもそもどのような証拠が存在するのかを知らされなければ、証拠の関連性や必要性を具体的に主張することができません。存在自体を知らされていない証拠について請求人側に特定や疎明を求めることは、実際上、ほとんど不可能であります。無実を救済する制度であるならば、まず何の証拠が存在するのかを知る機会を保障することこそ必要ではないでしょうか。答弁を求めます。 また、閣法では、証拠は裁判所への提出命令という構造が取られ、裁判所が標目の一覧表の提示を受ける場合でも、その閲覧、謄写は認められない仕組みとしています。対して、議法では、送致書類等目録を含む検察官保管証拠等について、何を開示の対象とし、誰に対する開示と規定しているのか。また、開示の方法や一覧表の提示の取扱いについてどのように規定しているのか。議法提出者の西村智奈美さんに答弁を求めます。 証拠開示の範囲について伺います。 本案は、再審請求審における証拠開示の対象を再審請求の理由に関連すると認められる証拠に限定しています。しかし、再審請求人や弁護人は、開示前の段階ではどのような証拠が存在するのか十分に把握できず、その段階で関連性や必要性の具体的な主張を求めれば、無罪方向の証拠ほど開示されにくくなるおそれがあります。本案は、この関連性を請求人側が現時点で立証できる範囲に狭く限定して解するのではなく、無罪を基礎づける可能性のある証拠や、その探索に必要な証拠まで含めて、広く解する考えがあるのでしょうか。答弁を求めます。 また、本案は、裁判所が職権で検察官に対し証拠提出命令を出し得る仕組みを示しておりますが、その対象は、関連性、必要性、弊害の程度などを踏まえ、相当と認める場合に限られており、裁判所が消極的であれば十分に機能しないおそれがあります。再審請求人側が証拠の存在自体を把握できない以上、当事者の申立てだけに委ねるのでは不十分であります。だからこそ、裁判所が必要と認めるときには、真実解明のために、積極的に職権で証拠開示命令を発することが不可欠であると考えます。 総理は、職権による証拠開示命令を、例外的で消極的な制度としてではなく、再審請求審の実効性を支える中核的手段として位置づける必要性をどのように考えているのでしょうか。 また、証拠の保存、管理に関する規定について伺います。 過去の再審事件では、証拠の保存、管理や存否確認が適切に行われていなかった疑いのある事態が現に生じています。袴田事件では、存在しないと説明していた五点の衣類発見直後を撮影した写真ネガが後に発見されました。また、日野町事件でも、不存在とされていた指紋、掌紋を採取したゼラチン紙等の証拠品などが後に発見されています。これらは、単なる個別のミスではなく、証拠の保存、管理等の仕組み自体に問題があることを示しているのではないでしょうか。 ところが、本改正に関する法制審の議論では、証拠の保存、管理に新たな法定規律は設けられず、検察や警察における適切な運用が望まれるにとどまっています。しかし、幾ら証拠開示制度を整えても、肝腎の証拠が適切に保存されず、不存在や不見当と扱われたままでは、無辜の救済は実現できません。捜査機関及び検察における証拠物、捜査資料について、保存義務や一覧表、目録の作成及び管理を法律上明確に義務づけるべきと考えますが、総理の答弁を求めます。 開示証拠の目的外使用禁止について伺います。 本案は、再審請求手続又はその準備以外の目的で開示証拠の複製等を交付し、提示し、又は提供することを禁じ、これに罰則まで設ける方向を示しています。 しかし、通常審は公開の法廷であるのに対し、再審請求審はその多くが非公開であるのが実態であります。にもかかわらず、通常審と同じ発想で目的外使用禁止を持ち込めば、ただでさえブラックボックス化しやすい再審請求審を更に不透明なものにする可能性があると考えますが、見解を伺います。 そもそも、弁護士には弁護士職務基本規程等による厳格な倫理規律があり、懲戒制度も整備されております。加えて、名誉毀損やプライバシー侵害については、既に現行法上の対応手段も存在しています。それにもかかわらず、再審請求審において、あえて新たに罰則つきの目的外使用禁止を設けなければならない具体的な立法事実は何なのか、なぜ既存の規律では足りないのか、答弁を求めます。 また、実際の再審事件において、長期間にわたり請求人に寄り添い、支え続ける支援者の存在が不可欠であります。さらに、証拠の検証や誤判原因の究明のためには、外部専門家の知見を得ることも重要です。 ところが、非公開で進みがちな再審請求審に目的外使用禁止が課されれば、支援者との信頼関係を支える情報共有や専門家との連携までも萎縮させ、長期間に及ぶ再審事件を維持、継続すること自体が困難となり、無辜の救済に重大な支障を生じさせるおそれがあると考えますが、高市総理の見解を伺います。 また、法務省は、弁護士側が利益目的でなく使用した場合は処罰対象にならない一方、違法と評価され得るとしています。しかし、それでは、正当な弁護活動や支援活動に対する萎縮効果が懸念されます。であるならば、処罰の対象を弁護士側が利益目的で使用した場合に限定するよう、条文上の構成要件を明確に改めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。 袴田事件では、検察官から開示された五点の衣類のカラー写真ネガについて、市民、支援者、専門家、報道関係者らによる外部検証と社会的共有が行われ、それが、再審開始、ひいては無罪救済に向けた世論形成と審理の前進に決定的な役割を果たしたと指摘されています。 このように、再審において、法廷内だけでなく、外部による証拠検証と社会的共有が誤判是正と無辜救済の迅速化に現実に資してきたと思いませんか。総理は、袴田事件の経緯が持つ意義をどのように認識しているのでしょうか。その上で、外部検証や社会的共有の意義を認めるのであれば、開示証拠の目的外使用を広く禁じることは、将来の袴田事件のような救済をかえって困難にするおそれがあるのではありませんか。見解を伺います。 仮に、通常審との均衡を理由にするのであれば、むしろ、公開法廷を前提とする通常審においてすら弊害が指摘されているこの規定自体を見直すべきであり、より不透明な再審請求審に機械的に持ち込むのは順序が逆ではありませんか。答弁を求めます。 また、関連して一問伺います。 五月二十四日、共同通信社の報道によれば、法務省は、違法な取調べをめぐる国家賠償請求訴訟において、取調べの録音、録画データを裁判所へ提出する際、閲覧制限の申立てや、非公開の弁論準備手続での証拠調べを裁判所に求めることを推奨する通知を各地の法務局に発出したとのことであります。当該通知の発出は事実でしょうか。また、その趣旨について、明確な答弁を求めます。 再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて伺います。 本案は、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止しています。しかし、例外として残される再審開始決定が取り消されるべき十分な根拠がある場合の範囲が広ければ、検察官はなお広く再審開始決定を争うことができ、結局、現行と実質的に大きく変わらないことになりかねません。 ここで言う十分な根拠とは、単なる証拠評価や事実認定の違いまでを含むのですか、含まないのですか。含まないのであれば、それは再審開始決定に重大かつ明白な法的瑕疵がある場合など、極めて限定された場合に限ると理解してよろしいですか。答弁を求めます。 また、本案は、検察官抗告を行った際に、抗告理由を公表するという規定を設けています。しかし、再審請求において抗告が正当かどうかは、新証拠に明白性があるかどうかの判断に懸かっています。ところが、新証拠が開示証拠である場合、証拠自体を見ることができなければ、幾ら政府が抗告理由を公表したとしても、その当否を外部から検証することはできません。したがって、抗告理由の公表義務を置くだけでは不十分であり、審理の公開、あるいは開示証拠の目的外使用禁止の見直しを併せて行わなければ、この規定は空文化しかねないのではないでしょうか。総理の見解を伺います。 過去の事件の検証について伺います。 再審無罪となった事件については、個別の救済にとどまらず、誤判の原因を検証し、制度改善につなげることが不可欠であります。この点、袴田事件については、二〇二四年十二月に最高検察庁から検証結果報告書が公表されましたが、誤判の要因として捜査、公判活動そのものが問われているにもかかわらず、その当事者である組織自らが内部限りで検証を行う現在の枠組みには、客観性、中立性の観点から限界があるのではないでしょうか。国民の司法に対する信頼を確保するためにも、第三者性を担保した独立した検証体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。 その上で、長期間にわたり再審請求が続き、証拠評価や捜査の在り方について重大な疑問が指摘されてきた福井事件についても、第三者機関による検証を行うべきと考えますが、総理の見解を伺います。 無辜の不処罰は近代刑事司法の根幹であり、万が一誤判が生じた場合には速やかに救済できる制度が整っていなければ、司法に対する国民の信頼は成り立ちません。だからこそ、再審制度は、司法の正当性を支える最後のとりでとして、不断に見直されるべきものと考えます。 憲法四十一条は、国会を、国権の最高機関であり、唯一の立法機関であると定めています。過去の冤罪の悲劇を二度と繰り返さない制度を構築することこそ、我々立法府の責務であります。 本改正は、無辜の救済のみならず、司法への信頼、そして法治国家としての正当性と誇りを懸けた議論であることを申し上げ、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 小竹凱議員の御質問にお答えをいたします。 再審制度の改正の必要などについてお尋ねがございました。 罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定裁判があれば、速やかに救済されなければなりません。 近時、再審無罪判決の確定までに長期間を要し、当事者の皆様に大きな負担が生じる事態となった事件があったことは、議員御指摘のとおりです。 本法律案は、そうした状況などに鑑み、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、所要の法整備を行うものであり、再審制度を大きく前進させることに資するものと考えております。 再審請求審における証拠リストの開示についてお尋ねがありました。 再審請求審は、職権主義の下、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続です。 したがって、御指摘のように証拠リストの開示を再審請求人側に一律に保障する仕組みではなく、裁判所の判断で証拠やその一覧表の提示命令を行うことができることとしており、これにより、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることになると考えています。 また、裁判所に証拠の提出命令の請求をする際の証拠の特定は、請求に係る証拠を識別することができる程度のもので足りるため、証拠リストがなくとも十分に可能であると考えています。 再審請求審における、いわゆる証拠開示についてお尋ねがありました。 本法律案に規定されている証拠の提出命令制度における関連性とは、裁判所による再審請求理由についての判断に資するという意味であり、相当の広がりを持つものです。 そのため、証拠の提出命令制度により、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 また、本法律案においては、証拠の提出命令は、裁判所が請求により又は職権ですることとしており、職権による提出命令を例外的で消極的な制度と位置づけてはおりません。 職権による場合も含めて、裁判所において適切に運用されるものと考えています。 捜査機関における証拠の保存、管理についてお尋ねがございました。 証拠物や捜査資料が適切に保存、管理されることは、適正な裁判の実現のために極めて重要です。 捜査機関における証拠物や捜査資料の保存、管理については、これらを定める法令などが既に整備されており、それらが適切に運用されることが重要であることから、現時点において新たな法整備が必要であるとは考えておりません。 捜査機関において、法令などの規定や趣旨に従い、より一層の適切な運用に努めていくべきものと考えております。 証拠の目的外使用に係る罰則の必要性などについてお尋ねがありました。 現行法上、通常審については証拠の目的外使用が罰則をもって禁止されていますが、再審請求審についてはそのような規律が設けられていません。 今回、再審請求審における証拠の目的外使用について、通常審と同様の規律を設けることとしましたが、これは、再審請求審に新たに証拠の提出命令制度を導入し、通常審と同様、広く証拠が謄写される仕組みを整備するに当たり、通常審と再審請求審とで、関係者の名誉、プライバシーの保護などの必要性に違いはないこと、新たな制度の下、証拠の提出が適切に行われるようにすることを確保する必要があることなどの観点を考慮したものでございます。 証拠の目的外使用の禁止による弊害などについてお尋ねがありました。 もとより、私としても、再審請求事件における支援活動や報道の意義を否定するものではありません。 その上で、証拠の複製などを再審の手続やその準備などに使用することや、証拠の概要を口頭で伝達するなどの行為は目的外使用には当たらないことから、目的外使用の禁止により不当な事態が生じることはないと考えております。 また、本法律案においては、弁護人などによる証拠の目的外使用が罰則の対象となるのは、条文上、対価として利益を得る目的であった場合に限ることとしています。 なお、通常審における証拠の目的外使用の禁止規定につきましては、関係者の名誉、プライバシーの保護等を図るために合理的な規定であり、現時点においてこれを見直す必要はないと考えております。 法務省が発出した通知についてお尋ねがありました。 お尋ねの通知は、近時、検察官の行為に対する国家賠償請求訴訟の提起が続いている現状を踏まえ、本年二月二十四日付で法務省訟務局から各法務局に対してなされたものでございます。 その内容は、刑事事件記録を証拠として提出する必要がある場合には、記録に含まれる第三者のプライバシー情報に適切に配慮するため、閲覧等制限の申立てや、弁論準備手続での証拠調べをするよう裁判所に求めることも検討するように通知をしたものであると承知しております。 再審開始決定に対する検察官の不服申立てについてお尋ねがありました。 御指摘の十分な根拠がある場合とは、再審開始決定などが取り消される蓋然性が高いことを裏づける合理的な根拠がある場合を意味し、原決定の結論に影響しない軽微な証拠評価や事実認定の誤りがあるというだけでは足りないと考えられます。 不服申立てに関する公表については、証拠そのものを公表するかはともかくとしても、不服申立てに十分な根拠があるかを適切に評価できる内容のものとなるよう、法施行までに具体的な在り方を検討してまいります。 なお、検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされ、その結果も踏まえて不服申立ての運用状況が定期的に評価されることとなります。 したがって、本法律案の規定により、検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用が確保されると考えております。 過去の事件の検証についてお尋ねがございました。 第三者機関を設置し、個別の刑事事件の検証を行うということについては、検察官の活動やそれに対する裁判所の評価なども検証の対象とならざるを得ない点で、司法権の独立の問題が生じ得ること、また、秘匿性の高い刑事事件に関する情報が第三者に開示され、関係者の名誉、プライバシーを侵害するなどのおそれもあることなどから、慎重な検討を要すると考えております。 近時の再審無罪事件については、それぞれの事件における裁判所の判断や、関係者、有識者の方々による分析、また、法案提出に至る様々な検討作業や議論の過程を通じ、多くの教訓が既に具体的に明らかにされており、まずは、これらの貴重な教訓を踏まえた今回の制度改正をやり遂げ、その適切な運用を確保していくことが重要であると考えております。(拍手) 〔西村智奈美君登壇〕
○西村智奈美君 小竹凱議員の御質問にお答えいたします。 議員提出法案における送致書類等目録を含む検察官保管証拠等の開示に関する規定についてお尋ねがありました。 本法律案では、より広範な証拠開示を可能とする観点から、再審請求理由に直接又は間接に関連すると認められる証拠を対象として、再審請求人等から開示請求があった場合には、その開示の必要性や開示による弊害などを考慮して相当でないと認めるときを除き、裁判所が検察官に対し再審請求人等に対する直接開示を命じる制度を設けることとしています。 この証拠開示制度の対象は、検察官等が保管する証拠だけに限られず、警察から検察官に事件が送致されるときに作成、送付される書類や証拠物の目録、すなわち送致書類等目録にも及ぶこととしています。これは、再審請求人側が再審請求理由について的確に主張を組み立てるためには、開示を求める証拠がその全体像においてどのような位置づけと重大性を有しているかを適切に把握することが重要であると考えたからです。 なお、この点に関連して、政府案でも、また本法律案でも、証拠開示の必要性を判断するに当たって行われるいわゆるインカメラ審理において、裁判所が証拠の標目の一覧表の提示を受ける制度が設けられていますが、これは、証拠開示制度の対象である送致書類等目録とは全く別の制度です。 そして、証拠や送致書類等目録の開示に当たっては、裁判所が開示の時期や方法を指定し、あるいは開示の条件を付することができるとしています。(拍手) ―――――――――――――
○副議長(石井啓一君) 和田政宗君。 〔和田政宗君登壇〕
○和田政宗君 参政党の和田政宗です。 ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、会派を代表し、質問します。(拍手) 参政党は、国民の権利や自由の尊重を、参政党が掲げる一から国民の手で憲法を作り直す創憲に当たっての三つの基本原則に掲げるとともに、政府による過度な規制を国民が受けないよう、新型コロナ政策などの際に提起してきました。国民の権利や自由の尊重の観点の下、以下、質問していきます。 まず、法案の提出理由について聞きます。 法案の提出理由には、近年における刑事事件の再審の手続をめぐる諸事情に鑑み、同手続が非常救済手続としてより適切に機能するようにするためとありますが、過去の再審無罪事件について、再審請求手続にどのような問題があったと考えているのか、法務大臣に聞きます。 冤罪は、冤罪被害者の人生を奪うものであると同時に、真犯人を取り逃がすことになるという意味で二重の不正義であると言えます。足利事件では、菅家さんの再審無罪判決が確定しましたが、いまだに犯人は逮捕されていません。被害者の遺族は、再捜査及び真犯人の逮捕を求めています。福井事件でも、前川さんの再審無罪判決が確定し、被害者の遺族は、犯人を警察がちゃんと調べてほしいと訴えています。冤罪被害は絶対にあってはならないことであるという認識について、法務大臣に聞きます。 裁判所不提出記録の閲覧、謄写、いわゆる証拠開示について聞きます。 再審の請求の理由に関連すると認められる証拠について、必要性及び相当性を考慮して、相当と認めるときは裁判所は検察官に対し証拠の提出を命じるものとされています。関連性、必要性及び相当性のある証拠に限定されていますが、再審請求人、弁護人には、検察官がどのような証拠を持っているかが分かりません。その結果、袴田事件の五点の衣類のカラー写真、ネガフィルム、福井事件の「夜のヒットスタジオ」の捜査報告書など、無罪の証拠が開示されないおそれがあります。この点について、どのように考えるか、法務大臣に聞きます。 開示証拠の目的外使用禁止について聞きます。 開示された証拠の目的外使用を禁止し、これに違反したときは罰則を科すものとされています。被害者等の名誉、プライバシーに関わる証拠に限って目的外使用を禁止するとすれば、それで足りるのではないでしょうか。一律に全ての証拠の目的外使用を禁止されると、支援活動や報道に用いることまで処罰されるおそれがあります。支援活動や報道に用いることができなくなるとの懸念がありますが、どのように考えるか、高市総理に聞きます。 再審開始決定に対する不服申立て、いわゆる検察官抗告について聞きます。 再審開始決定に対する不服申立ては、原則として禁止とされていますが、完全には禁止しないとされています。袴田事件、福井事件などで無罪を得るまでに長期間となった要因として、検察官が開示すべき証拠を開示せず、不服申立てを繰り返したことは否めず、検察官は現在でも慎重かつ十分に検討しているとの認識を表明しており、果たして再審開始決定に対する不服申立ての歯止めになるのでしょうか。法務大臣に聞きます。 検察庁は、近年における再審の手続における不服申立てについて検証を行ったのでしょうか。その上で、不当な不服申立てがあったという評価なのか、それとも、不当な不服申立てはなかったという評価なのか。もしなかったということなのであれば、今後もこれまでと同じように不服申立てをするということになり、改善されることにならないのではないでしょうか。法務大臣に聞きます。 政府は、不服申立ての理由を公表することとしていますが、理由を公表することにより不当な不服申立てが抑制されることになるのでしょうか。不服申立ての理由が公表されたとしても、現状では、再審請求審の審理は非公開であり、証拠は目的外使用が禁止されているために、再審請求審における主張や証拠の内容を知ることができず、不服申立ての理由に十分な根拠があるかどうかを判断することはできないのではないでしょうか。再審請求審の審理を公開し、証拠の目的外使用禁止規定を削除しなければ、理由の公表は意味がないのではないでしょうか。法務大臣に聞きます。 また、再審開始決定に対する不服申立てを原則として禁止することについて、当初、附則で検討していたものを本則へと変更した理由は何でしょうか。法務大臣に聞きます。 昨年三月二十六日の衆議院法務委員会における参考人質疑において、厚生労働省元事務次官の村木厚子さんは、検察からマスコミへの情報リークの存在について述べています。捜査の過程で秘匿されるべき情報が検察からリークされることはあってはならないと考えますが、高市総理はどのように考えるでしょうか。 最後に、袴田事件、福井事件のような過去の冤罪、無罪事件において、真相究明や再発防止のために独立した第三者委員会を設置して検証する考えはないのか、高市総理にお聞きをして、質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 和田政宗議員の御質問にお答えいたします。 証拠の目的外使用の禁止についてお尋ねがございました。 証拠の目的外使用による弊害としては、被害者を含む関係者の名誉、プライバシーの侵害のほか、罪証隠滅や証人威迫、捜査への協力確保の困難化など様々なものが想定されます。 そのため、本法律案においては、再審請求審で謄写した検査官提出証拠の目的外使用を一律に禁止することとしていますが、証拠の複製を再審の手続やその準備に使用することや、証拠の概要を口頭で伝達するなどの行為は、目的外使用には当たりません。 したがって、本法律案による目的外使用の禁止により不当な事態が生じ得ることはないと考えております。 検察当局におけます捜査情報の管理や過去の事件の検証についてお尋ねがありました。 捜査の内容に関わる事柄が外部に明らかになれば、捜査、公判の遂行に重大な支障を生じたり、関係者の名誉やプライバシーに重大な影響を与えたりすることになりかねません。 そのため、捜査上の秘密について、これを外部に漏らすことはあってはならないことであり、検察当局においても、そのような認識の下、厳正に捜査情報の管理をすべきものと考えております。 第三者機関を設置し、個別の刑事事件の検証を行うことにつきましては、司法権の独立の観点から問題が生じるほか、関係者の名誉、プライバシーを侵害するなどのおそれもあることから、慎重な検討を要するものと考えております。 近時の再審無罪事件については、検察当局による検証などを含め、多くの教訓が既に明らかにされており、まずは、これらの貴重な教訓を踏まえた今回の制度改正をやり遂げ、その適切な運用を確保していくことが重要であると考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣平口洋君登壇〕
○国務大臣(平口洋君) 和田政宗議員にお答え申し上げます。 まず、過去の再審無罪事件における再審請求手続の問題点についてお尋ねがありました。 近時、一部の再審無罪事件で手続に相当な長期間を要する事態が生じており、その原因に関し、いわゆる証拠開示に多くの時間を要しているといった指摘や、再審開始決定に対する検察官の不服申立てが長期化の原因となっているといった指摘などがあるものと承知しております。 そこで、本法律案においては、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行うこととしています。 次に、冤罪被害に関する認識についてお尋ねがありました。 当然のことながら、処罰されるべきでない者が処罰されることはあってはならないと認識しており、検察当局においては、他の捜査機関と連携しつつ、基本に忠実で適正な捜査、公判の遂行に努め、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現していくことが肝要であると考えております。 次に、証拠の提出命令についてお尋ねがありました。 本法律案において新設することとしている証拠の提出命令制度における関連するとは、裁判所による再審請求理由についての判断に資するという意味であり、相当の広がりを持つものです。 また、再審請求者側が裁判所に証拠の提出命令の請求をする際の証拠の特定は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足ります。 その上で、本法律案においては、裁判所による証拠やその一覧表の提出命令の制度を設けることとしており、これらも活用することで、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。 次に、本法律案が再審開始決定に対する不服申立ての運用に与える影響、効果についてお尋ねがありました。 本法律案においては、再審開始決定があったときは、政府が不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとしています。 これにより、検察官の不服申立てが十分な根拠に基づくものであるかどうかについて、その都度、国民のチェックを受けることとなります。 また、本法律案においては、施行後五年ごとの検討条項を設けることとしています。 検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされることとなるところ、その結果も踏まえて不服申立てが適正に運用されているかが定期的に評価され、仮に問題があれば、制度の在り方が改めて検討され得ることとなります。 以上のことから、本法律案の規定により、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、より慎重で抑制的な運用が確保されることとなると考えています。 次に、再審開始決定に対する不服申立ての運用に関する検証などについてお尋ねがありました。 検察当局においては、再審無罪判決等があった場合、不服申立ての点も含め、当該事件における捜査、公判上の問題点を検討し、事案に応じ、検証結果報告書等としてその結果を公表してきたものと承知しています。 現時点で不服申立てが不当であったとの評価を検察当局が行ったものがあるとは承知しておりませんが、近時、再審無罪事件において、検察官の不服申立てが手続の長期化の原因となっているといった指摘もされており、真摯に受け止める必要があると考えています。 その上で、本法律案においては、先ほど申し上げた法整備を行うこととしているところであり、これにより、検察官の不服申立てについて、より慎重で抑制的な運用が確保されることとなると考えております。 次に、再審開始決定に対する不服申立てに関する公表についてお尋ねがありました。 再審開始決定に対する不服申立ての理由の公表は、検察官が不服申立てをした場合に、その都度、十分な根拠の有無について国民のチェックを受けるようにするものであり、不服申立てのより慎重で抑制的な運用の確保に資するものと考えています。 その上で、理由の公表の具体的な在り方については、再審請求審で用いられた証拠の内容が必ずしも不服申立てのときまでに公にされていないことも踏まえつつ、不服申立てに十分な根拠があるかどうかを適切に評価できる内容のものとなるよう、改正法の施行までに検討してまいります。 最後に、再審開始決定に対する不服申立ての原則禁止規定を刑事訴訟法の本則に置くこととした理由についてお尋ねがありました。 当該規定については、法務省において、与党審査における御議論を踏まえ、法制的観点から検討を尽くした結果、刑事訴訟法の本則に置くことが適当であると考えたものでございます。(拍手)
○副議長(石井啓一君) これにて質疑は終了いたしました。 ――――◇―――――
○副議長(石井啓一君) 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十八分散会 ――――◇――――― 出席国務大臣 内閣総理大臣 高市 早苗君 法務大臣 平口 洋君 厚生労働大臣 上野賢一郎君 国土交通大臣 金子 恭之君 環境大臣 石原 宏高君 国務大臣 あかま二郎君 国務大臣 松本 尚君 出席内閣官房副長官及び副大臣 内閣官房副長官 尾崎 正直君 法務副大臣 三谷 英弘君
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S4RCIV が記録した内容から、改ざん検知用の値を お使いのブラウザで計算し直し、 記録済みの値と一致するか確かめます。計算は 下のボタンを押したときだけ、この端末で実行されます(暗号通貨の採掘や追跡ではありません)。 S4RCIV の「確認済み」表示を信じる必要はありません — 数字を再現するのはあなたの端末です。
- 記録 #2970 観測 2026-07-08 23:12 JST改ざん検知用の値
94014a0d…80a595(未計算)
チェックポイント
- 記録
- #2971 まで
- 署名
- 署名あり(s4rciv-checkpoint)
- まとめの値
- 33d7364b…55d9f2
仕組み
- 1各記録は、前の記録から計算した値を持っています。
- 2この端末で値を計算し直し、つながりが保たれているか確かめます。
- 3チェックポイントが、ある時点までの記録をまとめて固定します。
いつの時点かを外部(Internet Archive 等)に固定する仕組みは今後対応します。全件を通した計算は、公開エクスポートを使えば S4RCIV 以外の場所でも再現できます。
※ いつの時点の記録かを外部(Internet Archive 等)に固定する「外部アンカー」はまだ運用していません。これは S4RCIV 自身が過去をまるごと書き換えた場合に備えるもので、今後対応します。