S4RCIV 公的記録の観測ログ

観測した事実を記録し、判断はしない 監視対象 2,806 件 直近署名チェックポイント seq#3,589 (08-03 03:00 JST) ▸検証

← タイムライン
国会会議録

憲法審査会

第217回 · 参議院 · 第5号 · 2025-06-04

出典 kokkai ↗ 最終取得 2026-06-06 05:31 JST 記録 #495 ↗

発言 102

会議録情報

令和七年六月四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      太田 房江君     衛藤 晟一君      高橋はるみ君     赤池 誠章君      青島 健太君     柴田  巧君  六月三日     辞任         補欠選任      平木 大作君     里見 隆治君  六月四日     辞任         補欠選任      里見 隆治君     平木 大作君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         中曽根弘文君     幹 事                 臼井 正一君                 佐藤 正久君                 中西 祐介君                 山本 啓介君                 若林 洋平君                 熊谷 裕人君                 辻元 清美君                 谷合 正明君                 片山 大介君                 川合 孝典君                 山添  拓君     委 員                 青山 繁晴君                 赤池 誠章君                 衛藤 晟一君                 加藤 明良君                 梶原 大介君                 片山さつき君                 小林 一大君                 古庄 玄知君                 田中 昌史君                 中田  宏君                 藤木 眞也君                 松川 るい君                 松下 新平君                 山本佐知子君                 吉井  章君                 和田 政宗君                 打越さく良君                 小沢 雅仁君                 小西 洋之君                 田島麻衣子君                 福島みずほ君                 水野 素子君                 伊藤 孝江君                佐々木さやか君                 里見 隆治君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 浅田  均君                 柴田  巧君                 松沢 成文君                 上田 清司君                 仁比 聡平君                 山本 太郎君                 高良 鉄美君    事務局側        憲法審査会事務        局長       本多 恵美君    参考人        北九州市立大学        法学部准教授   山本 健人君        日本ファクトチ        ェックセンター        編集長      古田 大輔君        大阪大学社会技        術共創研究セン        ター特任准教授  工藤 郁子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人の出席要求に関する件 ○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査  (憲法に対する考え方について(国民投票法等について))     ─────────────

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、憲法に対する考え方についてのうち、国民投票法等について、本日の審査会に北九州市立大学法学部准教授山本健人君、日本ファクトチェックセンター編集長古田大輔君及び大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授工藤郁子君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。  本日は、憲法に対する考え方についてのうち、国民投票法等について参考人の皆様から御意見を伺います。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ本審査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  議事の進め方でございますが、山本参考人、古田参考人、工藤参考人の順にお一人十二分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  全体の所要は二時間を目途といたします。  なお、御発言は、質疑、答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず山本参考人にお願いいたします。山本参考人。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) 本日は、参議院憲法審査会という貴重な場で意見を述べる機会を賜り、大変光栄に存じます。  私は憲法学を専門としており、本日の議題との関係では、デジタル立憲主義という観点から、デジタル空間を立憲化するための憲法理論について検討をしてまいりました。  本日は、より具体的な問題として、憲法学の観点から、日本国憲法の改正手続に関する法律の下で実施されることになる国民投票において、インターネット上の偽情報等への対策をどのように考えるべきかという論点について私見を述べさせていただきます。  私の意見の概要を簡単にまとめますと、まず、この問題については、現時点で決定打となる対策はなく、様々な対策を多面的、同時並行的に実施していくほかないというふうに考えております。対策の検討に当たっては、想定される対策の効果及び選挙運動の自由、表現の自由に与える影響を考慮し、何を実施し、何を実施しないかを検討すべきというふうに考えます。  他方で、国民投票の実施に際して、国家が偽情報等への対策をすることは望ましいというふうに考えます。また、選挙の公正や有権者の判断の自由の確保といった対策を行うための正当な理由も存在しているというふうに考えます。  なお、偽情報やフェイクニュースという言葉の定義自体にも議論があるところですが、以下では基本的には偽情報と呼ばれるものを念頭に置きます。ただし、私の資料の一ページ目、そして二ページ目の図にあるとおり、それぞれは重なり合う概念であるため、対策ごとに対象とする情報のどの側面にフォーカスするかを意識しておく必要があるというふうに考えます。  それでは、時間も限られておりますので、2の対策の基本的方向性に進みます。  インターネット上の偽情報等の根絶や影響力の無効化はほぼ不可能だと思われます。その根絶を目標に設定できない中で、基本的な対策は次の三つの方向性になるというふうに考えております。  第一に、偽情報等の量あるいは接触機会を減らすという方向性です。第二に、正確な情報やファクトチェック記事の配信によって偽情報等に対抗する言論を増やすという方向性。そして第三に、情報受領者のメディアリテラシーやICTリテラシーを高めるという方向性です。  いずれの方向性も重要ですが、憲法学の観点からは第一、第二の方向性について慎重な検討が必要になるというふうに考えられます。本日はこの第一、第二の点について意見を述べたいというふうに考えております。  また、インターネット上の偽情報等がSNS等のプラットフォーム事業者の提供するサービスを通じて流通、拡散することを踏まえれば、対策の検討に当たっては対策のターゲットを念頭に置いていくことも重要と考えます。すなわち、各対策のターゲットが偽情報等の発信者なのか、SNS等のサービスを展開するプラットフォーム事業者なのか、SNS等を利用して情報を摂取するユーザーのいずれになるのかという、こういう視点ということになります。  それでは、3のところに入ります。  この方向性の対策としては、選挙時ないし国民投票時における偽情報等の違法化というものが挙げられます。  選挙や国民投票に際して偽情報等を発信することが違法であれば、偽情報等の発信者に対して当該発信を思いとどまらせることになります。  この点、公職選挙法は二百三十五条で虚偽事項公表罪を規定しています。同条についてかつて最高裁は、選挙人の候補者に対する公正な判断を誤らしめないようにするための一連の規定というふうに評価して、選挙人の判断の自由を保護しようとするものだというふうに述べております。  これと対比したとき、現行の国民投票法では同様の規定が欠けております。公職選挙法は公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者に関する虚偽事項の公表を問題にしているため、そのまま国民投票法にこの規定をスライドすることはできません。国民投票法では、国民投票の論点に関する虚偽事項の公表を規律する条項が必要になるのではないかというふうに考えます。  ただし、注意が必要なのは、国民投票においていかなる事項を虚偽事項として絞り込むかということになります。例えば、発議された憲法改正原案など正本が存在していて、それとの対比によって客観的かつ明らかに真偽が判断できるものなどをこれに指定することは問題ないというふうに思われます。しかし、それを超えて何を指定するのかや、事実をゆがめることのような解釈の余地のある範疇というものを認めるのか、こういった点は表現の自由との関係で慎重な検討が必要になるというふうに考えます。また、少なくとも、意見、評価を指定することは困難というふうに考えます。  この点、虚偽の表現も表現の自由の保護の対象になるとの見解がありますが、その保護が強力なものになるとは考え難く、有権者の判断の自由や選挙の公正といった正当な規制利益に基づき適切に絞り込まれた規制であれば、虚偽の表現の制約は正当化の余地があるというふうに考えます。  次に、この方向性では、偽情報等の削除ということも想定される対策になろうかと思います。  といいますのは、国民投票時に偽情報等を発信することを違法とすれば、当然罰則を科すことになりますし、事後的に発信者の責任を追及することは可能となるわけですが、国民投票時に偽情報等の影響を受けて有権者が投票したことが事後的に明らかになったとしても、投票結果は覆らないということになるからです。  そのため、違法化した偽情報等については、国民投票の期間中、迅速な対応義務あるいは削除義務をプラットフォーム事業者に課すべきとの主張があり得ます。ただ、これには、選挙運動の自由、表現の自由との関係で更なる検討が必要と思われます。といいますのは、削除は表現の可視性に直接的な影響を与えることになるため、事後的に虚偽でないと反対に明らかになった場合、当該表現が国民投票で持つはずだった影響力を不当に排除することになるためです。  一般的に、偽情報等には、もう明らかな虚偽事項から真偽不明な情報まで幅広いグラデーションがあり、直ちに真偽を判断することが困難なケースが多いというふうに言えます。違法化の範囲をどの程度絞り込むかとも関連しますが、削除を義務付けられるのは、客観的かつ明確に虚偽事項該当性を判断できるものに限定されるというふうに考えます。  なお、違法化されていない有害な偽情報等については、削除を含む対応義務を課すことは困難というふうに考えます。有害な偽情報等については、プラットフォーム事業者に対して、例えば真偽不明の情報などに警告表示のラベルを付す等の対応を求めるといった対策もあり得るかと思いますが、これは基本的には自主的な対応を促す方向性ということになろうかと思われます。  三つ目としまして、国民投票運動のための広告規制という対策もあります。  国民投票運動は原則として自由に行うことができるというふうにされておりますが、例外的に、投票期日の十四日前から国民投票運動のための広告放送を制限しています。その趣旨は、時として国民の感情に訴え、扇情的なものとなる可能性もある放送メディアの広告については、全く規制がない場合、国民の冷静な判断を阻害するおそれがあるというふうに説明されております。  この点、インターネットを介したデジタル広告は、この趣旨とほぼ完全に整合する懸念を持つというふうに考えられます。  現在のデジタル広告ではターゲティング技術が利用可能となっておりまして、広告の出稿者は、有権者の属性や特性を分析し、各有権者グループに効果的にリーチするようにカスタマイズした広告を表示させることが可能となっております。そして、デジタル広告に偽情報などを含ませ、有権者を誘導、操作するように活用されることがあれば、デジタル広告の持つ懸念が強調されます。ケンブリッジ・アナリティカ事件などを思い起こせば、この懸念は現実に起こり得るものと想定しておくべきというふうに思われます。  憲法学の観点からは、こうした懸念は、有権者の思想、良心の自由や判断の自由を保護する国家の責務とも関連します。  しかし、他方で、各有権者グループが欲する情報を的確に分析し、当該情報を届けるために利用されるのであれば、デジタル広告は有権者の政治的関心や論点への理解を深める契機ともなります。  デジタル広告に功罪があることを踏まえれば、一律禁止といった方向性はあり得ないとまでは言えませんが、もう少し穏当な方法もあり得るのではないかというふうに思われます。例えば、プラットフォーム事業者に対して、広告放送と同じく、期日前の一定期間においてデジタル広告の配信を制限すること、あるいは配信されたデジタル広告をライブラリー化し、一定期間の保存、公開義務を課す、こういった規制を行うことが考えられます。  それでは、私の意見としては、最後に4に移りたいと思います。  この方向性では、まず、正確な情報の発信という対策が考えられます。  この点、国民投票法は、国民投票広報協議会を設置し、広報に関する事務等を行わせるというふうにしております。この広報に関する事務の一環として、国民投票の論点に関する正確な情報を分かりやすく発信することで、情報受領者の判断を支援することが望ましいというふうに考えられます。  例えば、とりわけ若者の情報接触行動の変容を踏まえれば、SNS等を通じた配信も望まれます。また、私見では、広報協議会の保有する正確な情報を公開、保存するウェブサイトを開設することが特に重要と考えます。偽情報等が流通、拡散することになったとしても、国民投票の論点に関する基礎的かつ正確な情報を閲覧できる場所の確保は貴重な意義を持つと考えます。  他方で、SNS等での発信を含め積極的な広報を行うのだとすれば、その実施に当たって、広報協議会から発信する情報に誤りが含まれないようにする制度的、組織的な手当ても必要であるというふうに考えます。国民投票法では、客観的、中立的、公平かつ平等な広報が想定されておりますが、その実効性を担保する仕組みの確立も求められるというふうに思われるからです。  また、この方向としては、ファクトチェックとの関係も議論になります。ファクトチェックと政府の関係ですね。  ファクトチェック記事は、情報受領者の判断を支援する上で重要なものなんですけれども、ファクトチェック機関への政府支援の在り方が度々課題となってまいりました。とりわけ、政府の資金がファクトチェック機関の財源となることで、ファクトチェック機関の独立性との関係が懸念されています。  しかし、ファクトチェックの持続可能性もまた重要な課題というふうに言えます。これまで、大手プラットフォーム事業者などがファクトチェックを支援してきましたが、これも徐々に撤退しているという現状もあります。また、ファクトチェック自体をビジネスとして確立させるためには、まだ明確なビジョンが見えていない段階にあるのではないかというふうに思われます。  この点は、私よりも後ほどの古田参考人の方が詳しいでしょうから、訂正があるのかもしれませんが、そのような認識を持っております。  これらの点を踏まえ、また、ファクトチェックが情報を削除するようなものではなく、情報を追加する作用だとすれば……

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 時間ですので、おまとめください。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) 失礼しました。はい。  そうですね、情報を追加する作用だとすれば、それへの支援というものは、検閲的なものへの関与ではなくて、政府の公的助成の文脈で理解されるべきだと思います。このように捉えた場合、ファクトチェックが果たすべき本来の役割を損なわせない形での政府介入は許されるというふうに考えます。  以上、雑駁なものとなりましたけれども、国民投票における偽情報等の対策について、憲法学の観点を踏まえた私見を述べさせていただきました。  どうもありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。  次に、古田参考人にお願いいたします。古田参考人。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  本日は、貴重な機会をありがとうございます。  そして、私の資料すごく多いので、ざあっと読みながら進めていきたいと思います。  まず最初に、お断りですが、本日の資料や発言に関しては、日本ファクトチェックセンターの編集長としての活動を通じて得られているものですが、あくまで個人に属するものであるということを御理解いただければと思います。  次、三ページ。私の自己紹介なんですけれども、私、元々朝日新聞の記者をしていて、その後、アメリカのメディア、バズフィードというところのヘッドハントがあって、そこの創刊編集長を三年ほどしておりました。ファクトチェックを私が始めたのがこのとき、二〇一六年からです。なので、日本の中では最も早く始めた人間の一人かなと思います。  次、お願いします。  日本ファクトチェックセンターなんですけれども、二〇二二年に設立しました。母体は一般社団法人セーファーインターネット協会で、非営利で偽情報対策に取り組んでおります。活動は二本柱で、ファクトチェックの実践とメディアリテラシーの普及。そのほかにも、偽情報の調査研究や技術開発にも貢献しております。そして、二〇二三年五月に国際ファクトチェックネットワーク、IFCNに加盟しております。今、大体二年八か月で約七百本のファクトチェック記事を配信しており、国内では最多となっております。  次のページなんですけれども、私がファクトチェックを始めた二〇一六年、これが世界においては偽情報がとんでもないことになっているぞと気付いた年です。何があったかというと、イギリスのブレグジットの国民投票、アメリカでは米大統領選でトランプ候補が勝利と、両方想像を超えた事態が起きていたわけですね。これで、このネット上の情報が投票行動に与える影響ということに世界中の人たちが気付いた。これで、二〇一六年以降、世界中でファクトチェック団体とかメディアリテラシーとか法的規制の議論というものが一気に強まっていきました。  日本にとっては、それが二〇二四年だったんではないかというふうに感じています。東京都知事選、総選挙、兵庫県知事選、これで皆さんが、あっ、ネットの情報でこんなに投票が動くんだということを実感した。なので、この世界の二〇一六年が日本の二〇二四年だなと感じております。  次をお願いします。  結論からなんですけれども、七ページ、ファクトチェックは対策として必要不可欠ですが、それだけでは全く不十分です。なぜなら、うそは一秒でつけるんですね、で、ファクトチェックしようと思ったら、最低でも数時間掛かるわけです。これもう全く数の上で勝負にならないんですよね。しかも、うそをつく方は、それでお金もうけができたり、それで選挙に勝ったり、インセンティブがあります。でも、ファクトチェック側は、それを無料で配布しないといけないのでビジネスにもならないし、もう全くもってこれだけでは勝負になりません。  次、お願いします。  というわけで、我々ファクトチェック業界の人間たちは十年間ぐらいこういうのを議論をしているんですよね。で、みんなもう同じ結論出していて、今、山本先生からもまさにお話があったように、もう複合的にいろんなことをやるしかない、ファクトチェックはそのいろんなことをやるために参考になる資料になるんですね。あっ、こういう偽情報が拡散していて、こうやったら検証できるんだなという資料を整えるのがファクトチェックという効果もあります。  じゃ、十ページ、お願いします。  そんな中で、日本ファクトチェックセンターは主にファクトチェックをやっているんですけれども、今現在でいうと、設立当初が月十本ぐらいやっていました、今は体制を整えて月四十本ぐらいやっています。日本の中では圧倒的に多い数字です。  十一ページ。検証対象なんですけれども、元々、医療・健康、国際問題、政治、文化・エンタメ、事件・事故、もう何でもやっております。二〇二四年からの圧倒的なこのトレンドとしては、政治、選挙関連が圧倒的に増えた、これも明らかに都知事選、総選挙、兵庫県知事選の影響です。  一度こういうトレンドが動き始めると、世界的な状況を見てもトレンドは変わりません。今後ますます選挙と政治に関する偽情報が増えます。なぜなら、それが金になるとか、これが力になるということを認識した人たちがいるからです。  次、十二ページ。我々は、この検証対象を選ぶ際に公正さを非常に重視しております。私たちが何でこれを検証しているのかということを人にちゃんと説明できるようにしておく、そのために、その偽情報の検証対象に関して、影響する人の多さとか、影響の深刻さ、そして影響の身近さ、ここら辺を尺度にして検証対象を選んでおります。  次、十三ページ。もう一つ非常に重要なのが、大前提として、我々がやっているのはファクトチェックです。オピニオンチェックではありません。  なので、例えば、雲が出ている、雨が降りそうだ、傘を持とうという文章があったときに、私たちが検証をするのは、あくまで雲が出ているという事実の提示に関してです。本当に雲出ているんですかというところですね。雲が出ていなかったら誤情報というふうに我々は検証します。一方で、たとえ雲が一つも出ていなくても、雨が降りそうだって考えることや、傘を念のため持ち歩くのは本人の自由です。なので、そこに関しては我々は全く検証しません。  次、お願いします。  そういった中で、我々、日々検証しているんですけれども、特に注目が集まるトピック、注目が集まるトピックというのは、つまり偽・誤情報のターゲットになりがちです。  なので、例えば災害とか選挙とか、そういったときに関しては非常に集中的に検証をするようにしています。日本においてはもう一つ、この福島第一原発からの処理水の海洋放出、これはもう国際的に偽・誤情報の標的になっていたので、このときにはかなり力を入れて特集をしました。  十五ページです。  二〇二四年総選挙のときの我々の状況なんですけれども、十二日間の間で二十八本のファクトチェック記事と五本の解説記事を出しました。同じ期間にどれだけのファクトチェック記事が出ているのかというのを数えていました。我々以外にファクトチェック団体は日本に二つあります。それ以外に、全国紙及びキー局、そして通信社がどれだけファクトチェック記事を出すか数えてみたんですけれども、六本でした。ということは、日本において総選挙で出たファクトチェック記事の合計は三十四本です。これは、日本の規模の民主主義国家ではあり得ないほどの少なさです。  なので、我々は、日本としてこの偽情報対策が世界に比べて八年遅れたというのはやっぱり今もかなり影響している、日本は非常にこの偽情報対策が遅れた国であるということが言えるかと思います。  十六ページをお願いします。  さらに、もう一つ大きな問題があります。それは、人々が情報を求めている瞬間に情報が十分に存在していないということです。これを我々は情報の空白と呼んでおります。  この左側のチャートなんですけれども、兵庫県の人々が、グーグル検索で兵庫県知事選に関するワードをどれだけ、いつの段階で検索し始めたかというのを調べたチャートです。それで見ると、当たり前の話ですけど、皆さん、告示日後に検索を始めるんですよね。ただ、同時に、そのタイミングで新聞やテレビは個別候補者に関する記事を余り書かなくなる。公正性を配慮して、有利にも不利にもならないようにしようという配慮ですね。その結果、何が起こるかというと、例えば、ユーチューブの検索結果を当時見ていた方は多分驚愕したと思うんですけれども、トップからずらりと立花さんや立花さんが語っている動画ばかりがずらっと並ぶことになってしまう。  そういうのが情報の空白ですね。人々が情報を求めている瞬間にそれに関する信頼性の高い情報が十分に供給されない状況になってしまう。そうすると、この偽・誤情報が大きな影響力を持つようになります。  十七ページの図を見てください。  私たちがやっているのは、その情報の空白に皆さんが検索しそうなキーワードでファクトチェックを打ち込んでいくことです。これが非常に重要です。  よくソーシャルメディア上では偽情報の方がよく拡散するではないかというふうに言う人います。それは事実です。しかし、検索結果を見てみてください。皆さん、気になった情報は検索するんですよね。そのときに、我々の情報、ファクトチェック情報というものは必ず偽情報よりも上に出てくる。ここでやっぱり勝負をする必要があるのかなというふうに思っております。  十八ページです。  このようにして、我々、自分たちのサイトだけではなくて様々なプラットフォームそれぞれにコンテンツを配信しており、十九ページ、生成AIにも我々の記事というものは参考にされております。  そして、二十ページ。世界的なファクトチェックのデータベースとしては、グーグルのファクトチェックエクスプローラーというところがあります。ここにも日本から唯一我々の記事だけが収録されるようになっております。  次に、二十一ページからなんですけれども、ここは私たちがやっている教育活動です。  冒頭に申し上げたように、ファクトチェックは必要不可欠な対策ですが、それだけでは不十分です。皆さん一人一人が偽情報から守る盾を身に付けていただけるように、私たちはこのJFCのファクトチェック講座というものを開いております。  一つ飛ばして二十四ページ、二十五ページを見ていただきたいんですけれども、そのファクトチェック講座、これ無料で受けられます。それを受けた方々に今度は認定試験を受けていただいて、このバッジを配っております。さらに、教育者向けには講師養成講座も開いております。この講師養成講座を修了された方がどんどん増えておりまして、その方々に草の根でファクトチェック教育を広げていってもらっております。  次のページ、二十六ページですね。  その講師養成講座を修了した方々には、私たちから最新の、今はこういうのがはやっているから気を付けてねというふうな教材を共有するようにしております。  二十九ページ、三十ページの方を見ていただきたいんですけれども、こういった、我々、そのファクトチェックやメディアリテラシーの知見を更に広げていくために、まず、やっぱりエビデンスが重要ですので、調査研究をいろんな団体とさせていただいております。それを基にシンポジウムで業界や組織を超えて知見を共有するようにしております。  三十三ページですね。このAIツールの開発なども非常に重要になってきておりますので、このAI開発企業などとも協力をしております。要は、AIにどうやってファクトチェックするかを教えるのは人間なんですよね。なので、そういうふうな我々の知見を基にAIツールの開発に取り組んでいただくようにしております。  残りまだあと半分ぐらいあるんですけれども、そこはざっと見ていただくことにして、五十五ページ、五十六ページのところをちょっと見ていただけたらと思います。  五十六ページ、皆さんも御関心あるかと思いますけれども、財務省、厚労省解体デモのようなものがなぜ広がるのかというところです。これは、この中ではもう私たちが検証したようなことがいまだにずっと語られているんですよね。五十七ページを見てみてください。  そして、五十八ページ、五十九ページを見ていただきたいんですけれども、なぜそういったことが信じられてしまうのかというと、それは個人の体験や感覚に根差しているからです。いやもう生活が苦しいであるとか、政府は信用できないであるとか、そういうふうな個人的な体験や感覚に根差したところにこのナラティブ、物事の見方が生まれてきます。厚労省や財務省は問題のある組織で信頼できないというような見方が生まれ、そうすると偽情報、誤情報が広がりやすくなってしまいます。  次のページを最後にしたいと思うんですけれども、そういったことを防いでいくためにはまずもって信頼性の獲得が重要です。それはメディアもそうですし、ファクトチェック機関もそうですし、政府もそうです。そういった中で非常に重要になってくるのが情報公開。常になぜ私たちがそういうふうな取組をしているのかということを広げていくということがまずもって重要なのかなというふうに思っております。  以上、雑駁ですが、ここまでとしたいと思います。ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。  次に、工藤参考人にお願いいたします。工藤参考人。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御指名にあずかりました、ありがとうございます、大阪大学の工藤と申します。  この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。時間も限られておりますので、早速ではございますが、中身に入っていきたいと思います。  私からは、まず三つの視点に絞ってお話をしたいと思います。  第一の視点につきましては、これまで議論されてきたファクトチェックやリテラシー向上だけでは対応が難しい問題として何があるのかという残された課題についてです。二番目の視点につきましては、皆さん御関心かと思いますし、山本参考人も指摘されておりました、インターネット広告に関する規律がないがどういった問題があるのか、問題ではないのかという点です。第三が、外国グループからの介入、干渉があるのではないかという、この三つの視点に絞って話題提供したいと思います。  まず第一の視点についてです。  一点目に関しては、言いたいこととしては、個々の情報の真偽問題、ファクトチェックが対象になるものに加えて情報空間のエコシステムの問題もあるということです。  イメージを持っていただくために二つのケースを御用意いたしました。  一つ目が、AIを悪用した水増し型フェイクの問題です。  こちらは、例えば、AIを用いてSNSのアカウントを量産する。そのときに、架空の名前や経歴を生成することによってSNSのアカウントを作り、そのたくさん作ったアカウントによってシェア、リポスト、いいねを自動的に行います。さらには、特定のキーワードを含む投稿に対して、すばらしい、共感したとコメントやリプライを自動投稿します。こういったAIを利用すると、見せかけ上の盛り上がりですとか、あるいは特定のエピソードが広く信じられているという誤った印象をつくり出すことができます。こういった水増し型フェイクというのは、二〇一六年のアメリカ大統領選挙などでも散見されたということが報告をされております。  二点目の事例でございますが、こちらはSNSや動画の収益化の問題です。アテンションエコノミーの弊害というふうに言うこともできると思います。  御記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、二〇二四年夏に南海トラフ地震臨時情報が発令されたときに、SNS上ではスパムの投稿が非常に増えました。一日で三十九万件余りになったというような報道もございます。これによって正確な情報にたどり着きにくくなってしまいました。  この背景には、SNSの収益化プログラムというものがございます。すなわち、フォロワー数やインプレッション、閲覧数が一定基準を満たすことで、自分の投稿に表示される広告からお金が受け取れるということができる仕組みが導入されました。その結果、閲覧数を増やそうとするアカウントが急増してしまいまして、いわゆるインプレゾンビ問題というものが発生いたしました。  これは、注目を集めること、アテンションが経済的価値に直結してしまったことによって、閲覧数のみが指標になってしまい、その内実、真偽の問題などは問われないという構造的な問題があります。先ほど御紹介したのはSNSの話でしたが、もちろん動画でも発生いたします。  次のページ、二ページ目、おめくりください。  視点の二番目としましては、ネットの広告のお話です。これに関しまして、私の主張としては、表現の自由に最大限配慮しつつ透明化を図るということができるのではないかということを御提案したいと思います。  山本参考人も述べられましたので確認程度としたいと思いますが、まず、国民投票運動というのは原則自由となっております。これは、主権者である国民の政治的意思の表明を尊重するということが制度趣旨となっているそうです。  ただ、例外的に、国民投票運動のための広告放送、テレビやラジオなどの広告放送は投票日の十四日前から禁止されております。この制度趣旨は、先ほどの繰り返しになりますが、国民の感情に訴え、扇情的なものとなる可能性のある放送メディアの広告については、国民が冷静に判断するために、投票の前に一定の冷却期間を置くことが必要であるとされたためというふうに説明されております。  なお、こちらはテレビですとかラジオが対象になっておりまして、新聞、雑誌等の広告は規制の対象外とされております。この説明としましては、見るか見ないかを読者が判断できるとともに、見た上で考えを比較することが比較的容易であるという活字メディアの特徴が挙げられておりました。  さて、この制度趣旨からすると、つまり、国民の感情に訴え、扇情的なものになる可能性というのは、山本参考人も指摘されていましたが、ネット広告にも当てはまるではないかという疑問、懸念が浮かんでまいります。  特に、先ほども紹介ありましたが、属性情報ですとかあるいは閲覧履歴などに基づいて個人の関心に合わせて表示の出し分けがされるというターゲティング広告というのがインターネット上ではできます。そうすると、その方の関心や感情に訴えるという精度、アキュラシーが高くなります。  例えば、これは、二〇一六年のブレグジット問題、EUの加盟継続の是非に関するイギリスの国民投票においてこういったターゲティング広告などが行われたことが問題になったということがありますので、非常に日本においても懸念すべき論点なのかなというふうに思います。  なお、二〇一六年のこうした問題意識を受けまして、実はEUでは二〇二四年に政治広告透明化規則というのを制定いたしました。こちらはまだ適用開始前なので、これからどういう運用をされるのかは注視しなければならないんですが、条文上どういうことが規定されているかを御紹介したいと思います。  まず、こちらにおいて、機微情報、政治的な関心ですとかあるいは民族の出自に関する情報に基づくターゲティング広告を禁止いたしました、原則禁止いたしました。さらに、注目すべきは、透明性確保のためのラベルを義務にしました。これは、すなわち、政治広告行為の発行者、パブリッシャーに対して、まず、これは政治広告ですよということを表示してください、さらには政治広告のスポンサーらの身元の情報も掲示してください、そして広告サービスの事業者が受領した金銭等の総額を示しなさい、さらには金銭等の出どころがEU域内か域外かに関する情報などの表示もしなさいということが義務付けられました。  この最後のEU域外か域内かというお話なんですが、こちらは関連する規定もございまして、EU加盟国の選挙や国民投票の三か月前から、EU域外の国から広告サービスの提供を禁止するという規定も導入されております。こちらは、制度趣旨としては、外国、特にロシアを念頭に置いているというふうに説明されますが、そういった干渉を防ぐためということが説明をされており、こういった欧州の新しい規則は注目に値し、参考に値するかと思います。  続いて、関連する視点三に参ります。  外国グループによる介入に関してですが、こちらも対策が必要ではないかというふうに考えております。外国グループによる介入、世論操作に関する報告例を幾つか挙げております。  例えば、二〇一六年のアメリカの大統領選挙に関しては、ツイッター社、当時ツイッター社だった調査報告によると、ロシアのプロパガンダを担当したとされる企業が偽のアカウントをたくさん作っていて、たくさんの投稿をしていたということが報告をされております。  また、二〇二四年五月にオープンAI社、チャットGPTを開発、提供している企業のオープンAI社が公表した報告書によると、北米から見て諸外国のグループがチャットGPTを悪用しておりました。そういった投稿されたコメントにおいては、様々な政治、欧米の政治など幅広い話題が扱われておりました。  次のページに、おめくりください。  先ほど古田参考人からもございましたが、実は日本もターゲットにされておったようで、福島第一原子力発電所の処理水放出問題に関する記事をチャットGPTで自動生成し、拡散を試みた形跡などが調査結果によって判明しております。  また、こういった外国企業、失礼いたしました、外国グループからの干渉は、偽情報とサイバー攻撃が連動するという特徴が最近指摘されております。  具体的に申しますと、二〇一七年のフランス大統領選挙の決選投票本当に直前に、数日前に、マクロン陣営への大規模なまずサイバー攻撃が行われまして、こちらによってメールや会計文書などの内部情報が外部に流出いたしました。その公開されてしまった流出情報の中には偽情報も追加されていたので、もう大混乱に陥っていったわけです。そして、しばらくたって後に、フランス外務省が、二〇一七年のこのフランス大統領選挙のときですとか、あるいは二〇二四年のあのパリ・オリパラのときにロシア軍がサイバー攻撃をしたと主張した、非難したということがございまして、こういった動向も注視すると、偽情報だけではなくて、同時にサイバー攻撃がその投開票日直前にやってくるということも警戒せねばならないということが言えるかと思います。  こうしたことは、いわゆるシャープパワーというふうに呼ばれています。シャープパワーとは、選挙介入や世論操作によって自国に有利な状態をつくり出していく外交戦略というふうに定義されておりまして、軍事力や経済力などによるハードパワー、文化や価値観の広報などによるソフトパワーの中間形態とされておりまして、何でシャープと名付けられたかと申しますと、鋭利な刃物、シャープな刃物で突き刺すように民主主義を弱体化することを狙っているからこのように名付けられております。  そして、シャープパワーというのは、国家安全保障上の大きなリスクとなっております。もちろん、自分の国の、自国のグループによる世論誘導なども非常に大きな問題ではございますが、シャープパワーというのは、対外的独立性という意味での主権を脅かすという問題も上乗せして存在するということで、大きな問題になるかと思います。  そして、このシャープパワーの対策というのは、民主主義国家にとって難しい、非常に難しい問題がございます。なぜかというと、シャープパワーが威力を持つのは、民主主義や表現の自由、政治活動の自由が重視されている情報空間だからこそ有効だからです。言い換えると、世論によって政治が動かない社会であったりですとか、又は検閲を含む表現規制をしていわゆる正しい情報だけが流通する社会であれば、偽情報ですとかこういったシャープパワーというのはそもそも問題にならないはずなので、民主主義に伴う構造的な問題に向き合わなければならないということです。  最後になりましたが、まとめとして申し上げたいことがございます。  個々の情報の真偽を検証したりですとか、個人のリテラシーの向上を目指したりするアプローチでは解消し切れない問題があるということを御紹介いたしました。そのため、情報流通の構造ですとか、あるいは広告サービス、収益の仕組みなど、エコシステムの全体を見ながら検討することも必要になってくると思います。  そして、自由な競争によって虚偽の情報や低質な言論が淘汰されていくという、いわゆる思想の自由市場論というのがございますが、それはリソースが十分であれば機能するかもしれませんが、国民投票のように六十日から百八十日間というすごく限られた期間で大量の情報が流通してしまうと、真偽の検証や内容の吟味が今にも増して追い付かなくなり、機能不全に陥ってしまう可能性があります。  また、ちょっとここまではAIやデータの暗い方向、リスクばかり指摘してまいりましたが、そういった民主主義の基盤を危うくする方向だけではなくて、先ほど紹介したボット対策など、民主主義的な価値を維持、充実させる方向にも技術というのは利用可能です。  インターネットに関する全般的な問題と国民投票に固有の問題とを区別しつつ、今後議論をしていくことが望ましいのではないかと思いますし、なので、例えば情報流通プラットフォーム対処法や能動的サイバー防御関連法などが既に成立したりしていますが、こういったところでどこまで対応できるかを視野に入れつつ、今後御議論いただきたいというふうに思っております。  私からは以上です。ありがとうございます。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。  なお、質疑が終わった方は、氏名標を横にお戻しください。  参考人の方々におかれましては、答弁の際、挙手の上、会長の指名を受けた後、御発言を願います。  それでは、質疑のある方は、二巡目以降の質疑を希望される方も含め、氏名標をお立てください。  まず、一巡目は各会派一名ずつ指名させていただき、質疑時間は答弁を含め各八分以内といたします。  佐藤正久君。

佐藤正久 自由民主党

○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  山本参考人、古田参考人、工藤参考人の皆様には、大変貴重な御意見をいただきましたことを感謝申し上げます。  まず、国民投票に関わる有料広告規制並びに国民投票運動等の資金に関わる規制について申し上げますが、そもそも国民投票運動は原則自由であるべきことから、投票の公正確保のための最小限の規制を課すということを基本に考えるべきであります。  しかし、昨今、政治家の発言を切り抜いて文字などを載せて編集する切り抜き動画において、偽情報や誤情報が拡散される例も急増しており、選挙等への影響力は増していると言われています。  切り抜き動画の中には、特定の政治家を応援する趣旨のものもあれば、批判を目的にフェイクニュース化しているものもあります。私の国会質問においても、趣旨とは違った感じの切り抜き動画も作成されました。  さらには、配信者は、アテンションエコノミーの仕組みの中で、訴訟のリスクが少なく、効率的に収益を上げる手法として考えているだけの可能性もあります。  そこで、山本参考人と古田参考人にお伺いします。時間の関係から、要点絞って御回答をいただければ幸いであります。  まず、切取り動画という情報の切取りからどのように憲法改正国民投票や選挙の公正性を守ればよいのでしょうか。国民投票運動や選挙の期間中の収益化への制限などについてはどのようにお考えでしょうか。  さらに、これらを考えるとき、候補者個人や政党を選ぶ公職選挙運動と、改正条文について賛否を問う憲法改正国民投票運動において、異なる点はあるのでしょうか。  山本参考人には法的規制の関係から、古田参考人にはファクトチェックの観点からお伺いいたします。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) 御質問いただき、ありがとうございます。  切り抜き動画への対応ということになりますが、恐らく名誉毀損として構成できるかというところが法的にはポイントになるかと思います。  国民投票法の場合は、現在のところ虚偽事項公表罪みたいなものはありませんので、そこで何か虚偽というものを違法化するような指定をして、それに該当するものであれば、その観点から対策が可能というふうに思われます。  結局のところは、このような違法化がどういう視点でできるかどうか、例えば名誉毀損、切り抜きが名誉毀損に該当するのであれば、それに該当するというふうに判断できるかどうかで対策が可能になってくるというふうに考えます。  以上です。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) それでは、ファクトチェックの観点から切り抜き動画への対策を申し上げたいと思います。  切り抜き動画を検証するときのパターンは決まっています。切り抜き動画をまず検索してみて、これ元ネタは何なのかということを探す。そうすると、元ネタ動画が見付かることがあります。そうすると、元ネタを調べてみて、例えば十分間話した中の十秒間だけを切り抜いて元々の意味と反対の発言にしていないかなどを調べるという手口です。なので、一番まず重要なのは元動画がちゃんとあるかです。これがないと、この切り抜きかどうかを調べることすらできないんですよね。  なので、私から皆さんに提案したいのは、もし自分に関する切り抜き動画を見付けて、これおかしいぞと思ったらすぐに反論をする。自分であれば、自分の元ネタ動画がどこにあるかを知っていることが多いんですよね。私たちファクトチェック団体は、それを探すところから始めないといけないという弱点があります。  なので、皆さんがまず積極的にそういうふうに、いや、ここに、ほら、ちゃんと全部の動画があるでしょうと、文字起こしこれですよと、これ切り抜かれて意味が反対になっていますよねという反論をする。そうすれば、そういったものがあれば、我々ファクトチェック団体もそれを追認することができるので、そういった対策をまず皆さん個々人がやっていくということも重要なのかなと思っております。

佐藤正久 自由民主党

○佐藤正久君 次に、インターネットをめぐる課題の中でも、生成AIによるディープフェイクについて、工藤参考人に伺います。  韓国では、ディープフェイクを利用した選挙運動の禁止条項が、二〇二四年一月に施行された改正公職選挙法に盛り込まれた。AIで生成され、本物と見分けが付きにくい音声や画像、映像コンテンツをディープフェイクと定義し、それらを選挙で使う行為を禁じているといいます。  昨日投票が行われた韓国の大統領選挙では、中央選挙管理委員会が公選法違反に当たる投稿の削除を積極的に進めることを確認しています。しかし、ディープフェイクを利用した選挙犯罪を捜査する警察などの機関は、削除要請しても、SNSを通じて更に拡散し、取締りが追い付かない状況から、全てのディープフェイクをチェックするのは困難と語っているとも報じられています。  生成AIが進化し、人間の発声が僅か数秒でもあれば音声クローンをつくることができる時代では、切取り音声どころではなく、全くゼロからフェイクの演説が可能となっています。生成AIがつくり出すディープフェイクには生成AIによるファクトチェックが考えられますが、生成AI対生成AIの際限のない攻防となりかねません。また、生成AIの利用を制限する法的制限も考えられますが、法制を整えるスピードよりも生成AIによるディープフェイクの開発スピードが速く、追い付くことが難しいのではないかとも考えます。  膨大かつ爆発的に拡散され、投票行動や投票結果に多大な影響を及ぼす可能性があり、しかもチェックを擦り抜ける技術の開発スピードが速い生成AIによるディープフェイクなどから、自由な技術開発と利用は尊重しつつも、どのように民主主義の健全性を守ればよいのでしょうか。工藤参考人、お願いします。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問ありがとうございます。  御指摘いただいたとおり、非常に難しい、イタチごっことなっている問題となっております。  御指摘いただいたとおり、AIがディープフェイクを見抜くという技術も開発されているところですが、十分な開発速度になっているかどうか心もとなく、また法制度対応も十分にはできていない、あるいはキャッチアップできない可能性があります。  ただ、対策をしないよりはした方がいいということは確実に言えると思いますし、また、たとえイタチごっこだったり見逃したものがあるとしても、一般的な信頼がその対象、ターゲットとなった著名人の方にあるのであれば、その方自身が御説明して信頼を回復するということも考えられますので、言論による対抗ということもまた一つ可能性としてあるのではないかと思います。  以上です。

佐藤正久 自由民主党

○佐藤正久君 終わります。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 小沢雅仁君。

小沢雅仁 立憲民主・社民・無所属

○小沢雅仁君 立憲民主党の小沢雅仁でございます。よろしくお願いします。  三人の参考人の皆さん、本日は大変ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。  まず、山本参考人にお伺いをしたいと思いますが、山本参考人の資料の四ページですね、正確な情報やファクトチェックの記事の発信によって、偽情報等に対抗する言論を増やすことに関する対策のところでちょっとお伺いをしたいと思いますが、このフェイクニュースや偽情報の流布等に対抗していくということは非常に難しいというふうに考えておりますけれど、この国民投票広報協議会とファクトチェックを行う民間団体との連携ということも重要になるのではないかなというふうに思っておりますが、そういったことに対する先生のお考え、また課題等があれば是非御示唆いただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) 御質問いただき、ありがとうございます。  この点はおっしゃるとおりでして、政府機関とファクトチェック機関の連携というものは必要になってくるだろうというふうに思われます、済みません、協議会とファクトチェック機関との連携というものは重要になってくるかと思います。  課題として挙げられるのは、これは恐らく透明性の観点かというふうに思われます。つまり、一般有権者からして、ある種、裏取引が行われているんじゃないかとか、そういったことを疑わせるような外観を作出しないというところが重要でして、連携の在り方が透明になっていることがポイントになるのかなというふうに考えております。  以上です。

小沢雅仁 立憲民主・社民・無所属

○小沢雅仁君 ありがとうございます。  次に、古田参考人にお伺いをしたいというふうに思いますけれど、先生は、情報インテグリティシンポジウム等で、この情報インテグリティー、調和の取れた情報空間をどうつくるかということをお話をされているというふうに思いますが、この観点でどういうことが重要なのかをちょっと分かりやすくお話をいただきたいということと、もう一つ、この偽情報がなぜ拡散をして、それがその国民というか、それぞれの人がやっぱり信じてしまうということがあるんですけれど、この偽情報等に対する対策、国民一人一人が、自分が自分自身を守るためにどのような知識を持たなければならないか、この二点について古田参考人にお伺いしたいと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) 御質問ありがとうございます。  一つ目なんですけれども、この情報インテグリティーという考え方なんですけれども、これ国連が推し進めている考え方ですが、単に偽情報、誤情報に限らず、誹謗中傷とか違法情報もそうですし、また真偽不明な、質の分からないような情報が大量にある、それによって、人々が自分の必要とする、しかも質が担保された情報を自分が入手したいときにちゃんと入手できる環境になっていない、これが大きな問題としてあります。なので、それを実現していく、これが情報インテグリティーという考え方なので、まさしく総合的な対策が必要になってくるかと思います。  二つ目なんですけれども、なぜ偽情報が広がるのか。一つ、この分野、我々の世界ではもう認知科学の世界に入ってきていて、人間、人誰でも、僕もバイアスがあります。自分の考えに近い情報は、それが質が高かろうが低かろうが正しく見えてしまう、思えてしまうというバイアスが人間には備わっています。このバイアスと今のそのソーシャルメディアのプラットフォームのアルゴリズムが非常に相性がいいんですよね。いわゆるフィルターバブルであるとかエコーチェンバーによって自分に近しい情報が流れてくる、それが自分の中のバイアスと相まって、どうしてもその一方向に進みがちになってしまうというところに大きな問題があります。  なので、こういうアルゴリズムの透明化であるとか、今、情報的健康という言葉もありますけれども、よりバランス良く情報を摂取できるような環境を整えていかなければならない。それは、まさにこの情報インテグリティーの考え方の方向性とも一致しているのかなというふうに思います。

小沢雅仁 立憲民主・社民・無所属

○小沢雅仁君 ありがとうございます。  次に、工藤参考人にお伺いをしたいというふうに思いますが、先生が、これ多分二〇一八年だと思うんですけれど、「AIで加速するフェイクニュースとシャープパワー」という、ちょっと拝読をさせていただきました。七年前のことになると思うんですが、その中で先生は、ディープフェイクと呼ばれる技術群が非常に台頭していると。こういったものが民主主義を危うくすると。民主制では、民意が政治の在り方を決めることになっていると。フェイクニュースによって有権者の望む選択肢が誘導されているならば、その建前が覆されることになると。そこで、フェイクを見破るAIの開発も急がれているわけでありますけれど、このフェイクニュースを作る側と見抜く側でAI同士の競争が生じつつあると。  まさしくそのとおりに今なっていると思うんですね。もう先生、七年前にこういうふうに警鐘を鳴らしているわけでありますけれど、この七年間で、先生がこの時点でこういったことを書かれて、今七年たって具体的にどういうふうな変化が起きているのかどうか、少し具体的に教えていただければ有り難いなと思います。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。また、私の記事を読んでいただき、大変感謝いたします。  七年前に書いたときと難しさは変わらないまま、巧妙化が非常に進んでおります。御案内のとおり、ディープフェイクの動画というのは、日本の著名人を対象とした動画というのも流れているなど、かなりすごく身近なものになってまいりました。  これに対して、例えば、先ほど古田参考人もおっしゃったとおり、元ネタ動画を特定してファクトチェックをする、これは人力でやられているんですが、それだけじゃなくて、オリジナルの記事や動画を特定して、それが改ざんされていないかどうかを検証するとか表示するような技術、改ざんされていたら警告を発するような技術なども開発をされているにはいるのですが、それを更に上回るような、回避するようなAIがまた更に開発をしており、いつまでもイタチごっこは続いていますが、大切なことは、そういった最新技術の動向を注視し、必要に応じて応用していくというか、取り入れていくことだと思います。

小沢雅仁 立憲民主・社民・無所属

○小沢雅仁君 終わります。ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 谷合正明君。

谷合正明 公明党

○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  山本参考人、古田参考人、工藤参考人におかれましては、大変に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  現在、私、公明党の広報委員長もしておりまして、先般、党としてAIファクトチェックを導入するということを公表した次第でございまして、大変参考にさせていただきました。  ソーシャルメディアは社会に利益をもたらす存在にも、また反社会的な存在にもなり得るということで、これは台湾のオードリー・タンさんの言葉であります。その反社会的な存在の象徴としてこの偽情報、誤情報が選挙におけて民意をゆがめるという、かねないということでありますけれども、例えばルーマニア大統領選につきましても、憲法裁判所により選挙無効の判断が示されまして、再選挙が行われるという事態になりました。こうした同じことが国民投票においても懸念されるということであります。  言うまでもなく、選挙、国民投票においては、国民が正確な情報に基づいて投票を行い、国民の意思が正確に投票結果に反映されなければなりません。虚偽の情報により民意がゆがめられ、又は民意がゆがめられたとの疑いが生じるだけでも投票結果の正当性が疑われ、社会の分断を招きかねません。  そこで、まず山本参考人と工藤参考人に伺います。  現在、昨年の兵庫県知事選挙等を受けまして、公職選挙におけるSNS上の偽情報に対する措置が議論されております。まだ具体的な結論が出ていないところではありますが、偽情報対策の観点から、選挙と国民投票の場面において対応の差異はあり得るでしょうか。例えば、公職選挙は定期的に実施されますが、国民投票はそうではないという違いがあります。代表者を選ぶ間接民主制と憲法改正案に対する賛否を問う直接民主制の違いもあります。外国勢力の干渉の可能性や影響の大きさなどの違いを踏まえ、そうした違いを踏まえながらですね、規制の在り方に差異は生じるのか、お二人の参考人の御見解を伺いたいと思います。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) 御質問いただき、ありがとうございます。  この両者の差異というところはかなり重要なポイントだというふうに考えております。  私の見解としまして、まず一点目としては、既に御指摘もいただいたところではあるんですけれど、その投票の対象が違うというところで、偽情報として何を偽情報あるいはフェイクニュースだというふうに考えるか、絞り込むかというところで大きな差が生まれてくるかというふうに思います。  特に、国民投票の場合は、これに関する論点と一般的に抽象的に言えたとしても、そのうちの何をフェイクニュースだというふうに法的な規制を行う場合にはそれを指定するのかというところに大きな差が生まれてきます。ここの絞り方はかなり慎重に検討しなければならないというふうに考えております。  もう一点、恐らく違うとした場合としては、その運動期間、選挙運動と比べまして国民投票運動の期間の長さというところの違いはあろうかと思います。この長さの部分が偽情報等の影響をどのように増幅するのか、あるいは衰退させるのかというところは今のところは明白には分からないというところになりますので、その観点をどう評価できるかみたいな点も検討する余地があるのかなというふうに考えております。  以上です。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  山本参考人から憲法理論面で御指摘があったので、私からは実務面で気になっていることについてコメントをしたいと思います。  国民投票というのは候補者なき選挙だというふうに言われることがございます。あるいは、候補者なき投票だと言われることがございます。これの含意といたしましては、先ほど古田参考人が、自分の動画であれば元ネタを確認することが容易であるというような御指摘があったんですが、このように、誰が一時的な責任を持って、あるいは誰が強い関心を持って偽情報に対処していくべきかという、そういうステークホルダーの構造の違いがあるのかなと思いまして、その点、多分実務的には問題になってくるかと思います。  以上です。

谷合正明 公明党

○谷合正明君 ありがとうございます。  そして、古田参考人にお伺いしたいと思います。  ファクトチェックに関しまして、憲法改正案が発議されますと国会には憲法改正案の広報を行うための国民投票広報協議会が設置をされます。この広報協議会が担うべき役割の一つとして広報協議会が自らファクトチェックを行うべきとの意見があります。一方で、広報協議会自身がファクトチェックを行うのは控えて、ファクトチェック団体との連携にとどめるとの意見もあります。  国民投票の際に広報協議会がファクトチェックに関してどのような役割を負うべきなのか、又は負うことが可能なのか。また、そうした場合、その広報協議会の体制等について御見解があれば伺いたいというふうに思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  まず、広報協議会が正確で分かりやすい情報発信をすることになるということを否定する人は誰もいないと思います。そうなると、実は、この正確で分かりやすい情報発信とファクトチェックの違いって何というところが、結構判断が難しいところが出てくると思うんですよね。  私は広義のファクトチェックと狭義のファクトチェックという言葉を使うんですけれども、狭義のファクトチェックというのは、IFCN、国際的なルールで定められたような独立機関が公正公平に、非党派性をもってやるような、しかも、いろんなルールにのっとってやる、これが狭義のファクトチェックです。  それでいうと、広報協議会はそもそもその定義に当てはまりません。しかし、じゃ、広報協議会が世の中に広がっている国民投票に関する誤解についてQアンドAの記事を書いたとします。じゃ、それはファクトチェックなんでしょうか。  私は、これ、もちろん狭義のファクトチェックにはならないと思うんですけれども、QアンドA形式で記事書いたら、それ、広い意味で間違った情報を検証しているというふうに、誤解に関してより正しい情報提供をしていると言うこともできると思います。なので、自分たちが何をやっているのかということをきちんと定義付けた上で分かりやすく情報発信をするというのは、まず大前提としてどんどんやるべきであろうと思います。  次に、ファクトチェック団体との連携につきましては、先ほど山本参考人の方からも話がありましたように、それが、何か不透明で、どうも政府とファクトチェック団体が裏でつるんで国民をだまそうとしているみたいな見られ方をするのは大問題なわけですよね。そういった見られ方をしないようにした上で、何らかの形で連携をする、例えば意見交換会を設けるとか、そういったような連携というのは私はされてしかるべきではなかろうかと思っております。

谷合正明 公明党

○谷合正明君 ありがとうございました。  今日、今いただきました意見を踏まえて更に議論を深めてまいりたいと思っております。  ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 片山大介君。

片山大介 日本維新の会

○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  先生方、今日はありがとうございました。  まず最初に、山本参考人にお伺いしたいと思います。  山本参考人は、総務省のデジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会の構成員でありましたが、そこのとりまとめも読みましたが、デジタル空間においても、やはり表現の自由とそれから知る権利というのは保障されなければいけないということで、私も全くそのとおりだと思います。  ただ、この国民投票の場合は、先ほど先生御自身がおっしゃられたように、仮にその偽情報等の影響を受けて有権者が投票したことが事後的に明らかになったとしても投票結果は覆ることができないという、多大な影響を及ぼすということがある。  ルーマニアのケースはあれは再選挙になりましたけれども、今回の日本の国民投票はそうなるかどうか分からないと。そういうことにおいても、やはりその国民投票に、憲法改正における国民投票においても、同じようにやっぱり表現の自由というのは保障されるべきというか、考え方はどのように思えばよろしいでしょうか。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  ここのバランスをどう取るかというのは、まさに難しい問題ということになろうかと思います。  もちろん、偽情報やフェイクニュースの影響下の下で決定された国民投票の結果というものはかなり疑わしいことになるわけですけれど、反対に、その削除の側とか対策の側に過剰に介入してしまえば、それは本来持ってしかるべきだった影響力を排除してしまうことになるはずで、それはそれで、反対の意味で、その国民投票の結果に疑義をもたらすということになろうかと思います。  したがって、このバランスの中で適切な対応策を見付けるというのが目下の課題となっておりまして、その意味でやはり難しい問題なんですけれど、法的にかなり強力な義務付けをできる範囲では、かなり違法化するようなレベルでのフェイクニュースや虚偽情報というところは絞り込まなければ反対の懸念を生じさせかねないのではないかというのが本日の私の意見だったということになります。  以上です。

片山大介 日本維新の会

○片山大介君 ありがとうございます。  次に、先生のこの資料を見たら、これ先生の場合、偽情報と誤情報を区別されていらっしゃる。偽情報というのは、やっぱり意図して誤解や誤認させるために発信したもの。誤情報というのは、意図を目的としないけれども、誤解、誤認させてしまったもの。  これ、今、ずっと三人の先生方、偽情報という形で対応されていらっしゃいますけれども、これ誤情報についても同じ対応をせざるを得なくなるのかなというふうには思いますが、そこら辺どのようにお考えでしょうか。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  この点は対策の仕方によって位置付けが変わるかなというふうに考えておりまして、例えば、違法化した場合に刑事責任を問うということになってきますと、意図の要件なしに問うということはかなりやり過ぎではないかという観点がある一方で、他方で、意図の以外の部分には該当する情報であれば削除という可能性があるわけですけれど、削除判断をする際に、意図まで踏み込んで認定をして、それがなければ削除できないということになると、削除可能な期間というものは相当後ろに倒れていくということになるかと思います。  そういう意味で、この偽情報と誤情報で意図の要件をどの局面で考えるべきなのかということが異なるというふうに考えております。  以上です。

片山大介 日本維新の会

○片山大介君 ありがとうございます。  次、工藤先生にちょっとお伺いしたいんですが、ターゲティング広告、おっしゃるとおり、これも多大なる影響を与えると思います。  ただ、それ先生が言われたように、このターゲティング広告によって、これ思想の自由市場論というのはリソースが十分であれば機能するかもしれないけれども、この短い期間だったらそれは機能しないと、そこまで影響を及ぼすことになると思いますが、このケンブリッジ・アナリティカ事件もそうでしたけれども、国民投票においては、このターゲティング広告というのはどういうふうに、何というのか、規制を掛けるというんでしょうか、どういうふうにしていったらいいというふうにお思いでしょうか。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  御指摘の点、非常に難しい問題をはらんでおり、恐らくいろんな選択肢があり得ると思います。  途中で御紹介いたしましたEUにおける政治広告透明化規則というのが一つ参考となる事例になるかなというふうに思っておりまして、先ほど御紹介したとおり、一部の機微情報を利用する形でのターゲティング広告を禁止し、かつ、ちょっとレジュメというか資料には書いていないんですが、本人の同意を確実に取るということを、明示的に取るということを義務付けていたりします。かつ、こちらは、政治広告、投票期間であったりとか選挙期間であったりするというところに限定されたものとして許容されているというふうに理解をしておりますので、こういった期間を区切って、かつ限定する趣旨で規制、規律を導入するということは一つの選択肢としてあり得るかと思います。  他方で、もちろん政治活動の自由、営業の自由、もろもろの自由を制約することにもなりますので、そういったところとのバランスを鑑みつつ、あるいは実務上その広告の事業者との連携というのが必須になってまいりますので、そういったところに対して実践性というか、本当に実効性を持つのかということも考えながら規律の在り方を考えていくべきかと思っております。  以上です。

片山大介 日本維新の会

○片山大介君 ありがとうございます。  あと、同じく工藤先生にお伺いしたいんですが、海外からの介入ということについても聞きたいんですが、偽情報の場合は、国内の国内発の偽情報もあれば、海外からの国内に対する介入という意味での偽情報もあるわけでして、これが同じような形でやはりそれに対しては対処していくべきなのか。やはり海外からの介入ということになると、それは表現の自由だけじゃなくて安全保障上のリスクにもなる、それから先生自身が言われた対外的独立性の主権という意味での問題になってきます。  そうすると、やっぱり対応は偽情報でも国内、国外で変えていった方がいいと思うのか、そこら辺どのようにお考えでしょうか。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  これは、完全に私見、私の見解でございますが、対応はある程度は変えるべきではないかというふうに思っております。先ほどおまとめいただいたとおり、主権という問題もございますし、やはり自国民であれば多少仕方ないというか誤解が生じても許容可能かもしれません。海外となると許容可能性が一段と厳しくなってまいると思いますので、別途規制、規律の在り方はあり得ると思います。他方で、もちろんこちらも営業活動の自由とか表現の自由、政治活動の自由に関わってくるので、あくまでもバランスの中で選択していくべきかと思います。  以上です。

片山大介 日本維新の会

○片山大介君 ありがとうございます。  最後に、古田参考人にお伺いしたいんですが、このやっぱりファクトチェックはすごく大切になってくると思うんですが、そうすると、今、先ほどもあったんですが、広報協議会の中でやるというのもあるんです。なかなかそれも難しいというふうに思いまして、そうすると、民間のファクトチェック団体がどのように関与していけばいいのかというのをちょっと改めてお伺いしたいのと、あともう一つ、先生はやはりその被害を受けた人が一番分かるとおっしゃったんですが、そうすると、ファクトチェックは基本的に被害を受けた人が親告する、まあ親告罪のような扱いでやっていかないとファクトチェック対策はできないのか、この二点、お答えいただければと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  例えば、台湾などは比較的官民連携が進んでいる国として知られています。  私たちも台湾の団体とはよく協力関係を結んでいろんな情報交換をしているんですけれども、その台湾において、じゃ、政府との間でどのような連携をしているのかというと、政府側が間違った情報が流れたときにファクトチェック団体側の問合せにすぐに答える、こういうふうな連携が、地味ですけど、非常に効果的なんですよね。  私たち、実際、政府とか省庁に問い合わせると、たらい回しにされたり、全然その返答が返ってこないなんということが、各政党の方に問い合わせてもよくあります。なので、そういったところでできるだけ協力いただくということが非常に重要なのではないのかなというふうに思っております。  済みません、あと二つ目の質問は何でしたでしょうか。(発言する者あり)  その点に関しては、これは特に政治家の方々は標的になりがちで、なおかつ政治家の方々は自ら発信する力があるので、そういった方々に関しては、まず第一対応はもう政治家の方々自らされた方が効果的であるというのが間違いないと思います。  でも、これは、いろんな方々がいらっしゃって、じゃ、市民が自分で声を上げる、例えばアカウントがあるかとか、ない、ウェブサイトもない、そういった方々はもちろん自分で自力救済は難しいと思うんですよね。  でも、政治家の方々が第一対応を取るとすると、それはファクトチェック団体がファクトチェックするのを待つよりも先に、自らの話であれば一番最初に確知するのは御自身です、若しくは秘書の方々が確知をするはずなので、その段階ですぐに対応するというのが一つ対策としてはあり得るのかなと思います。

片山大介 日本維新の会

○片山大介君 ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 上田清司君。

上田清司 国民民主党・新緑風会

○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。  三人の参考人の先生方には、今日はありがとうございます。  まず、山本参考人にお伺いしたいと思います。  政治はある意味ではエリートのための政治であったところが、普通平等選挙権が入って、危惧されながらも、国民のもの、大衆のものとして政治が執り行うことができるようになった。当然、政治に関する知識等々がレベルアップしていく、そのプロセスの中でそれが確立してきたものだと私は認識しております。  同じように、新しい環境が生まれていると。デジタル技術あるいはAI生成、この新しい環境の中で政治をどう組み立て直すかというのは極めて重要な案件だと思いますが、今日は、本当に意義の深い話を伺いました。  先生の問題の意識の中で、選挙時を含めてデマあるいは偽情報等々は今までもあったと、しかし、今までと比べると、もう比較にならないような弊害が、可能性が出てきていると、こういう認識を持っておられるところですが、国民投票法というこの大きな枠組みの中で先生が思われるところの一番危惧されるところ、何が一番今後国民投票法において問題になるか、端的に言えば何が一番ポイントかということを改めて伺いたいと思います。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  いただいた御質問、非常に重要なんですけれども、これだというところがなかなか明確にお答えしづらいところではあるんですけれど、そうですね、国民投票の場合、論点の設定が賛否を問うという形の問題になるかと思いますので、そういう意味では、ある種、偽情報が出回る危険性が高いのではないかという指摘はあるところになっております。  というのは、対立、二者間の対立をあおってナラティブ構造をつくり出すという形での偽情報の反映というのは、パターンとしてはやはりこれは非常に多いということになりますし、さらにアテンションエコノミーという話も途中ありましたけれども、そういった形での情報というのは今の流通に乗りやすいという、アルゴリズム的にはそれが乗りやすくなってくるという事情もあります。そういった意味で、国民投票の場合、それが起こりやすいのではないかという一般的な指摘があるというところが一つです。  もう一つは、日本においては国民投票がこれまで実施されていないというところで、この投票期間中に有権者の行動がどういうことになるのかというのは余り予測できないというところで、偽情報の対策等もどういう形のものが効果的になり得るのかというのがやや予測しづらいところがあるというふうに言われます。  国民投票における憲法改正が頻発されているアイルランドみたいな国ですと、そういったものに対する、国民投票に関する文化みたいなものが形成されていて、それによって健全な国民投票環境があるんだということが言われるわけですけれど、日本においてそれと同じようなものがあって、対策をそこまで踏み込んでやらなくても十分に成立するのか、あるいは対策しなければ問題が起こるのかということが現状では読めないというところで、その中でどういった対策を考えなきゃいけないのかというところが重要なポイントになるかと思います。  以上です。

上田清司 国民民主党・新緑風会

○上田清司君 ありがとうございます。  古田編集長にお伺いしたいと思います。  資料で、ファクトチェックが非常に不可欠だと、でもそれだけじゃ不十分と。とりわけ、うそは一秒で伝わり、ファクトチェックそのものは時間が掛かる、本当にすばらしい言葉だなと思いますが、まさにこのファクトチェックをする機関の数だとか、そうしたことを考えると、今、世の中にあふれている、古田編集長から見て、そうしたものを常にチェックしていくこのレベル、規模というのは、今の日本ファクトセンターの規模と比較したらどのくらい必要なのか、それをちょっと御教示いただきたいと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  例えば台湾を見てみます。台湾には台湾ファクトチェックセンターというところが二〇一八年から活動をしておりますが、組織規模でいうと、我々の編集部の、そうですね、四倍ぐらいの大きさになっています、人数でいうと。で、やっぱり一番大きなファクトチェックセンターが、日本だと日本ファクトチェックセンター、台湾だと台湾ファクトチェックセンターで、そこでその規模感がそんなに差があるというのがまず第一問題。  次に、台湾は、その台湾ファクトチェックセンター以外にもそれぞれ個性的なすばらしい活動をしている団体があります。例えばコファクトという団体は、LINE上にシステムを組み込んで、そこで皆さんから、こういう情報が流れているけど本当というふうな、問いを集める、それをプロのファクトチェックセンターの人たちと共有をして、それによって自動で、あっ、それはもうファクトチェックされているよって返すようなシステムです。そういうふうな、草の根で、みんなでファクトチェックをやっていきましょうみたいな体制をテクノロジーも活用してやっている、そういうふうな団体も複数あるんですよね。  なので、そういう団体とかも日本でどんどん生まれてこないといけないと思うんですが、同時に、じゃ、日本ファクトチェックセンターの規模が今から十倍になっても、我々みたいな組織があと二つ四つできてきたとしても足りません。結局のところ、ファクトチェックだけでは問題は解決しないということはもう変わりがないので、そういったファクトチェックなどで集まった知見を基にした実践的なメディアリテラシー教育であったり、法的な規制の議論であったり、AIツール開発を進めないといけないというところにまた立ち返ってくるのかなと思います。

上田清司 国民民主党・新緑風会

○上田清司君 ありがとうございます。  例えば、ファクトチェックのセンターが公のものでつくられるというようなイメージというのはあるんでしょうか、それとも諸外国においてはそういうものがあるんでしょうか。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) いわゆる国家によるファクトチェックみたいなものかなと思うんですけれども、そういった体制を取っている国もあります。例えばシンガポール、アジアでいうと、みたいなところではそのような体制もあります。ただし、例えばアメリカであったりヨーロッパの諸国の中で、国によるファクトチェックを前面に押し出しているというところは私は寡聞にして知らないです。むしろ、やっぱりファクトチェックというものは、基本的には民間が中心になってやる。  ただし、私が先ほども申し上げたように、政府、公的機関が分かりやすく信頼性の高い情報発信をするというのは当然あるわけです。例えば、新型コロナのときのワクチンに関する情報発信ですね、諸外国ではよくQアンドAのコンテンツを作っていました。ワクチンの中に水銀が混ざっていて危険といううわさがあるけど本当というQに対して、Aで、いや、大丈夫です、安全性は確認されております、水銀というものは一部製作過程で使われているものですみたいな、そういうふうなQAは出ているんですよね。そういったものというのは、広義のファクトチェックとして、政府が分かりやすく情報を伝えるために出すのであれば、そういったものはあってしかるべきではないのかなと思います。

上田清司 国民民主党・新緑風会

○上田清司君 ありがとうございました。終わります。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 仁比聡平君。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  参考人の皆さん、本当にありがとうございます。  まず、古田参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、冒頭、自民党の佐藤さんからも、昨日投開票の韓国の大統領選挙について工藤参考人宛てに御質問がありました。ディープフェイクも含めて膨大な偽情報が拡散をされて、残念ながら、ファクトチェックだとか、あるいは候補者陣営の削除要請だとか、こうした取組も全く追い付かなかったという報道があったところなんですけれども、古田さんの方で御存じの実情とか、あるいはそうした取組をやっている現場の苦労とか、こうした事態が、先ほど来お話のあるトランプ一期目のとき以降これだけ問題意識が語られながら、今日なおやっぱりこういう状態が起こっていると、その深刻さなどについて御認識を伺えればと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  私、この分野でもう十年やっておりまして、その世界的な会議にも毎年のように出ているんですけれども、そのファクトチェックにしろメディアリテラシーにしろ生成AIの開発にしろ、対策は広がっています。ただし、状況悪化のスピードの方が圧倒的に速い。なので、状況は十年間悪くなり続けているというふうに言えるかと思います。  韓国の事例でいいますと、韓国でも、もちろんその生成AIもそうですし、生成AI以外のフェイクも大量に拡散していました。韓国で一つ課題になっていたのは、韓国で最も大きかったファクトチェック団体は、ソウル大学ファクトチェックセンターというところが一番大きい組織だったんですけれども、去年活動停止になっていたんですよね。その理由というのが、活動資金の大幅な部分を出していたネイバーからの資金提供が止まった、それによって僅か半年でもう活動停止に追い込まれた。  実はファクトチェック団体ってそれぐらいもう資金が危うい。なので、例えば、メタがこの度アメリカで第三者ファクトチェックプログラムというものを停止しました。それによって、そこからお金を得ていたアメリカの団体の中では、もうかなり存亡の危機に出ているところもあります。  それぐらい、この偽情報、誤情報問題の最前線で闘っている我々ファクトチェック団体というのは非常に体力が弱い。なので、状況は悪化している割に対策は全然広がっていないというのが現状なのかなと思います。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 そこで、山本参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、つまり深刻な事態だと思うんですよ。  国民投票に限る話じゃなくて、そもそもこうした巨大なデジタル言論空間みたいなものが生まれ、その中でプラットフォーマーだったりそのフェイクをつくる人だったりというのが、先ほど来議論のあっているようなその収益システムなんかも含めてですね、という、そういう空間になっているという下で、二年半前なんですけれども、衆議院の憲法審査会に山本龍彦さんが参考人においでになって、このデジタルデータの利活用と個人情報保護という観点でこうおっしゃっているんですね。自分のパーソナルデータがどの範囲で共有されて誰に共有されているのかを明確に知っている方というのは少ないのではないかと、そういう意味で、データに関する個人の主体性というのが失われつつあると、そういう世界になっているのではないかと。  私、もっともだと思うんですよ。個人情報の保護、あるいは自分のパーソナルデータが知らないうちにターゲティングだとか、あるいはそうしたアルゴリズムだとかというところに活用されてしまっているという状況そのものを変えないといけないんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  これは非常に難しい問題かと思います。  というのは、このパーソナルデータといいましても、どこに焦点を当てるかによってはかなり違ってくるということでして、例えば機微情報ですとか、まさに今回のようにプロファイリングをされてターゲティングに使われるといったような意味では、基本的にはこれは望ましくない方向性に行くわけですけれど、一方で、圧倒的な情報過多になっている状態において、ある種、情報のレコメンデーションがされなければ、今、我々は望ましい情報摂取行動をするのも難しいというような状況に陥っているかと思います。  そういった中で、どの部分が悪性な利用であって、対処すべきであって、どの部分が現在のデジタル社会の恩恵であって、我々が得ている利益というものを守るべきなのか、この線引きを考えていかなければいけないということで、何というか、大上段の議論をしづらくなっているのが現状だというふうに認識しております。  済みません、雑駁ではありますけれど、以上になります。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 そこで、工藤参考人に、先ほど御意見の中でもEUの取組などが紹介をされたんですけれども、今のお話のようなプロファイリングで他人から自己決定されてしまってとかいうみたいなことにならないように、問題意識とそれから取組がEUでは行われてきていると思うんですよ、成功しているかどうかはこれからだとしても。日本でそうした議論が極めて貧しいのではないかなと。むしろ、デジタルデータの利活用だとかビッグデータをどう経済活動に使うかとかみたいな議論の方が強くなっているかなと僕は思うんですけれども、その辺りは、工藤さん、いかがでしょう。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  私も御指摘あるいは御理解をすごい共感するところ大でございまして、なぜかと申しますと、欧州の方々、政府関係者もそうですし学術関係者とも話していると、それこそ憲法的価値についてすごくたくさんしゃべった上で、でも、その上で、AIやデータをどう利活用しつつ、人間の尊厳や憲法的価値、民主主義的な価値をどうやって守っていくのかというのを、政府当局もそうですし、あと技術者の方もよく考えておしゃべりになっているという印象を受けておりまして、そういったいわゆる理念のお話ですとか大文字の憲法論みたいなところが確かに日本においては活発ではない、少なくとも欧州と比べてというところが、現状のその対策の少なさであったりとか議論の薄さというところに反映されている可能性があると思いますので、このような場が非常に貴重だというふうに感じております。  以上です。

仁比聡平 日本共産党

○仁比聡平君 終わります。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。

山本太郎 れいわ新選組

○山本太郎君 れいわ新選組、山本太郎と申します。  工藤参考人に。ありがとうございます。  「キャンペーンと「イメージ政治」」という論考で、国民投票法は公職選挙法上の規制に比べて制約が緩やかで、広告代理店などにとって国政選挙とは異なるビジネスチャンスに映るだろう、世論調査などマーケティングや広報の知見と技術が駆使され、データに基づいて共感を醸成し世論を動かすであろうことは想像に難くない、そして大阪の都構想の是非を問うという部分に関して、大阪の住民投票において見られたような相当程度の資金と体制を整えた投票運動が、国民投票の際にも全国規模で展開されることになると予想されると述べられております。  例えばですけれども、この憲法改正というふうに考えた場合に、この憲法改正というところに賛成されている方々、もっとやっていった方がいいよということをおっしゃっている中には、やっぱり経団連という存在があるんですね。二〇〇五年以降繰り返し、憲法改正、そのための要件緩和などなどを要求していると。例えば、憲法九条の改正であったり集団的自衛権行使をできるようにということですね。恐らくこの背景という部分には、武器輸出などの拡大によってビジネスチャンスを広げたい思惑があったんだろうというふうに思うんです。こういった要望、要求は自民党の改憲草案にも忠実に反映されていると。ある意味で、こういった太客というものを持つ勢力ですね。  そう考えた場合に、国民投票法には広告宣伝の規制がほぼないと。本日の議論というのは多くが、先生方教えていただいたことの多くの内容が恐らくネットを中心とした話だと思うんですけれども、この問題というのは、国民投票に関しては恐らくテレビであったり新聞であったり様々なメディアにもこれは注目をしていかなきゃいけないところかなというふうに思うんです。  まさにこの改憲というタイミングというのは、メディアにとって特需という言葉がぴったりはまるんだろうと私は考えています。資金力のある勢力によって一方的な意見が一日中垂れ流される、そういった事態が起こるということは容易に想定できるだろうというふうに私は考えるんですけれども、この国民投票におけるCM規制などが不十分なままで、一方で、国会の中では改憲の発議が急がれるような議論が進んでいる状況というものをどういうふうにお考えになりますか。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。また、私の古い論文をお読みいただき、大変感謝いたします。  その論文を書いたときと基本的な認識は変わっておりませんで、公選法と比べると、やはり国民投票法というのは少し若干緩い、特に広告規制について緩い部分があると理解しており、その点について、どういった在り方かは別論として、何らかの、特にインターネットの広告においては規律が必要であるというふうに考えております。  また、適切に御指摘いただいたとおり、その資金の方というか、その元々のお金がどれぐらいあるかによって広告出稿料を大量に出せるか出せないか、それによって世論をどれぐらい影響を与えられるかというのは、インターネット広告だけではなくて、むしろマスメディアに対する広告の方が深刻な課題に映っていると思います。  ですので、ここでもう一回注目すべきは、欧州のまた政治広告透明化規則の話なんですけれども、その表示義務の中に、広告サービス事業者が受領した金銭等の総額が表示するように義務付けられていたりですとか、あるいは広告のスポンサーが誰かというところも表示せよ、あるいは記録して保存せよということが義務付けられているということは、非常に選択肢の一つとして参考に値する、注目に値すると考えております。  以上です。

山本太郎 れいわ新選組

○山本太郎君 ありがとうございます。非常に参考になります。ありがとうございます。  古田参考人にお聞きしたいんですけれども、実際に大手メディアに勤務されていたという御経験があって、勤務されていた先ということの限定ではなくてメディア一般にということからの御経験でお聞きしたいんですけれど、例えばですけど、メディア側からスポンサー企業に対してへの忖度みたいなものって感じることはありましたか。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  大手新聞、まあ朝日新聞のことだと思うんですけれども、もう辞めて十年がたちます。私自身が記者として十三年間、現場の記者、社会部や国際報道部、その後デジタル編集部に二年半おりましたけれども、私がその十三年間で自分が書いた記事に関して一度でもそのようなプレッシャーとか忖度を感じたりしたことはないです。なので、その範囲に関しては、私ははっきり言えるかなと思います。

山本太郎 れいわ新選組

○山本太郎君 ありがとうございます。  例えばですけど、今のはメディア側からスポンサー企業に対しての気遣いみたいなものは感じたことがないというお話でよろしかったですよね、お答えいただいたのは。  一方で、例えばですけれども、政治であったり、スポンサー企業側からの何かしら圧力、何かしら気遣いをしてほしい的な雰囲気というか、そういうにおわせみたいなものはお感じになったことはありますか。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) 私たち記者は取材対象の方々といろいろお付き合いするので、話を聞く、その中ではいろんな会話があるわけです。それを、その会話を基に、ああ、これは自分にプレッシャーを掛けてきているという、感じる方ももちろんいるでしょう。人はみんな自分のことを良く書いてもらいたいので、なのでそういうふうな会話は必ずあるわけです。でも、私はそれをプレッシャーだと感じたことはないです。常に、ああ、そうですねというふうに言っているだけだったので。  で、もうそれをプレッシャーと感じて筆を曲げる人がいるとしたら、やっぱりその人個人の問題なのではなかろうかと思います。

山本太郎 れいわ新選組

○山本太郎君 ありがとうございます。  山本参考人にもお聞かせください。  フェイクニュース対策と称した国家介入の危険性というものに関して、例えばですけれども、何かしらどういうものが想像できるか、実際にそういう例があったりとかですね、そういうものがあったらお聞かせいただきたいなと思いました。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  明確に確認できる実例があるのかという問題と、それは想定され得るので回避すべきだという、この二つの観点があり得るかなというふうに思っていまして、私自身、明確にそういう介入がプラットフォームに対してあるのかということについて確信は余り持てないところでありますけれど、例えばアメリカ合衆国では、近年議論されているように、ジョーボーニングという形で口先介入というふうに、ちょっと日本語にするのが難しいんですけれど、ある種コンテンツモデレーションと言われているものとかについて政府側からの圧力みたいなものが生じたのではないかという疑惑みたいなものは出ています。ただ、これはどこまで事実なのかというところは難しいところです。  したがって、ただ、そういうことが起こり得る可能性というのはあり得るところでしょうし、その結果、偽情報として削除みたいなものを要請するというふうになったときに、違法化したものは削除できるというふうな理屈にしておくのであれば、どのような条件に合致する情報の削除の要請がなされたのかですとか、そういった関係を透明化しておくことということが対策として重要になってくるだろうというふうに考えます。  以上です。

山本太郎 れいわ新選組

○山本太郎君 ありがとうございます。  フェイクニュース対策というのは、恐らくこの先何かしら国会でも取組というものは進めていかなきゃならないことになっていくとは思うんですけれども、その際に、例えば、政府であったり権力側に言論統制に使われないようにするために私たちが気を付けなきゃいけないところというのがあれば、是非教えていただきたいと思います。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  そうですね、これは本当に難しいところかというふうに思います。  今日の私の話の中ですと、違法化しなければ、そもそも削除等の要求を国側から出すということは基本的には難しいというふうに考えておりまして、その違法化の指定の仕方が明確に判断できるようにしておくことが望ましいということになります。  つまり、言論市場において特定の言論を削除せよというときについては、それの害悪が明白であって客観的に判断できるようにしておかなければ、曖昧な条件を付して削除みたいなことをやってしまうと、それはやはり実際それが事実として違法なものに最終的にはなる、あるいは、誤っているフェイクニュースだったとしても、そこには何らかの疑惑や疑念が生じるということになろうかと思います。  そういったことが生じると政府への信頼性というものが下がるということになりますので、やはりそういった事態を招かないような法の立て付けを考えなければいけないということがポイントになるかと思います。  以上です。

山本太郎 れいわ新選組

○山本太郎君 終わります。ありがとうございます。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 高良鉄美君。

高良鉄美 沖縄の風

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  憲法改正の手続の中の国民投票ということが今日のテーマですけれども、この国民投票制の中のアクター、要するに国会議員が憲法改正の案を発議すると。その後いろいろ示していくわけですけれども、この発議するまでのプロセスもあるわけですけど、その上で、国民に案を提示して、この提示する役割は恐らく行政機関ですよね、国民投票広報協議会などやると思うんですけど。そこに、実際に動いているのは国民、有権者ですよね、こちらが主権者なので憲法改正権力を持っているということになりますので。  今日のお話の中で、このアクターですね、このアクターを一応念頭に入れてこれから御三名にちょっとお聞きしたいんですけど、まず山本先生の方ですね、このデジタル立憲主義ということで、立憲主義でしたら基本的には権力の抑制なので、そして人権を保障すると。そうしたら、今言った構図の中では、権力の抑制の側というのはこの発案する側に掛かるのか。それと、人権保障というのは恐らく有権者、国民投票の主体ですね。このデジタル立憲主義の意味というんですかね、国民投票と合わせると、どのようなことなんでしょうか。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  そうですね、これお答えするのは少し難しい、複雑になってくるんですけれど、デジタル立憲主義の議論の根幹にあるのは、現代においては大規模なプラットフォーム事業者が国家に匹敵するだけの権力主体になっているのではないかということで、デジタル空間においては、国家権力の統制とともにプラットフォーム事業者の統制、権力の統制も必要なのではないかということになります。  その上で、今回の議論との関係でいいますと、プラットフォームを通じて蔓延する偽情報等について、プラットフォームが自由に行っているコンテンツモデレーションや情報の流通に関するレコメンデーションの在り方、これが一つのプラットフォーム事業者の権力になるわけですけれど、この在り方を的確に統制することが可能なのか、なおかつ、それは当然、国家権力とのバランスの中で統制を考えていくということになるんですけれど、それが、国家権力の側が今度は権力を行使して行き過ぎにならないようにしなければならないということで、この国家権力だけの問題ではなくなっているデジタル空間の問題という位置付けになろうかと思います。  以上です。

高良鉄美 沖縄の風

○高良鉄美君 ありがとうございます。  もう一つのファクターが出てきたということですね。このファクター、今三者になってしまいましたけれども、これからもどんどん出てくると思いますが、憲法改正というものは非常に重要であると。先ほどファクトチェックの問題ありましたけれども、古田参考人にお聞きしたいんですけど、今の構図の中で三者出てきてプラットフォームの人がいましたけど、ファクトチェックをするセンターとして一番この構図の中で重要な位置付けといったときに、国民の側との間にも入るでしょうし、政府との間にも入るでしょうけれども、そういった中で、どういった作用をこれから、先ほど、案が出ればチェックをするということなんでしょうけれども、国会議員に求めるこのファクトチェックの何か支援というんですかね、先ほど財政の話も出ましたけれども、そこの辺り、一応、憲法審査会を含めて、もし財政面あるいはそれ以外のものでも何か御要望があれば、ファクトチェックの面でですね、ちょっと難しいかもしれませんが、お聞かせいただけたらと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) これまでも三人ともにるる申し上げていたように、何か一つこれをやれば何とかなるというものがないんですよね。だから、もう総合的な対策をしていくしかないというのに、本当にそこに尽きると思います。  もう、一つ本当に、まずはこれ認識として持っていただきたいなと思うのは、状況は加速度的に悪くなっているということです。今の新しいアクターの面でいうと、プラットフォームという言葉が出ましたけれども、今は情報流通の中心が圧倒的にインターネット、そしてその情報プラットフォームになったわけです。  これ、私、大学で先生もしているんですけれども、そこでよく話すのが、私が大学生だった頃に見ている情報、見ている文字の九割以上はプロの人たちが書いたものを見ていた、私が見ていた動画のほぼ一〇〇%はプロが作った動画を見ていた。でも、今の大学生は、九割以上のテキストや動画は素人が作ったものを見ているわけです、プラットフォーム上で。そこはもう全く違うんですよね。  私、十年前に朝日新聞を辞めてインターネットメディアの世界に行ったとき、当時のインターネットメディアの世界というのはそれにみんな夢を見ていたわけです。ようやく情報が民主化されて、人々が自由に情報を発信、受信できるすばらしい世界が来たというふうに私たちは思っていました。  しかし、実際に何が起こったかというと、圧倒的なアルゴリズムの力によって、自分で自分の情報をコントロールができなくなっちゃったんですよね。そのような大変な社会の中に今私たちはいて、本当に民主主義社会がここを乗り越えられるのかという議論をしているということをまず認識していただけたらなと思います。

高良鉄美 沖縄の風

○高良鉄美君 大変ありがとうございます。  やっぱり憲法という非常に重要なものを我々が議論をするといったときには、もうそれだけの危機感と、それから国民投票にどういう影響があるかということをやっぱりこの審査会の中で意識しないと、ああ、もう改憲しよう改憲しようというような、こんなスピードでやっていてもしようがないんですよ。やっぱりその中身をしっかり見ていかないといけないというふうに思います。  工藤先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、やっぱり今ファクターがいろいろ出ましたけれども、先生の書かれているこのシャープ、何でしたっけ。(発言する者あり)シャープパワーですね。そちらの方からいいますと、これは今の構図からいうと、もう第三者も超えてもう一つ出てくるということなんですけれども、そこら辺が、憲法改正というのが非常に重要な問題なので、外から何かこれに対して力が加わってくると大変だと。例えば憲法九条のときに、どこかから九条変えた方がいいですよみたいな強い圧力とかなんとかいろいろ来たりするというのもあると思うんですけど、そこら辺のお話をちょっといただけたら、憲法改正とシャープパワーとの間ですね。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  冒頭の私の説明の繰り返しになってしまうんですが、シャープパワーが有効なのは、やはりそこにおいて表現の自由であったりとか政治活動の自由が尊重されているからこそ、そういう脆弱性というか、軟らかいところがあるからこそ狙われてしまうというところがあります。  ただ、これ、この脆弱性というのは価値でもある、大切な価値でもあると思うので、この価値を重視しながら議論を尽くしていくということが大切なのかなというふうに思います。  以上です。

高良鉄美 沖縄の風

○高良鉄美君 ありがとうございます。  ちょっとお三方お聞きしていて、やっぱり情報公開の問題、これ情報に関わる問題なので、それに対してやっぱりリテラシーをしっかり主権者が持たなきゃいけないということが非常に共通していて、だけど非常に難しいと。それだけ、また審査をする方のメンバー、この憲法審査会のメンバーも国会議員も、やっぱりそこはもうしっかりフェイクといろんなものを分けていく力をより要求されているということを改めて今日感じました。  ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 引き続き質疑を行いますが、これより質疑時間は答弁を含め各五分以内といたします。  山本啓介君。

山本啓介 自由民主党

○山本啓介君 自民党の山本啓介です。  三名の参考人の皆様方には、本当に有意義なお話をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。  ほかの議員からも質疑あっていましたけれども、もう少し補足の説明をいただきたいということで質問をしたいと思います。  憲法改正や選挙への外国勢力の関与への懸念に関して、工藤参考人と古田参考人にお伺いしたいと思います。  AIによる選挙攪乱については外国勢力の関与を指摘する声がありますけれども、このような国家安全保障上のリスクを生じかねない事案に対して海外では現在どのような体制で臨んでいるのか、また我が国はどのように対処すべきか、そのポイントについて、まずは工藤参考人にお伺いしたいと思います。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  先ほど御紹介したことの補足ということでよろしいと言っていただいたのでそうしますが、海外の事例におきましては、最近、途中で紹介したように、偽情報対策と同時にサイバー攻撃というのが連動しているということを踏まえて、その偽情報対策のみではなくて、いかにしてサイバー攻撃を防ぐか、予防するかということも同時に議論をされている、つまり、一番ワーストケースシナリオ、最悪のシナリオとしては、投開票日の三日前ぐらいにこのフランスの大統領選挙のようにサイバー攻撃があり、情報流出があり、その中にフェイクの情報が混じっていて混乱し、訂正が追い付かないというのが一番良くないパターンなので、それをいかに防ぐかということが現在検討されているというふうに承知しております。  以上です。(発言する者あり)

山本啓介 自由民主党

○山本啓介君 済みません、五分しかないもので、もう一つの方の質問を古田参考人にはお願いしたいと思います。  国家安全保障上のリスクを含むディープフェイクについて、国家機関と連携することを考える場合には国家機関が有する機密情報の扱いなども検討しなければならないと思いますが、機密情報に関連する形でのファクトチェックに参入している民間機関が海外にはあるのか、先ほど少しお触れいただきましたけれども、この部分について古田参考人に詳しく御説明いただきたいと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ディープフェイクに限らず、今やっぱりディープフェイクに非常に注目が集まるんですけれども、AIを使おうが人間が作ろうが偽情報は偽情報なんですよね。例えば、二〇二四年ってディープフェイク元年と呼ばれましたけれども、実際はそんなに広がっていなかった。今はそれがどんどん増えてきているという過程なんですけれども、繰り返しますが、その両方に目配りをしなければいけないと思います。  その上でなんですけれども、例えば台湾などでも国の関係の機関の方でこういうふうなAIツールであったり、その技術開発が進んでいたり、そちらのシンクタンクの方でその研究を進めていく。特に海外からの影響工作に関する研究に関しては、台湾の方では積極的に進められているのかなと思います。

山本啓介 自由民主党

○山本啓介君 それでは、今のお話も含めてですけれども、山本参考人に最後お尋ねしたいんですけれども、昨年、プロバイダー等の事業者の免責や発信情報の開示制度を設けているプロバイダー責任制限法、これが改正しまして、情報流通プラットフォーム、情プラ法ということで、まあ最近もニュースでよく出ているんですけれども、この改正によって、大規模プラットフォーム事業者に対しての削除対応の迅速化、運用状況の透明化といった義務を課すことにより、SNS上の誹謗中傷などの違法・有害情報への対策が強化されました。  そこで、憲法改正国民投票や選挙において投票行動や投票結果をゆがめるおそれが高いディープフェイクの偽情報等について情プラ法を活用する、どのような効果が期待されるか、御説明いただきたいと思います。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  これも難しいところだとは思うんですけれど、情プラ法は基本的には権利侵害情報を対象にしているということになります。そこには名誉毀損というものは含まれるということになるかと思いますので、恐らくその対象となる情報の種類自体はこれまでと変わらないということになります。その選挙に関連して、政治家の皆さんですとか支援者の方々を対象とするような名誉毀損的な情報の流通に対して迅速な対応をプラットフォームに義務付けることができるといいますか、それに限られるということになろうかと思います。  以上です。

山本啓介 自由民主党

○山本啓介君 終わります。ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 柴田巧君。

柴田巧 日本維新の会

○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。  今日は、三人の参考人の方々に本当にありがとうございます。それぞれのお立場で大変貴重な御意見を賜りましたことに、私からも感謝を申し上げたいと思います。  私からは、三人の参考人の方にお聞きをしたいと思っていますが、国民投票広報協議会の在り方とプロミネンスということでお聞きをしたい、お尋ねをしたいと思っています。  憲法改正国民投票におけるこのデジタル空間においては、我が党は、既にマニフェストの中にも明記はしておりますが、表現、言論の自由に配慮し過度な規制は行わず、国民投票広報協議会を通じたこの正確な公式情報を迅速かつ大規模に発信していくことを最優先にすべきというふうに考えているわけですが、こういう観点から、ネットにおける国民投票広報について、この主要なプラットフォーマーの協力も仰ぎながら、できる限り多くの方の目に届くような、目立つようなところにですね、効果的な場所に掲載をしてもらうなどの対応が有効になるのではないかと考えます。  そこで、山本参考人にお聞きをしたいのは、山本参考人御自身がメンバーでもありましたが、このデジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会、そのとりまとめにも、信頼できる情報を受信者側のお勧め欄に表示したり上位に表示されるようにする措置、いわゆるプロミネンスについて言及をされているかと承知をしております。  このプロミネンスの考え方はこの国民投票の場合においても有効と考えますけれども、そういう意味では、このプラットフォーマーにこのような措置を要請あるいは義務付けるということについてどのような御見解をお持ちか。また、工藤参考人にも、このようなこのプロミネンスの考え方を国民投票のデジタル空間で行うことについての見解をお伺いをしたいと思います。  そして、古田参考人には、先ほども情報の空白ということをおっしゃいましたし、書かれた記事なんかを拝見をしておりますと、大量の、選挙期間中にこの大量の偽・誤情報が流れ込む構造があるんだと。で、検索結果にこのファクトチェック記事を並べることを重視しているということを指摘されているかと思いますが、そこで、この国民投票時においてもこの検索結果にファクトチェック記事を並べる取組が重要だと考えるんですけれども、この広報協議会との連携の在り方も含めてどのような御見解をお持ちか、それぞれお聞きをしたいと思います。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) 御質問ありがとうございます。  この点、プロミネンスの中で問題になるのは、その優先して表示すべき正しい情報とは何かという、この決定の問題ということになると思います。この国民投票の場合については広報協議会が設置されておりまして、そこで公式の情報が確定されるということになります。そうすると、この情報をプロミネンスさせるということについては、プロミネンスに関わる問題の多くの懸念が払拭できるということになろうかと思います。  もちろん、これを事業者に義務付けるということになると、事業者の自由の問題との関連は出てくるかと思うんですけれど、この点については、この国民投票という場合における選挙の公正、投票の公正ですとか判断の自由という観点から、それはある程度正当化できるのではないかというふうに考えますので、お答えとしては、これは可能ではないかということになります、有効ではないかということになります。  以上です。

工藤郁子 大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授

○参考人(工藤郁子君) 御質問いただき、ありがとうございます。  私も山本参考人と同意見で、ある程度正当化は可能だと思います。ただ、リスクの点も一応指摘しておきますと、その正確な情報、かつ政府というか広報協議会からの発信ということになりますと、かなり限定された情報になってしまいまして、投票権をお持ちの方々の関心にぴったりくるような情報提供になるかどうかというのは若干疑問な点もあるので、それだけ、プロミネンスだけが唯一決定打となるわけではなく、総合的な対策が必要だと考えております。  以上です。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ファクトチェックを並べること、非常に重要だと思っております。なので、このファクトチェックをやる主体が増えてくる、報道機関で昨今ファクトチェックを始めるところが増えてきております。そういったものが一つプラスになるのかなと思うのと、私自身が非常に重要だと感じるのは、投票期間だけが勝負ではないと。恐らくこれ、国民投票やりますよという話が政治の本当に議題に出てきた瞬間から偽情報は拡散を始めます。  なので、できるだけ早い段階から対応を始め、かつプレバンキングですね、事前にこういう情報、もう投票期間の前から流れるよということを分析をした上で、そのファクトチェックを出していくことなどを我々はやっていこうと思っております。

柴田巧 日本維新の会

○柴田巧君 ありがとうございました。  おおよそ時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 田島麻衣子君。

田島麻衣子 立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 立憲民主・社民・無所属の田島麻衣子です。  参考人の皆様、本日は本当にどうもありがとうございます。  私は、日本ファクトチェックセンター編集長の古田参考人に対して、国民投票の実施に関連し、偽情報対策としての収益化の規制の検討について伺いたいというふうに思います。  古田参考人の資料の中でも、偽情報を作成する動機の一つとして、故意犯については経済的な利益が挙げられていました。国民投票については、特にアテンションエコノミー等を利用した行為の収益化規制を検討するべきではないでしょうか。  表現によって収益を得ることの規制は、規制の対象をどのように考えるか、また収益化とは具体的に何を指すのかなど、表現の自由の観点から慎重な検討が必要だと思います。  これらも含めた考え方について、古田参考人の御見解を聞かせていただければと思います。

古田大輔 日本ファクトチェックセンター編集長

○参考人(古田大輔君) ありがとうございます。  収益の停止に関しては、議論が続いているところです。二つ、私は課題があるのかなと思っております。  一つは、一体、じゃ、誰の収益を停止するのか。  例えば、昨今は、私、インターネットメディアでも働いておりましたので、インターネットメディアの中で独自のニュース展開をするところも増えてきております。そういったところが真面目なニュースを発信しているのに、そこの収益機会を奪ってしまうことは、そのニュースメディアの命脈を絶ってしまう可能性すらあるような話であるのかなと思います。  二つ目に、選挙期間とか投票期間だけ収益停止をしたとしても、実はそんなに打撃にならない可能性もあるんですよね。  偽情報を発信する人たちって、実は少人数でやっているところが非常に多いです、何なら一人でやっているとか。であれば、じゃ、その一週間や二週間の期間収益が停止されたとしても、そういった方々は投票期間のはるか前から偽情報を拡散させている。そこで収益回収できますし、選挙期間中も、まともなニュース機関が、そこでは収益化できないから、じゃ、情報出すのをやめようと思ったら、そこに情報を出していって、その間にフォロワーを増やす。そうすることができれば、収益期間の停止期間が終わった後に十分回収できるわけですよね。  なので、その二点の問題を議論する必要があるのかなと思います。

田島麻衣子 立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 非常に難しい問題であるということ、良く分かるんですが。  次に、山本参考人について、同じテーマについて伺いたいというふうに思います。  山本参考人は、論文の中で、フェイクニュース対策としてプラットフォーマーによる収益化の停止を挙げられていらっしゃいますけれども、同様に、この難しい問題に対して山本参考人はどのようにお考えになるのか、御見解を伺いたいと思います。

山本健人 北九州市立大学法学部准教授

○参考人(山本健人君) ありがとうございます。  これも難しいところというのが正直なお答えになりまして、というのも、この収益化停止ということが、では表現の自由との関係で考えますと、表現の自由とは収益なので関係ないとは直ちには言い難いということになろうかと思います。なので、その点は懸念しなければならないということです。  あとは、実態として効果がどれぐらいあるかとのバランスも考えなければいけないというふうに考えております。  といいますのは、基本的には、偽情報等を拡散する動機としては、経済的なインセンティブというものと、同時にイデオロギー的なインセンティブというものも強くあるというふうに思われます。この憲法改正国民投票を行った際に、経済的なインセンティブ側での発信には効果はあると思いますけれども、イデオロギー的な動機に基づく発信については効果は薄いということになります。  もちろん、今日皆さんが述べていたとおり決定打になる対策はありませんから、少なくとも、明確に収益化停止の対象を特定化して、意図的に虚偽を拡散しているようなインフルエンサーですとか、そういった動向に対して収益を停止化することによって一定の影響を排除するということは可能性としてはあるかと思いますので、そういった限定効果であることを踏まえた上で、なおかつ表現の自由とのバランスを考えてどのように実行していくのか、あるいは自主的な規制にとどめるような範疇にして要請をするにとどめるのか、あるいは法制化するのか、こういった議論が必要になってくるというふうに考えます。  以上です。

田島麻衣子 立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございました。  以上で質問の方を終わりにさせていただきます。

中曽根弘文 自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、参考人に対する質疑は終了いたします。  参考人の皆様には貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。審査会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会

NDL 国会会議録検索システムで原文を見る ↗

この記録を確かめる

S4RCIV が記録した内容から、改ざん検知用の値を お使いのブラウザで計算し直し、 記録済みの値と一致するか確かめます。計算は 下のボタンを押したときだけ、この端末で実行されます(暗号通貨の採掘や追跡ではありません)。 S4RCIV の「確認済み」表示を信じる必要はありません — 数字を再現するのはあなたの端末です。

  1. 記録 #495 観測 2026-06-06 05:31 JST
    改ざん検知用の値 9a9bbb54…586c7a (未計算)

チェックポイント

記録
#1854 まで
署名
署名あり(s4rciv-checkpoint)
まとめの値
57ef6754…cd6246

仕組み

  1. 1各記録は、前の記録から計算した値を持っています。
  2. 2この端末で値を計算し直し、つながりが保たれているか確かめます。
  3. 3チェックポイントが、ある時点までの記録をまとめて固定します。

いつの時点かを外部(Internet Archive 等)に固定する仕組みは今後対応します。全件を通した計算は、公開エクスポートを使えば S4RCIV 以外の場所でも再現できます。

※ いつの時点の記録かを外部(Internet Archive 等)に固定する「外部アンカー」はまだ運用していません。これは S4RCIV 自身が過去をまるごと書き換えた場合に備えるもので、今後対応します。