令和七年四月十六日(水曜日) 午後一時開会 ───────────── 委員の異動 四月二日 辞任 補欠選任 朝日健太郎君 和田 政宗君 三上 えり君 水野 素子君 高橋 次郎君 矢倉 克夫君 四月十日 辞任 補欠選任 猪瀬 直樹君 松沢 成文君 四月十五日 辞任 補欠選任 赤池 誠章君 星 北斗君 松川 るい君 太田 房江君 福島みずほ君 大椿ゆうこ君 ───────────── 出席者は左のとおり。 会 長 中曽根弘文君 幹 事 臼井 正一君 佐藤 正久君 中西 祐介君 山本 啓介君 若林 洋平君 熊谷 裕人君 辻元 清美君 谷合 正明君 片山 大介君 川合 孝典君 山添 拓君 委 員 青山 繁晴君 衛藤 晟一君 太田 房江君 加藤 明良君 梶原 大介君 片山さつき君 小林 一大君 古庄 玄知君 田中 昌史君 中田 宏君 藤木 眞也君 星 北斗君 松下 新平君 山本佐知子君 吉井 章君 和田 政宗君 打越さく良君 小沢 雅仁君 大椿ゆうこ君 小西 洋之君 田島麻衣子君 水野 素子君 伊藤 孝江君 佐々木さやか君 平木 大作君 矢倉 克夫君 浅田 均君 柴田 巧君 松沢 成文君 上田 清司君 仁比 聡平君 山本 太郎君 高良 鉄美君 事務局側 憲法審査会事務 局長 本多 恵美君 法制局側 法制局長 川崎 政司君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査 (憲法に対する考え方について(参議院の緊急集会について)) ─────────────
憲法審査会
発言 58
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。 本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について委員間の意見交換を所要一時間三十分を目途に行います。 発言を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。 発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。 一回の発言時間は各五分以内でお述べいただき、憲法審査会事務局又は法制局に答弁を求める場合は、答弁を含め五分以内といたします。 発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。 佐藤正久君。
○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。 本日は、緊急事態対応を考えるに当たっての参議院の緊急集会をめぐる主な論点について、参議院として考え方を整理すべき旨、まず申し上げたいと思います。 ここまでの参議院憲法審査会における参議院の緊急集会をめぐる議論は、参議院の大切な機能である緊急集会に新たな息吹を吹き込む極めて意義深い討議が行われていたと思います。 そこで、私なりに前回の参議院憲法審査会における参議院の緊急集会に関する各会派からの発言について申し上げますが、我が会派からは、参議院の緊急集会は、現行憲法上唯一の緊急事態条項であり、参議院の重要な権能である旨意見表明したところであります。この点については各会派とも同じ理解であったのではないかと認識しているところであります。 また、参議院の緊急集会の期間、権能、さらに衆議院議員の任期満了時についても、我が会派からの意見表明については多くの会派と共通であったのではないかと考えておりますが、片や、異なる理解に立っている会派もあったものと受け止めています。 いずれにしましても、一度これまでの各会派から述べられた意見を整理することは、参議院の憲法審査会での議論を更に有意義なものにするために大切な過程だと思いますので、その旨発言させていただきました。 その上で、参議院の緊急集会の権能に関して一点確認したいと思います。 緊急集会の権能の範囲について、衆議院優越といった日本国憲法が採用する統治構造から限界があると考える意見もあるようです。しかし、我が会派の基本的な考えは、前回述べたとおり、参議院の緊急集会は国会の代行機関であるから、その権能は原則として国会の権能全てに及ぶというものであり、衆議院に先議権がある予算も含めて対応可能と考えているところです。 そこで、参議院法制局にお尋ねします。 参議院の緊急集会は現行憲法上唯一の緊急事態条項として、緊急事態の緊急性や深刻さによりその権限行使の範囲は異なると考えられますが、緊急集会の位置付けと衆議院優越といった日本国憲法が採用する統治機構との関係を憲法解釈上どのように考えればよいのでしょうか。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 参議院の緊急集会は、衆議院が不存在の場合において緊急の必要があるときに、国会の権能を代行するものであり、その権能は広く国会の権能に及ぶと解されております。 そのようなことからは、衆議院の優越が認められているものかどうかは、何らかの形で考慮されることはあっても、直接の制約根拠となるものではなく、緊急集会の権能の範囲については基本的に緊急性や権能の性質等から判断されることになるものと思われます。また、その際には、発生した緊急事態の内容、程度、状況なども関わってくることは御指摘のとおりであると考えております。 以上です。
○佐藤正久君 ありがとうございました。 参議院の緊急集会は参議院の重要な権能であり、我々参議院として、ただいまの点を含め、主要な論点についてしっかりと考え方を整理し、すり合わせておく必要があると考えています。 あわせて、我が会派としては、参議院の緊急集会を万全に機能させるための課題への対応はもちろん、衆議院の任期特例などの様々な対処法についても議論を深めた上で、憲法に緊急事態対応のための規定を置くことは必要であると考えているところです。 昨年、自民党憲法改正実現本部ワーキンググループで、衆参の実務担当者が意見のすり合わせを行い、取りまとめたところでは、一定の要件を満たすときには任期特例を認めることが確認されています。これらを踏まえ、我が会派では、参議院の緊急集会と任期特例の関係については、参議院の緊急集会の活動期間や権限できっかりと切り分け、画一的にどちらかしか機能しないというすみ分けの考え方からは離れて、任期特例により両院で対応すべき国難と言い得る具体的な場面を整理するための議論を深めていくべきと考えているところである旨申し上げて、発言を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 熊谷裕人君。
○熊谷裕人君 立憲民主・社民・無所属の熊谷裕人でございます。 会派を代表して、緊急集会について意見を述べます。 我が会派は、二〇二三年六月七日の会派代表意見において、ナショナルエマージェンシーという大震災等の深刻な国家緊急事態をも想定した憲法制定時の立法事実、戦前の権力暴走の反省に基づく制度趣旨、一刻も早い総選挙の実施を必然とする平時への強力な復元力の仕組みなどを踏まえ、緊急集会は、国民主権、国会中心主義、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理に基づき、かつ、これらの諸原理を守り抜くための制度であり、良識の府参議院が世界に誇るべき制度と評価してまいりました。 そして、平成二十六年六月十一日の本審査会附帯決議にも明記されている法令解釈のルールに基づく論究によって、衆議院議員の任期満了時については五十四条二項の類推適用により緊急集会は開催可能と解すべきこと、緊急集会で参議院議員が発議できる議案は総理大臣の示した案件に関連のあるものに限る現行の国会法の制約は妥当なものであること、また、緊急集会の権能については、国に緊急の必要があるときに国会の機能を一時的に代行するものとして、法律、予算など広く国会権限に属するものに及ぶ一方、参議院の単独議決や緊急の必要性の観点から、憲法改正の発議、内閣不信任決議は認められず、総理大臣の指名は臨時代理制度が適用できないほどの人的被害が生じた場合には法理上は認め得るものとの見解を示してまいりました。 特に、発議議案については、内閣による新案件の追加のほか、参議院が内閣に新案件の追加を促し、必要に応じて内閣に代替措置の検討も含めた説明責任を果たさせる国会法の改正による緊急集会の機能強化策の提言もいたしました。 他方、任期延長改憲の論拠である緊急集会、平時の制度、七十日間限定、単純な二院制の例外説等に対しては、緊急集会の立法事実や根本趣旨、憲法五十四条一項の解散時の内閣居座り排除の趣旨、二院制の補完制度としての制度趣旨などを繰り返し示し、それこそが憲法が起草されたときの立法意思であると考えているところであります。 こうした我が会派の見解は、四月二日の自民党佐藤筆頭幹事が述べた自民党会派の見解とも基本的に整合するものと認識しています。また、任期延長改憲の根拠である選挙困難事態について、その七十日超という長期性の定義要件が七十日限定説を根拠とすることに異を唱えていることについても認識を同じくしていることには深い敬意を表します。 また、我が会派は昨年の常会で、東日本大震災の際の立法例などを踏まえた緊急集会を動かすための課題検証を通じて、緊急集会は、制度面、運用面の双方において基本的な仕組みは整備されており、現状でも国民のために機能することが可能であるとの見解を示す一方で、いわゆる議員版BCPの策定、災害対策基本法などにおける衆議院の任期満了の際の緊急集会の対処の明確化の法改正などを提起してまいりました。 ここで、昨年六月の参議院改革協議会の下の選挙制度専門委員会の報告書の本文において、二院制における参議院の機能、役割として、災害対応について、緊急集会の機能の充実強化が明記されており、まさに緊急集会の活用は参議院の在り方論の中核論点と言うべき位置付けになっております。この意味において、緊急集会七十日限定説などに依拠する任期延長改憲の議論は、我が参議院の自律への不当な干渉であると言わざるを得ません。 本審査会において、緊急集会において法の支配、立憲主義に基づく議論を徹底すること、並びに、今後改革協議会の議論に憲法論から貢献するためにも、緊急集会の機能強化とその必要な法整備、さらには選挙制度との連携も含めた運用改善等の議論を精力的に行っていくことを提言して、私の意見とさせていただきます。
○会長(中曽根弘文君) 佐々木さやか君。
○佐々木さやか君 参議院の緊急集会について発言いたします。 まず、参議院の全国民の代表としての地位と緊急集会についてです。 日本国憲法第五十四条二項ただし書は、参議院の緊急集会について定めております。緊急集会は、芦部先生の「憲法」によりますと、衆議院が解散されて総選挙が施行され、特別会が召集されるまでの間に、法律の制定、予算の改定、その他国会の開会を要する緊急の事態が生じたときに、それに応えて国会を代行する制度であって、参議院の基本的かつ重要な権能であります。衆議院が解散されて存在しない場合にも、緊急時には参議院が国会の意思決定を行うことが予定されており、後の国会で衆議院の同意を必要とする臨時の措置とはいえ、参議院の果たす役割の中でも特に重要なものと考えます。 ところで、緊急集会は、参議院議員が全国民の代表であることから成り立つ制度であります。すなわち、憲法は、第四十二条で「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」と定め、第四十三条で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」としております。衆議院と参議院は、いずれも全国民の代表であって、両院は基本的に対等であり、第六十条、これは予算案に関する衆議院の優越についての規定ですけれども、こうした衆議院の優越というものも一定の事由に限られております。 このように、参議院が全国民の代表であることから、緊急時において、緊急集会の制度により参議院が国会を代行する民主的正統性を有すると言えるのであります。そのため、仮に参議院の性格を地域代表と考えることは、全国民の代表であることから導き出される参議院の権能を始めとして、我が国の二院制の根本に関わることとして注意深く捉え、議論する必要性を指摘しておきたいと思います。 次に、衆議院議員の任期延長論との関係について申し上げます。 国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の権能を緊急事態においても維持するため、衆議院議員の任期延長や元衆議院議員の職務復帰ができるようにするための憲法改正をすべきとの議論がございます。 しかしながら、緊急事態における対応に関しては、憲法第五十四条二項に参議院の緊急集会に関する規定が置かれていることから、この制度の意義や役割についてしっかりと議論を深めた上で、どのような対応策が考えられるかについて丁寧かつ慎重に議論することが必要と考えます。 前提として、国民の参政権、選挙権の重要性に鑑みれば、大規模災害などの緊急事態を念頭に置いてまず備えるべきは、そうした事態においてもできる限り早急かつ円滑に選挙を実施できるような法律や制度の整備であります。選挙人名簿のバックアップや郵便投票制度の改善など、日弁連などからも災害に強い選挙制度の必要性が指摘をされております。そのような備えをもってしても相当期間にわたり選挙が実施できなかった場合の対応として、緊急集会又は議員任期の延長など、どのような方策が考えられるか検討することとなります。 議員任期の延長については、諸外国ではそうした制度を取る国もあるものの、例えば上院が州代表であるとか、また上院と下院で有する権限が異なってくるという国もあります。我が国の場合は、上院、下院共に全国民の代表であり、任期も異なるため、常に参議院の半数がいるという状況になっております。そういった制度の違いから、単純に諸外国と比較をすることはできず、我が国でどのような制度を取っていくのが重要かということを考えていかなければなりません。 さらに、令和五年に本審査会で、土井真一参考人から意見を聴取したところによると、緊急集会は国会そのものではなく、参議院という国家機関が国会の権能を代行していると整理される、そうした状態であるからこそ正規に戻すレジリエンスが働く、任期を延長して二院制の完全な国会であるかのようにすることにはレジリエンスの点で問題があるという指摘がございました。これも重要であるというふうに考えております。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 松沢成文君。
○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文です。 久しぶりに憲法審査会に復帰しましたので、よろしくお願いをいたします。 本日のテーマである参議院の緊急集会について意見を述べます。 我が党は憲法が定める参議院の緊急集会の意義は理解しておりますが、緊急集会の開催には明確な制約があります。参議院の緊急集会の要件は、衆議院の解散中であること、国家としての緊急の必要があること、そして内閣の求めによることの三つでありますが、それぞれ制限と限界があるのです。 まずは、長期にわたる対応を想定していないことです。 衆議院の解散中であるということは、つまり解散中にしか緊急集会が開けないということです。したがって、大規模災害の発生、感染症のパンデミックや、あるいは戦争拡大などの中長期にわたる国家の緊急事態には対応できません。また、衆議院議員が不在となる期間として想定されるのは、解散から選挙までの四十日に加え、特別国会が開かれるまでの三十日を合わせて最大七十日間です。これ以上の長期にわたる期間まで参議院に単独で国会機能を任せるということを現行憲法が認めていると解釈するには無理があります。緊急集会が想定しているのは、国政選挙を通常どおり行える程度の状況、つまり近いうちに国会が開催されることを前提にしています。 したがって、長期にわたる国家緊急事態が発生し、選挙の適正な実施が七十日を超えて困難であることが明白な場合は、参議院の緊急集会だけでは対処が極めて困難になります。 第二の限界は、緊急集会の機能です。 国会法は、内閣が参議院に緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、招集の期日を定め、案件を示して、参議院議長に請求するとされています。加えて、緊急集会において、議員は、その案件に関するものに限り議案を発議することができるとされています。つまり、緊急集会で議員が発議できるのは、内閣の請求の際に総理が示した案件に限られることになります。しかし、長期にわたる緊急事態が発生した場合、対応すべき課題は複雑多岐にわたり、当初想定した案件のみを議論するだけでは対処できなくなることが容易に予想されます。このように、参議院の緊急集会が国家の緊急事態において包括的に対応することは想定されておらず、不可能なのです。 したがって、これまで述べてきた点を踏まえれば、いかなる緊急事態にあったとしても、国会の機能や二院制という統治機構の大原則を維持して、恣意的な権力の統制を図り、加えて、選挙が実施不可能なことによって国会議員が不在になる事態を避けなければなりません。そのためにも、憲法に新たに緊急事態条項を設ける必要があると考えます。 そこで、我が党は、国民民主党と衆議院の有志の会との三会派で条文案をまとめています。ポイントは、巨大地震、テロ、パンデミック、戦争など、想定される国家的緊急事態の際にも国民の生命と財産を守るために必要な規定を整備し、議員任期の延長など、国会機能を可能な限り維持できるようにする規定を追加します。 そして、国会による立法措置を待ついとまがない場合に限って行政権限を一時的に強化する緊急政令、緊急財政処分を規定し、迅速に対応できる仕組みを追加します。 立憲主義の精神に基づき、こうした条文を憲法に明確に規定し、大規模災害を始め、国家の緊急事態に対応できる憲法体制をつくりたいと考えております。 是非とも、私たち三党派の緊急事態条項案をこの憲法審査会の審議の俎上にのせていただきたく、会長並びに幹事会の皆様にお願いを申し上げます。 これまでの衆参両院の憲法審査会における審議の議事録を見てみますと、大政党における衆参両院議員の緊急集会に対する見解が異なり、統一されておりません。一刻も早く党内で統一見解をつくり、この審査会で表明すべきと考えます。 最後に、我が日本国に迫る国家的危機の発生の可能性がかつてなく高まっています。地震大国日本には、南海トラフ型巨大地震、首都圏直下型地震の切迫性が予測されています。日本のみならず、全世界がコロナ禍の惨事を……
○会長(中曽根弘文君) 時間を過ぎておりますので、おまとめください。
○松沢成文君 経験しましたが、今後のパンデミック発生も否定できません。さらに、世界の安全保障環境も急速に悪化しており、ロシアや中国など権威主義の軍事大国による他国の侵略も横行しており、日本がいつ有事に巻き込まれるか分かりません。それを……
○会長(中曽根弘文君) 松沢君、時間を過ぎております。
○松沢成文君 はい、終わります。 それを実現するには、現行憲法の参議院緊急集会では極めて不十分であり、憲法に緊急事態条項を創設することが急務であることを改めて申し上げまして、意見表明といたします。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 川合孝典君。
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。 本日は、有事の際に国政に遅滞を生じさせないために緊急集会という制度を有効活用するという観点から、今後検証すべき課題について意見を申し述べます。 参議院の緊急集会は、憲法制定から既に七十九年が経過し、その間に公布された多くの法律が緊急時の暫定措置を法律による委任によって法的根拠を求めることを想定していない現状を踏まえれば、今後想定され得る自然災害や感染症のパンデミックなど、社会経済活動に甚大な影響を及ぼす事態が生じた際、国政運営に遅滞を生じさせないよう、ちゅうちょなく緊急集会を開催できるよう、現代における緊急集会の権能、そして緊急集会を開催すべき緊急事態の判断基準を整理する必要があるものと考えます。 緊急集会の権能は国会の権能全般に及ぶとされる一方、案件の性質から、参議院の単独の議決のみでは許されないものや緊急の必要性がないものはその権能の対象外と解されていることに関連し、憲法改正の発議、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約締結の承認、両院同意案件等について権能の対象外となるのかどうか、対象外とした場合に例外が認められるかどうかなどをめぐり議論の余地があるものと考えます。 しかし、法の趣旨を鑑みれば、衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は、参議院一院をもって国会の権能を代行している状況であることから、その目的に適合する範囲において緊急集会の権能に制約はないとみなすことが合理的と考えております。ただし、緊急集会の正統性を担保するためには、衆議院が発足するまでの間にその有効性を限定することが望ましいほか、衆議院発足後は再審議を義務付けるなどの手続を定めることも必要と考えております。 緊急集会の開催については、緊急集会の開催に迫られる緊急事態が発生するタイミングによって整理することが合理的と考えております。緊急事態発生のタイミングが衆議院の解散から選挙の告示日までの間に生じたのであれば、選挙の中止及びそれに伴う前議員の身分復活及び任期延長の可否が問われることとなり、ここに現在検討している緊急事態条項の内容の意義があるものと考えております。その上で、選挙中止、前議員の身分復活、任期延長がなし得ない事態が生じた際、参議院の緊急集会が意味を持つことになるものと捉えております。 最後に、緊急集会の開催すべき緊急の事態を判断する上で必要との認識に立ちまして、緊急集会の先例について質問をいたします。 緊急集会の先例は二度あり、昭和二十七年は最高裁裁判官国民審査執行のための中央選挙管理委員会の指名のためのものであり、昭和二十八年は暫定予算等の議決のためにそれぞれ開催されていますが、この開催理由が参議院緊急集会という異例中の異例の制度を運用するに足る事案であったか否かについて検証を行うことは、今後の緊急集会開催の判断を行う上で必要と考えております。 そこで、当時、参議院緊急集会を開催した背景に一体何があったのか、憲法審査会事務局長に説明を求めて、私の発言を終わります。
○憲法審査会事務局長(本多恵美君) お答えいたします。 緊急集会は、昭和二十七年及び昭和二十八年に実例がございます。 昭和二十七年の緊急集会につきましては、与党内の対立を解消するためと言われているいわゆる抜き打ち解散により、衆議院議員総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官の国民審査を執行するための中央選挙管理会委員の指名をしないまま衆議院が解散されたことから、その指名のために開催されたところでございます。 昭和二十八年の緊急集会につきましては、吉田茂内閣総理大臣の衆議院予算委員会における不規則発言を契機に提出された内閣不信任案の可決によるいわゆるばかやろう解散として三月十四日に衆議院が解散されたことにより、昭和二十八年度予算の年度内不成立が確実になったことから、暫定予算及び法律案四件の議決のために開催されたところでございます。 以上でございます。
○川合孝典君 ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。 参議院の緊急集会について意見を述べます。 憲法五十四条二項に定める参院の緊急集会は、衆院解散後、緊急の必要がある場合に参院のみで国会の機能が維持できるようにする仕組みです。五十四条三項のとおり、あくまで臨時のものであり、次の国会開会後十日以内に衆院の同意がなければ効力を失います。 二〇二三年の当審査会で長谷部恭男参考人が述べたように、緊急集会による対応は限られた期間しか通用しない臨時措置であり、平時の状況が回復したときは速やかに通常の制度へと復帰することが予定されています。政府が憲法制定議会で述べたように、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するための仕組みであり、諸外国に例のない日本国憲法独自の制度です。 一方、五十四条一項が、解散から四十日以内に総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に国会を召集しなければならないとしていることから、緊急集会は最大でも七十日しか開けない、緊急事態がそれ以上に及ぶ場合に備えて衆院任期の延長が必要などという議論が繰り返されてきました。 しかし、そもそも、総選挙の実施と国会召集を長期にわたって見送らざるを得ないと前もって正確に予測するのは困難です。長谷部参考人が述べたように、緊急時においても選挙権という基本権は可能な限り保障されるべきであり、部分的にでも選挙を実施できる限り、順次粛々と選挙を行うべきです。投票所の移設や増設、繰延べ投票、期日の延期など、選挙権を保障する手だては複数考えられますが、それらはもとより選挙制度の問題であって、当審査会で議論すべきテーマではありません。 議員任期の延長はいかなる事態をもたらすのか。長谷部参考人は、任期の延長された衆院とそれに支えられた従前の政権が居座り続け、緊急事態の恒久化を招くことになりかねない、緊急時の名を借りて、通常時の法制度そのものを大きく揺るがすような法律が次々制定されるリスクも含まれると指摘しました。国民の選挙権を奪い、民意を反映しない国会と政府が続く事態は、民主政治の徹底による権利擁護が図られないばかりか、通常の制度に復帰する担保がありません。 一九四一年、日中戦争下で衆院任期が一年延長されたのは、緊迫した情勢下で選挙を行うと国政について不必要に議論を誘発するからなどというものでした。ところが、一年後、今度は戦時下で選挙が行われ、その理由は、議会の刷新を期し、政治力の結集を図ることがむしろ戦争遂行のため緊要であると考えたからとされ、翼賛体制を確立しました。 いわゆる選挙困難事態は、かつてこのように恣意的に判断され、その結果は日本とアジアにおびただしい犠牲をもたらした戦争の惨禍であったという事実は決して看過できません。終戦直後の憲法制定議会で金森大臣は、過去何十年の日本の立憲政治の経験に徴して、間髪を待てないというほどの急務はないと答弁しています。さきの大戦下においてすら、実際には、間髪を入れないような急務などなかったのです。 韓国の尹錫悦前大統領が野党を北朝鮮に従う反国家勢力だと決め付けて行った非常戒厳の宣言について、憲法裁判所は、当時は国の非常事態ではなく、軍を出動させなくとも平時の権限行使で対処できたとして、国家緊急権の行使を憲法違反と断じました。 米国トランプ大統領の関税引上げは、通常の通商法であれば事前調査などのため発動まで一年程度掛かるものを、経済的な非常事態だと言い、本来非常時に限られるはずの国家緊急経済権限法を法的根拠に強行し、迷走し、世界中に大混乱をもたらしています。 緊急時に名を借りた権力の濫用は、日本でも世界でも、過去も今日も至る所に実例があり、教訓を明らかにしています。危機をあおり、不安に乗じて、緊急事態条項をと喧伝したり、整理と称して意見のすり合わせに向かおうとしたりするのではなく、憲法に基づく民主政治を徹底し、権利を擁護する政治こそが国会に求められていることを強調し、意見とします。
○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
○山本太郎君 過去三年間の本審査会開催状況を確認すると、委員派遣など含む手続開催を除き、調査だけで、本日含め二十三回。そのうち三分の一以上に当たる八回が参議院緊急集会が議題に。そして、本日の議題も緊急集会。正直、またですかという気持ち。参議院緊急集会の考え方の答えはもう出ている。衆議院憲法審査会に引っ張られ、足並みをそろえようとする動きは愚の骨頂、やめていただきたい。 国会議員の選挙なしで任期延長を含む改憲案を推し進めたいと考える衆議院憲法審査会の人々にとっては、この緊急集会の存在こそが邪魔で仕方ない。卑しい衆議院議員の中には、政府が緊急事態を宣言すれば、選挙の審判を受けることなく議員任期が無限延長できるというインチキを形にしようとする者たちがいる。この選挙なしで議員任期延長の制度をつくるためには、邪魔になるものが参議院緊急集会。選挙できない状況になったら困るから選挙なしで任期延長できるようにしたいといっても、緊急集会があるからその必要はない、それで終わってしまう。だからこそ、選挙なしで任期延長を実現したい者は、あの手この手で、参議院緊急集会は使えない、非常事態の制度ではないなどと言ってやり玉に上げてきた。 そうやって、無理やり何度も何度も緊急集会をテーマに審査会を開催し、事実と違う緊急集会の内容を流布し、会の開催回数を稼ぐのが彼らの戦略。そして、十分に議論はし尽くした、論点は出尽くした、改憲発議に進もうと、力ずくで前に進めようとしている。 改憲を進めたい委員たちは、事実関係を示した上で反論されても、全くその反論に応えようとしない。例を一つ挙げるなら、参議院緊急集会は平時の制度だから緊急事態に備える改憲が必要という意見。これまでも、そして今でも繰り返し提示され続けている。 これについては、昨年五月十五日の本審査会で川崎法制局長から、金森国務大臣は、帝国議会において、参議院の緊急集会について、予測すべからざる緊急の事態に対して暫定の措置をとり得る方途として規定したと、こう述べております、したがいまして、緊急集会の要件である国に緊急の必要があるときには緊急事態が含まれることは明らかであると思われますと答弁。 緊急事態のための制度であることが明確に示されている。これを聞いて、参議院緊急集会は平時の制度と言っていた人々は考えを改めるべきだろう。 ところが、最近になっても、この法制局長答弁を完全無視、同じ主張を繰り返している。 本年三月二十七日、衆院憲法審査会、自民党、新藤委員。参議院の緊急集会は、衆議院が解散中にあって必要と認められたときであって、それは、衆議院がまた選挙によって復活するということを前提にした制度になっているわけであります、ですから、そういった意味での平時という言い方、これは通常の事態の範囲で想定されたものだということであります、ですから、これを超えた事態に対してどう対処するかということで、自民党、公明党、それから維新、国民、有志の会、五会派で論点整理をして、ほぼこの内容が、かなりのところが合意できているわけでありますと発言。 川崎法制局長の、緊急集会の要件である国に緊急の必要があるときには緊急事態が含まれることは明らかであるという答弁を全く無視。 もう一つ残念な主張として、本年三月二十七日、衆憲法審査会、維新、阿部委員。自然災害しか想定されていない現憲法の参議院の緊急集会では国民を守る体制として極めて不十分であり、緊急事態条項の制定が早急に求められますと全く的外れな主張。 参議院緊急集会について、川崎法制局長は、予測すべからざる緊急の事態に対し暫定の措置をとり得る方途として規定したと答弁。予測すべからざる緊急の事態全てであり、自然災害に限定していない。 これら二つの事例で言えることは、意図的に無視しているか、勉強していないか、国語力がないかである。意図的に無視なら憲法破壊をもくろむ無法者、勉強不足ならggrks、ググれカス、国語力に問題ありなら公文式に行け、それ以上でも以下でもない話である。 是が非でも緊急事態条項の改憲発議を推し進めたい委員たちは、論点は出尽くした、議論は深まったなどと言う。しかし、実際には、自らの主張に不都合な論点は無視、反論に答えず、何度でも同じ主張を繰り返し、事実と異なる話を流布し、開催回数を稼ぐだけ。議論を深める気もないから深まりもしない。壊れたスピーカーのように破綻した主張を繰り返しているだけ。 衆院で行われているものは議論とは到底呼べない。居酒屋で飲み過ぎて、途中吐いたりしながら二度ほど寝落ちをして、目覚めの酒をあおりながら一人で意味不明の言葉をつぶやき始発待ちをするおっさん、それ以下のよた話。 衆議院憲法審査会を冒涜するのかと言われても困る。そのせりふは是非、その意味不明な発言を続ける者たちに向けていただきたい。 このような形で、参議院緊急集会を狙い撃ちした審査や憲法破壊につながる……
○会長(中曽根弘文君) 時間を過ぎております。おまとめください。
○山本太郎君 審査を繰り返すことは日本国にとって有害である。前回述べたとおり、現行憲法が守られているかチェックすることが憲法審査会の第一の役割、それらをしっかり時間を掛け厳しく点検する必要がある。今まで審議されてこなかった議題の設定を求めます。 終わります。
○会長(中曽根弘文君) 高良鉄美君。
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。 緊急集会についてということですが、日本国憲法八十七条、「予見し難い」という文言があります。一瞬これは緊急事態かなと思わせるんですけれども、その後に続くのが、「予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、」とありますので、直接的な緊急事態ということではないと思います。 実際に緊急という文字が使われているのは、先ほどからあります憲法の五十四条の規定にだけです。そこにあるのは、衆議院が解散時にある内閣が求める「緊急」の必要な際に参議院の「緊急集会」を求めることができると。この緊急の際にということですね。それから、二項にも、「緊急集会」という言葉で、この三つだけが緊急という言葉が続いています。この規定によれば、衆議院の任期の延長の問題などは出てくるはずがない。しかも、緊急集会の要求は衆議院がするわけではなくて内閣が求めるものだということなので、この規定からすれば、衆議院の任期延長の合理性というのがどうしても希薄になってくるものだと思います。 さて、この緊急の用語というのは、実際、天皇主権の明治憲法の八条、いわゆる緊急勅令のところにあります。「天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス」と。法律の代わりということですね。帝国議会、この当時は三か月が会期です。今と全然違います。はるかに閉会中の時間が多いということになります。 そして、二項で、「此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ」と、よく似た規定がありますけれども、同じく七十条にもまた似たような規定が「緊急ノ需用」があってということで使われております。 政府の専断を恐れている、権力の集中を恐れる、そして、チェック・アンド・バランスと国会の中心主義というものをしっかりと混ぜ合わせたこの日本国憲法では、参議院のみの措置で国会の権限行使として認める仕組みをしたと思います。海外でもほとんど例を見ないですけれども、やっぱり国民主権等を取っているこの主権者の代表である国会にこだわった規定だと思います。 マッカーサー案にはなかったということですけれども、日本政府が最初出していた案には、衆議院の解散その他の事由により国会を召集することがあたわざる場合において公共の安全を保持するために緊急の必要があるときは、内閣は事後において国会の協賛を得ることを条件として法律又は予算に代わるべき閣令を制定することを得るとしていました。 憲法の文献等では、まさに明治憲法の八条の緊急勅令と七十条の緊急財政処分と同じことを当初考えて出されていたと言われています。その後の議論でしっかりと、緊急の場合でも国会、つまりここでは参議院に委ねる民主的な案に変更されています。仮に衆参同時選挙で国会が閉会中であっても、参議院の半数はおります。これは、国会に残っていますので、定足数も三分の一を満たしていると。きちんと緊急集会の権能、役割を果たすことができる仕組みになっています。 緊急集会の要件はいろいろ先ほどから出ていますので、緊急性と必要性と、それから衆議院の解散中であるということですけれども、こういったタイミングはまさに万に一つという可能性であると思います。 参議院の優越を二院制に組み込んで、国会、憲法の構造と整合性を有していると。立法とか予算の審議など、基本的に憲法上は衆議院と同じ資質、性質を持っている上に解散がない参議院の存在意義が強く示されているものだと思います。 法の支配からいえば、衆議院議員の任期延長は憲法の趣旨をゆがめ、人の支配に属する類いのものと言えます。法の原理的意図なのか、あるいは人の政治的意図なのか、しっかりと憲法規定の目標を分析することが肝要であることを訴えまして、私の意見といたします。
○会長(中曽根弘文君) 中西祐介君。
○中西祐介君 自民党の中西祐介でございます。 緊急事態対応を考えるに当たりまして、参議院の緊急集会をめぐる主な論点を整理した上で、それぞれの論点についても参議院として考え方を整理すべきと私も考えます。 前回の憲法審査会、そして先ほどの我が会派佐藤筆頭幹事からの発言で触れられた主な論点については、一つ目、衆議院の任期満了により衆議院が不存在な場合の参議院の緊急集会の可否、二つ目、参議院の緊急集会の期間、そして三つ目、参議院の緊急集会の権能であったというふうに思います。 その上で、これ以外の参議院の緊急集会をめぐる主な論点を挙げさせていただくならば、一つが国に緊急の必要があるときということの意義、定義、二つ目が参議院の緊急集会において議員が発議できる議案の範囲、そして三つ目が、参議院の緊急集会でとられた措置について衆議院の同意がない場合の執行の範囲についても、参議院の憲法審査会において各会派がその意見を開陳し、参議院としての考え方をすり合わせてはいかがかというふうに考えております。 まず一つ目でありますが、憲法五十四条二項にある「但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」という条文の中に、国の緊急の必要があるときの意義についてでありますけれども、昭和二十七年と二十八年の過去二回における中央選挙管理委員会等の任命や暫定予算、選挙執行経費法案のような場合、先ほど御紹介ありましたが、このような場合は、災害時や非常事態も含まれるというふうに考えます。 一方で、平時の制度だから、内閣総理大臣の指名や条約の締結権の承認、また本予算の議決は不可と解するという見解もありますけれども、これは受け入れられることはできないというふうに考えます。 参議院の緊急集会は、制定経緯等を踏まえれば、国会の代行機関として、国会が緊急の必要があると判断をし提案した案件である限り、参議院の緊急集会が国に緊急の必要があるときと認めて審議することができると解釈すべきだというところが我が会派の共通認識であるというふうに申し添えたいと思います。 次に、二つ目の論点でありますが、参議院の緊急集会において議員が発議できる議案の範囲については、国会法百一条が、参議院の緊急集会においては、議員が、内閣総理大臣から参議院の緊急集会の請求の際に示された案件に関連のあるものに限り議案を発議することができると定めているところでありまして、予算関連法案も含めて広く発議可能であるというふうに考えています。 最後に申し上げた三つ目でありますが、参議院の緊急集会でとられた措置について衆議院の同意がない場合の失効の範囲についてですけれども、これについては、将来に対するもので、過去に遡及するものではないというふうに解されております。 ここから衆議院の同意がもし得られなければ措置が失効するということであれば、内閣不信任決議案、内閣総理大臣の指名、また本予算の議決、条約締結の承認など、緊急集会で取り扱う案件としては適切ではないと考える意見もありますが、この点についても、緊急集会は国会の代行機関であり、原則として国会の権能の全てに及ぶと考えていることを申し添えたいというふうに思います。 以上、今後の論点整理をにらんで発言をさせていただいたところであります。なお、更に一点申し添えたいというふうに思います。 参議院の緊急集会が現憲法において緊急事態に対応するための唯一の緊急事態条項にもかかわらず、衆議院が解散しているという状況において、巨大地震、先ほどもありましたが、南海トラフを想定するような巨大地震災害が発生をし、内閣が招集したとしても、そもそも合区対象県には、その県の被災状況を議場で直接伝えて必要な措置を講ずる議論に参加できる都道府県選出議員の参議院議員がいないという懸念があるわけでございます。 災害対応における都道府県の役割は、これからもこうした対応を考えても非常に大きいことから、被災選出県の国会議員の国との連携調整も、役割、現実的に重要になるというふうに考えておりますが、合区対象県では、距離的に離れた二つの県庁から被災状況を得、また政府の対応を伝えるなど、極めて困難な事態も想定されるわけであります。 全ての都道府県から少なくとも一人選挙区選出の参議院議員がいないこの合区選挙、これが想定されるわけですけれども、憲法が規定する参議院の緊急集会とも相入れない選挙制度であるということを申し添えなければならないと思っております。このことを強く最後に訴えさせていただいて、私の発言といたします。 ありがとうございます。
○会長(中曽根弘文君) 打越さく良君。
○打越さく良君 立憲民主・社民・無所属の打越さく良です。 参議院の緊急集会制度は、総司令部が想定していなかった制度であり、日本側、とりわけ、入江俊郎、佐藤達夫ら法制官僚による憲法の日本化の象徴的なものでありましょう。 緊急集会について、加藤一彦先生は、日本側の意図は、帝国憲法八条と七十条が予定する議会活動不能の非常時のみを描き、これに対応する規定を憲法に導入すること一点のみにあったと述べられておられます。 しかし、その導入までには幾多の紆余曲折がありました。日本側は元々、常置委員会構想をもって非常事態に対応しようとしていました。一九四五年十一月二日の第二回憲法問題調査委員会では、第八条の改正について、緊急勅令の発布は可能なる限り帝国議会の常置委員会に付議するものとすべしとされていました。しかし、日本側の一九四六年三月二日案では、第七十六条に、内閣は法律又は予算に代わる閣令を制定することができる旨の規定が提案されました。これは、国会中心主義から内閣を過信する危険な方向に逆行しており、総司令部側に拒否されました。 憲法改正草案要綱が三月六日に発表された後の四月二日の第一回交渉で、日本側から、衆議院解散の場合には、参議院が国会としての権限を行うとする案、国会に置かれる常置委員会が国会の権限を行うとする案が提示されました。その後も紆余曲折を経て現在の五十四条が形成されました。 緊急集会については、佐藤功先生が、両院制の国会に対する極めて特殊の場合の例外的措置であるとしながらも、もしも著しい国家緊急事態が発生し、その措置のためには、立法、予算その他各般にわたる措置が必要であり、個別的にその議案を指定することができないというような場合を考えるならば、恐らくは、内閣の請求も、その国家緊急事態の解決のためという大きな枠を定めるのみであって、その具体的、個別的な措置を包括的に求めるということになるであろうから、そのような場合には、参議院の権限は、その大きな枠の範囲においてにせよ、相当に広範囲に行使されることとなるであろうと述べられておられます。 二〇二三年五月三十一日の本審査会において、長谷部恭男先生は、緊急集会による対応は、これは条文にもありますとおり、限られた期間しか通用しない臨時の、しかも措置ですと述べつつ、国家の存立に関わるような事態には、あらゆる考慮要素がくまなく総合的に勘案されるべきであり、特定の論点、特に日数を限った規定の文言にこだわって、それを動かし得ないような切り札であるかのように捉えて議論を進めるべきではないと発言されています。また、土井真一先生は、緊急事態に対応するために、五十四条一項が許容する範囲内で二項により緊急集会の開催を認めることは不合理ではないと述べられておられます。 両氏とも、憲法改正を伴う国会議員の任期延長論と比較考量して、現憲法の参議院の緊急集会が優れた仕組みであり、新たな制度を追加する必要は見出しにくいという文脈からこれらの議論を披瀝されています。 その上で、土井先生は、緊急事態において、参議院の緊急集会は合理的な設計に基づく制度の一つであるとされながらも、重要な政治的アクターがこぞって緊急事態の継続に利益を有することになる仕組みは危険であり、例外的に認められた権限の行使には重い責任が伴わなければならないと戒められておられます。これは、佐藤先生、長谷部先生、土井先生に通底するもの、すなわち例外規定の原則化を厳に戒めたものであり、私たちは常に規律されなければならないと考えます。
○会長(中曽根弘文君) 藤木眞也君。
○藤木眞也君 自由民主党の藤木眞也です。 これまでの衆参それぞれの憲法審査会の議論を議事録等で読み返してみますと、幾つかの異なる見解が見えてまいります。 その一つは、参議院の緊急集会を一定期間内に総選挙の実施が見通せる場合に対応する仕組みという限定的な捉え方をして、選挙の実施が長期にわたって見通せるかどうかで緊急集会の権能の範囲をどのように解釈するのかということについて意見が分かれています。 その分かれ目の一つは、憲法の条文の位置の関係性をどう見るかという視点です。 参議院の緊急集会を規定する憲法第五十四条は、衆議院解散後の選挙と特別会、参議院の緊急集会ということで、「解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。」という第一項があり、緊急集会はその後に第二項と第三項となります。 そこで、第一項と第二項、第三項との関連性を強く見て、第一項の三十日プラス四十日の七十日以内に国会が召集されない間に国に緊急の必要があるときは参議院の緊急集会を開き得ると解釈する考え方、あるいは第一項と第二項、第三項の関連性をそう強く見ないで、第二項だけで、衆議院が不存在の間は、両院同時活動の原則はあるけれど、国に緊急の必要があるときは参議院の緊急集会を開き得ると解釈する考え方とがあると受け止めております。 そこで、憲法審査会の事務局にお尋ねをいたしますが、参議院の緊急集会に関する近年の議論以前に、国会において、この五十四条一項と二項、三項が置かれる位置との形式的な関連性と参議院の緊急集会の開催期間を結び付ける形で、例えばいわゆる三十日プラス四十日で七十日以内と限定する議論がなされたことはあったのでしょうか。お尋ねいたします。
○憲法審査会事務局長(本多恵美君) お答えいたします。 憲法五十四条の条文構造を根拠に、緊急集会の開催期間を明確に七十日以内と限定すべきとする発言は見当たりませんでした。
○藤木眞也君 ありがとうございました。ただいまお述べになられたように、やはり直接的な結び付きというのはないという答弁だったと思います。 なお、私も実はこの件で議事録を検索しておりましたら、昭和二十七年の参議院議院運営委員会で当時の議事部長から、思うに緊急集会制度は憲法上の慣習としてこれから育てていくべきものという趣旨も答弁で述べられておりました。 この件についても憲法審査会事務局に確認したいと思いますが、どうでしょうか。
○憲法審査会事務局長(本多恵美君) 御指摘のとおり、昭和二十七年八月三十一日に当時の議事部長が、「思うに緊急集会のごとき制度は、憲法上の慣習として、いわばこれから育つて行くべきものでありまして、その運用の態様はこうであるということを、一概に断定することは慎しむべきものであると思う」と発言しております。
○藤木眞也君 ありがとうございました。 このように当時答弁で述べられていたことを考えれば、自然災害の頻発化、激甚化、あるいは我が国を取り巻く状況が激変する中、参議院の緊急集会についても、条項の位置や順番に一定の意味はあるものと思うものの、硬直的に考えるべきなのだろうかという思いがあります。やはり、一つ一つの文言をしっかり解釈した上で、それぞれの項の関係、関連性を考えるものではないでしょうか。 途中になりますけれども、時間になりましたので、私の発言を閉じさせていただきます。ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 浅田均君。
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。 参議院の緊急集会に関し、意見を述べます。 参議院の緊急集会については、憲法の五十四条二項が制定された経緯も明らかで、また、その論点も整理されております。この憲法審査会でも何度も議論されてきました。 今回も、一巡目で松沢委員が、参議院の緊急集会に関する日本維新の会の考え方、また、参議院の緊急集会で対応することが想定されない緊急の事態に対応することができるように、我が党が国民民主党、衆議院の有志の会との三会派で条文案をまとめていることについて、先ほど発言したとおりです。 より詳しく申し上げるなら、一、武力攻撃、二、テロ・内乱、三、大規模自然災害、四、感染症の大規模蔓延の四類型に加えて、五、これら四類型に匹敵する緊急事態を想定しております。かかる事態において国会機能、立法機能と行政監視機能等の維持と人権保障の徹底を規定することが条文内容となっております。 松沢委員からも要請がありましたように、まずは私たち三会派の緊急事態条項をこの参議院憲法審査会で審議していただくことを重ねてお願いしたいと思います。 ここでは、なぜ緊急事態条項を憲法審査会で審議し、それを国民の皆様の議論にまで広げたいのか、理由を説明させていただきます。 近代立憲主義は、思想的背景としてホッブズ、ロック、ルソー、モンテスキューの存在があり、アメリカの独立、フランス革命を経て原型が形成されたと考えられます。基本的原理は、一、自由の保障、二、法の支配、三、権力分立、四、人民主権であると言うことができると思いますが、二度の世界大戦等を経て、更に考えるべき課題が突き付けられていると思います。 今回のテーマに即して述べるならば、国家の緊急事態を概念的に考察する上で参考にすべきは、ドイツの法学者カール・シュミットの例外状態という概念と、それを批判的に取り上げているイタリアのジョルジュ・アガンベンの考え方だと思います。 カール・シュミットは、国家が例外状態に陥ったときに現れる独裁者が主権者であると考えた点がナチスとつながったということで毀誉褒貶のある学者ですが、国家が例外状態に陥ったときの政治の重要性を指摘した最初の人です。また、例外状態を人権や民主主義への脅威として捉えたアガンベンの思想はシュミットとは顕著な違いがあります。 緊急事態に関して、より現実的には、パリ第一大学ドミニク・ルソー名誉教授の主張が私たちの考え方を代弁していると思います。ルソー教授は、憲法は市民の自由を保障するものという観点に立てば、憲法は、自由が侵害されるあらゆる状況を予想していなければならない、だから、緊急事態の憲法への編入はアプリオリに容認される、なぜなら、憲法に編入する目的は、緊急事態での統治が無制約にならないようにすることだからであると述べておりますが、私たちが緊急事態条項の憲法編入が必要と考えるゆえんであります。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 伊藤孝江君。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。 大規模災害や感染症の蔓延などにより広範かつ長期にわたって選挙の実施が困難な事態はあり得ますが、だからこそ、国会の権能を維持するため、参議院の緊急集会に関する規定が置かれ、公職選挙法には繰延べ投票制度が存在をしております。 参議院の緊急集会は、衆議院が解散され、総選挙が挙行され、特別会が召集されるまでの間に、法律の制定、予算の改定、その他国会の開会を要する緊急の事態が生じたとき、それに応えて国会を代行する制度であり、参議院の基本的かつ重要な権能であるとともに、参議院の存在意義の一つとして位置付けられます。災害時に緊急事態が発生した場合に、参議院の緊急集会が国会の権能を代行するために議論を深める必要があるとされる点が様々指摘されております。 参議院の緊急集会に関しては、手続及び運営が既に整備されています。これは緊急集会の特徴であり利点の一つと言えます。具体的には、国会法及び参議院規則において所定の規定の整備がなされているほか、過去二回の先例を踏まえた先例録も整理されており、これらにのっとった手続及び運営を通じてその権能が発揮されるものと考えます。 本日は、この流れに関連して述べさせていただきます。 まず一点目として、参議院の緊急集会は、憲法五十四条二項では衆議院が解散されたときと規定されていますが、衆議院の任期満了による総選挙の場合にも開くことができると考えます。 その理由としては、憲法制定時には衆議院の任期満了時を参議院の緊急集会の対象から意図的に外したわけではないこと、また、衆議院の不存在という点においては解散の場合と根本的な差異はないことが挙げられ、近時の学説も、憲法五十四条二項の類推適用により参議院の緊急集会を求め得るとの見解が多く認められるようになっております。 二点目として、選挙困難事態における国会機能維持に関して意見を述べます。 民主的正統性を確保するには選挙を実施することが肝要であり、緊急集会と繰延べ投票で対応することをまずは基本とするべきと考えます。 この点、繰延べ投票制度に対して、公平公正な選挙の実施が困難であるため、議員の任期延長を行い、全国一律に投票を行うべきとの意見や、被災地等から選出された議員が不在になるのは問題という意見もあります。 しかし、法律上、繰延べ投票を行う場合の投票期限に定めはなく、都道府県選管が投票を適正に行わせることが可能と判断した時点で投票を行わせるとの政府答弁があります。 また、被災地以外の選出議員も全国民の代表であり、被災地の状況や意向を踏まえた判断をなし得ることを前提としなければなりませんし、何より被災地の参議院議員は現に存在をしております。 この点、本審査会で長谷部恭男参考人も、以前、全国一律でなければいけない要請は憲法上強いものではない、最高裁の判例を前提として考えれば、可能になったところから順次速やかに選挙は実施すべきであると述べられております。 また、三点目として、緊急集会が開催される状況におきましては、参議院議員の全部ないしは一部が議場に参集することが困難であることを想定しておかなければならないということを考えると、オンラインによる出席、国会審議や採決に参加できる制度を創設することの検討が必要と考えます。この点につきましては、以前、この審査会でも発言をさせていただいたこともあり、本日は詳細の方は省略をさせていただきたいと考えております。 参議院の緊急集会に求められる役割を十分に果たすことができるよう、参議院の緊急集会の流れに関連する論点の整理は、まず参議院として行うべきと考えます。憲法審査会におきまして積極的に真摯に議論を重ねていくべきと申し上げ、私の発言といたします。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 小沢雅仁君。
○小沢雅仁君 立憲民主・社民・無所属の小沢雅仁です。 私から、緊急集会と二院制の関係について意見を申し上げます。 この間の任期延長改憲の議論では、緊急集会は両院同時開催の原則の例外であるといった理由によって、七十日間限定説や条約承認等も許されないなどの主張がなされています。しかし、こうした緊急集会に関する形式的かつ単純な二院制の例外説は、憲法制定議会における金森徳次郎担当大臣の趣旨説明に根本的に反するものであります。 金森大臣は、昭和二十一年九月二十日に二院制と緊急集会の考え方について詳細な説明を行っています。 まず、専制の排除、慎重審議の確保、国民のための世論の実現という三つの目的のために二院制を採用した、すなわち参議院を創設したと述べています。 そして、議院内閣政治を実現するために、二院不平等の原理を採用した上で、必要な限度で十分に両院が活動できるように組み立てたのが二院制の根本的な考え方と述べ、衆参両院の権限の幅についてはできるだけ平等にし、一方で、権限の効果については、予算の議決、条約の批准、総理指名において不平等と、すなわち衆議院の優越を設けたと説明しています。 そして、こうした二院不平等の原理による二院制から必然的に導かれる最重要の点を憲法に明記したとして、四十三条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」との規定、四十四条の議員の資格要件、四十五条及び四十六条の衆参議員の任期などを示しています。 そして、このようにして大体において両院の組織及び働きを考えていったところ、さらに今度は、参議院を活用する、すなわち参議院ができたことによって更に一つの利益を考えようという見地から緊急集会が生まれたと述べています。 すなわち、衆議院には解散や任期満了による全体の改選期があるところ、どうしても国会を何どきでも開ける態勢を備えておかなければならない、国会制度の趣旨を徹底して実行するために何らかの方法がないかとの論究の結果として、参議院がある、この参議院は国民代表である、ゆえに経過的かつ一時的な効力として参議院の議決を国会の代わりとする制度によって、衆議院不在の不便を補い、かつ合理的な途ができるのではないかと緊急集会を考えたとの旨を述べています。そして、以上をもって新憲法における二院制の大体の説明になるとしています。 こうした金森大臣の説明から、以下のことが帰結できます。 まず、緊急集会は、衆議院の解散や任期満了によって両院同時活動の原理が論理必然的に維持できない場合がある我が国の二院制の不便を補う、すなわち二院制を補完するための制度であり、二院制の本旨の外にある例外制度などではないということです。 また、それは、二院不平等の原理による二院制という国会制度の趣旨を徹底して実行するための制度であり、条約承認などの衆議院の優越事項を緊急集会の権能を制限する根拠することは本末転倒の主張であるということです。 そして、緊急集会が二院制国会の代行機関たる正統性は、万年議会の参議院議員が国民代表であるのであり、全国民を代表する選挙された議員ではない任期延長議員に七十日を過ぎた後の国会機能を担わせることは、二院制国会がよって立つ国民代表制の原理に反することです。 以上のような憲法制定時の二院制と緊急集会の制度設計に基づく議論が衆議院憲法審では全くなされず、形式的かつ単純な二院制の例外説が主張されていることは誠に遺憾であります。 それどころか、三月二十七日の衆議院憲法審では、上述の金森大臣の説明の中の解散後の七十日は国会を開けない状況になるとの箇所を七十日間限定説の根拠とする意見がありましたが、これは、二院制の補完機能という緊急集会の根本趣旨に反する典型的な切取り解釈と強く指摘したいと思います。 二院制の一翼である私たちの参議院は、緊急集会の運用を通じて、二院制の国会制度の趣旨そのものを徹底して実行するという崇高な使命を負っていることを先輩、同僚議員の皆様に呼びかけて、私の意見といたします。
○会長(中曽根弘文君) 古庄玄知君。
○古庄玄知君 古庄です。 憲法五十四条二項は、「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。」と、これ本文でこう書いています。ただし書で、「但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」と、こういうふうに書いていまして、これはもう明らかに、衆議院が解散されたときというのが明確に書かれているわけですから、これを衆議院が任期満了になったときとかあるいは緊急事態が発生したときなどにまで拡張するということは、この条文の、明確に書かれているこの条文からして、おかしいのではないかというふうに思います。仮に、そういうふうな根拠に基づいて例えば内閣が緊急集会なるものを開いたとすれば、恐らくいろんな人から訴訟沙汰になって裁判の嵐が降ってくるんじゃないかなというふうに思います。 あと、問題は、「但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、」と書いています。じゃ、この国に緊急の必要とは一体何ぞやということが次の議論になってくると思います。 これは、判断者によって緊急性があるかないかということは違ってくると思うんですね。例えば、ミサイルが一発飛び込んでこない限りは緊急性はないと考えるのか、もっと簡単な、船が近づいただけで緊急性があると考えるのか、判断者によって違ってきます。そのために、この緊急性があるかないかということについて、大体どういう場合は緊急性があるというふうに具体的な例を五個か十個ぐらい挙げて、そのほかこれに類するものというふうに、まあ憲法に書くのが大変ならば国会法か何か、あるいは下位法で緊急事態法とかなんとかというそういう法律を作って、そこで具体的に、こういう場合は緊急事態なんだよというふうに書く必要があるんじゃないかなというふうに思います。 先ほどの話に戻りますが、今、国家緊急事態の場合にどうするかという議論もこの緊急集会に絡めて議論されていますけれども、先ほど言ったように、この憲法五十四条二項を根拠にして緊急事態に対処するということは、これはできないというふうになると私は考えております。 したがって、国家緊急事態については、別個に、憲法上その根拠を求める、そして、じゃ、どういう場合が国家の緊急事態と言えるのか、また、そのときにどういうふうな手続を取って誰がどういうふうな指揮をするのかというのは、新たに憲法上記載しなければならないというふうに考えます。だから、そういう国家緊急事態が発生しないというのであればそれはそれでもいいけれども、国家緊急事態というのが発生する可能性は極めて高いわけですから、そういう場合に備えてこの法律及び憲法を整備しておく必要があろうと思います。逆に、それが権力者の恣意を防ぐことになるのではないかなというふうに私は考えております。 ということで、私の持ち時間になりましたので、これで終わります。
○会長(中曽根弘文君) 仁比聡平君。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。 日本国憲法が、戦前の大日本帝国憲法下で濫用された緊急勅令や緊急財産処分、戒厳や非常大権などの緊急事態条項を廃し、参議院の緊急集会を定めたのはなぜか。 この問題で、憲法制定議会における金森大臣の答弁が会派を超えて繰り返し確認されてきました。すなわち、どんな精緻な憲法を定めても、非常という言葉を口実に破壊される可能性がないとは言えないため、行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくした、民主政治を徹底させ国民の権利を十分擁護するには、緊急時に政府の一存で行う措置は極力防止しなければならないという憲法観です。そこには、基本的人権保障と法の支配、国民主権と議会制民主主義が貫かれており、その根底に二度と戦争をしないという深い反省があります。特殊な事態には平常時から法令などの制定により濫用されない形式で完備しておくことができる、特別な必要があれば臨時国会を召集し、衆議院が解散中であれば参議院の緊急集会を招集すれば足りるという金森答弁は、今日においても合理的です。日本国憲法はとてもよくできているのです。 衆議院議員の任期延長はどう考えるべきか。二〇二三年五月三十一日のこの審査会で長谷部恭男参考人は、憲法五十四条一項が、解散から国会召集までの期間について、大日本帝国憲法が定めていた五か月から大幅に短縮し、解散から四十日以内に総選挙、投票から三十日以内に国会召集と定めたのは、現在の民意を反映していないような政権の居座りを防ぐ、阻止するというのが主たる目的であること、それなのに、衆議院議員の任期を延長するということになれば、それは結局、現在の民意を反映していない政権の居座りを正面から認めることになってしまうと述べました。そのとおりです。 衆議院議員の選挙困難事態なるものを仮定に仮定を重ねて描き、議員の任期に特例をつくろうという議論に対して改めて指摘しなければならないのは、こうした議論は、自民党が二〇一二年改憲草案以来主張する緊急事態条項と一体のものだということです。 二〇一二年自民党改憲草案は、第九章として緊急事態の章を立て、①内閣総理大臣が、武力攻撃、内乱、大規模災害などの緊急事態において、特に必要を認めれば、緊急事態の宣言を発すること、②この宣言が発せられれば、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定でき、総理大臣は必要な財政支出その他の処分を行い、地方自治体の長の必要な指示ができること、③何人も総理の緊急事態宣言に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならないこと、④この宣言の間、衆議院は解散されず、国会議員の任期、選挙期日に特例が設けられるというものです。 これは、人々の自由と権利を一内閣の政令をもって奪う立憲主義の破壊であり、そうした政権の居座りそのものであって、断じて許されません。 自民党は、二〇一二年改憲草案以来の改憲の押し付けをもうやめるべきであります。そのことを強く申し上げ、発言といたします。
○会長(中曽根弘文君) 田中昌史君。
○田中昌史君 自由民主党の田中昌史です。 参議院の緊急集会は、現行憲法上唯一の緊急事態条項であり、参議院の重要な権能ですから、この機能がしっかり果たせるよう、憲法上の論点を整理し、衆参そして案件を提案する内閣と考え方をすり合わせておく必要があります。 あわせて、南海トラフのような大災害が発生した際に、参議院議員が指定された期日、時間に参集できるのか、その前に、参議院議長は参集通知を届けることができるのか、さらに、議場の安全が確保され、審議できる状況なのかという点についても検討しなければなりません。 災害対応に万全を期すことができるよう、政府が定めている業務継続計画、BCPについては参議院の緊急集会を意識しなければなりません。また、政府以上のものを、周到なものを用意しなければならないというふうに思います。 例えば、東日本大震災では、震災発生後五日で法案が提出されています。災害の状況によっては、衆議院議員不在時に、より迅速に必要な案件を審議しなければならないかもしれません。そのときに、参集する参議員数が定足数に足りず、参議院の緊急集会が成り立たないということは絶対に許されないということです。 そこで、参議院の緊急集会という緊急事態機能が物理的に失われることがないよう、どのような事態であろうとも対応できるように、オンライン審議を進めるための法制上の検討と院内を含むインターネット環境の整備を進めていかなければならないと思います。 今国会では、参議院改革協議会の成果として、災害の被災者や遠隔地に住んでいる人、育児や介護といった理由で国会に来ることが難しい人などからも様々な意見を聞くことができるよう、委員会質疑への参考人のオンライン参加を認めるため、参議院規則を改正しています。 そこで、参議院法制局に伺います。 参議院の緊急集会で、参議院議員がオンライン出席やオンライン採決を可能とするための憲法上の論点など、検討すべき課題について教えてください。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 憲法五十六条は、両議院の本会議の定足数について「出席」と、議決について「出席議員」と規定しており、この出席にオンライン出席が含まれるかどうかが問題となります。 この点については、基本的に議場に現在することが出席と解されることになりますが、例外的にオンライン出席も含まれ得るとの解釈が有力となってきております。 ただ、オンライン出席を認められるのは、緊急事態の際の議院ないし国会の機能維持のために必要な場合に限られるのか、それとも、妊娠、出産、疾病等の事情により議場に出られない議員の権限行使の機会確保のための必要な場合にも認められるのか、それぞれの定義や範囲も含めまして議論があるほか、オンライン出席を認める場合には、本人性、真正性の確保、憲法が定める公開原則との関係、セキュリティーの問題、オンライン出席議員の権限行使の範囲や環境、条件など、様々な課題があるものと承知しております。 なお、委員会のオンライン出席については、国会法や議院規則等の解釈や改正が問題となります。 以上でございます。
○田中昌史君 ありがとうございました。 参議院の緊急集会をしっかり機能させるためのこのオンライン化のためには、憲法や法律上で乗り越えていく、今指摘されました課題を明確にして、参議院だからこそのオンライン化を進めていくべきであるということを申し上げまして、私の発言を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 小西洋之君。
○小西洋之君 最初に、参議院法制局長に質問します。 緊急集会の期間については、従来の学説では、総選挙まで、衆議院議員が召集可能となるまで、特別会の召集までなのかといった観点で議論が行われてきているものであり、任期延長改憲の議論がなされる以前の学説では、緊急集会の期間を七十日に限定すべき、あるいは限定されないといった議論は行われてきていなかったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○法制局長(川崎政司君) 従来においては、学説上、必ずしも七十日限定、非限定といった観点からは議論されてこなかったものと承知しております。
○小西洋之君 ありがとうございます。 もう一問、法制局長に。 五十四条一項の四十、三十日の規定は二項の緊急集会の開催期限を法的に制限する法規範であるとの理解、すなわち、これらの条文の連関構造という見解を前提にして、二〇二三年常会の長谷部恭男先生の衆参憲法審での御意見について、総選挙の実施が見通せるような場合には、条文の姿形を前提とすれば、原則として期間限定はあるのだろう、しかし、そのようなことは言っていられない場合には期間限定はないということになるはずである、その結果、全体として煎じ詰めれば、期間限定はないということになると長谷部先生がおっしゃっているとする見解がありますが、参議院法制局長として、長谷部先生の会議録でこのようにおっしゃっている箇所が存在すると考える場合はどこの箇所であると考えますでしょうか。
○法制局長(川崎政司君) 第二百十一回国会の衆参の憲法審査会の会議録を私なりに確認しましたが、長谷部恭男参考人が、御指摘の文言どおりの発言をし、あるいは全体として御指摘のような見解を述べている箇所は、見当たりませんでした。
○小西洋之君 大変重要な答弁をいただきました。 衆議院憲法審では、本年に突如として衆議院法制局長が五十四条の連関構造説なる独自説を説明し、長谷部先生は連関構造説に基づく七十日限定説だが緊急事態の法理によって無限定説に立つという先ほどの説明を行いました。しかし、これは、ただいまの参議院法制局長答弁にあるように、事実と法理に反する見解であると言わなければなりません。 衆議院の連関構造説については、前回の佐藤筆頭の自民会派意見においても法理として否定され、深く敬意を表する次第ですが、長谷部先生は、衆参憲法審で繰り返し、五十四条一項の四十、三十日は比較法的にも解散時の内閣居座り排除の規定であり、緊急集会の継続期間が限定されているかのように見えるのは、実はその間接的、派生的な効果にすぎない、任期延長改憲は本末転倒の議論ではないか、条文のそもそもの趣旨、目的を踏まえた解釈が求められるとまで訴えられています。 その長谷部先生が、条文の姿形を前提とすれば、原則として期間限定はあるのだろうなどとおっしゃっているのでしょうか。この衆議院法制局長の説明は、私がただいま御紹介した長谷部先生の御発言の直前の、確かに憲法五十四条の規定を素直に読みますと、最大七十日間にしか求めることができないかのように見えます。しかしながら、そもそも、憲法五十四条が四十日そして三十日と日数を限っているのは云々云々という御発言の曲解ではないかと疑います。 この証拠に、長谷部先生と土井真一先生は、本審査会での私からの五十四条一項の内閣居座り排除の趣旨及びGHQとの国家緊急事態をも含む災害等の有事を想定した立法事実の両者からして七十日間限定説は憲法解釈として無理があるのではとの質問に対して、そのとおりだと思っております、そのように解釈しておりますと明確に答弁してくださっております。ここには連関構造説も緊急事態の法理のかけらもございません。 しかしながら、三月二十七日の衆議院憲法審の改憲五会派は、そろって連関構造説を主張し、しかも、口をそろえて長谷部先生が連関構造説及び緊急事態の法理による無限定説であるという主張をしています。こうした改憲会派の誤った見解を支えていると思われる衆議院法制局の説明及びその令和五年版及び本年の補訂版資料の過ちについては、前回も指摘しましたが、先ほどの参議院法制局長の答弁で明確に否定されたように、従来の樋口陽一先生らや高辻内閣法制局長官らの学説等を七十日間限定説に勝手に位置付け、長谷部先生や土井先生を含む多数の学説を四十日間限定説なるものにも位置付けるなど、不可解極まりないものになっております。 なお、さきの私の本審査会の質疑も補訂版に掲載されておりますが、その扱いも質疑の本旨を離れた切取り、曲解と受け止めざるを得ず、誠にゆゆしき事態と申し上げなければなりません。 最後に、三月二十七日の衆議院憲法審では、自民党筆頭幹事が、条約承認、総理指名、本予算を緊急集会の権能に認め得ると、従来の改憲五会派の見解から離脱し、その一方で、五十回余りの毎週開催で立法事実のGHQ協議記録にようやく初めて言及した維新会派が、それを曲解し、突如として緊急集会自然災害限定説を唱えています。もちろん、あらゆる角度からめちゃくちゃな憲法違反の暴論でございます。緊急集会をめぐる改憲会派の見解は、衆参で分裂するだけではなく、改憲会派の中でも深刻な分裂、矛盾を来しております。 なお、先ほどの松沢委員、古庄委員の任期満了では緊急集会を使えないという見解は、それぞれの衆参の会派の見解からも違っているところでございます。 先ほどの衆法の問題を含め、もはや横にも縦にも矛盾、過ちだらけのカオスと化した緊急集会の暴論に依拠する任期延長改憲の即刻の破棄を求めて、意見といたします。
○会長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、以上で委員間の意見交換を終了いたします。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時二十九分散会
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S4RCIV が記録した内容から、改ざん検知用の値を お使いのブラウザで計算し直し、 記録済みの値と一致するか確かめます。計算は 下のボタンを押したときだけ、この端末で実行されます(暗号通貨の採掘や追跡ではありません)。 S4RCIV の「確認済み」表示を信じる必要はありません — 数字を再現するのはあなたの端末です。
- 記録 #1018 観測 2026-10-11 02:06 JST改ざん検知用の値
a7b94141…e54599(未計算)
チェックポイント
- 記録
- #1125 まで
- 署名
- 署名あり(s4rciv-checkpoint-2026)
- まとめの値
- 89844263…b66c19
仕組み
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- 2この端末で値を計算し直し、つながりが保たれているか確かめます。
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